パラグライダー

パラグライダー(英語: paraglider)は、スカイスポーツの一種で、パラグライディング(英: Paragliding)とも呼ばれる。厳密には、このスポーツの総称をパラグライディング、飛行するための機体一式をパラグライダーと区分することもある。国際航空連盟(FAI)のスポーツカテゴリーとしては、ハンググライダーとともに管理されており、世界記録や国際大会などは同一委員会で運営されている[1]。
エンジンを持たず自然の風だけを利用して飛ぶにもかかわらず、パラグライダーのフライトは長いと数時間、数百キロメートルの距離に及ぶこともある。上昇気流(サーマル)を巧みに利用することで高度を上げ、時には地上数千メートルまで上昇することも可能だ[2]。
歴史
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パラグライダーの起源は、1960年代前半にデビッド・バリッシュがNASAにおいて行った宇宙用乗り物の研究や、フランスにおけるパラセーリングのもととなったパラシュートの開発[3]に遡る。
現代的なパラグライダーの技術的基礎となったのは、1963年にカナダのドミナ・ジャルバートが特許を取得した「マルチセル・ウィング(multi-cell wing type aerial device))」である[4]。空気を取り込むことで翼の断面形状(翼型)を維持する柔軟な構造を持っていたことが特徴である。同時期、デビッド・バリッシュはNASAの宇宙船回収用の道具として「セイル・ウィング」を開発し、1966年夏には米国内の複数のスキー場で、斜面を滑空する「スロープ・ソアリング」のプロモーションを行っている[5]。
今日の「パラグライダー」というスポーツが確立されたのは1978年といえるだろう。フランスのオート=サヴォワ県ミューシーにおいて、ジャン=クロード・ベテンプス、アンドレ・ボーン、ジェラール・ボソンの3人が、四角い「スクエアパラシュート」を用いて山の斜面から離陸することに成功した。ベテンプスが約100m飛行、約20秒間の飛行に成功したことで、斜面(pente)から飛び立つパラペンテ(Parapente)の歴史が始まった[6]。
1980年代に入ると装備は急速に進化し、世界中にパイロットと飛行エリアが拡大した。1987年にはスイスのヴェルビエで第1回(非公式)世界選手権が開催[7]され、1989年にはオーストリアのケッセンで国際航空連盟(FAI)の第1回世界選手権が開催された[8]。
日本における歴史と普及
[編集]日本では1966年4月に、登山家の三浦雄一郎が富士山での直滑降を行った際、ブレーキとしてパラシュートを使用した映像が関係者の目にとまりスポーツへの応用が考えられたという[9]。長野県木島平村のスキー場が日本の「パラグライダー発祥の地」と呼ばれている[10]が公式記録は見当たらない。
日本で一般にパラグライダーが普及し始めたのは1986年前後から。当初は滑空性能が低くスキー場のゲレンデを斜面と並行に滑空を楽しむ程度のもので飛行時間にして約3〜5分程度であった。日本のファルフォーク社が楕円翼を採用して飛躍的に性能向上を計ることに成功[11]してハンググライダーのようなソアリング(上昇気流による長時間フライト)が可能になった。その後、各社とも研究が進み性能の向上は続き、現在では一般のフライヤーでも2〜3時間の在空や地上2000m程度までの上昇ができる。
一般への認知を大きく広げるきっかけとなったのは、1988年にNHK教育テレビで放送された『パラグライダー講座』である[12]。スポーツとしての発展も目覚ましく、1992年12月28日には日本人パイロットの峰岸正弘が南アフリカ共和国のクルマン地区において、当時としては驚異的な260km超の直線飛行に成功し、世界記録(当時)を樹立した[13]。また、1995年には福岡県北九州市の平尾台において、日本初となる第4回FAIパラグライダー世界選手権が開催された[14]。
スカイスポーツとしてのジャンルの確立
[編集]機材の進化により、現在では一般のフライヤーでも2〜3時間の滞空や、地上から2000m程度までの上昇が可能となっている。日本国内には、北海道から沖縄まで約100か所のフライトエリアが存在し、1万人以上の愛好家が飛行を楽しんでいる。[15]
スポーツとしての広がりを受け、2011年の国民体育大会(国体、現・国民スポーツ大会)においてはパラグライダーの競技が開催された[16]。また、オリンピックの正式競技種目に向けての働き掛けが進められており、その一環として2008年にインドネシアで開催された、国際オリンピック委員会(IOC)傘下の国際総合競技大会である第1回アジアビーチ競技大会2008年アジアビーチゲームズにおいて正式競技種目に採用された[17]。
日本国内の統括団体
