水素吸蔵合金は、水素を取り込む性質のある金属を合金化によって最適化し、水素を吸わせることを目的として開発された合金である。金属が水素を取り込む現象は古くから知られており、例えば酸性の溶液内の鋼が急激に割れることがあるが、これは溶液中の水素イオンが鋼中に侵入し、鋼を脆化させることに起因する。
このような現象を積極的に水素貯蔵に用いる研究は、1960年代のアメリカ・オークリッジ国立研究所のレイリーらによって始められた。彼は現在の水素吸蔵合金の基礎となるマグネシウム基合金やバナジウム基合金が水素の吸蔵・放出を行うこと、さらに合金組成を制御することでその特性が変わることを実験により証明した。
水素吸蔵合金はニッケル・水素蓄電池や水素自動車、燃料電池自動車の燃料タンクに利用される。
ヴィルヘルム・オストヴァルト(1853年–1932年)はドイツ(バルト・ドイツ人)の化学者。オストワルトとも呼ばれる。1909年、触媒作用・化学平衡・反応速度に関する業績が認められ、ノーベル化学賞を受賞した。ヤコブス・ヘンリクス・ファント・ホッフやスヴァンテ・アレニウスと共に物理化学という分野を確立した1人とされている。
1885年、電離などに関係のあるオストワルトの希釈律を発見した。また触媒の研究を行い、肥料や爆薬の大量生産を可能にした硝酸の製法であるオストワルト法を考案した。オストワルト法は現在でも硝酸の工業的製法として重要であり、原料のアンモニアを得るために、ハーバー・ボッシュ法と同時に行われることが多い。