久保猪之吉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
久保猪之吉
大礼服着用の久保猪之吉(1934年)
人物情報
生誕 1874年12月26日
日本の旗 日本福島県
死没 1939年11月12日(満64歳没)
日本の旗 日本、東京
国籍 日本の旗 日本
出身校 東京帝国大学
学問
研究分野 耳鼻咽喉科学
研究機関 京都帝国大学福岡医科大学
主な受賞歴 レジオンドヌール勲章 (1934年)
補足
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

久保 猪之吉(くぼ いのきち、1874年12月26日 - 1939年11月12日)は日本医学博士歌人俳人。京都帝国大学福岡医科大学(後の九州帝国大学、現九州大学)教授。

人物・来歴[編集]

二本松藩士・久保常保の子として現在の福島県に生まれる。1900年東京帝国大学医科大学を卒業、岡田和一郎の副手をつとめた後1903年に結婚、ドイツへ留学すると1907年に帰国し京都帝国大学福岡医科大学教授となる。俳人久保より江の夫。長塚節の主治医[1][2]

日本の耳鼻咽喉科学の先駆者。1903年にアルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクに留学するとグスタフ・キリアン英語版教授の下で気管支鏡検査法・キリアン披裂を学び、1907年に帰国して京都帝国大学福岡医科大学教授に就任。耳鼻咽喉科教室を創設し、日本で初めて食道直達鏡を行った[3]1913年にはコペンハーゲンで開催された第1回万国耳鼻咽喉科学会に日本代表として出席し、およそ半年かけてヨーロッパ諸国を視察している[4]。視察は1924年にも行った。1935年に名誉教授となり、東京へ移るとルドルフ・トイスラーが創設した聖路加国際病院で耳鼻咽喉科の顧問を務めた。1939年死去、青山墓地に埋葬される。

また、歌人としては、落合直文に師事し、1898年尾上柴舟らと「いかづち会」を結成した。その後は俳句を初め、高浜虚子に師事する。1922年、初めて不如帰に取り上げられる。妻のより江とともに雑誌「エニグマ」(1913年) を発行し、福岡在住のあいだ夫妻の住まいは文化人のつどうサロンともなり、柳原白蓮などの文人、また九州以外からも俳人や文人が集った[5]

栄典[編集]

久保記念館[編集]

九州大学馬出キャンパスには博士の名を冠した博物館「久保記念館」および「久保猪之吉博士像」、「久保通り」[7]および「歌碑」[8]が存在する。久保記念館は1927年に開館した日本第1号の医学史専門の博物館で、1907年に久保が創設した耳鼻咽喉科教室の20周年を記念して建てられた。和風と西洋風の折衷様式の2階建てで収蔵品[9]には久保が洋の東西を問わず集めた耳鼻咽喉科に関わる書籍、論文、標本、機械、医療器具、図画に加えて、かつての同僚や知人から贈られた記念品も含む [10]。生涯に学術論文530本、医学史を取上げた原稿を多数執筆し、医学の分野のほかにも新聞寄稿ほか論考やエッセーなど[11]172本書いている。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 長塚節 逝去の地”. 2015年12月8日閲覧。
  2. ^ 博多に強くなろう”. 地域社会貢献活動:ふるさと歴史シリーズ. 西日本シティ銀行. 2015年12月8日閲覧。
  3. ^ 日本耳鼻咽喉科学の開拓者 久保猪之吉”. 九州大学. 2015年12月8日閲覧。
  4. ^ 久保猪之吉 『鼻科学』 博文館、東京、1913年 3冊 (上・中・下) 1154ページ。
  5. ^ 耳鼻咽喉科教室で学んだ曾田共助 (公孫樹) は久保から文学の薫陶をも受け、小倉市立病院に着任するとやはり文学を語り合う場を設けた。博多と北九州の文化サロン――博多の久保猪之吉・より江夫妻と北九州の曽田共助”. 西日本シティ銀行. 2015年12月8日閲覧。
  6. ^ List of Members - Inokichi Kubo”. 2015年12月8日閲覧。 国立科学アカデミー・レオポルディーナ会員名簿 (英語) に登録。
  7. ^ 九州大学馬出キャンパスの構内図 キャンパス風景”. 九州大学. 2011年5月29日閲覧。
  8. ^ 歌碑には「霧ふかき南独逸の朝の窓おぼろにうつれ故郷の山」と記してある。長塚節 命の絶唱”. 石村萬盛堂. 2015年12月8日閲覧。
  9. ^ 久保猪之吉 『耳鼻咽喉科史料展覧会目録及解説』 久保記念館、千代町 (福岡県)、1927年
  10. ^ 小宗静男 (耳鼻咽喉科学分野 教授). “久保猪之吉先生”. 2015年12月8日閲覧。
  11. ^ 田村 隆「久保猪之吉の旧蔵書」、『九州大学附属図書館研究開発室年報2011/2012』、九州大学附属図書館、2012年7月、 32頁。

執筆・編集[編集]

医学書、論文を除く。

  • 久保猪之吉 『耳鼻咽喉科史料展覧会目録及解説』 久保記念館、千代町 (福岡県)、1927年
  • 久保猪之吉、松井太郎、掛下玉男、香宗我部壽 『九州帝国大学医学部耳鼻咽喉科学教室廿年史』第1巻、九州帝国大学医学部耳鼻咽喉学教室、九州帝国大学、福岡、1927年
  • 久保ゐの吉 『春潮集』 京鹿子発行所、京都、1932年
  • 久保 猪之吉 『外国船』 久保猪之吉、福岡、1933年
  • 久保猪之吉 『医学論文の書き方』後篇 第1、久保猪之吉、東京、1934年
  • 久保猪之吉 『科學論文の書き方』後篇、養賢堂、東京、1938年、訂正第3版。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]