ゴールデンカムイ

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ゴールデンカムイ
ジャンル 冒険バトル)、歴史ロマン)、
狩猟グルメ[註 1]アイヌ文化
ストーリー漫画青年漫画
漫画
作者 野田サトル
出版社 集英社
掲載誌 週刊ヤングジャンプ
レーベル ヤングジャンプ・コミックス
発表号 2014年38号 - 連載中
発表期間 2014年8月21日 -
巻数 既刊13巻(2018年3月現在)
その他 アイヌ語監修:中川裕
アニメ
原作 野田サトル
監督 難波日登志
シリーズ構成 高木登
キャラクターデザイン 大貫健一
音楽 末廣健一郎
アニメーション制作 ジェノスタジオ
製作 ゴールデンカムイ製作委員会
放送局 TOKYO MXほか
放送期間 2018年4月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

ゴールデンカムイ』は、野田サトルによる日本漫画明治時代末期の北海道を舞台にした作品で、『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、2014年38号(2014年8月21日発売)から連載中[1]

作中では当時のアイヌの文化が豊富に描写・紹介されており、アイヌ語の表記に関しては、アイヌ語仮名小書きも使用されているが、公式ツイッターやアニメのテロップなどでは「アシ(リ)パ」・「カムイモシ(リ)」のように括弧書きで表示されることもある。

あらすじ[編集]

日露戦争(明治37年)に従軍した元陸軍兵・杉元佐一は、戦死した親友・寅次の「妻の梅子の眼病を治してやりたい」という願いを叶えるため、一攫千金を夢見て北海道の地を踏み砂金を採っていた。ある日杉元は、アイヌが秘蔵していた八万円(現代の価値にして約8億円)相当の金塊の噂を耳にする。アイヌから金塊を奪った男・のっぺら坊は、仲間に金塊の在処を伝えるべく、収監された網走監獄の獄中で同房の囚人たちの体に金塊の隠し場所を示す入れ墨を彫り、脱獄させた。入れ墨は全員合わせてひとつとなる暗号であり、1人だけ抜け駆けして金塊を手に入れることは出来ず、脱獄囚たちは未だ誰も捕まっていないと言う。半信半疑の杉元だったが、話を聞かせた男こそ当の入れ墨の持ち主であったことから、話が真実であることを確信した杉元は金塊探しを決意する。

直後に杉元はヒグマに襲われ、窮地をアイヌの少女・アシㇼパに救われる。アシㇼパの狩人としての技量と知識に感服し、さらに金塊を奪われて殺されたアイヌの一人がアシㇼパの父・ウイルクと知った杉元は、自身は親友の願いを叶えるだけの金を手に入れる代わりに、残りの金塊をアイヌの手に戻しウイルクの仇を討つことを条件に、アシㇼパに金塊探しへの協力を求め、暗号の入れ墨である「刺青人皮」の持ち主たちを探すための行動を共にすることになる。

手がかりを求めて向かった小樽で、杉元たちは入れ墨の囚人の一人を捕らえるが、同じく金塊を狙う陸軍第七師団尾形百之助によって囚人を射殺され、尾形と戦う。第七師団は、日露戦争で活躍しながら報われなかった師団員のため北海道征服を目論んでおり、その軍資金を必要としていた。

さらに次に捕らえた入れ墨の囚人・白石由竹から、死んだはずの土方歳三と噂される老人が脱獄囚の中にいたと聞かされる。その土方もまた、かつての盟友・永倉新八と合流し、入れ墨の囚人にして不敗の柔道家・牛山辰馬を仲間に加え、蝦夷共和国を再興するために金塊を追い求めていた。

杉元は第七師団の谷垣源次郎の追跡を受けるが、アシㇼパの友である白いエゾオオカミレタㇻの加勢で振り切り、アシㇼパのコタン(アイヌの村)に逗留する。コタンでアシㇼパの平穏な境遇を知った杉元は、これ以上危険に巻き込めないと思い彼女を残してコタンを去るが、アシㇼパは既に危険を覚悟しており協力し合う約束を破った杉元を追う。一方の杉元は小樽の街で一人聞き込みをしていたところ第七師団の鶴見らに捕縛され尋問を受ける。絶体絶命の杉元だったが駆けつけたアシㇼパとレタㇻ、白石の協力で辛くも危地から脱出し、改めてアシㇼパと白石と共に金塊の手がかりである入れ墨の囚人たちを探すことになる。

元マタギの谷垣は第七師団に戻らず、北海道でも知られた熊撃ちで入れ墨の囚人・二瓶鉄造と共に“最後のエゾオオカミ”レタㇻを追っていた。杉元たちはレタㇻを守るため、そして金塊の手がかりを得るため谷垣たちと対決し、二瓶は死亡、谷垣は重傷を負う。無益な死を望まないアシㇼパは谷垣の命を救うため、彼をコタンへ連れて行く。コタンでの手当てにより谷垣は回復へ向かうが、その合間にアシㇼパの祖母が語った言い伝えから杉元たちは、アイヌが奪われた金塊を災いの源と考え禁忌としていたこと、その量は囚人たちが聞かされた量の1000倍にも上ると知る。そうと知った白石は紆余曲折を経て牛山の居場所を突き止めるものの、土方に見つかり、土方と密かに手を結ぶ。

その頃、日本海沿岸でニシン漁に集まった出稼ぎ漁師が相次いで殺されていた。その殺し方は、入れ墨の囚人・辺見和雄の特徴だった。金塊の手がかりを求め海岸へ来た杉元たちは、成り行きから漁師に紛れていた辺見と知り合うが、ニシン漁の親方に資金援助を申し入れに来ていた第七師団と鉢合わせ、逃走の最中に辺見の正体を知り死闘を繰り広げる。

一方、ようやく立ち上がれるまでに回復した谷垣は、コタンを訪れた第七師団の尾形と二階堂浩平と再会する。尾形たちは鶴見からの造反を目論んでおり、その計画を知った谷垣が鶴見に報告すると誤解し口を封じようとしていた。しかし尾形たちの造反計画は以前から鶴見の知るところであり、尾形たちは泳がされていただけであった。鶴見の部下を殺した尾形は逃亡し、その手を逃れた谷垣は恩返しのためコタンへ戻り、金塊への興味を失っていた二階堂は双子の兄弟を殺した杉元への執念から鶴見の下へ戻る。

春も間近な日、杉元たちはウイルクの友人であるキロランケと出会う。キロランケは、老和人が「小樽の小蝶辺明日子」を探していることをアシㇼパに知らせようとしていた。アシㇼパの和名「小蝶辺明日子」を知っているのは、死んだアシㇼパの両親だけのはずで、その名を知るのっぺら坊の正体はウイルクだとキロランケは言う。その真偽と金塊の在処を確かめるべく、杉元たちはのっぺら坊が収監されている網走監獄へ向かうことにし、キロランケも同行することになる。その頃「小樽の小蝶辺明日子」を探していた土方は、のっぺら坊が金塊を国外へ持ち出そうとしていたことを見抜き、のっぺら坊の正体がロシアのパルチザンで、監獄の外にいる彼の仲間もパルチザンと見当を付けていた。

杉元たちは旅の準備のため札幌へ立ち寄るが、宿泊先のホテルは入れ墨の囚人・家永カノが経営する殺人ホテルだった。白石と連絡を取るべく札幌を訪れた牛山が、奇しくも同じ日に同じホテルへ宿泊するが、牛山も白石も家永の正体には気づかず、面倒を恐れた家永は邪魔な白石を始末にかかる。顔を合わせた牛山と杉元たちは互いに知らぬまま意気投合するが、拘束された白石が見つかったことでホテルは大混乱となり、杉元たちが準備した爆薬に火が付き爆発崩壊する。杉元たちは命からがら脱出し、家永もまた牛山に助け出されていた。牛山と別行動だった土方と永倉は、茨戸で賭場の縄張り争いに巻き込まれた末、「アイヌの埋蔵金の在処を示す人皮」を手に入れた尾形と結託する。

杉元たちは入れ墨の囚人の手がかりを得て日高へ向かうが、立ち寄った苫小牧のコタンで、よく当たると評判の謎の女占い師・インカㇻマッと出会う。インカㇻマッはウイルクを知っているような口振りを見せ姿を消す。その後、日高に到着した杉元たちは、思わぬ偶然からヤクザの親分で入れ墨の囚人・若山輝一郎と結託してヒグマ退治をすることになる。

第七師団は夕張で、炭鉱で死んだ入れ墨の囚人の墓を暴いた人物を探していた。剥製師で墓荒らしの犯人・江渡貝弥作の家を突き止めた鶴見は、彼の高い技術から偽人皮を作ることを思いつき、自身の持つ人皮と巧みな言葉で江渡貝を魅了する。江渡貝は二つ返事で偽人皮作りを引き受ける。

小樽のアシㇼパのコタンをインカㇻマッが訪れる。インカㇻマッはアシㇼパの連れの1人がアシㇼパを裏切ると予言し、その心労からアシㇼパの祖母は寝込んでしまう。回復後も恩返しのためコタンに留まっていた谷垣は、アシㇼパを無事連れ帰るべく杉元たちの後を追って出立し、密かに鶴見と接触していたインカㇻマッと谷垣を慕うコタンの孤児チカパシも同行する。

江渡貝が6枚目の偽人皮を完成させた頃、囚人の噂を聞いた杉元たちと土方たちが夕張を訪れていた。本物の人皮を狙う敵に気づいた江渡貝は本物と偽物の人皮合わせて7枚を持って逃亡するも死亡、江渡貝の人皮は月島基によって真贋を判別する方法と共に鶴見の手に渡る。杉元たちと土方たちは江渡貝が偽人皮を作っていたことを突き止めるが、江渡貝の家に残された1枚の真贋を判別する方法が分からない。まとめて第七師団に襲われた杉元たちと土方たちは結託し、月形の樺戸監獄に収監されている贋作師・熊岸長庵に人皮の真贋を判別させることにする。

一行は二手に分かれて樺戸監獄を目指すが、杉元・アシㇼパ・牛山・尾形は偶然にも、樺戸監獄から脱獄し偽札を作らさせられていた熊岸と、脱獄と偽札作りを主導した詐欺師で入れ墨の囚人・鈴川聖弘と遭遇する。偽アイヌとして潜伏していた樺戸の脱獄囚たちと杉元たちの戦いの最中に熊岸は死亡、捕らえた鈴川を杉元たちは樺戸へ連行する。

一足早く樺戸に到着した土方・永倉・家永・白石・キロランケだったが、白石は土方との内通を杉元に知られた恐怖心から逃走を図り、通りかかった第七師団に捕縛され、旭川の師団本部へ連行される。土方たちと合流し事情を知った杉元たちは、白石を救出すべく詐欺師の鈴川を利用する。鈴川の変装と演技は小樽で連絡を受けた鶴見とその命を受けた鯉登音之進に見破られ、白石の救出には成功するものの、鈴川は死亡。杉元と再会した白石は、土方に内通した白石を杉元が信じ許していたことを知り、改めて杉元たちと同行することになる。

