家畜

家畜(かちく、英: domesticated animal)とは、ヒト(人間)がその生活に役立つよう、野生動物であったものを馴化させ、飼養し、繁殖させ、品種改良したものをいう[1]。哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類のほか、無脊椎動物もその範疇にある[注 1]。
利用目的により、使役動物・愛玩動物・実験動物の3種に大別できる[2]。また、狭義の一つでは、農業生産に直接的に関わる農用動物のみを指す[2](※農用動物は、畜産物を生産する『用畜』と[3]、労働力として利用する『役畜』[4]に大別される[2])。さらに別の狭義では、哺乳類の家畜だけを「家畜」という[1]。また、鳥類は家禽(かきん)と呼び分ける[5][1]のが日本語での通例である。
野生であったものが家畜に変わること、および(ヒトが)家畜に変えることは「家畜化」といい、どちらも「家畜化する」という形で活用する。強制力を強調する場合は「家畜化される」と表現する。
なお家畜動物が再野生化する場合もある。例えば、野猫、野生馬(例:御崎馬)などがある。

定義[編集]


家畜(かちく)とは、その生産物(乳、肉、卵、毛、皮、毛皮、労働力など)を人が利用するために馴致・飼育している動物を指す。鳥類のみを指した場合は家禽(かきん)と呼ぶ。この用途の動物については、近年では「産業動物(経済動物)」という呼称が一般化しつつあり、家畜の存在は社会基盤の1つとして認識されている。また、国の法令でも「産業動物の飼養及び保管に関する基準」[6]があり、ここでの産業動物の定義として「産業等の利用に供するため、飼養し、又は保管しているほ乳類及び鳥類に属する動物をいう。」としている。

英語 "domesticated animal" は「飼い慣らされて人間環境に適合した動物」を意味し[7]、家庭用に品種改良をされた動物も含まれる。イヌやネコのようにペットとしての一面があるものや、キンギョのようなペットは、品種改良によって野生種では生存不可能あるいは繁殖不可能な形質をもって固定された品種も多いため、「家畜」に含まれるが、本義に「人間環境に適合させた動物」とあるように悪い語意は無い。さらには、家畜として一般には認識されている動物種がペットとして飼育されることもあり、これらから愛玩動物(いわゆるペット)や鑑賞用の動物を含めるとのする意見もある。そもそも愛玩には玩具のような物を指す意味はない。また飼い主にとって、対人関係と同様の愛情を注ぐペットと、そうでない家畜の認識の違いは明瞭である。しかし、それは一般の認識とは少なからず乖離が生まれることが多く、それは家畜に対しても同様とする意見もあり、認識の乖離は深刻な問題となることがある。さらに「玩」の字には「弄ぶ」「慰み物にする」[8]などネガティブな連想を含み、さらにはネグレクトや虐待の概念と併せて社会問題化することがある。


このようなことを避けるため、定義には法律や語彙を越えたコンセンサスが必要となる。最も厳密に定義すると、家畜とは、単なる馴致や生産物の利用だけでなく、家畜化の過程で野生種と比較して体形をはじめとする外見が変化し、動物が生み出す生産物や、個体そのものの繁殖も含めた全ての生命維持活動を利用する事に特化し、人の管理下に置かれるようになった哺乳類や鳥類を指す。そして人間が利用する動物の中で、愛玩動物(キンギョ、インコなどのペット)は除かれる。その見地からは、ハチやカイコなど一部の昆虫が定義の中に含まれている。一例として、家畜伝染病予防法の第2条(「家畜伝染病」の定義)で、伝染性疾病の種類「腐蛆病」・家畜の種類「セイヨウミツバチ」が含まれている。またこの見地からは、一部の魚介類(マダイ、カキ、アコヤガイなど)や爬虫類(スッポン、ヘビ、ワニ)は、人が食用や薬用、皮革など工業用に利用するために養殖されており、同義の動物ではあるが、これら変温動物や前述のハチを家畜と呼ぶことは少なくなる。同様に、人間の飼育下で繁殖させた動物でなく、シカやキジ、イノシシなど食用に供するために野生動物を捕獲したならば、保管を目的に一時的に飼育したとしても家畜には含めない。したがって、野生動物を捕獲したものであっても、個体を食肉以外の目的で飼育していれば愛玩動物には含まれる可能性はあり、それを繁殖させれば広義の家畜に含まれる可能性がある(ただし日本では鳥獣保護法に抵触する)。
