一般国道

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一般国道(いっぱんこくどう)とは、日本における高速自動車国道以外の国道のこと。日本で単に「国道」と言うと一般国道を指すことが多い。各道路には番号が振られ、「一般国道○○○号」または「国道○○○号」と呼ばれる。一般的に「国道○○○号線」または「○○○号線」と呼ばれることも多いが、正式には「線」を付けない。

定義[編集]

道路法第5条では、「高速自動車国道と併せて全国的な幹線道路網を構成し、かつ、次の各号のいずれかに該当する道路で、政令で路線指定されたもの」としており、以下の各号を挙げている[1]

  1. 国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地(北海道の支庁所在地を含む。)その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市(以下「重要都市」という。)を連絡する道路(国道1号国道4号など)
  2. 重要都市又は人口10万以上の市と高速自動車国道又は前号に規定する国道とを連絡する道路(国道162号国道428号など)
  3. 2以上の市を連絡して高速自動車国道又は第1号に規定する国道に達する道路(国道259号など)
  4. 港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第2項に規定する国際戦略港湾若しくは国際拠点港湾若しくは同法附則第2項に規定する港湾、重要な飛行場又は国際観光上重要な地と高速自動車国道又は第1号に規定する国道とを連絡する道路(国道131号国道177号など)
  5. 国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市と高速自動車国道又は第1号に規定する国道とを連絡する道路(国道464号国道475号など)

上記1の規定は、かつての一級国道と同じものであり、県庁所在地規模の都市を結ぶ幹線道路を指す[2]。また、上記2、3、5の規定は、かつての二級国道の要件と同じものであり、複数の都市を結ぶか一級国道へと連絡する道路を規定しており、ネットワークを形成することがその要件となっている[2]。そして上記4の規定は、重要な港湾や空港と、幹線国道を結ぶ道路を指すもので、俗に言う「港国道」のことである[3]。 これらは道幅・長さ・歩道の有無・整備の度合いなどに関する規定が特になく、幹線道路網として上記に該当する政令で指定された道路が国道になっている[4]。なお、路線の指定は「一般国道の路線を指定する政令」により行われる。

指定区間(直轄国道)と指定区間外(補助国道)[編集]

一般国道の指定区間を指定する政令」による指定区間は、国(国土交通省地方整備局。北海道は北海道開発局、沖縄県は内閣府沖縄総合事務局[注釈 1])が管理を行い、これらを直轄国道と呼んでいる。

1952年に公布された旧道路法では二級国道は全て都道府県によって管理されるものとされたが、国にとって幹線道路網の整備は急務だったため、特に重要な区間を国による直轄管理とした改正道路法が1964年に発布され、1965年に施行された。これにより、旧一級国道のほとんどと北海道内の国道は全線が指定区間となった[5]。旧二級国道であっても、全線で高速自動車国道と並走する国道171号名神高速道路と全線で並走)は全線が指定区間である。

指定区間外は、国から補助金を受けて各都府県と政令市が管理する[5]。こちらを補助国道と呼んでいる。かつての二級国道の多くのほか、1993年までに国道に昇格した旧主要地方道一般都府県道が含まれる。旧一級国道であっても、交通量の少ない一部区間やバイパスに対する旧道は補助国道になっていることがある(例:国道14号東京都江戸川区東小松川 - 千葉市花見川区幕張IC間)。

国道番号[編集]

現在、一般国道は番号を路線名として使用しており、国道1号から507号までが指定されている。ただし、歴史的経緯により欠番があるため、実在するのは459路線である[6]。なお、かつての二級国道には都道府県道市町村道のように地点名を含む路線名がつけられており、これと別に路線番号があった[7]

1952年(昭和27年)6月の道路法では一級国道(番号が1桁・2桁のもの。57号まで)と二級国道(番号が3桁のもの。271号まで)に分けられていたが、1964年7月の道路法改正により、1965年(昭和40年)4月から一般国道に統一された[5]。一級・二級国道の統合以降、新設の国道には3桁の番号を指定することになったため、58 - 100号は欠番となった。ただし、1972年5月の沖縄の日本復帰時に、鹿児島市-那覇市の道路が特例として国道58号に指定されたため、現在の欠番は59 - 100号である[8]

