東京大学大学院総合文化研究科・教養学部

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東京大学大学院総合文化研究科(とうきょうだいがくだいがくいんそうごうぶんかけんきゅうか、英語表記:Graduate School of Arts and Sciences[1])は、東京大学に設置される大学院研究科の一つである[2]。また、東京大学教養学部(とうきょうだいがくきょうようがくぶ、英語表記:College of Arts and Sciences[3])は、東京大学に設置される学部の一つである。いずれも、キャンパスの所在地名から駒場と呼ばれる。

教養学部の教育課程は、前期課程と後期課程に分かれている。総合文化研究科と教養学部は一体となって運営されているため、この記事で合わせて解説する。

概説[編集]

東京大学大学院総合文化研究科・教養学部は、東京英語学校 - 大学予備門 - 旧制第一高等学校(および旧制東京高等学校)の流れを汲んでおり、東京大学の他部局とは異なる沿革を持つ。また、キャンパスも独立しており、教養学部独自の学園祭駒場祭)を持つなど、独自色が強い[要出典]

教養学部では、東京大学に入学した全ての学生を対象とした教養教育(前期課程教育)を行っており、先述の歴史的背景を軸として、日本の大学制度の中において他に類を見ないユニークかつ総合的なカリキュラムが組まれている。また、教養学部後期課程(3・4年)および総合文化研究科では古くから学際的な研究が行われており、その中には同学部を発祥の地とする学問分野もある。前期課程・後期課程・大学院はいずれも別々のものではなく、教養教育と先端研究が互いが有機的な連携を取る形を取っている。[要出典]

概要[編集]

教養学部[編集]

駒場Iキャンパスの銀杏並木

前期課程[編集]

東京大学の入学者は全員が6つの科類(文科一類・二類・三類、理科一類・二類・三類[4])に分かれて教養学部に所属し、2年間の前期課程を履修する。入学選考時に各科類を指定して出願する(東京大学の入学試験を参照)。入学後の転類はできない。科類により後期課程に進学可能な学部・学科がおおよそ決まっている(進学振分けを参照)。教育内容の詳細は前期課程教育で解説するが、前期課程教育のうち「基礎科目」は将来の進路に応じて科類ごとに履修科目が指定されている。

後期課程[編集]

1949年の学部設置当初は前期課程のみであったが、1951年に後期課程として教養学科が設置された(ただし学部設置当初から後期課程を設置することが予定されていた)。その後、学科新設・改組が行われるが、1996年に学科組織が大きく再編され6学科(超域文化科学科、地域文化研究学科、総合社会科学科、基礎科学科、広域科学科、生命・認知科学科)となる。それまでは主に文科生が進学する教養学科第一に属していた科学史科学哲学人文地理学認知行動科学が、それぞれ主に理科生が進学する基礎科学科、広域科学科、生命・認知科学科に移行したことは特筆に値する。2011年に学科を再編し、現在の3学科(教養学科、学際科学科、統合自然科学科)となる。教育内容については#後期課程教育を参照。

総合文化研究科[編集]

教養学部後期課程から接続する大学院として1983年に設置された。学際性と国際性を理念に掲げ、人文科学社会科学自然科学の枠を超えた領域横断的な教育・研究が行われており、国際関係論相関社会科学表象文化論など総合文化研究科(教養学部)を発祥の地とする学問分野も存在している。国際社会科学専攻は、国際関係論と相関社会科学の2分野から構成されている。また、科学史・科学哲学、文化人類学、人文地理学など他学部・研究科に含まれない分野も総合文化研究科で研究されている。言語情報科学専攻、超域文化科学専攻、地域文化研究専攻、国際社会科学専攻、広域科学専攻(3学系)がある。

基礎データ[編集]

所在地[編集]

施設は東京都目黒区駒場の東京大学駒場Iキャンパスに設置されている。同キャンパスには数理科学研究科も設置されているが、総合文化研究科・教養学部と数理科学研究科の事務組織は一体となっており、「総合文化研究科・数理科学研究科・教養学部事務部(教養学部等事務部)」となっている。

象徴[編集]

総合文化研究科・教養学部のシンボルマークは3枚のカシワの葉を重ねたもので、旧制第一高等学校のシンボルであり、1999年に制定された。後述する三層構造を表している。

沿革[編集]