一例として、インドゾウは人間の飼育下での繁殖が難しく、飼育されている個体は野生動物を捕獲したものがほとんどである。しかしながら長命であり、人間の管理下で繁殖した他の家畜よりも、はるかに長い期間を人間の飼育下で過ごす。これを家畜に含めるかどうかは異論がある。ただしインドゾウが実用に供されたのは過去の話であり、現在では愛玩動物となっている[要出典]。
特徴[編集]
家畜動物には、野生のものには見られない、ある程度共通した特徴が見られる。
- 形質が非常に多様化すること。特に非適応的な形態のものが現れること。
- 繁殖期が延長すること。
- 病気等への耐性の低下。
- 繁殖等への人の手助けが必要になるなど、自立性の低下。
このような現象も家畜化と呼ばれる。
また、このような現象は、ある程度人間にも共通する。これは、人間が文明を築く内に、自らもその環境下での生活に適応した結果と考えられ、このことを自己家畜化という。
なお、ミツバチやカイコは昆虫であり、通念上これらを家畜と呼ぶ事は少ないが、上記の家畜の定義に適い、この項に示される性質を共有する。その点では家畜であるといえる。
代表的な家畜[編集]
哺乳類[編集]




- 齧歯類
- 兎形類
- 食肉類
- イヌ(犬)
- ネコ(猫)
- ツキノワグマ(月輪熊) - 熊胆を採取するための熊農場が中国などに存在する。
- トラ(虎) - トラの部位に由来する製品を生産するための虎農場が中国に存在する。
- フェレット
- ミンク …毛皮用。
- 奇蹄類
- 偶蹄類
- ブタ(豚、家猪)、養豚
- ヒトコブラクダ(一瘤駱駝)
- フタコブラクダ(二瘤駱駝)
- リャマ
- アルパカ(羊駱駝)
- トナカイ(馴鹿)
- ウシ(タウリン系牛)、酪農
- コブウシ(瘤牛)
- ガウル
- スイギュウ(水牛)
- ヤク
- ヤギ(山羊)
- ヒツジ(羊)
- 長鼻類
- アジアゾウ(アジア象) - 人為的な繁殖は難しく、野生個体を捕らえて使役している。
鳥類[編集]

- ダチョウ(駝鳥)
- シチメンチョウ(七面鳥、吐綬鶏)
- ホロホロチョウ(珠鶏)
- カワラバト(河原鳩)
- カモ(鴨)
- アヒル(家鴨)
- アイガモ(合鴨)
- ガチョウ(鵞鳥)
- ニワトリ(鶏)養鶏
- キジ(雉)
- ハクチョウ(白鳥)
- ウズラ(鶉)
- エミュー(鴯鶓)
- インドクジャク(印度孔雀)
- ブンチョウ(文鳥)
- カナリア(金糸雀、金絲雀)
- キュウカンチョウ(九官鳥)
- オウム(鸚鵡)
- インコ(鸚哥)
- ハヤブサ(隼)…鷹狩用。
- オオタカ(大鷹)…鷹狩用。
- オオワシ(大鷲)…鷹狩用。
- フクロウ(梟)…害獣・害鳥駆除用。
- カワウ(河鵜)…鵜飼用。
- ウミウ(海鵜)…鵜飼用。
爬虫類[編集]
両生類[編集]
- ウシガエル(牛蛙)…食用ガエル。
- ヨーロッパトノサマガエル(ヨーロッパ殿様蛙)…食用ガエル。
魚類[編集]
無脊椎動物[編集]
家畜の頭数[編集]
- | 合計 | 牛 | 豚 | 鶏 | 羊 | 馬 | ヤギ | ロバ | ラバ&ケッティ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
世界 | 5272524159 | 1525939479 | 952632025 | 32380487 | 1262494153 | 57199051 | 1127731486 | 52961925 | 7912425 |
高所得国(HIC) | 781716614 | 249299764 | 271983559 | 11517207 | 203989877 | 12609222 | 29794923 | 239145 | 23971 |
上位中所得国(UMIC) | 1768777520 | 535062596 | 542002019 | 10079397 | 396022070 | 28945802 | 202455847 | 9173411 | 6173248 |
下位中所得国(LMIC) | 1832914412 | 491769036 | 112787978 | 10157776 | 414333436 | 9787203 | 593577960 | 14056025 | 1283367 |
低所得国(LIC) | 889115613 | 249808083 | 25858469 | 626107 | 248148770 | 5856824 | 301902756 | 29493344 | 431839 |