また、1963年(昭和38年)の一級・二級国道再編に伴う路線の統合・変更により、109号(国道108号に統合)、110号(国道48号に変更)、111号(国道45号に変更)、214 - 216号(統合し国道57号に変更)も欠番になっている[9]

通常、3桁国道は他の国道との重用区間(重複区間)が起点である場合大きい番号のものは表示していない。

1969年(昭和44年)12月以降に制定(施行日は1970年(昭和45年)4月1日以降)された路線には政治的な路線も多く(例・田中角栄元首相の地盤だった新潟県中越地方には新潟県管理の300番台・400番台国道が多い)、一般に認識されているような「国道は立派な道である」との概念から外れる道が多くなる。

路線指定の沿革[編集]

一級国道と二級国道が統合され一般国道となったのち、次の5回にわたり路線が追加指定された(日付は政令の公布日である)[10]

特に、1993年の追加指定では、新規路線の指定の他に既存国道の路線延長指定が数多く行われたことと[注釈 2]高速道路に相当する一般国道の自動車専用道路が指定されたこと[注釈 3]が大きな特徴となっている[11]。また、サイエンスライター佐藤健太郎によれば、日本の国道路線網について、「今後は新たに国道路線指定がなされることはないだろう」との国土交通省の見解があったことが自身の著書の中で述べられている[12]

一般国道の路線番号一覧[編集]

001 - 058[編集]

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
41 42 43 44 45 46 47 48 49 50
51 52 53 54 55 56 57 58

(59 - 100は欠番)

101 - 200[編集]

101 102 103 104 105 106 107 108
112 113 114 115 116 117 118 119 120
121 122 123 124 125 126 127 128 129 130
131 132 133 134 135 136 137 138 139 140
141 142 143 144 145 146 147 148 149 150
151 152 153 154 155 156 157 158 159 160
161 162 163 164 165 166 167 168 169 170
171 172 173 174 175 176 177 178 179 180
181 182 183 184 185 186 187 188 189 190
191 192 193 194 195 196 197 198 199 200

109, 110, 111は欠番)

201 - 300[編集]

201 202 203 204 205 206 207 208 209 210
211 212 213 217 218 219 220
221 222 223 224 225 226 227 228 229 230
231 232 233 234 235 236 237 238 239 240
241 242 243 244 245 246 247 248 249 250
251 252 253 254 255 256 257 258 259 260
261 262 263 264 265 266 267 268 269 270
271 272 273 274 275 276 277 278 279 280
281 282 283 284 285 286 287 288 289 290
291 292 293 294 295 296 297 298 299 300

214 - 216は欠番)

301 - 400[編集]

301 302 303 304 305 306 307 308 309 310
311 312 313 314 315 316 317 318 319 320
321 322 323 324 325 326 327 328 329 330
331 332 333 334 335 336 337 338 339 340
341 342 343 344 345 346 347 348 349 350
351 352 353 354 355 356 357 358 359 360
361 362 363 364 365 366 367 368 369 370
371 372 373 374 375 376 377 378 379 380
381 382 383 384 385 386 387 388 389 390
391 392 393 394 395 396 397 398 399 400

401 - 507[編集]

401 402 403 404 405 406 407 408 409 410
411 412 413 414 415 416 417 418 419 420
421 422 423 424 425 426 427 428 429 430
431 432 433 434 435 436 437 438 439 440
441 442 443 444 445 446 447 448 449 450
451 452 453 454 455 456 457 458 459 460
461 462 463 464 465 466 467 468 469 470
471 472 473 474 475 476 477 478 479 480
481 482 483 484 485 486 487 488 489 490
491 492 493 494 495 496 497 498 499 500
501 502 503 504 505 506 507

国道の実態[編集]