[編集]パラグライダーの国際的な統括は、国際航空連盟(FAI)の機関であるハンググライディング・パラグライディング委員会(CIVL)が行っている。FAI加盟国である日本では、日本航空協会(JAA)がナショナル・エアロ・クラブとしてスカイスポーツを統括する代表組織として活動している[18]。
日本国内においては、公益社団法人日本ハング・パラグライディング連盟(JHF)が、パラグライダー黎明期の1982年よりパラグライダーの普及、指導員の育成、技能証の発行、フライヤー登録(保険制度)といった環境整備を担ってきた[19]。また、JHFは日本航空協会(JAA)からの権限委譲により、国際技能標準に沿った教習課程を実施、および国際技能証 (IPPI)の認定を行っている[20]。
2003年には新たな団体として特定非営利活動法人日本パラグライダー協会(JPA)が設立された。現在、日本のパラグライダー界においては2つの団体がそれぞれ独自のカリキュラムと基準を設け、安全指導やライセンス発行業務、競技会の開催などを行っている[21]。
日本国内の飛行に関する注意事項
[編集]日本の航空法では航空機ではないため、国家資格は必要としないが、民間航空規約では航空機とされ、単独飛行に際しては、技術と知識が必要なため、スクールやクラブに入り、飛行技術と航空理論、法規および気象学の教習を受ける必要がある。実際に管理されたフライトエリアにおいてフライトするのには、JHFが発行する技能証(パイロット証)とフライヤー登録(第三者賠償責任保険)が有効でなければフライトすることはできない。おおむね運転免許証と自賠責保険の関係のようなものと理解してよい[22]。
日本国内では航空法に基づき、ハンググライダーまたはパラグライダーを飛行させる空域によっては、飛行させることが禁止される場合、または飛行させる場合に事前に国土交通大臣への届出が必要な場合がある。また、重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(ドローン規制法)により、国の重要施設等と周辺の上空は飛行を禁止される場合がある[23]。
装備
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パラグライダーの装備は、携帯性と安全性を両立させるために高度な工学設計がなされている。一式(フルセット)の重量は通常12〜22kg程度だが、近年では5kgを切る軽量な「Hike & Fly」用モデルも普及している。なお、パラグライダーは、国際航空連盟ではクラス3(FAI Sub-class O-3 剛性の一次構造を持たないもの)のハンググライダーに分類されている[24]。
パイロットは、ハーネスに座り、左右の操縦索を手で操作して滑空する。パイロットは、まず風に正対して翼を地面に広げ、向かい風を利用して翼を頭上に上げ、滑空状態にしてから離陸する。通常は、数メートル程度の助走で地上からの離陸が可能だ。
熱上昇気流(サーマル)や風が斜面にあたって生じるリッジリフトなどを利用して飛行を楽しんで、山の麓などに用意してある着陸場に着陸する。パラグライダーの対気速度は20km/hから60km/h程度で、グライダーなどと比較すると緩やかな速度域である。着陸のときは、着陸場近くで高度処理をし、着陸点(ターゲット)へ、向かい風を利用して、フレアー操作を行って速度を遅くして、足から降りて着陸する。
飛行には気象条件が大きく影響し、雨のとき、風速6m/s以上の風が吹くとき、離陸場正面からの風が入らないとき、気流が大きく乱れているときなどは離陸しないことが安全確保のために重要である。
日本の航空法では航空機ではないため、国家資格は必要としないが、民間航空規約では航空機とされ、単独飛行に際しては、技術と知識が必要なため、スクールやクラブに入り、飛行技術と航空理論、法規および気象学の教習を受ける必要がある[25]。実際に管理されたフライトエリアにおいてフライトするのには、JHFが発行する技能証(パイロット証)とフライヤー登録(第三者賠償責任保険)が有効でなければフライトすることはできない。おおむね運転免許証と自賠責保険の関係のようなものと理解してよい。また、海外でのフライトを行うには国際航空連盟が発行するIPPI技能証が必要となる。
翼(キャノピー)の構造
[編集]パラグライダーの翼は、工学的には「ラムエア・エアフォイル(ラムエア圧による翼状構造)」と呼ばれる。主にパラグライダーで用いられる形状は、上下2枚の布を「リブ(隔壁)」で繋いだ構造で、内部が複数の「セル」に仕切られている。前方の開口部(エア・インテーク)から空気が流入し、内部圧力が高まることで翼の形状が維持され、長時間滑空が可能となる[26]。飛行時の翼形を安定して保つために、プラスチックやニチノール(形状記憶合金)製のロッドが挿入された製品も多い。
