コンテンツにスキップ

愛媛県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
えひめけん ウィキデータを編集
愛媛県
愛媛県の旗 愛媛県章
愛媛県旗 愛媛県章[注釈 1]
日本の旗 日本
地方 四国地方
団体コード 38000-8
ISO 3166-2:JP JP-38
面積 5,675.89km2
総人口 1,275,349[編集]
推計人口、2024年10月1日)
人口密度 225人/km2
隣接都道府県 徳島県の旗 徳島県
香川県の旗 香川県
高知県の旗 高知県
広島県の旗 広島県[注釈 2]
山口県の旗 山口県[注釈 3]
大分県の旗 大分県[注釈 3]
県の木 マツ
県の花 みかんの花
県の鳥 コマドリ
他のシンボル 県の魚: マダイ
県の獣: ニッポンカワウソ
県の歌: 愛媛の歌
県民の日: 2月20日(県政発足記念日)
マスコットキャラクター: みきゃん
愛媛県庁
知事 中村時広
法人番号 1000020380008 ウィキデータを編集
所在地 790-8570
愛媛県松山市一番町四丁目4番地2
北緯33度50分29秒 東経132度45分56秒 / 北緯33.8414度 東経132.7656度 / 33.8414; 132.7656座標: 北緯33度50分29秒 東経132度45分56秒 / 北緯33.8414度 東経132.7656度 / 33.8414; 132.7656
地図
県庁舎位置

愛媛県庁
外部リンク 公式ウェブサイト
愛媛県の位置

愛媛県行政区画図

― 市 / ― 町

ウィキポータル 日本の都道府県/愛媛県
ウィキプロジェクト

愛媛県(えひめけん)は、日本四国地方に位置する。四国地方では最も人口が多い県。県庁所在地中核市指定の松山市。都市規模は、計量特定市指定の今治市新居浜市が続く。令制国伊予国に当たる。

地理・地域

[編集]

位置

[編集]

広袤(こうぼう)

[編集]
節内の全座標を示した地図 - OSM
節内の全座標を出力 - KML

国土地理院地理情報 によると愛媛県の東西南北それぞれの端は以下の位置で、東西の長さは155.99 km、南北の長さは157.16kmである。また、国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調によると、愛媛県の面積は5675.89平方キロメートルである[2]

北端
北緯34度18分6秒 東経133度16分29秒 / 北緯34.30167度 東経133.27472度 / 34.30167; 133.27472 (愛媛県最北端)
重心
北緯33度37分31秒 東経132度51分12秒 / 北緯33.62528度 東経132.85333度 / 33.62528; 132.85333 (愛媛県重心)
西端
北緯33度20分40秒 東経132度0分45秒 / 北緯33.34444度 東経132.01250度 / 33.34444; 132.01250 (愛媛県最西端)
中心点
北緯33度35分35.5秒 東経132度51分10秒 / 北緯33.593194度 東経132.85278度 / 33.593194; 132.85278 (愛媛県中心点)
東端
北緯33度56分50秒 東経133度41分35秒 / 北緯33.94722度 東経133.69306度 / 33.94722; 133.69306 (愛媛県最東端)

南端
北緯32度53分5秒 東経132度27分11秒 / 北緯32.88472度 東経132.45306度 / 32.88472; 132.45306 (愛媛県最南端)

地形

[編集]
西日本最高峰の石鎚山
佐田岬
瀬戸内海国立公園に架かる来島海峡大橋

などほか多数。

自然公園

[編集]
国立公園
瀬戸内海国立公園足摺宇和海国立公園
国定公園
石鎚国定公園
県立自然公園
四国カルスト県立自然公園皿ヶ嶺連峰県立自然公園佐田岬半島宇和海県立自然公園肱川県立自然公園金砂湖県立自然公園奥道後玉川県立自然公園篠山県立自然公園

気候

[編集]

瀬戸内海側(中予・東予)と宇和海に面した地域(南予)とで大きく異なる。

瀬戸内海側は温暖少雨であり、大きな河川がないため渇水に見舞われやすい。松山などでは給水制限が設けられることが多い。なお、内陸部の久万高原では冷涼であり、高原野菜などが栽培されている。

宇和海側は、黒潮の影響を受けて総じて温暖ながら台風の関係もあり、暖候期の降水量は概して多い。

南国ではあるが、冬季には降雪も年に1 - 2回ある。特に関門海峡上空を通過した北西の湿潤な季節風伊予灘をわたり、陸地に当たる地域である佐田岬半島から宇和島市にかけての南予は平野部でも20cm近い大雪に見舞われることもある。以上のように冬型の気圧配置下では瀬戸内側よりも宇和海側のほうが雪が多いのが特徴である。いっぽう南岸低気圧での積雪は南側に山があり寒気を溜め込みやすい東予中心となる。また、久万高原町など内陸部は冬場は寒くスキー場もある。

台風の直撃は高知県などに比べると少ない。ただ、台風が中国地方日本海を抜けたりする場合、つまり台風の東半分に入った場合、強風で被害が生じやすい。過去、何度か、強風による柑橘類の落果被害や塩害などが発生している。また、県の東部四国中央市新居浜市ではやまじ風などの現象も観察される。

北西の季節風の影響で、冬季の降水日数が太平洋岸気候に属する地域に比べると多いが、日本海側ほどではない。

冬でも暖かい日が続くが、小雨小雪の降る日もあり、冬からに掛けては快晴日数は少ない。

太平洋高気圧に覆われる夏季には瀬戸内海沿岸特有の「」が発生し、日中の気温は35度を超える猛暑酷暑となり熱帯夜になることも多い。

愛媛県各地の平年値(統計期間:1971年 - 2000年、出典:気象庁・気象統計情報
平年値
(月単位)
南予地方 中予地方 東予地方
伊方町
瀬戸
大洲市
長浜
大洲 西予市
宇和
鬼北町
近永
宇和島 松山 松山市
松山南吉田
久万高原町
久万
今治市
大三島
今治 西条 新居浜 四国中央
平均
気温
(°C)
最暖月 25.8
(8月)
26.8
(8月)
25.9
(8月)
25.8
(8月)
27.1
(8月)
27.3
(8月)
23.8
(8月)
26.7
(8月)
27.0
(8月)
26.7
(8月)
27.6
(8月)
27.3
(8月)
最寒月 6.2
(1,2月)
4.9
(1月)
3.7
(1月)
4.0
(1月)
6.7
(1月)
5.8
(1月)
1.4
(1,2月)
4.0
(2月)
5.8
(2月)
5.5
(1,2月)
6.1
(1,2月)
5.8
(1,2月)
降水量
(mm)
最多月 245.5
(6月)
279.5
(6月)
323.8
(6月)
328.0
(6月)
281.6
(6月)
240.5
(9月)
291.6
(6月)
199.1
(6月)
188.3
(6月)
211.1
(6月)
212.2
(9月)
215.4
(9月)
最少月 42.3
(12月)
70.0
(12月)
68.6
(12月)
54.1
(12月)
52.9
(12月)
38.8
(12月)
82.4
(12月)
28.3
(12月)
33.0
(12月)
36.4
(12月)
31.8
(12月)
37.1
(12月)

