ヨット

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US Sailing Team1.jpg

ヨット (yacht) は、レジャー用船艇を広く意味する言葉で、その中でも特に次の2つを指す。

  1. 大型(個人船としては)で豪華な遊行船。
  2. 縦帆を使った小型の帆船(≒ sailing yacht, en:sailboat)。スポーツ用舟艇の性質が強く、レースにも使われる。

英語では、単に yacht と言えば主に 1. を意味する。

ヨット(遊行船)[編集]

英語では、単に yacht と言えば主にこの意味である。 「豪華な遊び船」という意味で、現在ではモーターボートであることが多いが、歴史的には帆船も多かった。客船並みに大きくジャグジーやヘリポートが付いていたりもする。

例: イギリスの王室ヨットHMYブリタニア英語版。126m、5769総トン

ヨット(小型の帆船)[編集]

英語では、帆走ヨット (sailling yacht)、あるいは単に帆船 (sailboat) と呼ぶことが多い。ただし、これを使ったレースは yacht race と言う。

個人で運用可能であるため、冒険心のある人物による単独での大洋の横断、無寄港での世界一周などが行われている。

ヨットでの航海やヨット競技のことをセーリングともいう。これはヨットがセール(帆)を使って進むからである。

現在、ヨットと分類される船舶は非常に多岐にわたっている。乗員数も一人乗りから10人以上まで様々であり、設備もラダー()、セール()、キール(竜骨)しかないものからキャビン、発動機を完備したものまである。発動機やキャビンのない小型のヨットを「ディンギー」、発動機やキャビンのある大型のヨットを「クルーザー」と呼び分けることがある。

歴史[編集]

ヨットが歴史に初めて登場するのは、14世紀のオランダとされている。当初は、その高速性や俊敏さから海賊を追跡したり、偵察などに用いられるために建造された高速帆船でjaght(ヤハト)と呼ばれていた。

1660年イギリス王政復古に成功したチャールズ2世は、オランダより寄贈されたこの乗り物を好み、Yachtと名前を改めた。これが現在のYachtの語源である。その後1720年に記録に残っている最古のヨットクラブ「コーク・ウォーター・クラブ」がアイルランドに設立された。

その後はアメリカにおいてヨットを嗜む人が増え、各地にヨットクラブが設立される。

日本においては1861年(文久元年)に長崎で英国人船大工が貿易商オルトの注文で建設し、当時の地元新聞で報道された「ファントム号」や、同年、外国人たちが開催したヨットレース「長崎レガッタ」が初めてといわれている。また、1882年明治15年)には横浜本牧で日本人により初めて建造され、神奈川の葉山で帆走したことから、葉山港には日本ヨット発祥の地と刻まれた碑が建っている。

ヨットクラブは横浜を始め神戸長崎などに設立された。

種類[編集]

ディンギー(主に1人〜2人乗り)[編集]

一人乗りから二人乗りのヨットで、比較的見る機会が多いものとしては「FJ級(2人乗り)」「シーホッパー級(1人乗り)」「スナイプ級(2人乗り)」などが挙げられる。日本では、海沿いの高校、大学でヨット部がある学校などには、大抵はこの3つのクラスの艇が備わっている。また、大学の体育会ヨット部では「470級(2人乗り)」と「スナイプ級(2人乗り)」を所有し、全日本インカレ等が行われる。小学生のヨットクラブでは小型の「オプティミスト(OP)級(1人乗り)」で練習を行うところもある。

クルーザー(主に4人乗り以上)[編集]

5人から10人乗り程度のヨットは国内でも、比較的見る機会が多い。全長によって、おおまかに以下のように分かれる。

  • 小型艇と言われる全長24フィート(約8メートル)程度のヨット。
  • 中型艇と言われる全長30フィート(約10メートル)程度のヨット。
  • 大型艇と言われる全長40フィート(約13メートル)程度のヨット。