- | あひる | ガチョウ | 七面鳥 | うさぎ | その他げっ歯類 | バッファロー | ラクダ | その他ラクダ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
世界 | 1149882 | 359244 | 401993 | 182775 | 19060 | 203532944 | 38654378 | 8972852 |
高所得国(HIC) | 62151 | 4127 | 307901 | 2152 | - | 441053 | 1441562 | - |
上位中所得国(UMIC) | 748160 | 318394 | 58838 | 128631 | 18634 | 30736041 | 932953 | 5921479 |
下位中所得国(LMIC) | 324026 | 17725 | 32629 | 18724 | 426 | 172348671 | 9368057 | 3051373 |
低所得国(LIC) | 15545 | 18998 | 2625 | 33268 | - | 7179 | 26911806 | - |
家畜化の歴史[編集]
最も古い家畜は、イヌである[10]。タイリクオオカミ(ハイイロオオカミ)が家畜化されたという点ではほぼ定説となっているが、その地域と時期については定説が確立していない。
ヤギ・ヒツジ・ブタは紀元前8000年頃の西南アジアで、それぞれパサン・ムフロン・イノシシから家畜化されたといわれる。ブタは中国でも独自に家畜化されている。ウシは、タウリン系牛(コブウシ以外のウシ)が紀元前6000年頃の西南アジアで、コブウシがインドで、それにおそらく北アフリカでオーロックスから家畜化されている。ウマは紀元前4000年頃のウクライナで、ロバは同時期のエジプトで、スイギュウも同時期の中国で家畜化されている。リャマやアルパカは紀元前3500年頃のアンデスで、グアナコやビクーニャから家畜化された。ヒトコブラクダは紀元前2500年頃のアラビア半島で、フタコブラクダも同時期の中央アジアで家畜化されている。ネコに関しては、北アフリカでネズミを駆除する目的で飼い始めたと考えられている。
大型の動物では、その他にトナカイ・ヤク・バンテン(バリ牛)・ガウルが古代に家畜化をされている。現代でもイランドやシマウマを家畜化しようという試みはあるが、これら以降に(狭義の)家畜化がなされた大型の動物は存在しないのが実情である。インドゾウは使役目的で古くから使われているが、人間の飼育下での繁殖はほとんど行われず、専ら野生の個体を捕獲して調教を行ってきた。大型哺乳類のうち家畜化できたといわれているのは15種程度と言われている。
1950年代半ばからロシアの神経細胞学者リュドミラ・ニコラエブナ・トルットとロシア科学アカデミーの遺伝学者ドミトリ・ベリャーエフはキツネを家畜化する実験(人為選択による馴致化実験)を行った[11][12]。1960年代半ばの4世代目頃になると人に懐くようなり見た目や行動も変化が出てきた[13][14][15]。
19世紀に入って家畜は、監禁を押し進められて、徐々に都市から周辺へと移動させ人間と家畜の空間を分離させることが進んできた[16]。なお、イヌをレストランに連れていったり、公共交通機関で移動する、盲導犬がいる等、家畜と人間が空間を共有することで、彼らの取り扱いについての政治的な熟議のきっかけとなるという指摘がある[16]。
日本列島[編集]
考古学的にはイヌ、ウマ、ウシ、ネコなどの動物は、先史時代にユーラシア大陸で家畜化され、列島に入ってきたと推定されている。その家畜史は、沿海州、中国、朝鮮半島、台湾などと関連があったと推察できる[17]。
縄文時代には狩猟犬としての縄文犬が存在し、食用のためイノシシを訓化して飼養することも行われていたと考えられている。弥生時代に稲作農耕の導入に伴い、家畜化されたブタ・ニワトリが大陸から導入され、縄文犬とは別系統の弥生犬も導入される。古墳時代にはウマが導入され、古代にはウシが登場する。屠児という言葉があり、これは屠殺業者も示していた(『和名類聚抄』:牛馬を屠り肉を取り鷹雞の餌とするの義なり)。
『日本書紀』には「猪使連」という職が記述されており、古代には猪が飼育されていたという。
家畜と文化[編集]
- 通貨