地域区分

[編集]

東予・中予・南予

[編集]

県域を三分し、東予中予南予と呼ぶことが多い。この場合、東予とは、今治市西条市以東の地域を指す。南予とは、大洲市内子町以西を指す。中予はこれ以外の地域である。ちなみに、明治期には喜多郡(現在の大洲市、内子町)も中予に含まれていたとの説もある。県民の間では3区分がなじまれており、市町村で表示することが多くなった現在も、放送局によっては天気予報も3区分で表示される。

5地方局

[編集]

行政区分では、愛媛県の地方局(東から西条、今治、松山、八幡浜、宇和島の5箇所)の管轄区分も用いられるが、使用者は行政関係者にほぼ限られる。2008年(平成20年)4月には、東予(西条)、中予(松山)、南予(宇和島)の3局体制に再編され、今治、八幡浜は支局となっている。

6都市圏

[編集]

県庁によって、以下の6つの圏域が設定されている。人口は2006年(平成18年)6月1日現在の推計人口。

市町村

[編集]

県下には以下の11市7郡9町がある。はすべて「ちょう」と読む。2005年(平成17年)1月16日合併をもって消滅している。地方区分は、上記の県庁による区分とは異なる。

地方/圏域の所轄市町村
地方 圏域 市町村
東予地方 宇摩圏 四国中央市
新居浜・西条圏
今治圏
中予地方 松山圏
南予地方 八幡浜・大洲圏
宇和島圏

歴史

[編集]

由来

[編集]

「えひめ」の地名は、『古事記』上巻のイザナギイザナミによる国生みの段に見られる。国生みにより「伊予之二名島」(四国)が生まれたが、この島の4つの顔にはそれぞれ名があり、「伊豫國謂愛比賣」(伊予国は愛比売と謂ひ)とある[3][4][5]。「えひめ」は「うるわしい女神」といった意味合いの神名である[6]江戸時代幕末期、今治藩医で国学者の半井梧庵が伊予一国を扱った地誌『愛媛面影』を編纂したが、これが「えひめ」に「愛媛」という漢字を宛てた最初の例とされる[5][7][8]

全国で唯一の神名をつけた県である。県名選定の経緯ははっきりとはわからないが、神名を採用したことは明治時代の王政復古の風潮と合致していたものと見られる[6]

先史

[編集]

県内では2万2000年以上も前から人々が生活していた。1995年(平成7年)伊予市の旧双海町の東峰遺跡・高見I遺跡[注釈 4]AT火山灰(姶良・胆沢火山灰)の下から石器が出土している。

古代

[編集]

現在の愛媛県は令制国での伊予国に当たる。

松山市の久米地域は、久米国造の支配地域であり、その中心地でもあった。久米地域の堀越川と小野川にはさまれた来住(きし)台地とその周辺に7 - 8世紀代の諸官衙遺構が集中して分布しており、発掘調査が進められている。台地北辺に政庁、中央に「回廊北方官衙」、南南東部に「回廊状遺構」、その南東外部に来住廃寺塔基壇、西に「久米郡衙正倉院」がある[10]。来住廃寺は、7世紀の終わりに回廊状遺構が壊された後、東半分に重なるように建てられた寺である。

中世

[編集]
河野氏の居城であった湯築城

江戸時代

[編集]

1600年関ヶ原の戦いののち、伊予国40万石は加藤嘉明藤堂高虎によって両分された。加藤嘉明は松山城を築き、藤堂高虎は今治城を築いて、それぞれ領国支配の拠点とした。ただし、17世紀前半に両家は伊予国から転出して大規模な藩領は分割された。17世紀後半までには、松山藩(15万石)を最大の藩として、西条藩(紀州藩支藩)、小松藩今治藩大洲藩新谷藩(大洲藩支藩)、宇和島藩吉田藩(宇和島藩支藩)のいわゆる「伊予八藩」が成立し、以後廃藩置県まで藩主家の交代もなく安定した体制となった[12][注釈 5]

江戸時代、阿波国徳島藩土佐国高知藩という大藩による一国支配が行われていたのに対し、伊予国が8つの藩によって分け治められていた[注釈 6]歴史は、小規模な平地・盆地が散在するという地理的条件とともに[13]、愛媛県において地域ごとに多様な文化が発展したこと[13][14]、あるいは県域の一体感が薄いと言われること[13]と結び付けて語られる。

近代

[編集]

戦後・昭和後期

[編集]
1955年(昭和30年)を境として、全国的な動きではあったが、市町村合併が急速に進み、1954年(昭和29年)2月1日時点で、6市41町186村、計233市町村であったのが、1958年(昭和33年)4月1日には、10市42町29村となった。
ほとんどの合併は1956年(昭和31年)度中に成就した。その後1963年(昭和38年)ごろまでは五月雨式に合併が続いた。昭和40年代に入ってからは、壬生川町三芳町の合併(東予町の誕生、翌年東予市に昇格)、久谷村の松山市への編入、宇和海村の宇和島市への編入があったのみである。

平成

[編集]

人口

[編集]

愛媛県は、第二次世界大戦が終わると人口が急増し、1955年に約154万人でピークを迎えた。高度経済成長期(1950年代後半 - 1970年代前半)には、大規模な人口流出(社会減)が起こり、減少傾向に入った。1970年代後半から1980年代前半までは人口流出が少なく、再び回復基調になる。1985年の約153万人を境に再び減少傾向に入る[16]。2019年の合計特殊出生率は1.46であり、人口は自然減となっている。

年齢別にみると、1950年の55.8万人をピークに年少人口(15歳未満)が減少している(少子化)。その後、第2次ベビーブーム団塊ジュニア世代の誕生)により人口が維持された時期はあったが、長期減少傾向は続いている。生産年齢人口(15 - 64歳)も1985年の100.6万人をピークに減少に転じている。老年人口(65歳以上)は、生産年齢人口が老年期に入っていることと、平均寿命の延長による増加(高齢化)が続いており、2010年時点で26.5%となっている[16]

人口の流出先としては、東京圏関西(大阪・神戸方面)広島県岡山県が多い。また、県内では東予南予から中予へ人口が移動する傾向がある[16]