茨戸での賭場争い以来、土方に従う夏太郎らは、小樽近郊の隠れ家の留守を預かっていた。近くの賭場に刺青人皮が持ち込まれた噂を聞きつけた夏太郎らは顔見知りの女強盗・蝮のお銀とその夫・坂本慶一郎と鉢合わせ、一緒に賭場荒らしを行うこととなる。坂本は入れ墨の囚人の一人で、同じく刺青人皮を狙っていた。しかし賭場の刺青人皮は第七師団が仕掛けた囮の偽人皮であり、交戦の末に坂本とお銀は死亡、偽人皮は夏太郎の手から土方に渡る。

旭川から脱出した杉元・アシㇼパ・白石・尾形は、土方たちと再合流し囚人の噂を確かめるべく釧路に向かう途中、インカㇻマッ・チカパシと合流する。しかしインカㇻマッたちと一緒にいたはずの谷垣は、付近に住むアイヌのキラウㇱたちから一帯の動物を無闇に惨殺する「カムイを穢す犯人」と誤解され捕まっていた。真犯人で入れ墨の囚人・姉畑支遁が、谷垣の持つ二瓶の村田銃を盗み一帯の動物たちに自分勝手な行いを繰り返していたのだ。杉元らはアイヌたちの誤解を解き谷垣を助けるため、金塊の手がかりでもある姉畑を探すこととなる。

北海道東部が飛蝗に襲われる中、アシㇼパはインカㇻマッと二人きりになり、父・ウイルクを何故知っているのか問い詰める。インカㇻマッは幼い頃ウイルクの世話になった身であり、ウイルクは金塊強奪の際に殺され、その犯人がキロランケだと考えていた。それを聞いたアシㇼパはキロランケを問い質し、インカㇻマッも証拠を見せるが、証拠を彼女に渡したのは鶴見だった。インカㇻマッが鶴見のスパイなのか、キロランケが金塊強奪犯の一味なのか。ウイルクは生きているのか死んだのか。のっぺら坊は何者なのか。のっぺら坊に会えば全て解決する、と杉元たちは猜疑心を抱えたまま、改めて網走へ向かうことを決意する。

網走監獄では鶴見の命により宇佐美が看守として潜入していたが、看守部長の門倉にばれてしまい脱出する。土方・永倉は釧路新聞社で記者である石川啄木に接触する。杉元一行は塘路湖付近のコタンでフチの親族からに盲目の囚人・都丹庵士の率いる盗賊団の噂を聞き、彼らを探しに屈斜路湖の温泉街跡へ向かうが、夜に入浴中、都丹らに襲われ交戦となる。暗闇の中裸での戦いで苦戦するが何とか形勢逆転したところに土方が合流し仲裁に入る。

杉元・土方一行はキロランケとインカㇻマッの疑惑の調査のため、土方の提案で北見にて田本研造へ依頼し一行の写真を撮影する。さらに土方の協力者となった都丹を加え、実は土方との内通者であった門倉の協力もあり、網走監獄への潜入に成功する。杉元・アシㇼパ・白石はついにのっぺら坊と対面するが、それは典獄である犬童四朗助が用意した替え玉であり、門倉の裏切りもあって潜入がばれてしまう。そこにインカㇻマッから情報を得ていた鶴見が大湊要港部司令官である鯉登の父の協力を得て、雷型駆逐艦4隻と自らの小隊の部下と共に、のっぺら坊とアシㇼパを確保するため網走監獄を強襲する。

登場人物[編集]

※軍属や実在施設関係者や実在する異名を冠された人物については、該当人物ページへのリンクや実在との解説のない限りは作中のみの架空人物。

杉元一行[編集]