☆は総合文化研究科に、その他は教養学部に関連した事項である。

  • 1949年5月31日 - 教養学部設置(当初は前期課程のみ)。
  • 1951年4月1日 - 教養学部後期課程として教養学科を設置。
  • 1962年4月1日 - 教養学部後期課程に基礎科学科を設置。前期課程の4科類(文科一類・二類、理科一類・二類)を現在の6科類に再編。
  • 1967年6月1日 - 教養学部附属施設としてアメリカ研究資料センターを設置。
  • 1977年4月1日 - 教養学科を教養学科第一・第二・第三の3学科に再編。
  • 1981年4月1日 - 後期課程に基礎科学科第二を設置。従来の基礎科学科は基礎科学科第一に改称された。
  • 1983年4月1日 - ☆大学院総合文化研究科設置(人文科学研究科より比較文学比較文化専攻を、社会学研究科より国際関係論専攻を移管し、さらに地域文化研究専攻、相関社会科学専攻を新設して、4専攻で発足)。
  • 1985年4月1日 - ☆広域科学専攻を設置。
  • 1986年4月1日 - ☆大学院社会学研究科より文化人類学専攻を移管。
  • 1989年4月1日 - ☆表象文化論専攻を設置。
  • 1993年4月1日 - ☆言語情報科学専攻を設置・重点化。
  • 1994年4月1日 - ☆広域科学専攻生命環境科学系を設置・重点化。理学系研究科相関理化学専攻、科学史・科学基礎論専攻を広域科学専攻に移管・統合し、広域科学専攻相関基礎科学系を設置。従来の広域科学専攻は広域科学専攻広域システム科学系に改組。
  • 1995年4月1日 - ☆広域科学専攻相関基礎科学系、広域システム科学系重点化。
  • 1996年4月1日
  • 教養学部後期課程の5学科(教養学科第一・第二・第三、基礎科学科第一・第二)を再編して6学科(超域文化科学科、地域文化研究学科、総合社会科学科、基礎科学科、広域科学科、生命・認知科学科)を設置。
  • ☆比較文学比較文化専攻・文化人類学専攻・表象文化論専攻を超域文化科学専攻へ統合・改組・重点化。地域文化研究専攻を改組・重点化。相関社会科学専攻・国際関係論専攻を国際社会科学専攻へ統合・改組・重点化。(大学院重点化が完了)
  • 2000年4月1日 - ☆アメリカ研究資料センターをアメリカ太平洋地域研究センターに改組。
  • 2004年4月1日 - ☆「人間の安全保障」プログラム発足。
  • 2004年11月25日 - 海外学術交流拠点として、南京大学中日文化研究センター内に東京大学リベラルアーツ南京交流センター(東京大学教養教育南京交流中心)を開設。
  • 2005年4月1日 - 教養学部附属施設として教養教育開発機構を設置。
  • 2010年4月1日
  • 教養学部附属施設として教養教育高度化機構を設置、それに伴い教養教育開発機構は廃止。
  • 総合文化研究科附属施設としてグローバル地域研究機構を設置。
  • 2011年4月1日 - 教養学部後期課程を教養学科、学際科学科、統合自然科学科に改組。
  • 2012年10月1日 - PEAKコース(英語コース)を開設し、学部発足後初の10月入学式を実施。開設に先立って、AO入試も実施。

組織[編集]

教養学部前期課程・後期課程と大学院総合文化研究科を合わせて三層構造になっている点が特徴的である。これにより、大学院における先端研究の結果を教養教育に直接反映させることができるシステムになっている。この教育システムは「教養教育と大学院先端研究との創造的連携の推進」として文部科学省特色ある大学教育支援プログラムに採択されている。[要出典]

東京大学における大学院重点化によって、教養学部の教員も総合文化研究科に所属変更された(ただし数学教員は数理科学研究科へ)。教養学部長も総合文化研究科長が兼任する形になっている。

教養学部前期課程[編集]

前期課程教育を行う教員組織は「部会」と呼ばれており、大学院総合文化研究科・数理科学研究科に所属する教員で構成されている(東京大学は大学院重点化されたため教養学部の教員も大学院所属となっている)。

部会一覧[編集]

