メマンチン

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メマンチン
Memantine.svg
Memantine-3d-sticks.png
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
法的規制
  • S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.)
投与方法 経口
薬物動態データ
生物学的利用能 ~100%
代謝 肝臓 (<10%)
半減期 60–100 hours
排泄 腎臓
識別
CAS番号
(MeSH)
19982-08-2
ATCコード N06DX01
PubChem CID: 4054
DrugBank APRD00221
KEGG D08174
化学的データ
化学式 C12H21N
分子量 179.3 g/mol

メマンチン英語: Memantine)は、アダマンタン誘導体であり、医療用のNMDA受容体アンタゴニストとして用いられる。メマンチン塩酸塩は中等度〜重度アルツハイマー認知症の治療薬として、EUおよび米国で承認され使用されている。日本では国内の臨床試験が、第一三共グループのアスビオファーマによって行われ、2011年1月21日に「症状の進行抑制」について製造販売承認され、同年6月8日にメマリーという商品名で第一三共から発売された。

効能・効果[編集]

併用療法[編集]

  • エーザイアリセプトとの併用療法が有効であるとして期待されている。英国での多施設共同研究では、併用効果は、プラセボおよび単剤治療に対して有意差を持って効果があった。しかし英国当局からは否定的な見解が示されている[1]

小児/青年に対して[編集]

  • メマンチンは小児期や青年期の障害において有益な効果が示されてきたものの、証拠はかなり限定的であり、定期的な使用の根拠としては不十分である[2]。さらなる有効性の検証が、盲検化した無作為プラセボ対照比較試験で示されるまでは適応外使用のままである[2]

オピオイド依存治療[編集]

  • ヒトにおけるオピオイド身体依存の発現を減衰させることが示されている[3]。オピオイド依存症の治療に有用な補助薬であることを示唆している[3]

強迫性障害[編集]

  • エビデンスは報告されていないものの、薬理学上の観点から難治性の強迫性障害に対して治療効果があるのではないかと予想されている[4]。日本では保険適用されていない。

線維筋痛症[編集]

  • 線維筋痛症の疼痛を軽減するとの研究も有る[5][6]。日本では保険適用されていない。

副作用[編集]

添付文書に記載されている重大な副作用は、痙攣、失神、意識消失、精神症状(激越、攻撃性、妄想、幻覚、錯乱、譫妄)、肝機能障害、黄疸、横紋筋融解症である[7]

過量投与例[編集]

  • 過量投与の症状(外国人における報告)メマンチン塩酸塩400mg服用患者において、不穏、幻視、痙攣、傾眠、昏迷、意識消失等があらわれ、また、メマンチン塩酸塩2,000mg服用患者において、昏睡、複視及び激越があらわれ、それぞれ回復したとの報告がある[7]
  • メマンチンとドネペジルを2歳女児が意図しない摂取したケースが報告されている。視覚的な幻覚症状のために発見された。入院して大規模な神経学的検査や感染症検査を行い、脳波を除いて異常はみられなかった。非特異的な脳障害と診断された。72時間の対症療法で回復した。病院到着時の血中濃度はドネペジル470 ng/mL(治療範囲:25-50 ng/mL)、メマンチン32 ng/mL(治療範囲:70-150 ng/mL)であった。メマンチンとドネペジルの意図しない摂取が小児患者に重大かつ長期の神経学的症状を引き起こす可能性があることを示している[8]

認知機能障害[編集]

  • マウスにおける治療上適切な用量 (5、10 mg/kg) は、認知機能の適応性に影響が生じ、対照群と比較して記憶障害と異常な混乱が示されている[9]

身体依存性[編集]

  • 動物実験で身体依存性が認められた[10]。アカゲザルを用いて検討した結果、退薬症候の発現が示唆された[10]
  • アカゲザルは血中濃度650ng/mL以下で身体依存性が形成される可能性は殆どないと示唆された[11]
ヒトへ20mg/日を反復投与した時の血中濃度は約130ng/mLである[10]

薬理[編集]

ドーパミンD2受容体アゴニストとして作用する。NMDA型グルタミン酸受容体と比較し、同等か僅かに高い親和性を有している。

ドーパミン受容体[編集]

  • ラット線条体D2(High)受容体における[3H]-ドンペリドンに対するメマンチンの解離定数(Kd)は917±23nMである[12]。ヒト クローンD2(Long)受容体への親和性は137±19nMである[12]。線条体NMDA受容体における[3H]-MK-801に対するメマンチンの解離定数(Kd)は2,200±400nMである[12]。NMDA受容体およびドーパミンD2(High)受容体におけるメマンチンの効力は同等である[12]。メマンチンの臨床的特徴は、その両方の受容体への作用に起因する可能性がある[12]