国産最大手のヤマハのYシリーズ(現在はニュージャパンヨットに業務委託)、岡崎造船のOKAZAKIシリーズ、ニュージャパンヨットの各種、中堅では横山の横山シリーズ、林のHAYASHIシリーズ、奥村ボートのOKUMURAシリーズ、大橋のヴァンデュスタットシリーズ、などが挙げられる。外国のメーカーのヨットも国内を多く帆走している。ベネトウオセアニス、ピーターソン、ハンター、ナウティキャットなど。

ヨットの動く原理[編集]

ヨットはを利用して動くため、まっすぐ風上の方向(風位)へ進むことができない。しかし、風位に対して最大およそ45度の角度(クローズホールド)までなら進むことができる。進行方向と風上方向との間を成す角度と、理論帆走速度と風速の比を示したものを帆走ポーラー線図(ポーラーダイアグラム)と呼び、性能を示す指標の一つとなる。また、その原理は以下の通り。

図のように、セール(帆)の付近を流れる風によって発生する揚力(船の進行方向に対して斜め前方の向き)のうち進行方向に対して垂直な成分を、キール(竜骨)またはセンターボード(船底の中央から水中に差し込む板)によって打ち消すことにより、進行方向と同じ向きの推進力を得る。

クローズホールド時にヨットに働く力

セールに発生する揚力に加え、リーウエイする艇のキールへの水流の迎角からも艇を前進する力が発生する。

なお、ヨットにはセールを複数持つものもあるが、図では簡略化するためにセールが1枚のものを描いている。セールが複数ある船では、各セールに発生する揚力の合力を、この図でいう「揚力」とみなせばよい。

ヨットレース[編集]

ルール[編集]

一般的なヨット競技におけるルールとしては、二等辺三角形や台形の頂点にそれぞれブイ(マーク)を浮かべ、それを反時計回りに回るというものがあり、規定数を周回するまでの順位を競う。公式大会などでは、合計10レース以上を行い、その得点により順位を決する。1位が1点、2位が2点、順位が上位であるほど得点が少なく、全レースで最も得点の低いものが優勝となる。故にリタイアや失格などは高得点になる。

ヨットレースでのルールで最も頻繁に出てくるのは接触に対する予防規定である。これはヨット同士の接触を避けるためにヨットの帆走状態により権利順位を付けるものである。これにより権利順位の低い艇は高い艇に進路を譲らなければならない。例えば風上に向かっている二つの(クローズホールド)艇が接触の危険にある場合、右側(右舷)から風を受けている艇が権利的強者となり左側(左舷)から風を受けている艇は進路を譲らなければならない。接触した場合は権利的弱者の艇に罰則が科せられる。その他にもその時の状態において権利的強者と弱者が細かく規定されている。その他、細かい点については、国際セーリング競技規則や、各クラスルールによって定められている。

また2艇のみで行うレースをマッチレースと呼び、アメリカズカップはこのマッチレースで行われる。

競技種別[編集]

セーリング競技の種別としては、多様性が認められる。 オリンピックの競技種目としてのセーリング競技以外にも多様な種目が存する。競技に適する地理的条件及び気象的条件がオリンピックの開催地及び時期に適合させることに困難を伴う競技形態もあることを要因とするものと思われる。 このように個別の競技種目としては、4年毎の開催が不安定要因となり、選手を養成する基盤にも影響している。種目毎のワールドカップに対して、より厚い選手強化の基盤整備の必要性が指摘されている。 オリンピック競技には珍しく男女混合種目(オープン)も設けられていた(現在は廃止された)。

著名なレース[編集]

ボルボ・オーシャンレース[編集]

アメリカスカップ[編集]

ヴァンデ・グローブ(Vendee Globe)[編集]

メルボルン=大阪 ダブルハンド ヨットレース[編集]

現在日本を舞台とし定期的に開催されている、もっとも長距離のヨットレース。3月下旬にオーストラリアのメルボルンを出港し、赤道を越えて4月に日本の大阪港に到着する縦回りという珍しいコースを取る。1991年平成3年)から4年に一度開催されている。

用語[編集]

