セーリング

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三角帆のドーニーでセーリングする人(モルディブ2008年
en:Laser Radial ディンギーでセイリングする人(2005年)
にほん欧米式のセーリングクルーザーでセーリングする人々。タッキング中(風上まわりでの方向転換中)。
3本マストの帆船でのセイリングの例(インドの帆船。北米のナラガンセット湾にて)

セーリング: sailing)あるいは帆走(はんそう)とは、の表面を流れる風によって生ずる揚力を利用して、水上などを進むことや滑走すること。

また、その技術を競う競技の競技名も、(大会によっては)「セーリング」としていることがある。

(sail)を用いる乗り物は全て、帆船、クルーザー、ディンギー、ウインドサーフィン、ウイングサーファー、カイトサーフィン、セーリングスケートボード等を含めて、セーリングの原理を利用している。

本記事では、まず長い長い歴史を持つセーリングの技術自体について詳細に解説する。セーリングはまず、航海戦争探検のために行われてきた歴史がある。(特定の大会で登場した競技の説明は、あくまで軽く触れるにとどめ、基本的に別記事に譲る。)

セーリングの歴史[編集]

セーリングには数千年以上の歴史がある。

日本における帆船・セーリング技術の歴史[編集]

江戸幕府は1609年、諸藩の500石以上の船を没収し、1635年武家諸法度で大船建造を禁止した。そして一本マスト、一枚帆を超える複数マストの帆船は幕末まで現れませんでした。海外渡航を禁じた鎖国令と共に、高速帆走船の建造技術や帆走技術(セーリング技術)の面で、日本が世界に大きく遅れてしまった原因です。

セーリングの基本[編集]

セーリングは奥深い技術である。書籍でじっくりと解説する場合は数冊程度以上の内容、ページ数にして数百ページ程度以上の内容になる。 だが、その基本中の基本ならば、数ページ程度で一応解説できるので、この記事では基本中の基本を解説する。

ほとんどのセーリングの教科書では、まず第一歩として、(西欧風で、現代風の)セーリング・ボート(たとえばディンギーやセーリング・クルーザー)の図解と各部分の名称の解説(まずこれを提示し、各部位の名前を読者に覚えてもらわないと、全然説明の言葉が通じなくなってしまうため、大抵最初に提示される)、そして次に風の向きとセイルの間の角度と推力の関係を説明している。よって、この記事でもそれを採用する。

そしてもし可能であれば、その後に(大きな)帆船でのセーリングの技術の体系についても解説する。 以下、まずは比較的簡単な(西欧の)小型~中型のセーリングボートでのセーリングについて解説してゆく。

セーリング・ボートの各部位の名称[編集]

セーリンググルーザーの各部分の名称
  • 1 : メインセイル mainsail
  • 2 : ステイセイル staysail(ジブセイル)
  • 3 : スピネーカー Spinnaker
  • 4 : ハル hull(船体)
  • 5 : キール keel(竜骨)
  • 6 : ラダー rudder(
  • 7 : スケグ skeg
  • 8 : スパー spar
  • 9 : スプレッダー Spreader
  • 10 : シュラウド Shroud
  • 11 : シート sheet
  • 12 : ブーム boom
  • 13 : スパー spar
  • 14 : スピネーカー・ポール Spinnaker pole
  • 15 : バックステイ(バックステー) Backstay
  • 16 : フォアステイ(フォアステー) Forestay
  • 17 : ブーム・ヴァン boom vang

セール各部名称

ピーク又はヘッド(peak,head)上端部、ラフ(luff)前縁部、リーチ(leach)後縁部、タック(tack)下隅部、クルー(clew)後隅部、ローチ(roach)リーチの辺より円弧状にはみ出た部分、フット(foot)下辺部、バテン・ポケット(batten poket)、テルテール(tell tale 語りべ)風見

セーリングの理論[編集]

セーリングの理屈はセールのCE(center of effort)と艇体のCLR(center of lateral resistance)で説明できます。CEがCLRより後ろにあれば、風上に向かう性質(ウエザー・ヘルム weather hellm)が生じ、CEが前にあれば、風下に向かう性質(リー・ヘルム lee helm)が生じます。またオーバー・ヒール(over heel)によってもウエザー・ヘルムは生じます。この性質(ヘルム)はラダー(舵)で修正できますが、抗力(drag 抵抗)となってしまうので、ヒール角度、操船技術、チューニング等を駆使してノー・ヘルムを目指すのがセーラーの真骨頂となります。

