ヒトパピローマウイルスワクチン

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ヒトパピローマウイルスワクチン
Gardasil vaccine and box new.jpg
ワクチン概要
病気 子宮頸癌
種別 サブユニット
臨床データ
胎児危険度分類
  • US: B
法的規制
投与方法 注射
識別
ATCコード J07BM01 (WHO)
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ヒトパピローマウイルスワクチン (HPVワクチン、HPV予防ワクチン、子宮頸癌ワクチン) は、特定のヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)の持続感染を予防するワクチンである[1][2]。HPVは、子宮頸癌尖圭コンジローマ肛門癌などのの発生に関係する。アメリカ食品医薬品局(FDA)では45歳までの男性および女性に接種を推奨している[3]。HPVワクチンの接種は、定期的な子宮癌検診を代替するものではなく、接種後も子宮の定期検診が必要である[4]

ガーダシルとサーバリックス[編集]

2006年に、米国メルク社による、HPV 6・11・16・18型に対する4価ワクチン「ガーダシル」 (Gardasil)が、アメリカ合衆国で6月、欧州で9月に発売された[5]。その翌年2007年5月に、競合他社であるフランスグラクソスミスクラインのHPV 16・18型に対する2価のワクチンの「サーバリックス」 (Cervarix)が、オーストラリアで初めて承認され、同年ヨーロッパでの承認が続いた[6]。両社の製剤は、いずれも世界約130か国で承認されている[7]

ガーダシル9[編集]

2014年9月には、HPV 31・33・45・52・58型に追加対応とした9価ワクチンの「ガーダシル9」が、アメリカ合衆国で9-26歳の男女への接種が認可された。ガーダシル9によって、HPVの原因となるウイルス型の90%がカバーされる[8]。2015年カナダ、EU、オーストラリアで承認され[9]、2018年までに世界77か国で承認された。

日本ではMSDによって、2015年7月3日付で9価HPVワクチンの承認申請が行われ[8]、2020年7月21日、「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ」として製造販売承認を取得した[10]。 2016年には、グラクソ・スミスクラインは、9つのHPVウイルスに対応するガーダシル9に市場を譲り、アメリカ合衆国から撤退することを決定をした[11]。日本や中華人民共和国では、ガーダシル9の認可を待たず、世界から輸入して接種する医療施設が現れている[12][13]

2015年のHPVワクチンの国際的な売上高は、HPVの4つ(あるいは9)の型を対象とするガーダシルで19億米ドルであり、2つの型を対象とするサーバリックスは、1億700万米ドルであった[11]

適応[編集]

すでに感染しているHPVの排除や、すでに進行しているHPV関連の病変を抑制する効果はないため、初めての性行為の前までに接種することが推奨される。肛門癌などの抑制効果も明らかとなったため、男性への導入も進んでいる。アメリカ合衆国では26歳までの未接種の人々に予防接種を推奨していたものを[14]、2018年には45歳までの男女への接種推奨に切り替えた[3]。2018年に男性への接種を認める国家は、77か国となっている[15]

接種回数は当初3回とされたが、2回接種でも十分な効果があることが確認されたために、世界的には2回接種が主流になっている[4]。日本で処方箋医薬品として認可されているサーバリックスは、10歳以上の女性に3回接種[16]ガーダシルは9歳以上の女性に3回接種としている[17]

サーバリックス[16]

「効能・効果に関連する接種上の注意」として

  1. HPV(ヒトパピローマウイルス)-16型及び18型以外の癌原性HPV感染に起因する子宮頸癌及びその前駆病変の予防効果は確認されていない。
  2. 接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
  3. 本剤の接種は定期的な子宮頸癌検診の代わりとなるものではない。本剤接種に加え、子宮頸癌検診の受診やHPVへの曝露、性感染症に対し注意することが重要である。
  4. 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。
と記載されている。
ガーダシル[17]
ヒトパピローマウイルス6、11、16及び18型の感染に起因する以下の疾患の予防
  • 子宮頸癌(扁平上皮細胞癌及び腺癌)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺癌(AIS))
  • 外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3
  • 尖圭コンジローマ
  1. HPV6、11、16及び18型以外のHPV感染に起因する子宮頸癌又はその前駆病変等の予防効果は確認されていない。
(2. - 4.はサーバリックスと同一)

他の多くの医薬品と同様、妊婦また妊娠中および授乳中の接種は避けるべきであると添付書に明記されている[18]

ヒトパピローマウイルスと子宮頸癌の関係[編集]

子宮頸癌の最大の特徴は、予防可能な癌であるという点である。日本では、子宮頸癌の人々の87.4%に、あらゆる型のヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)感染が確認されている[19]。以下、特に断りのない限り本記事では子宮頸部扁平上皮癌について述べる。

HPVには100種類以上の種類があり、そのうち16型と18型のHPVが、子宮頸癌の約60-70%に関係しているとされる[20]。感染頻度の低い、他に高リスクとされる型には全てではないが31、39、51、52、56、58、59などがある[20]。信頼性の高いPCR/シークエンス法による日本での調査では、16型18型は子宮頸癌のほぼ50%から検出されている[19]

HPVによる感染の大部分は一過性で自覚症状がない。新たに感染したHPVは、1年以内に70%が、2年以内に約90%が自然消失するので、HPVの感染自体が必ずしも致命的な事態ではない[21]。発癌性のある高リスクのHPVによる感染から前癌病変である異形成組織の形成まで1-5年とされ[21]、子宮頸癌の発生までは通常10年以上[21]、平均で20年以上かかるとされる。前癌病変も軽度なCIN2と呼ばれる状態では、24歳までの若年女性で、1年で38%、2年で63%が自然軽快し[22]、CIN2では確率は低いが、CIN3まで進んだ場合には12-30%が癌に進行すると推定されている[23]。結局HPV感染者の0.15%が癌に至るとされる[24]

感染率[編集]

HPVウイルスの感染率は、アメリカ合衆国での約2,500人を対象とした調査で、14-19歳で24.5%、20-24歳で44.8%が感染し、多くの女性が既にHPVウイルスに感染していることがわかっている[21]。また別の調査では、性交渉を持ったことがある女性のうち、50-80%がHPVに一度は感染する[21]アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は全米で79万人がHPVに感染し、さらに毎年1,400万人の女性が新たにHPVに感染している[25][3]

子宮頸癌による死亡者数[編集]

世界で年間52万9,000人が子宮頸癌を発症し、27万5,000人が死亡していると推計されている[26]。子宮頸癌の85%[26]、子宮頸癌による死亡の80%は、発展途上国で発生する[27]

日本では、年間約9,800人が子宮頸癌と診断され、2,700人が死亡している(2008年と2011年の統計)[21][28]。ほかのとは異なり、20歳代から高い発生頻度を示すのも、子宮頸癌の特徴である[29]。また一方で、再発や転移のリスクの高い癌とは異なり、治療による生存率が高い[30]。特に20-30歳代で増加しており、若い女性や子育て世代の女性が子宮頸がんに罹患し、妊娠能力や命を失う深刻な問題が発生している[29]

一方、年齢別死亡者数では、子宮頸癌による主な死亡層は高齢者であり、2008年時点で24歳までの死亡はほとんどなく、30代の10万人あたり1人から50代の同5人前後へと上昇していったまま推移し、80代近くになると急激に10人に達する[19]

子宮頸癌検診[編集]

日本での子宮頚癌検診の受診率は40%程度と、他先進国の70-80%と比較すると低率であり、特にも特に20歳代を含めた若年層の検診受診率が低い[31]。また、既に子宮頸癌や前癌病変に進行した人が検診を受診しても陽性と判断される確率(検診の感度)は、50-70%に過ぎないとされている[31]。より感度の高い細胞診・HPV-DNA検査併用検診は、日本では臨床研究段階であり、特定の地域でのみ実施され国内全体には普及していない[31]

定期的な検診で子宮頸癌による死亡率は最大80%減少するとされているが[32]、現実には日本の子宮頚癌患者は年々に増加しており[31]、子宮癌検診による患者削減は成功していない[31]。20-39歳の癌患者の約8割が女性とされ、特に25歳から飛躍的に癌になる可能性が増える[33]。これは子宮頸癌と乳癌の増加によるものとされている[33]

有効性[編集]

有効性の研究[編集]

厚生労働省の2013年資料では、ワクチンの予防効果はまだ明確には見出されていないとされるが[21][24]、日本での解析では、ワクチン接種によって、子宮癌の年間累積罹患率を半減できるとする推計が出ており、また世界での解析モデルによる推測でも、子宮頚癌罹患と死亡を70-80%程減らすという結果が出ている[21]

2017頃より、非接種群と比較して、子宮頸癌の発癌率に差が出てきたことが報告され始めている[34]。効果の判定を慎重にしているのは、予防効果を検出するには、大規模で長期間の試験が必要なためである。前癌病変であるCIN2については、2018年5月に感染予防を確認したとされる報告書が公開されている[23]

しかし前述のとおり、CIN2ががんへと進行する確率は低い[23]。ランダム化比較試験のシステマティック・レビューでは、最長7年の研究を含む26研究から、子宮頸癌について評価するには十分な研究規模、また期間ではない[23]。16型・18型に未感染であることを確認した15-26歳女性では、種類を問わず前がん性病変が生じるリスクは、ワクチン接種群で10,000人中106人に病変があり、偽薬では287人であった[23]

感染不明では、同リスクは、ワクチン接種群で391人、偽薬では559人である[23]。CIN2の指標は、診断の一致率の低さや、自然退行率が高いため、CIN2をワクチンの有効性を図る指標として使用することを疑問視する声もある[22]