杉元佐一(すぎもと さいち)
声 - 小林親弘[2]
大日本帝国陸軍第一師団一等卒特別支援隊隊員。関東の農村出身。猫舌。年齢は作者によると20台前半。
鬼神のような戦闘力と強運、生への凄まじい執念、医師が見放す重篤な負傷でも翌日には治癒し戦場を駆ける驚異的な回復力から「不死身の杉元」の異名で一目置かれ、戦場で負った夥しい傷跡が顔を含め全身に残っている。
自分以外の家族が結核に罹患し死亡したため、感染拡大防止の為無人となった実家に放火、予てから密かに想い合っていた梅子に暫しの別れを告げ逐電、天涯孤独となる。その後、陸軍に入隊。旅順攻囲戦では白襷隊として夜間奇襲に参加、続く二〇三高地でも奮戦し死地から生還。激戦で戦死者も多かった日露戦争で多大な戦功を上げ生還した英雄だが、気に入らない上官に瀕死の重症を負わせたため、軍人恩給の資格を剥奪された。眼病を患った梅子の夫で、共に戦い戦死した寅次の遺言を受け、治療費用を手早く得るため復員[註 2]後、独り北海道へ渡り砂金採りをしていたある日、アイヌ埋蔵金の噂話を男から聞き、当初は与太話と疑うも成り行きで証拠の一部を見たことで事実と確信したが、羆に襲われたところを突如現れたアイヌの少女・アシㇼパの機転と手助けで命拾いする。彼女から金塊に携わった父に降りかかった惨事を聞き、目的は異なれど過程は同じとして共に力を合わせ北海道各地を巡る探索行が始まった。梅子に思いを馳せつつ、追尾を振り切り命を狙う者共を捻じ伏せ斃し、旅の道中にて珍味・美味の馳走に与り堪能する。
除隊後も当時の陸軍の制式装備である三十年式歩兵銃二十六年式拳銃三十年式銃剣で武装している他、軍帽弾薬盒肥後守等、軍役時の官給品を使用している。
普段は気さくで茶目っ気もある恥ずかしがり屋。敵でない相手には穏やかで優しく情に厚く、杉元を警戒し正体を隠した人物がその優しさに心打たれる場面もある。また、動物好きで、リスや小熊や馬などを同行者が食用として殺すことに戸惑う描写が作中で度々見られる。射撃の腕はあまり良くなく、これについては自覚もしており、そのため銃剣による突撃や敵の刃物を奪って使うなどの接近戦を得意とする。白石からたびたび「日露戦争帰り」と相手を脅迫する際のネタにされる。アシㇼパに対しては常に「アシㇼパさん」呼びをしており、自分や恩人であるアシㇼパに危害が及ぶ状況下では、生存本能と戦闘能力を最大限発揮し排除と殲滅を行う。
名前は日露戦争に出征した作者の曾祖父に由来する。
アシㇼパ
声 - 白石晴香[2]
10代前半の利発で天真爛漫なアイヌ人少女。主に北海道の自然とアイヌ文化を紹介する案内役となっている。幼名は「祖父の尻の穴」を意味するエカシオトンプイ、戸籍上の和名小蝶辺 明日子(こちょうべ あすこ)。日本語とアイヌ語の二言語話者。作中ではアシリパのリはアイヌ語小書きリで表記されている。父・ウイルクがロシア系の少数民族(ポーランド人と樺太アイヌのハーフ)の出身で、父と同じ緑が散った濃紺色の瞳を持った美少女だが、頻繁に変顔をする。
「新年」を意味するアイヌ名を「未来」と解釈し、信仰や慣例を重んじた上で古い因習に捕われず現実的かつ合理的で柔軟な思考も持ち併せた「新しい時代のアイヌの女」を自負する。もうすぐ顔に入れ墨を入れる年齢だが、本人はアイヌの古い因習として入れ墨を嫌がっている。
弓矢の名手にして狩猟の腕も高く北海道の気候や動植物、アイヌの文化・風習・料理に精通し、その都度、同行者に教授している。大人に対して物怖じせず、年長の和人らに野生動物の脳髄生食を気前良く振る舞い世話を焼いているが、無礼・背任・失態を働いた者に容赦無い制裁を加える反面、歳相応の幼さも見せる。杉元が携帯していた味噌カレーなど粘性がある茶色い物体は全て「オソマ(大便)」と見做して嫌悪していたが、美味が判明してから和食の味に舌鼓を打つようになった。
出生直後に母が病死し、父の狩猟に共として連れられ幼少期を過ごす。父を失った後も、本来ならアイヌの娘が担うべき仕事や嗜みをせずに野山を駆けていた。山中で羆に狙われていた杉元を持ち前の知識と技術で救い、アイヌの隠し金塊の話を聞かされた際に父が犠牲者の一人と打ち明けたところ、杉元に協力を要請され行動を共にすることになる。金塊探しのための脱獄囚探索中に、殺害されたはずの父が金塊強奪犯の「のっぺら坊」であると聞き、真実を知るために網走監獄へ向かうことを決意する。危険と窮地を潜り抜け、黄金を巡って取り巻く奸謀に翻弄されつつ助け合い、健気な身ながら旅の牽引者として狩猟に勤しみ仲間たちの馳走を拵える。
野田のブログによると小樽近辺にあったとされる村で生まれ育ったという設定とされる。
携帯している小刀(メノコマキリ)のモデルはアイヌ文化奨励賞を受賞した貝澤貢男[3]の手による物で、のぼりべつクマ牧場が運営するアイヌ資料館「ユーカラの里」で本人から購入したとしている[4]
白石由竹(しらいし よしたけ)
声 - 伊藤健太郎[2]
強盗と度重なる脱獄で収監されていた入れ墨の囚人の1人。坊主頭に長いもみあげが特徴。通称「脱獄王」だが、アシㇼパからはたびたび「脱糞王」と言い間違えられる。
少年時から素行不良で幼年監獄に収容されては脱走を繰り返し、成年になって樺戸集治監に収監されてからも前歴から看守達の間から札付きと警戒されていた。全国各地の監獄に服役しては脱獄を繰り返していた最中に「脱獄王」の渾名が付いたことに加えて服役期間も延び、人生の大半を獄中で過ごす。関節を自在に脱臼させて狭い隙間を出入りできる人間離れした身体能力と、脱獄のための周到な小細工を作る技術と計画性、入獄した施設の特徴や死角をいち早く見抜く才能があり、口先ひとつで必要な情報を引き出したり言いくるめたりするなどコミュニケーション能力も高い。反面、脱獄中でありながら下心がもとで官憲の前に自ら姿を晒すなど、思慮が浅いところがあり、言動も場当たり的である。戦闘力が皆無なこともあり、しばしばアシㇼパらに役立たず扱いされるが、いざという時の潜入技と脱出術に加え間諜役としての能力を発揮し暗躍する。
小樽の森で杉元達に捕まり逃亡を図るも、追っ手の彼共々真冬の川に落下、火を熾す手段が無い中、凍死間際の状況で隠し持っていた実包を提供することを条件に杉元から解放される。小樽の師団兵舎に杉元が監禁された際には金塊の分け前を貰うことを条件に救出に協力、以降行動を共にする。また、土方陣営に対しても、街で偶然鉢合わせた牛山と紆余曲折を経て接触し、密かに協力体制を結ぶ。杉元も当初は完全に信用しているわけではなかったが、後に杉元が万一のときにアシㇼパを託そうと考えるほどの信頼を得た。
作中では主にギャグパートにおけるコミックリリーフの扱いで、軽妙な性格だが欲深く、頻繁に粗相を起こす典型的な助平の与太郎として描かれる。また、入れ墨を彫られた他の囚人たちの多くと顔見知りのため、首実検役や新たに登場する囚人の解説役を担うことも多いが、全員の顔と名前を知っているわけではない。
モデルは脱獄常習犯であった白鳥由栄[5]
キロランケ
声 - てらそままさき[6]
アシㇼパの父・ウイルクの古い友人であるロシア系の少数民族出身のアイヌ。アシㇼパとも面識があり慕われている。元大日本帝国陸軍第七師団工兵部隊隊員で、若い時分にウイルクと共にロシアのアムール川流域から北海道へ渡り、小樽から遠く離れた別のコタンに居住した。妻と2人の子がいる。名前の意味は「力強い(キロ)下半身(ランケ)」[7]
子供のころから馬に慣れ親しんでおり、その体調や感情に通じ、どんな馬でも無下に扱うのは忍びないと考えている。そのため日露戦争出征時には軍馬の管理を一任された。知らずに食べた肉が馬の腸と知って吹き出す場面もあった。工兵だったことから爆薬の扱いにも長け、手製の手投げ弾を所持している。
「のっぺら坊」の正体はウイルクであると明かし、さらに金塊は北海道アイヌへ返すべきと考えており、その行く末を見届けるため、網走監獄へ向かう杉元らと行動を共にする。
土方からは極東ロシアのパルチザンで「のっぺら坊」の仲間の一人と考えられている。また、インカㇻマッからは金塊強奪事件の犯人であり、ウイルクを殺した人物と推測されている。
谷垣源次郎(たにがき げんじろう)
声 - 細谷佳正[8]
第七師団に所属する一等卒。秋田県阿仁出身の元マタギの青年。筋肉隆々で胸毛が濃い。
実妹・フミが嫁ぎ先の家屋もろとも焼けた刺殺体で発見されたため義弟・青山賢吉の犯行と断定し行方を追う中、賢吉が陸軍に入隊したという噂を聞き自身も入隊。二〇三高地での戦闘中に賢吉を発見するも真実を知り、復讐心だけで家族と村を見限って兵士となった今迄の行動が全くの無意味で利己的だったことを知り懊悩する。ちなみに、賢吉を発見するきっかけとなった人物は杉元だが、互いに気づいた描写はない[9]
玉井伍長(声 - 手塚ヒロミチ)の班にて野間(声 - 田所陽向)・岡田(声 - 笠間淳)ら4人で尾形加害犯捜査の任に就き、不審者のアイヌ人少女(アシㇼパ)を単独で追跡・保護しようとした時、突如現れた白銀の雄狼(レタㇻ)による牙の一振りで右足を砕かれ失神。一方で、杉元を追っていた玉井らはヒグマに殺されてしまう。それを知らず行き倒れていた所を二瓶に手当され、行動を共にする内に己の身の処し方の選択に迫られ、軍から抜けマタギとしてやり直すことを選び、二瓶の白狼狩りに同行する。
二瓶と杉元の交戦にてアシㇼパの身柄を抱えての移動中、不注意から狩猟罠による矢毒を受けるも、アシㇼパの応急処置により一命を取り留める。二瓶死亡後、アシㇼパの意向でコタンへ運ばれ治療と保護を受けていた療養の最中、懐柔に拗れた玉井らを排除した嫌疑で捜索していた尾形らと対峙、二瓶の猟銃を手にマタギ出の知恵と経験を活かし撃退、直後に現れた師団兵の三島から鶴見が尾形らを泳がせていたことを知る。しかしその三島もすぐ尾形に射殺されてしまったため、軍に戻ることは無かった。
尾形ら撃退後はアイヌの普段着を羽織りアシㇼパのフチ(祖母)の世話を受け静養生活を送る。傷が癒えたころにコタンを訪問したインカㇻマッの占いで、大事な孫娘に振りかかるであろう禍事を案じて寝込んでしまったフチを安心させるため、自分の命の使い道を悟り、世話になった恩返しに孫娘を無事送り届けると約束してインカㇻマッ、チカパシと共に出立する。なお鶴見は彼の行動を黙認しているため、尾形と異なり脱走兵扱いではない。
元マタギと言うこともあり射撃の腕は確かで、馴染みのない北海道の山中でもその知恵と技術、経験を活かす。生真面目で誠実な性格で、尾形に「谷垣を鶴見から造反させるのは無理だ」と思われていたことが、玉井らを殺したと誤解される原因となっている。
インカㇻマッ
苫小牧勇払のコタンに現れ居ついた、良く当たると評判の謎の占い師の女。名の意味は「見る女」。細面の美女で、アシㇼパからは「イカッカラ・チロンヌプ(キツネ女)」と呼ばれている。顔に傷がある男性が好きと杉元に気がある素振りを見せ、彼女をやきもきさせる描写がある。アシㇼパの両親と面識があるが、アシㇼパは父から彼女のことを聞かされておらず、またキロランケとの面識も無かった。
子供のころから占いをしながら放浪しており、アシㇼパと同じくらいの齢のとき、小樽でウイルクと出会い、共に放浪していた。現在着ている衣装はウイルクの元を離れたときに渡されたもので、彼の母の形見である。ウイルクと別れる際、インカㇻマッが北海道の東の地で死ぬため、彼とは二度と会えないと占いで出ていた。ウイルクは「のっぺら坊」ではなく、アイヌの金塊強奪事件でキロランケの手によって殺されたと考えている。
白石に苫小牧の競馬場に連れ出され、キロランケが参加したレース以外の馬券を占いで的中させている。これは金塊強奪事件の犯人を突き止めるため、馬券からキロランケの指紋を手に入れるためであった。
アイヌの女として金塊を取り戻すため、そしてウイルクの娘であるアシㇼパを助けるために行動していると言い、アシㇼパのコタンへ赴く前、鶴見から谷垣を利用するよう助言を受け、谷垣と共に彼女を探す旅に出る。その過程で谷垣に何度か助けられるうちに惹かれてゆき、後に相思相愛となった。
アシㇼパからは、ウイルクから彼女のことを聞かされてないこと、杉元・白石・キロランケの中から裏切り者が出ると忠告されフチを不安にさせたこと、谷垣を利用し追ってきたなどから、怪しまれている。また、尾形からは鶴見と内通しており怪しいと見られているが、インカㇻマッは彼を利用しているだけと発言している。
チカパシ
疱瘡の流行により家族が亡くなったため、アシㇼパのコタンの老人たちによって育てられた少年。名前は「陰茎(チカプ)を立てる(アシ)=勃起」という意味で、亡くなる前の親から正式な名として付けられた。狩りに興味を持って谷垣らを慕い、旅立った彼らを追い掛け同行し、谷垣とインカㇻマッが結婚して本当の家族になるよう提案している。性に興味があり、少々ませている部分があるが、情交を目撃した時には生々しさに怖気づいてしまっている。

土方一行[編集]

土方歳三(ひじかた としぞう)
声 - 中田譲治[10]
実在の人物。元新撰組副長の旧幕府軍志士。通称「鬼の副長」。
史実では明治2年1869年)の箱館戦争にて戦死しているが、本作では戦況の悪化した箱館から秘密裏に落ち延び、素性を隠し政治犯の模範囚として長らく月形樺戸集治監に幽閉されていたという設定になっている。彼を恨む典獄・犬童によって後に網走監獄に収監された。銀白色の長髪に顎髭をたくわえ、既に齢は70を越しているが、眼光鋭く血気劣らぬ若々しい様子から人魚の肉を喰らい不老不死になったと噂されるほどである。一方で気配を隠し、一介の老人を装って行動することもある。好物は細かく刻んだ漬物を乗せたお茶漬け
入れ墨の囚人たちの脱獄を主導した主犯格。金塊の噂を聞いた一部の若い屯田兵達が囚人24名の身柄を強引に移送した際、軍刀を奪取して屯田兵らを殺害、脱獄を成功させてその正体を明かす。かつて志半ばで潰えた蝦夷共和国の構想を踏襲するが如く、「のっぺら坊」と一致する何らかの目的に向けて周到な計画を企て、銀行を襲撃し活動資金を得ると共に手始めに第七師団撃砕を目論み、密かに杉元一行の動向を追いつつ行く先々で刺青人皮の情報と同志を募る。銀行強盗で愛刀・和泉守兼定を奪還した他、ウィンチェスター・モデル 1892を装備している。
「のっぺら坊」と深くかかわっている囚人であったことから、杉本・土方一行の全員から怪しまれている。また、永倉からは死地を求めているのではと考えられている。
永倉新八(ながくら しんぱち)
声 - 菅生隆之[10]
実在の人物。新撰組元隊士で、渾名はガムシン(我武者羅な新八)。警察官僚・月形潔の招きで、明治15年から4年間、樺戸集治監の剣術師範を務め、看守に剣術を指導した関係で、同監に訪問した際、かつて袂を分かった志士・土方と鉢合わせ、虜囚で収監されていたと知る。土方脱獄後は、家主の亡くなった親戚の家屋や資金、ロシア商人から試供品として入手した銃火器を土方へ提供し、同志として共に行動している。普段は落ち着いた好々爺だが、新撰組時代の血の気の多さと隊内最強と謳われた撃剣の技量、奥義「龍飛剣」は健在で、老境になって尚、抜刀するや昔の血が滾り、複数人に囲まれようと一切の反撃を許さず、瞬時に斬り捨てる一流の剣豪。
牛山辰馬 (うしやま たつうま)
声 - 乃村健次[10]
入れ墨の囚人の一人。かつて10年間無敗の柔道家として最強の座を独占した巨漢。柔道耳。通称「不敗の牛山」。柔道師範の妻に欲情し、姦通したことが露見し一門の制裁に遭うが、逆に師を殺害した上門下生10人に重傷を負わせた咎で服役。
建物の壁を難なくぶち破り、馬や羆ですら足払いで投げ飛ばすなど、常人離れした筋力と強靭な肉体を持つ。現役時代は毎日10時間を超える鍛錬を欠かさず行い、死人が出るほど過酷と言われた網走監獄の刑務作業に対しても稽古に及ばないと退屈していた。額にはんぺんを貼り付けたような四角いタコがあり、五寸釘も通さぬ硬さを持つ。定期的に性交しないと人事不省に陥り、人の姿をしている者なら見境無く力に任せて犯そうとする野獣のような性欲の持ち主でもある。
脱獄後に潜伏先を掴んだ土方と一戦交えて金塊の分け前目当てに手を組み、周辺を探っていた同房仲間の白石を取り押さえ、土方と密約させることに成功する。互いの素性を知らず札幌にて杉元一行と遭遇、柔道耳を切掛に組み合った彼の強さを気に入り会食に誘い、酒席でアシㇼパに紳士の陰茎の見定め方を講義したことから彼女に「チンポ先生」と呼ばれ慕われる。樺戸集治監近くのコタンでは偽アイヌを圧倒し、その膂力も持って羆さえ撃退、その強さを見たアイヌの女たちから秋波を送られ本人も乗り気だったが、杉元と尾形に止められている。
家永カノ (いえなが かの)
入れ墨の囚人の一人。元医者の老人男性で、見た目は若い女の姿をしている。患者を殺害しては遺体を利用していた罪で収監されていた。「カノ」は偽名であり、本名は「親宣(チカノブ)」[11]
身体の不調部と同じ部位の食材を食べることにより回復が得られるという「同物同治」に確たる信念を持ち、「最高の自分」に固執している。脱獄後は「札幌世界ホテル」の所有者を消し、若く妖艶な外見の女将に身をやつし、ホテルに施した隠し通路や仕掛けを使い、欲する部位を持った宿泊客に目星を付けてはガスで眠らせ地下室に監禁して拷問の末殺害、バラバラに解体して「同物同治」の餌食としていた。
ある日、牛山がホテルを訪れ、間を置かずに白石らが来客したところを、牛山の強靭さを狙い、入れ墨を巡って騒動になるのを懸念して白石を監禁するも、身元が割れて手投げ弾で反撃、眠るアシㇼパの瞳に惹かれて手を出そうとしたことに激高した杉元と、酔いと性欲で我を失った牛山の大乱闘に巻き込まれる。収拾つかず観念した家永がホテルを焼失させる装置を作動させたことに加え、白石が誤って地下室に落としたキロランケの爆薬と合わさり大爆発してしまい、寸でのところで牛山に救出、同じ入れ墨脱獄一味の中年男性が男娼を伴い宿泊していた情報を明かす。その後は牛山と共に土方の一団に合流する。
尾形百之助
大日本帝国陸軍第七師団の項の尾形百之助を参照。
夏太郎/亀蔵(かんたろう/かめぞう)
元は茨戸の日泥一味の若衆。そこでの騒動の後、共に土方の手下となり、小樽の隠れ家で留守番をしていた。東松屋商店で行われている賭場に持ち込まれた刺青人皮の噂を聞き、土方に認められるため寝込み強盗を行って手に入れようと画策したところに坂本慶一郎と蝮のお銀が現れる。この刺青人皮は第七師団の罠であったことから戦いに巻き込まれ、亀蔵は坂本に銃弾の盾にされ死亡。夏太郎はお銀が手に入れた刺青人皮(実は第七師団が仕込んだ贋物)を渡されて土方に届けて以降、土方・杉元らの旅に同行している。

