自閉症スペクトラム

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Camera-photo Upload.svg 画像提供依頼:三角形型概念図の画像提供をお願いします。2012年11月

自閉症スペクトラム(じへいしょうスペクトラム、英語Autistic Spectrum Disorder(s)、略称:ASD)とは、精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)上における、様々な神経発達症(Neurodevelopmental disorder)の分類である。自閉症連続体(じへいしょうれんぞくたい)、自閉症スペクトル(じへいしょうスペクトル)などともいう。かつてのDSM-IV-TRにおける自閉症(Autism)、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、小児期崩壊性障害(CCD)などの各疾患は、DSM-5ではASDを用いて再定義された[1]

概要[編集]

「自閉症スペクトラム」の概念は、1990年代に、主に自閉症やアスペルガー症候群研究者ら、特にイギリスの児童精神科医ローナ・ウィング[2]によって提案された。

高機能自閉症とアスペルガー症候群に違いがあるのかどうか、知能指数の高低をどのように捉えるべきかなどの諸課題について、臨床医学医統計学における体系化・均質化を目指したものともいわれている。(いわゆる従来型)自閉性障害、高機能自閉症、アスペルガー障害、レット症候群小児崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害のことをいう。

DSM-5では、知的障害の有無を問わず、知的障害のないとされる高機能PDDを包括して、「自閉症スペクトラム」としてまとめられる方向で検討されている(このため、従来の高機能PDDは、「知的障害のない自閉症スペクトラム」のくくりとして捉えられる形となる)。

自閉症スペクトラムの診断基準としてローナ・ウィングらは以下の三つを上げている

  1. 対人関係の形成が難しい「社会性の障害」
  2. ことばの発達に遅れがある「言語コミュニケーションの障害」
  3. 想像力や柔軟性が乏しく、変化を嫌う「想像力の障害」

これを「三つ組の障害」と呼ぶ[3]

分類[編集]

大局的に概念を提示すると以下のような図になる。現在、概念の整理が行われている最中であるため、暫定的な分類である。

自閉症.PNG

自閉症スペクトラムの場合は、三角形型[4]で表記する場合もある(頂点に従来型の自閉症があり、底辺から見て左に行くごとにIQが下がり、右に行くごとにIQが上がるというもの。例えば、アスペルガー症候群は底辺の右寄りの部分に配置され、頂点の「従来型自閉症」との間に「高機能自閉症」が来る。底辺の左寄りにはレット症候群が配置され、レット症候群と「従来型自閉症」の間に「小児崩壊性障害」が配置され、それらが不可分の状態になっている。頂点に近いほど障害としての度合いが重く、底辺に近いほど軽いとされるが、レット症候群やアスペルガー症候群自体が「軽度」ではない点に注意が必要)。

疫学[編集]

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のAutism and Developmental Disabilities Monitoring (ADDM) Network によれば、およそ68人に1人がASDであると確認されている[5]。男児では42人に1人、女児では189人に1人と、男性に5倍多い[5]。とはいえ、自閉症の女性には男性とは違う特徴があり、心身症統合失調症誤診される場合も多い[6]。ASDは、人種、民族、社会集団によらず確認されている[5]。アジア、欧州、北米の調査によれば有病率は1%ほどで、韓国では2.6%と報告されている[5]

ASDの子供を持つ両親は、次の子供もASDがある確率が2-18%である[5]。高齢の両親の出産は、子供がASDとなるリスクが高い[5]

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. ^ Facts About ASD - Autism Spectrum Disorder (ASD)”. アメリカ疾病予防管理センター. 2015年6月1日閲覧。
  2. ^ 中山(2010) p.12
  3. ^ 市川(2010) p.18
  4. ^ 障害の基礎的理解の「広汎性発達障害の解説図2」を参照。
  5. ^ a b c d e f Data & Statistics - Autism Spectrum Disorder (ASD)”. アメリカ疾病予防管理センター. 2015年6月1日閲覧。
  6. ^ 宮尾益知:監修『女性のアスペルガー症候群 : イラスト版』(講談社、2015年3月)ISBN 978-4-06-259790-6

参考文献[編集]

  • 中山和彦、小野和哉 『図解 よくわかる大人の発達障害』 ナツメ社、2010年ISBN 978-4-8163-4972-0
  • 上野一彦、市川宏伸 『図解 よくわかる大人のアスペルガー症候群』 ナツメ社、2010年ISBN 978-4-8163-4885-3

外部リンク[編集]