宮城県での20-24歳の女性で、細胞診による異常が未接種で約5%、ワクチン接種群では約2.4%。秋田県での同じく未接種約2%、ワクチン接種群で0.24%。

2017年12月に大阪大学産婦人科などのOcean Study[35]が日本ワクチン学会で報告した中間解析では、16型と18型の感染を抑制したことで、あらゆる型を含めた感染率はワクチン接種群12.9%、対照群19.7%と差が見られたが(約35%減少)、細胞診の異常率には差がなかった[36]

2019年4月、英国エディンバラ大学のTim Palmerらは、1988-96年にスコットランドで生まれた女性を対象に、20歳時点の子宮頸部病変スクリーニング検査の結果を調べ、12-13歳時点でHPVワクチン定期接種を受けた1995-96年生まれの女性では、ワクチンの接種機会がなかった1988年生まれの女性に比べ、グレード3以上の子宮頸部上皮異形成が89%減少していたと『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』で報告した[37][38]

2019年6月、「HPVワクチンの影響の共同研究(HPV Vaccination Impact Study Group)」が2014年から4年間の14カ国の研究を総評するレビューを『ランセット』誌に掲載し、このなかで子宮頸がんワクチンの効果が明らかになったとした[39]

同レビューでは、ワクチン接種が始まる前と8年後を比べた際に、以下のような結果が出た[40]

  • 16型と18型のHPV感染件数は、15-19歳の女性で83%、20-24歳の女性で66%減少
  • 尖圭コンジローマの発症件数は、15-19歳の女性で67%、20-24歳の女性で54%減少
  • CIN2+(前癌病変である子宮頸部上皮内腫瘍)の発症件数は、15-19歳の女性で51%、20~24歳の女性で31%減少
  • ワクチンを受けていない15~19歳の男子の尖圭コンジローマ発症件数は50%近く減り、同じく30歳以上の女性の発症件数も大きく下がった。
  • より幅広い年齢層がHPVワクチンを接種し、接種率が高い国ほど、減少率は高かった。

共同著者のカナダ・ラヴァル大学Marc Brisson教授は「向こう10年で、20~30代の女性の子宮頸癌罹患率が下がっていくだろう」と指摘し、子宮頸癌撲滅の可能性にも触れた[40]。英国・ジョーズ子宮頸癌基金(Jo's Cervical Cancer Trust)会長は「この研究は、ワクチンの効果を信じない人に対する反証をさらに強めるもので、とても勇気付けられる」と評した[40]。BBCは「'Real-world' evidence(「現実世界」での証拠)と題して報じた[40]

有効期間[編集]

2017年時点で、サーバリックスで最長9.4年、ガーダシルで最長12年のHPVの感染予防効果の持続が確認されている[36]。計算によるシミュレーションでは、20-30年以上有効性を保つと予測される[21]。1回のみ接種したケースでは、抗体価の上昇が3回接種した群と比較して低かったが、少なくとも4年間は安定した抗体価を保つとされる[41]

対象とする型のHPVの感染防止[編集]

咽頭癌(HPV陽性口腔咽頭癌英語版)の70%[42]、2009年の分析で子宮頸癌の70%、肛門癌の80%、膣癌の60%、外陰癌の40%の原因となっていた16型・18型の[43]、感染を予防するとされる。ガーダシルについては、尖圭コンジローマの90%の原因である2種類の低リスク型HPV(HPV6およびHPV11)も予防する[1]
海外の疫学調査ではHPVワクチンの導入によって、ワクチンの対象とする型のHPV感染者が減少している[21]。アメリカ疾病予防管理センター (CDC) は2013年に、14歳-19歳の女性のあらゆるHPV感染が56%減少したことを報告した[25]。他の年齢層、アメリカの20-24歳の女性では、ワクチン対象型の感染率は低下したが、そのことで全体的な感染率に影響はなかったという2016年の分析[44]
他の部位、口腔のHPV感染では、他の型では差はないが、16型・18型の感染が93%減少した[45]
子宮頸部の異形成病変抑制 HPVワクチンによって、子宮頚癌の発生前段階となる高度異形成病変についての抑制効果は、国際的な前向き研究(コホートスタディ)で既に確認されている[21]。子宮頚癌は異形成病変から発生するので、HPVワクチンの有効性が期待できる根拠になっている[21]
子宮頸癌の抑制 フィンランドでのワクチン接種者と非接種者を、2007年6-2015年12月の7年間経過を追う診療研究で、HPVに関連した子宮頚癌の発生を比較したところ、非接種群では8人(発症率 6.4/100,000 人年)の発生を認めたが接種群は0人であった[34]。他に外陰癌 1 人(0.8/100,000人年)、口腔咽頭癌 1 人(0.8/100,000 人年)の計 10 人(8.0/100,000 人年)にHPVに関連した癌が認められたのに対して、接種群はいずれも癌も0人だった。なおHPVに関係しない癌の発生頻度には差が無かった[34]
その他の癌抑制 HPV感染の予防により、HPVが原因となる様々な癌が抑制され、少なくとも腟癌・外陰部癌・肛門癌については、無作為比較試験によって75-100%の高い抑制効果が証明されている[21]。FDAは2008年に、膣癌および外陰部癌の予防について、ガーダシルを追加承認した[46]
生殖器疾患の抑制 4価ワクチンは HPV 6・11・16・18型の4抗原が原因となる生殖器疾患(子宮頸部、腟又は外陰の上皮内腫瘍又はこれらに関連した癌、上皮内腺癌及び尖圭コンジローマ)の予防に関する日本の試験成績は、419例中100%の予防効果が確認されている(プラセボは422例中5件発症)[47]
HPVに既に感染した既往がある人でも、その後の新たなHPVウイルスの感染を防ぐメリットや、別の部位の感染を予防する効果がある[14]
子宮頸部、口腔、肛門の3か所だけで比較しても、HPVに既に暴露された女性の91%にHPVワクチン接種によって、3つの場所のうち1か所で感染の予防効果が認められ[14]、58%の女性が3か所ともに感染の予防効果が確認されている[14]。また、既にHPVに感染した既往がある女性の抗体価と比較すると、HPVワクチン接種者の抗体価は5-24倍であった[41]
人種差・地域差の影響はない
世界5大陸から26,000名が参加した臨床試験と、部分集団解析によって[48]によって、人種や地域が異なっていても、HPVワクチンの有効性、免疫原性、安全性は影響を受けない[49]

副反応[編集]

副作用と副反応・有害事象の定義[編集]

日本における副作用とは薬剤が原因となる目的以外の作用のことで、副反応予防接種が原因の目的以外の生体反応のことである。

有害事象という用語は、原因がなんであれ投薬や予防接種の後に起こる、体にとって有害な出来事のことである。このため有害事象には「紛れ込み」が含まれる。例えば予防接種の後に、風邪が原因で熱がでても、交通事故に遭っても、その発熱や受傷は『予防接種の有害事象』となる。有害事象は、因果関係の有無に問わず、医療機関は厚生労働省へ予防接種後副反応報告書を報告しなければならない[注 1]

添付文書に記載される副作用や副反応(一般的に言われる「副作用」や「副反応」は、こちらである)は、医薬品規制調和国際会議(ICH E2A)ガイドラインにより「有害事象のうち、当該医薬品・ワクチンとの因果関係が否定できないもの」となっている。

このように集計して、発症率に差があった場合にワクチンが影響していることが判明する[51]。副作用の被害が認められた際は、予防接種健康被害救済制度の対象となる[52]

急性期の副反応[編集]

HPVワクチン接種時の、頻度の高い副反応(報告数の20%以上)としては急性期のショックアナフィラキシーが知られる。多くは、局所の疼痛、発赤、腫脹、全身性の疲労、筋痛、頭痛、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛等)、関節痛がある。頻度の低い副反応(20%以下)としては発疹、発熱、蕁麻疹が見られている(いずれもサーバリックスの日本報告による[要文献特定詳細情報])。

重度の疼痛は接種者の6%が経験する[53]。疼痛は2価ワクチンで強い[53]。海外で行われている予防接種は筋肉注射が一般的であるのに対し[54]、日本で行われている予防接種の多くは注射時疼痛が強い皮下注射である[55]。皮下注射は疼痛面で不利であるが、薬剤が緩徐に吸収されるメリットがある[55][54]。HPVワクチンは、水痘ワクチン肺炎球菌ワクチン[56]などと共に、筋肉内注射で投与される[55]。筋肉注射は、刺激の強い薬物でも注入でき、皮下注射より薬物の吸収が速いという特徴がある[55]

HPVワクチンのpHと、食塩に対する浸透圧比はそれぞれ、2価サーバリックスはpH 6.0-7.0、約1.0、4価ガーダシルはpH 5.7-6.7、約2.0である[57]

その他に、どのワクチンも接種後に、注射による一時的な心因性反応を含む血管迷走神経反射性失神が現れることがある。失神による転倒を避けるため、予防接種後30分程度は座らせた上で、被接種者の状態を観察することが望ましい[58]

アメリカ合衆国では、どのワクチンでも予防接種後15分間は、座位を保つことが推奨されている[59]

サーバリックスの初期の製品にある、シリンジキャップ及びプランジャーには、天然ゴムラテックス)が含有されていたため、ラテックス過敏症のある被接種者において、ラテックスアレルギーが出現する可能性があった[60]。同様の容器を使ったワクチンに共通した問題であったが[61]、2011年までに天然ゴムが含まない素材に変更された[62]

慢性期の副反応[編集]

慢性期のものとしては急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が挙げられるが[63]、HPVワクチンに特有の副反応ではなく、どのワクチンにも普遍的に存在する、よく知られた副反応である。