市町村別でみると、県内に増加の自治体はない。松山市とそのベッドタウンの人口は減少が緩やかである。南予は減少が急速に進んでおり、より効果的な対策が求められている。

愛媛県市町村人口増減率分布図(2016年度と2021年度愛媛県統計から算出)
愛媛県と全国の年齢別人口分布(2005年) 愛媛県の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 愛媛県
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性
愛媛県(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年) 1,418,124人
1975年(昭和50年) 1,465,215人
1980年(昭和55年) 1,506,637人
1985年(昭和60年) 1,529,983人
1990年(平成2年) 1,515,025人
1995年(平成7年) 1,506,700人
2000年(平成12年) 1,493,092人
2005年(平成17年) 1,467,815人
2010年(平成22年) 1,431,493人
2015年(平成27年) 1,385,262人
2020年(令和2年) 1,334,841人
総務省統計局 国勢調査より

愛媛県人口動態

[編集]

2024年現在約128万人となっており長期に渡って人口減少が続いている。大都市圏から見ると果てに位置する不便な立地もあり人口流出が大きくなっている。

表1. 国勢調査結果に基づく愛媛県の人口推移
実施年 人口(人) 増減人口(人) 人口増減率(%) 国内増減率(%) 増加率全国順位
1960年 1,500,687 - - - -
1965年 1,446,384 減少 54,303 減少 3.62 増加 5.20 35位
1970年 1,418,124 減少 28,260 減少 1.95 増加 5.54 34位
1975年 1,465,215 増加 47,091 増加 3.32 増加 7.92 25位
1980年 1,506,637 増加 41,422 増加 2.83 増加 4.57 34位
1985年 1,529,983 増加 23,346 増加 1.55 増加 3.40 35位
1990年 1,515,025 減少 14,958 減少 0.98 増加 2.12 37位
1995年 1,506,700 減少 8,325 減少 0.55 増加 1.58 41位
2000年 1,493,092 減少 13,608 減少 0.90 増加 1.08 40位
2005年 1,467,815 減少 25,277 減少 1.69 増加 0.66 35位
2010年 1,431,493 減少 36,322 減少 2.47 増加 0.23 34位
2015年 1,385,262 減少 46,231 減少 3.23 減少 0.75 36位
2020年 1,334,841 減少 50,421 減少 3.64 減少 0.75 34位

政治

[編集]

県政

[編集]

歴代県知事(公選)

[編集]

行政機関

[編集]

県の出先機関として5市(西条・今治・松山・宇和島・八幡浜)に地方局が設置されていたが、近年の財政難や市町村合併により、東予・中予・南予の3県域ごとに再編され東予地方局が西条、中予地方局が松山、南予地方局が宇和島に設置され、今治には東予地方局の支局、八幡浜には南予地方局の支局が設置されている。

出先機関は

県議会

[編集]

財政

[編集]

バブル景気時の大型観光施設整備やバブル不況期の景気対策で、県債の発行残高が増加し、県の財政が悪化。三位一体改革による補助金減少でさらに悪化している。そのため県は大型公共事業の凍結・見直し・先送り、県職員の給料カット、知事公舎などの売却、行政機関の再編などで財政再建を進めている。

平成18年度
[編集]
  • 標準財政規模 3233億1400万円
  • 財政力指数 0.37232(都道府県平均 0.46)。愛媛県は財政力指数0.3 - 0.4のIIIグループ(11自治体)に分類されている。
  • 経常収支比率 89.8%(都道府県平均 92.6)
  • 実質収支比率 0.6%
  • 人口一人当たり人件費・物件費 13万0046円(都道府県平均 12万4759円)
  • 人口一人当たりの地方債現在高 65万6826万円(都道府県平均 62万2416円) 注意 上記は普通会計分の地方債のみを計算している。
  • 実質公債費比率 14.6%(都道府県平均 14.7%)
  • 人口100,000人当たり職員数 1,388.25人(都道府県平均 1,173.11人)。定員適正化計画に沿って職員数削減を進めている。
  • ラスパイレス指数 97.1(都道府県平均 99.6)

地方債残高

  • 普通会計の地方債現在高 9719億5500万円
  • 上記以外の特別会計の企業債(地方債)残高 415億8200万円
    • 主な内訳 病院事業会計分 約213億円
  • 第3セクター等の地方債等残高 2億2600万円
  • 地方債等の合計 1兆0137億6300万円(連結会計)
  • 愛媛県民一人当たりの地方債等残高 70万1401円(連結会計)
平成17年度
[編集]
  • 財政力指数:0.34(平成17年度)の財政力指数)

国政

[編集]

衆議院

[編集]

長く自由民主党が選挙区を独占していたが、第45回衆議院議員総選挙では愛媛3区で民主党公認の白石洋一が当選した。第46回衆議院議員総選挙では再び小選挙区で自由民主党が選挙区を独占した。比例四国ブロック2区の西岡新、4区の桜内文城(両氏とも日本維新の会公認)が復活当選した。第48回衆議院議員総選挙では、白石洋一が議席を取り戻した。

参議院

[編集]

衆議院と同様に自由民主党が独占していたが、第21回参議院議員選挙では現職の自由民主党候補を破り民主党社会民主党などが推薦する無所属の友近聡朗が(その後民主党を経て国民の生活が第一に入党)が当選した。2013年第23回参議院選挙では自由民主党新人で元四国中央市長の井原巧が他の新人候補を破って当選し、再び自民党が議席を独占することとなった。

愛媛県選挙区

法務局

[編集]

裁判所

[編集]

自衛隊

[編集]

陸上自衛隊松山駐屯地に駐屯する。治安出動および防衛出動が下令された場合、愛媛県内の発電所、変電所、空港、重要港湾、重要橋梁、石油関連施設、重要生産工場などに展開する。敵対勢力から急迫不正の攻撃が予測される場合には、対象目標を迅速に撃破する。また、山林火災や渇水、洪水時などの災害派遣も担当する。

経済・産業

[編集]

経済

[編集]

愛媛県は、前述したように、各地が山で隔てられているため、都市圏が孤立している。以下に愛媛県が定めた中央圏域区分を記す。

松山都市圏は、松山市とその周辺の都市のみで構成している。山がちな高縄半島四国山地、とりわけ石鎚山脈の影響で愛媛県の主要都市である今治市新居浜市宇和島市などと隔絶されている。そのため、県全体で都市圏を構成している高松都市圏徳島都市圏のようにはいかず、四国で3位の都市圏となる。しかし、これは10%都市圏の話である。総務省統計局の定義する都市圏 (総務省)(1.5%都市圏)には四国で唯一掲載されている。定義によって松山都市圏の規模の見方は変わってくる。

産業

[編集]