シャークノーズ(Sharknose): Ozone Paraglidersによって開発・特許取得が行われ、2010年代以降のモデルに多く採用されている翼形。空気の取り入れ口を従来の最前面からやや下側に後退させ、凹状の形状にすることで、広範囲な迎角において内部圧力を安定させ、潰れにくさ・高速飛行時の安定性・高い失速耐性を実現させている[27]。
ライン(吊索)
[編集]翼とパイロットの接続部分を支える紐状のラインは、アラミド(ケブラー)や高分子量ポリエチレン(ダイニーマ)などの非常に強度の高い素材で作られている[28]。前方から後方に向かって「Aライン」「Bライン」「Cライン」(モデルによってはDライン)と分類され、分類ごとに束ねられて、最終的には3本または2本の太い「ライザー」へと集約される。近年のハイパフォーマンスモデルでは、空気抵抗を減らすためにラインの総延長を短縮した「3ライザー」、さらにライン本数を少なくした「2.5ライザー」や「2ライザー」構造が主流となっている。
ハーネス
[編集]パイロットが座るハーネスは、単なる椅子としての機能だけでなく、保護機能と空力性能を兼ね備えている。墜落時の衝撃を吸収するため、座面下にはフォーム材や空力によるエアバッグが装備されている。大きく分類して、ノーマル・ハーネス(シット・ハーネス)とポッド・ハーネスの2種類がある。それぞれ長所・短所があるが、初心者や海岸エリアではノーマル・ハーネスを、長距離飛行者や冬に寒くなる山岳エリアではポッド・ハーネスを使用することが多い。また、登山と飛行を組み合わせる「Hike & Fly」向けに、ザックとハーネスが一体化したリバーシブル・ハーネス、競技用に滑空性能を追求したサブマリン・ハーネスなども存在する[29]。
レスキューパラシュート(緊急パラシュート)
[編集]万が一の翼の崩壊や衝突に備え、ハーネス内に収納されている。スロー型(手投げ式)が一般的で、定期的なリパック(畳み直し)が推奨される。「リパック認定証」の項目を参照[30]。
安全性
[編集]| 道路交通事故 | 9.1×10-3 |
| 山登り | 5.0×10-6 |
| 船舶事故 | 1.4×10-6 |
| モーターボート | 3.5×10-7 |
| パラグライダー | 2.0×10-7 |
| 航空機事故 | 1.8×10-7 |
| スクーバーダイビング | 7.8×10-8 |
| ハンググライダー | 4.7×10-8 |
JHF[31]によると、1994年から5年間の死亡事故は平均で年1~6件。事故の起きるタイミングは多い順に、ランディング、墜落、テイクオフである。負傷部位は、下肢、腰椎がほとんどである。キャリア10年以上の愛好家の事故も増えており、技能に習熟したとしてもリスクは解消されない状況である。
競技人口が少ないため、日本の人口当たりの事故率は他のスポーツと比較して高くないが、競技人口当たりの事故率で考えれば非常に高くなるので注意が必要。また事故が起きた場合も、重篤な受傷になる危険性がある他、結果として送電線の給電を停めさせてしまうなど、社会インフラに重大な影響を発生させる可能性もあるため事前の慎重な検討、準備が必要とされるスポーツである。
稀な事故
[編集]積乱雲のその強い上昇気流により、パラグライダーが予想もしていないほどの高高度へ上昇させられてしまう事故が稀にある。2007年にはポーランド人の女性、エバ・ウィスニエルスカが、オーストラリアのニューサウスウェールズ州で積乱雲の上昇気流に巻き込まれ、秒速20メートルのスピードで上空約1万メートルまで飛ばされた[32](正確には9,946m[33])。雹に打たれ、落雷に遭い、氷に覆われて40分間意識不明に陥った[32]。ウィスニエルスカは6,900mの高さで意識を回復して着地、耳と足に凍傷を負ったが生還している[32]。着地地点は離陸地点から約60km離れた場所だった。ウィスニエルスカと同じ積乱雲に上昇させられてしまった中国人のライダーは死亡した[32]。
資格(日本)
[編集]パラグライダーは日本の航空法における「航空機」には該当しないため、法規制の対象外となり、飛行のための国家資格は存在しない[34]。しかし、安全な飛行技術の習得とフライトエリアの維持管理を目的として、各民間団体が独自の基準に基づいた技能証(ライセンス)制度を設け、自主的な安全指導を行っている。
現在、日本国内で広く普及している技能証を発行する主要な団体は、日本ハング・パラグライディング連盟(JHF、1986年にライセンス制度策定)と、日本パラグライダー協会(JPA、2003年にライセンス制度作成)の2つである[35]。
IPPIカード(国際パイロット技能証)との連携
[編集]日本国外のフライトエリアを飛ぶ場合、国際航空連盟(FAI)のハング・パラグライディング委員会が定める「国際パイロット技能証(IPPIカード)」の提示が求められることが多い。日本国内においては、FAIの日本代表機関である一般財団法人日本航空協会(JAA)から権限を委譲された日本ハング・パラグライディング連盟(JHF)が、IPPIカードの申請・発行窓口となっている[36]。
