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からし

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
納豆に添えられたからし

からしカラシ芥子辛子)は、アブラナ科植物であるカラシナおよびその近縁種の種子から作られる香辛料マスタードはからし(辛子)の英名であるが、商品としては一般的にオリエンタルマスタードシードを主原料として薬味的に少量ずつ使用するものを「からし」、イエローマスタードシードを主原料とするもの(ホットドッグドレッシングに使用)やブラウンマスタードシードを主原料とするもの(粒タイプ)を「マスタード」と呼んでいる[1]

種類

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黒からしと白からし

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からし(マスタード)には、ブラックタイプと呼ばれる黒からし(ブラックマスタード)とホワイトタイプと呼ばれる白からし(ホワイトマスタード)がある[2]。黒からし(ブラックマスタード)の基原植物はクロガラシBrassica nigra)及びカラシナBrassica juncea)、白からし(ホワイトマスタード)の基原植物はシロガラシSinapis alba)で前者と後者では辛味成分が異なる[2]

以上のように辛味成分により二分されるが、日本ではカラシナ、欧米諸国ではクロガラシ、インドや南欧ではシロガラシが広く栽培されており[3]、和がらし(オリエンタルマスタード及びブラウンマスタード)、黒からし(ブラックマスタード)、白からし(イエローマスタード)に三分されることもある[1]

種類基原植物主なグルコシノレート(配糖体)生成されるイソチオシアネート(辛味成分)用途
黒からし(ブラックマスタード)と白からし(ホワイトマスタード)[2]
黒からしクロガラシBrassica nigra)、カラシナBrassica junceaシニグリン(sinigrin)アリルイソチオシアネート(allyl isothiocyanate, AITC)和がらし[2]漬物[2]、粉わさびの副原料[2]
白からしシロガラシSinapis albaシナリン(sinalbin)p-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート p-hydroxybenzyl isothiocyanate洋がらし[2]、練りがらし[2]、マヨネーズ[2]

和がらしと洋がらし

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日本では一般に「和がらし」と「洋がらし[注 1]に大別される。日本ではもともと国内産のオリエンタルマスタードやブラウンマスタードに属するカラシナの種子を利用して生産していたが、欧米からイエローマスタードなどの種類が渡来し、これらを区別するため日本古来のからしを「和がらし」、欧米のからしを「洋からし」と呼び分けるようになった[1]。和がらしの形態には、カラシナの種子を脱脂調整して粉末状にした「からし粉」と、からし粉やすりつぶした種子に水を加えて練り上げた「ねりからし」がある[1]。ねりからし(練りからし)には業務用と家庭用(小袋やチューブなど)がある[1]

からしを用いた民間療法

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からしを湿布として胸部に貼ることは古くから行われている民間療法であり、用法を誤らなければ効果をあげる療法の一つとされている。期待される作用は、揮発成分を吸引することによる気道の刺激、ならびに経皮吸収による血流の促進であり、毛細気管支炎気管支肺炎麻疹の経過中および肺性鬱血等に対して効果があるとされる[4]

脚注

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注釈

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  1. 読み方は大辞泉小学館)による。

出典

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  1. 1 2 3 4 5 特集 マスタードの輸入 (PDF)」東京税関。2026年3月25日閲覧
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 長野 克己、林 裕一「冷凍食品と香辛料」『冷凍食品技術研究』第5巻、冷凍食品技術研究会、1986年。
  3. 福井 富次郎「辛味の科学 (III)」『生活衛生』第8巻第6号、大阪生活衛生協会、1964年。
  4. 長尾乾「小児科に於ける胸部芥子罨法の再検討」