回転 (スキー)

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旗門を通過する選手

回転(かいてん)は、スキー競技またはスノーボード競技のアルペン種目の1つである。スラローム(英語: slalom /ˈslɑ:ləm/)と呼ばれたり、SLと略される。バイク・車などに使われるスラロームと同じでジグザグの意味である。ここでは、スキー競技の回転について解説する。

コース[編集]

スタート地点とフィニッシュ地点との標高差は男子が180mから220m、女子が130mから180m。旗門数は男子最小55-3、最高75+3、女子最小45-3、最高60+3。このコースに2本一組になった赤と青の旗門が交互に立ち、対になった同じ色の旗門の間を滑り、タイムを競う。2回目も同じゲレンデを使ってよいが、旗門設定は変えなければならない。2回滑ってその合計時間で順位が決定する。

旗門設定[編集]

旗門は雪面にネジ式で差し込むポールで設定され、旗門と旗門の間隔は基本的なオープンゲートで6m〜13m。
旗門設定はルールによって細かく数種類のものがある。
斜面方向に対して直角に立てられるオープンゲート。
斜面方向に対して平行に立てられるクロスゲート。
減速を目的とした旗門間隔が非常に狭い(0.75m - 1m)で連続するコンビネーションパート(ダブルクローズやシケインバードとも呼ばれる)
これらの旗門が複雑なリズム変化や斜面変化の中に立てられており、各ゲート(旗門)を正確なターンテクニックで通過しなければならない。
滑降やスーパー大回転、大回転においては両側の旗門を結んで雪上にカラーペイントを施して方向を示すことがあるが回転にはない。しかし最近のオリンピック、パラリンピックにおいてはポール外側を示す長さ1mほどのラインが施されている。このラインを踏み越すとコースアウト(旗門不通過)ということになる。

設備[編集]

競技設備として旗門設定に使用するポールは雪面に挿すネジ部分の長さが30cmほど、雪面から上に出ている部分の長さが1.8mほどとなっている。

ポールは、構造がネジ部分とポール本体の間がスプリングで出来ていて、ポール自体も柔軟性があって柔らかく倒れる「可倒式」と呼ばれるもので、このポールが旗門設定に使用される。

初期のポールは細いが使われ、その後プラスチック製のポールに変わるが、当初の物はただ硬くて雪面に差し込むだけの棒状のポールであり、選手が旗門のイン側のポールに当たると雪面から抜けてしまうことが当たり前であり、ポール自体も硬いために選手がケガをするケースもあった。そのため80年代半ば頃に柔軟性に富んだ可倒式ポールが登場し、現在の主流となっている。

装備[編集]

回転競技は技術や用具の変化がめまぐるしい。

スキー板[編集]

スキー板は従来2m近くの長さのものが使用されていたが、カービングスキーの登場によって、一時は選手の身長以下に短くなった事もある。現在のスキーの長さは、カテゴリーFIS区分U18(大学3年及び早生まれ大学4年)以上及びSAJ区分シニア(中学3年及び高校1年早生まれ以上)において男子が165cm以上・女子が155cm以上、SAJ-A・B級ユース大会参加におけるカテゴリーFIS区分U14(小学6年 - 中学2年早生まれ)・U16(中学2年 - 高校1年早生まれ)及びカテゴリーSAJ区分K1(小学5年早生まれ - 小学6年)・K2(中学1年早生まれ - 高校1年早生まれ)において性別を問わず130cm以上となっている[1]

ストック[編集]

80年代半ば頃から可倒式ポールが使われるようになってから滑走技術が大きく変化し、「逆手(さかて・ぎゃくて)」と呼ばれる、体をポールの内側に大きく倒して、ターン外側の手(スノーボードでは前方の手)でポールを倒していく技術が一般化している。なお状況によって、従来からの「順手(じゅんて)」と呼ばれるスキーヤーのターン内側の手でポールを倒す事もある。この技術のために選手はストックのグリップ(手の部分)やすね等にプロテクターを付ける。ストックのグリップ部分のプロテクターは「ナックルガード」とも呼ばれる。

ストックは、高速系競技の滑降(ダウンヒル/Downhill)・スーパー大回転(スーパージャイアントスラローム/Super Giant Slalom, Super G)に使われるような、滑走者がクローチング姿勢を取りやすいようにシャフトが体型に合わせて屈曲しているのに対し、回転ではクローチング姿勢を取る事がほぼ無い事や、前述のポールを倒す技術においてストック自体がプロテクターとしての役割をするためにそのような加工は無く、真っ直ぐなシャフトが使われる。

ヘルメット[編集]

使用するヘルメットについてはFISで定められた規格のヘルメットが存在し、SAJでヘルメット着用を勧めている[2][3]事から、これまでにおいても大多数の選手がヘルメットを着用していたが、現在はFIS主催の競技については全て着用義務があり[4]、SAJ主催の競技については特別規定により着用は推奨となっている[1][5]。ただし前述した安全面の認知、FISやSAJの主催を含めた各種競技会に参加するケース、各種競技会での規則がFIS及びSAJのものに準じる場合などもあって、FIS及びSAJ以外の主催競技会であってもヘルメットの着用率は高い。

競技で使用するヘルメットにはチンガード(アゴの前部分に配置されたパイプなどの形状となったガード)が付属されているものがよく使われている。これは稀にではあるが、ポールを弾く逆手や順手などのストックワークが追い付かない時に弾き損ねたポールが顔面に向かってくる事があるので、ヘルメットのチンガードによって顔面をポールから保護するという目的がある。

特徴[編集]

回転はアルペンスキー種目の中でも、最も旗門の間隔が狭い種目である。それだけに、素早く正確なターン技術が要求されるため、滑降・スーパー大回転の「高速系・スピード系種目」と比較して、「技術系種目」と呼ばれる。

また、板がポールに極めて近い場所を通るため、世界のトップ選手ですら旗門不通過を起こす確率が高い種目でもある。

日本には海和俊宏岡部哲也木村公宣皆川賢太郎佐々木明湯浅直樹、の6人の世界最高峰のW杯での第1シード選手がいる。また、冬季五輪でも、1956年猪谷千春が銀メダルを獲得し、日本人として初の冬季五輪メダリストとなったほか、2006年に皆川賢太郎が4位、湯浅直樹が7位に入賞している。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 【アルペン】2019/20シーズン スキー用具に係る国内運用ルールについて (PDF) より。
  2. ^ 参考資料:日本スキー教程「安全編」/山と渓谷社ISBN 978-4-635-46022-4
  3. ^ 2015/2016シーズン全国スキー安全競技会調べ、参考資料:日本スキー教程「安全編」p.63/山と渓谷社ISBN 978-4-635-46022-4
  4. ^ 【アルペン】競技規則(ICR) 2018年7月版 (PDF) より。
  5. ^ 【アルペン】2019/20シーズン スキー用具に係る国内運用規定について (PDF) より。