JHF技能証
[編集]日本ハング・パラグライディング連盟(JHF)が発行するパラグライダー技能証。国際的に統一されたカリキュラムに準拠しており、所定の技能証(パイロット証など)を取得することで、対応するレベルのIPPIカードへの書き換えが可能である。 日本代表選手として国際航空連盟(FAI)認定の国際大会に参加するためには日本航空協会(JAA)が管理する「スポーティングライセンス」の取得が求められ、そのためにはJHF技能証が必須となる[37]。
JHF技能証の詳細を以下に記載する[38]。
- A級パイロット技能証(A証)
- 単独にてパラグライダーの機材を扱え、指定された方向に直線飛行が出来る。機材や専門用語などについて簡単な学科検定が課される。教員の指導の下、単独にて低高度での安全な離陸、着陸、指定方向への直線飛行ができる。
- B級パイロット技能証(B証)
- 単独にて左右180度旋回ができ、着陸することができる。ソアリングの練習を始められる。パラグライダーについての基礎的な理解を問う学科検定が課される。教員の指導の下、単独にて高高度での離陸、着陸、直線飛行及び旋回飛行ができる。
- ノービスパイロット技能証(NP証)
- 単独にて左右360度旋回ができ、指定地(半径20m以内)に着陸することができる。ピッチング、ローリングをコントロールすることができる。パラグライダーについての理解や気象についての学科試験が課される。エリア管理者の承認を得た場合、管理された空域の範囲内で、自己の判断と責任において安全に高高度飛行ができる。
- パイロット技能証(P証)
- 管理された空域において、競技飛行、記録飛行、検定飛行、その他すべての飛行を自己の判断と責任において行うことができる。一般的にこの段階でスクールを「卒業」したものと考えられ、独力で判断のできるパイロットであることを期待される。
- クロスカントリー技能証(XC証)
- P証所有者が、航空法等あらゆる関連法規を遵守し、クロスカントリーフライトによる競技飛行、記録飛行、その他すべての飛行を自己の判断と責任において行うことができる。
- タンデムパイロット技能証(T証)
- 管理された空域において、同居親族またはP証を有する同乗者と共にタンデムグライダーによる飛行を自己の判断と責任において行うことができる。
- 上級タンデムパイロット技能証(上級T証)
- 管理された空域において、パッセンジャーと共にタンデムグライダーによる飛行を自己の判断と責任において行うことができる。3年ごとの更新制。
この他、指導者向けの助教員証、教員証がある。いずれも3年ごと更新制、研修受講や試験などを伴う。
JPA技能証
[編集]特定非営利活動法人日本パラグライダー協会(JPA)が独自に安全基準とカリキュラムを設け、発行している技能証。国内のJPA公認スクールおよび加盟エリアにおいて有効となる[39]。
段階的に「パラメイト」「ベーシック」「プライマリー」「パイロット」「エキスパートパイロット」「タンデム」などの技能証が設定されている。発行スクールにより詳細は異なるが、おおむねJHF技能証の「A」「B」「NP」「P」「XC」「上級タンデム」に相当すると考えてよい。 指導者向けは「アシスタントインストラクター」「インストラクター」「パフォーマンスインストラクター」の3種類に分かれており、いずれも3年に一度の更新研修会への参加義務が課されている。
リパック認定証
[編集]パラグライダーが適切に滑空できないような非常時に使用するレスキューパラシュートは、半年に1度程度のリパック(収納し直し)が必要である。しかしパイロット個人が自らリパックを実施するのは難しい。そのため、JHFではレスキューパラシュートの適切な使用方法、セッティング方法、リパック方法を普及させるための「JHFレスキューパラシュートリパック技能認定証」を発行している[40]。
同様に、JPAでは「JPAパラシュートリガー」というライセンスを発行している。
フライヤー登録
[編集]日本の管理されたフライトエリア(離着陸場や空域)を利用してパラグライダーを飛行させる場合、各エリアの安全と存続を維持するための自主規制として、統括団体への「登録」および「第三者賠償責任保険」への加入が必須条件となっている[41]。
パラグライダーの飛行においては、万が一の不時着や墜落により、第三者の身体や財物(送電線、農作物、家屋、車両など)に重大な損害を与えるリスクが存在する。そのため、現在主流となっている統括団体の会員登録制度には、あらかじめこの第三者賠償責任保険がパッケージとして組み込まれている[42]。
- 日本ハング・パラグライディング連盟(JHF)の「フライヤー登録」 JHF発足時(日本航空協会の一分科会であった時代)から続く制度。JHFの技能証(ライセンス)を有効にするための条件でもあり、登録者全員が連盟の指定する第三者賠償責任保険の対象となる。