- 家畜は物々交換が行われていた時代において貴重な通貨であった。そのため、その名残は貨幣単位にも引き継がれた。例として、旧約聖書ヨブ記42.11に登場する通貨単位ケシタは、もっとも初期のギリシャ語版では子羊と訳されていた。ローマ時代の貨幣ペクニア(ラテン語:pecunia)は家畜を意味する Pecus から来ている[18]。
- 盗難
- 牛の盗難、馬泥棒、ミツバチ泥棒[19]など、歴史的に多くの家畜を奪う行動が見られた。対策として巣箱などに焼印、マイクロチップなどで所有権を主張、GPSタグなどで追跡し、情報提供者には報奨金が支払われるなどが行われた[20][21]。ギリシア神話のヘルメースがアポロンの牛50頭を盗んだ神話などが残る。
家畜と環境[編集]
2020年時点で、世界には、牛約17億頭、豚約10億頭、羊約13億頭、鶏330億羽の家畜がいる[22](そのほか七面鳥や山羊などその他の家畜も存在する)。畜産業の土地利用割合は、2004年時点で、全農地の70%だという[23]。この割合は、2019年には77%まで拡大している[24]。これらの家畜飼養に使われるエネルギーは膨大な量に上り、2017年のランドマーク調査によれば[25]、食肉会社大手のJBS、カーギル、タイソン・フーズの3大企業だけで、2016年に、フランス全土よりも多くの温室効果ガスを排出している。
2019年12月、科学者たちは、畜産業がこのまま拡大し続けるなら2030年には気温が1.5度上昇するのに必要な二酸化炭素の49%を畜産業が排出することになる、と述べ、畜産業は「これ以上家畜生産を増やさない」というピーク点を設定すべきだと表明した[26]。
- 国連食糧農業機関
- 国連食糧農業機関 (FAO) は2006年に調査報告書「家畜の長い影」(Livestock’s long shadow) の中で「畜産業はもっとも深刻な環境問題の上位2.3番以内に入る」と発表、2050年までに肉・乳・卵需要は倍増すると予測され、家畜の増加に伴う環境破壊は2050年には今の倍以上に広がると警告した[27]。同レポートはまた、放牧によって占められている土地の総面積は約3,430万ヘクタールで、これは地球上の氷のない陸面の26%に相当し、飼料の生産面積は約471万ヘクタールで全農地の33%にあたり、これらの土地の大部分は乾燥や低温によって作物を作るには不向であり、人もあまり住まないような土地であると報告した[28]。
- なお、2006年調査報告書「家畜の長い影」に畜産業界は反発し、FAOに対して苦情を申し立てた。また畜産業界のロビー活動は、その後のFAOによる畜産業の環境への影響報告に圧力をかけた[29]。
- 気候変動に関する政府間パネル
- 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2019年に発表したレポートには次のように述べている「動物ベース食品の消費量が多いほど環境への影響の推定値が高くなり、植物ベース食品の消費量が増えると環境への影響の推定値が低くなる」「動物性食品がまったく消費されない最も極端なシナリオでは、現在使用されているよりも少ない土地で、2050年でも十分な食料生産を達成でき、かなりの森林再生を可能にし、土地ベースの温室効果ガス排出量を3分の1に削減できるとされている。」[30]。IPCCワーキンググループ2は2022年2月に発表した第6次評価報告書(気候変動2022:影響、適応、脆弱性)の草案では、新しいタンパク質源として、培養肉(clean meat)は食用タンパク質の需要に寄与し、そのような技術は、牧草地や植物由来の飼料生産のための土地利用を大幅に削減する可能性があるとした。削減された分の飼料のタンパク質源は植物性飼料などの土地由来の作物の代わりにミールワームやバエなどの昆虫由来の飼料を使うことで畜産由来のGHGを削減する可能性があるとされる。また海藻の紅藻や緑藻は、非常に消化の良いタンパク質を豊富に含み、ウシとヒツジのメタン産生を減少させる。新しいタンパク質源は、食料と飼料のタンパク質の持続性に貢献できる可能性を秘めているとした[31]。その後、IPCCワーキンググループ3が2020年4月に発表した第6次評価最終報告書(気候変動2022年:気候変動の緩和)[32]では、培養肉に加え、新興食品技術である cellular fermentation(発酵ベースの細胞農業)や代替肉は世界の排出量を大幅に減少させることができるとした。また、排出量の削減に加え、土地や水の使用の低下、人獣共通感染症リスクの低下、抗生物質使用削減につながり、動物福祉の問題への対応できることにも言及した。植物性タンパク質の割合が多い食事、動物性食品の適度な摂取、飽和脂肪の摂取量の減少は、GHG排出量の大幅な減少につながる可能性があるとした[33][34]。