議論されている副反応[編集]

厚生労働省によると、HPVワクチン接種後、医療機関から報告された発熱やアナフィラキシーショックなどの副反応疑いが、2010年11月-2013年3月に計1,196件あり、うち106件は障害が残る重篤なケースだった[64]。重篤な障害が発生したケースでは、接種当日から局所反応・強い疼痛等のため入院となり、接種64日たって夜間就寝時に手足をばたつかせる痙攣のような動きが出現(脳波、SPECT等で睡眠時の行動ではなく覚醒時に生じていると診断)し、接種81日後には計算障害を起こしたとする例が報告された[65]

日本で接種による副反応疑いの報告頻度は、100万接種あたりサーバリックスで170人超、ガーダシルで同150人と、他のワクチンでも報告の多い麻疹ワクチンの同50人を上回る[24]。けいれん、意識障害めまい、内分泌異常、疲労、麻痺、筋力低下、などなど多彩な症状が複合的に長期にわたる症状が見られ、国外の報告と共通している[24]。日本では、1年以上歩行困難となった事例[66]、また日本の別の少女らでは、身体の痛み、脱力感、寝たきりになる例、一時的な記憶障害を繰り返すようになったといった報道がされた[67]

医薬品承認以前の5700人超のランダム化比較試験において、2価ワクチンを接種した群は、アルミニウムの偽薬を摂取した群より死亡が多く、また各7000人の比較では4価ワクチンより、9価ワクチンの方が重篤な全身症状を示した数が多かったが、ワクチン関連であるとされておらず、市販後の重篤な症例にもこれらの重篤な有害事象と同様のものがみられるとの報告がある[68]

2017年の取りまとめでは、日本国内の接種回数の0.03%にそのような症状があったが、約90%が回復または軽快して治療が不要となり、症状が回復しなかったのは通算で186人(のべ接種回数の0.002%)であった[69]。つまり、10万回接種された中て、2人だけ回復しない症状の発現がみられる頻度であった[69]

妊娠への影響[編集]

妊婦への投与は推奨されていないが、過去に誤って妊婦に投与されたケースの集計により、2価-4価-9価の全てのワクチンにおいて、胎児奇形、胎児死亡、自然流産の発生頻度が、ワクチンを妊娠中の接種していない群と比較して上昇しないことが分かっている[70]。妊娠30日以内の妊娠早期であっても、先天異常の増加は認められなかった[70]。不妊となるリスクについても否定されている[71]。サーバリックスを販売するグラクソ・スミスクラインは、ワクチンに不妊を誘発させる成分は含有されず、不妊の報告例もないと記載している[72]

死亡リスクはない[編集]

死亡リスクは、ワクチン接種群と非接種群で有意差は無い[23]。死亡例は報告されているが、因果関係が認められたケースはない。

  • アメリカ食品医薬品局(FDA)とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の2009年の発表によれば、メルク社のガーダシルを接種した2300万例のうち、接種後に32例の死亡報告があるが、死因は糖尿病性ケトアシドーシス2例、薬物乱用1例、若年型筋萎縮性側索硬化症(ALS)1例、髄膜脳炎1例、肺塞栓3例、循環器関連疾患6例、インフルエンザ菌による敗血症1例、痙攣発作2例など多彩で、ワクチンが原因であるとされるものはなかった[73]
  • 2007年にはオーストリアで19歳の女性が、ドイツで18歳の女性が、米・メルク社の「ガーダシル」接種後に死亡したが薬剤との因果関係は判明していないと伝えている[74]
  • 2009年9月にイギリスでグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」接種後に14歳の少女が死亡し[75]、一時同国でワクチンの使用が中断されたが、その後の調査で死因は患っていた胸部の悪性腫瘍によるものと報告され、使用が再開された[76]
  • 日本国内で、2011年に14歳の女子中学生がサーバリックス接種の2日後に死亡した事例が厚生労働省の専門調査会で報告されたが、心臓の持病(心室頻拍の発作)からの致死性不整脈で亡くなったとみられ「接種と直接の因果関係はない」と判断された[77][78][79]

日米間の有害事象の比較[編集]

2014年5月16日に開催された第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会では、以下が報告された [80]

  • 日本はサーバリクス、アメリカはガーダシルの使用が優勢で、報告制度も同一ではない。
  • 米国の方が報告頻度が高い一方、重篤とされた副反応疑いについての報告頻度は日本の方が高い(医療機関からの報告のうち重篤なものと、製造販売業者からの合計。両者の重複がある)。
  • 重篤な副反応疑いの内訳としては、局所反応、過敏症反応、失神等の占める割合が高い。本来「重篤な副反応」とは、死亡、障害、それらに繋がる恐れのあるもの、入院相当以上のものが報告対象とされるが、重篤でないのに「重篤」として報告されるケースがある。規則上それらはそのまま集計されている[81]
HPVワクチン10万接種あたりの有害事象 日米比較[82][83][71]
ワクチン接種数合計 約830万 約2300万
副反応 日本(2価、4価) 米国(4価)
全ての報告 23.2 53.9
重篤な報告 10.4[84] 3.3
副反応の例 ( )内は報告に占めるパーセント
局所反応(疼痛、硬結等) 1.1 (12%) 0.2 (5%)
蕁麻疹 0.3(3%) 0.1 (3%)
失神めまい、嘔気 3.2 (62%) 1.3 (40%)
過敏症反応(蕁麻疹、アナフィラキシー様反応) 0.4 (12%) 0.2 (6%)
アナフィラキシー 0.2 (2%) 0.03 (1%)
ギラン・バレー症候群 0.07 (0.7%) 0.1 (4%)
横断性脊髄炎 0 0.04(1%)
静脈血栓症 0 0.2 (5%)
死亡 0.01 (0.1%) 0.1 (4%)

治療[編集]

ワクチン接種後に、何らかの症状が現れた方のための診療相談窓口が全国85施設(全ての都道府県)に設置され、症状によって適切な指導がなされる体制が整えられた。

起立性低血圧にはドロキシドパアメジニウムが使用される。疼痛や痺れにはプレガバリンミロガバリンベシルが投与される。過眠症状には、ナルコレプシー治療薬のモダフィニルが使われる。理学療法士、整形外科医、麻酔科医、精神科医、心療内科医、臨床心理士、社会福祉士、歯科医などの多職種治療チームによって、身体的および心理的な診療体制を整備し、理学療法認知行動療法対症療法を実施したところ、64%の症例で疼痛などの症状が改善したとする研究結果が報告されている[85]

なお、一部の病院では、独自の特殊な治療が行われている。信州大学医学部附属病院では、学習障害、記銘力障害、過睡眠、意識障害などの症状は『高次機能障害である』として、認知症治療薬であるドネペジルメマンチン、向精神病薬であるメチルフェニデート、その他としてビタミンB12の少量投与を行っている[86]鹿児島大学病院では「免疫調節療法」として、ステロイドパルス療法免疫グロブリン大量静注、免疫吸着療法、免疫抑制剤(アザチオプリン)投与などを積極的に行っており、効果が得られた症例もあるとされている[86][87]

上記の治療方法は『自由診療の実験的治療』であり、日本医師会や産婦人科学会や神経学会のガイドラインや手引書、医学的エビデンスに沿った確立された標準治療ではない[88][89]。ステロイドパルス療法、免疫グロブリン大量静注については、無効であったと報告されている[85]

重篤な副反応の原因[編集]

HPVワクチンの重度な副反応には、複合性局所疼痛症候群(CRPS)[注 2]、体位性頻脈症候群(POTS)[注 3]、HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)[注 4]慢性疲労症候群(CFS)[注 5]などを含む。これらの副反応の原因について、主に2つの提唱がある。1つ目は、これらの症状の本体は、心因反応・接種の痛みと痛みに対する恐怖心が惹起する心身の反応・機能性身体症状であるというものである(以下 機能性身体症状説と表現する)。もう1つは、ワクチンにアジュバンドとして添加されているアルミニウム化合物による免疫反応であるというものである[90]

機能性身体症状説[編集]

機能性身体症状説は、厚生労働省や多くの団体が支持する仮説であり、その根拠として日本および世界中で数多く実施された大規模臨床試験で、接種群と非接種群で、重篤な副反応の発生頻度に差がないことが挙げられている。国立養育医療研究センター理事長の五十嵐隆[91]は、これによってマスコミ等が問題にする「接種後の多彩な症状」はワクチン接種とは無関係に発生しうることが示されているとしている[69]

2016年12月の厚労省の副反応検討部会の全国疫学調査の中間報告では、実際にこのような患者を診療している医師や、中毒学、免疫学、認知行動科学、産婦人科学の専門家らが集まって審議を行い、これらの多彩な症状は神経学的疾患や中毒や免疫学的疾患では説明がつかないとして、これらの多彩な症状は機能性身体症状と考えられるとしている[92]。また、HPVワクチンを接種していない人でも、HPVワクチンの接種後に出現したという多彩な症状が見られることも合わせて確認されているとするとともに、接種後1か月以上経過して出現した症状は接種との因果関係を疑う根拠に乏しいと指摘した[69]

医師で医療ジャーナリストの村中璃子は、HPVワクチンが登場する以前から精神医学には身体表現性障害という概念があり[93]、これがHPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)の症状と重複が多く、HPVワクチン接種が開始される以前よりそのような患者が存在していたと指摘している[94]

