セイヨウミツバチ

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セイヨウミツバチ
セイヨウミツバチ
セイヨウミツバチ Apis mellifera
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: ハチ目(膜翅目) Hymenoptera
亜目 : ハチ亜目(細腰亜目) Apocrita
上科 : ミツバチ上科 Apoidea
: ミツバチ科 Apidae
亜科 : ミツバチ亜科 Apidae
: ミツバチ族 Apinini
: ミツバチ属 Apis
: セイヨウミツバチ A. mellifera
学名
Apis mellifera
Linnaeus1758
和名
セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂)
英名
Western honey bee
European honey bee
亜種

ヨーロッパ北西部

ヨーロッパ南西部

中東

  • A. m. adamii
  • A. m. anatoliaca
  • A. m. armeniaca
  • A. m. caucasica
  • A. m. cypria
  • A. m. meda

アフリカ

セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂、学名: Apis mellifera)はミツバチの一種である。属名である Apis は「ミツバチ」に対応するラテン語である。そして種小名mellifera は「蜂蜜」を意味する melli- と「運ぶ」を意味する ferre から成る。それ故学名は「蜂蜜を運ぶミツバチ」を意味する。学名は1758年カール・フォン・リンネによって命名された。しかし後にこのハチが運ぶのは蜂蜜ではなく花蜜であると理解されたために、以降の出版物には Apis mellifica(蜂蜜を作るハチ)と記載された。しかし国際動物命名規約シノニムの決まりに従って、先につけた名前が優先順位をもつこととなった。

なお本稿では特に断りがない限り、セイヨウミツバチを単にミツバチと表現する。

地理的分布区域[編集]

ヨーロッパを起源に持つ亜種[編集]

アフリカを起源に持つ亜種[編集]

  • Apis mellifera scutellata Lepeletier, 1836 - アフリカミツバチは中央および西アフリカ、現在はハイブリッド種であるアフリカナイズドミツバチ南アメリカ中央アメリカおよび北アメリカ南部に分布している。当初はブラジルで蜂蜜生産を増加させる努力において、ブラジルの遺伝学者であるワーウィック・カーは、1956年ブラジル連邦および州当局によってブラジルの南部でタンザニアからサンパウロ州ピラシカバまで数匹の純粋なアフリカの女王蜂を輸入するよう依頼された。不運なことに一部の女王蜂は逃げた。アフリカの女王蜂は、その地方固有の雄蜂とつがいになり、現在アメリカ大陸のアフリカナイズドミツバチとして知られるようになった。サハラ以南アフリカ南部のミツバチの生き残りのための激しい争いは、この亜種が蜂の巣を守るために既存の巣から、より安全なところに巣と群れを退避すべき理由として与えられる。彼らは蜂蜜貯蔵と防御の習性により多くのエネルギーを費やす。アフリカミツバチはイタリアミツバチと見分けるのが難しい[1]
  • Apis mellifera capensis Eschscholtz, 1822 - ケープミツバチ。南アフリカ原産。
  • Apis mellifera monticola Smith, 1961 - 東アフリカの1,500-3,100mの標高の高い山原産。エルゴン山ケニア山キリマンジャロメルー山
  • Apis mellifera sahariensis Baldensperger, 1932 - 北西アフリカモロッコ砂漠オアシス原産。本亜種は人間以外の殆どの捕食者に向かわなくて、それ故非常に従順である。さらに彼らがコロニーを作るオアシスの周りは花蜜を生じる植物の密度が低いため、乾燥していない地域より遙かに遠く、最高8km(5マイル)蜜を探し回る。蜂の巣が点検のために開かれるとき、本亜種のコロニーがそれほど刺す傾向を見せないまでも、その間彼らは非常に神経質であるという。
  • Apis mellifera intermissa von Buttel-Reepen, 1906; Maa, 1953 - モロッコ、リビアチュニジアといった一般的な北部アフリカ原産。このミツバチは全体的に黒い。彼らはとても獰猛であるが、何もしなければ攻撃しない。彼らは働き者で丈夫であるが、蜂蜜または受粉産業には向いていないという多くの否定的な特性がある。
  • Apis mellifera major Ruttner, 1978 - 北西モロッコリフ山脈原産。このミツバチは茶色の Apis mellifera intermissa である。しかし、解剖学的な違いもある。
  • Apis mellifera adansonii Latreille, 1804 - ナイジェリアブルキナファソ原産。
  • Apis mellifera unicolor Latreille, 1804 - マダガスカル
  • Apis mellifera lamarckii Cockerell, 1906 - エジプトスーダンナイル川付近。このマイトタイプは、カリフォルニア州で確認されることもある[2]
  • Apis mellifera litorea Smith, 1961 - 標高の低い東アフリカ原産。
  • Apis mellifera nubica - スーダン原産。
  • Apis mellifera jemenitica Ruttner, 1976 - ソマリアウガンダ、スーダン、イエメン原産。