家畜による環境負荷は高く、例えば毎日グラス1杯の牛乳のためには650 m2の土地が必要であり、この面積は乳代替品(豆乳やライスミルク、アーモンドミルク)等と比較して10倍も高い[35]。このような生産効率の面が指摘されることもある。2019年にサイエンスジャーナルに掲載された論文は、「肉と乳製品生産には、全農地の83%が使用されているにもかかわらず、そこから得られるカロリーは18%にすぎない。」[36]と報告する。
以上のような背景から、環境問題の解決策の一つとして動物性食品の消費削減や家畜の数の削減が提唱されるようにもなっている。
2018年10月10日、科学誌『ネイチャー』に、「世界は壊滅的な気候変動を回避するために、肉の消費量を大幅に削減することが不可欠だ」とする研究結果が発表された[37]。2019年1月16日付の英医学雑誌The Lancetには「野菜を多くとり、肉、乳製品、砂糖を控える」ように提案する論文が、発表された。「ランセット委員会」の名の下に、栄養や食に関する政策を研究する世界の科学者30人が3年にわたって協議し、100億人の食を支えるために、各国政府が採用できる案をまとめたもので、こうした食の改革を行わないと、地球に「破滅的」なダメージが待ち受けているという[38]。
地球温暖化[編集]

植物を食べる家畜(動物性たんぱく質)を育て、食肉生産する過程で使われる化石燃料(石炭・ガスなどで燃やすと二酸化炭素、窒素酸化物など発生させる)は、大豆などの植物性たんぱく質の生産過程使われる化石燃料より8倍多く必要とされる [39]。
温室効果ガスでいうと、平均して、動物性食品は植物性食品の10〜50倍の温室効果ガスを排出する[40]。2018年、Scienceに掲載された論文[41]によると各食品の二酸化炭素排出量を算出したところ、豆が0.4キログラム、牛乳1.6キログラム、卵2.1キログラム、家禽肉2.9キログラム、豚肉3.8キログラム、牛肉17.7キログラム(タンパク質50グラムあたり)という結果であった。また同2018年の食品カーボンフットプリント指数[42]によると、日本人一人当たり1年間の動物性食品消費による二酸化炭素排出量は550.99キログラムに対し、植物性食品消費による二酸化炭素排出量は93.07キログラムと、457.92キログラムもの差が生じる。
AFOLU(農業・林業・その他土地利用)部門に由来する温室効果ガスの量は、世界全体の人為起源の21.5%(10.6Gt)に当たり、二酸化炭素排出量は世界全体の14%、メタン排出量は42%に当たる。主な排出源は、森林減少、家畜の消化管内発酵、農地に残された家畜糞尿、化学肥料の大量施与、稲作などである。とくに最大の排出源は農業(5.1Gt)であり、中でも畜産の割合は高く、反芻家畜の消化管内発酵が40%(CO2等価)、家畜糞尿が16%と、農業全体の56%を占める[43]。2021年のMeat Atlasの報告によると、畜産・酪農大手20社が排出する温室効果ガスは、ドイツやイギリス、フランスが排出する量より多いという[44]。2023年のデータによると、大手畜産・酪農企業の排出量は一年前より平均3%以上増加した[45]。
地球温暖化への影響が二酸化炭素の28倍であるメタンについていうと、2022年の家畜生産に由来の排出量は約2887百万トンCo2換算(腸内約2558百万トン、肥料管理約330百万トン)で世界のメタン排出量約8409百万トンCo2換算の34%約 3 分の 1 に相当する[46][47]。また、世界最大の食肉および乳製品企業15社の合計メタン排出量は、欧州連合全体のメタン排出量の 80% 以上に相当する[48]。
2020年に、国連環境計画(UNEP)らが、パリ協定に基づく国別対策貢献(NDC)を高めるよう、政策立案者にガイダンスを提供することを目的として作成した報告書[49]には「全世界の人口の半分が、1日あたりの肉たんぱく質を60gに制限されれば、GHG排出量を毎年2.2 Gt CO2e削減することができます。」と試算されている。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の発表した2021年の特別報告書[50]によると、肉の量を減らした植物中心の食事への移行で、2050年までに年間0.7〜8.0GtのCO2を減らすことが出来るという。