第七師団[編集]

北海道を本拠とし旭川に本部を置く大日本帝国陸軍の師団。通称「北鎮部隊」。かつて屯田兵と呼ばれた組織を前身とした部隊で、戦争帰りの将兵が多く、瀕死の重傷であっても反撃を試みたり、不意な襲撃にもすぐに対応するなど、個々の能力は高い。日露戦争時、第七師団は4個の歩兵聯隊のほか、騎兵聯隊砲兵聯隊など約2万人の兵で構成されていた。聯隊中佐)は3個の大隊、大隊(少佐)は3個の中隊、中隊(大尉)は4個の小隊を持つ。

鶴見(つるみ)
声 - 大塚芳忠[8]
階級は中尉歩兵第27聯隊所属の小隊長で情報将校。元は裕福な育ちでピアノの演奏も習得している。装備はボーチャードピストル。他の多くの主要人物と違い、フルネームは不明。
日露戦争にて二〇三高地を吶喊攻略し、国旗を突き立てた。続く奉天会戦で頭部に砲弾の破片の直撃を受け、頭蓋骨前面と前頭葉の一部を欠損したため常に額当装着しており、感情が亢ぶると何らかの体液が額から漏れ出る体質になった。そのためか、奇矯で突飛、残忍な言動が目立つようになったと自ら語っている。巧みな話術で、他者の身の上話を聞き出したり相手の心情に寄り添って魅了したりする人心掌握術に優れ、そのカリスマ性に部下たちの中には彼に心酔する者も多い。
旅順攻囲戦で多大な犠牲を払い勝利したにも関わらず戦利の薄い結果に終わったため、謀略と策謀を用いて第七師団の結束を強め掌握、アイヌ埋蔵金を軍資金に最新の武器を仕入れ、北海道に軍事政権を興して戦友や戦死者遺族の窮状を救うという計画を実現するため、刺青人皮を追う。手下は100人ほどで、小隊の人員より多い。
軍服の下には33人を殺害した津山という殺人犯の刺青人皮製の自作肌着を身に纏い、常に情報を収集して師団内の造反者を炙り出し、江渡貝に製作させた贋物刺青人皮を用いて金塊を追う他の存在に揺さぶりをかける。
尾形百之助(おがた ひゃくのすけ)
声 - 津田健次郎[8]
上等兵。300メートル以内であれば確実に頭部を撃ち抜くほどの凄腕の狙撃手で、隙を突いて小銃の遊底を瞬時に抜き取り無力化させるなど白兵戦にも長けている。無表情で飄々とし腹の中が探りにくく、鶴見をして「敵に回すと非常に厄介」とまで評され、またその時々の状況に応じ独断で先んずるため「コウモリ野郎」とも呼ばれる。作中ではたびたび山猫扱いされる。
日露戦争終結後に命を絶った第七師団長・花沢幸次郎中将の庶子(妾の子)であり、祖母の住む茨城で育つ。父は本妻の間に男子ができると一切顔を見せなくなり、少年期には父に捨てられ頭がおかしくなった母を殺鼠剤で殺害し、日露戦争では二〇三高地にて腹違いの弟・花沢勇作少尉を密かに殺害しているが、いずれも自分たち母子に対する父の愛情からの反応を期待しての行動であった。鶴見中尉の指示で父を自刃に見せかけ殺害し、その後、鶴見の部下として従っていた。
鶴見への造反を目論み、師団に無断で単独行動していた先にて杉元の一撃で昏倒し川へ転落、腕を折られ滑落の際に顎骨も割れる。死ぬ寸前の所を仲間に救助され、手酷い負傷を被り衰弱甚だしい中、入院先で意識朦朧ながらも入れ墨を追う存在を仲間へ伝える。この時の負傷が元で以降は左右下頬に縫合痕が残る。また入院中に髪が伸びオールバックになったため、初登場時とはやや印象が変わっている。
入院中に襲撃犯(杉元)を捜索していた造反組の班が謎の失踪。病院から抜け出し、部下の二階堂浩平と共に、行き着いた先のアイヌ村にて谷垣を発見する。造反計画を鶴見に密告されると疑い口封じを試みるも谷垣の反撃を受け、これにより造反が露呈。直後に現れた鶴見の部隊を排除し逃亡したため、脱走兵として扱われている。
逃走後、茨戸の宿場町に現れ土方らと対峙、その抗争に乗じて刺青人皮を先手を取って入手し土方と取引、共闘を組む。夕張において鶴見の部下を奇襲、その目的を把握しつつ追跡するも一歩及ばず結果、土方・杉元一行の旅の同行者となる。
土方の用心棒である一方、出自が複雑であり目的も不明瞭であるため、土方からは怪しまれている。
谷垣源次郎
杉元一行の項の谷垣源次郎を参照。
月島基(つきしま はじめ)
声 - 竹本英史[6]
軍曹。鼻が低いのが特徴。常に鶴見の指示に従い随行する忠実な部下。団員の中では比較的温厚で常識人なため、単行本では「第七師団の良心」と紹介されている。
上官である和田大尉(声 - 稲田徹)に鶴見の射殺を命じられるが、逆に和田を射殺。前山と共に贋物刺青人皮制作を委託した剥製所に詰める任務に就くが、場を離れた隙に尾形から襲撃され前山は射殺される。襲撃の最中に持ちだされた贋物刺青人皮を死守・確保すべく、追跡の手から逃れるために炭鉱内へ逃げ込み炭鉱爆発に巻き込まれる混乱の中、辛うじて確保し炭鉱から脱出、鶴見に極秘の伝言を伝える。
新任少尉を補佐するベテラン軍曹として鯉登の補佐を担うことになるも、鶴見を前にすると対話不能状態になってしまう彼に、一々会話の通訳をさせられ心中辟易している。
二階堂浩平/洋平(にかいどう こうへい/ようへい)
声 - 杉田智和[2]
一等卒の双子の兄弟。静岡出身。共に殺人衝動が強く、娼館街で入れ墨の情報を探っていた杉元を連行、兵舎内に拘禁した杉元を殺さないよう厳命されていたにも関わらず、杉元の挑発に怒り独断で拷問の末殺害しようとする。しかし洋平は白石により既に枷を解かれていた杉元に声を挙げる間も無く返り討ちにされ、更に臓物を抜き取られて、彼の兵舎脱柵の欺瞞に利用された。
洋平の死後、浩平は造反組の仲間である尾形の谷垣追跡に同行。谷垣が仕掛けた囮に気を取られたため、襲撃してきた羆に爪で叩きつけられ、左耳を削り取られる。尾形の援護で何とか生還するも、直後に反乱分子の動向を追っていた鶴見の隊に捕縛され、造反の疑いで右耳を削がれる拷問を受けるが、「杉元を見つけたら殺してもいい」という取り引きに応じて小宮が仲間であることを明かし、元の所属に戻る。削がれた耳は常に携帯し、それを洋平に見立てて会話するという奇癖が生じており、度々鶴見の癇に障っていたが、江渡貝によってしつらえ直された耳付きの革製ヘッドギアを装着するようになる。洋平を殺した杉元に強く執着しており、それが仇となって贋物刺青人皮の証拠隠滅時、土方の一刀により右足を失う。その後右足には散弾を仕込んだ義足を装着している。
鯉登音之進(こいと おとのしん)
少尉。父親は大湊要港部司令官鯉登平二海軍少将士官学校卒の新任で、上級指揮官への道が約束されたエリート。鹿児島県出身で父親譲りの褐色肌、自顕流の使い手。鶴見に心酔しており、彼のブロマイドを胸ポケットに忍ばせている。興奮すると早口の薩摩弁になってしまい、鶴見に通じなくなるので月島に仲介させている。良くも悪くも坊ちゃん育ちで身体能力は高いが経験が浅く、団員としては詰めの甘さを度々指摘されている。
白石と熊岸の交換のために旭川に来たという犬童を偽物と気づき銃撃、気球隊の試作機を強奪し逃走を図る杉元や白石を追跡し同機に飛び乗る。自顕流による猛襲で杉元を追い込むが、アシㇼパの矢や白石の飛び蹴りを受け森に落下した。その後、報告のため鶴見と面会し小樽での囚人狩りへの随行を命じられる。
淀川輝前(よどがわ てるちか)
中佐。歩兵第27聯隊長。二〇三高地で鶴見の献策を無視して無謀な突撃を敢行し、多くの犠牲を出したことを黙殺したため、負い目がある部下・鶴見の協力者となる。日露戦争が終わり、周りの聯隊長は次々と大佐となったが、彼は中佐のままである。旭川の司令部にて網走監獄の典獄である犬童と看守に扮した鈴川・杉元の訪問を受け、取引を持ちかけられて危うく騙されそうになった。
宇佐美(うさみ)
上等兵。鶴見に心酔する青年で両頬に対称的に大きなホクロがある。網走監獄に看守として潜入していたが、門倉にばれてしまい脱出。報告の際に鶴見にホクロを頭に見立てた棒人間を描かれたが、それを喜び消えぬよう入れ墨にしている。