なお、身体表現性障害は、厚生労働省の機能性身体症状の定義とは異なる[95]。注記すると、身体表現性障害はDSMにおける分類名であり、診断名ではない[96]。ある患者の医師へのインタビューでは、過剰適応や心因性の偽発作(心因性発作英語版)とされる[97]。偽発作は、脳波にてんかんに特徴的な波形が観察されないことで鑑別される[98]。村中璃子は、同様のインタビューによって、症状だけを精神科や小児科医師らに説明した場合、CRPSや、POTS、CFSに似た症状を呈する子供たちをたくさん診察・治療してきたという回答が得られたとして、思春期の少女にはそのような症状が観察されることは珍しくなかったと考えるが、しかしこれらの症状がHPVワクチンの副反応だという報道が大きくなされてからは、そうした意見は「弱者への暴力」とされる雰囲気が蔓延したと述べている[97]

なお、心因反応はHPVワクチンに特有の副反応ではなく、2009年のインフルエンザの大流行の時には、中華民国でインフルエンザワクチン接種後の心因反応が23例報告された[99]。イランでは破傷風ワクチンのあとに26人の女子クラスのうち10人が心因反応を起こして、パニックを起こしたとされる[100][99]

しかし、ワクチン接種後の多彩な症状を全て「心身の反応」で説明するのは難しいと指摘する医師もいる[24]。HANSの提唱者である西岡久寿樹は、オーストラリアの副作用報告から、例えば男子の失神は約15%、女子では約12%と男女のそれぞれの症状の頻度には大差がなく思春期の女性特有の心因反応だとは考えられない[101]。また、信州大学医学部の医師である池田修一によれば、これらの症状を訴える患者の中には複合性局所疼痛症候群の診断基準を満たしているものがある[102]。鹿児島大学神経内科の高嶋博は、心因性と診断したほうが治療しやすいわけでもないという[103]

また日本医師会日本医学会は、「心因」という言葉について、2015年の手引きで以下のように述べている。

患者の精神的な異常状態から発症する心因性の痛みも鑑別する必要があるが、「心因」という言葉が、器質的な病態の存在を全否定し、詐病的あるいは恣意的であると誤解されやすい事から、患者・家族も認める明らかな精神的問題を認める特殊な場合を除き、「心因」という表現は用いない。 — 『HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き日本医師会日本医学会、2015年8月、8頁

アジュバント原因説[編集]

ワクチンの効果を強める目的で添加される、アジュバント(抗原性補強剤)を問題視する仮説が提唱されている。サーバリックスには水酸化アルミニウム、ガーダシルにはアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩が、アジュバントとして添加されている。

2014年2月に行われた子宮頸癌ワクチン国際シンポジウムにおいて、パリ大学のフランソワ・オーシエ教授(神経筋肉病理学)や、元エール大学元准教授・シン・ハン・リー(病理学)らは、抗原性補強剤として添加されているアルミニウム化合物が、神経障害などの副作用を引き起こしていると発表し[104]、ワクチン接種後に急死した少女3人の脳を調べたカナダのブリティッシュコロンビア大学のルチジャ・トムルジェノビック研究助手は、「すべての国で接種を即刻中止すべきだ」と警鐘を鳴らした[104]

2016年のイスラエル、テルアビブ大学 Rotem Inbarらは、HPVワクチン(ガーダシル)の人体相当量を生後6週目の雌マウスに注射し、対照群と比較する実験を行った[105]。その結果、大脳の免疫組織化学分析で、海馬CA1領域ミクログリア活性化が明らかとなった。またうつ病に類似した行動変化も観察され、アジュバントとして添加されるアルミニウム化合物によって神経炎症および自己免疫反応が誘発されるものと示唆した[105]。アジュバント一般については安全だと言われているが、HPVワクチンの臨床試験の偽薬群にはアルミニウムのアジュバントを使用しているため、アジュバントの有害な影響が隠されてしまうとも指摘されており、新しいタイプのアジュバントAS-04を含めたシステマティック・レビューは2017年時点で存在せず、利益と害についての適切な評価はできないため、システマティック・レビューが予定され、事前にその評価方法が公開された[106]。Autoimmune Syndrome Induced by Adjuvants(ASIA、アジュバント誘発性自己免疫/炎症性症候群)が提唱されており、HANSはそのひとつであるという意見もある[107]

2014年、日本線維筋痛症学会・理事長で東京医科大学医学総合研究所の西岡久寿樹らは、HPVワクチン接種後の様々な症候群に、HANS英語: HPV Vaccine Associated Neuropathic Syndrome, ハンズ、HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)という概念を提唱し、その原因はやはりアジュバントと使用されるアルミニウム化合物であるとし、アルミニウム化合物によって脳内のミクログリアが活性化することがHANSの原因であるという仮説を提唱している[108][109]

HPVワクチン接種後の症状が、マクロファージ性筋膜炎英語版 (MMF) と呼ばれる疾患概念に似ているという意見もある[110]。MMFはフランスでの報告が多い疾患概念で[110][注 6]、同じ水酸化アルミニウムをアジュバントとして含有する、A型肝炎ワクチンB型肝炎ワクチンによって起こる可能性があることが指摘されており[111][112]、全身筋肉痛や倦怠感、発熱など。記憶障害や集中力の低下などの症候群を呈するとされる[110]

このような概念で提唱されている症候群としては、MMFの他にも、湾岸戦争症候群 (GWS)、「ワクチン接種後の各種自己免疫疾患」などがあり、これらは同一疾患である可能性も指摘されている[113]

アジュバント原因説への反論[編集]

厚生労働省の専門家会合は、これらアジュバント原因説に対して「科学的根拠乏しい」として、否定する見解を示している[114]。出席した複数の部会委員らが、根拠となる症例データに対照群が設定されていないなど調査手法に問題があることや、既にアルミニウムを含むワクチンが、世界で80年以上使用され続けており、事実にそぐわないなどの意見が出された[114]

アルミニウム化合物は、アジュバントとして1926年に認可され、今日まで使用されてきた[115]。アジュバントはHPVワクチンの固有成分ではなく、多くのワクチンに使用されている[注 7]

2014年、WHOはHPVワクチンのアルミニウムアジュバントまたはワクチン成分、MMFの関与などの危険性や影響についての研究報告や論文を検討した結果、それら主張には科学的エビデンスが存在しないと判定し、これらの主張はワクチンを接種する機会を脅かし、有害であると非難した[118]

HANS(HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)仮説[編集]

難病治療研究振興財団理事長・西岡久寿樹、横浜市立大学名誉教授の黒岩義之、横浜市立大学名誉教授の横田俊平、東京医科大学教授中島利博らは、ハンズ(HANS、HPVワクチン関連神経免疫異常症候群)という概念を提唱した[119][120]。このグループは、アルミニウム化合物に疑念を持っているとされるが[109][108]、一方でHANSはHPVワクチンの特有の全く新しい疾患だとしている[121]。2016年7月の産婦人科感染症学会で開催されたHPVワクチンの安全性を議論するシンポジウムでは、HPVワクチンの成分かアジュバントか、ワクチンのどこに問題があるのかという質問に同グループの東京医大小児科の横田俊平は「(HPVワクチン)全体に不備がある」と答えるに留まった[122]

HANS提唱グループは、2016年11月11日にイギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」紙にマウスを用いたHPVワクチンの安全性を問う実験結果の論文[120]でHPVワクチン薬害を主張したが、この論文は各国の研究者から「研究の欠陥や不一致にも関わらず、注射されたマウスで観察された症状は『HANS』とされる患者と重なっていると結論付けてしまっている」と批判を受けた[123][119]。2018年5月11日に同誌は「大量のHPVワクチンと百日咳毒素の同時投与は、HPVワクチンが単独で神経学的な損傷を与えることを判定するためには適切な手法ではない」として論文の撤回を発表した[119][123][124]。論文を批判する医師らは、「この論文が予防接種プログラムに与えたダメージによって、日本や世界の現世代の女子たちが被った将来の健康リスクは重大で致命的だ」として批判した[123]

なお、B型肝炎ワクチンについて、MMFとされる症状との間の因果関係についても既に否定されている[125]。WHOも1999年、2002年、2004年にアジュバントの安全声明を出している[112]

その他の仮説[編集]

鹿児島県の研究者は自己免疫性脳症との関連を挙げており[126]、静岡や岐阜の研究者も32の症例で髄液中のサイトカインと自己抗体が増加している傾向があることを報告している[127]。自己免疫性脳症の原因は急性散在性脳脊髄炎が最も多く[128]、急性散在性脳脊髄炎は、HPVワクチンの有害事象の1つとして、既に挙げられているものである。

ただし、HPVワクチンに特有の有害事象ではなく、予防接種後ADEMとして、インフルエンザワクチンや麻疹ワクチンなど、どのワクチンでも確認されている。

世界保健機関(WHO)の見解[編集]

2015年12月の世界保健機関(WHO)専門委員会GACVSの声明では、複合性局所疼痛症候群(CRPS)や体位性頻脈症候群(POTS)については、医薬品の承認前と後のデータの検討からは関連するとの証拠はなく、慢性疲労症候群(CFS)については、イギリスでの観察研究によって関連が見られていないとされた[129]。重篤な患者はこれらの症候群に精通した医師への紹介が推奨される[129]
また、フランス医薬品庁が実施した200万人の若い女性を対象とした、自己免疫疾患についての後ろ向きコホート研究では、接種後3カ月以内のギランバレー症候群の発症が10万人に1人程度の頻度で増加することが見出されたが、他の小規模な研究では報告されていないとした[129]
2017年5月にWHO(GACVSではない)が声明を公表し、ギランバレーなど自己免疫疾患を含めて承認後の集団ベースの研究、および承認後レビューにおいても関連は見られず、CRPSやPOTSについて承認前後のデータからワクチンの影響は見いだせなかった[130]
7月にGACVSの報告では、イギリスでの1040万回分、アメリカで6000万回分の母集団による研究からギランバレーのリスク上昇はなく、アメリカとデンマーク、日本から新たにCRPS、POTSなどが報告されたが以前から因果関係の証拠がないとしており、またシステマティックレビューを依頼し、73,697人からなるその結果草案から重篤な有害事象に接種群と非接種群とに差を見出さなかったとした[131]
そのシステマティックレビューには、26研究のランダム化比較試験が含まれ、重篤な有害事象についての定義はないため個々の研究でその数に変動があるが、個々にはワクチン群と偽薬群と差はみられず、また、すべての研究のコメント欄に他のバイアスのリスクについて、ほぼ製薬会社資金の研究でリスク高と記され(リスク低1件でそれ以外の資金、不明確1件)、それ以外の多くの要素ではリスク低が多い[132]