地球温暖化と動物性食品摂取の関係についてのその他の報告[編集]
- 2010年、カナダのダルハウジー大学で発表された論文は、2050年までに1人当たりの肉の消費量を世界平均で19%から42%減らさなければ、温室効果を抑え、現状レベルの地球環境を維持することはできないと報告[51]。
- 2016年、オックスフォード大学は「食肉消費を大幅に削減すれば、環境にも健康にもよいという研究結果を発表。温室効果ガスを最大3分の2削減、世界全体で約242兆円のコストを節約できる可能性があると報告[52]。
- 2018年のIATP(農業貿易政策研究所)の報告によると、今後肉と乳の消費量が増え続けた場合、2050年には温室効果ガスの81%を畜産業が占めることになるという[53]。
- 2018年、オックスフォード大学は、乳製品は豆乳やライスミルク、アーモンドミルクと比較して約3倍の温室効果ガスを排出するという調査結果を発表[35]。
- 2018年、オックスフォード大学は、世界は壊滅的な気候変動を回避するために、肉の消費量を大幅に削減することが不可欠だとする研究結果を英科学誌ネイチャー(Nature)に発表[54]。
- 2018年、気候変動に関する政府間パネルはレポート「Global Warming of 1.5 ºC[55]」の中で、「肉やその他畜産物の需要をターゲットにすることで、食品システムからの総排出量を減らすことができるという合意が高まっています。」と述べた。
- 2020年、イギリス政府の気候変動委員会は、2050年までに温室効果ガス排出ゼロ(ネットゼロ)を達成するには、肉の量を20〜50%削減する必要があるとも述べ、翌年7月には、イギリス政府から委託された国家食糧戦略のレビューの中で「10年間で肉消費を30%削減する」という目標が設定された[56]。
- 2022年、Nature Foodに掲載された論文によると、54の高所得国の食生活を動物ベースから植物ベースの食品に移行した場合、農業生産からの温室効果ガス排出量を61%削減することができると報告。同報告所によると、現在、高所得国の食事は肉志向であり、動物ベースの食品は、高所得国では食料システムの排出量の70%を占めている一方、低中所得国では22%にすぎないという[40]。
人獣共通感染症[編集]
現代の工場型畜産の拡大は、人獣共通感染症リスクを高める可能性がある[57]。
新型コロナの拡大を機に、畜産業の持つ人獣共通感染症リスク[58]への関心が高まった。2020年7月6日に、国連環境計画(UNEP)と、国際家畜研究所(ILRI)が発表したレポート「次のパンデミックの防止-人獣共通感染症と伝染の連鎖を断ち切る方法」は「家畜化された動物種は、人と平均19(5〜31の範囲)の人畜共通感染ウイルスを共有、いっぽう野生動物種は人と平均0.23(0〜16の範囲)ウイルスを共有する」と述べ、家畜種のリスクは野生種よりもずっと高いとして、人獣共通感染症の主要な人為的要因の一つは、「動物性タンパク質の需要の高まり」とそれにともなう「持続不可能な集約畜産」であると述べている。
また2020年10月29日には、IPBES(世界中の研究成果を基に政策提言を行う政府間組織。日本の環境省も年間30万ドルの拠出金を出している)が人獣共通感染症の危険性を指摘する報告書を発表。その中では「食肉消費に対する需要の高まりとグローバル化した食品取引は、土地利用の変化と気候変動を通じてパンデミックリスクを引き起こす」「家畜や家禽の生産の拡大、農場の規模と面積の増加、および敷地内の動物の数の増加により、病原体が人々に伝染する可能性が高まっている」などとされ、その対策として肉税の導入などが提示された[59]。
水不足[編集]
畜産物は野菜、穀物、または豆類よりも著しく水の使用量が多い[60]。その家畜に使われる水の大半が飼料栽培の灌漑(人工的に水を土地に供給すること)農業に使われる灌漑用水である[61]。
2006年、国連環境計画(UNEP)国際地球水アセスメント(GIWA)は、2030年までに17億増える人口を養う水を確保するためには、天水に頼る作物栽培を増やすともに食肉消費も減らさねばならないと発表した。