- 日本パラグライダー協会(JPA)の「JPA会員登録」 JPAの公認スクールや加盟エリアで飛行するために必要な登録制度。こちらも登録と同時に、JPAが用意する第三者賠償責任保険(JPA賠償責任保険)が適用される仕組みとなっている。
これらの登録制度により、パイロットは自身の技能証の有効性を証明するとともに、万が一の事故に際しても社会的・経済的責任を果たせる体制を整えることが強く求められている[43]。
競技
[編集]競技会としては国民体育大会の競技種目としてや日本オリンピック委員会アジアオリンピック評議会が主催する国際総合競技大会 / アジアビーチ競技大会の競技種目として行われるもの、JHFが主催し日本航空協会公認記録として記録されるジャパンリーグ、スポーツグライダーシリーズ など公式大会。国際航空連盟主催による世界選手権やアジア選手権など国際大会がある。これら公式大会の大会運営には日本の統括団体であるJHFが当たっている[44]。
その他にフライトエリア主催よるローカル大会や、JPA主催によりJPA会員のみで行う独自の競技会及びJPAが積極的に協力しているPWCなどがある。 JPA主催競技会やPWCについては、JPAのwebサイトを参照されたい[45]。
競技の種類
[編集]- ターゲット(アキュラシー)
- ランディングの精度を競う競技。地上に書かれた同心円状のターゲットの中心を狙う。初心者も参加することができる。
- パイロン競技
- ある決められた地上の目標を、決められた順番に巡回し、その時間(早くゴールした者に高得点が与えられる。途中リードしたものにも加点される)やゴールできなかったグループには、達成度(達成距離に応じて配点)を競う競技。判定には携帯型GPSやカメラが用いられる。最近ではGPSが主流となってきた。競技をするには高い技能と深い知識が必要なため、主に上級者が行う。クロスカントリー飛行を伴うため、クロスカントリー技能証は必須となる。
- キャッツクレイドル
- あらかじめ決められたパイロンを繋いで、最も長い距離を飛ぶことを競う。上級者向けの競技。
- ゴールタスク
- 遠方に設置されたゴールへの到達を競う。上級者向けの競技。
- セットタイム
- あらかじめ決めた飛行時間通り正確に飛行することを競う。初心者も参加可能。
- デュレーション
- 滞空時間を競う競技。山肌を上昇する風や地表で暖められ発生した上昇気流を利用して、できるだけ長く飛ぶ。中級者も参加可能。
- 爆弾落とし
- 地上に設定されたターゲットに「爆弾」と称する(多くの場合)カラーボールを落とし、その精度を競う競技。ターゲット上空の風を読むことが重要である。
- アクロバティック
- さまざまなトリックを行い、その技と精度を競う競技。日本ではまだ正式な競技として行われてはいないが、世界的にはアクロバット飛行を目指すパイロットは近年急激な増加傾向がみられる。
記録
[編集]| 世界記録 (2026年1月現在FAI公認記録) |
日本記録 (2026年1月現在(財)日本航空協会公認記録) | |
|---|---|---|
| 直線距離 | 609.9 km[46] | 375 km [47]
|
| アウトアンドリターン | 350 km[48]
|
182.48 km
|
| 獲得高度 | 5.854 m [49]
|
4,548 m [47]
|
日本人選手の成績
[編集]| 選手の名前 | 性別 | 記録 |
|---|---|---|
| 岩崎拓夫 | 男性 | |
| 扇澤郁 | 男性 |
|
| 川地正孝 | 男性 |
|
| 辻強 | 男性 |
|
| 田中美由喜 | 女性 |
|
| 神山和子 | 女性 |
|
| 平木啓子 | 女性 |
|
| 福岡聖子 | 女性 |
|
| 山下敦子 | 女性 |
脚注
[編集]- ↑ “FAI Hang Gliding and Paragliding Commission (CIVL)” (英語). FAI - Fédération Aéronautique Internationale. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “2023年を振り返る 注目トピック8選 ⑥2つの世界新記録”. 超多面的パラグライダー情報サイト パラワールド (2024年1月29日). 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “Parasailing: What You Need to Know Before You Go : DNews”. DNews. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “US 3285546A, Domina C. Jalbert, "Multi-cell wing type aerial device", issued 1966-11-15”. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “David Barish 1921-2009: The forgotten father of paragliding | World Air Sports Federation”. www.fai.org. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “Jean Claude Bétemps”. homepages.nwc.fr. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “Wayback Machine”. ccsa.admin.ch. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “FAI Champions of the past: Paragliding”. old.fai.org. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ 知恵蔵2015『三浦雄一郎』 - コトバンク
- ↑ “めぐる木島平【公式】木島平村観光振興局”. めぐる木島平. 2026年4月14日閲覧。
- ↑ “JHFレポート2021年5・6月号”. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “パラグライダーとは”. トップフィールド群馬. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “JHF レポート2024年1・2月号”. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “FAI Champions in the past”. FAI - Fédération Aéronautique Internationale. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “スカイスポーツ講座”. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “組織図・事業(JHFのあゆみ)”. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “バリアジアビーチゲームズ”. 公益財団法人日本オリンピック委員会. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “ハング・パラグライダー:Hang Gliders & Paragliders”. 一般財団法人 日本航空協会. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “JHFレポート237号(2024年4月発行)”. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年4月22日閲覧。
- ↑ “IPPIカードについて”. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年4月22日閲覧。
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- ↑ “初心者でもわかるパラグライダーの仕組み!浮力の秘密と飛行原理を図解で徹底解説 | Flight Magazine”. www.kanpu.jp. 2026年6月28日閲覧。
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- ↑ “公益社団法人日本ハング・パラグライディング連盟 ::フライトギアを語れ”. jhf.hangpara.or.jp. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “レスキューパラシュートについての考察 | その他 | AIRHEART Official Blog | パラグライダー輸入販売代理店 エアハートコーポレーション AIRHEART Co.”. エアハート (2021年5月9日). 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “公益社団法人日本ハング・パラグライディング連盟 安全性委員会 事故報告”. 日本ハング・パラグライディング連盟(JHF). 2026年4月14日閲覧。
- 1 2 3 4 "Paraglider survives wild flight", Herald Sun, 17 February 2007
- ↑ Chinese paraglider survives accidental 8,000-metre-high flight above the clouds - The Guardian、2025年5月閲覧