欧州医薬品局 (EMA)の見解[編集]

2015年12月の『ネイチャー』に、「The world must accept that the HPV vaccine is safe」と題したコラムが掲載され、デンマークから疼痛、湿疹、めまいなどの報告があったが、EMAが安全性を確認したとし、HPVワクチンの安全性を世界的に認めるべきであるとした[133]。2015年の8-11月にEMAが実施した大規模な安全性プロファイルの再調査では、マスコミなどで問題であるとして報道されていたCRPSおよびPOTSの発生頻度は、HPVワクチン接種群と一般集団との間で差がなく、共に10万人あたり15人ほどの頻度で観察されることが報告され[69]、CRPSとPOTSの発症とHPVワクチンとの因果関係を否定した[134]。翌年5月、北欧コクランピーター・ゲッチェらは、EMAの調査について、データのチェリーピッキング(選り好み)があるなどといった苦情の申し立てを行った[135]。7月、EMAはバイアスのリスクは最小限になっているとする回答を公表した[136]

コクラン共同計画[編集]

コクラン共同計画では2018年1月に、北欧コクランのピーター・ゲッチェらは、すべての研究が公開されないことで多くの場合研究結果は誇張されているとし、偏りのできないよう全研究のシステマティック・レビューを実施するためにバイアスへの対処を指摘した[注 8]。その時点ではGSKのみが提出し、ClinicalTrials.gov英語版に登録された試験の半分しか試験成績が公開されていなかったが、研究の索引は既に主な監督庁が保有するよりも大きなものとなり、例えばEMAによるCRPSとPOTSの評価にはその索引の48%の試験のみが含まれており、引き続き臨床試験の登録と公開を推奨している。製薬会社資金のランダム化比較試験が96研究、それ以外の資金での研究が40研究存在し、一部はまだ結果の出ていない進行中の研究である[138]

2018年5月にはベルギーのコクランによるシステマティックレビューが報告され、HPVワクチンと偽薬のアジュバントあるいは、ほかのワクチンとを比較した26研究からなるランダム化比較試験の計73,428人では、重大な副作用のリスクは共に約7%であり、HPVワクチン接種群と対照群との間に重大な副作用リスクの発生頻度に差が無いと報告した[23]。1つの研究を除き製薬会社資金の研究であった。HPVワクチンによる流産または妊娠中断のリスク上昇も認められなかった。死産リスクおよび新生児の先天性障害リスクについては、集めたデータが不十分であり確実なエビデンスを示すに至らなかった。

厚生労働省の見解[編集]

2014年1月20日、厚生労働省の厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全調査会が合同会議を開き、接種後に発生した広範な疼痛または運動障害は、ワクチンの成分ではなく「注射針による痛みや不安から起こされた心身の反応(機能性身体症状[139])と結論付けた[24][107]。議事録に忠実に記せば「針を刺した痛みや薬液による局所の腫れなどをきっかけとして、心身の反応が惹起され、慢性の症状が続く病態〔ママ〕」である[140]。症状としては「失神、頭痛、腹痛、発汗、睡眠障害、月経不整、学習意欲の低下、計算障害、記憶障害等」が挙げられた[139]。心身の反応、または機能性身体症状では、原因に心理的要因が、身体に病理学的所見がなく、身体症状の増悪また慢性化に心理・社会的な要因が関与する[95]。以前のDSM-IV第4版の身体表現性障害の定義による、精神が中心となっているとするには違和感があり、機能性身体症状ではむしろ身体と精神とが一体となって症状が生じるということである[141]

日本産科婦人科学会の見解[編集]

日本産科婦人科学会は、2015年に、日本においてみられるような慢性疼痛等の様々な症状はワクチン接種とは関係なく発症することもあるとした[29]。2016年4月、日本小児科学会など国内17の学術団体は、接種再開を求めるその声明において、障害を残す副反応は0.002%に過ぎず、ヨーロッパでの調査でもワクチン接種群と非接種群で副反応とされる症状の発生頻度に差が見られないとした[142]

名古屋スタディ[編集]

2015年12月、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会愛知支部」からの要望で、愛知県名古屋市は市内在住の7万人の若い女性を対象に、ワクチンの副反応が考えられる症状についてのアンケート調査を行った(名古屋スタディ[143]。これは日本初のワクチンの安全性を確かめる大規模調査となった[144]

名古屋市立大学医学部公衆衛生学分野の鈴木貞夫教授が調査を行った[143]。接種・症状の有無にかかわらず全員を調査する分析疫学手法で調査は実施され、患者会から提示された24症状(月経不順、関節痛光過敏、簡単な計算ができない、簡単な漢字が書けない、不随意運動など)を使ってアンケートを作成し、7学年の女生徒全員に調査票を郵送し、ハガキで回答する形式で行われ、約3万人の回答が得られた[143]

解析によれば、年齢補正前の統計でワクチン接種群には月経量の異常、記憶障害、不随意運動、手足の脱力の4つの症状が多くみられ、ワクチン非接種群には体や関節の疼痛、集中できない、視力低下、めまい、皮膚の荒れなどが、多く見られた[145][146]。また24の症状に関与する要素についても検討された。ワクチンの種類や病院受診の有無、など様々なクロス集計も実施された[146]

その結果、症状間に強い関連性があったのは、ワクチン接種の有無ではなく、年齢のみであった[146]。年齢補正後、接種群が非接種群より有意に多い症状は1種類もなかった[145][146]。むしろ、年齢補正後の接種群は有意に少ない症状が目立った[146]。名古屋スタディでは、ワクチンと症状の因果関係を示すオッズ比相対危険度)を示すことが目的とされた[143]。オッズ比が大きければ薬害だと判断され、サリドマイドのオッズ比は100を超え、薬害エイズ結核結核菌の関係では、理論上無限大になる(結核菌以外が原因で結核にはならない)[143]。しかし、名古屋市の調査ではオッズ比は2を下回り、低く、薬害と判断するのは無理があった[143]

2015年12月、これらを元に名古屋市は「接種者と非接種者で統計的に明確な差は確認できない」との速報を発表した[144]。12月17日に薬害オンブズパースン会議は、名古屋スタディに対して「実態調査であることの限界から、分析疫学の解析手法を適用して、接種群と非接種群の統計学的有意性の検定を行い、因果関係を推論するには適さない」という意見書を提出した[147]

2016年6月、名古屋市の最終報告書では、生データの公開と数値の集計にとどめ、因果関係に言及することを避けた[148]。また最終報告では、鈴木が24症状全てで、接種者に発症の多い症状は見られなかったことを、オッズ比を含めて報告したにも関わらず、非接種者を1とした場合に、接種者はどれぐらい症状が起こっているのかを比較するオッズ比を削除した[144]

削除の理由として名古屋市健康医療課は、被害者連絡会や薬害オンブズパースン会議からの圧力を踏まえたことを認め、「集団訴訟の被告となっている製薬会社が、名古屋市の調査速報をワクチンとの因果関係を否定する証拠として、訴訟に利用していることも知り、公正中立の立場から、市としては最終解析までは公表しないことを決めた」と説明した[144]

鈴木貞夫論文への批判と反論[編集]

2018年に名古屋市の報告は、名古屋市立大学の鈴木貞夫教授らによって、英文論文として出版され、HPVワクチンと症状との間に因果関係がないことを示唆するような結果が得られた、と結論した[149][150]

研究では、症状の最多は「生理不順」(回答者26.3%)で、次に「足が冷たい」(12.3%)が続き、「頭痛」「だるい」「疲労」「めまい」「皮膚荒れ」が回答者の1割以上で、24症状のいずれもワクチン接種者と非接種者との間で統計的に意味のある差はなかった[144]。しかし、病院への受診に条件を変えて解析すると、うった方がリスクが高く見える傾向があった[144]

これは「副反応かもしれない」という心配やインパクトが強かったため、症状を頭の中で関連づけて、症状が接種後に起きたように思い込んだと鈴木教授は分析し、以下のように説明した[144]

様々な条件で解析しましたが、受診したかどうかだけが違うパターンを示していました。これは、ワクチンの成分が症状に関連したと考えるよりも、接種した人が『自分の症状はワクチンのせいではないか』と不安になったことが受診に繋がったと考える方が自然です。全体で見ても、ワクチンにネガティブな意見が年を追うごとに増えたため、その心理的影響を受けたと思われるデータも見られました。 — 名古屋市立大学大学院医学研究科公衆衛生学分野教授・鈴木貞夫、2018年3月[144]

この鈴木論文について薬害オンブズパースン会議が、年齢調整が不適切であったなど批判した[151]