中東とアジアを起源に持つ亜種[編集]

生物学とライフサイクル[編集]

左が幼虫、右が卵

温帯においては、ミツバチは「群体」として冬を生き残る。そして春に備えて冬の後半から女王蜂は産卵を開始する。これは日照時間の変わり目によって引き起こされると考えられている。女王蜂はただ1匹の産卵可能な雌で、他のすべてのミツバチを産む。女王蜂が雄蜂と結婚のための飛行を行うとき、あるいは彼女が新しいコロニーを作るために古いコロニーから晩年に去る場合を除き、女王蜂は滅多に蜂の巣から出ない。女王蜂は各々の卵を働きバチによって作成される六角形のセルに産卵する。およそ1週間後に、幼虫は働きバチによってそのセルに封をされて、のステージが開始する。さらに1週間後、蛹は成虫となって出てくる。

最初の10日間は働きバチ(働きバチはすべて雌)は巣の手入れをして、幼虫に餌を食べさせる。この後に彼女らはセルを築き始める。16日から20日目、働きバチは、より古い働きバチから花蜜花粉を受け取り、それを保存する。20日後に働きバチは巣の外に出て花蜜の採取などをして残りの命を全うする。真夏の健康的なハチの巣の個体数は、平均で40,000~80,000匹である。

  • セイヨウミツバチ成虫寿命:女王蜂1-3年(最長8年)、働き蜂・最盛期15-38日、中間期30-60日、越冬期140日、雄蜂21-32日[3]
雄ミツバチの蛹。

ミツバチの巣の幼虫と蛹と、付着している働きバチは、しばしば巣箱の貯蜜枠ごと養蜂家間で売買される。

雄ミツバチの蛹の発育段階

ミツバチは幼虫段階における栄養により分化する。いずれの幼虫も最初の3日間は両方ともローヤルゼリーが与えられる。女王蜂になる幼虫は継続してローヤルゼリーを与えられるが、働きバチになる幼虫は花粉と花蜜または薄められた蜂蜜の食生活に切り替えられる。女王蜂は比較的急速に蛹ステージに発育し、性的に完全に成熟する。幼虫から蛹のステージの間、様々な寄生生物や病原体の被害を受けやすく、中には致死的なものも多い。

女王蜂はハニカム構造の典型的な横型セルでは成長できない。女王蜂のセルは特に大きめに作られて垂直に配置され、王台と呼ばれる。働きバチは年をとった女王蜂が弱ってきていることを察知し、新旧女王蜂の取り替えセルとして知られる緊急セルを構築する。これらのセルは卵または非常に若い幼虫のセルを改築することにより作られる。ハニカム構造の巣の部材からはみ出すように盛り上がるのが特徴である。新しい女王蜂は、取り替えセルで幼虫と蛹の時期を過ごしたのち、巣の下部へ引っ越す。新女王蜂の蛹化の際、働きバチはセルを覆うか、封をする。彼女がセルから出てくる直前に、しばしば甲高い音を聞かせることがある。この音の正体は未だ完全に解明されていない。

