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経済産業大臣指定伝統的工芸品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

経済産業大臣指定伝統的工芸品(けいざいさんぎょうだいじんしていでんとうてきこうげいひん)は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号)[1]に基づいて経済産業大臣が次の5要件をすべて満たす工芸品を指定する制度である[2][3]。

  1. 主として日常用に供されるものであること
  2. 製造過程の主要部分が手工業的であること
  3. 伝統的な技術または技法により製造されること
  4. 伝統的に使用されてきた原材料を主素材とすること
  5. 一定の地域において継続的に生産が行われていること[注釈 1]

概要

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行政用語では伝統的工芸品と呼ばれ、次の要件によって指定される。

  1. 主として日常生活の用に供されているもの。
  2. 製造過程の主要部分が手工業的であるもの。
  3. 伝統的技術または技法によって製造されるもの。
  4. 伝統的に使用されてきた原材料を使用していること。
  5. 一定の地域で産地形成されていること。

経済産業大臣が指定する伝統的工芸品の品目数は、2025年(令和7年)10月時点で244点を数え[4]、分野ごと(業種別)の内訳は以下のとおりである[5]。

  • 人形・こけし(10)
  • その他の工芸品(25)
  • 工芸材料・工芸用具(3)


伝統的工芸品産業振興協会編著の『伝統的工芸品ハンドブック』では、法律において「伝統的」と認められる年数について「100年以上の歴史を有し、現在も継続しているもの」との基準が示されている[6]。

2000年(平成12年)の時点では千葉県と熊本県にも指定品目が存在しなかったが、2003年(平成15年)に千葉県の1品目・熊本県の3品目が指定された。

北海道においては先住民族であるアイヌが固有の文字を持たず口承のみが世代間の知識の伝達手段であったため、古来よりその工芸品が生産されてきたことを示す文献が残されておらず長らく伝統的工芸品の指定を受けている品目が存在していなかったが[6]、2013年(平成25年)2月にいずれも日高振興局管内沙流郡平取町二風谷の工芸品2点が指定を受け、全ての都道府県において1品目以上の指定が出揃うことになった[7]。

指定品目が多い都道府県は東京都が最多の23点で、次いで新潟県および京都府が17点となっている[8]。

生産額

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伝統的工芸品の生産額は1974年(昭和49年)以降、日本の経済成長の波に乗って年々増加を続け、1980年代には年間5000億円前後の水準を維持していた。とくに1984年(昭和59年)には生産額が5237億円とピークを迎えた。しかしながら、国民の生活様式の変化やバブル崩壊後の長引く景気の低迷、海外からの安価な生活品の輸入などの理由から2003年(平成15年)には2003億円と半減した。2003年度における各産地の関連工芸品総生産額は約6037億円であり、指定伝統的工芸品は工芸品総生産額の約3分の1を占めていることになる。2006年(平成18年)にはさらに1773億円まで落ち込んでいる[9]。

生産額の推移グラフ(経済産業省製造産業局 伝統工芸品産業室の資料を基に作成[9])

  • 「S」は昭和年度、「H」は平成年度を表す。
  • 下の数字は生産額(単位10億円)を表す。
年代S49S54S59S61S63H2H4H5H8H10H12H14H15H16H17H18
生産額305383383454509539461354321298314225235219214202

企業数及び従事者数

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企業数は1979年(昭和54年)の34,043社から2006年(平成18年)には16,704社と半減し、従事者数は1979年の28万7956人から2006年には9万3365人と3分の1にまで減少している[9]。

また30歳未満の従業者の比率も1974年(昭和49年)の28.6パーセントから2006年には6.1パーセントまで落ち込み、伝統的工芸品産業は高齢化が進んでいる[10]。

企業数及び従事者の推移グラフ(経済産業省製造産業局 伝統工芸品産業室 の資料を基に作成[11])

  • 「S」は昭和年度、「H」は平成年度を表す。
  • 下の数字は、企業数(単位100人、青棒)および従事者数(単位1000人、緑棒)を表す。
年代S49S54S59S61S63H2H4H5H8H10H12H14H15H16H17H18
企業数305383383454509539461354321298314225235219214202
従事者数280287236249229205186152137114961061031009893

持続可能性と地域活性化

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伝統的工芸品産業は、後継者不足や生活様式の変化といった課題に直面している。これに対し、国は「伝統的工芸品産業支援補助金」などの制度を通じて、若手後継者の育成、新商品開発、国内外への販路開拓、他分野との連携といった取り組みを支援し、産業の持続可能性の向上と地域活性化を促進している[12][13]。

