ステーキ

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調理中のステーキ
サーロインステーキとつけあわせのポテト
アルゼンチンのステーキ
ポークステーキ

ステーキ: steak)とは、厚切りにしたなどを焼いた料理

ただ「ステーキ」と言い、他に補う言葉が特には無い場合には、基本的には牛肉のステーキ(「ビーフステーキ」)を指していることが多い。ただし「ステーキ」には牛肉のステーキだけでなく、豚肉の「ポークステーキ」、鶏肉の「チキンステーキ」、子羊肉の「ラムステーキ」などもあり、またハムの大きな塊を厚切りにして焼いた「ハムステーキ」もあり、さらにサケマグロアワビなどの魚介類の身のステーキもある。

焼き方としては金網を使用して直火焼きをする方法も、フライパンなどの鉄板を使用して焼き上げる方法もある。

ステーキは、もっともシンプルな肉調理であるため、「肉そのものの味」が料理の味にとても大きな影響を与える[1]。よって、肉の種類・部位(や質)の選択が非常に大切となる[1]

肉のステーキ[編集]

概要[編集]

肉のステーキの場合、厚さは1~2cmくらいの場合が多い[1]。一人前の量は、100~200g程度の量であることが一般的[1]。「ステーキこそが美味しい肉を堪能する真の食べ方だ」とする人もいる。

冒頭で説明したようにステーキはシンプルな肉料理なので、肉の選択が料理の味に最も大きな影響を与える。 まずそもそも牛肉、豚肉、羊肉のどれにするかで味が全く異なる。さらにたとえば牛肉にするにしても、牛種や牛が育った環境でも肉質に差があり、牛肉の部位英語版の中のどれを選ぶか、たとえば「サーロイン」「リブロース」「肩ロース」「フィレ(ヒレ)」「シャトーブリアン」...のどれにするかでも味が大きく異なる。 また焼き方(直火焼きにするのか、鉄板焼きやフライパン焼きにするのか、といった選択)でも味が異なる。肉が厚く良質な場合で、火力が十分に強い場合、表面が適度に焦げ目がつく調理をしても、中心部あたりは柔らな状態が保たれる。また、焼く前の「筋切り」も食感に影響する。またテーブルに出された後、お客によってかけられる塩やソースも影響を与える。

レストランの調理人(シェフ)や家庭の調理者の側のすること

レストランがステーキ用の牛肉を用意する場合、一般に、数日間から数週間、冷蔵庫などの低温下で組織中の酵素の作用により熟成した肉を使用する。(牛肉の表面にカビが生えるまで熟成させ、そのカビが繁殖した場所を切り落として使用する店もあり、これを乾燥熟成肉と呼ぶ。)家庭でステーキを調理する場合は、一般には、肉屋スーパーの「肉売り場」で「ステーキ用」と書いてある肉などを買い、即日か数日のうちに調理することになる。

食中毒防止など食の安全の確保のために、加熱温度と加熱時間が定められている。しっかり火を通す焼き方を「ウェルダン」、表面だけ火を通す焼き方を「レア」と言い、その間の状態に「ミディアム・レア」がある。(なおブルーレア以下の焼き加減の場合、表面を焼いた後焼けた可食部を切り捨てるため可食部が少なくなり、結果として高価となりやすい。)食中毒の原因菌が死滅する60℃前後と肉の蛋白質の変質が起こる約65℃との、わずかな温度差を利用しつつ、細菌の繁殖しがちな肉の表面は高い温度で焼くが肉の中心部だけは生の状態のままにした「ミディアム・レア」や「レア」という焼き加減を好む食通もいる。あらかじめ食べる人の希望をたずねて、それを叶えるように火を通すことになる。仕上げにブランデーウイスキーワイン等でフランベするとより香りが良くなり風味も増す。焼いた素材の上にレモンの輪切りやバターを添えることもある。

(フランスでも庶民は日常的にはアメリカのようなシンプルなビーフステーキを食べるが)フランス料理の王道ではソースを(非常に)重視する伝統があるので、フランス料理高級店のシェフなどでは、もともと質の良い肉を選んでいてそれ自体で十分に旨い場合でも、わざわざとても手のこんだソースをかけることもある。