外国語関係
英語、ドイツ語、フランス語・イタリア語[5]、中国語、韓国朝鮮語、ロシア語、スペイン語、古典語・地中海諸言語
人文科学・人間科学関係
歴史学、国文・漢文学、文化人類学、哲学・科学史、心理・教育学、人文地理学
社会科学関係
法・政治、経済・統計、社会・社会思想史、国際関係論
自然科学関係
物理、化学、生物、情報・図形科学、宇宙地球、相関自然、スポーツ・身体運動、数学(数理科学研究科、教養学部前期課程数学委員会)
PEAK関係
PEAK前期実施

なお、大学院重点化される前は学科目制をとっており、外国語学科、人文科学科、社会科学科、自然科学科、保健体育科の5学科目が置かれ、その中に現在の部会に相当する各教室が置かれていた。

教養学部後期課程[編集]

  • 教養学科
    • 超域文化科学分科
      • 文化人類学
      • 表象文化論
      • 比較文学比較芸術
      • 現代思想
      • 学際日本文化論
      • 学際言語科学
      • 言語態・テクスト文化論
    • 地域文化研究分科
      • イギリス研究
      • フランス研究
      • ドイツ研究
      • ロシア東欧研究
      • イタリア地中海研究
      • 北アメリカ研究
      • ラテンアメリカ研究
      • アジア・日本研究
      • 韓国朝鮮研究
    • 総合社会科学分科
      • 相関社会科学
      • 国際関係論
  • 学際科学科
    • 科学技術論コース
    • 地理・空間コース
    • 総合情報学コース
    • 地球システム・エネルギーコース
  • 統合自然科学科
    • 数理自然科学コース
    • 物質基礎科学コース
    • 統合生命科学コース
    • 認知行動科学コース
    • スポーツ科学サブコース

大学院総合文化研究科[編集]

以下の5専攻が設置されている。広域科学専攻は自然科学の研究が中心であるが、心理学、人文地理学、科学史・科学哲学のような学際分野も含まれている。広域科学専攻については、教員数が100名を超える大規模な専攻であるため、3学系に分けられている。

  • 言語情報科学専攻
言語科学基礎理論大講座、言語情報解析大講座、国際コミュニケーション大講座、 言語態分析大講座、言語習得論大講座、日韓言語エコロジー研究大講座
  • 超域文化科学専攻(表象文化論コース、文化人類学コース、比較文学比較文化コース)
文化ダイナミクス大講座、表象文化論大講座、 文化人類学大講座、 文化コンプレクシティ大講座、 比較文学比較文化大講座
  • 地域文化研究専攻
多元世界解析大講座、ヨーロッパ・ロシア地域文化大講座、地中海・イスラム地域文化大講座、 北米・中南米地域文化大講座、アジア太平洋地域文化大講座
  • 国際社会科学専攻(国際関係論分野、相関社会科学分野)
国際協力論大講座、国際関係論大講座、公共政策論大講座、相関社会科学大講座
  • 広域科学専攻
  • 生命環境科学系
環境応答論大講座、生命情報学大講座、生命機能論大講座、運動適応科学大講座、認知行動科学大講座
  • 相関基礎科学系
科学技術基礎論大講座、自然構造解析学大講座、複雑系解析学大講座、機能解析学大講座、物質計測学大講座、物質設計学大講座
  • 広域システム科学系
基礎システム学大講座、情報システム学大講座、自然体系学大講座、複合系計画学大講座

専攻横断プログラム[編集]

各専攻の他に、専攻横断プログラムが設置されている。

  • 「人間の安全保障」プログラム (HSP)
2005年度に文部科学省の「魅力ある大学院教育」イニシアティブに採択された[要出典]
  • グローバル共生プログラム (GHP)
  • 欧州研究プログラム (ESP)
  • 日独共同大学院プログラム (IGK)

附属施設[編集]

教養学部附属教養教育高度化機構 (KOMEX)[編集]

