ニホンミツバチ
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ケブカスズメバチに偵察されているニホンミツバチの巣 | ||||||||||||||||||||||||
| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Apis cerana japonica Radoszkowski, 1877 | ||||||||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||||||||
| ニホンミツバチ | ||||||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||||||
| Japanese honeybee |
ニホンミツバチ(学名: Apis cerana japonica, 英語: Japanese honeybee)は日本に生息するトウヨウミツバチの亜種。
現在では、野生捕食者の不在を受け、都市部への分布拡大が見られている[1]。
ニホンミツバチはトウヨウミツバチで一般的なジャワミツバチヘギイタダニに対し強い抵抗性を有する[2]。異常気象にも適応し、飛行距離が長く、またセイヨウミツバチより人を刺しにくい傾向が見られる[3]。キンリョウヘンの放出する信号物質3-ヒドロキシオクタン酸を認識する[4]。
起源
[編集]従来、ニホンミツバチの祖先は、ミトコンドリアDNA解析から、朝鮮半島から対馬を経由して日本へ渡り、約2万年前、海面上昇による日本・対馬と朝鮮半島の分断と同時期に日本と朝鮮半島産ミツバチの遺伝的分化が生じたと考えられてきた[5]。しかし、上の自然分布説は、分子時計仮説の適用に問題がある他、そもそも最終氷期の最寒冷期においてさえ朝鮮半島と対馬は陸橋でつながっていなかったこと、仮につながっていた場合ミツバチの南下が対馬で止まったことを合理的に説明できないことなどの問題点が指摘されている。 現在は古文献・古記録の綿密な調査分析から、ニホンミツバチの祖先は文禄・慶長の役の際に、紀州の尾呂志孫次郎や薩摩・大隅の島津義弘によって朝鮮人養蜂技術者とともに朝鮮半島から持ち帰られたものだとする人為導入説が有力に唱えられている。 日本書紀を除き、朝鮮出兵以前の文献に「蜜蜂」と記されていた生物はマルハナバチやクマバチだったことが明らかにされる一方、ミツバチについての記述が見当たらないこと、大和言葉に蜜を意味する語が存在しないことなどから、そもそも日本にミツバチは分布していなかったと考えられ、そのため現在の研究者は、家畜のセイヨウミツバチとの対比でニホンミツバチを紹介する際には「野生種, wild」という表現を用い、「在来種, native」という表現は避ける傾向にある。[6][7]。
防御行動
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スズメバチまたは他種のミツバチが巣を偵察し、フェロモンを塗り付けている場合、ダンス行動をとりつつ巣の入り口に植物物質を塗り付ける。ダンス行動によって緊急事態だと告げられると、ミツバチは近くから植物を集める。この際植物の質感、色、部位は問われない。その後ハチは巣の入り口に行き、集めた植物を噛んで植物生体液を入り口に塗り付ける。
ニホンミツバチに限らずトウヨウミツバチ一般は、スズメバチ相手に蜂球による防御行動を見せる。[8]。
スズメバチが巣に侵入すると、数百匹のミツバチが球状に取り囲み、外部と完全に遮断することで効果的に対処できないようにする。ミツバチは巣が寒い時と同じように飛翔筋を動かす。これによって温度が致命的な46℃に達する[9]。ミツバチの奮闘によって二酸化炭素(CO2)濃度も同時に上昇する。高CO2条件下で、ミツバチは50℃まで生存可能だが、スズメバチは46℃で絶命してしまう[10][11]。何匹かのミツバチはスズメバチと共に死んでしまう(特に針を用いた場合)が、斥候を殺すことで巣全体を破滅させるような増援の到来を防ぐ[12]。
最近の研究ではニホンミツバチとオオスズメバチは、実際には捕食者と被食者の「かくれんぼ」関係にあることが示唆されている。ツマアカスズメバチ、ツマグロスズメバチ、キイロスズメバチ、オオスズメバチといった天敵のスズメバチが巣入口に近づくにつれミツバチの羽ばたきはより大きく力強くなり、たいていの場合羽音を聞いたスズメバチは逃げ去るという観察結果はこの考えを支持している。スズメバチが更に接近する場合はミツバチ側も羽ばたきを速め、警告を強める。スズメバチが巣に侵入するとミツバチは羽ばたきをさらに強め、蜂球を形成して体温を上昇させる[13]。
養蜂
[編集]日本の養蜂家はセイヨウミツバチの高い生産性に惹かれ、同種を日本に導入しようと試みた。しかしながら、セイヨウミツバチはオオスズメバチに対し抵抗する術を持たないため、スズメバチによってコロニーが破壊されてしまう[8]。オオスズメバチとともに進化してきたニホンミツバチはスズメバチに対する抵抗戦略を多く有しており、それゆえ日本国内で養蜂に利用される。
巣
[編集]10から15リットル程度の空洞にしばしば不規則な蜂房が形成される。新しい巣に移る前、古い巣を解体する[3]。セイヨウミツバチでは働き蜂が時に5万匹に達する一方、ニホンミツバチのコロニーでは最大で6,000から7,000匹程度となる。
送粉
[編集]ニホンミツバチは絶滅危惧種のランであるカンランおよびシュンランの送粉を担う。両種はハチが集める蜜を持たず、代わりにフェロモンを放出してハチをおびき寄せ、送粉の役割を担わせる[14]。
ダンス
[編集]他の多くのミツバチと同様、ニホンミツバチはダンスで仲間に「有効な花」の場所を知らせる。しかし他種とは異なり、ダンスによってプロポリスの位置を伝えることはない[15]。
ニホンミツバチは巣がスズメバチや他の競合種に偵察された際、短いダンスでそれを伝えるとともに巣に植物生体液を塗り付けて防御態勢をとる。
脚注
[編集]- ↑ Sugawara, Michio (2000). “Feral colonies of Japanese honey bees, Apis cerana japonica and their life history. 2. Natural nests and swarming.” (Japanese). Honeybee Science (Japan) 21 (#1): 35–39. ISSN 0388-2217. オリジナルの19 May 2009時点におけるアーカイブ。 2009年5月5日閲覧。.