愛媛県は地理的に東予・中予・南予に三分されるが、産業においてもこれら地域によって大きく様相が異なる。

  • 東予は、四国中央市の紙関係、新居浜市西条市の化学工業、非鉄金属、産業機械、電機関係、今治市の造船とタオルといった製造業が中心で、瀬戸内工業地域の一角ある。別子銅山があった新居浜市は旧住友財閥発祥の地であり、現在でも住友グループの企業が工場を構えている。
  • 中予は、松山市を中心とした地域で、松山市だけで愛媛県の人口の3分の1を占めており、政治・経済、商業活動の中心として第三次産業が主力ながら、臨海部には化学工業も発達している。
  • 南予は、柑橘類や養殖漁業を中心に第一次産業に特化している。その反面、製造業の集積が貧弱であり、経済基盤も脆弱である。そのため県や南予の自治体はコールセンターなどの誘致に補助金を支給するようにして企業の誘致を図っている。

農業

[編集]
イヨカン

県下各地で、柑橘類が生産され、みかんいよかんが有名。キウイフルーツなども有名である。そのうちみかんは2003年(平成15年度)まで、僅差ではあるが日本一の座を守ってきた。しかし2004年(平成16年度)には34年ぶりに和歌山県に日本一の座を明け渡した。 その後、2017年(平成29年度)まで2位を維持していたが、2018年(平成30年度)と2020年(令和2年度)に静岡県に抜かれ3位となる年もあるなど生産量の低下が顕著になっている。

  • 裸麦 - 生産量日本一。
  • キウイフルーツ - 生産量日本一、全国シェア約2割。
  • いよかん - 生産量日本一、全国シェア約9割。
  • みかん - 生産量全国2位、全国シェア約16%。
  • ポンカン - 生産量全国1位、全国シェア約35%。
  • ハッサク - 生産量全国3位、全国シェア約1割。
  • 栗 - 生産量全国3位、全国シェア約1割。
  • ネーブルオレンジ - 生産量全国4位、全国シェア約1割。

林業

[編集]

林業産出額は57億6千万円(2010年)となっており、木材生産が41億円と全産出額の71.2%を占めている[17]。全国の林業産出額の割合では木材生産の割合は45.1%で全国と比べ愛媛県では木材生産の割合が高くなっている[17]。品目別の木材生産ではが22億3千万円と最も多く、次いでが18億1千万円である[17]

1980年には林業産出額は254億7千万円[18]であったが、外国材の流入による価格低下や林業従事者の減少などによって大幅に激減している。

漁業

[編集]

燧灘、伊予灘、宇和海という性質の異なる3つの海域に面し、それぞれ独自の漁業が営まれている。

  • 燧灘では、小型漁船による漁業が行われている。かつては、鰯などの好漁場であったが、資源が枯渇しつつあり、漁獲高も多くない。沿岸部では、海苔などの養殖が小規模ながら行われている。また、来島海峡などの海峡部ではタイ、デベラなども獲れる。しかし、養殖は盛んではない。
  • 伊予灘では、漁船漁業が中心である。小魚中心。
  • 宇和海では真珠ハマチブリ)の養殖が盛んで、タイの養殖では日本一となっている。真珠養殖も長らく日本一であったが、大量斃死の影響で、日本一の座から滑り落ちてしまった。

製造業

[編集]

製造品出荷額等(2010年)は、3兆7,924億円であり、非鉄金属が6,044億円(全体の15.9%)と最も高く、次いでパルプが5,211億円 (13.7%)、輸送用機械が5,112億円 (13.5%)、化学が4,231億円 (11.2%)、石油・石炭が3,936億円 (10.4%) などとなっている[19]

事業所数(2010年)は全体では2,434事業所で、産業別に見ると食料が460事業所 (18.9%) と最も高く、次いで繊維が333事業所で (13.7%)、パルプが225事業所 (9.2%) などとなっている[19]。従業員数(2010年)では全体が76,347人で食料が13,574人 (17.8%) と最も高く、次いでパルプが9,769人 (12.8%)、「繊維」が7,647人 (10.0%) などとなっている[19]

市町村別の製造業出荷額等では、今治市が8,871億円が最も多く、西条市が8,113億円、新居浜市が6,150億円、四国中央市が6,068億円、松山市が4,237億円などとなっている。上位4位は東予地方の市が占めており、上島町を含めると愛媛県全体の製造業出荷額等の7割以上 (78.5%) を東予地方の市町が占めている[19]

東予地方
[編集]
住友金属鉱山東予工場
繊維関係
タオル今治市
縫製業
紙製品関係
四国中央市大王製紙が本社を置いている。一般的な製紙業(新聞紙・印刷用紙・包装用紙・衛生用紙など)のほか、祝儀用品書道用紙などの日用品の生産が活発である。
化学・金属
新居浜市西条市など。住友グループ住友金属鉱山住友化学住友重機械工業、SEN)、鉄鋼(日本製鉄)、メカトロニクスなど
石油化学
今治市。太陽石油
電機・機械
新居浜市、西条市、今治市。ルネサス エレクトロニクス住友重機械工業ハリソン東芝ライティングなど
造船
今治市。今治造船および新来島どっくグループ。
食品
今治市、西条市。日本食研ホールディングスアサヒビールなど。
中予地方
[編集]
大阪ソーダ松山工場
繊維関係
化学繊維縫製業
東レ松前町)、帝人松山市)などの関連工場がある。
石油化学
松山市。コスモ松山石油三菱化学など。
機械・電気関係
松山市、東温市など。電気・電子部品、農業機械、繊維機械などおよびその部品。井関農機三浦工業PHCなど。
食料品
松山市。果実飲料削り節伊予市)など えひめ飲料ヤマキマルトモなど。
南予地方
[編集]

電子部品工場や自動車部品工場などが撤退し地元では雇用の減少に頭を悩ませている。ただ水産業が盛んであるため飼料などの工場は複数立地している。

食品関係
宇和島市など。メルシャン日清丸紅飼料など。
魚肉練製品
じゃこ天蒲鉾削りかまぼこ八幡浜市など。八水蒲鉾など。

鉱業

[編集]

かつては、新居浜市(旧別子山村)の別子銅山などの鉱山があったが次々と閉山し、現在は今治市の大島で大島石を採掘するぐらいになっている。

建設業

[編集]

バブル崩壊後は景気対策の一環として次々と公共事業が行われ建設業は栄えたが、後に県財政の悪化や三位一体改革で公共事業が減少し現在、県内の建設会社が倒産したり、会社分割など再建を図る企業も出てきている。建設業の不振で工場や事業所の撤退が相次ぐ南予地方は大きなダメージを受けている。

小売業

[編集]
松山市駅の駅ビルでもある「いよてつ高島屋」
「三越」などがある松山市一番町

百貨店では、松山市に伊予鉄髙島屋松山三越がある。閉店した店舗としては主に大丸今治市新居浜市)、髙島屋(今治市)がある。なお、今治大丸は、2008年(平成20年)12月に閉店した。

