シノニム

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シノニム(synonym)とは、同意語、別名のこと。まれに類語を含むこともある(英語のsynonymは類語を含む)。省略して「Syn.」と表記されることもある。

一般的にはあまり使われない言葉であるが、生物の分類情報処理においては重複や競合の意味を含んで使われる。これらの分野では、まず、類語の意味は持たず、専ら同意語、別名の意味で使われる。

生物の分類でのシノニム例[編集]

ある同一と見なされた生物分類群に付けられた学名が複数あるとき、これらはシノニムであるという。シノニムを和訳した「異名」(旧訳では同物異名)という語が使われることもある。例えば、アサガオの学名にはIpomoea nilPharbitis nilがあり、これらはアサガオという1種を指す二つの名、すなわち片方はもう片方の別名であり、相互にシノニムの関係にある。しかし有効な学名は1つしか認められないので、基本的に先につけられた名(古参異名・先行異名/古参シノニム・先行シノニム)が有効になり、後からつけられた名(新参異名・後行異名/新参シノニム・後行シノニム)は無効となる。しかし実際にはこのような単純な例ばかりではなく、複数の学名が指すものが本当に同一種であるかどうかといった分類学的な意見の相違などもあり、どのシノニムが有効かが研究者によって意見が異なる場合もある。

シノニムの成立過程には2通りの場合がある。

同タイプ異名(homotypic synonym)
動物命名規約と細菌命名規約では「客観異名」(objective synonym)、植物命名規約では「命名法上の異名」(nomenclatural synonym)とも呼ばれる。同じタイプ標本に対して新たな名前が再命名されることにより生じるシノニム。同じ物に対する複数の名前であることは異論の余地はない。
以下のような例がそれにあたる。
  • 既に新種記載されているのを知らずに、あらためて記載してしまった。
  • 先につけられていた名前が別種のホモニムだと判明し、別名をつけた。
  • 種内の変異を亜種変種と判断して記載したが、後に独立種に昇格した。
異タイプ異名(heterotypic synonym)
動物命名規約と細菌命名規約では「主観異名」(subjective synonym)、植物命名規約では「分類学上の異名」(taxonomic synonym)とも呼ばれる。元々異なるタイプ標本に対して命名された名前が、それらのタイプ標本が同じ種類だと判断されることにより生じるシノニム。同じ物に対する名前であるかどうかは研究者の立場により判断が分かれる。
以下のような例がそれにあたる。
  • 別種と判断して記載した種が、後の見直しで同種であると見なされた。
  • 種内の変異を亜種変種と判断して記載したが、それが分ける必要なしと判断された。
  • 分類体系の見直しで、属名が変更された。アサガオはこれに当たる。
最後の例では、アサガオという種のタイプ標本は同じ物だが、Ipomoea属のタイプ標本とPharbitis属のタイプ標本が同じと判断されたため生じたシノニムなので、異タイプ異名となる。

関連項目[編集]

情報処理でのシノニム例[編集]

ハッシュ関数の結果[編集]

あるデータに対して何らかの変換関数(ハッシュ関数という)を適用して、そのデータに対するレコード位置(アドレスなどでもよい)を対応させることにする。このとき、別々のデータに対して同じレコード位置が対応する場合、「シノニムが生じる」などという。

例えば、データ「1,5,7,12,13」があり、データ値に対応するレコード位置を求める関数を「データ値を11で割った余り」ということにする。

データ レコード位置
1 1
5 5
7 7
12 1
13 2

この例でデータとレコード位置を表にすると上の通りである。

データが1と12のどちらもレコード位置が1になってしまっている。これを「データ1と12で(レコード位置の)シノニムが生じる」などという言い方をする。情報処理においては、シノニムが生じた場合の処理、もしくはシノニムをそもそも発生させない処理方法を予め考えておくことは必須である。

業務分析・システム要件定義[編集]

システム化のための業務分析の過程で、例えば「売上」と「収益」など同じ意味で別の言葉が使われているものを、シノニムとして同定して排除する(システム上は一方の用語のみを使用するよう定める)作業が行われるのが一般的である。

関連項目[編集]

  • ソフトリンク - 主にファイルシステムにおけるシノニム。
  • Oracle Database - Oracle Databaseにおいて他のスキーマオブジェクトを参照するオブジェクトをシノニムと呼ぶ。日本語環境では「別名」と表現される。