ミツバチの群れ - 彼らは保護する蜂の巣をもっていなくて、ミツバチはこの形勢では特に攻撃的なこともなく、容易に捕らえることができる。

働きバチは、繁殖しない雌である。しかしながら、若干の状況、激しいストレスの時にだけ、あるいは女王蜂の損失または怪我によって健康状態の落ちている時だけ、働きバチは無精卵を産むことがある。そしていくつかの亜種において、これらの卵は実は受精している。しかし、働きバチが不完全な雌(性的に未熟)であるときから、彼女らは雄ミツバチと交尾しない。彼女らが産むどのような受精した卵でもすべて半数体である。そして、これらの半数体卵は遺伝子上常に雄ミツバチに発育する。働きバチは、蜂の巣を建築するのに用いる蜜蝋を分泌し、巣の手入れをして、幼虫を成長させて、時に蜂の巣を守って、花蜜と花粉を探し回る。

働きバチの産卵管が変化したものを「毒針」といい、蜂の巣を守るためにこれで(敵を)刺すことが出来る。そしてどんな他ののミツバチと(そして自身の種の女王とも)異なり、針は鋭い。一般に考えられているのとは違い、ミツバチは毒針で刺しても必ずしも死なない。これは、ミツバチが通常、人間や他の哺乳類を刺した後に死ぬという事実に基づく誤解である。針と関連した毒嚢は刺さって失った後(自切)ミツバチの体は変化する。毒針器官はいったん分離されるならば、毒を届け続けるための筋肉組織と神経節を持っている。毒針が弾力のある素材に刺さらない限り毒針のかえしが機能せずこの複合の器官(針のかえしを含む)が脊椎動物による捕食に応じて特に進化したことは推定できる。

雄ミツバチは産卵管を持たないので、当然毒針も持たない。雄ミツバチは花蜜や花粉を探し回るようなことはしない。若干の種において、雄ミツバチは蜂の巣の温度調節に貢献しているという役割を担っているということが推察される。雄ミツバチの主な目的は、新しい女王蜂を受精させることである。複数の雄ミツバチは飛行中、そこにいるどんな女王蜂とも交尾する。そして、各々の雄ミツバチは交尾の直後に死ぬ。受精のプロセスには、致命的なほど急激な努力を必要とするのである。雄ミツバチは遺伝的構造の半数体(一つの対になっていない染色体を持つ)で母である女王蜂だけの子孫である。なので彼らに本当に父はいない。本質的には、雄ミツバチは飛んでいる配偶子と何ら変わりない。 温暖な気候の地域では、彼らは食料を集めるか、蜂蜜を造るか、彼ら自身の体を気をつけることが出来ない時点で、雄ミツバチは通常冬の前に巣から追い払われて、そして寒さと飢餓で死ぬ。

大部分の亜種の女王蜂の平均寿命は、3-4年である。しかし、かつて養蜂のために使われたGerman/European Black Beeの亜種において、女王蜂が最高8年生きたというレポートがある[4]。女王蜂が精子の貯蔵を減少させるので、生命の終わり頃に彼女らはますます多くの未受精卵を生み始める。養蜂家はそれ故毎年か数年おきに、しばしば女王蜂を替えることがある。

働きバチの寿命は、冬期が長く延びた場合に1年の間所々で大幅に変動する。春期に生まれる働きバチは一生懸命働いて、ほんの数週間の寿命を終える。ところがコロニーが冬ごもりして秋に生まれる働きバチは数か月間の間中で寿命を保つ。