教養教育開発機構 (KOMED)(2005年設置)と生命科学構造化センター(2006年設置)を融合し、2010年4月設立された。

課題に即応した教養教育の開発
  • 自然科学高度化部門 (CSLS)
急速に進展しつつある自然科学の情報を収集し、大学における教養としての自然科学の教科書を作成するとともに、学習のための補助教材の開発も行っている。
2012年度までの名称は「生命科学高度化部門」であり、生命科学の3種類の教科書(理科一類向け、理科二・三類向け、文系向け)を作成した。作成した教科書は本学の前期課程ばかりでなく、他大学の授業においても使用されている。また、留学生のための教科書を手がけたり、学生の学習を補助するシステムの開発も行った[要出典]
2013年度からは、化学・物理学を含めた自然科学の教科書の開発などを行っている。
  • 科学技術インタープリター養成部門
  • アクティブラーニング部門
  • 環境エネルギー科学特別部門
チームワークの育成
  • 社会連携部門
  • 高校生のための金曜特別講座
近隣の高校から休日に高校生対象の公開講座を開講してほしいとの要望を受け、2002年4月から実施している。2003年10月からは金曜日の夜に開講されている。高校生以外の人も受講可能である。インターネット・テレビ電話システムによる講座の配信を試験的に実施している。[要出典]
  • ブランドデザインスタジオ
  • 将棋で磨く知性と感性
  • 教養教育への囲碁の活用
  • 体験型リーダー養成部門
教養教育の国際化
  • 国際化部門

総合文化研究科附属[編集]

  • グローバル地域研究機構 (IAGS)
  • アメリカ太平洋地域研究センター (CPAS)
  • ドイツ・ヨーロッパ研究センター (DESK)
  • 持続的開発研究センター
  • 持続的平和研究センター
  • アフリカ地域研究センター
  • 中東地域研究センター (UTCMES)
  • アジア地域研究センター
  • 韓国学研究部門
  • 地中海地域研究部門
  • 国際環境学教育機構
  • 国際日本研究教育機構

研究[編集]

21世紀COEプログラム[編集]

総合文化研究科では、以下の3件が文部科学省の21世紀COEプログラムに採択された。いずれも総合文化研究科の学際的研究を生かしたものとなっている。

  • 共生のための国際哲学交流センター(2002年
  • 融合科学創成ステーション(2002年)
  • 心とことば—進化認知科学的展開(2003年

グローバルCOEプログラム[編集]

21世紀COEプログラムの「共生のための国際哲学交流センター」を継承した以下の拠点がグローバルCOEプログラムに採択された。

  • 共生のための国際哲学教育研究センター (UTCP)(2007年度)

教育[編集]

前期課程教育[編集]

東京大学は新制大学となって以来、リベラル・アーツ教育を学部教育の基礎として重視している。前期課程教育は東京大学に入学した全ての1,2年生を対象に教養学部で実施されている。教養学部(大学院総合文化研究科)が運営主体となっているが、その他の学部や研究所なども一部の授業を担当しており、先端研究の成果が教養教育に反映されているという特徴がある。

東京大学の教養教育は、カリキュラムこそ現代に合わせて変化しているものの、実質的に旧制高等学校時代で重視されていた教養教育の流れを汲んでいる(詳細は教養学部の項を参照)[要出典]。本節ではそのような事情を踏まえて東京大学における教養教育を特に詳細に解説する。

このような東京大学の教養教育への取り組みは、2003年に文部科学省の特色ある大学教育支援プログラムに「教養教育と大学院先端研究との創造的連携の推進」として採択された。また、2007年には現代的教育ニーズ取組支援プログラムに「ICTを活用した新たな教養教育の実現-アクティブラーニングの深化による国際標準の授業モデル構築-」が採択された。その他には、大学教育の国際化推進プログラムとして「国際標準の学部初年次教育実現のモデル構築-留学生も視野に入れた先進的研修プログラムの試行-」(2006年)、「国際連携による初年次教養教育のモデル実現-職員・学生の参画をとおした「学び」のエンパワーメント-」(2007年)が採択されている。

現在のカリキュラムは2006年度に開始されたが、1993年2005年のカリキュラムの基本的な枠組みを継承している。大きく基礎科目、総合科目、主題科目の3つに大別され、そのうち基礎科目がいわゆる必修科目である。進学振分けは基礎科目・総合科目の成績に基づいて行われる。

なお、期末レポートにて剽窃などの不適切行為が判明した場合、当該学期の履修全科目の単位が無効となる処置が採られる[6]