質の悪い肉、硬い部位などをそのまま加熱調理すると、噛み切れないほど硬いステーキが出来上がる事がある。欧米では「靴底のようなステーキ」という表現があり、良くないステーキの典型のひとつである。(諸事情により)比較的硬い肉を選んでしまった場合は、そうした事態を避けるため、調理前にビールや赤ワイン、牛乳やパイナップルジュース、キウイの摺り下ろし、玉ねぎや大根、炭酸ドリンクなどの飲料などに数十分から一晩ほど漬け込んで主に果物に含まれる酵素の作用を利用して肉が柔らかくなるようにしたり、筋切器(ミートテンダー)やミートハンマーなどを用いて物理的に肉質を柔らかくしておいてから加熱調理する、ということも行われている。

付け合わせ(ステーキの横に添えられるもの)にはジャガイモニンジンブロッコリーコーンなどの温野菜が盛りつけられることが多い。

食べる側、テーブルでの調味

肉そのものが十分に旨い種類や部位を選んだ場合、最もシンプルな食べ方としては、何も加えずに食べるという方法がある。何も加えずとも、口に含むと焼いた香ばしい香りが口に広がり噛むたびに肉から旨みがあふれだす。欧米ではコショウなどのシンプルな調味料だけをかけて、あくまで肉そのものの旨みを楽しむ人も多い。またシンプルなステーキソースをかけて食べることを好む人もいる。食べる側では肉自体(素材、食材)があまり旨くなかったりあまりに味気ないと、やむなくソースの味に頼る結果をまねき、食後にソースの印象ばかりが残り、肉自体の味がどうだったかほとんど記憶に残らない、ということも起きる。

元々バーベキューなどでは、塩のみのシンプルな味付けだった。後にスパイス文化が世界的に広まると、コショウナツメグ等の香辛料が加わった。現代ではステーキ用のシンプルなソース「ステーキソース」も用いられるようになった。なお日本で「和風ステーキ」と銘打ったものは、大根おろしポン酢醤油ワサビ醤油、紫蘇・おろしニンニク・おろしショウガなどで味付けをする場合がある。

一緒に食べるもの

ステーキの皿や鉄板の上に「つけあわせ」がのせられた状態で食べる人の前に出てくるわけだが、それに加えて(世界的には)パンも食べる、ということも一般的である(日本ではライスという選択肢もあることが一般的)。人によっては、あくまで肉(たんぱく質)だけ重視で、(痩身のために)パンやライスは食べるのを控える人もいる。ヨーロッパでは、特にフランスなどではステーキを食べるときにワインも飲むことが多い。その場合一般に「肉に合うのは赤ワイン」と考えられている。

分類[編集]

動物による分類[編集]

素材によって次のように分けられる。

ビーフステーキ
牛肉を使用。サーロインヒレ肉ロースなどがよく用いられる。ビフテキというフランス語の「ビフテック(bifteck)」に由来する呼び名もある[2]
ポークステーキ
豚肉を使用。「トンテキ」とも呼ばれる(トンテキという呼称は上野の「たいまる」(現在は閉店)の登録商標だった。)。なおフランス語の呼び名である「bifteck(ビフテック)」を日本語風にした「ビフテキ」名称が昭和期の日本で流行ったことがあったが、「ビフテキ」をビーフステーキの略称と考えて[3]「トン(豚)テキ」などといった応用的な命名が為された時代もあったが、近年ではやや古めかしく聞こえるので、最近では「ポークステーキ」と呼ぶほうが好まれる。(なおポークソテーソテーで、材料が小さかったり、焼き時間が短かったり、焼き具合の指定がなかったりして、ステーキとは一応別物と考えられる。ポークチャップはケチャップやソースで味付けした、味付けのほうが前面に出た料理で、類似点はあるものの距離があり、やはり別物である。)
ラムステーキ
子羊肉を使用。
チキンステーキ
鶏肉を使用。
ハムステーキ
ハムの大きな塊を厚切りにして焼いたもの。

形状[編集]

