芳賀徹

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芳賀 徹(はが とおる、1931年5月9日 - )は、日本の文学研究者、比較文学者[1]国際日本文化研究センター東京大学名誉教授[1]京都造形芸術大学名誉学長。

人物[編集]

東京府(現・東京都)生まれだが、本籍は山形県。父は中世日本史を専攻した歴史学者芳賀幸四郎[1]、父が左翼活動で東京高等師範学校を退学になった直後に生まれている[1]東北大学教授の考古学者・芳賀満は長男。東北大学准教授の美術史学者・芳賀京子はその妻。

東京高等師範学校附属小学校(現・筑波大学附属小学校)では、同じクラス(第1部)からのちに東大教授となった者が五人いた。平川祐弘石井進高階秀爾、平田賢である。高階とは後に京都造形芸術大学においても同僚となり、芳賀が京都造形芸術大学学長、高階が京都造形芸術大学大学院長を務めた。平川と伊東俊太郎とは東京大学教養学部の同僚であり、伊東とは後に国際日本文化研究センターにおいても同僚となる。

略歴[編集]

1950年東京教育大学附属中学校・高等学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)を卒業。

新制大学第一期生で、1953年東京大学教養学部教養学科フランス分科第一期生として卒業、続いて大学院比較文学比較文化専修課程第一期生。島田謹二に比較文学を学ぶ。修士修了ののちフランスへ留学、1957年帰国、1963年東大教養学部専任講師、1965年助教授1966年プリンストン大学研究員、1968年に初の単著『大君の使節』を刊行、1977年東京大学教授。1985年 東京大学より文学博士。論文の題は 「絵画の領分 : 近代日本比較文化史研究 」[2]

1983年から1988年まで比較文学比較文化研究室主任教授、1992年定年退官後は国際日本文化研究センター教授、1997年大正大学教授、98年岡崎市美術博物館館長(-2012年)、1999年京都造形芸術大学教授、学長を歴任し、2008年名誉学長。新しい歴史教科書をつくる会の理事を務める。2006年11月1日源氏物語千年紀の呼びかけ人となる。2010年、静岡県立美術館館長(-2017年)。2011年『藝術の国日本 画文交響』で蓮如賞受賞。2012年現代俳句大賞受賞。2014年歌会始召人

当初、フランスに留学してその詩に親しんでいたが、蘭学研究を始めて近世以降の東西交渉史に関心を持ち、ついで近代日本絵画における西洋文化の影響、岩倉使節団を論じ、徳川時代の平和を、パクス・ロマーナをもじって「パックス・トクガワーナ」と名づけ[3]、徳川時代再評価の先鞭をつけた。大学院では福田眞人杉田英明[4]を含む数多くの後進を育成した。1993年より2010年までサントリー学芸賞文学・美術部門選考委員を務め、弟子には受賞者が多い。

受賞歴[編集]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『大君の使節』中央公論社〈中公新書〉、1968
  • 渡辺崋山 優しい旅びと』 (日本の旅人13)淡交社、1974/朝日選書 1986、オンデマンド版2003
  • 『みだれ髪の系譜』美術公論社、1981/講談社学術文庫 1988
  • 平賀源内』 (朝日評伝選23)朝日新聞社、1981/朝日選書 1989 
  • 『絵画の領分 近代日本比較文化史研究』朝日新聞社、1984/朝日選書 1990
  • 與謝蕪村の小さな世界』中央公論社 1986/中公文庫 1988
  • 『文化の往還 比較文化のたのしみ』福武書店 1989 (福武ブックス)
  • 岩倉使節団の西洋見聞 「米欧回覧実記」を読む』日本放送出版協会 1990 (NHK市民大学)
  • 『きのふの空 東大駒場小景集』中央公論美術出版 1992
  • 『詩の国 詩人の国』 筑摩書房 1997
  • 『詩歌の森へ-日本詩へのいざない』 中公新書 2002
  • 『ひびきあう詩心-俳句とフランスの詩人たち』 TBSブリタニカ 2002
  • 『みやこの円熟 江戸期の京都文化史再考』 日本放送出版協会 2004 (NHK人間講座)
  • 『藝術の国日本 画文交響』角川学芸出版 2010 
  • 『文明としての徳川日本』筑摩書房〈筑摩選書〉、2017年9月

主な共編著[編集]

  • 明治百年の序幕 (大世界史21) 文藝春秋、1969。井上勲と共著
  • 日本の名著22 杉田玄白・平賀源内・司馬江漢 中央公論社 1971、新版1983
  • 講座比較文学 全8巻 平川・亀井俊介小堀桂一郎共編 東京大学出版会、1973-76
  • 批評日本史 政治的人間の系譜 徳川吉宗 奈良本辰也・楢林忠男共著、思索社、1973
  • 平凡社ギャラリー 崋山-四州真景 1974
  • 芸術の精神史 蕪村から藤島武二まで 共同討議 高階秀爾共編 淡交社 1976
  • 明治大正図誌 東京 3 小木新造共編 筑摩書房 1979
  • カンヴァス日本の名画 高橋由一 青木茂共著 中央公論社 1979
  • 近代漫画 4 日露戦争期の漫画 浅井忠小杉未醒 清水勲共編 筑摩書房 1985
  • 海外の日本人小事典 エッソ石油広報部 1985
  • 近代漫画 1 幕末維新期の漫画 C=ワーグマン河鍋暁斎 清水共編 筑摩書房、1986
  • 江漢西遊日記 司馬江漢 太田理恵子共校注 平凡社東洋文庫、1986
  • 外国人による日本論の名著 ゴンチャロフからパンゲまで 佐伯彰一共編 中公新書 1987
  • 小出楢重随筆集 岩波文庫 1987
  • 文学の東西 辻瑆共編著 放送大学教育振興会 1988
  • ビゴー素描コレクション 1-3 清水勲・酒井忠康川本皓嗣共編 岩波書店 1989
  • 世紀末から新世紀末へ 筑摩書房 1990
  • 写真で見る江戸東京 岡部昌幸共著 新潮社・とんぼの本 1992
  • 世界都市の条件 高階秀爾共編 筑摩書房 1992
  • 絵のなかの東京 ビジュアルブック江戸東京 岩波書店 1993
  • 叢書 比較文学比較文化〈1〉 文明としての徳川日本 中央公論社 1993
  • 水墨画の巨匠 第12巻 蕪村 早川聞多共著 講談社 1994
  • 河鍋暁斎画集 六燿社 1994
  • 江戸のなかの近代―秋田蘭画と『解体新書』高階秀爾・武塙林太郎・養老孟司共著 筑摩書房 1996
  • 翻訳と日本文化 国際文化交流推進協会〈シリーズ国際交流〉 2000
  • 創像新世紀 淡交社 2001
  • 京都学を学ぶ人のために 冨士谷あつ子共編 世界思想社 2002
  • ワーグマン素描コレクション 上下 酒井・清水・川本・新井潤美編 岩波書店 2002
  • 岩倉使節団の比較文化史的研究 思文閣出版 2003
  • 泉涌寺 古寺巡礼京都27 上村貞郎共著 淡交社 2008

翻訳[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d 小谷野敦 著 『日本の有名一族 近代エスタブリッシュメントの系図集幻冬舎幻冬舎新書)、2007年9月30日第1刷発行、ISBN 978-4-344-98055-6、182頁。
  2. ^ 博士論文書誌データベース
  3. ^ huffingtonpost
  4. ^ 諸君!』2004年3月号「イスラムが『ミカド』と『トーゴー』に目醒めた時」の山内昌之との対談より