  • 基礎科目
専門を学ぶ上で土台となる基礎的知識・技能を身に付けるための科目である。2006年度のカリキュラム改正でさらに重要視されるようになった。外国語、情報、身体運動・健康科学実習を除くと、文科生は人文科学社会科学系科目、理科生は数理科学物質科学生命科学などの自然科学系科目を履修するようになっている。その一方、理学部のように文科生の進学希望者に対して自然科学系科目の履修を義務付けている学部もある。
英語(既修のみ)、ドイツ語フランス語中国語ロシア語スペイン語韓国朝鮮語イタリア語日本語(外国人留学生のみ)から2か国語を選択する。既修外国語と初修外国語の組み合わせが基本であるが、既修外国語と既修外国語の組み合わせも可能な場合がある(以前は初修外国語と初修外国語の組み合わせも可能であったが現在は認められていない)。英語を選択する学生がほとんどである。なお、上記以外の外国語も総合科目B(国際コミュニケーション)の枠内で第三外国語として履修可能である。
1年生対象の英語の授業のうち、英語一列(英語I)は全クラス同一カリキュラムという(大学では)珍しい授業システムをとっており、テキスト・ビデオは教養学部英語部会が自作したものを使用している。テキストは市販されており、1993年〜2006年まで使用していた『The Universe of English』(東京大学出版会)シリーズはベストセラーとなった。
主に情報学的な面から情報について学習する科目である。情報と社会との関わりも講義内容に含まれている。2005年以前の科目「情報処理」との相違点は、パソコンの基本操作は習得済と想定していることと、コンピュータ実習だけでなく一般教室での講義もあることである。
  • 身体運動・健康科学実習
いわゆる体育実技であるが、スポーツサイエンスの講義・実習も含まれている。2005年以前の科目「スポーツ・身体運動」からの変更点は、以前は希望者のみであったスポーツサイエンスの実習が全受講者対象となったことである。
  • 基礎演習(文科のみ)
少人数のゼミである。文献調査・討論・発表など、文科学生に必要な能力を養成するための科目である。共通テキストとして作成された『知の技法』(東京大学出版会)はベストセラーとなった。
2005年以前の「方法論基礎 社会科学基礎」に相当する。政治経済社会数学の5分野がそれぞれ数科目開講されている。必要な単位数や履修条件は科類ごとに異なっている。
2005年以前の「方法論基礎 人文科学基礎」に相当する。哲学倫理歴史、ことばと文学、心理の5分野がそれぞれ数科目開講されている。各類とも、2分野以上にわたり最低4単位履修することが求められている。
  • 方法基礎(文科三類のみ)
2006年度より新設された。少人数のゼミである。哲学演習、史料論、テクスト分析、データ分析の4分野から2コマ4単位履修する。
数学I(微分積分学)、数学II(線形代数学)およびそれぞれの演習からなる。理科一類の数学Iは理論中心に学ぶAコースと実際の応用を中心に行うBコースのいずれかを選択する。理科二・三類は、2006年度以降コース分けがなされていないが、内容的には理一のBコースに近い。I、II がそれぞれ4単位ずつ、演習がそれぞれ2単位ずつであり、すべて必修である。なお、2005年以前の科目「基礎講義 数理科学基礎」からの変更点は、理科二・三類の必修単位数がI、II、演習のいずれも倍になったことである。
力学電磁気学熱力学(理科一類)または化学熱力学(理科二・三類)、構造化学、物性化学からなる。力学、電磁気学、化学熱力学は、高校で物理を学んでいなかった学生向けの授業(Bコース)も開講される。各科目2単位ずつであり、すべて必修である。なお、2005年度入学者までは「基礎講義 物質科学基礎」という科目名で開講されていた。
理科一類は2006年度入学者より生命科学2単位が必修となった。理科二・三類は生命科学I(生化学分子生物学)・生命科学II(細胞生物学)の4単位が必修であり、理三ではそれに加えて、2006年度入学者より新設された人間総合科学(人間遺伝学生命倫理学臨床心理学などを扱う、2単位)も必修となっている。なお、2005年度入学者までは「基礎講義 生命科学基礎」という科目名で、理科二・三類のみ開講されていた。
  • 基礎実験(理科のみ)
理科一類は基礎物理学実験と基礎化学実験が必修である。理科二・三類は基礎物理学・化学実験と基礎生命科学実験が必修である。理科一類生向けの生命科学実験は総合科目の枠内で開講されている。各類とも4単位であるが、この科目は1コマ1単位である。
  • 総合科目
いわゆる一般教養であり、選択科目である。A〜Fの6系列に分かれ、毎学期数百もの授業が開講される。統計学量子論や文科学生向けの物理学など基礎科目に含まれていない授業も総合科目の枠内で開講されている。それぞれの系列には「〜一般」(「思想・芸術一般」など)と呼ばれる科目もいくつかあり、それらは教養学部以外の教員が自分の専門に近い内容を講義する授業である。文科・理科ともに、複数の系列にまたがって幅広く履修することが要求されている。
  • A:思想・芸術
  • B:国際・地域
国際コミュニケーション:総合科目Bの一部である。会話・作文など外国語の選択授業が開講されている。第三外国語も20か国語以上開講されている。
  • C:社会・制度
  • D:人間・環境
  • E:物質・生命
  • F:数理・情報
  • 主題科目
2005年度までは自由選択であったが、2006年度入学者より最低2単位の履修が義務付けられた。
  • テーマ講義
あるテーマに関して複数の教員が講義を行うオムニバス形式の講義である。その研究分野で世界的に知られる教員が交代で講義を行い、前期課程教育で学んでいる内容が先端の学問領域とどのように関連しているかを提示することを目的とする「学術俯瞰講義」(Global Focus on Knowledge Lecture Series、略称:GFK)も2005年度より開講されている。
  • 全学自由研究ゼミナール
担当教員がそれぞれ設定した主題に基づいて、少人数で行うゼミ形式の授業である。教養学部を含む東京大学全学の教員が開講している。
  • 全学体験ゼミナール
2006年度より新たに加わった科目である(2005年度までは全学自由研究ゼミナールの一部として開講されていた)。東京大学が全国各地に持つ多くの研究施設を利用して、実際に体験することを通じて学習する授業である。また、囲碁コントラクトブリッジ座禅といった珍しい授業も開講されている。前2つは実際にゲームをすることで考える力を養うことを目的としている。なお、教養学部附属教養教育開発機構には2006年10月より「教養教育への囲碁の活用研究部門」が置かれている。

