気管支鏡

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気管支鏡(きかんしきょう、: Bronchoscope)は、気管気管支に挿入する医療機器である。内視鏡のひとつ。: Bronchoscopyは,気管支鏡を用いて行う検査,処置の技術全般を指す。適切な日本語訳は無いが,単に気管支鏡として,前述の器具だけでなく,処置全般を指す場合も多い。

歴史[編集]

1897年ベルリン大学教授グスタフ・キリアンによって硬性鏡(: Rigid Bronchoscope)を用いて最初に行われた。

1966年国立がんセンターの池田茂人(いけだ しげと)によって軟性鏡(: Flexible Bronchoscope)が開発された。

適応[編集]

種類[編集]

  • 蛍光気管支鏡(AFB:Autofluorescence Bronchoscopy)
  • 気管支腔内超音波断層法(EBUS:endobronchial ultrasonography)

検査[編集]

  • 経気管支肺生検(TBLB:transbronchial lung biopsy)
気管支鏡を用いてX線透視下に生検を行う検査。合併症として臓側胸膜を損傷することによる気胸の発生がある。これを防ぐために透視下で生検用鉗子が胸膜に到達していないことを確認しながら検査を行う。そのためには、正面の透視で胸膜との位置関係が確認できるB3a、B4a、B8aなどの気管支から生検を行うことが多い。その他の合併症として出血がある。通常は自然に止血されるが、大量の出血をきたす場合はエピネフリン、トロンビンの散布が行われることがある。それでも止血できない時は、出血した肺を下にして健側に気管内挿管をおこない気道を確保する。
  • 気管支肺胞洗浄(BAL:bronchoalveolar lavage)
気管支鏡を用いて気管支内の洗浄液を検出する検査。びまん性肺疾患の診断のためにTBLBと併用して行うことが多い。通常、生理食塩水を右中葉など回収しやすい部位(仰臥位の場合)に注入した後、陰圧をかけて回収する。細胞数、細胞種類およびその比率、リンパ球表面マーカーなどを調べることで診断に有用な情報が得られる。肺胞出血、肺胞蛋白症においては、BALにより確定診断が得られる。

手法[編集]

気管支鏡は様々な状況で行われる。手術室ICU透視室、または気道確保を要する一般病室などである。 患者には麻酔薬(キシロカイン®など)、鎮咳薬(リン酸コデインなど)、鎮静剤および気道分泌抑制のための薬物(硫酸アトロピンなど)の投与が行われる。(欧米ではミダゾラムプロポフォールなども用いられる。) 被験者は、検査中はバイタルサインを常にチェックされている。

現在は気管支鏡は軟性鏡が主として用いられる。患者は背臥位となり、口腔または鼻腔から気管支鏡を挿入される。咽頭喉頭を過ぎ、声帯を視認しつつ気管へ挿入する。 器具は主気管を経て気管支へと進められ、各区域を検査する。出血や気管支壁に病変があれば、生検や吸引採取を目視しながら施行する(肺癌が気管支壁に都合良く顔を出していることは多くはない。)。

CTや胸部レントゲン写真で異常が判明している場合には、該当する区域へ気管支鏡を先進させ、ブラシや生検鉗子を鉗子孔からX線透視下に病変部まで先進させ検体を採取する。Broncho-alveolar lavage(=BAL)には気管支鏡を気管支に押し当てて、区域を閉鎖し、生理食塩水を注入したのちに吸引にて回収する。 また軟性気管支鏡は、ICUなどで気管内挿管を施行された患者にも行われる。この場合、内視鏡は挿管チューブ内を通って進入する。

硬性気管支鏡は、全身麻酔下に施行される。硬性気管支鏡は太すぎるため、挿管チューブと同時には挿入できない。それゆえ麻酔器具は気管支鏡に接続され、気管支鏡を通じて人工呼吸は行われる。

関連[編集]