網走監獄[編集]

周囲三方が山に一方が網走川に囲まれた日本一厳重な監獄。北海道網走という土地柄、冬場は多くの囚人が死亡するほどの過酷である。「のっぺら坊」を狙った第七師団の攻撃に備え、看守全員がモシン・ナガン小銃で武装し、マキシム機関銃を常備する。作中独自の設定として後年に建てられた五翼放射状平家舎房が既にある。ここには囚徒700人以上が収監可能で、全体を見渡せる位置に六角形の中央見張り所がある。

犬童四朗助(いぬどう しろすけ)
網走監獄典獄。土方からは厳格で潔癖な規律の鬼と称される。下戸。樺戸集治監典獄(監獄長)時代に薩摩弁を修得している。実兄を箱館戦争で亡くしたため土方に恨みを持っており、樺戸に収監された土方を秘密裏に幽閉していた。全てを奪った彼の瞳から光が失われた時に処刑しようと企み、自分が網走監獄に転属する際も土方を網走に移送した。
門倉 (かどくら)
看守部長。集団脱獄以前から看守を勤める一番の古株で常任7年。仕事に不真面目な男で執着もない。父親が土方と共に戦った旧幕府軍であったことから土方と繋がる内通者である。

「のっぺら坊」と入れ墨の脱獄囚[編集]

「のっぺら坊」と呼ばれる男により、身体にアイヌの金塊の隠し場所に関する暗号が記された入れ墨を彫られた囚人たち。中には金塊に興味なく、脱獄を目的として入れ墨を入れた者もいる。小樽へ向かうよう指示され、暗号を解くため脱獄当初は全員が一緒に行動していたようだが、殺し合いが始まったことで逃亡者が出て散り散りとなった。

脱獄囚は総勢24人いるとされ、そのうち現時点では下記と「尾形に射殺された囚人(声 - 山本兼平)」の他に、「(鶴見が刺青人皮として身につけている)33人を殺害した津山と呼ばれる囚人」、「茨戸で刺青人皮のみ取引きされていた囚人」、「夕張炭鉱事故で死亡した囚人」の存在のみ確認されている3人を含めた15人が登場している。

のっぺら坊
網走監獄の「第弐拾四房」に収監されている死刑囚。本名は不明で、頭部全体を含む皮膚と顔面の耳や鼻が剥脱・欠損した異様な風貌のためこの名で呼ばれる。アイヌが和人に抵抗する軍資金として、秘密裏に金塊を蓄えていたアイヌを殺害した強奪犯とされ、金塊を隠した後に、支笏湖で警察に捕まり網走監獄に収監。金塊の隠し場所を知ろうとした看守から片足のを切られ、行動の自由を奪われているが、「脱獄に成功した者には金塊の半分をやる」と伝え、同房になった囚人らの身体に入れ墨を彫った。しかし、描かれた入れ墨は分割された暗号になっており、皮を剥いで全て繋ぎ合わせなければ解読できないため、脱獄囚達は「刺青人皮」として最後には殺害される役回りである。目的が一致している土方に対してのみ、実際の埋蔵金は他囚人に語った量の千倍である2万貫(約75トン、2015年時換算で約8千億円)だと告げた。土方からは彼とその仲間は極東ロシアのパルチザンと推察されている。
キロランケはアシㇼパの実の父・ウイルクであると杉元一行に話し、それを確認するために一行は網走へ向かうこととなった。一方で、インカㇻマッの占いではウイルクではないと出ていたが、網走に近づくにつれ占いの結果は変わってゆき、最終的に五分五分となっていく。
後藤(ごとう)
声 - 青山穣
殺人犯。泥酔して妻子を刺殺した罪で服役していた。酒代稼ぎに少量の砂金を採っていた飲兵衛の男で、砂金が採れずに不貞腐れていた杉元へ、酔いに任せてアイヌの金塊に纏わる噂を語った翌日、話した内容に怖気づき杉元の口封じを試みるも失敗し、山へ逃亡するが羆に首の骨を折られて捕食され、羆を倒した後の杉元によって刺青人皮となる。
白石由竹
杉元一行の項の白石由竹を参照。
土方歳三
土方一行の項の土方歳三を参照。
牛山辰馬
土方一行の項の牛山辰馬を参照。
二瓶鉄造(にへい てつぞう)
声 - 大塚明夫[2]
多弁にして豪放磊落、単独で過去200頭超の羆を屠り、入山先の羆を全て仕留めると謳われ、同業者界隈から「冬眠中の羆も魘される悪夢の熊撃ち」と名が通り恐れられている初老の猟師。恐れ知らずのように見えて「女は怖い」と語っている。猟の伴としてアイヌ犬のリュウを連れ、当時としては旧式の十八年式単発銃を持ち、「一発で決めねば殺される」との信念から予備弾を用いず羆を狩る。数年前、猟師を銃殺し獲物を横取りしては金を稼いでいた輩3名に物陰から狙われ、憤慨して殺害したため網走監獄に収監されるが、狩りの果てに山で命尽き、その身が獣に喰われ排泄物と化す終の生き方を率先すべく、入れ墨を入れて脱獄に加わる。金塊の在処には頓着無く、知力と体力を駆使して動物・人間問わず獲物を狩る興奮に執着する。口癖は「勃起!!」。妻と15人の子供がいるが絶縁状態である。愛銃は日清戦争で戦死した一人息子のものである。
山中、行き倒れていた谷垣を救助した際、既に絶滅したと思われていたエゾオオカミの存在を知って猟師魂が猛り、最後の血脈に留めを刺し途絶えさせた猟師としての偉勲を立てるべく全てを賭して獲物を追うが、勝利を確信した直後、背後から現れた雌のエゾオオカミに首を噛み切られ致命傷を負い未遂に終わるも充実した己の有様に満足しつつ絶命。その後、杉元の手により刺青人皮となる。
10年以上前にアイヌのキラウㇱと共にヒグマを狩ったことがあり、彼から「この山の熊がすべていなくなるかと思った」と言われるほど、その腕前を賞賛されていた。
辺見和雄(へんみ かずお)
声 - 関俊彦[2]
連続殺人犯。一見腰の低くあたりが柔らかい男だが、子供のころに弟が巨大なに襲われて喰い殺される現場を目撃して以降、必死の抵抗も虚しく死にゆく人の虚ろな目と姿に欲情と憧憬を抱いている。弟の死のような光景を求めて殺人衝動に駆られ、また自身を殺してくれる圧倒的な強者を見つけるべく、各地を放浪しながら犯行を重ね、100人以上を殺害してきた快楽殺人者
脱獄後は、鰊番屋で寝起きし漁に従事する季節労働者である「ヤン衆」として潜伏しつつ、治安組織から追跡されるよう刺殺体にわざと痕跡を残していた。鰊漁出航時にクジラの激突で溺死寸前を救助されたその際、出征経験のある杉元の優しさと強さに焦がれ殺害を決意する。第七師団から杉元を匿おうと手引するが、限界と見るや師団兵を殺害するも反撃を受け負傷してしまい、本性を知らぬまま傷ついた身柄を保護しようとする杉元を背後から狙う直前に同房だった白石が気づいて正体が判明、彼の反撃により致命傷を受ける。最期は突如現れたシャチに攫われ、想像を超えた本懐を遂げる煌きの中で嬲られて死亡し、遺体は杉元に回収され刺青人皮となる。
家永カノ
土方一行の項の家永カノを参照。
若山輝一郎 (わかやま きいちろう)
並居る商売敵を斬り伏せ伸し上がった苫小牧で八百長競馬を命じていたヤクザの親分で博徒で、逆手に握った仕込み刀の一閃で両断するほどの剣客でもある。上半身には倶利伽羅紋々があるため、他の脱獄囚と違い、暗号の入れ墨は下半身に彫られている。
大枚注ぎ込んだ八百長の指示を無視して勝利した騎手のキロランケを追って空き家で一服していたところ、羆に追われていたキロランケ含む杉元一行と遭遇、即興で家主に成りすますも若山の男娼買いに気分を害していた子分の仲沢の当て付けにより企てが破綻してしまう。3頭の赤毛羆に包囲され撃退可能な装備を失った窮地の中、杉元らとの丁半博打で負けた若山が屋外に落ちている銃弾を回収したが、土饅頭となり餌にされかかるも機関銃を携え再登場、最期は羆に襲われた仲沢を助けるため深手を負いながらも羆を討ち斃した末、仲沢と手を握り合いながら死亡し、杉元の手で刺青人皮となる。
鈴川聖弘(すずかわ きよひろ)
詐欺師で、変装の達人。アメリカ軍大佐になりすまし、富裕層の女性に対する幾つもの結婚詐欺の咎で服役していた。脱獄後、政府の高官に扮して樺戸集治監を訪れ、内部から多くの囚人の脱獄の手引きをした。
樺戸集治監近くのアイヌのコタンを襲い男を全員殺害、女は脅して妻役としてコタンを乗っ取る。自身は「村長・レタンノ エカシ」を名乗り、他のアイヌに扮した囚人らと共に、訪れる旅人の寝込みを襲い殺害しており、熊岸には偽札作りを命じていたが、杉元らと偽アイヌとの乱戦で捕縛される。その後、白石奪還の協力を命じられ、網走監獄の典獄である犬童に扮し杉元と共に旭川の司令部に向かう。熊岸長庵と白石の交換を持ち掛け淀川を騙す寸前まで行くも、鶴見の命を受けた鯉登に見破られ射殺された。死後、彼の刺青人皮は第七師団の手に渡る。
坂本慶一郎(さかもと けいいちろう)
稲妻強盗」と呼ばれる連続強盗犯。韋駄天のごとし健脚で一日に約200キロも走り続け逃げ切ったとされる。逃走の途中で同じく強盗の蝮のお銀と出会い夫婦になると、二人で銀行や郵便局を襲うことで夫婦は反権力の象徴として世間の注目を集める。
小樽にて土方の部下を従え賭場を襲撃、刺青人皮を手に入れようとするが、第七師団に建物ごとを包囲される。脱出を果たすが、鶴見に機関銃で射殺される。刺青人皮は第七師団の手に渡った。
姉畑支遁(あねはた しとん)
学者。各地で家畜を殺し回り、見つけた牧場主に大怪我を負わせたことで服役していた。北海道の動植物を調査する傍ら野生動物と獣姦したり、木に穴を開け自慰行為を行う特殊な性向の持ち主。動物を愛していながらも獣姦した後の動物は自身の行ないをうやむやにするため殺すなど身勝手な一面を持つ。
北海道東部に住むアイヌにとってエゾシカはカムイであるため、それを穢す行いをした彼はアイヌたちに追われる。偶然出会った谷垣らが油断したところを彼の村田銃を奪い、カムイを穢す犯人に仕立て上げる。釧路の大湿原で3日彷徨いようやく羆を見つけ、獣姦を成し遂げるも過度な興奮により腹上死、彼の刺青人皮は杉元の手に渡る。
都丹庵士(とに あんじ)
盲目の老人。囚人時代に犬童が秘密裏に再開した硫黄山での硫黄採掘の苦役によって失明し、数人の囚人とともに逃亡する。盲目になってからは聴力に頼っており、耳の後ろに集音用の覆いを付け、舌を鳴らして反響した音を拾うことで周囲の状況を把握している。その舌を鳴らす音は下駄の音に似ている。装備はモーゼルC96。白石、土方と面識があり、土方には敬語で接する。
屈斜路湖周辺で盲目の盗賊団の親玉として強盗を繰り返し、杉元らを犬童や硫黄山の鉱山会社からの刺客と勘違いして襲撃する。その最中に土方の仲裁が入り、犬童への報復のため土方に従い網走監獄の侵入に協力する。