総合スーパーマーケットは、以下のような店舗がある。

フジ・リテイリング
フジグラン:フジグラン松山フジグラン重信エミフルMASAKIほか計9店舗
イオングループ
イオン
ジャスコ松山市、四国中央市、新居浜市
サティ今治市
統合以降:今治市
マックスバリュ:松山市、新居浜市、今治市
ザ・ビッグ:新居浜市、松山市、今治市
マルナカ:東予・中予エリアを中心に県内全域に27店舗

かつてはニチイ(松山、今治、新居浜など)、ダイエー松山、新居浜、西条など)、イズミ松山)なども進出していたが2013年1月現在それらの店舗はない。

また近年では、岡山勢で24時間オープンのスーパーである大黒天物産(ラ・ムー、ディオ、2005年以降)やハローズ(2010年以降)による出店攻勢もある。(2020年1月7日現在、大黒天:7、ハローズ:7)

電力・ガス業

[編集]

県内の電力は四国電力によって供給されているが、今治市の一部島嶼部、上島町では中国電力、新居浜市の別子山地区では住友共同電力によって供給されている。

主な発電所は

他、県内にはいくつかの水力・風力発電所がある。

県内には四国唯一の原子力発電所である伊方原子力発電所がある。四国電力の原子力本部は本店のある高松市に設置されていたが、2011年(平成23年)6月末に原子力燃料部など一部部門を除き松山市に移転した[20]


都市ガスは四国ガスによって松山市・今治市・宇和島市など一部の地域のみに整備されている。そのためほとんどの地域はプロパンガスによってガスが供給されている。

情報通信業

[編集]

愛媛県では、コールセンター誘致に補助金を交付していて、南予地方や松山市へのコールセンター誘致に成功している。また松山市には、コールセンター以外にも大手保険会社の集中事務センターが設置されたり、サイボウズの開発拠点設置が計画されるなど多くの新規雇用が生まれている。

観光業

[編集]
道後温泉駅前

愛媛県の観光客数は延べ2450万9千人(2011年)で、観光客消費総額は1049億円(2011年)となっている[21]

地域別では、松山圏域(中予地方)が最も多く延べ1010万4千人[22]、今治圏域(今治市上島町)が延べ436万1千人、八幡浜・大洲圏域(八幡浜市大洲市西予市内子町伊方町)が延べ402万3千人(2011年)、東予東部圏域(四国中央市新居浜市西条市)が延べ335万0千人、宇和島圏域(宇和島市松野町鬼北町愛南町)が延べ267万1千人となっている[22]

県外観光客は尾道市今治市を結ぶしまなみ海道が開通し、開通した1999年には県外観光客延べ数は1100万人を超え「しまなみブーム」と呼ばれる程、観光客が大幅に増加した[23]2000年にはブームの収束で県外観光客は減少したが、その後は800万人から1000万人で推移している[23]。2011年の県外観光客数は延べ9,396千人で観光客消費総額は931億円である[24]

ミシュランガイド日本編で2つ星にそれぞれ選定された、3000年の歴史を有する道後温泉四国最大の平山城である松山城、また、東・中・南予地方特有の自然や文化施設などの観光資源があり、毎年、県内各地で数多くのイベントが行われている。

県内に本社を置く主要企業

[編集]

上場企業

[編集]

非上場企業

[編集]
木子七郎設計による国の登録有形文化財:石崎汽船本社

県内に拠点事業所・工場を置く主要企業

[編集]
帝人松山事業所

県内に工場・事業所を置く主要企業(上の項目を除く)

[編集]

金融機関

[編集]

銀行

[編集]
伊予銀行本店

信用金庫

[編集]

郵便局

[編集]
松山中央郵便局

県人会

[編集]

生活・交通

[編集]

警察

[編集]

愛媛県警察本部の管轄にある。以下16警察署が置かれている。

海上保安庁

[編集]
第六管区巡視艇「おきなみ

第六管区海上保安本部の管轄にある。

  • 松山海上保安部(松山市)
  • 今治海上保安部(今治市)
    • 新居浜海上保安署(新居浜市)
    • 三島川之江分室(四国中央市)
  • 宇和島海上保安部(宇和島市)
  • 来島海峡海上交通センター(今治市)

交通

[編集]

航空

[編集]
松山空港(MYJ)

現在、愛媛県内にある空港は松山空港のみである。国内線では、東京成田大阪中部福岡鹿児島那覇、国際線では上海/浦東ソウル/仁川台北/桃園への定期便が就航している。1959年から1965年までは新居浜市の黒島地区に海上空港があり、大阪・大分へ定期便が就航していた。

国内線

[編集]
航空会社就航地
日本航空(JAL)[注釈 7] 東京/羽田大阪/伊丹福岡鹿児島
全日本空輸(ANA)[注釈 8] 東京/羽田、名古屋/中部、大阪/伊丹、沖縄/那覇
ジェットスター・ジャパン(JJP)[注釈 9] 東京/成田

国際線

[編集]
航空会社就航地
中華人民共和国の旗 中国東方航空 (MU)[注釈 10]中国上海/浦東(月・金)[注釈 11]
大韓民国の旗チェジュ航空(7C)韓国ソウル/仁川(火・木・日)[注釈 12]
中華民国の旗エバー航空(BR)[注釈 13]中華民国(台湾)台北/桃園(水・木・土・日)[注釈 14]

鉄道

[編集]
JR四国の特急車両
松山城を背景に運行される「坊っちゃん列車」(伊予鉄道松山市内線)

JR線に関しては、予讃線の川之江駅から伊予市駅の区間が電化されており、日中の普通列車の本数は県内全域に亘り毎時1本以下である。また2024年8月まではJR線を保有しない沖縄県を除く46都道府県では唯一、4番線以上の旅客用のホームを保有するJR線の駅が存在しなかった。

バス

[編集]
宇和島自動車特急バス

航路

[編集]
松山観光港高速艇桟橋

道路

[編集]
三津の渡し(松山市道:高浜2号線)

医療・福祉

[編集]
災害拠点病院
愛媛県災害拠点病院
保育所
愛媛県保育所一覧

教育

[編集]

県内の一部、特に南予地方の公立中学校において、生徒への部活強制加入制度、所謂部活強制の問題が残存している。

大学
愛媛大学
松山大学

国立

私立

短期大学

私立

通信制大学
高等専門学校
中等教育学校

県立

私立

専修学校
特別支援学校
高等学校
中学校
小学校
幼稚園
その他教育機関
農業大学校
海上技術短期大学校

国立

職業能力開発校

県立

マスメディア

[編集]

新聞

[編集]

テレビ局

[編集]
概況
[編集]