進学振分け[編集]

後期課程の各学部・学科への進学は2年生の前半終了時に内定する。学科により進学可能な定員があるため、希望者の多い学科に進む場合はそれまでの1年半の履修成績により選考が行われる。この選考のことを進学振分け(略称「進振り」)と呼ぶ。進学振分けは、学生が前期課程教育で教養を習得した後で進路選択をできるようにするためのシステムであり、多彩な進路選択が可能になるというメリットがあるが、その一方で成績競争が起きているのも事実である。専門学部には「前期課程を廃止し、専門教育を早い時期から行うべきだ」と主張する教員も一部いるが、教養学部は断固反対している。

科類により後期課程に進学可能な学部・学科が決まっており、おおよそ次のようになっている(各学部で最も進学者数の多いところを太字で表す)。

この他、教養学部の後期課程には、一部の分科を除きどの科類からも進学できる。また学部・学科によっては上に記した科類以外からの進学も、少数ではあるが認められる(傍系進学)。2008年度進学者より全科類進学枠が設けられ、どの科類からでもすべての学部("学科"ではない)に進学できるようになった。2007年度進学者までは、文一から法学部、文二から経済学部、理三から医学部医学科へは、希望すれば全員進学できたが、2008年度進学者からは他科類と同様に成績による選考がなされる。

進学振分けで内定した学生は、2年生の後半(4学期)には主に、内定した学部の後期課程の講義を履修する(前期課程の講義も履修できる)。ただし、法学部・文学部と教職課程は2年生の前半(3学期)から開始される。2006年度(2007年度進学者)までは経済学部の講義も3学期から開講されていたが、全科類進学枠の導入に合わせて、4学期開始に変更された。

また、内定できなかった学生は2年生の前半(3学期)から1年生の後半(2学期)に戻る。留年の一種であるが、同じ学年に留まる留年とは異なるため「降年」と呼ばれる。

2015年度入学者からは、進学振分けに代わる制度として進学選択が行われる。それに伴って1セメスター内で所得できる単位に上限がつくキャップ制が導入され、今まで可能であった総合科目の欠席・不可単位の成績倍率の低減(通称「追い出し」)が不可能になる。

後期課程教育[編集]

教養学部後期課程では教員数に比べて学生が少ないため、綿密な教育が行われている。学際性と国際性を重視しており、外国語教育が充実している(※の分科を除いて外国語が必修である)のも特徴である。また、後期課程共通科目が設置されており、専門以外の分野も幅広く学べるようになっている。一般の大学と異なり“ゼミに所属する”という制度がないが、ゼミ形式の授業が多数開講されており複数、あるいは1つのそれを任意に履修することになる。

その他に、全学部(後期課程)・大学院研究科の学生を対象としたスポーツ・トレーニングの授業を教養学部後期課程科目として開講しており、本郷キャンパス御殿下記念館または駒場Iキャンパスで受講することができる。