「An influential study in 2010」によると、1kgの野菜生産に必要な水の量は約322リットルで、果物は962リットル/kgであったが肉生産はそれよりもはるかに多くの水を必要とする。鶏肉は4,325リットル/kg、豚肉は5,988リットル/kg、羊/ヤギの肉は8,763リットル/kg、牛は15,415リットル/kgとなっている。動物生産のために世界全体で、年間約2422Gm3の水(グリーンウォーター(天水)が87.2%、ブルーウォーター(灌漑用水)が6.2%、グレーウォーター(排水)が6.6%)が必要である。この量の3分の1は、肉用牛部門用であり、残りの19%が乳牛部門用である。直接動物用に使われる水は家畜の飲水が1.1%、用水が0.8%、飼料混合水が0.03%であり、水の総量の大部分(98%)は、動物用飼料生産のウォーターフットプリントであるとされる[62]。
また、豆乳、ライスミルク、オーツミルク、アーモンドミルクなどの牛乳代替品と比較すると、牛乳生産における水使用量は、もっとも多いものとなっている。[35]
酸性雨[編集]
アンモニアは畜舎、ふん尿貯留施設などから多量に大気中に揮散する。家畜排せつ物中窒素の10-30%がアンモニアとして揮発し、アンモニアは降雨により地上に戻ると酸性の硝酸に変化することから、酸性雨原因物質の重要な発生起源と指摘されている[63]。工場型の大規模畜産は酸性雨の要因となる[64][65]。
家畜排泄物などによる影響[編集]
家畜糞尿や屠殺場から排出される汚水に含まれるアンモニア・窒素・リン・油・糞便細菌・病原体などが環境汚染の原因となっている[66][67][68][69][70][71][72][73]。
汚染経路はさまざまであり、家畜糞尿によるもの、家畜糞尿を堆肥化した肥料の過剰使用、屠殺場からの廃水排出によるものであったりする。
一年間の家畜排せつ物の量は、世界の全人口の排泄物の2倍に相当し[74]、日本国内だけでも、年間、東京ドームの容積の約75倍に相当する家畜糞便が排出されている[75]。通常、政府はヒトのし尿処理についての厳しい規制を設けているが、家畜排せつ物や屠殺場から出る汚水処理についての規制はそれらと比較して大幅に緩いものとなっており、適切に処理されなかった場合、窒素やリンが水系への富栄養化汚染を引き起こす[74]。2017年に、国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したレポート「農業からの水質汚染」は、急速に成長している畜産業が、水質に「深刻な影響を及ぼしている」と報告する[76]。また、スペイン では100 万人以上が、硝酸塩で汚染された飲料水を飲んでいるが、要因は、畜産場とここから排出される廃棄物だと指摘される[77]。
家畜には多くの抗生物質が投与されるが(日本の場合は抗生物質の2/3が家畜に使用される[78])、一般的に有効成分の30〜90%は摂取後に排泄され、下水処理施設を介して環境に侵入することができる[79]。畜産場の近くの土壌や水には、高レベルの抗生物質や抗生物質耐性菌が見られるという報告や、養豚場の近くにある集落の、感染症や貧血、腎臓病などによる死亡率は、他の地域よりも30%高いという報告がある[74][73]。
また、家畜飼料には増体などを目的として様々な金属が添加されるため[80]、家畜糞堆肥は、重金属汚染の主要な世界的発生源の1つとも考えられている[74]。また、家畜排せつ物から発生するアンモニアは、人間の健康と生態系に重大な影響を与える可能性のある主要な大気汚染物質[81]であり、土壌や水系へも悪影響を及ぼす。そのため、2021年、オランダの財務省と農業省は、家畜によるアンモニア汚染を減らすために、家畜の数を30%削減することを含む提案を作成した[82]。
2021年のレポート[74]によると、大量の肥料を持続可能な方法で管理する方法をサプライヤーに提供している大手食肉会社はなく、タイソン・フーズ、JBS、スミスフィールドといった大手食肉処理場(屠殺場)には、最大許容限度をはるかに超える汚染物質の排出の記録があることがわかった。
家畜糞便由来の窒素は温室効果ガスの一種でもある。2021年12月に発足したオランダの新連立政権は、気候変動対策として、2035年までに250億ユーロ(約3兆3000億円)を投じて家畜頭数を削減し、窒素排出量を抑制する取り組みを支援する意向を示している[83][84]。また2022年7月時点で、カナダ政府も同様の規制を検討している[85]。
また、家畜排せつ物をスラリータンクなどで処理する過程における嫌気性分解では、温室効果ガスであるメタンが生成される[86]。
対策[編集]
