バーベキュー

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バーベキュー: barbecue: barbeque (米、一部のレストランなどに限る))とは、豆炭などの弱火によって野菜魚介類などをじっくり焼く料理、もしくは煙で燻すその調理法や行為を指す[1]。定義では、半日以上じっくりと火を通したの丸焼きなどを指す。短時間の直火だけで肉を焼き食す行為はグリル英語: grill)となる。

語源は、西インド諸島の先住民であるタイノ族の肉の丸焼き用の木枠(直火に当たらないように生木で組んだプラットフォームを使った調理法)を指す言葉(バルバコア)が、「丸焼き」を意味するスペイン語barbacoaに転化したもの[1][2]英語圏ではBBQ(cueがQに置き換わる)やB.B.Q.Bar-B-CueBar-B-Qと略されることがある。

レストラン厨房での調理風景
豚のリブ
レストランの典型的なプレート(プルドポーク、チリビーンズ、テキサストースト)
典型的なプレート(リブ、ビーンズ、ポテトサラダ)

概要[編集]

豚やリブや牛のブリスケットなどの柔らかくない肉を、蓋を閉めるなどして90~115℃程度の比較的低温で数時間から1日かけて、蒸し焼きにし、骨から簡単にとれるほど柔らかくなるまで調理した物をいう。

調理時には煙や匂いが大量に出るため、専用の設備や換気装置の煙突などがない場合は、たいてい野外で行なわれる。自宅のベランダバルコニー以外に、キャンプ場海岸辺、公園などで行うのが一般的で、またそういった調理と食事を野外で楽しむ行事自体も「バーベキュー」と呼ばれる。アメリカでは年間数百ものバーベキューコンテストがある。調理には時間がかかるので、開催期間は2日間も催される。自宅の庭や、河川の傍やキャンプ場の付近などのレジャーへの外出先で調理を行うことが多い。

歴史[編集]

16世紀、クリストファー・コロンブスはカリブ海のある島を「ヒスパニオラ」と名付けたが、後にこの島に上陸したスペインの探検家が先住民のタイノ族が直火に当たらないよう生木で組んだプラットフォームを使って調理しているのを見たことに由来する[2]。ただし、このような調理法が先住民が古くから行っていたものなのかアメリカ大陸に持ち込まれた調理法なのかはよくわかっていない[2]。同様の調理法は1540年にミシシッピ地域を訪問した探検家・エルナンド・デ・ソトによるチカソー族の豚肉の調理の記録にもみられるといわれている[2]

しかし、バーベキューが頻繁に行われるようになったのはバージニア植民地が建設されてからである[2]。豚肉や牛肉はヨーロッパから新大陸に持ち込まれた[2]。ノースカロライナのヴィネガーベースのソースはイギリスからの移民によってもたらされた[2]。また、サウスカロライナのマスタードベースのソースはフランスやドイツからの移民によってもたらされた[3]

バーベキューを料理する人物のことを「ピットマスター」と言う。アメリカ合衆国の植民地時代には主にアフリカ大陸からの黒人奴隷が実際の調理を務めていた[4]。奴隷解放後、彼らの北上の流れとともにバーベキューの技術は北部にも広まった[4]。また、鉄道や運河の開発とともに西部にもバーベキューは広まった[4]

20世紀には商業的なバーベキューが始まり、イベント会場でのバーベキューやそれを常設化したレストランが登場し米国で一大ブームが到来した[4]。1920年代には家庭用グリルやチャコール・ブリケットが市場に売り出されるようになった[4]

第二次世界大戦後、米国では木炭の不足により下火になったが、1970年代には再びバーベキューの文化が復活した[4]

手法[編集]

複数のテクニックがあり、単一の調理器具を使用する場合でもこれらの使い分けで多彩な調理を行う事が可能である。

  • 直火焼き - 網などの上に置いた食材を直接加熱する。または炭を事前にグリルの片側に寄せるなどして加熱する。
  • 燻製 - 煙を出す木材を併用して独特の風味を付ける。
  • ロースト - 放射熱など、熱した空気で間接的に加熱する。一般的なアメリカン・バーベキューはこの方法を取る。
  • 遠火焼き - 川魚などを主に赤外線によって焼く。