アイヌ[編集]

ウイルク
アシㇼパの父。アシㇼパからはアチャ(父さん)と呼ばれている。顔面に縦横数本の裂傷痕と口髭が特徴。アシㇼパ同様深い青色の目の樺太出身のアイヌで、ポーランド人の父と樺太アイヌの母の子であり、キリスト教徒。若い頃はアムール川領域でキロランケらの少数民族と共に帝政ロシアからの解放運動をしていた。その後、北海道の小樽へ逃げ、アシㇼパの母やインカㇻマッに出会い生活を共にし、北海道アイヌの信仰や文化を学ぶ。アイヌの金塊強奪事件で死亡したとされる。
しかし、キロランケは金塊強奪事件でアイヌを殺戮した「のっぺら坊」がウイルクであると語ったため、杉本一行が網走へ確認に向かうこととなる。一方で、インカㇻマッの占いでは「のっぺら坊」はウイルクではなく、キロランケこそが金塊強奪事件の犯人でありウイルクを殺害したと推測されている。
アシㇼパの祖母
声 - 一城みゆ希
アシㇼパの母方の祖母でアイヌの老女。アシㇼパからはフチ(おばあちゃん)と呼ばれ、本名は不明。口の周囲に彫った入れ墨も大きく村一番の実力者。アイヌ語話者で、日本語は判らないため、孫たちの通訳を介して和人と会話する。孫娘を自分の宝と思っている反面、アイヌの女としての嗜みを身につけようとせず、狩猟に精を出している様を嘆いて心配している。
孫娘が初めて客人を連れて来たことを喜び、快く和人を迎え入れ、矢毒で息も絶え絶えの兵士を手厚く看病するなど甲斐甲斐しい性格。アイヌ人としての伝統と因習を重んじているため、大事な孫娘に凶事が振りかかるという占いを信じ込み、床に伏してしまう。その孫娘を無事に連れて帰ってくると約束を告げた谷垣に涙し、カムイの加護を捧げ見送る。
北海道の各地のコタンに親族がおり、杉元一行の旅の手助けとなっている。
オソマ
声 - 朝井彩加
アシㇼパの従妹で父のマカナックル似の少女。アイヌ独特の風習に沿い、病魔除けの幼名として「オソマ(糞)」という汚い言葉を命名されている。和人の耳に興味津々で日がな一日遊戯に明け暮れ、谷垣に懐き常に付き添い、幼い身ながら窮地に助力、谷垣出立時には自作のテクンペ(手甲)を手渡し涙ぐみながら見送った。
マカナックル
アシㇼパの母方の叔父でオソマの父。先祖のアイヌらが集めた砂金の存在を知っており、川からの恵みを尊んで川を汚さないようにしてきたアイヌの生き方から外れていたものであることから「呪われたもの」と評した。
キラウㇱ
釧路付近のコタンに住むアイヌ。二瓶とは知り合いで、10年以上前に一緒に狩りをしたことがある。姉畑が谷垣の持っていた二瓶の銃を盗みエゾシカの惨殺を行ったことから、谷垣がしたものと勘違いし追っていた。後に姉畑の行為を仲間のアイヌと共に目撃したため誤解が解け、村長に説明している。

主要キャラクターの関係者・親族[編集]

寅次(とらじ)
声 - 内匠靖明
杉元の幼馴染。負けん気は強かったが、彼には何をやっても尽く勝てなかった。しかし、自身の方が梅子をより幸せに出来ると想いを打ち明けて結婚し子を儲けた。その後目を眼病で視力を失いつつある妻の眼病を治すためにアメリカへの渡航を考えていたが、日露戦争で致命傷を負い、杉元に妻子を託し戦死する。遺骨は杉元により遺族へ渡された。
梅子(うめこ)
杉元と寅次の幼馴染で、杉元とは互いに想いを寄せ合っていた。杉元家に結核罹患者が出ようと駆け落ちも辞さぬつもりでいたが、彼の説得で寅次と結婚し子を授かる。しかし、目を患った上に夫に先立たれ、戦争未亡人となる。清楚な佇まいながら気丈な性格。
青山賢吉(あおやま けんきち)
谷垣のマタギ仲間で義弟。谷垣の妹・フミを娶り山奥の小屋で慎ましく暮らしていたが、妻が疱瘡に罹患し、他の村人への感染を防ぐため自身を殺して離村するよう妻に乞われ、苦渋の決断の末、フミに手を掛けた後、小屋に火を点け誰にも真実を告げず独りで離村する。
疱瘡が発症しなかったときは命の使い道を探すよう妻に諭されたためか、村を出た後、関東第一師団に入隊し、日露戦争に出征。二〇三高地での戦闘中、自陣に自爆攻撃を仕掛けてきた敵兵に飛びかかり、爆発の巻き添えで目も耳も潰れ瀕死の中、傍に居た何者かに、妻の殺害に至る経緯及び故郷の遺族に真実を伝えてくれるよう懇願、最期にクルミ入りのカネ餅を味わったことで告白の相手が義兄・源次郎であったことを察し、安堵した表情を浮かべて戦死した。
師団で同じ小隊にいた杉元と交流があり、それが谷垣に見つけられるきっかけのひとつとなった。

動物[編集]

レタㇻ
白銀の毛並みを持つ雄のエゾオオカミ、通称「ホㇿケウカムイ」。幼獣のころに熊に襲われている所をアシㇼパが保護、アイヌ語で「白」の意を持つ名をつけ育てられ、家族同様の扱いでアシㇼパに付き従っていたが、成獣になると本能が勝り、アシㇼパの下から巣立ち、番いのメスのエゾオオカミとの間に4匹の仔を儲ける。
アシㇼパの元から離れ、森に消えた後も主従関係そのままに火急の事態に馳せ参じ、その身を呈して主を護る。
19世紀後半には明治政府の方針によりエゾオオカミは害獣指定され、道内全土で徹底的な駆除が行われており、本編当時には記録的な大雪害による餌不足も相まって既に絶滅していたと考えられていることから、作中では猟師でもある二瓶と谷垣から「最後のオオカミ」として狙われたこともある。
リュウ
アイヌ人に育てられ二瓶が猟犬として連れていたアイヌ犬。ヒグマも恐れない勇敢な忠犬だが、エゾオオカミには臆する。主の二瓶死後は遺品の猟銃と共にアシㇼパが引き取り、村に保護される。釧路湿原にて杉元らと合流、杉元は谷垣へと渡った二瓶の愛銃を追ってきたと推測している。

各編登場人物[編集]