NMDA受容体[編集]

  • NMDA受容体チャネルのPCP結合部位に結合する[3H]-MK-801(5nM)に対しメマンチンは濃度依存的な置換活性を示し、IC50=1.47µM(Ki=0.67µM)でMK-801(Kd=0.0041µM)よりも親和性は低かった[13]25-35グルタミン酸への神経保護IC50は0.13µMである[13]

神経保護[編集]

  • NMDA受容体に結合し、その働きを抑制することにより神経細胞の過剰な興奮による細胞死を防ぐ[14]

神経毒性[編集]

  • 高濃度では神経細胞の壊死や空胞化が認められている[10][13]

種類[編集]

  • 錠剤:5mg, 10mg, 20mg

脚注・出典[編集]

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  1. ^ Howard R, McShane R, Lindesay J, et al. (2012-03). “Donepezil and memantine for moderate-to-severe Alzheimer's disease”. N. Engl. J. Med. 366 (10): 893–903. doi:10.1056/NEJMoa1106668. PMID 22397651. 
  2. ^ a b Hosenbocus S, Chahal R. (2013). “Memantine: a review of possible uses in child and adolescent psychiatry.”. Psychopharmacology (Berl). 22 (2): 166-171. PMC 3647634. PMID 23667364. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=3647634. 
  3. ^ a b Bisaga A, Comer SD, Ward AS, Popik P, Kleber HD, Fischman MW. (2001-8). “The NMDA antagonist memantine attenuates the expression of opioid physical dependence in humans.”. Psychopharmacology (Berl). 157 (1): 1-10. doi:10.1007/s002130100739. PMID 11512037. http://link.springer.com/article/10.1007/s002130100739. 
  4. ^ Papapetropoulos, S. (2005). “Tardive Dystonia Associated With Ziprasidone”. American Journal of Psychiatry 162 (11): 2191–2191. doi:10.1176/appi.ajp.162.11.2191. ISSN 0002-953X. 
  5. ^ 線維筋痛症にメマンチンが有望” (2015年1月14日). 2015年1月30日閲覧。
  6. ^ Olivan-Blázquez B, et al, Efficacy of memantine in the treatment of fibromyalgia: a double-blind, randomised, controlled trial with 6-month follow-up. Pain. 2014;155:2517–2525.
  7. ^ a b メマリー錠5mg/10mg/20mg/OD錠5mg/10mg/20mg 添付文書” (2016年3月). 2016年6月27日閲覧。
  8. ^ Thornton SL, Clark RF. (September 2014). “Encephalopathy from unintentional donepezil and memantine ingestion.”. Pediatric Emergency Care. 30 (9): 649-50. doi:10.1097/pec.0000000000000216.. PMID 25186510. http://meta.wkhealth.com/pt/pt-core/template-journal/lwwgateway/media/landingpage.htm?issn=0749-5161&volume=30&issue=9&spage=649. 
  9. ^ Saab BJ, Luca RM, Yuen WB, Saab AM, Roder JC. (2011). “Memantine affects cognitive flexibility in the Morris water maze.”. J Alzheimers Dis. 27 (3): 477-482. doi:10.3233/jad-2011-110650. PMID 21860092. http://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad110650. 
  10. ^ a b c d メマリー医薬品インタビューフォーム(第10版) (PDF)”. www.info.pmda.go.jp. 2016年5月3日閲覧。
  11. ^ メマンチン塩酸塩 国際共通化資料(CTD)非臨床試験の概括評価”. www.pmda.go.jp. 第一三共株式会社. 2016年7月29日閲覧。
  12. ^ a b c d e Seeman P, Caruso C, Lasaga M. (2008-2). “Memantine agonist action at dopamine D2High receptors.”. Synapse. 62 (2): 149-153. doi:10.1002/syn.20472. PMID 18000814. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/syn.20472/abstract. 
  13. ^ a b c メマンチン塩酸塩 国際共通化資料(CTD)『神経細胞保護作用』”. www.pmda.go.jp. 第一三共株式会社. 2016年5月14日閲覧。
  14. ^ 加藤武「メマンチンによる治療 : MK-801との相違」、『日本薬理学雑誌』第124巻第3号、日本薬理学会、2004年9月1日、 145-151頁、 doi:10.1254/fpj.124.145NAID 10014284463

関連項目[編集]

外部リンク[編集]