愛媛県ではテレビ東京系列を除く4大キー局系列局が視聴できる。ただし、平成新局であるあいテレビと愛媛朝日テレビは先発局と比べて中継局の数が少なくなっている。

デジタルテレビの親局送信所は伊予市の行道山に置かれている。

変遷
[編集]

愛媛県では1957年(昭和32年)5月29日NHK松山放送局が、翌1958年(昭和33年)12月1日南海放送がそれぞれVHF波によるテレビ放送を開始した。4年後の1962年(昭和37年)6月1日にはNHK松山がそれまでの総合テレビに加えて教育テレビ(Eテレ)の放送を開始し、結果的にはこれが愛媛県における最後のVHF局となる。そして全国的にUHF局が開局していった1969年(昭和44年)12月10日、愛媛県にとって初のUHF局である愛媛放送(現・テレビ愛媛)が開局した。以降、平成に入るまではテレビ事情に変化は無く、23年間は NHK、日テレ系、フジ系の3局4波時代が続いていた。ところが平成に入ると1992年(平成4年)10月1日あいテレビが、1995年(平成7年)4月1日愛媛朝日テレビが開局し、民放の数が一気にそれまでの倍となり、テレビ環境が著しく変化・向上した。その後2006年(平成18年)10月1日、全局一斉に地上デジタルテレビ放送(通称:地デジ)を開始、5年間のアナ・デジ共存期間を経て2011年(平成23年)7月24日にそれまでのアナログ放送を終了し現在に至る。

ラジオ局

[編集]

エフエム愛媛の親局送信所と南海放送のFM補完放送のメイン中継局はデジタルテレビ親局と同じ行道山であるが、NHK-FMの送信所は松山市街地の城山に置かれている。

コミュニティラジオ局

[編集]

ケーブルテレビ局

[編集]

アマチュア無線FM中継局(レピータ)設置場所・周波数

[編集]
JR5WA(松山市高縄山)439.40 MHz、1291.38 MHz、2426.22 MHz
西瀬戸内海に四国側から突き出している高縄半島、標高約1000mの高縄山山頂に設置され、愛媛県第一、第二の人口を持つ松山と今治を中継するとともに、西瀬戸内海沿岸地域など広範囲なサービスエリアを有する計画レピータ
JR5WC(久万高原町陣ヶ森)439.82 MHz、1292.82 MHz
皿ヶ嶺連峰県立自然公園内、標高1,200mの陣ヶ森に設置され、県内最高峰に位置している。松山平野と久万高原町を中継するとともに、岡山県西部・広島県・山口県・大分県の瀬戸内海沿岸部もサービスエリアに含めている実質的な広域レピータ[注釈 15]
JR5WK(宇和島市小岩道)439.76 MHz、1292.36 MHz
標高約450mの小岩道(旧津島町)にあり南予の中心都市宇和島と南宇和郡とを中継するレピータ。南予は平地が少なく、また、リアス式海岸のため、都市間の電波伝搬状況が悪く、中継局が不可欠である。
JR5WO(四国中央市呉石高原)439.64 MHz、1292.74 MHz
標高800mの呉石高原にあり、東予の新居浜・四国中央・香川県の西部地域と山村である旧新宮村別子山村を中継するレピータ。海上伝搬により岡山県西部や広島県東部の沿岸部もサービスエリアに含めている。
JR5WR(大洲市神南山)439.88 MHz、1292.22 MHz、2425.44 MHz
パラグライダーの基地などがある標高710mの神南山にあり、大洲市と西予市・肱川町・内子町などその周辺部を中継するレピータ。久万高原町の一部などもサービスエリアに含めている。
JR5WS(宇和島市泉ヶ森)439.56 MHz、1292.60 MHz、2425.38 MHz
標高約750mの宇和島地域のテレビ送信塔などがある泉ヶ森にあり、宇和島市と鬼北町・松野町などを中継するレピータ。その標高から対岸の大分県南部の沿岸部もサービスエリアに含めている。
JR5WW(西条市横峰寺)439.96 MHz
標高約780mの横峰寺の上にあり、西条・今治を中継するレピータ。その標高から燧灘方面もサービスエリアに含めている。
JR5WX(伊方町見晴山)439.52 MHz、1292.66 MHz
佐田岬の中間点、見晴山(標高約400メートル)にあり、佐田岬半島の各町と八幡浜市や伊予灘・宇和海沿岸の市町とを中継するレピータ。そのロケーションから松山や大分県東沿岸地域もサービスエリアに含めている。
JR5WY(愛南町御荘中浦)439.62 MHz
標高約200mの旧御荘町中浦にあり、リアス式海岸のため電波状況が悪い愛南地域一帯を中継する局部レピータ
JR5VL(伊予市秦皇山)439.20 MHz、1291.56 MHz
標高約870mの中山地区のテレビ送信塔などがある秦皇山にあり、松山平野と旧中山町・旧広田村・内子町など山村を中継する計画レピータ。そのロケーションから久万高原町の一部や広島県西部・山口県・大分県瀬戸内海沿岸地域もサービスエリアに含めている。
JP5YCF(松山市大峰ヶ台)439.62 MHz、1292.62 MHz
愛媛県の人口の3分の1以上を有する松山平野間の中継を担う局部レピータ。JR松山駅の西側にある標高130メートルの大峰ヶ台に設置されている。
JP5YCG(上島町魚島城山)439.90 MHz、1292.56 MHz
瀬戸内海燧灘のほぼ中央にある孤島で、釣り客が訪れる魚島の城山展望塔(標高150メートル)に設置されており、魚島の集落は広島県側に向いているため、旧魚島村と愛媛県東予全域を中継するレピータ。標高はあまりないものの強力な海上伝搬のため、香川県西部やしまなみ海道もサービスエリアに含めている。
JP5YCI(西予市金剛岩)439.70 MHz
野村地域のテレビ送信塔がある金剛岩(標高約500メートル)にあり、山間部の野村地域と大洲市などを中継するレピータ。その標高から肱川町の一部などもサービスエリアに含めている。
JP5YCJ(八幡浜市郷)1292.02 MHz
八幡浜市の西部の標高約300メートルの郷(峠)にあり、八幡浜市と大洲市を中継する局部レピータ。

日本アマチュア無線連盟 (JARL) を免許人とするアマチュア無線用中継局が県内各所に設置されており、運営・管理はJARL直轄局である JR5WA を除きJARL愛媛県支部と密接な関係にある愛媛レピータ研究会がボランティアで行っている。愛媛県の地形は西日本最高峰の石鎚山を有するなど急峻な山が多く、かつ、南予のリアス式海岸など都市・集落間の通信を妨げる要因が多彩に存在するため、それらをカバーするように設置されているところに特色がある[25]

文化・スポーツ

[編集]