渋川善次郎(しぶかわ ぜんじろう)
盗賊団の頭首。樺戸集治監を出所し、かつての手下を集め小樽近郊に潜伏していた。土方は樺戸集治監にて面識があったため仲間に引き込もうと画策するが、抵抗されたため盗賊団12人とも皆殺しにした。樺戸集治監時代には白石や熊岸と同じ房だったこともある。
日泥保(ひどろ たもつ)
茨戸で賭場を開帳していた小規模な鰊場の親方で婿養子。立場上妻に頭が上がらない、うだつの上がらない男。一番子分であった久寿田との抗争の最中、妻に自分が実は子供のできない身体であることを明かされ、息子の出自について謀られていたことを知って逆上、こまざらいで妻を滅多打ちにして殺し、息子に銃を向けるも尾形により射殺される。
久寿田馬吉(くすだ うまきち)
元は日泥保一番の子分であったが、日泥が賭場を息子の新平に譲ってしまったことに激怒し、近所に新たな賭場を開き対立する。抗争の際、永倉の手により子飼いの警官隊共々斬り伏せられた。馬のような大きな離れた黒目が特徴。
日泥新平(ひどろ しんぺい)
日泥保の子だが、血のつながりはなかったことが抗争の最中に判明する。当初は悪ぶっていたが実際は意気地の無い小心者。抗争勃発に怖気づき、愛する者のために駆けまわり身の丈にあった未来図を描く。抗争終結後、新天地で一からやり直すため千代子と共に茨戸を後にする。
千代子(ちよこ)
日泥保の妾であるが、新平の子を身籠っており、身柄を取り引きに利用されかけ匿われる。日泥・馬吉一味の抗争終結後、新天地で一からやり直すため、新平と共に茨戸を後にする。
日泥保の妻
日泥一味を実質的に取り仕切る女将で、冷酷非情な業突く張りの守銭奴。馬吉との取引に応じた振りをして夫や息子を含めた一同を欺くが、放火された番屋に隠していた刺青人皮を運び出そうとする場で新平の真実を暴露、逆上した夫により滅多打ちにされ殺される。
山本(やまもと)
「山本理髪店」店主。業務の傍ら町の情勢を教える一市民であったが、永倉の強要により抗争の取り引きの片棒を担ぐハメになるも無事生き残る。
エディー・ダン
来日25年になるアメリカ人牧場経営者で、希少な物品の蒐集が趣味。不心得者から買い取ったアイヌ伝来の花嫁衣装を買い戻しに来たアシㇼパらに、元の買値の倍になる売値を提示して一触即発となるが、牧場経営を脅かす赤毛羆の出没に頭を痛め、その駆除を条件に取り引きに応じる。杉元らが羆を退治したことで約束の品物を引き渡すと共に、羆退治の際に弓を壊してしまったアシㇼパに代わりの弓を贈る。さらに、和彫りとは違った入れ墨の存在が夕張にあるこという情報を一行に伝える。「友人のフォード君」から貰った試作品のフォード・モデルTを所有。
仲沢達弥(なかざわ たつや)
若山の子分で男色の相手でもある凄腕の壺振り。親分・若山に同行し一服していた空き家にて杉元らと遭遇、即興で家主に成りすますも、若山が男娼を買ったことに憤慨し、若山の企みを当て付けで破綻させる。羆の襲撃から逃れ、杉元らと共にダンのフォード・モデルTに乗り込んで空き家を脱出するも、走行中の車から落下した若山の仕込み杖を取ろうとした際に車外に転落し、羆の餌食になる寸前の仲沢を「姫」と呼んで救出せんと立ち向かった若山共に致命傷を受け手を握り合いながら死亡する。
江渡貝弥作(えどがい やさく)
「江渡貝剥製所」代表の青年。奈良県出身で、剥製作りに適した環境を求め夕張に移住した。
作品を褒められたこと無く母の歪んだ愛情を受けて育ち、唯一の理解者だった父を母が殺し、その父に似てきたとして母に去勢されている。心臓発作による母死亡後もその歪んだ愛情が人格の一部を占め、母の剥製を作成し、生きているという妄想で精神の均衡を保ってていた。動物の剥製制作の他、炭鉱事故で土葬された遺体を使った人肉剥製や人体部位を素材にした被服やガジェットを多数製作している。
第七師団から墓荒しの容疑を受け白を切るも、亡母を始めとする人間の剥製を鶴見に発見されるが、鶴見が軍服の下に纏った刺青人皮を見せたことで心開き、作品を褒められ才能を讃えられたため、鶴見を激しく慕うようになる。鶴見に諭され亡き母の支配から解放された後、偽の刺青人皮作製を依頼され、試行錯誤の末に6枚分の刺青人皮の偽物を完成させる。しかし動向を探っていた尾形の襲撃を受け、完成品を鶴見に届けるべく逃走し、炭鉱に逃げ込むも、発破をきっかけとしたガス爆発による落盤で身動きが取れなくなり、依頼品と鶴見への伝言を月島に託し炭鉱内で死亡する。
熊岸長庵(くまぎし ちょうあん)
偽札犯で贋作師。元は画家だったが絵画だけでは稼げず高級絵画の贋作や紙幣偽造などの無期徒刑で樺戸集治監に収監されていた。鈴川の集団脱走計画に加わり逃亡、他の脱獄囚らが乗っ取ったアイヌ村で偽札製造を任されていた。村の異常に気づいた杉元らの乱戦の最中、脱獄仲間が誤って放った毒矢に当たり苦しみ悶える中、剥製屋の江渡貝について自分と同じく、贋作には真作を超えたいがための拘りがあるはずということを伝え息を引き取った。女性の美醜に関する感受性に、一般の感覚と乖離がある。かつて樺戸集治監に収監されていた白石とは旧知の仲で、白石が脱獄を繰り返す原因となった。
大島又輔(おおしま またすけ)
樺戸集治監4代典獄。樺戸に来た永倉と家永に熊岸が脱獄しようとして射殺されたことを告げた。実際は熊岸は鈴川の手引きで脱獄に成功しており、処分を免れるためにこのことを隠している。
有坂成蔵(ありさか なりぞう)
陸軍中将。作中における三十年式歩兵銃有坂銃)・二十八珊米榴弾砲の開発者。長年の兵器開発の影響で騒音性難聴となっており、内容にかかわらず大声で話す癖がある。
鶴見の許を訪れた際、右足を失った二階堂に、急造製作した仕込銃付き義足を贈る。
青原(あおはら)
千鶴子の透視を利用して儲けようとしている詐欺師の男。
三船千鶴子(みふね ちずこ)
超能力者。かつて熊本の炭鉱会社の依頼で万田炭鉱を発見した。青原の義妹だが詐欺の片棒を担ぐ罪悪感から彼の許を脱していた。インカㇻマッに「東に向かえば追っている男に殺される」と忠告する。
蝮のお銀(まむしのおぎん)
千枚通しを使い旅人を幾人も殺害して来た女盗賊。右肩から腹部にかけて蝮の入れ墨を施している。出会った坂本慶一郎と夫婦になり銀行や郵便局を襲撃する。
小樽で夫と賭場を襲撃、刺青人皮を手に入れようとするが、第七師団に包囲される。夫ともに脱出を図るが、目の前で夫は銃殺される。鶴見の殺害を試みたところを鯉登によって斬首されるも、頭のみで鶴見の靴に噛み付く執念を見せた。荷物の中に隠されていた夫婦の赤子は鶴見の計らいにより、養育費と共にアシㇼパのフチに預けられている。
石川啄木(いしかわ たくぼく)
実在の人物。本作では史実よりも少し早く釧路新聞社の遊軍記者となっている。土方により何らかの依頼を受ける。
田本研造(たもと けんぞう)
実在の人物。かつて土方の写真を撮った。土方からの依頼により杉元・土方一行の写真を撮影する。


料理[編集]

「グルメ漫画」を掲げ、作中で北海道に縁ある食材や料理(主にアイヌ料理)が登場。調理や食事が描かれ各キャラクターが多様な表情を見せる。また杉元やアシㇼパにより当時のアイヌにはなじみのない味噌が頻繁に登場する。以下、紹介・列挙する。
※作中にて淡水魚や狩猟で獲った獣肉などの生食場面があるが、あくまで物語当時の食生活を描いている創作物であり、実際にはウィルス性肝炎の感染や寄生虫、食中毒等の危険を留意することが必要である。

チタタㇷ゚
アイヌ食で「我々が 刻む もの」の意。狩猟で仕留めたエゾリスやエゾウサギ、ヤマシギ等の小動物の皮を剥ぎ刃物で叩いて細かく刻んだ、たたき肉料理。なお、本来はを使ったものをいう。刻むときに「チタタㇷ゚、チタタㇷ゚」と言いながら調理するのが慣わしである。本来は生食だがアシㇼパ同行者の和人の舌に合わせ団子肉にして、プクサキナプクサオシロイシメジエゾマツタケといったキノコを入れたオハウ(汁物)にしている。杉元曰く「肉のつみれ汁」。
キナオハウとカジカの塩焼き
「野菜が沢山入った汁物」の意。昆布と素焼きしたエゾハナカジカで出汁を取り、大根人参・ジャガイモ・ホウレンソウ等を煮込んだ根菜の汁鍋。囲炉裏で焼いた脂の乗った塩焼きと。
カワウソのオハウ
毒罠で仕留めたカワウソ(エサマン)をぶつ切り肉にしてプクサで臭みを除き、牛蒡や大根等根菜類を入れたオハウ。
にしん蕎麦
身欠きにしんの甘露煮を載せた蕎麦、関東と同じ濃い目のツユ。
串団子
小樽の花園公園(現・小樽公園)名物の花園だんご。唾液腺も弾ける美味しさ。
桜鍋
東京で流行中の白石推薦すきやき風馬肉料理。強奪して屠殺した軍馬の薄切り肉とキャベツ・牛蒡を鍋に入れ、砂糖、醤油、酒、味噌で味を付け、加熱で桜色になった頃合いの馬肉を溶き卵に絡めて食す。
ニヘイゴハン
獲れたて新鮮、羆の心臓焼き血の腸詰煮。滋養強壮の効果が高く食すと精力が付くと二瓶は語っている。
ユㇰのチタタㇷ゚
鹿の気管(セウリ)部分を刻んだつみれ肉料理。その他、肺と肝臓、脳髄は生食。塩を振った背肉部分の炙り肉。
ユㇰオハウ
プクサキナやプクサを入れた鹿肉のオハウ。
ルイペ
「とけた 食べ物」の意、立木に吊るした半冷凍の鮭の切り身。
オオワシの丸ごと煮
鋭い鉤爪に注意。
ニシン漬
白米身欠きニシン、キャベツ、大根、人参を入れ米麹で発酵させた保存食。
鯱の竜田揚げ子持ち昆布の串揚げ
浜に乗り上げた鯱(レプンカムイ)の脂肪を鍋で煎って油を出し、赤身肉を酒と醤油で下味をつけて片栗粉をまぶし、油で加熱調理した揚げ物、火傷に注意。
イトウ刺し身と塩焼き
川で獲ったイトウの刺し身。鯱の竜田揚げの際に余った醤油を用いる。杉元は川のトロ、白石は鮭よりも上品な味と評した。
エゾシカ肉のライスカレーとラガービール
洋食店・水風亭メニュー、冷製札幌ビールと共に。
松前漬けとお茶漬け
一膳飯屋の一品、数の子に細かく刻んだスルメイカコンブを醤油で味付けした松前藩発祥の御当地料理。飯に細かく刻んだ沢庵を乗せた茶漬けと共に。
アザラシ肉の塩茹で
浜辺のアザラシを撲殺して調理、魚と牛肉の中間の味で臭みはない。
イチャニウのオハウ
切り身にしたサクラマス(イチャニウ)、葉を落とし焼いて皮を剥いた蕗の薹の茎を入れた鍋に、フキやプクサを加えて塩で味付けした春の汁物の中では最も美味しいオハウ。
カネ餅
阿仁マタギの携行食。水を加えた米粉に味噌か塩を混ぜ込んで葉に包み、蒸し焼きにしたもの。凍りにくく保存がきく。谷垣は隠し味としてクルミを混ぜている。
カワヤツメうな重
小川で獲ったカワヤツメ(ウクリペ)を背開きにして串を通した身を炭火で炙り、醤油や酒、砂糖で作ったタレをかけた蒲焼。飯盒で炊いた熱々の飯にのせ、薬味に採取したワサビを。ウナギよりやや固めの歯ごたえのある身が特徴。
なんこ鍋
空知地方の郷土料理である馬の腸を味噌で煮込んだもつ煮。江渡貝剥製所にて土方一派と杉元らを執り成すため家永が振る舞った。
クトゥマ(筒焼き)
オオウバユリ(トゥレㇷ゚)の鱗茎から作った澱粉をヨブスマソウの茎の中に入れ蒸し焼きにした団子。牛山曰く「葛切りみたい」。ニジマスの筋子(チポㇿ)や味噌を付けても良い。オオウバユリの鱗茎はそのまま焼いて食べるだけでも美味な模様。
豆菓子
煎り大豆に砂糖を衣掛けした菓子。