また、主に川魚でに刺して焼く事があり、これは「串焼き」とも呼ぶ。

味付け[編集]

肉類の味付けとして用いられるソースは、特にバーベキューソースBBQソース)と呼ばれ、トマトケチャップウスターソース、果汁類、ニンニクショウガなどの様々な材料を混ぜ合わせて作られるが、市販品も多数売られている。 食材にソースやスパイス・ラブ英語版を塗布してから焼き上げる場合が多い。

調理器具[編集]

Bar-b-que-vent.jpgGrilling on the Beach in February.jpg
オーソドックスなタイプのグリル

器具としては、(1) 火格子式のグリルや焼き網など、火(熱気)が素通りするタイプと、(2) 鉄板式 に大別され、食材を固定するものとして金串などがある。

グリルのブランドとしては米国ウェバー社(外部リンク)の製品が最も有名で、一枚の鉄板から仕上げる蓋付丸形グリルは、家庭用・レジャー用グリルの定番、「グリルアカデミー」ではウェーバー製品を正しく使う調理法を教えてくれる。

専門店や個人でも、オリジナルの道具にこだわる人がいる。それらの人は、普通のグリルではなく、金属やレンガなどで作られたバーベキュー・ピットと呼ばれる物を使う。造りはかまど暖炉に近いもので、ドラム缶を加工して使用する場合も多い。

底面の断熱用に、コンロに水張りするタイプのグリルの方が、水蒸気の作用で、油の多い豚バラや鶏皮、サバサンマなどの青魚を焼いても炎が上がりにくい。 また、焼き上がりにこびり付きや、焦げ付きが少なく、野菜などは特にふっくらと美味であり、また器具自体の汚れも少ない。同じような効果を狙ってビールの缶を切って代用し、水の代わりにビールを入れる場合もある。

使用後のグリルは油汚れや炭の汚れがべっとりと付いていることが多いが、準備段階でグリルの火口を覆うようにアルミ箔の揚げ物フェンスや、バーベキュー用の厚手のアルミホイル(厚さ60μm程度)を、炭受けと油汚れが及びそうなところへ敷き詰めれば、汚れはホイルに付着してグリル本体へはほとんど及ばないので、掃除はホイルを剥がすだけで楽であり、グリル本体も長持ちする。また焼き網やグリル本体などにバーベキュー前に酢を塗っておくと、食材のタンパク質と熱した金属との間に熱凝着が起こりにくく、比較的掃除が楽である[5]

燃料[編集]

オガ炭
プロパン式のグリル
プロパン式のグリル

燃料木炭、あるいは専用の固形燃料が主流である。炭の中にヒッコリーオークなどのウッドチップを混ぜ、燻煙を出すことにより燻製風味を付ける手法もある。

  • 日本国内産の黒炭は、不快な煙臭や爆跳も少なく、じっくりとした火力が持続し、焼き上がりに薫製のような風味もかすかにあり、バーベキューに向いている。外国産より多少高価だが、品質が安定しており適している。なお、保存管理が良くなかった黒炭ほど燃焼初期には爆跳の危険性があるため注意が必要である。
  • 「Quick Grill Briquette」「ラウンドストーブ」といった商品名で販売されている小型の加工ヤシガラ炭は、着火後1分〜数分で調理可能であり1時間ほどで燃焼が終わるため、小規模パーティーの際、使い勝手が良い。また、これを火種として通常の木炭の着火材としても好都合である。
  • 備長炭をはじめとした白炭は、より上質な焼きもの料理が可能ではあるが、着火が難しく、調理可能な燃焼温度への到達に時間を要し、熾き火に至るまでは爆跳の危険性がある。さらに高価なため使用目的としては一般的ではない。
  • オガ炭は白炭系の木炭と似た燃焼の性質を示し、不快な燻煙や、危険な爆跳はほとんど発生せず、また比較的安価であり、近年ホームセンターインターネット通販でも扱いが広まっている。しかし白炭同様に火熾ししにくく、一方で火が熾ると4時間ほど燃焼し続ける場合もある為、短時間のパーティーでは消火等での注意が必要である。逆に、炭を継ぎ足す必要もなく調理可能な火力が持続するため、パーティーが長時間に及ぶ場合には好都合な存在である。