- ↑ “航空:飛行ルール(航空法第11章)の対象となる機体 - 国土交通省”. www.mlit.go.jp. 2026年5月24日閲覧。
- ↑ “2つのライセンス発行団体 (JHF と JPA)”. standk.sakura.ne.jp. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “IPPIカードについて”. jhf.hangpara.or.jp. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年5月24日閲覧。
- ↑ “スポーティングライセンス”. www.aero.or.jp. 日本航空教会. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “技能証について”. jhf.hangpara.or.jp. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年5月24日閲覧。
- ↑ “JPAで発行するカードとライセンスの紹介”. 日本パラグライダー協会. 2026年5月24日閲覧。
- ↑ “JHFレスキューパラシュートリパック認定証について”. jhf.hangpara.or.jp. 公益社団法人日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “フライヤー会員新規登録と登録更新”. jhf.hangpara.or.jp. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年5月24日閲覧。
- ↑ “各種保険について”. jhf.hangpara.or.jp. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “日本パラグライダー協会 各種保険について”. jpa-pg.jp. 2026年5月24日閲覧。
- ↑ “競技について”. jhf.hangpara.or.jp. 日本ハング・パラグライディング連盟. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “JPA 競技事業部”. NPO法人 日本パラグライダー協会. 2026年6月28日閲覧。
- ↑ “Sebastien Kayrouz claims 6 Paragliding records and a free distance over 600 km” (英語). FAI - Fédération Aéronautique Internationale (2021年7月20日). 2026年1月27日閲覧。
- 1 2 “ハング・パラグライダー日本記録”. 一般社団法人日本航空協会 (2026年1月31日). 2026年1月31日閲覧。
- ↑ “302 km of Out and return distance both World and European record claim” (英語). FAI - Fédération Aéronautique Internationale (2018年4月25日). 2026年1月27日閲覧。
- ↑ “Antoine Girard claims 5700 m gain of height record while climbing the top of the Andes” (英語). FAI - Fédération Aéronautique Internationale (2019年3月12日). 2026年1月27日閲覧。
- ↑ “2017ジャパンリーグランキング”. 2018年12月4日閲覧。
- ↑ “JOC日本選手団メダリスト”. 2018年12月6日閲覧。
- 1 2 “JOC日本選手団メダリスト”. 2018年12月6日閲覧。
- ↑ “PWCA”. 2018年12月5日閲覧。
- ↑ “2018年ジャパンリーグランキング”. 2018年12月6日閲覧。
関連項目
[編集]- グライダー - 固定翼を持った機体に搭乗して飛行する。
- パラモーター - パラグライダーの装備に加え背中にエンジンとファンを着けて飛行する。モーターパラグライダー、パワードパラグライダーともいう。
- パラセーリング - 水上でモーターボートに牽引されて飛行する。北海道では雪上・氷上をスノーモビルに牽引されて飛行できる場所もある。
- カイトボード - パラカイトを用いて水上を滑る。
- ハンググライダー - パイプに丈夫な生地を張った構造の機体に吊り下がって飛行する。ハンググライディングともいう。
- ウイングスーツ - ムササビのように腕と体や両足の間に幕があるスカイダイビングスーツ
- スカイスポーツで使われている無線