制作背景[編集]

作者の曽祖父が日露戦争に出兵した屯田兵であったことから、かねてより関連する作品を描きたいという希望を抱いていたところ、前作の『スピナマラダ!』連載終了後に担当編集者から「北海道を舞台にした猟師の作品」をと持ちかけられ、始めは日露戦争帰りの主人公にした「狩猟マンガ」として構想された[12]が、狩猟だけでは、ネタ切れが早いと思われたため、道史の中から作者が興味を惹かれた「熊害ゆうがい」、「土方歳三」、「脱獄王」、「埋蔵金伝説」、「アイヌ」といった様々な題材を拾い上げて組み入れていき、本作が練り上げられていくことになった[12]。特にアイヌに関しては、これまでのマンガで取り上げられることが少なかったため、読者にとって新鮮であろうと考え、また取材に協力してくれたアイヌの人々から「可哀想なアイヌではなく、強いアイヌ」を描くことを期待されたこともあり、迫害や差別といった暗い背景ではなく、「明るく、おもしろいアイヌ」を描いていけば、読者に受け入れられていくと確信していたという[12]。料理に関する要素が強いことに関しては、作品構想の始めのテーマが狩猟であったこともあり、獲物を生活に活かしていく中で、料理描写は必然と考えられたためとしている[12]

本作の背景資料として北海道在住の写真家や作者の兄妹が撮影した写真を利用している[4]

評価[編集]

アイヌ文化を丁寧に描いているとして平取町アイヌ文化情報センターでも人気になっており、アイヌ民族博物館の職員は「文献や資料をよく調べている。文様も細かく描写されており、見応えがある」「全国の若い世代にアイヌ文化に興味を持たせるきっかけをつくったという点で貢献度は非常に大きい」と評価している[13][14]。アイヌの料理や狩猟など風習・文化がリアルに表現されており、北海道アイヌ協会の理事長は「よく描かれている」と評価している[15]

2015年からは漫画関連のランキングや漫画賞に名前が挙がるようになっている。

主な受賞・ノミネート歴
年度 セレモニー 順位 出典
2015年 コミックナタリー大賞 2位 [16]
2016年 このマンガがすごい!2016オトコ編 2位 [5]
マンガ大賞2016 大賞 [17]
2018年 手塚治虫文化賞 マンガ大賞 [18]

書誌情報[編集]

テレビアニメ[編集]

『週刊ヤングジャンプ』2017年36・37合併号にて製作が発表された[19]2018年4月よりTOKYO MXほかにて放送中[20]。ナレーションは立木文彦が務める。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

オープニングテーマ「Winding Road」[22](第1話 - )
作詞 - Kamikaze Boy, Jean-Ken Johnny / 作曲 - Kamikaze Boy / 編曲 - MAN WITH A MISSION、Kohsuke Oshima / 歌 - MAN WITH A MISSION
エンディングテーマ「Hibana」[22](第2話 - )
作詞 - Ray / 作曲 - Reiji / 編曲 - Reiji & Tsuyoshi Sato / 歌 - THE SIXTH LIE

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
第一話 ウェンカムイ 高木登 三條なみみ 川越崇弘 羽山淳一、小園菜穂
第二話 のっぺら坊 粟井重紀 西道拓哉、松下純子
櫻井拓郎、鎌田均
第三話 カムイモシㇼ 二宮壮史 深瀬重 徳岡紘平

放送局[編集]

日本国内 テレビ / 放送期間および放送時間[23]
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [24] 備考
2018年4月9日 - 月曜 23:00 - 23:30 TOKYO MX 東京都 製作参加
2018年4月10日 - 火曜 1:00 - 1:30(月曜深夜) BS11 日本全域 BS放送 / 『ANIME+』枠
火曜 1:44 - 2:14(月曜深夜) 札幌テレビ 北海道
火曜 1:59 - 2:29(月曜深夜) 読売テレビ 近畿広域圏 MANPA』第1部
2018年4月14日 - 土曜 1:00 - 1:30(金曜深夜) 時代劇専門チャンネル 日本全域 CS放送 / 字幕放送[25]

インターネットではFODにて2018年4月9日より月曜23時30分に独占配信中[23]

TOKYO MX 月曜23:00枠
前番組 番組名 次番組
ゴールデンカムイ
-

BD / DVD[編集]

発売日[26] 収録話 規格品番
BD初回版 DVD初回版
1 2018年6月26日予定 第1話 - 第4話 GNXA-2121 GNXA-2131
2 2018年7月27日予定 第5話 - 第8話 GNXA-2122 GNBA-2132
3 2018年8月29日予定 第9話 - 第12話 GNXA-2123 GNBA-2133

ショートアニメ[編集]

ゴールデン道画劇場』はYoutubeで毎週月曜23:30に配信しているショートアニメ[27]。監督は森井ケンシロウ、アニメーション制作はDMM.futureworks、ダブトゥーンスタジオが担当。

話数 サブタイトル 配信日
#1 リス編 2018年
4月16日
#2 ウサギ編 4月24日

脚注[編集]

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編註[編集]

  1. ^ 公式が「冒険(バトル)」と「歴史(ロマン)」と「狩猟(グルメ)」と銘打つ。
  2. ^ 作中で彼の年齢については言及されていないが、満期除隊の場合は、通常23歳である。

出典[編集]

  1. ^ 野田サトルの一攫千金サバイバル、YJで始動”. コミックナタリー. 2017年8月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t STAFF/CAST”. TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト. 2018年3月24日閲覧。
  3. ^ 平成26年度 (第18回) アイヌ文化奨励賞 (個人) 貝澤貢男 (75歳) - アイヌ文化振興・研究推進機構
  4. ^ a b キムンカムイ - 野田サトルのブログ
  5. ^ a b 「ゴールデンカムイ」特集 野田サトル×町山智浩対談”. コミックナタリー. 2015年12月18日閲覧。
  6. ^ a b 追加キャスト発表!”. TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト (2018年4月23日). 2018年4月24日閲覧。
  7. ^ https://twitter.com/kamuy_official/status/980641987912073217
  8. ^ a b c 「ゴールデンカムイ」鶴見中尉は大塚芳忠、尾形は津田健次郎、谷垣は細谷佳正(コメントあり)”. コミックナタリー (2018年2月5日). 2018年2月5日閲覧。
  9. ^ https://twitter.com/kamuy_official/status/978829955009167360
  10. ^ a b c キャスト情報 第4弾 発表!”. TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト. 2018年2月19日閲覧。
  11. ^ https://twitter.com/kamuy_official/status/889322439083044865
  12. ^ a b c d 『ゴールデンカムイ』野田サトルインタビュー ウケないわけない! おもしろさ全部のせの超自信作!”. このマンガがすごい!web/宝島社. 2016年4月1日閲覧。
  13. ^ マンガ大賞作「ゴールデンカムイ」 忠実描写、アイヌ民族も注目 北海道新聞 2016年4月4日
  14. ^ 「ゴールデンカムイ」作者・野田さん 白老アイヌ民博に色紙 苫小牧日報 2016年6月29日
  15. ^ そこが聞きたい 先住民族アイヌの今 北海道アイヌ協会理事長・加藤忠氏 毎日新聞 2017年1月19日
  16. ^ 編集者が選ぶコミックナタリー大賞、今年度の1位は九井諒子「ダンジョン飯」”. コミックナタリー (2015年10月1日). 2015年10月1日閲覧。
  17. ^ マンガ大賞2016は野田サトルの「ゴールデンカムイ」に決定”. コミックナタリー. 2016年3月29日閲覧。
  18. ^ 「ゴールデンカムイ」が手塚治虫文化賞のマンガ大賞に!新生賞は板垣巴留”. コミックナタリー (2018年4月25日). 2018年4月25日閲覧。
  19. ^ “ヤングジャンプ連載『ゴールデンカムイ』TVアニメ化決定! コミケでは、アニメビジュアルを使用した特製うちわを配布”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2017年8月3日). http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1501720090 2017年8月3日閲覧。 
  20. ^ TVアニメ『ゴールデンカムイ』 放送時期・放送局&配信情報公開ッ!”. TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト. 2017年12月14日閲覧。
  21. ^ a b c d e f 「ゴールデンカムイ」制作はジェノスタジオ、難波日登志監督が「放送規制に挑む」”. コミックナタリー (2017年10月16日). 2017年10月16日閲覧。
  22. ^ a b “『ゴールデンカムイ』4月9日より放送開始”. アニメイトタイムズ (アニメイト). (2018年3月5日). https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1520242984 2018年3月5日閲覧。 
  23. ^ a b ON AIR”. TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト. 2018年3月5日閲覧。
  24. ^ テレビ放送対象地域の出典: 放送分野の動向及び規制・制度(資料2)”. 政府規制等と競争政策に関する研究会通信・放送の融合の進展下における放送分野の競争政策の在り方. 公正取引委員会. p. 2 (2009年10月9日). 2018年2月17日閲覧。 基幹放送普及計画”. 郵政省告示第六百六十号 (1988年10月1日). 2018年2月17日閲覧。 地デジ放送局情報”. 一般社団法人デジタル放送推進協会. 2018年2月17日閲覧。
  25. ^ ゴールデンカムイ”. 時代劇専門チャンネル. 日本映画放送. 2018年3月6日閲覧。
  26. ^ Blu-ray&DVD”. TVアニメ「ゴールデンカムイ」公式サイト. 2018年3月24日閲覧。
  27. ^ 『ゴールデンカムイ』ショートアニメ「ゴールデン道画劇場」が配信スタート! ポップアップショップやコラボフード&ドリンク情報もお届け”. animateTimes (2018年4月17日). 2018年4月20日閲覧。

書誌出典[編集]

  1. ^ ゴールデンカムイ/1|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2015年6月15日閲覧。
  2. ^ ゴールデンカムイ/2|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2015年6月15日閲覧。
  3. ^ ゴールデンカムイ/3|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2015年6月15日閲覧。
  4. ^ ゴールデンカムイ/4|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2015年8月9日閲覧。
  5. ^ ゴールデンカムイ/5|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2015年12月18日閲覧。
  6. ^ ゴールデンカムイ/6|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年3月18日閲覧。
  7. ^ ゴールデンカムイ/7|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年4月19日閲覧。
  8. ^ ゴールデンカムイ/8|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年8月19日閲覧。
  9. ^ ゴールデンカムイ/9|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2016年11月18日閲覧。
  10. ^ ゴールデンカムイ/10|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年3月17日閲覧。
  11. ^ ゴールデンカムイ/11|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年8月18日閲覧。
  12. ^ ゴールデンカムイ/12|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2017年12月19日閲覧。
  13. ^ ゴールデンカムイ/13|野田 サトル|ヤングジャンプコミックス|”. 2018年3月19日閲覧。

外部リンク[編集]