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Wikipedia:言葉を濁さない

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言葉を濁すとは、意見や主張を記事中に書くときにその意見の論者を明確にせずに一般的なことであるかのような表現にすることを、ここでは指します[注 1]。論争の余地がない主張や意見であれば、そのような表現で記述して構いません。しかし、記述する意見が主流とは言えない偏った意見に該当すると思ったら、主張する論者(意見の持ち主)を文中に明記した上でその意見を書いてください。

言葉を濁す表現により、意見の論者を不透明にさせて、その意見が一般的であるかのように権威づけてしまうおそれがあります。中立的な観点に沿って記事を作っていくために、意見の論者を示さないで良いかは上記の基準に沿って慎重に判断してください。明確に論争の余地がない主張や意見であると根拠を持って示せないのであれば、その意見を述べている主体の名前や姿をはっきりさせることが望ましいやり方です。また、中立的な観点とは別に、言葉を濁した文章では、記述内容が希薄なものとなって読者にとって有用な文章とならなかったり、記述内容が複雑で難解なものとなって読者が混乱するような文章になるおそれもあります。

以上のような点とは別に、検証可能性の方針に従って、その文章の根拠を示す信頼できる情報源による出典を明記する必要もあります。意見の論者を文中で明記するかどうかの判断とは別に、その文章の根拠としての出典は示してください。

言葉を濁した表現の典型例

イタチ言葉の例

中立的な観点から問題となりえる言葉を濁した表現には次のような例があります。後述の曖昧な言い方の改善例で示されているように、意見の持ち主の明示や意見の具体的な事実への置き換えによって改善が図られることが望まれます。ただし、これらの表現が一律で禁止されたり、排除されたりするわけではありませんので注意してください。冒頭に述べたように、その意見の位置づけを考慮して妥当な表現を決めてください。

  • 「……と言っている」「……と言われている」「……であると言われている」「……と言う人もいる」「……との言い方もされている」
  • 「……は……であると広く考えられている」「……は……であると広く見なされている」
  • 「……と信じられている」「……であると信じている人もいる」
  • 「……と言える」「……と言えよう」
  • 「……という声・話もある」
  • 「……という可能性もある」
  • 「……という指摘・批判もある」
  • 「……と見る向きもある」
  • 「……で知られている」
  • 「……と思われる」「……と考えられる」
  • 「……ようである」「……らしい」
  • 「……という印象を持たれてしまった」
  • 「……が窺える」
  • 「……とのこと」
  • 「……だろう」「……であろう」
  • 「なぜか……である」
  • 「言わずと知れた……である」
  • 「(主流の・多くの)専門家・評論家・学者・科学者・研究者・歴史家は……と論じている」
  • 「伝えられるところでは……」
  • 「某……では」「某……によると」

言葉を濁した表現の改善例

意見の持ち主を明示する

以下の一文は、曖昧な書き方です。

モナ・リザ』には、モデルなしに描かれたとする説もある。

次の一文は、曖昧さという点では同じです。

モナ・リザ』のモデルが実在する説に懐疑的な人々は、レオナルド・ダ・ヴィンチが理想の女性を描いたものだという説を支持している。

こういうことを言う人は誰もが、「その定義から」もともと懐疑的なのであり、意見の論者を示していることになりません。このような観点からの意見を記事に書き加えたい人は、その意見の情報源を探し以下のように加えるべきです。

モナ・リザ』のモデルとなった女性が誰かには諸説あり、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記を書いた作家セルジュ・ブラムリーは「モデルといわれる人物は、妥当か否かはともかくおよそ12名程度は存在する。なかには、モデルなどは存在せず、レオナルドが理想の女性を描いたと主張する者もいる」としている[1]

出典

  1. ^ Bramly, Serge (1994), Leonardo:The artist and the man, Penguin Books, pp. 362-363, ISBN 0-14-023175-7 

上記のように意見の持ち主を明示することにより、読者が自分自身で意見の妥当性を検討できるようになります。

意見を具体的な事実に置き換える

また、大言壮語を含む文章は、しばしば曖昧な言い方を使って書き換えられます。例えば、

ニューヨーク・ヤンキースは、大リーグを代表する強豪チームである。

ということを示そうとするとき、

ニューヨーク・ヤンキースは、大リーグを代表する強豪チームとされている。

という文章で表現されがちです。確かに、ヤンキースのファンやヤンキースに対して高い評価を下す野球専門家が多いのは事実でしょう。しかし、そういった人々の証言を集めずとも、大言壮語を取り除き、次のように記述すれば充分なのです。

ニューヨーク・ヤンキースは全チーム中1位のワールドシリーズ27回制覇を成し遂げている[1]。これは全チーム中2位のセントルイス・カージナルスの制覇回数を16回上回るものである[1]

出典

  1. ^ a b World Series History: Championships by Club”. MLB.com. 2007年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月10日閲覧。

具体的で事実に基づく情報を記述することによって、個人的な意見を述べずに済むことになります。ただし、意見ではなく事実を書き示す場合でも偏ったものになり得ること、例えばどの情報を示すのかという選択自体が偏っているかもしれないことにも注意してください。

曖昧な表現を支持する出典を添える

文章を書くときの論拠とする出典の表現自体が曖昧な書き方になっている場合は、この出典の内容との整合性を優先し、言葉を濁した表現の典型例のような表現になっても許容されます。その場合は、その出典を示した上で例えば以下のように書いてください。

……は……であると広く見なされている[1]

出典

  1. ^ 著者A 『曖昧な表現の避け方とは』 ○○出版、2015年、200頁

しかし、この出典の内容自体が主流とは言えない偏った意見に該当すると思ったら、やはり次のように文中にその意見の持ち主を明示してください。

著者Aの意見によれば、……は……であると広く見なされている[1]

出典

  1. ^ 著者A 『曖昧な表現の避け方とは』 ○○出版、2015年、200頁

改善を求める場合

言葉を濁した表現になっている記述があった場合、発見した人がそれを改善例のように書き直すのが理想的です。しかしそれが難しい場合は、言葉を濁した表現の修正を求めるテンプレート類({{言葉を濁さない}}、[誰?][誰によって?]など)で改善を求めることもできます。ただし、表面上曖昧な言い方の典型例のようになっているというだけで機械的にテンプレート類を貼り付けていくような編集はしないでください。その意見の位置づけを考慮して、表現の妥当性は決まります。記事全体にわたって中立的な観点に沿った内容を実現することが大事です。

特に、曖昧な表現だが出典が備わっているものに対しては、曖昧な表現を支持する出典を添える改善例のように出典との整合性を優先してそのような表現にしてある場合もあります。このような文章に修正を求める場合は、出典の内容を確認して妥当性を検討した上で改善を求めるか、自分がその主題についてよく知っており、出典が備わっているがそれでもなお問題があると言える場合のみ改善を求めるようにしてください。

脚注

注釈

  1. ^ 英語では言葉を濁した表現を"Weasel word"(イタチ言葉)と呼び、このガイドラインと対応する英語版ウィキペディアのen:Wikipedia:Manual_of_Style/Words_to_watch#Unsupported attributionsでは、"Weasel words"を避けることを説明しています。

関連項目

テンプレート

例えば、「研究者[誰?]によると、近年[いつ?]は某所[どこ?]では…」などと、このページへのリンクが表示される。(実際には太字ではなく青リンク内部リンク)です)