女王蜂は蜂の巣の活動を管理するためにフェロモンを放出する。そして働きバチもまた、変化に富むコミュニケーションのためにフェロモンを生産する。

部分的に口を広げるミツバチ

ミツバチは花蜜を集めることによって蜂蜜を生じる。そして花蜜は複合した糖でほぼ80%の水分から構成されている澄んだ液体である。蜜を集める働きバチは花蜜を第2の胃に保管して、蜂の巣に戻る。働きバチは複合した糖をより単純なものにするために酵素を使って、およそ30分の間生の花蜜を消化する。生蜂蜜はそれから、乾かすために空の蜂の巣のセルに広げられる。そして、水分を20%未満に下げる。花蜜が処理されている間、ミツバチは翼で風を送ることで蜂の巣で蜂蜜を造る。一旦乾燥するならば、蜂の巣のセルは蜂蜜を保存するためにミツロウで封をされる。

蜂の巣の蜂が煙を見つけるとき、多くの蜂は攻撃的でなくなる。これは防衛機構であると推察される。野生のコロニーは一般に木の空洞で生活する。そしてミツバチが煙に気づくとき、彼らが山火事から避難する準備をすることは想像に難くない。そして実際そうすることで多くの食物を蓄えとして持ち運ぶ。こうするために彼らは蜂蜜に最も近い蜂蜜貯蔵セルと溝にいく。捕食からの防御が比較的重要でないときから、この形勢では、彼らはすっかり大人しい。可能な限り蓄えることは、最も重要な活動である。

ミツバチの熱調節[編集]

ミツバチは飛ぶために35℃の体温を必要とする。それは群れ内部の温度でもある。蜂児巣(働蜂房)は蜂児を発育させるために長い期間の間同じ温度を必要とする、そして、それは蜜蝋の作成のための最適な温度でもある。

群れの周辺の温度は、外気の温度で変異する。冬の群れにおいて、内部の温度は20-22℃ほどと低くなっている。

主にミツバチは飛翔筋の温度を管理するための生理的仕組みがあるので、彼らは30℃を超える気温の中でも花蜜を探し回ることが出来る。非常に低くから非常に高い気温まで、連続したメカニズムは飛行の前から体が震えていて飛行を止めても、さらに震えている。維持される体温は期待される探し回っている見返りに従い、そして階級上で異なる[5]。最適な飛行時の気温は22-25℃である。むしろ大きな飛翔筋は冷まさなければならない熱を引き起こす。ミツバチはその口を通して放熱するために、蒸発冷却の形態を使用する。暑い状況下で胸部からの熱は頭部を通して放散させる。ミツバチは熱い体内の流体―収穫した花蜜のしずく―を逆流させ、それにより速やかに頭部の温度を10℃冷やす[6]

ミツバチは7-10℃では寒さにより静止する。反対に38℃を超えるとミツバチの活動は熱により減速する。ミツバチは50℃までなら短時間の間であるが耐えることが出来る。

女王蜂[編集]

ピーナツのような王台は外側に働蜂房から広げられる。

定期的にコロニーは、新しい女王蜂が必要であると結論を下す。それには3つの一般的な引き金がある。

  1. コロニーのスペースが圧迫される。蜂の巣が蜂蜜で満たされ、卵のための残りの空間が殆どない。 - この場合新しいコロニーを創立するために年をとった女王蜂が働きバチのおよそ半分を連れて出て行く。古いコロニーは新しい女王蜂が継続する。
  2. 年をとった女王蜂の失脚 - これは女王フェロモンの減少で蜂の巣中いたるところで認められる。新旧女王蜂の入れ替わりである。入れ替わりの終わりに年をとった女王蜂は通常、死ぬ。
  3. 女王蜂の突然死 - これは非常時の入れ替わりである。働きバチはいくつかの卵または幼虫を正しい年齢の範囲で見つけて、女王蜂として発育させようとする。非常時の入れ替わりは、女王蜂セルがフレームの底から突き出ているよりはむしろ、蜂児コームの規則的なセルから外側へ築かれるので通常外から確認することが出来る。