薬害オンブズパースン会議の批判について、鈴木は査読論文に反論があるときには、レターを当該雑誌に投稿するのが、医科学分野では一般的であり、レターは出版社が査読する[152][143]。査読を経ていない反論に対し,科学者は答える必要はないとしたうえで、「因果関係を推論するには適さない」というなら、結果公表前にするのが科学的態度で、指摘は可能であったのに、速報の公表時点までに指摘はなかったと反論した[152]

さらに、「選択バイアス」について会議は根拠を示すことなくオッズ比が低くなる方への可能性を述べているが、数学的な意味でのバイアスの方向性は決まっておらず、鈴木論文でも特定方向への可能性については述べていないし、記入者のばらつきは、結果と交絡しておらず調整も行っていないとした[152]。また利益相反との指摘について、名古屋市から研究費約20万円は受け取ったが、論文校正等の費用として全て使い、いかなる意味でも「報酬」は一切受け取っておらず、利益相反はないと反論した[152][153]

また、2018年に特定非営利活動法人医薬ビジランスセンターの浜六郎は、13症状に現れた統計的なバイアスの影響が無視されているが、認知機能や運動機能の異常が高率であると指摘した[154][155]。しかし、2019年6月時点で鈴木教授への反論レターは出版社に提出されていない[143]

鈴木教授は「現在の状況は、正義感や価値観が動きすぎていて、根底にある科学性が無視されている」とし、「HPVワクチンを接種した世代だけ子宮頸がんによる死亡率が下がり、その後の世代はそれ以前と同じように、毎年3000人死亡する状況に戻るだろう」と、2019年に警鐘を鳴らした[143]

薬害オンブズパースン[編集]

医師・薬剤師・弁護士・高校教師などで構成された薬害オンブズパースン会議は2014年2月24日、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会がワクチの接種後に起きている全身の痛みや運動障害などの症例について、いずれも ”心身の反応” であるという方向で結論をまとめようとしていることについて、恣意的で非科学的であると批判した[156]

  1. HPVワクチンの副作用が、単一の機序によって生じるという科学的根拠のない前提に立って分析している。
  2. 「心身の反応」仮説に対しては一部に説明困難な症例等があってもそれを認めるという恣意的な論法を駆使し、結論ありきの検討をしている。
  3. 「通常の医学的見地」をもとに判断し、新しい医薬品では既知の知見では説明できない副作用が起きる可能性があることを無視している。過去の薬害の教訓を忘れたものだと批判した [156]。またこのHPVワクチンには、実際に接種によって子宮がんの発生を防いだという医学的エビデンスはないと主張した[156]。2019年現在、スウェーデンやオーストラリアなどから、子宮頸癌の抑制効果があったという報告が出されている[157]

2017年、薬害オンブズパースン会議はインド医療倫理雑誌(Indian journal of medical ethics)に英文論文を発表した[24]

WHOの推奨と普及[編集]

2009年4月、世界保健機関(WHO)は、HPVワクチンに関する方針説明書(ポジション・ペーパー)[158]において、発展途上国を含めた世界全体でHPVワクチンの使用を推奨し、ワクチン接種プログラムに導入すること、およびその財政的基盤を作ることの重要性を強調している。開発途上国では、革新的なGAVIアライアンスに協力して、先進国で100ドル以上のHPVワクチンを、4.5ドルで供給している[159][160]

またWHOは、各国の政策立案者に向けた、HPVワクチン導入のためのガイドラインを示した[161][162]

接種率[編集]

2014年までに、世界中で4000万回のHPVワクチン接種が実施され[163]、2013-2014年までにオーストラリア、スコットランド、ルワンダでは、ワクチンの接種率は約80%となった[164][165][25]

  • インドでは、2州で2010年よりワクチンの接種を2015年時点で中断している[133]
  • フランスでは2016年に16%の女子がワクチンを接種しており、45%であったアメリカよりはるかに低い[166]

接種率が高い国は、80%近いオーストラリア、イギリス、スペインであり、40-50%と中間はアメリカとドイツである[167]。デンマークやアイルランドでも接種率の低下は確認され、日本は約70%であった接種率が1%を下回った[168]

中華人民共和国上海市松江区の疾病予防管理センター(CDC)によれば、2019年に住民の8割以上が、日本円で10万円ほど必要となるHPVワクチン接種を希望している[169]

日本での導入[編集]

タイムライン[編集]

  • 2008年11月に推進団体の「子宮頸がん征圧をめざす専門会議」は、ワクチン承認前の設立された[注 9]
  • 2009年10月に日本で、女性へのサーバリックスの使用が承認され、同年12月から販売が開始された。2010年に接種費用が公費によって負担されるようになり、2011年7月にガーダシルが承認され、8月に販売が開始された。しかし、いずれも3回接種の費用が4-5万円程度の費用負担があり、普及を妨げた[注 10]
  • 2010年、厚生労働省は「ワクチン接種緊急促進事業」を実施し、Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンにHPVワクチンを追加し、市区町村が行う接種事業を助成した。
  • 2012年(平成24年)10月の調査では、接種率(接種事業対象者に対する接種済みの者の割合)は67.2%となっていた[170]
  • 2013年(平成25年)3月31日までは、事業の対象者(おおむね中学1年生から高校3年生相当の女子)は無料もしくは低額で接種を受けられるようになった。4月1日以降「積極的な接種勧奨の差し控え」が出ているが、予防接種法に基づく定期接種は続けられている。
  • 2013年3月に、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が組織され、2016年に集団訴訟が行われた。
  • 2013年4月に、予防接種法に基づき小学校6年生から高校1年生までの女子を対象に無料で受けられる定期予防接種が制度化された[4]。しかし6月14日には、疼痛などの訴えがあったことから、厚生労働省は「積極的な接種勧奨の差し控え」を通達した[171]。その後、接種者が1%に激減した。
  • 2014年に厚生労働省審議会は、注射針の痛みや不安から起こされた心身の反応(機能性身体症状[140])との見解を示した(精神障害ではない[95][140][24]
  • 2015年世界保健機関が選出したワクチンの安全に関する国際委員会 (GACVS) が、日本の「接種差し控え」の対応を指摘し、WHOなど専門家による報告書では、「ワクチン接種と副反応の因果関係は無い」と日本に勧告した[129][172]。しかし、厚生労働省元職員はワクチンへの不安を煽るマスコミの報道などによる世論がある以上、「積極的な接種勧奨」を再開することは難しいと述べている[173]

積極的勧奨の中止[編集]

2013年6月14日の専門家会議では、接種後原因不明の体中の痛みを訴えるケースが30例以上報告され、回復していない例もあるとして、厚生労働省は定期接種としての公費接種は継続するものの、全国の自治体に対して積極的な接種の呼びかけを中止するよう求めた[52]。接種を希望する場合は、市区町村の担当部署に自ら連絡し書類の交付を受ける必要があり、呼びかけ中止により、70%程度あった接種率は1%未満に激減した[174]。この判断は、医学的統計的根拠に基づかず、世論に寄り添う日本の政策決定であるとして、世界から非難されることになった[175]

日本の産婦人科医が、自分の娘にワクチンを接種したかについては、50人超の調査から、2014年では0だったが2017年には16.1%であった[176]。2017年9月までに295人が、HPVワクチン接種との因果関係が否定できないとして、予防接種健康被害救済制度の対象となった[177]

2019年9月現在、定期接種対象者は16歳の女性までとなっている。9月中に接種を開始しないと、当該年度中に3回接種が完了せず任意接種(自費)となってしまうため、注意喚起がなされている[178]。2013年6月の厚生労働省勧告を受けて、地方公共団体は積極的に接種を薦めることを控えているため、他の定期接種ワクチンとは異なり、郵送による一斉通知をしていない。接種を希望する者は、住民票のある区市町村に問い合わせ、接種券・予診票を入手する必要がある[179]

WHOの接種勧告[編集]

2013年7月5日、世界保健機関 (WHO) は公式声明の中で、「日本が報告する慢性疼痛の症例は、同様の徴候が他国で認められないことにより、2013年時点ではHPVワクチンを原因として疑う根拠に乏しい」とコメントし[180]、日本の方針転換を疑問視した。

WHOに独立した科学的助言を提供するために、WHOが委員を選出した[181]『ワクチンの安全に関する国際委員会(GACVS)』の2014年3月の声明では、日本の複合性局所疼痛症候群(CRPS)等の報告について言及し、「2013年に検討したが、因果関係は認められなかった」と結論を出した[182]

GACVSによる2015年12月22日の声明では、日本だけが接種中止の勧告を出していることを名指して、

専門家の副反応検討委員会は、子宮頸がんワクチンと副反応の因果関係は無いと結論を出したにもかかわらず、政府は予防接種を再開できないでいる。以前からGASVSが指摘しているとおり、薄弱なエビデンスに基づく政治判断は、安全で効果あるワクチンの接種を妨げ、真の被害をもたらす。若い女性が本来なら避けられる筈の子宮頚がんの被害と脅威に暴露され続けている。 — 世界保健機関 ワクチンの安全性に関する国際委員会、2015年12月22日

と日本の対応を批判した[129][134]

日本国内で報告されている有害事象について、日本の専門部会でも関連性を否定しているのに、ワクチン接種推奨再開についての合意に至っていないとして、日本国政府として科学的エビデンスに従った判断を行い、予防接種計画を遂行する必要性を強調した[129][134]。村中璃子によれば、WHOが1国のみを名指しで非難することは異例だという[175]日本小児科学会理事は「恥ずかしい限り」と語り、日本産科婦人科学会理事も、2015年の声明全体が、日本への呼びかけのように読めるとして声明への理解を示した[175]

日本医師会、日本産科婦人科学会、日本小児科学会のワクチン再開要請[編集]