県民気質と文化的背景

[編集]

江戸時代に、伊予八藩と呼ばれるように、多くのが分立したため、地域ごとに微妙に異なる文化が息づいている。この点、同じ四国内でも一藩であった高知県(土佐、土佐藩)や徳島県(阿波、徳島藩)、三藩(高松藩丸亀藩、多度津藩)であった香川県(讃岐)と状況を異にしている。

明治時代以降の地理的区分である、東予、中予、南予という三区分も文化的背景を語るには欠かせない要素となっている。

愛媛の人の気質は、端的にいえば保守的である。

古くから山の幸、海の幸が豊富であったため、郷土料理といえるものが少なくない。

住民の気質も、今日ではかなり薄まったといわれるが、東予、中予、南予で若干異なる。

たとえ話で、100万円あったら、東予の人はそれを元手に商売を始め、2倍3倍に増やそうとする、中予の人はそれを預けて金利を趣味に充て、温泉三昧の生活を夢見る、南予の人は一晩で使い切るような大散財をする(特に酒宴)、と評される(同様の話は、四国四県にもあり、高知県の喩えは南予に似ている)

方言

[編集]

愛媛県内の方言は伊予弁と呼ばれるが、地域によって違いがある。夏目漱石の小説『坊っちゃん』などの影響で「ぞなもし」が有名だが、これは松山市の方言であり、しかも現在の松山市では一部の年配者が使う「ぞな」にかろうじて形跡を感じられる程度で、一般には使われない。伊予弁はアクセントの地域差が大きく、東予・中予では京阪式アクセント、南予では東京式アクセント、大洲では崩壊アクセントである。語彙・表現では東予東部は讃岐弁、東予西部は広島弁、中予は関西弁、南予は幡多弁との関係が窺える。[要出典]

食文化

[編集]

郷土料理

[編集]
  • 麦味噌 - 愛媛県は全国の裸麦の生産の4割を占め、特に松山平野水稲裏作として作付される。こうした麦を用いた麦味噌の工場30か所余が愛媛県内各地に分布している。麦を多量に用いるため、含まれる麹の量もやや多くなり、発酵が進み、独特の甘みを持った味となる。製造所によって独特の味があるが、一般的に県内でも南になるほど、甘みが増すといわれる。伊予さつまなど、味噌を使った郷土料理もある。
  • 醤油 - 味噌同様、南になるほど甘みが増す傾向にあり、他県の人が「砂糖醤油」と評することもあるほどである(実際作る過程で砂糖を入れることがある)

特産品・名産品

[編集]
南予の鯛めしの一例


伝統工芸

[編集]
経済産業大臣指定伝統的工芸品
砥部焼(陶磁器、1976年
大洲和紙(和紙、1977年
伝統工芸品

スポーツ

[編集]

観光

[編集]

有形文化財建造物

[編集]

史跡・旧跡

[編集]
松山城(国の史跡・重要文化財)
宇和島城(国の史跡・重要文化財)
松山城
豊臣秀吉朝鮮出兵の際に水軍の将であった加藤嘉明が、1602年(慶長7年)に築城を開始した広大な平山城であり、城山公園全体は国の史跡で、建造物21棟は国の重要文化財に指定されている。黒船来航の翌年に当たる1854年(安政元年)に、15万石の親藩松平家により本壇天守群が再建されたため、代表紋章は葵の御紋城山の樹叢(樹林)は、県指定天然記念物。登城客の利便のため、城山索道が設置されている。日本100名城美しい日本の歴史的風土100選道後温泉とともに)、日本さくら名所100選日本の歴史公園100選などの指定も受け、標高150mの松山城天守からの眺望も素晴らしく、松山市ランドマークであるとともに愛媛県を代表する観光名所である。日本に12か所しかない現存天守の一つ。
宇和島城
伊達家10万石の居城。日本100名城大名庭園天赦園も現存。日本に12か所しかない現存天守の一つ。
今治城
藤堂高虎が築いた日本三大水城で、日本100名城
大洲城
日本100名城
湯築城
道後温泉近くの中世城郭縄張りが残る、日本100名城
大山祇神社

名所

[編集]
四国カルスト
県史跡近藤篤山旧邸

温泉

[編集]

道後温泉郷に代表されるように古くから天然温泉が親しまれている。

祭事・催事

[編集]
道後温泉本館(重要文化財)
  • 道後温泉まつり (毎年4月19・20・21日)道後温泉おどり、時代絵巻パレードなどが見所
  • 松山まつり (毎年8月11・12・13日)野球拳を基にした野球拳おどり、野球拳サンバが松山市街を練り歩く
  • 松山春まつり (毎年4月第一週目の金・土・日曜日)桜が満開のこの季節に、松山城周辺で行われる。大名行列や茶会、本家野球拳全国大会、地元学生らによる催し物が見所。

新居浜太鼓祭り

[編集]
新居浜太鼓祭り

毎年10月16・17・18日。

総勢50台の太鼓台が町を練り歩く祭り。明治時代に町の発展と共に大きく豪華になり、市外の太鼓台にも影響を与えている。

市内5つの地区ごとに集まりかきくらべが行われ、毎年数十万人という観光客が訪れるほど人気を誇っていたが、現在は10万人程度に落ちている。

16日早朝の内宮神社宮出しの大階段かき上げはまだ夜が明けない内の行事だが、多くの観客で神社が埋めつくされる。

17日午前の国領川河川敷、17日午後の山根グラウンド、17日夕方の工場前、17日夕方の多喜浜駅前、18日午前の大江浜、18日午後の一宮神社、18日午後の八旛神社などで行われるかきくらべは多くの観客で賑わう。

隔年の18日午前に川西地区の新居浜港で行われる船御幸は一宮神社の神輿船渡御に合わせて、太鼓台を台船に乗せてお供をする行事。近年では川東地区の新居浜東港においても川西地区の翌年に船御幸が行われるようになった。

阿波踊り、よさこいに並ぶ『四国三大祭』の1つである。

土居太鼓祭り

[編集]

毎年10月13・14・15日。

14日にふるさと広場で行われる、総勢14台の太鼓台による寄せ担きが見所

15日に関川地区で行われる鉢合せと呼ばれる太鼓台同士の喧嘩も見応えがある。

西条祭り

[編集]

開催日は神社によって異なり、嘉母神社では毎年10月体育の日の前々日・前日、石岡神社では毎年10月14・15日、伊曽乃神社では毎年10月15・16日となっている。

山車は京都の祇園祭に通ずるところがあり、だんじりや太鼓台や神輿などによる練り廻しや担き比べが見所

うわじま牛鬼まつり

[編集]

毎年7月22・23・24日。

牛鬼パレードがある。

観光スポット・テーマパーク

[編集]