3つの引き金に関係なく、働きバチは女王蜂が幼虫にローヤルゼリーを与え続けることで発育させる。これは蛹として長期の成熟を誘発する。

新しい女王蜂が出てくるとき、女王蜂は他の未だ成虫になっていない王台(女王蜂セル)を探して幼い女王蜂を殺すことを一般的に考える。2匹の女王蜂が同時に出てきたときは、彼女らはどちらか一方が死ぬまで戦う。最近の研究はしかし、Apis mellifera のコロニーが蜂の巣の10%で2匹の女王蜂を共に維持するであろうことを示した。これが起こるメカニズムは未だ解っていない。しかし Apis mellifera のいくつかの南アフリカの亜種でしばしば発生することが報告された。とにかく女王蜂は独自のフェロモンの複合体の放出を通して働きバチの制御を行うことで影響力をアピールする。蜂の巣、およびその周辺の数日間の待機の後、若い女王蜂は異なる蜂の巣から雄ミツバチが渦巻いていて大量に集まる傾向がある地面より、およそ9.1m(30フィート)上空の空き地へ飛ぶ。雄ミツバチは女王蜂の匂いによって彼女の存在を感知し、そして視力によって彼女を見つけて空中で彼女と交尾する(もし雄ミツバチらが女王蜂フェロモンが塗られた偽物を見つけた場合、雄ミツバチは偽の女王蜂と交尾しようとすると思われる)。女王蜂は複数回交尾して、貯精嚢がいっぱいになるまで続けて数日間交尾し、一旦去る。

女王蜂は健康的なコロニーですべての卵を産む。産卵する量とペースは天気と資源の有用性によって、そしてミツバチの特定の種の特徴によって支配される。女王蜂は一般に初秋から産卵を開始することが遅れ始め、冬の間は産卵を停止することになる。産卵は通常、日がより長くなり始める晩冬の頃すぐに再開する。一般に産卵することは春期にピークを迎える。産卵期の頂点に、女王蜂は1日につき2,500個以上の卵を産む。それは女王蜂の体重より重い重量になる。

女王蜂は各々の卵を受精させ、それが貯精嚢から保存された精子を使って産まれている。女王蜂は時に卵を受精させないことがある。これらの卵は女王蜂または働きバチの半分の遺伝子があるだけで、雄ミツバチに発育させる。

ゲノム[編集]

セイヨウミツバチはミバエの後、3番目にゲノム分析が行われた。その遺伝子暗号分析した科学者によると、ミツバチはアフリカに起源が求められ、2回の古代の移動によってヨーロッパまで伝播した[7]。彼ら研究者はミツバチの嗅覚に関した関連した遺伝子が味覚に対するものより多いことも発見している。そしてミツバチは免疫のために、ミバエと蚊より少ない遺伝子を持っている[8]。ゲノム配列は、遺伝子、特に24時間周期のリズムに関した遺伝子の複数のグループが他の昆虫より脊椎動物に近いことを明らかにした。酵素に関連した、他の遺伝子を制御する遺伝子も、脊椎動物に近かった[9]国際ミツバチゲノム解読コンソーシアム英語版はセイヨウミツバチのゲノムの完全な配列決定・分析を行い、その結果を2006年10月26日付けネイチャー誌に発表した[10]

ミツバチフェロモン[編集]

生命の殆ど全ての習性のために、ミツバチは特別なフェロモンまたは化学的コミュニケーションを使う。そのような用途は交尾、警戒、防御、配置、親類とコロニー認知、食糧生産とコロニー活動の統合など多岐にわたる。フェロモンは、このようにミツバチにとって生き残りのために不可欠である。

ミツバチのコミュニケーション[編集]