経済産業大臣指定伝統的工芸品一覧

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本節の出典[5][8]

本項での決め事
  • 個々の記述内容は、左から順に、品目名、丸括弧内に、属する分野、指定年、主要製造地域、丸括弧を閉じる。次いで、必要に応じて記号(後述)を添え、最後に備考があればこれを記す。
なお、厳密には、2000年(平成12年)7月31日指定の甲州手彫印章までは通商産業大臣によって指定されたもので、2001年(平成13年)7月3日指定の八女提灯以降は経済産業大臣によって指定されたものである。
  • 複数の都道府県にまたがって指定されている品目は★印と☆印で表すこととする。★印は筆頭と見なせる生産地(中心的生産地、もしくは、伝統的中心地、あるいは、指定者が筆頭に挙げている生産地)を表す場合にのみ用いるが、☆印は、筆頭と見なせる生産地以外の生産地を表すのに用いるほか、中心的生産地を一つに絞れない場合にも用いる。なお、出典によると、一部の品目の主要製造地域に隣接する他都道府県の自治体があるが、当該都道府県では指定されていない。

北海道地方

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北海道

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東北地方

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青森県

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岩手県

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南部鉄器鉄瓶

宮城県

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秋田県

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山形県

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福島県

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関東地方

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茨城県

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栃木県

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江戸切子
鎌倉彫/文箱に描かれた菖蒲。
箱根寄木細工の秘密箱

群馬県

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埼玉県

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千葉県

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東京都

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神奈川県

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中部地方

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新潟県

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富山県

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輪島漆器

石川県

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  • 加賀繍(その他繊維製品、1991年、金沢市、能美市、白山市)

福井県

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山梨県

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長野県

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木曽漆器

岐阜県

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静岡県

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愛知県

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有松・鳴海絞りで染め抜かれた模様

近畿地方

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三重県

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滋賀県

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京都府

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大阪府

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出石焼の食器を使った料理/出石そば。
播州そろばん

兵庫県

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奈良県

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和歌山県

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中国地方

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鳥取県

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島根県

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岡山県

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広島県

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山口県

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四国地方

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徳島県

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香川県

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愛媛県

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高知県

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九州地方

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福岡県

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佐賀県

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長崎県

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熊本県

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大分県

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宮崎県

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鹿児島県

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沖縄地方

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沖縄県

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脚注

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注釈

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  1. ↑ 「一定の地域」とは、その工芸品が製造される地域を指し、原則として10企業以上または30人以上の従事者が含まれるものをいう。

出典

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  1. ↑ “伝統的工芸品産業の振興に関する法律”. Act of . e-Gov法令検索. 2025年7月27日閲覧.
  2. ↑ “伝統的工芸品に関する法律について”. 経済産業省 (2024年10月3日). 2025年7月27日閲覧。
  3. ↑ “伝統的工芸品とは?”. 東北経済産業局. 2025年7月27日閲覧。
  4. ↑ “伝統的工芸品 (METI/経済産業省)”. www.meti.go.jp. 2026年2月28日閲覧。
  5. 1 2 “工芸品を知る”. 伝統工芸 青山スクエア. 2023年1月30日閲覧。
  6. 1 2 北海道には伝統工芸品はない!?(excite コネタ)
  7. ↑ “北海道初の伝統的工芸品に指定。アイヌ織物、二風谷アットウシとは?”. ウォーカープラス (2018年5月28日). 2019年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月19日閲覧。
  8. 1 2 “伝統的工芸品指定品目一覧[都道府県別]”. 経済産業省 (2022年11月16日). 2023年1月30日閲覧。
  9. 1 2 3 伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について 平成20年8月 経済産業省製造産業局 伝統的工芸品産業室(PDF)
  10. ↑ 伝統的工芸品の現状
  11. ↑ 伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について 平成20年8月 経済産業省製造産業局 伝統的工芸品産業室(PDF)
  12. ↑ “令和5年度製造基盤技術実態等調査(伝統的工芸品産業の支援に係る実態調査等事業)報告書” (PDF). 経済産業省 (2024年3月29日). 2025年7月27日閲覧。
  13. ↑ “令和6年度「伝統的工芸品産業支援補助金」の公募について”. 経済産業省 (2024年1月5日). 2025年7月27日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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