AIKOM[編集]

教養学部後期課程では1995年より、AIKOM(アイコム、Abroad in Komaba)と呼ばれる短期交換留学制度が行われている。16か国24大学と協定を結んでおり、※の分科を除く後期課程の学生は1年間協定校に留学できる。また、一定数の留学生を受け入れており、文化・社会などの授業を英語で開講している。

学生生活[編集]

ここでは前期課程のクラス活動と駒場祭について解説する。運動会・サークルや五月祭などについては東京大学#学生生活で解説されているので、合わせて参照するとよい。

クラス活動[編集]

教養学部前期課程にはクラスがあり、学生はいずれかのクラスに所属することになっている。学生が所属するクラスは、所属科類と、基礎科目の選択外国語(英語・日本語以外)によって決められている(基礎科目の選択外国語は入学時に決定し、入学後の変更はできない)。基礎科目や一部の総合科目(主に理科生向けの自然科学分野の授業)はクラスごとに受講する授業が指定されている。

クラスは教養学部の学生自治の基本単位となっており、学生自治会の代議員や自治委員はクラスごとに選ばれる。また、五月祭駒場祭全都新入生歓迎フェスティバル(新フェス)にクラス単位で参加したり、試験対策プリント(略称「シケプリ」)をクラスで作成するなど、前期課程の学生生活ではクラス活動が重要なものとなっている。

クラスで行われる特徴的な行事としては、毎年4月に2年生が新入生を1泊2日程度の合宿に連れて行く「オリ合宿」がある(大学側の運営ではなく学生による自主的行事)。オリ合宿はクラスごとに行われ、クラスの仲間と早く親しくなる良い機会であるため、ほとんどの新入生が参加している。なお2011年度は東日本大震災の影響により、全クラス一斉に行う形でのオリ合宿は中止となった。また、教養学部教員が各クラスのクラス担任となっているが、学生とクラス担任がふれあう機会はあまりなく、クラス担任の存在すら知らない学生が多い。[要出典]

駒場祭[編集]

駒場祭(こまばさい、Komaba Festival、略称:駒祭)は東京大学駒場キャンパスで開催される大学祭。教養学部前期課程の学生のみで構成される駒場祭委員会により開催されている。例年11月下旬勤労感謝の日付近の3日間開催されている。 駒場祭の起源は、1891年(明治24年)に旧制第一高等学校(一高)で開催された第1回紀年祭にまでさかのぼる。1950年(昭和25年)3月一高が廃止され、新制東京大学に移行した後、同年11月25日に第1回駒場祭が開催され、現在に至る。初代委員長は小倉寛太郎

テーマ一覧[編集]