A l朽ちた木の幹の大きなミツバチの群れ。

ミツバチが豊富で大部分の人になじみがあるので、ミツバチは振る舞いに関して学習する優れた動物である。毎日無視される動物は、通常の人に気づかれることなく非常に特有の振る舞いをする。カール・フォン・フリッシュはコミュニケーションに関してミツバチの習性を研究して、1973年ノーベル生理学・医学賞を与えられた。フォン・フリッシュはミツバチがダンスを言語としてコミュニケーションすることに気づいた。ミツバチは円形ダンスと8の字ダンスを舞うことで、食物源に仲間のミツバチを向かわせることが出来る。円形ダンスは蜜源が蜂の巣の32メートル以内にあると、仲間に知らせるが方角に関する詳細は伝わらない。8の字ダンス(それは垂直かもしれないし、水平かもしれない、蜜源の位置によって変わる。)は円形ダンスより蜜源が遠くにある場合に使用する[11]。一旦蜜源探し役の働きバチがダンスによって方角を与えられたなら、ミツバチが蜜源探しの補助に嗅覚に頼るとも仮定される。

養蜂[編集]

女王蜂(胸部の黄色の点は、女王を見つける際に、養蜂家によって補助的に加えられた。

ミツバチは、養蜂家によってしばしば維持管理がなされて、給餌され、時に輸送される群体昆虫である。ミツバチは個々にではなく、むしろコロニーの一部として生き残る。コロニーは超個体(社会性のある動物の群落)としてしばしば言及される。

ミツバチは花蜜を集めて、それを蜂蜜に変えて蜂の巣に保管する。花蜜はミツバチの胃で運搬されて、様々な消化酵素の添加を通して、、そして「蜂蜜セル」に保存され、部分的に乾燥することで蜂蜜に変わる。花蜜と蜂蜜は、ミツバチ飛翔筋のために、そして冬期の間蜂の巣を暖めるエネルギーにも成る。ミツバチはミツバチ蜂児が成長するのに必要なタンパク質と脂肪を供給するために花粉を集める。人間が何世紀にもわたって品種改良をしたことで、コロニーが必要とするよりはるかに多くの蜂蜜を生じるミツバチが造られた。

養蜂家は蜂蜜を集めるのが主な仕事である。養蜂家はコロニーが生きて、蜂蜜を保存する場所を提供した。養蜂箱には7種の基本的な形態がある。スケップ、ラングストロース、トップバー、ボックス、ログガム、D.E.、ミラーである。全米のすべての州は、病気による蜂児をチェックするため、ミツバチ監査役の検分を可能にするために可動フレームを使用することを養蜂家に要求する。養蜂箱の形態の内ラングストロース、トップバー、D.E.は自由に使うのを許可される。しかし他のタイプの養蜂箱は特別な許可―たとえば博物館使用のため―を必要とする。

現代的な養蜂箱でもミツバチを輸送することができる。そして、野原から野原へと移動する。養蜂家が新しい場所で授粉することが可能になるよう授粉サービスがあって、彼らが用意した授粉サービスの費用を請求することができる。

寒い気候の中で、一部の養蜂家は、冬の間養蜂箱を屋内に移動することでコロニーを存続させることができる。これによりコロニーの外の極端な気温の低下から保護することが出来て、より養蜂家に都合がよい冬の保護と給餌ができる。一方ミツバチがノゼマ病による赤痢に感染する危険が増加し、そしてミツバチの呼吸から過度の二酸化炭素の蓄積ができる。近年ではカナダの養蜂家によって冬の間不純物を取り除かれた。彼は冬を過ごすミツバチのために大きな納屋を築いた。オートメーション化された換気システムは二酸化炭素の制御に貢献した。

ミツバチの利用[編集]

受粉[編集]

ミツバチの主要な商業的価値は農作物の収穫をより確実にするために受粉をさせる花粉の媒介者(送粉者)としてである。かつての農業では養殖ミツバチに頼らず自然界に生息するミツバチを含む媒介者により受粉は行われていた。しかし、農場の周囲環境の悪化から野生の送粉者は減少した。このような状況下で、人間は栽培効率とより多くの収穫を求めた結果、農作物の生育環境は閉鎖環境(ビニールハウスなど)や広大な土地に単一の作物を作付けした農場へと変化し、もともとミツバチの生育していない地域をも栽培地として選定したことで、多くの媒介者が必要とされている。世界のいくつかの地域では、授粉不足は移動性の養蜂によって補われる。ヨーロッパや北アメリカなどの高緯度の場所ではミツバチに冬を過ごさせることは難しいか不可能である。従って、低緯度の温暖な地域で越冬を行い、蜜源植物や作物の開花時期に合わせ高緯度地域へ移動していく。