- ↑ Takenaka, Tetsuo; Takenaka, Yoko (1995-08-21). “Royal Jelly from Apis cerana japonica and Apis mellifera”. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry) 60 (#3): 518–520. doi:10.1271/bbb.60.518. PMID 27299558.

- 1 2 Park, Doori; Jung, Je Won; Choi, Beom-Soon; Jayakodi, Murukarthick; Lee, Jeongsoo; Lim, Jongsung; Yu, Yeisoo; Choi, Yong-Soo et al. (2015-01-02). “Uncovering the novel characteristics of Asian honey bee, Apis cerana, by whole genome sequencing”. BMC Genomics 16 (1): 1. doi:10.1186/1471-2164-16-1. ISSN 1471-2164. PMC 4326529. PMID 25553907.
- ↑ Sugahara, M; Izutsu, K; Nishimura, Y; Sakamoto, F (2013). “Oriental orchid (Cymbidium floribundum) attracts the Japanese honey bee (Apis cerana japonica) with a mixture of 3-hydroxyoctanoic acid and 10-hydroxy- (E)-2-decenoic acid”. Zoological Science 30 (#2): 99–104. doi:10.2108/zsj.30.99. PMID 23387843.
- ↑ 高橋純一、吉田忠晴「ミトコンドリアDNAからみたニホンミツバチの起源」『ミツバチ科学』第24巻第2号、玉川大学、2003年6月30日、71–76頁、ISSN 0388-2217、2023年11月3日閲覧。
- ↑ 吉田, 宗弘「江戸時代より前に国産蜂蜜は存在しなかったかもしれない」『食生活研究』第44巻第3号、食生活研究会、2024年3月30日、149–157頁、ISSN 0288-0806。
- ↑ 久世松菴; 東繁彦『全訳 家蜂蓄養記 : 古典に学ぶニホンミツバチ養蜂』農山漁村文化協会、2023年。ISBN 9784540231445。
- 1 2 Piper, Ross (2007), Extraordinary Animals: An Encyclopedia of Curious and Unusual Animals, Greenwood Press
- ↑ Baker, Mike (2020年5月3日). “Murder Hornets vs. Honeybees: A Swarm of Bees Can Cook Invaders Alive”. The New York Times 2020年5月4日閲覧。
- ↑ Sugahara, M; Sakamoto, F (September 2009). “Heat and carbon dioxide generated by honeybees jointly act to kill hornets”. Naturwissenschaften 96 (#9): 1133–1136. Bibcode:2009NW.....96.1133S. doi:10.1007/s00114-009-0575-0. PMID 19551367.
- ↑ “Honeybee mobs overpower hornets”. BBC News. (2009年7月3日) 2010年4月25日閲覧。
- ↑ “Defensive Adaptations: Heat Tolerance As A Weapon”. Bio.davidson.edu. 2013年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月18日閲覧。
- ↑ Tan, Ken; Wang, Zhenwei; Li, Hua; Yang, Shuang; Hu, Zongwen; Kastberger, Gerald; Oldroyd, Benjamin P. (April 2012). “An 'I see you' prey–predator signal between the Asian honeybee, Apis cerana, and the hornet, Vespa velutina”. Animal Behaviour 83 (#4): 879–882. doi:10.1016/j.anbehav.2011.12.031.
- ↑ Tsuji, Kaoru; Kato, Makoto (2010). “Odor-guided bee pollinators of two endangered winter/early spring blooming orchids, Cymbidium kanran and Cymbidium goeringii, in Japan”. Plant Species Biology 25 (#3): 249–253. doi:10.1111/j.1442-1984.2010.00294.x.
- ↑ Fujiwara, Ayumi; Sasaki, Masami; Washitani, Izumi (March 2018). “First report on the emergency dance of Apis cerana japonica, which induces odorous plant material collection in response to Vespa mandarinia japonica scouting”. Entomological Science 21 (#1): 93–96. doi:10.1111/ens.12285.
外部リンク
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