年度 テーマ
68回(2017年 おと かさなる
67回(2016年 めしあがれ。
66回(2015年 祭りは旅だ。
65回(2014年 DISCOVERY
64回(2013年 発破
63回(2012年 Festaholic
62回(2011年 祭生
61回(2010年 Across the University
60回(2009年 クロノグラフ
59回(2008年 コマパズル
58回(2007年 祭結晶
57回(2006年 情熱華火 〜三日咲く夢〜
56回(2005年 一祭合彩
55回(2004年 Be Natural, Be Crazy…
54回(2003年 東大発見
53回(2002年
52回(2001年 東大に喝!
51回(2000年 Next Frontier
50回(1999年 BREAK
49回(1998年 静と動の交響曲
48回(1997年 前途多難な羅針盤
47回(1996年 Stop to Start 〜今、立ち止まる瞬間〜
46回(1995年 究極の自己主張 究極の自己満足
45回(1994年 いましかできないことが いまあるはず
44回(1993年 -
43回(1992年 開殻
42回(1991年 何か少し、変わるかもしれない
41回(1990年 駒場に来た 東大生を見た
40回(1989年 最・前・線
39回(1988年 現場はここにある。
38回(1987年 きみと、はなしがしたいんだ
37回(1986年 朝に道を聞いても 夕べに死んではもったいない
36回(1985年 どうして? どうして? どうして?
35回(1984年 パラレルワールド 橋架けて
34回(1983年 ヒト ヒト コマバサイ ヒト
33回(1982年 平和・真実・自由 ―きみのために ぼくのために―
32回(1981年 時代の奔流に 世界が眠り込む今 真理を叫べ 警鐘を鳴らせ 世紀末の暗雲を突き破り 飛翔しよう!
31回(1980年 さあ、踏みだそう 湧きおこる理性の声を 体現しよう 未来は我らが切り拓くのだ
30回(1979年 歴史を創り出す若人よ 真理の探究者よ 眩惑を断ち真実を見つめよ 若き魂の 不断の燃焼と昇華を求めて 新たなる時代へ旅立とう
29回(1978年 目は太陽をとらえる 手は空へとのびる しかし 足は地面から離れない 今こそ 土をつかもう 大地を見つめよう 我々は ここに立っているのだから
28回(1977年 迷妄の時代は 今こそ 新たな展望を求めている 沸き上がる無数の呼気の奔流 巨大な構想を担い 鳴らせ時代の暁鐘
27回(1976年 見つめよ 我等生きんとする時代を 語るがいい 輝く未来を 創ろうではないか 我等の手で
26回(1975年 広場へ行こう こんな時こそ こんな危機にこそ 駒場のエネルギーを感じたい 駒場の広場は 皆が話し合う 皆が理解し手を結びあう 駒場の英知と創意とエネルギーの総結集だ! 壁を知らない青年)の可能性だ! サァ広場へ
25回(1974年 駒場の学友諸君、駒場を訪れたみなさん、ともに唱い、ともに語り、友情と連帯の輪を築きあげましょう!
24回(1973年 我等の開く扉は 真に人民に貢献する学問の扉 我等の開く扉は 日本の文化を豊かにする扉 我等の開く扉は 真に日本の平和を築く扉 我々の開く扉は 我々自身の力で開く扉
23回(1972年 眼ざまし時計のベルを鳴らせ 睡り込んだ教養学部を呼びさまそう 若き生命の問いかけに応えうる大学の創造を
22回(1971年 破産通告に揺らぐ侵略者の砦 友よ、今こそ歴史の舞台に飛翔せよ!
21回(1970年 告発せよ 取りもどせ 不安を怒りへ 怒りを力に!!
20回(1969年 団結を! 連帯を! 統一の旗の下に
19回(1968年 (「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」※橋本治が作成したポスターにのみ用いられたコピー)
18回(1967年 -
17回(1966年 -
16回(1965年 観念の原点よりも 認識と科学の原点を
15回(1964年 平和観念の死滅を救え!! 押し返せ反動化 創り出そう未来を 反戦意識の新たなる胎動を!
14回(1963年 俺たちでつくろう おしきせはごめんだ
13回(1962年 -
12回(1961年 反体制の新しいいぶきを 真の人間性追求のために
11回(1960年 安保闘争の教訓を学び、更に民主主義運動を発展させよう/学問の自由と学園の自治に対する政治権力の介入を阻止しよう/若き可能性と主体性の追求のために
10回(1959年 第十回駒場祭を平和と民主主義のために/安保条約改定の本質究明/戦争と破壊を目的とした科学の研究には協力しないことを固く誓おう
9回(1958年 創造的文化の建設と発展のために/日本の核武装化反対/民主教育を権力の支配から守り学園の自治を確立しよう
8回(1957年 平和と民主主義を守ろう/創造的文化の建設と発展のために/原子戦争準備反対
7回(1956年 -
6回(1955年 -
5回(1954年 -
4回(1953年 -
3回(1952年 -
2回(1951年 -
1回(1950年 -

施設[編集]

対外関係[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 1996年1月以前の総合文化研究科の英語表記は、Graduate Division of International and Interdisciplinary Studiesであった。
  2. ^ なお、総合文化研究科という名称の研究科は東京大学のみに設置されている。
  3. ^ 1983年3月以前の教養学部の英語表記は、College of General Educationであった。
  4. ^ 類の数字は公式には漢数字(「文科一類」等)であるが、学内でも算用数字(「文科1類」等)やローマ数字(「文科I類」等)が入り乱れて使用されている。大学受験業界ではローマ数字がよく用いられ、学生の多くもローマ数字を用いているが、本記事では、公式表記に合わせて漢数字で記述することにする。
  5. ^ 基礎科目にイタリア語が加わる以前は「フランス語部会」であった。
  6. ^ 東京大学教養学部「期末レポートにおける不正行為について」
  7. ^ 理科二類から医学部への進学は健康総合科学科が中心であるが、医学科にも指定科類枠が設けられている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]