定義で前述した通り、国道に指定される基準は、単に重要な地同士または重要な地と他の国道とを結ぶ道路ということであって、その道路の規模(幅や車線数、距離、舗装・未舗装の別など)によって決まるわけではない。港湾部などでは国道174号港国道)のように総延長が数百メートル程度しかない国道もある[13]。港(空港)は、日本の経済活動上、物資輸送など陸上交通を担う上でも最も重要視されており[13]、国土交通省への走行経路届出が必要な大型コンテナトレーラー届出を簡略化させる意味合いがある。

多くの国道は片側1車線以上に拡幅されており、国道357号のように道路幅が最大100m程もある広い国道がある一方で[14]、落石や崖崩れの危険性から大雨のたびに通行止めになる道路や、積雪で冬季通行止めになる国道があったり、車のすれ違いが困難な狭隘道路、車の通行が全く不可能な道や、オフロードの国道も存在し[15]、さらには、登山道が国道になっている区間や、海上などの人の通れる道すらない区間がある国道も点在する。このような一般に抱かれているイメージから乖離した「国道らしからぬ」国道を「酷道」と呼ぶ者もいる[16][17][18]

海上国道と高規格幹線道路[編集]

海上区間のある国道は、いわゆる海上国道と呼ばれており、本州と北海道を結ぶ津軽海峡や東京湾の横断航路、鹿児島 - 那覇間の南西諸島を結ぶ航路などいくつか該当する国道区間が存在する[19]。これは、道路法第2条には「道路法上の道路とは、トンネル、橋、渡船施設、道路エレベーター等、道路と一体となってその効用を全うする施設、または工作物および道路の付属物で、当該道路に付属して設けられているものを含んだものをいう」という道路法上の道路の定義があり、たとえば海上であっても1本の交通系統として重要な幹線道路と認められれば、フェリーボートの航路も国道になりえると解釈されるからである[19]

国道30号の海上部分(宇野港 - 高松港)はバイパス道路である瀬戸中央自動車道の通行料金の高さから、JR四国宇高連絡船の廃止後も、2008年3月までは3社で合計一日100便以上のフェリー便が運航されていたが、2009年3月から始まった瀬戸中央自動車道の休日割引等の影響で大幅減便となった。まず、2009年4月に津国汽船(本四フェリー)が撤退した。他の2社もいったんは航路廃止を表明しつつも、その後撤回し、ダイヤ調整などを行って存続を図ったが、2012年10月17日をもって宇高国道フェリーが航路休止した。さらに、四国フェリーも便数削減を進め、2015年6月現在、1日10便にまで縮小している。

他方、建設費の調達や償還などの都合から、事実上高速自動車国道と同様の構造規格で建設されているにも関わらず、一般国道のバイパス(一般国道自動車専用道路)として建設され、高規格幹線道路として機能している路線もある。高速自動車国道の建設にあたっては多大な手続きが必要なため、一般国道バイパス予算で国土交通省が整備し、実質的に高速自動車国道の一部として機能する高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路もある。

国道は上記の通り、国と都道府県市の二元管理が行われているが、道路は劣化するため、舗装などの維持整備に多額の支出が起こり、自治体の支出増大の要因の一つとなっている。国の財政もまた悪化しており、国道設置は新たな補助金支出に繋がるため、国道507号を最後に都道府県道の国道昇格を行っていない。

一般国道の日本一の記録[編集]