養鶏場付近の土壌にはリンが多く含まれ問題となっているが、養鶏場から排出されるリンを飼料を改良することで削減できることがわかった。飼料中のリンはフィチン酸塩として植物中に含まれている。しかし、動物はそれを分解、吸収する事ができず、リンはそのまま排出されてしまう。そこでフィターゼと呼ばれる合成酵素を飼料に加えることで、フィチン酸塩分解を促進させ、家畜体内への吸収をしやすくすることでリンの排出を軽減することができる[69]。
英国最大の卵会社であるノーブル・フーズは、ワイ・アンド・アスク財団(WUF)およびマークス・アンド・スペンサーと共同で環境改善のために湿原を作るプロジェクトを立ち上げた。農地と川の間に湿原を作ることでリンなどの過剰な栄養を閉じ込め、植えられた植物によりリンを消費させ川への流出を軽減する。また、湿原は洪水の軽減やビオトープとしての役割も果たすとしている他、野生の水鳥の誘引を大幅に減らし、鳥インフルエンザの蔓延のを軽減できると予想されている[70]。
薬剤耐性菌[編集]
飼料に添加したり、人工授精時の精液に添加するなど[87]、畜産業では抗生物質が多用されており、世界の抗生物質の66%は家畜に使用されている[88]。
WHOが人間の健康にとって「最優先で極めて重要」(HP-CIA)と分類する抗生物質も畜産動物に使用されており[89]、こういった家畜に成長目的や病気予防目的で多用される抗生物質が耐性菌を産み出す原因になっていると指摘される[90][91][92][93]。
例えばフルオロキノロン系抗菌剤は、大腸菌症の予防・治療のために家禽に広く使用されているが、家禽でのフルオロキノロンの使用がヒトのフルオロキノロン耐性カンピロバクター感染の増加を引き起こしたという理由で、米国FDAは2001年に家禽へのフルオロキノロン承認を1つ取り下げ、2005年にさらにもう1つの承認を取り下げた[94](アメリカ合衆国では1999年の時点でカンピロバクターの54パーセントが耐性菌になっていたといわれている[95])。また、2020年10月に、米国ノースカロライナ州東部の集約的養豚場の下流と上流の8か所から45の水サンプルと45の土壌サンプルを採取して抗生物質耐性遺伝子が行われた結果、すべての水と土壌のサンプルが、少なくとも1つの抗生物質耐性遺伝子に対して陽性の結果を示し、さらに、サンプルの92%は、3つ以上の異なる抗生物質耐性遺伝子に対して陽性という結果であった[96]。
2015~2017年度に実施された厚生労働省研究班の調査では、日本国産の鶏肉の59パーセントから抗生物質耐性菌が検出された。研究班の富田治芳・群馬大教授は「半数という割合は高い」と指摘し家畜や人で「不要な抗菌薬の使用を控えるべきだ」と訴えている[97]。また、2008年から2018年の間に、50%以上の耐性を示す抗菌薬の割合は、豚と家禽で2倍以上に増加している[98]。
EUでは薬剤耐性菌対策として、2022年1月以降、家畜への抗生物質の予防的使用を原則禁止した[99]。
他を家畜化する動物[編集]
ヒトが行う家畜化と同じようなこと、あるいは同じと見えてしまうことを、行っている動物がいる。
アリの仲間には、巣内で他の虫(節足動物)を“飼育”して生産物を採るものがいる。たとえば、クロオオアリは2齢後期のクロシジミの幼虫を育て、アリはその蜜を摂取している。また、インドネシアのボゴール植物園内に棲息するヒメカドフシアリ(カドフシアリ属〈gunes Myrmecina〉の1種)のいくつかの個体群(コロニー)は、蟻客(好蟻性動物)として巣の中に同居するアリノスササラダニ(学名:Aribates javensis ササラダニの一種)を家畜化しているようにも見える。
ただし、これについては発見者自ら異なる見解も示している。詳しくは「家畜化#他を家畜化する動物」内を参照のこと。
野生回帰能力 [編集]
家畜となった動物が人間から手放されても自然界で生きていける能力を野生回帰能力という。家畜化された動物は生まれた時から人間に世話をされているため、自然の中で家畜でない動物より生きていきにくい(例えばアヒルは体色が目立つ白なので天敵に見つかりやすいなど)のは事実だが、現在の地球上で野生回帰能力を完全に失った家畜はカイコのみである[要出典]。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
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