博物館・美術館

[編集]
愛媛県美術館
紫電改展示館

スポーツ施設

[編集]
愛媛県武道館

対外関係

[編集]

愛媛県を舞台とした作品

[編集]

文芸

[編集]
おはなはん通り(大洲市)

映画

[編集]

ドラマ

[編集]

アニメ

[編集]

漫画

[編集]

出身者

[編集]

愛媛県は、大江健三郎(1994年ノーベル文学賞)、中村修二(2014年ノーベル物理学賞)、真鍋淑郎(2021年ノーベル物理学賞)の3人のノーベル賞受賞者を輩出している。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 現在の県章は1989年制定。現在も県章を定める公告は有効であるがほとんど使用されず、県旗のみが紹介されることが多い。
  2. ^ 瀬戸内海瓢箪島内に陸上の県境を有する[1]。また、架橋されており両県間を自動車で通行可能。
  3. ^ a b 海上を隔てて隣接。
  4. ^ 両遺跡は標高約300メートルの地点にある。東峰遺跡ではAT火山灰の下から局部磨製石斧・台形様石器・安山岩大型石核が、高見I遺跡でもチャート製の剥片と推奨製の破片が出土している。なお高見I遺跡のAT火山灰の上からナイフ形石器や石核などが出土している[9]
  5. ^ ほかに2万石ほどの幕府領もあり、川之江代官所が置かれている。
  6. ^ 国別の総石高では伊予国が四国最大である(正保郷帳によれば伊予国40万石、土佐国24万石余、阿波国18万石余、讃岐国17万石余。旧国郡別石高の変遷参照)。
  7. ^ ジェイエア日本エアコミューターの機材・乗務員で運航する便あり。
  8. ^ ANAウイングスの機材・乗務員で運航する便あり。
  9. ^ 日本航空(JAL)とのコードシェア(JAL国際線との乗継時のみ)。
  10. ^ 日本航空(JL)との共同運航便。
  11. ^ 就航時、週2便(月・金)。 2012年4月18日から週3便(月・水・金)、2012年10月29日以降 4便(月・水・金・土)に増便されたが、2013年10月27日から週2便(月・金)に減便。エアバスA319型機。
  12. ^ 2017年11月2日から週3便(火・木・日)で就航。ボーイング737-800型機。 2018年7月・8月および冬ダイヤ期間中は週5便に(月・火・木・金・日)に増便された。2019年冬ダイヤは増便検討も日韓関係悪化に伴い中止。
  13. ^ 全日本航空(NH)・ニュージーランド航空(NZ)との共同運航便。
  14. ^ 2019年7月18日より週2便(木・日)で就航。エアバスA321型機。 2020年4月10日より週4便(水・木・土・日)に増便。
  15. ^ 開局当時は計画レピータの制度がなく広域レピータ周波数の割り当てがなかったため。
  16. ^ 名古屋市科学館が竣工する2010年までは、世界最大であった。

出典

[編集]
  1. ^ 広島県の文化財 - 瓢箪島”. 広島県教育委員会. 2022年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月28日閲覧。
  2. ^ 全国都道府県市区町村別面積調 国土地理院 2013年11月28日閲覧
  3. ^ 伊予之二名島”. 神名データベース. 國學院大學. 2023年8月7日閲覧。
  4. ^ 一 伊予(伊豫)”. 愛媛県史 文 学(昭和59年3月31日発行). 2023年8月6日閲覧。
  5. ^ a b 二 愛媛”. 愛媛県史 文 学(昭和59年3月31日発行). 2023年8月6日閲覧。
  6. ^ a b (2)愛媛の「姫」づくり”. 愛媛の技と匠(平成9年度). 2023年8月6日閲覧。
  7. ^ 愛媛面影”. 文化遺産オンライン. 2023年8月6日閲覧。
  8. ^ 調査・研究 えひめの歴史文化モノ語り 第47回 伊予国全域網羅の地誌「愛媛面影」”. 愛媛県歴史文化博物館 (2019年6月14日). 2023年8月6日閲覧。
  9. ^ 寺内浩「愛媛のあけぼの」『愛媛県の歴史』 13-14ページ。
  10. ^ 寺内浩「古代国家と伊予国」」『愛媛県の歴史』43-44ページ。
  11. ^ 日本の特別地域特別編集64 これでいいのか愛媛県』42、43頁。
  12. ^ 伊予八県の成立/愛媛県史 近代 上(昭和61年3月31日発行)”. データベース『えひめの記憶』. 愛媛県生涯学習センター. 2021年9月15日閲覧。
  13. ^ a b c 海と峠の風土/愛媛県史 県政(昭和63年11月30日発行)”. データベース『えひめの記憶』. 愛媛県生涯学習センター. 2021年9月15日閲覧。
  14. ^ 愛媛県の歴史と文化”. 愛媛県教育委員会文化財保護課. 2021年9月18日閲覧。
  15. ^ 愛媛県史 芸術・文化財(昭和61年1月31日発行) 一 藩政期から昭和初期 - データベース『えひめの記憶』|生涯学習情報提供システム.
  16. ^ a b c “愛媛県人口ビジョン”. https://www.pref.ehime.jp/h12100/jinnkoumonndai/documents/271027zinkoubijon.pdf 2017年1月5日閲覧。 
  17. ^ a b c 農林水産省統計部 (2010) 『生産林業所得統計』
  18. ^ 愛媛県農林水産部森林局『愛媛の森林・林業について(平成22年度実績版)』
  19. ^ a b c d 愛媛県企画振興部管理局統計課経済統計係 (2010) 『平成22年工業統計調査』
  20. ^ 四国電力、原子力本部を松山に移転”. 日本経済新聞. 2024年7月21日閲覧。
  21. ^ 愛媛県 (2011) 『平成23年 観光客数とその消費額』、2頁
  22. ^ a b 愛媛県 (2011) 『平成23年 観光客数とその消費額』、3頁
  23. ^ a b 愛媛県 (2011) 『平成23年 観光客数とその消費額』、5頁
  24. ^ 愛媛県 (2011)『平成23年 観光客数とその消費額』、4頁
  25. ^ モービルハム 1985年5月・1986年1月号 電波実験社、CQ ham radio 2008年10月号 CQ出版社、JARL愛媛県支部報 1983年 - 1998年号

参考文献

[編集]
  • 内田九州男; 寺内浩; 川岡勉; 矢野達雄『愛媛県の歴史』山川出版社、2003年。ISBN 978-4-634-32380-3 
  • 『日本の特別地域特別編集64 これでいいのか愛媛県』マイクロマガジン社、2014年。ISBN 978-4-89637-487-2 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
先代
石鉄県神山県
香川県(第2次)
行政区の変遷
1873年 -
次代
-----
香川県(第3次)