木炭を着火するのはコツが必要であるが、着火を安易にする商品として、石油系溶剤やアルコールを主成分とするチャコール着火液が最もポピュラーである。また、ジェル状着火剤などが木炭に添付されていたり、木炭着火専用のカセットガスボンベ式トーチバーナーなども販売されている。火熾し器である「チャコールスターター」を使っても火熾しが安易である。いずれにしても木炭で調理が行なえるようになるのは着火後10〜20分、場合によっては1時間ほど必要で、それを見越したスケジュールが必要となってくる。木炭の火熾し方法を参照

アメリカやオーストラリアでは、ガス火式のグリルも多く、日本でも近年は、火点けや火力調節の容易さ、掃除や後片付けの手軽さなどから、プロパンガスカセットボンベをものも増えつつある。

文化的側面[編集]

北米では文化の一つであり、地域や家庭によって独特の伝統やこだわりを持つ場合がある。一般的なグリルの他にも、頻繁にパーティを主催したり、専門のイベントや大会に参加する人も多いため、大型のバーベキュー・ピットやトレーラーけん引型のものを個人で所有したり、専用の設備を庭に設けたりする人も多い。全米で年間数百ものバーベキューコンテストがある。また、バーベキューを提供するレストランも南部中西部を中心に数多くあり、量り売りの紙包みで提供されたり、メイン(肉)を選び それにビーンなどのサイドメニューを付けるプレート方式が主流である。そういった各地の名店の食べ歩きなども盛んである。

イベント
レストラン
その他

日本の七輪焼きなども、小規模ではあるがバーベキューに属する。南アフリカにも、ブラーイbraai)と呼ばれる、独特の伝統がある。

社会的側面(マナー及び事故)[編集]

屋外で行なう場合、とくに焚き火の直火で地面を傷めたりしないよう適切な調理器具を使うこと、また、器具の汚れを地面や水(河川や湖沼)に流すことなくゴミを持ち帰るなど、環境に配慮することが望まれている。

都市近郊の公園や河川敷においては、ゴミの投棄・カラオケの騒音・喧嘩・アルコール中毒など付随する社会的な問題や事件が発生し、そもそも禁止となっている区域も多数存在するので注意を要する。また、野放図な実施を管理対象とする目的で、よく利用される地域を有料化するなどの対策も実施されている[6]

またバーベキューは非常に楽しいが、相応の知識と近所の配慮が必要で(というか日本の住宅街は密接しているので匂い、騒音のトラブルになりやすく自宅ではしない方がよい)、知識がないのに自宅で行い、日の後始末が不完全で死亡火災が発生したり、或いは近所に全く配慮がないまま行い、トラブルになり殺人事件が発生するなど、重要事案が起こりうる側面があるため、専用の場所で行われることが好ましい。

ケータリング業者がバーベキューケータリング協会等を通じて、ゴミを削減、持ち帰るなどの試みもなされている。

脚注[編集]

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  1. ^ a b McGee 2008, p. 154.
  2. ^ a b c d e f g 佐藤政人『アメリカン・スタイルBBQ』誠文堂新光社、2018年、4頁。
  3. ^ 佐藤政人『アメリカン・スタイルBBQ』誠文堂新光社、2018年、4-5頁。
  4. ^ a b c d e f 佐藤政人『アメリカン・スタイルBBQ』誠文堂新光社、2018年、5頁。
  5. ^ お酢で焼き上手│くらしプラ酢│ミツカングループ商品・メニューサイト
  6. ^ 多摩川バーベキュー広場

参考文献[編集]

  • Harold McGee; 香西みどり訳 『マギー キッチンサイエンス』 共立出版、2008年。ISBN 9784320061606 

関連項目[編集]