ステーキは肉をそのまま1~2cm程度の厚切りにして焼くのが基本であるが、 形状や調理法による区分として次のようなものもある。

Tボーンステーキ
Tボーンステーキ
サーロインとヒレ、2つの部位が付いた骨付き肉を焼いたもの。骨の断面がT字に見えるためこの名がある。『ステーキの元祖』ともいわれている。Tボーンステーキの中でもヒレの部分が1/3を超えるものを特にポーターハウスステーキと呼ぶ。
ハンバーグステーキ(ハンバーグ
挽肉を平らにして焼いたもの。
タルタルステーキ
牛肉馬肉挽肉を、薬味・タレを使用して生食する。
サイコロステーキ
肉をサイコロ状に切って焼いたもの。また、結着剤でハラミや牛脂などを固めてサイコロ状の成型肉にしたものに対しても、このように呼ばれる。ナイフとフォークを使う必要がないため、しばしば形式でとともに供される。その発祥は、東京日本橋兜町のバンボリーナが『「ステーキを切る暇の無いほど忙しい」証券マンのために考案したのが始まり』と言われるほか、『福岡県久留米市の牛鉄で「スタミナステーキ」の名称で昭和45年に商品化された』事、また『昭和40年代にビッグシェフ・グループの前身である洋食店で、藤咲信次シェフが開発した』との説[4]もある。

焼き方[編集]

ざっくり言うと「レア」、充分に火の通った「ウェルダン」、 その中間の「ミディアム」の3つがある。さらに細かく分けると、レアとミディアムの中間の「ミディアム・レア」がある [5][6]。 つまり、一般に選ばれるのは「レア」→「ミディアムレア」→「ミディアム」→「ウェルダン」の4段階である。

生肉から始まってすっかり火を通し切った状態までの各段階を細かく網羅的に挙げると以下のようになる。

ロー(英)raw
未調理。完全に生の状態で、これは食中毒の危険性が非常に高いので選ばれない。また生だとステーキではない。
ブルー(英)blue
限りなく生に近く、片面または両面を数秒程度焼いた状態。やはり危険なのでめったに選ばれない。
ブルーレア(英)blue rare
ブルーとレアの中間。片面または両面を数十秒程度焼いた状態。
レア(英)rare・ブル(仏)bleu
表面のみを焼いた「鰹のタタキ」のような状態。ただし、「タタキ」の内部が刺身の「炙り」同様「火の通らない、完全な生」であるのに対し、レアステーキは余熱などで55℃~60℃程度まで火を通している。
ミディアム・レア(英)medium rare・セニャン(仏)saignant
レアとミディアムの中間。肉の内部温度を蛋白質の変質が起こる境界の65℃程度まで温める焼き方。表面はしっかりと焼かれる一方、中心部は生に近い状態が損なわれていない。中にまだ赤みが残っていて、切ると多少血がにじむくらいの状態[7]
ミディアム(英)medium・ア・ポワン(仏)a point
肉の中心部の蛋白質が変質しかける程度まで温める焼き方(内部温度65℃以上~70℃以下)。切るとほぼ全体に色が変わっているが中心部はうっすらとピンクがかっており、完全に色が変わっていない状態。肉汁は生に近い。
ミディアムウェル (英)medium well
ミディアムとウェルの中間。
ウェル(英)well
よく焼いた状態。
ウェルダン(英)well done・ビヤン・キュイ(仏)bien cuit
ウェルよりもよく焼いた状態。肉の中心部まで蛋白質の変質が起こっており、赤味はほとんど残っておらず、ナイフで切っても肉汁はほとんど出ない。一度でも食中毒になり何日にも渡って苦しい経験をした人は、肉好きの本場の欧米でも、用心してウェルダンを選ぶようになる傾向がある。
ヴェリー・ウェルダン (英)very well done
完全に中まで焼いた状態で、ナイフで肉を切っても肉汁が出ない。肉の良さを殺しすぎるのであまり選ばれない。

また、短時間で表面を焦がし、中は生のピッツバーグレア(Pittsburgh rare、あるいはブラック・アンド・ブルー(black and blue)という、牛肉のたたきのような焼き方がある。

日本の飲食店では、「レア」「ミディアム」「ウェルダン」の3種類か、これに「ミディアムレア」を加えた4種類の焼き方が多い。

食べ方のマナー[編集]