例として、カリフォルニア州で、その地方特有の蜂の巣が個体群を確立する前、成長する時期の初期である2月にアーモンドの授粉が起こる。アーモンド果樹園は最大産出量のために1エーカーにつき2つの蜂の巣を必要とする。そして授粉はより暖かい気候からの蜂の巣の輸入に依存している。2月と3月に行われるアーモンドの授粉は、授粉としては世界で最大規模である。アメリカ合衆国内で全てのミツバチの3分の1以上を必要とする。ミツバチの大規模な授粉はニューヨーク州ミシガン州ワシントン州リンゴのためにも用意される。そしてブルーベリーに授粉することのミツバチの非効率性にもかかわらず、彼らが比較的簡単に移動できる唯一の授粉者であるために需要が集中した。そしてブルーベリーの他に他の単一栽培が作付けするのでメイン州の方にも大量の蜂の巣が移動された。

蜂蜜[編集]

蜂蜜は植物と木からの花蜜が集められて変更が加えられてミツバチによって蜂の巣に保管されるとき造られる複合体の物質である。蜂蜜は転化糖ブドウ糖フルクトースから構成される。それは抗菌性抗真菌性特性をも持ち、通常の状態で保存されるときは腐敗発酵もしない。しかし蜂蜜は時がたつにつれて結晶化する。結晶化した蜂蜜は人間が使用する分には別に損害を受けるわけでもなく、どんな形であれ不完全ではない。しかしミツバチは液体の蜂蜜のみを使うことが出来るため、結晶化した蜂蜜は巣から除去して、捨てる。

蜜蝋[編集]

特定の年齢の働きバチは、一連の腺から腹部の上で蜜蝋を分泌する。彼らはワックスを巣の壁や覆いを造るために使用する。蜂蜜が集められるときにワックスはかき集めることが出来る。ロウソクや封印のような様々なワックス製品で使われる。

花粉[編集]

ミツバチは花粉かごで花粉を巣に運ぶ。

ミツバチは花粉かごに花粉を集めて、蜂の巣にそれを戻しておく。蜂の巣では蜂児の面倒を見る間、花粉がタンパク源の必需品として使われる。特定の環境では、たくさんとれた花粉が蜂の巣から集められることがある。それは健康補助食品としてしばしば食される。

プロポリス[編集]

プロポリスはミツバチが木の芽、樹液または他の植物源から集める樹脂の混合物である。それが蜂の巣の不必要に開いたスペースのための密封剤として使われる。健康補助食品としてしばし食用されるが、人によってはアレルギー反応を引き起こす可能性がある。

ローヤルゼリー[編集]

ローヤルゼリーは幼虫の栄養で使われるミツバチの分泌物である。健康補助食品としてしばし食用とされるが、、プロポリスと同じく人によってはアレルギー反応を引き起こす可能性がある。

ミツバチ生き残りの危険[編集]

北アメリカとヨーロッパの個体群はミツバチヘギイタダニ来襲によるバロア病によって1990年代初期にひどく減少した。そして米国の養蜂家は2006年2007年にさらに蜂群崩壊症候群に冒された[12] 。ミツバチヘギイタダニに対する化学処置は大部分の営巣活動を保存して、改善した。新しいミツバチの種類は、養蜂家によるダニ駆除剤への依存を減らし始めている。野生のミツバチ個体数はこの期間中、大いに減らされたが、自然淘汰のためにミツバチヘギイタダニへの抵抗と再個体群によって抵抗する種類によって徐々に回復してきている。さらにミツバチがラベルに違反して殺虫剤が使用されたことで、さまざまなミツバチ有害生物と病気(例えばアメリカ腐蛆病気管ダニ、ミツバチヘギイタダニ)に対して耐性を示している間にもミツバチ個体数も減少した。