日本一長い国道 
国道4号 - 東京都中央区日本橋 - 青森県青森市間の742.3km(現道の実延長)[20]
日本一長い海上国道 
国道58号 - 鹿児島県鹿児島市 - 沖縄県那覇市の877.9km。このうち、海上区間は約70%にあたる613.1km[20]
日本一長い直線道路の国道 
国道12号 - 北海道美唄市光珠内町 - 滝川市新町間の約29km区間[20]
日本一短い国道 
国道174号 - 神戸港 - 国道2号間の187.1m[20][21]。なお、2位は岩国空港と結ばれる国道189号(372m)、3位は東京港と結ばれる国道130号(482m)で、いずれも港国道である[13]
日本一国道が集中する地点 
8路線の起終点が集まる次の2地点。新潟市の本町交差点(国道7号・8号・113号・289号・350号・17号・116号・402号)および、高知市の県庁前交差点(国道33号・56号・194号・195号・197号・493号・32号・55号)[22][23]
日本一トンネルが多い国道 
国道229号 - 北海道小樽市 - 檜山郡江差町間に76箇所のトンネルがある[24][23]
日本一橋が多い国道 
国道2号 - 大阪市北区 - 北九州市門司区間に1279箇所の橋がある[23]
日本一標高が高い国道 
国道292号 - 長野県と群馬県の県境の渋峠にある標高2178m地点[23][25]。なお、2位は国道299号の長野県・麦草峠(標高2120m)[26]、3位は国道120号金精トンネルである[27]
日本一標高が低い国道 
国道409号 - 東京湾アクアラインの東京湾の海底にあるアクアトンネルで、海面下60m地点[23][28]
日本最北端の国道 
国道238号 - 北海道稚内市の宗谷岬にある北緯45度31分、東経141度56分の国道最北端の地点[23]
日本最東端の国道 
国道44号 - 北海道根室市常盤町にある北緯43度19分、東経145度35分の国道最東端の地点[23]
日本最南端の国道 
国道390号 - 沖縄県石垣市(石垣島)の中心市街地にある北緯24度9分、東経124度9分の地点[29]
日本最西端の国道 
国道390号 - 国道最南端の地点より西に約1kmの地点[29]
日本一広い国道 
国道357号 - 東京都品川区八潮 - 大田区東海間の幅100m[30]。なお、2位は国道423号の大阪市淀川区内(幅95m)、3位は国道298号の千葉県松戸市内(幅71.5m)である[14]
日本一狭い国道 
国道339号 - ただし公式の記録は無く、実質的には階段国道下の路地区間であるといわれている[31]
日本一長い国道重複区間 
国道229号国道276号の北海道江差町 - 苫小牧市間の約161km区間[32]
日本一多い国道重複路線数の区間 
6路線の国道が重複する次の3区間。新潟市東港線十字路 - 本町1丁目(国道7号・8号・17号・113号・289号・350号)、愛媛県松山市勝山 - 松山市役所前(国道11号・33号・317号・379号・440号・494号)、高知市中宝永町 - 高知県庁前(国道32号・55号・56号・195号・197号・493号)[33]

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 93.
  2. ^ a b 佐藤健太郎 2014, p. 94.
  3. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 95.
  4. ^ 佐藤健太郎, p. 92.
  5. ^ a b c 佐藤健太郎 2014, p. 102.
  6. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 86.
  7. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 91.
  8. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 99.
  9. ^ 佐藤健太郎 204, pp. 99-100.
  10. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 103.
  11. ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 105-106.
  12. ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 106-107、「国道の歴史/今後、新たな国道は生まれるのか?」より
  13. ^ a b c 浅井建爾 2001, p. 49.
  14. ^ a b 浅井建爾 2001, p. 55.
  15. ^ 浅井建爾 2001, pp. 38-39.
  16. ^ “【麗し大和・記者の裏話】(23)ジェットコースター並み!?の酷道308号「暗峠」”. 産経新聞 (産経新聞社). (2010年6月6日) 
  17. ^ “ベタ踏み坂より急 酷道308号、東大阪・暗峠をゆく”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2014年2月15日) 
  18. ^ “空にアーケード、地に13時間通行止め…酷道をゆく”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2014年5月12日) 
  19. ^ a b 浅井建爾 2001, p. 52.
  20. ^ a b c d 浅井建爾 2015, p. i.
  21. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 137.
  22. ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 40-42.
  23. ^ a b c d e f g 浅井建爾 2015, p. ii.
  24. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 146.
  25. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 139.
  26. ^ 浅井建爾 2001, p. 48.
  27. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 140.
  28. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 141.
  29. ^ a b 浅井建爾 2015, p. iii.
  30. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 142.
  31. ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 142-143.
  32. ^ 佐藤健太郎 2014, p. 143.
  33. ^ 佐藤健太郎 2014, pp. 143-144.

参考文献[編集]

関連項目[編集]