  • 日本医師会は2015年8月19日に『HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き』を発行、47都道府県に協力医療機関を設置し、HPVワクチン接種後の症状に対する診療体制を整えたなど、接種希望者がより安心してワクチン接種を受けられる診療環境が整ってきたことを指摘した。
  • 日本産科婦人科学会は、2015年にHPVワクチン早期再開を訴えた[183]。さらに、2017年12月9日の声明で、ワクチン接種を導入した国々では、接種世代におけるHPV感染率の劇的な減少と前がん病変の有意な減少が示され、9価ワクチンは子宮頸がんの原因となるHPV型の90%以上をブロックしている。日本では「一部の研究者の科学的根拠のないデータや報道等により、国民の正しい理解を得られないまま、長期にわたり勧奨が再開されないままとなっている」が、現在女性の74人に1人が罹患し、340人に1人が子宮頸がんで死亡している[4]。日本でもワクチン接種により子宮頸がん罹患者数は10万人あたり859~595人、死亡者数は10万人あたり209~144人の減少が期待され[184]、「このまま勧奨を再開せず、接種率がゼロに近い世代が拡大し続ければ、将来、ワクチン接種を勧奨しなかったことに対して、不作為責任を問われることも危惧される」として、接種再開を訴えた[4]。2017年12月までに4度にわたって、接種推奨の再開を求めた[185]
  • 日本小児科学会など国内17の学術団体は2016年4月、子宮頸癌予防ワクチンの積極的な接種を推奨するとする声明を発表した[142]。既に世界130か国で使用されているが[7]、障害を残す副反応は0.002%に過ぎず、ヨーロッパでの調査でもワクチン接種群と非接種群で副反応とされる症状の発生頻度に差が見られないことを根拠として、これ以上の積極勧奨中止の継続は「極めて憂慮すべき事態だ」とした[142]
  • 2016年8月、日本医学会会長、日本産婦人科医会会長ら学識経験者の有志が、厚生労働省健康局長に書簡を提出した。書簡には「EUROGIN 2016」(ヨーロッパ生殖器感染および腫瘍に関する専門家研究会議)に参加した世界50カ国以上341人の研究者の署名が添えられ、「日本で問題になっている諸症状は、HPVワクチンとの因果関係が認められておらず、日本の不適切な政策決定が、世界中に与えている悪影響を承知されるべきである」という、世界中の研究者の苦言が伝えられた[186]

日本のマスコミ報道への批判[編集]

  • 村中璃子は、センセーショナルな発言でメディアに露出したがる専門家や圧力団体の主張に大きく紙面を割く一方で、日本だけが名指しで非難されたWHOの接種勧告を一切取り上げないという日本のメディアは嘆かわしいと批評した[175][145]。また名古屋市が実施した調査に論理的根拠も明示せず、調査方法が疑問であるとする、専門家や団体の主張を大きく取り上げる朝日新聞などを非難した[145]
  • ロンドン大学熱帯医学研究所教授で元ユニセフワクチン接種グローバルコミュニケーション部門の責任者のハイジ・ラーソンは「海外から日本での騒ぎを2年ほど見守ってきたが日本で最も驚くのは、日本国政府も学会も薬害を否定する中で、主要なマスコミがこぞってHPVワクチンの危険性を吹聴することだ。このようなメディアは世界中には例外中の例外で特異である。」と日本のマスコミを非難した[145]。また、日本のマスコミの騒ぎがデンマークに飛び火して、一部の研究者が薬害説を唱え始める事態ともなり、欧州医薬品庁(EMA)も独自に調査をすることになったと語った[145]。後の展開は#海外の団体の見解を参照。
  • 産婦人科医らでつくる団体「HPV JAPAN」は2015年3月31日、「HPVワクチンの不安のみをあおる報道は、日本の将来に大きな禍根を残す」とする声明を発表した[189]
  • 帝京大学の津田健司は、2013年3月の朝日新聞の報道以降、HPVワクチンに関する日本のメディア報道が肯定から否定に転じ、科学的エビデンスを無視する一方で、感情を揺さぶるエピソードが重視される傾向にあると述べている[190]。また、ワクチンに対する否定的な論調が、一部のワクチン接種者の間でノセボ効果を発生させているのは否定できないとも述べた[190]
  • ジャーナリストの石戸諭によると、HPVワクチンの導入当初、日本ではワクチンに好意的な報道が占めていたが、2013年3月に朝日新聞が疼痛を訴える東京都杉並区在住の女子中学生を報じた報道を境に、「ワクチンをネガティブでリスクのあるように取り上げる記事が圧倒的に占めるようになった」と指摘している[190]
  • 2019年7月、HPVワクチンの政策決定に関わった元厚生労働省健康課長の正林督章は「科学的なことをよく把握せずに、ワクチンの危険性を煽った一部のマスコミによって、国民の中にワクチンに対する不安が大きくなり、HPVワクチンは危険である世論が形成されてしまった。積極的勧奨の再開のためには、世論が変わることが必要だ。今度はマスコミが接種推奨再開をせよというのなら、マスコミの側で責任を取って世論を元に戻すべきである。世論が変わらない以上、積極的推奨の再開は難しい」と答えている[173]

補償[編集]

日本[編集]

東京都の中学生がワクチン接種により1年以上歩行困難となった事例があり、2013年3月に無料接種を実施した東京都杉並区は、副反応の被害救済制度の適用の可能性を検討している[66]。2013年4月に杉並区議会に議員が議題として取り上げられた後に、補償に応じない自治体として被害者団体により非難を受け、マスコミによる激しい取材を受けたため、杉並区では被害者とされる接種者に補償を行うことを決定した[191]。このことを日本国民は「自治体が誤りを認めた」と認識し、HPVワクチンに対する反感の転換点となった[191]

村中璃子によれば、HPVワクチンを過去に接種していれば医療費が無料になるという噂が広まり、それらしい症状が少しでもあれば「ワクチンとの関連性を疑うと診断書を書いてほしい」という求めが首都圏を中心に増える現象が報告されている[145]

また別の少女らでは、身体の痛みを覚えたり、脱力感、疲労感、四肢に力が入らなくなるなどで寝たきりになる例、修学旅行に行った記憶、学校からの帰り道、食事をしたことなどを忘れるなど著しい記憶障害が発生したといった報道がされるようになった[67]

HPVワクチン接種後の体調不良に対して、2014年時点で日本国政府は「任意接種であること」等を理由に補償には応じなかった[191]。しかし、2019年9月現在、厚生労働省は、「積極的な接種勧奨の差し控え」の間であっても、健康被害救済の対象になる、としている[171]

アメリカ[編集]

アメリカ合衆国では2013年4月までに、49人の被害者に対して、全国ワクチン傷害補償プログラム(VICP)による588万ドルの補償を決定した[192]。カナダでは2008年以来2015年までに少なくとも60人が、車椅子や栄養チューブを必要とするような状態となった[193]

被害者団体[編集]

イギリスにはAHVIDという団体があり、470人のメンバーのうち約400人はHPVワクチンの影響があると信じている[194]

2018年3月には、日本で国際シンポジウムが開催され、日本、コロンビア、スペイン、イギリス、アイルランドの被害者団体が集った[195]。同年4月、上記5か国の被害者団体は接種中止の共同宣言を行った[196]

日本[編集]

2013年(平成25年)3月25日、日本国政府にHPVワクチン予防接種の完全中止や、副反応患者の救済を求める「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」が設立された[197][189]。被害者連絡会の会員は、免疫吸着療法が「症状緩和の手段として有効である」と信じられており、厚生労働省に対しては、免疫吸着療法に関する成果を公表するように要求している[87]。症状の原因は「HPVワクチンの固有成分による、脳内での免疫反応である」という仮説を支持している。

2017年、厚労省研究班の「牛田班」(牛田享宏・愛知医科大学学際的痛みセンター教授代表)が「軽い運動や考え方の癖を前向きに変える認知行動療法によって、7割の被害者が症状の回復または改善をみた」と発表したことに対して、副反応とされる症状の原因が「心身の反応や機能性身体症状」という前提で研究している、会員は「改善したという自覚を持っていない」と不信感を募らせた[87]

一方で、食事療法で症状が改善したという会員の声を封殺した上で、事実上の除名処分にするなど「被害者そっちのけで、イデオロギー闘争に明け暮れている」と医師の上昌広による批判もある[198]

また、ワクチンの『副反応』とされる症状に疑問を呈し、厚労省研究班の「池田班」の研究発表に不備があると主張した、医師・ジャーナリストの村中璃子及び関係者に対しても、抗議活動を展開している[199]。また厚生労働省への法的責任の確認や、日本での疫学調査の実施を要求している[189]

集団訴訟[編集]

  • 2016年3月30日、日本で「HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団」が結成され、半身麻痺などが残った女性ら原告124人が、日本政府とグラクソ・スミスクライン社、MSD社に損害賠償を求める集団提訴を行うと発表し、東京、大阪、名古屋、福岡の4つの地方裁判所で1人あたり1500万円の賠償金を求める集団訴訟が起こされた[200][199][201]。2020年3月現在、係争中[202]
  • 2017年、コロンビアで700人以上からの政府と製薬会社に対する集団訴訟が行われた[203]

ワクチン忌避の類似例[編集]

ワクチン忌避は歴史的にもまた、世界中でも発生している。ワクチンの副反応に関する同様の話題は、過去にも知られている[97]

