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エッセンシャルワーカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

エッセンシャル・ワーカー英語: Essential worker)またはキーワーカー英語: Key worker[1])、クリティカルワーカー (critical worker)、生活必須職従事者とは、最低限の社会インフラ維持に必要不可欠な労働者を指している。

定義

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世界的な2019新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) の蔓延によって、英国においては学校が休校に追い込まれたことにより、社会インフラ維持に必要不可欠な職業の労働者と不要不急な職業の労働者を二分化し、具体的なリストを英国政府が示した[2]

健康・医療・介護
具体的には医師看護師助産師救急救命士薬剤師栄養士ソーシャルワーカー介護士等のケアワーカーなどが含まれる他、これらに限定されず医薬品や医療器具のサプライチェーンに従事する人なども含まれる[注 1][注 2]
教育と保育
具体的には教員保育士、そのほか学校スタッフや保育園スタッフなどが含まれる[3][注 3]
主要な公共サービス
具体的には司法機関のスタッフ[注 4]放送局 [注 5]のスタッフ、ボランティアなどが含まれる。
政府機関・地方自治体
行政機関の運営に当たる公務員や独立行政法人の職員など、行政サービスの維持に必要な人員が含まれる。2019新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) のパンデミックにおいては、公衆衛生の対応に必要な行政の人員も含まれる[注 6]
食品およびその他の日用品・衛生用品の取扱関係者
具体的には食品・日用品・衛生用品の生産、加工、流通、販売、配送に必要なメーカー、物流、小売業[4][5]の人員が含まれる[注 7]
公安および国家安全保障
警察官[6]警察行政職員や国境警備隊や海上保安庁消防、国防に関わる行政職員および軍人自衛官が含まれる[注 8]
交通機関
公共交通機関や貨物運送業である鉄道事業者航空会社[7][8]バス事業者、水運業、トラック運送業者[注 9]道路関連事業者の各職員[9]が含まれる[注 10][注 11]
公益事業インフラ、通信インフラ、金融業
電力会社[10]ガス事業者、上下水道局などのインフラ事業、電話インターネットなどの電気通信事業および郵便事業を含めた通信業、銀行などの金融機関に従事する職員が含まれる[注 12]

これ以前からエッセンシャルワーカーの語は存在し、アメリカ政府でリスト化もされていた[11]。また、日本でもエッセンシャルワーカーとして上記の各職種[12][13][14]を報道する機会が増えている。

エッセンシャルワーカーの低賃金問題

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現代資本主義社会では、「他者のためになる労働であればあるほど、受け取る報酬がより少なくなる」という一般的原則が存在していることが指摘されている[15]。「エッセンシャルワークは全ての人にとって必要な仕事であるからこそ、人件費が安くなる」という、社会構造上の問題が存在する疑惑は提起されている[16]

日本では、厚生労働省がに公表した2025年版「労働経済の分析(労働経済白書)」によれば、生活やインフラなどの維持に従事するエッセンシャルワーカーの平均賃金はそれ以外の職種と比べて100万円低く、50代後半では200万円の差に広がっている[17]。この傾向は日本にとどまらず世界でも同様で、国際労働機関(ILO)2023年の報告書では、生活に不可欠なサービスに従事する労働者=キーワーカーの平均賃金が他の業種よりも26%低いことがあきらかになった。この差の3分の2は学歴や経験の差で説明がつくが、のこり3分の1は説明がつかない格差だった。賃金だけでなく、長くて不規則な労働時間や不安定な雇用、有給の病気休暇の取りにくさ、さらにはやりがい搾取の横行といった課題も指摘されている[18]

エッセンシャルワーカーの賃金が低くなる理由について、田中洋子・筑波大名誉教授(経済史・労働政策)は経営側の儲けにつながる金融コンサルタントや企業ロビイストなどが高給を得るようになる一方、人を助けるような社会に不可欠な職業は「スタッフが高給を得ること対して利用者の理解が得にくく、儲けにつながらない」として冷遇されてきた、と分析している。くわえて医療や介護の分野では、社会保障費を削る動きも待遇の悪さを後押ししている状況である[18]

脚注

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注釈

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  1. いわゆる医療従事者。
  2. 薬剤師の場合、後述の小売業とも関連がある。
  3. 他に学童なども含む。また、他のエッセンシャルワーカーの子供を預かる役目もある。
  4. 裁判官や司法職員の他、司法機関以外にも検察官や弁護士など司法運営に必要な人員を含む。
  5. 具体的にはテレビ局ラジオ局であり報道機関としての役割がある。
  6. 保健所の職員などCOVID-19の診断に重要な役割を有する。
  7. 小売業の場合、直接の店員だけでなく、清掃員なども含む。
  8. 救急隊員も医療従事者という側面があり、含まれる。
  9. 日本国内各地へはトラックで運ばれる。
  10. 通勤電車など医療従事者の通勤に使われる他、地方から大都市への通院で新幹線や飛行機を使うケースもある。
  11. ワクチン流通では日本が2020年度中に入手したワクチンはすべて全日本空輸の空輸便によりワクチン生産国から日本国内に届けられた。
  12. これらは在宅中の人々の他に、病院など医療機関へも供給されている主要インフラとなる。

出典

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  1. Geoff Martin (2001年3月21日). Just what is a 'key worker'?”. The Guardian. 2020年5月26日閲覧。
  2. "Guidance for schools, colleges and local authorities on maintaining educational provision" (英語). 英国政府. 2021年4月18日閲覧。
  3. 日本経済新聞 守れ!エッセンシャルワーカー コロナ禍の小売最前線
  4. 商い/賑わい/エッセンシャルワーカー : 日本小売業にとってのコロナ・ショック (特集 コロナと暮らし : 対策の現場から)
  5. 警察官やスーパー店員…「必須職」の安全守れ、米で模索
  6. IATA 航空従事者の優先接種要望 Daily-Cargo
  7. シンガポール航空、ワクチン接種乗員のみで運航開始 77%が接種済みAviation Wire
  8. 国土交通省~全てのエッセンシャルワーカーの皆様へ感謝のメッセージ~
  9. 一般社団法人日本電気協会
  10. 新型コロナ 暮らしを支える:読売新聞
  11. 【経済#word】エッセンシャルワーカー ウィズコロナ,進む対応
  12. 生活の維持に欠かせない。エッセンシャルワーカーとは何か?
  13. 「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由”. 東洋経済オンライン (2021年1月3日). 2025年11月17日閲覧。
  14. 激務、低賃金、非正規労働…みんなが必要としているのに、なぜ軽んじられる?「エッセンシャルワーカー」と「人件費」の矛盾”. THE GOLD 60 (2025年6月27日). 2025年11月17日閲覧。
  15. エッセンシャルワーカー年収、他業種より100万円低く 昇給も小幅:朝日新聞”. 朝日新聞 (2025年9月30日). 2025年11月17日閲覧。
  16. 1 2 社会支える「エッセンシャルワーカー」なのに低賃金 政府が初調査【イチ押しニュース】”. 就活ニュースペーパーby朝日新聞 - 就職サイト Re就活キャンパス(旧:あさがくナビ). 2026年6月6日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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