セール面を流れる空気の流れ(air flow)、揚力(lift)、空気の剥離(stall 失速)、渦(vortex)の発生等を勉強したい方は、空気力学(aerodynamics)やベルヌーイの定理等を調べてください。

セールに風を流して揚力を得る

真の風(true wind)は、海面の風紋(wind ripple)を見れば分かります。マスト下部やトップに風見(wind vane)を取り付けて、見かけの風(apparent wind)を見ることができます。セール・ラフ部にはテルテール(tell tale語りべ)を張り付けてセール風下側を流れる風を見ることができます。艇長(skipper)やメインセールを操作するクルー(crew)は、メインシートをコントロールして風がセール面を綺麗に流れるようにします。風下側テルテールの乱れはメインシートの引込すぎでセールが失速しているので、メインシートを緩めるか、艇をラフィング(luffing)すべきことを示します。またメインシートが緩んでいればセール・ラフ部がシバー(shiver身震い)するのでメインシートを引き込むか、艇をベアリング(bearing away)すればよいと分かります。

風と船体とセイルの向きと推力などの関係[編集]

風とセイルの向きの関係につけられた名称、推力の有無。青色の矢印が風の向き
  • A ラフィング。推力無し。風に対して0-30°程度。セイルはシバーshiver する(バタつく)。
  • B クローズホールド。風に対して30~50°。推力有り。
  • C ビームリーチ 、風に対して90°。推力有り。
  • D ブロードリーチ、90°以上 135°程度まで。推力有り。
  • E ランニング 135°程度~180°。推力有り。

上記の角度は、「真の風」に対する角度である。船に乗っている者には、「見かけの風」が感じられその角度は真の風の角度とは異なる。

セーリング・クルーザーのキールの例。このキールが水をしっかりととらえて抗力を発生させることで、セイルで発生した力と合成された力が推力となる。ここまで水中に向かってナイフのようにつきささる細長いキールでなくても、大航海時代の帆船のような、(水底に対しては短く)船首から船尾方向へと伸びる長いキールでも、横方向から見て総面積が十分にあれば、十分に抗力が発生する。

船の底のキール竜骨)が水中深くに入り込んでいて、しっかりと水をとらえて抗力を発生させることで、セイルが作り出す力のベクトルと抗力のベクトルが合成されて、はじめてセーリングは可能になる、つまり様々な方向へ進むことが可能になる。キールの抗力が無いと(たとえば、船底がまっ平らで滑らかだと)おおむね船はただ単純に風下へ流されてゆくだけになってしまう。

方向変換(ラフィングとベアリング・アウエーについて)[編集]

セーリング中に風上方向に艇首(bow)を向けることをラフィング(luffing up)といいます。逆に風下方向に艇首(バウ)を向けることをベアリング・アウエー(bearing away)(略してベアー)といいます。

方向転換(タッキングとジャイビング)

セイルボートの方向転換は基本的にはラダーを左右どちらかに操作することで行う。ただし、それと同時に(方向転換後の途中で)風に対して進む角度に応じてセイルの向きも調整したり、大きく変更しなければならない。 風上に向かいながら方向転換してブームを入れ替えることをタッキングという。また風下に向かいながら方向転換してブームを入れ替えることをジャイビングという。

タッキング[編集]

Tacking.svg

「タック」とは風を受けている「舷」(げん。つまり船の風を受けている横側)を指すが、ラフィングして、[船首](バウ)を 風上に向け、風軸を越えて方向転換し、風を受ける舷を反対側にすることでブームを入れ替えることを「タッキング」と言う。


ジャイビング[編集]

風下に向けてセーリング中、ランニングを越えて方向転換して、ブームを入れ替えること。風を受ける舷は反対側になる。強風下ではリスキーな為、タッキングで方向転換する場合もある。

風上へ進む方法[編集]

Course made good by tacking--square-rigged ship versus schooner.jpg

タッキングを繰り返すことで、風上の位置に達することができる。その為には、よい上り角度とよいスピードというベクトル(vector)を目指さなければならない。また風が下側に触れた時は、タッキングすることでより良い角度で上ることができる。レースでは、上側の位置を確保しながら、上マークを目指すこの上レグは非常に重要です。