  • MMRはしかおたふくかぜ風疹)ワクチンに関して、医師アンドリュー・ウェイクフィールドが、MMRワクチンを接種すると自閉症になると主張した論文をイギリスの医学誌『ランセット』1998年2月に発表した[97][204]。子供の保護者らに懸念が広まり、イギリス、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでワクチン接種の差し控えが広がり、その結果、麻疹に感染する子供が増加していった[205][97][204]
    • MMRワクチンによって自閉症になったとして訴訟も起こったが、巨額の費用を投入して実施された調査では、MMRワクチンと自閉症には因果関係が認められなかった[97][205]。医事委員会(General Medical Council、GMC)は2010年1月28日、ウェークフィールド医師らの研究は「倫理に反する方法」で行われていたとの裁定を下し、『ランセット』は2010年2月2日に論文を完全に撤回すると発表した[205][97]。さらに2010年5月、アンドリュー・ウェイクフィールドは、イギリスの医師免許を剥奪された[206]
  • 百日咳ワクチンについて、1970-80年代には接種に否定的な報道が、世界中のマスコミで行われ、日本・スウェーデン・イギリス・ソビエト社会主義共和国連邦で接種率が低下した[207]。日本でも国の予防接種事故救済制度が発足し、厚生省は1975年(昭和50年)に乳児への百日咳ワクチン接種を中止し、百日咳ワクチンを含む三種混合ワクチンの接種開始年齢を、2歳以上に引き上げた[208]
    • その結果、百日咳の流行が起きてしまい、1979年(昭和54年)には年間1万3,000人の患者が発生し、うち20人以上が死亡した[208][207]厚生省が百日咳ワクチンの接種開始年齢を3か月に戻したのは、14年後の1989年(平成元年)になってからであった[208]。1981年(昭和56年)ごろより感染者数が減少に転じるもの、1970年代前半のレベルに戻ったのは1995年(平成7年)であった[208]
  • インフルエンザワクチン集団予防接種が、日本では1987年(昭和62年)度まで、小中学生を対象とし行われていた[209]。この集団予防接種は約300万人が感染し約8000人(推計)が死亡した、1957年(昭和32年)のアジアかぜ大流行の教訓から生まれたもので、1962年(昭和37年)から小児への接種が推奨され、1977年(昭和52年)に予防接種法で小中学生の接種が義務化された[209]。しかし、接種後に高熱を出して後遺症が残ったと国を訴えられて、裁判で国側が敗訴するケースも続出したため、1987年(昭和62年)に保護者の同意を得た希望者に接種する方式に変更され、 1994年(平成6年)には任意接種に変わった[209]。また、インフルエンザワクチンの効果に対する疑念も世論に広まり、100%近かった小中学生の接種率は、1990年代には数%に低下した[209]
    • その結果、インフルエンザ脳症によって死亡する児童が増加しただけではなく、インフルエンザに対する集団免疫の低下により、高齢者施設の入所者がインフルエンザで相次いで死亡することになった[209]。後に、日本での小中学生に対するインフルエンザワクチンの集団予防接種は、年間約3万7000-4万9000人の命を救っていたことが指摘された[209][210]。多くの犠牲者を生んだこの教訓は、ワクチンの集団免疫という概念を知らしめ、各国のワクチン政策に影響を与えた[209]

厚労省HPVワクチン副反応研究班「池田班」における問題[編集]

2016年3月、厚生労働省のHPVワクチン副反応に関連する研究班(池田班;信州大学鹿児島大学の共同研究グループ)は、脳機能障害が起きた患者の8割弱で、免疫システムに関わる遺伝子が同じ型だったと報告した(その遺伝子の型は、日本や中華人民共和国オセアニアに多く、ヨーロッパ北アメリカに少ない)[211]

33名の被験者のHLA-DPB1が調査され、通常日本人では4割程の頻度で存在する「0501」という型が、8割程度の頻度であることがわかった[211]。ワクチンの成分と症状の因果関係は不明だが、接種前に遺伝子を調べることが、副反応を回避することができる可能性があると発表した[211]

しかしこの調査は、調査対象が少ないことが指摘されていた[211]。厚生労働省は2016年4月16日に、池田班が示したデータによって、特定の遺伝子多型を持つ人にHPVワクチンを接種した場合、記憶障害を起こす可能性が高いということは示せておらず、HPVワクチンと脳の症状との因果関係を示したものではないとし、「HPVワクチン接種後脳障害などの発症者の8割に、特定の遺伝子多型が見つかる」との報道は誤りであると発表した[212][213]

また池田班は、マウスに複数のワクチンを接種する実験を行い、HPVワクチンを注射したマウスの脳のみに、神経細胞に対する抗体が産生されたとも報告した[211]。6月、信州大学は、不正を疑う通報を受けて調査委員会を設置し[214]、11月に「マウス実験の結果が科学的に証明されたような情報として社会に広まってしまったことは否定できない」と発表した[215]

これを受けて、厚生労働省は2016年11月24日、「池田氏の不適切な発表により、国民に対して誤解を招く事態となったことについての池田氏の社会的責任は大きく、大変遺憾に思っております」「この度の池田班の研究結果では、HPVワクチン接種後に生じた症状が、HPVワクチンによって生じたかどうかについては何も証明されていない」とコメントした[216][215][217]。池田は「名誉を棄損した」として、村中璃子に対し損害賠償のための訴訟を起こした[217]

その他の批判[編集]

  • Japan Skeptics監査委員の平岡厚は2014年の論文で副反応の検証を期待していた[218]。当初は、反対派には査読を通過した論文がないのでWHOを信頼することで良いのではと考えいてたが、実際に文献を調査してみると推進派は都合の悪い論文を無視しているだけだということが2017年の二度目の調査も通して判明し、今では、査読を通過した論文によって検証を怠っていないのはワクチンの推進派ではなく反対派だと見ており、接種の中止が無難だと判断している[219]
  • 民主党のはたともこは、2010年にブログにて、HPVワクチンを接種しなくても、検診を怠らないことで子宮頸癌に対応できるとして、HPVワクチンの集団接種はワクチン接種のリスクにさらすだけの行為で、自治体が高額な予算をつけて推奨するような話ではないとして反対している[220]。2016年にはワクチン接種再開の圧力には、メルク社などアメリカの製薬会社の利益のために国民を犠牲にする構造が問題で、日本は「人体実験パラダイス」だと『月刊日本』発表文で主張した[221]
  • 政治家の山本太郎2019年10月18日の街頭演説で、子宮頸がんワクチンは重篤となる割合が高く、これを強制接種することに疑問を呈し、さらにワクチンによるがんの予防効果は証明されていないとする厚労省の資料を示したうえで「人体実験」だと批判した[157]。これに対して産婦人科医らから批判の声が寄せられた[157]。厚労省は、予防と早期発見は全く別のものであると説明している[157]。日本産婦人科学会も、検診ではワクチンの代わりにならないことを説明している[31]
  • ナショナル・ワクチン情報センター英語版(NVIC:反ワクチンを掲げるアメリカの民間団体)は、2011年5月5日時点の報告で、全世界でHPVワクチン(ガーダシルおよびサーバリックス)接種後1年以内に94件の死亡事例と、21722件の副作用の事例があったと主張している[222]
  • 薬害オンブズパースン弁護士関口正人は、2014年に厚生省の審議会のメンバーの15人中11人に利益相反があり、金額が500万円を超える3名は決議に参加できなかったと指摘した[107]。2016年11月1日には厚生労働省の副反応追跡調査の結果(10万接種あたり2人の症状)について、「医療機関に報告が届いていない症状がある可能性もある。また追跡不能例1/3が除外されているのも問題である。」として、17もの学術団体の委員たちが真剣に検討したとはとても考えられない、お粗末な内容と批判した[223]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 厚生労働省から公開される予防接種副反応報告書集計は、有害事象を単純計算したものである[50]アメリカ合衆国でも同様に因果関係を問わず、ワクチン有害事象報告制度英語版 (VAERS)によってワクチン接種後の有害事象が集計される。
  2. ^ 英語: Complex regional pain syndrome,
  3. ^ 英語: postural tachycardia syndrome, PoTS
  4. ^ 英語: HPV Vaccine Associated Neuropathic Syndrome, ハンズ
  5. ^ 英語: Chronic Fatigue Syndrome
  6. ^ ただし日本のB型肝炎ワクチン:ビームゲンの添付文書にはMMFについての記載はない 2016年2月9日確認
  7. ^ 2016年現在、日本国内で流通しているワクチンに限っても、小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナーリン酸アルミニウム添加)[116]B型肝炎ワクチン(ビームゲン:水酸化アルミニウム添加)[117]、ジフテリアワクチン(塩化アルミニウム、アルミニウム化合物)、3種混合ワクチン(塩化アルミニウム6水和物、水酸化アルミニウム、アルミニウム化合物)、2種混合ワクチン(塩化アルミニウム、アルミニウム化合物)など多くのワクチンに使用されている
  8. ^ 完全なデータによるシステマティックレビューは、以前、WHO必須医薬品専門委員会によるオセルタミビル(タミフル)の評価の格下げにつながった[137]
  9. ^ 薬害オンブズパースン会議の調査では、事務局員が元GSKのマーケティング部長で、ワクチンメーカーから2012年と2013年に計7,350万円の寄付を受けていた[24]
  10. ^ ただし、中国でも日本円で10万円ほど必要となるが、都市部では接種希望者が殺到している[12]

出典[編集]

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  16. ^ a b サーバリックス添付文書2019年4月改訂(第12版)
  17. ^ a b ガーダシル添付文書2013年 6 月改訂(第 3 版)
  18. ^ 「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への接種は妊娠終了まで延期することが望ましい。(サーバリックス)」「妊娠している婦人には接種を避けること。予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。(ガーダシル)」「授乳婦には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。(両剤)」
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参考文献[編集]

参考資料[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]