環境的危険[編集]

北アメリカではアフリカナイズドミツバチアメリカ合衆国南部に広がった。その生命力の高さから養蜂にも使われているが、アフリカナイズドミツバチは攻撃性・毒性が高く、潜在的に危険な養蜂を引き起こす可能性がある。

アフリカナイズドミツバチがそもそも固有でない場所においては、侵略的外来種として、かなりの環境問題となっている。

日本におけるセイヨウミツバチ[編集]

日本では古くは紀州藩によるニホンミツバチの養蜂がおこなわれてきた。しかしその後、採取できる蜜の量が多いこともあり、日本では明治時代に導入されたセイヨウミツバチがもっぱら使われてきた。ニホンミツバチは山間部などで細々と飼育された。セイヨウミツバチは天敵であるオオスズメバチへの対抗手段を持たないこともあり、野生化はしなかった。ところが近年、セイヨウミツバチの大量失踪という現象がおこり、日本の気候に適した、寒さや害虫に強いニホンミツバチの養蜂が見直されつつある[13][14][15]。セイヨウミツバチの繁殖力と蜜の採集能力の高さとニホンミツバチの日本の気候に適した、寒さや害虫に強い能力に注目し、セイヨウミツバチ(A. m. ligustica 及び A. m. iberiensis)とニホンミツバチ(Apis cerana japonica)を掛け合わせて、日本での養蜂に適した品種作りも検討されている。

脚注[編集]

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  1. ^ Behavioral Studies of Learning in the Africanized Honey Bee (Apis mellifera L.)(有料)
  2. ^ [1]
  3. ^ 畜産ZOO鑑「ミツバチのデータ」
  4. ^ http://genomics.senescence.info/species/entry.php?species=Apis_mellifera
  5. ^ Heinrich, Bernd; Bee World 77:130-137 (1996)
  6. ^ Heinrich, Bernd; Science Vol 205 pages 1269-1271 (1979)
  7. ^ Whitfield, CW; Behura SK, Berlocher SH, Clark AG, Johnston JS, Sheppard WS, Smith DR, Suarez AV, Weaver D, Tsutsui ND (Oct 27 2006). “Thrice out of Africa: ancient and recent expansions of the honey bee, Apis mellifera”. Science 314 (5799): 642–5. doi:10.1126/science.1132772. PMID 17068261. 
  8. ^ Honeybee Genome Sequencing Consortium (Oct 26 2006). “Insights into social insects from the genome of the honeybee Apis mellifera”. Nature 443 (7114): 931–49. doi:10.1038/nature05260. PMID 17073008. 
  9. ^ Wang, Y; Jorda M, Jones PL, Maleszka R, Ling X, Robertson HM, Mizzen CA, Peinado MA, Robinson GE (Oct 27 2006). “Functional CpG methylation system in a social insect”. Science 314 (5799): 645–7. doi:10.1126/science.1135213. PMID 17068262. 
  10. ^ WEB FOCUS Honeybee genome”. Nature (2006年10月26日). 2009年8月24日閲覧。
  11. ^ 「ミツバチはダンスで情報伝達」をレーダー実験で立証”. WIRED.jp (2005年6月20日). 2009年8月23日閲覧。
  12. ^ Lovgren, Stefan. "Mystery Bee Disappearances Sweeping U.S." National Geographic News. URL accessed 2009年8月23日.
  13. ^ 菅原道夫. “セイヨウミツバチとニホンミツバチ”. 2009年8月24日閲覧。
  14. ^ 菅原道夫. “ニホンミツバチとスズメバチ”. 2009年8月24日閲覧。
  15. ^ ニホンミツバチを飼育せよ セイヨウミツバチ大量失踪に対応”. Fujisankei Business i (2009年8月10日). 2009年8月24日閲覧。

参考文献[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]