ポーラー・ダイヤグラム(polar diagram 極線図)

先述したよい上り角度とよいスピードのベクトルを図にして、その頂点を結んだ曲線をポーラー・ダイヤグラムといいます。かぼちゃ(南瓜)を輪切りにしたような曲線になります。上り角度はセール(ブーム)の引込み角度によって決定しますが、角度を取り過ぎればスピードを失ってしまいます。ここに最良のベクトルを目指す難しさあります。

セーリング技術

セーリングの理論でも述べたとおり、舵柄(tiller)を握る操舵手(helmsman)は直接に艇のヘルムを感じるとることができます。ヒール角度、セールサイズ、メインシート・ジブシートの調整、乗艇位置、ブームバング、カニンガム、アウトホール等をコントロールしてノーヘルム(no helm)を目指します。と同時にセールから最大のパワーを得るようにします。ヒールを潰せる限度でパワーを得るには、セールのドラフト(draft)を深くしていきます。またセールのツイスト(twist)は有害です。セールドラフトの深さ、位置については、風速、風の侵入角度(entry angle)等複雑なので別項に譲ります。帆走ルールを利用して自艇は有利な海面側に行く、あるいは他艇を不利な海面側に行かせる、他艇をカバーする等々については、競技技術なので別項に譲ります。

セーリングは知的ゲーム

相手艇の前を通るか、スターンを通るか、それが問題だ。混雑を逃れてフレッシュ・ウインドを掴んだか、よいベクトルで走って相手艇の前を切れたか、下振れの風やガストを利用したか、意味のあるタックをしたか、有利な側の海面へ行ったり相手艇を不利な側に行かせたか、相手艇をカバーしたか、ダブルタックや偽タックで振り切れたか等々。ここで勝つ者のマナーは、大勝ちしないこと。負ける者のマナーは、一発逆転のコースを取って大負けしないことである。いづれにしても勝負はつく、だが敗因が分かれば負けではないし、勝因が分からなければ、勝ちとは云えない。

ロールタック、ロールジャイブ(roll tack,roll jibe)

風か弱い時の方向転換はロールをかけるとよい。先ずヒールさせてウエザーヘルムを作りラフさせる、風軸に近づいたら一気にアンヒールをかけてオーバーヒールを作る。一気にオーバーヒールを潰しながらクローズラインに入れる。。セールを煽ることで加速します。タック前のヒール、セール角度に戻します。ロールジャイブも手順は同じです。

ティラーとメインシートは常に連動

風が強い時も弱いときも、ティラーとメインシートは常に逆に連動させます。潰せるガスト(gust)なら、ハイクアウトしながら、メインシートを引き、ティラーを少し押して上らせて角度を目指します。但し潰しきれないオーバーヒールはセールを少し出してヒールおさめて、ウエザーヘルムを消すようし、同時にティラーを少し引いて、ベアーさせてスピードを目指します。反対に、風がスーと落ちたら(lull)、ハイクアウトを止めてヒールを作りながら、メインシートをゆるめ、ティラーを少し引いてベアーさせてスピードを目指します。

ランニングにおけるローリングの原因

風を真後ろから受けるランニングでは、セールのラフ側とリーチ側の両端から交互に風が流れて渦を発生するため、ローリングが始まります。これを避けるにはクオーター(ブロードリーチ)まで上らせて、ラフからリーチ側に風を流すようにするか、ランニングを越えたバイザリーにして、リーチからラフ側に風を流すようにすると、ローリングはおさまります。

スロット効果・スロットル効果(slot or throttle effect)

ジブセールを備えたスループ艇の場合、ジブセールとの隙間を通るより速い風によりメインセールにはより強い揚力が生じます。また曲げられた風によりメインセールを更に引き込んで上り角度をよくすることができます。これをスロット効果ないしスロットル効果といいます。逆にいうと一枚帆(cat rig)艇の場合、スループ艇と同じ上り角度を取ればスピードを失うということです。

Bearing awayとは

(Nautical) to steer away from the wind 航海用語である。熊が手を打ち下ろす動作に由来する。bull(猛牛)と違ってbear(熊)は、株式市場では嫌われる言葉である。

Telltaleとは

One who informs on another.

(Nautical) A length of yarn or ribbon attached to a stay or sail, as to indicate the direction of the wind or the strength of the flow of air over the sail.