クロースホールド(クローズ)「Closehauled」
風位(の吹いてくる方向)に対して最大の約45度の角度で航行する(のぼる)こと。その原理については、#ヨットの動く原理の項を参照のこと。
タッキング(タック)「Tacking」
クロースホールドで進んでいるとき、反対向きのクロースホールドまで風上方向へ船の向きを回転させる動作。一瞬だけ風位を向く。風上の方向に目的地がある場合は、ヨットは風上に向かって直進に進むことは不可能であるため、タックを繰り返してジグザグに進みながら向かっていく。
ランニング
船の進行方向のほぼ真後ろから風を受けて進む(くだる)こと。このとき、セール(帆)は船の片側に大きく開いている。完全に真後ろから風を受ける「デッドラン」では失速したり、強風下ではワイルドジャイブ(下記参照)を引き起こしたりする。
ジャイブ(ジャイビング)
ランニングに近い角度で進んでいるとき、風下方向へ舟を回し片側に開いているセールを反対側に開くこと。ワイルドジャイブは強風下で船の真後ろから風を受けているときにジャイブ動作をしていないのに勝手にセールが反転する現象である。ワイルドジャイブが起きると船が大きく傾き転覆する事がよくある。映画「白い嵐」では最終的にワイルドジャイブにより船が転覆する。
アビーム「Abeam」
風位に対して90度から風を受けて進むこと。ちょうど船の真横から風を受ける感じ。ヨットではアビームの状態が最もスピードが出る。
チン(沈)
ヨット(ディンギー)が転覆すること。90度横に転覆したものを半沈(ハンチン)、180度完全に転覆したものを完沈(カンチン)と言う。また、陸上に上げて保管中に台風などで横倒しになった場合には陸沈(リクチン)と呼んだりする。
ジブ
メインセールが後ろの帆であるとするならば、前の帆になる小さいセール。正式にはジブセールとは言わない。
スピンネーカー(スピン)「Spinnaker」
メインセール、ジブセールのほか、クローズ以外の角度で航行するときに張ることができる3枚目の非常に軽い帆。1人乗りの船には無い。ちょうど日本の正月に上げるタコを巨大にしたような感じ。2人乗りでも、FJ級・470級などにはあるが、スナイプ級などには無い。映画「ウォーターワールド」では海賊から逃げる際に使われた。
スキッパー(ヘルムスマン)「Helmsman」
主に舵取りを担当する人員のこと。艇長。ディンギーではメインセールの操作と舵取りの役割を担う。
クルー 「Crew」
操船に係わる乗員の中でスキッパーでない人員のこと。ディンギーでは主にジブセールおよびスピンネーカーの操作、船の左右の傾き(ヒール)の調整、また海や他艇の状況把握および進路判断の役割を担う。
トラピーズ
マストの上の方から左右にぶら下がっているワイヤー。下端に金属製の輪(トラピーズリング)がついている。クルーが腰の周りに「ハーネス」と呼ばれる金具を装着し、その金具をトラピーズリングに引っかけて外側に体重をかけることで、効率よく船の左右の傾き(ヒール)を打ち消すことができる。クルーがいない1人乗りの船には無い。2人乗りでも、FJ級・470級などにはあるが、スナイプ級などには無くクルーもハイクアウト(下に記述)をとる。
ハイクアウト「Hikeout」
足首を「フットベルト」と呼ばれるベルトに引っ掛け、臀部から上の体を船の外に出して体重をかけて傾き(ヒール)を打ち消す方法。ディンギーでは1人乗り2人乗りのどちらもで行われる動作ではあるが、FJ級・470級はスキッパーだけが、スナイプ級ではトラピーズがないクルーもこれをとる。上半身の体重がかかる為、腹筋と大腿筋に負担がかかる。
スターボード(スターボ)「Starboard」
右舷。舵取り甲板が進行方向右側だったことに由来。あるいは風を右舷から受けて走る状態(スターボードタック)。レースではスターボ艇がポート艇に対して権利的強者となる。
ポート
左舷。港に横付けする側が進行方向左側だったことに由来。あるいは風を左舷から受けて走る状態(ポートタック)。

ヨットを扱った芸術作品[編集]

文学[編集]

映画[編集]

漫画[編集]

パソコンゲーム[編集]

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]

日本語[編集]

英語[編集]