欧米では、ステーキを食する際は左手にフォーク、右手にナイフを持ち、肉の左側から、一口大(上品に口に入れられる程度に小さめに)にカットし、そもまま左手のフォークで(持ち替えず)肉を口に運ぶのがマナーとされる。なおアメリカはカジュアルなスタイル、くだけた態度も許されることは多いので、肉全体を一口大にすっかり切り分けてしまってから、右手にフォークを持ち替えて食べる人もいる(これはヨーロッパでは一般にNGとされる)。和食料理店では箸で食べる都合上、料理人の手で切り分けられてから供されることが多い。

牛肉のステーキは、日本では「ステーキハウス」、洋食レストラン、ファミリーレストランなどで提供されるだけでなく、旅館、料亭、和食レストランのメニューともなっており、丼物(ステーキ丼)にされることもある。

パフォーマンス[編集]

フランベをする調理師

サービスする際に、客の目の前でフランベする店もある。また日本の、または日本人経営者のステーキ・ハウスでは、テーブルではなく鉄板焼きの形式でカウンターに客を座らせ、目の前で調理する店もある。この場合、皿に乗せず鉄板上、あるいは鉄板にアルミホイルを敷いた上に供するため、通常は料理人が切り分けて箸を添えて供する。しかし肉好きな人の中には「鉄板の上で切るために肉汁を捨ててしまうので、好ましくない」と言う人もいる。

バリエーション[編集]

成型肉の景品表示上の問題[編集]

牛の成型肉を焼いてステーキのような形に加工したものを「ステーキ」「ビーフステーキ」「○○ステーキ」など「ステーキ」と表示することについて、景品表示法上の問題が指摘されている。

消費者庁では、一般消費者は「生鮮食品」の「肉類」に該当する「一枚の牛肉の切り身」を焼いた料理と認識することや、牛の成型肉は「生鮮食品」の「肉類」に該当する牛の生肉の切り身ではないことなどから、「ステーキ」と表示すること自体が景品表示法第4条第1項第1号(優良誤認)に抵触するとの見解を示している[8]。一方、東京都福祉保健局は「牛肉(サイコロステーキ)」「牛肉加工品(サイコロステーキ)」など、「ステーキ」の表示とともにJAS法に基づく適切な名称の記載を推奨している[9]

肉以外のステーキ[編集]

魚介類[編集]

サーモンステーキ
サケを使用。
マグロステーキ
マグロを使用。カジキマグロを用いる場合が多い。
かつおステーキ
カツオを使用。
鯨ステーキ
鯨肉ヒゲクジラ)を使用。
アワビステーキ
アワビを使用。高級店ではクロアワビを用いる場合が多い。

野菜類[編集]

大根ステーキ
輪切りにした大根を焼いたもの。
しいたけステーキ
しいたけを使用。
ズッキーニのステーキ
ズッキーニを輪切りにして焼いたもの。
れんこんステーキ
れんこんを輪切りにして焼いたもの。
山芋ステーキ
山芋を輪切りにして焼いたもの。

その他[編集]

豆腐ステーキ
水分を切った豆腐を、平らに切って焼いたもの。
サボテンのステーキ
ウチワサボテンを焼いたもの。
コンニャクステーキ
コンニャクの表面に格子状の切れ目を浅く入れ、焼いたもの。
漬物ステーキ
岐阜県飛騨地方の郷土料理漬物を油で炒めて、卵でとじたもの。

出典[編集]

  1. ^ a b c d 小学館『日本大百科全書』「ステーキ」、河野友美・山口米子 執筆。
  2. ^ おにくだいすき!ゼウシくん 意外と知られていない「ビフテキ」の名前の由来
  3. ^ 日本ハムなるほどコラム 「ビフテキ」は「ビーフステーキ」じゃない?!素敵なステーキがもたらす幸せ
  4. ^ 菊地武顕『あのメニューが生まれた店』112p 平凡社
  5. ^ 牛肉の焼き加減と内部温度 公益財団法人日本食肉消費総合センター(一部出典)
  6. ^ ブルーなステーキって何? トラベル英会話アーカイブ All About2008年5月21日
  7. ^ 『13歳からの料理のきほん34』128頁。
  8. ^ 牛の成形肉(※1)を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示してもよいでしょうか。 - 消費者庁表示対策課
  9. ^ 食品衛生の窓 - 東京都福祉保健局。Q1 「「サイコロステーキ(結着肉)」の名称はどのように表示したらよいですか。」を参照。

関連項目[編集]