ディンギーとセーラーの体重

今あるディンギー艇種のほとんどは欧米の設計である。欧米人の平均体重(70から80kg)で設計されている訳で、今の日本人セーラーが不利になる場面がないとはいえない。

セーリングの物理的限界

日本の海では、10メートル超の風は普通に吹いてきます。優れたセーラーであってもやはり限界はあります。セール面積とセーラーの体重から導かれるところの物理的限界です。

競技[編集]

セーリングをヨットと同義とする記述が一般的であったが、国際セーリング競技規則の名称に"セーリング"との呼称が採用されたことを契機として、セーリングとの呼称が定着しつつある。ヨットという呼称は、セーリングに用いる艇種の一形態として用いる傾向が顕著である(2006年現在)。

オリンピックの競技種目としてのセーリング競技以外にも、アメリカスカップに代表されるように、多様なセーリング種目及び艇種が存する。競技に適する地理的条件及び気象的条件がオリンピックの開催地及び時期に適合させることに困難を伴う競技形態もあることを要因とするものとされる。このように個別の競技種目としては、4年毎の開催が不安定要因となり、選手を養成する基盤にも影響している。競技支援の公平性の観点から、非オリンピック種目について厚い選手強化の基盤整備の必要性が指摘されている。

オリンピック[編集]

1896年アテネオリンピックで実施される予定であったが、天候不良により中止となった経緯がある。1900年パリオリンピックから実施された。

アメリカスカップ[編集]

現在のヨット界で世界的に最も有名なレースは、このアメリカスカップである。 アメリカスカップは、1844年に設立されたニューヨーク・ヨット・クラブが建造したアメリカ号が、1851年に開催されたロンドン万国博覧会の記念行事として行われたワイト島一周レースにおいて、並み居るイギリス艇に圧倒的な差をつけ大勝し、観戦していたヴィクトリア王女はニューヨーク・ヨット・クラブにカップを与えたことから始まった。 アメリカがこのカップを得てからおよそ150年の間、アメリカ以外の国にカップがわたったことは無かったが、近年になって、オーストラリアニュージーランドにカップが渡った。2003年大会ではスイスが優勝し、152年の大会史において初めてヨーロッパ、そして海の無い国へとカップが渡った。 日本は、1992年にニッポンチャレンジとして正式に参加を果たし、以後定期的に出場したが、資金難などにより2003年のアメリカスカップには参加していない。最高位は準決勝進出。

参加するチームは、最初にルイ・ヴィトンカップと呼ばれる予選を総当りで戦い、勝った1チームだけが、カップを保有するクラブチームと戦うアメリカスカップに進むことができる。

競技の艇種による分類[編集]

  • RS:X(アールエス エックス) 2008年の北京オリンピックから「セーリング」種目の中のウィンドサーフィン部門の種目として採用された。
  • (ウィンドサーフィンに用いられる技術のごく一部は、セーリングと共通ではあるが、異なる部分が多すぎ(たとえばウィンドサーフィンは、マストがユニバーサルジョイントによって360度自由自在に曲がり、その結果、力学的原理も、通常のセーリングボートとは、かなり異なる状況が頻発する)一般的には、ウィンドサーフィンはセーリング競技の中で競われず、セーリング競技のひとつと位置付けられるのではなく、ウィンドサーフィンの愛好者だけが集まる「ウィンドサーフィン大会」として競われている。ウィンドサーフィンは競技によっては、波の上でジャンプして空中回転してみるなど、ただのセーリングよりもはるかに高度な(超人的な)技を駆使するので、別世界なのである。)
  • オプティミスト・ディンギー・クラス
  • シーホッパー・クラス
  • シーホース・クラス
  • スター・クラス
  • スナイプ・クラス
  • ソリング・クラス
  • テーザー・クラス
  • トーネード・クラス
  • トッパー・クラス
  • ドラゴン・クラス
  • ナクラ・クラス
  • ファイアーボール・クラス
  • ミラー・クラス
  • モス・クラス
  • ヨーロッパ・クラス
  • レーザー・クラス
  • 49ER・クラス
420クラスのレース風景
  • 420・クラス
  • 470・クラス
  • 505・クラス
  • FJ・クラス
  • J24・クラス
  • K16・クラス
  • SS・クラス

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]

法規
国際組織など
日本国内