フライドポテト

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フライドポテト
French fries on a paper plate
別名 チップス、フィンガー・チップス、フリッツ、ホットチップス、ステーキフリッツ、ポテトウェッジ、ウェッジ
フルコース おかず軽食、稀にメインディッシュ
発祥地 ベルギーフランス[1](異説あり)
主な材料
その他の情報 多くの場合、をかけたり、ケチャップマヨネーズバーベキューソースなどを添える。
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フライドポテト(英:french fries)は、ジャガイモを食べやすい大きさに切って、揚げ料理である[1]フライドポテトもしくはポテトフライと呼ぶこともあるが、いずれも和製英語である[1]

概説[編集]

一般に発祥地と見なされているベルギーでは主食の扱いであり、大量に消費されている。国をあげて自国のフリッツ(フライドポテト)をUNESCO世界文化遺産登録に申請するほど、 ベルギーの日常生活に根付いている食べ物である[2]。ベルギーでは街中のあちこちに「フリッツ屋」(フリッツ揚げ屋。フリッツスタンド)があり、人びとは近所の「フリッツ屋」で、家族のためにキロ(kg)単位で「揚げたて」を買って自宅に持ち帰り主食としたり、自宅に常備されている電気フライヤーで揚げて食べるなどして、大量消費している。

近年では冷凍食品が世界中に広まって、世界各国のスーパーの冷凍食品コーナーにはベルギー産やアメリカ産などのフライドポテトが並んでいる。それらは各家庭で調理して食べられている。ファーストフードチェーンの世界展開とあわせて、フライドポテトは世界中で親しまれるようになっている。

フライドポテトが好む人は各国で増えており、頻繁に食べられるようになっている。しかしながら、栄養学的に言うと脂質と糖質の割合ばかりが高く、健康にはあまり良くなく、「ジャンクフード」に分類されている。またアクリルアミドを含んでおり、発がん性との関連が強く疑われるデータもある。

発祥地 [編集]

ベルギーではベルギーがフリッツ(フライドポテト)発祥の地だとされている。17世紀ナミュールで不漁に困った住民がジャガイモを揚げて食べたことが起源と同国では伝えられている。そしてベルギーのブルッヘ(ブルージュ)にはフリッツ博物館英語版がある。

一方、2018年8月1日にはフランスの新聞『フィガロ』が19世紀初頭のパリでフリットが登場したと唱える研究家のインタビューを掲載し、論争になっている[3]

名称 [編集]

ベルギーではフリッツ (Frietjes)と呼ばれる[1]。フランス(カナダのフランス語英語版圏など含む)では、日常的には単にフリット(フランス語: frite)と呼ばれ[1]、学問的表現としてはポム・(ド・テール・)フリット(フランス語: pommes [de terre] frites)がある。

アメリカ英語フレンチフライズ (French fries)[1]または、フレンチフライドポテイトウズ (French-fried potatoes)と呼ばれる[注 1]イギリス英語ではチップス (chips)と呼ばれる[1]オランダでは、一度粉末にしたジャガイモを成形して揚げたものをラスパタト (Raspatat) と呼ぶ。

なお英語圏ではこの食べ物を「Fried potato」とは呼ばない。フライドポテトはあくまで和製英語である。文法的には一応間違いではないので英語圏でも一応、おおよその意味は伝わる。とはいえ、英語圏でfried potatoというとフライにしたポテト全般を指し、ポテトチップスハッシュドポテトもこれに含まれてしまうので、やはり同義ではない。

材料・調理[編集]

材料とカットの形状[編集]

材料はジャガイモである。ジャガイモの生産がさかんな国では主に自国のジャガイモが使われる。ジャガイモの生産がさかんでない国では、たとえばアメリカやベルギーなどから材料が輸入される。

日本ではフライドポテトには北米やベルギーなどでフライドポテト用に加工したものが輸入され大量に使用されているが、、北海道で生産されたジャガイモを使用する店もある。日本では検疫の関係上、生のジャガイモは輸入制限されているため、輸入ジャガイモによるフライドポテトは現地で加工され冷凍されたものか、もしくは粉末状に加工されたものを日本で細長く成形したものである。例えば、日本のマクドナルドで販売されているマックフライポテトの原料は、カナダの港でコンテナに積み込まれて日本向けに輸送されている。日本のフレッシュネスバーガーのポテトの材料は北海道産である。

カットのしかたとしては、直線状のストレートカット(特に細いものはシューストリングカット)、波状のクリンクルカット、皮付きのナチュラルカット、リング状のスパイラルカットにする方法がある。一部には、一度粉末にしたものを改めてこれらの形状に整形し直して製品化しているものもある。

フライ[編集]

一番一般的な揚げ方は、素揚げである。例外的ではあるがパン粉をまぶして揚げる例もある。

揚げるための油はさまざまである。基本は植物性の油である。うま味をつける目的でヘットを使って揚げている店もある。 家庭用のフライドポテト用の油が販売されている場合もある。

本場ベルギーの一般家庭は電気フライヤーを高い割合で常備している。日本で言えば、炊飯器のような感覚で常備している。その他の国でも、ポテトと油を入れて手軽に揚げることができる調理器具などもすこしづつ販売されるようになっている。

各国の食べ方とハンバーガーチェーンの提供形態[編集]

フライドポテトとはそもそもベルギーのナミュールの住人が、細く切ってヘットで揚げたジャガイモを起源とする料理である[4]。またベルギーでは主食扱いになっているほどなのでベルギーから順に紹介する。

ベルギー

ベルギーでは主食扱いである。料理の付け合わせはパンよりもむしろフリッツであることが普通である。街角にもフリッツスタンドが立ち、ベルギー人にとっては主食のようになっている。なお、ベルギーではフライドポテトに何らかのソースをつけて食べることが一般的で、広く行われているのはケチャップマスタードをつけることである[5]。フリッツにつけられる他の面白いソースとしてはソースアンダルーズ、サムライソース、ジョピソースがある。ソース・アンダルーズ(fr:Sauce andalouse)はマヨネーズとトマトペーストとペッパー類(ピメントピーマン類)でできているものである[6]。サムライソース(fr: sauce samouraï)はマヨネーズハリッサレモン汁を加えたピリ辛ソース。ジョピソース(en:Joppiesaus)というのはマヨネーズに卵、たまねぎピクルススパイス、カレー粉を加えたもの。なお、ベルギーでフリッツにつけるソースで一番伝統的なのはマヨネーズである[5]

フランス
フランスでもっともありふれた食べ方である、ビーフステーキとフリットの組み合わせ。フランスの日常食。

フランスではビーフステーキとフリットの組み合わせが、ありふれた食べ方であり、街中の庶民的な食堂でも中級程度のレストランでも提供されている。たんぱく質炭水化物などのバランスをとるための組み合わせとなっている(日本で言えば「米飯と焼き魚」のような感覚の組み合わせとなっている。ただし「ビーフステーキ + フリット」のほうは脂質が多めである)。

オランダ

オランダでは基本的にポテトは夜食や昼食といった日常生活で食べられている。実際にポテトは店で買うのだが、日本のように、油をフライパンに入れて汚すことがなく、ポテトを揚げるフライヤーがある。

イギリス

イギリスでは、皮ごと乱切りにしたポテトを揚げたものをポテトウェッジズ英語版と呼ぶ。名前の由来は「くさび型」を意味する。またチップバティと呼ばれるフライドポテトのサンドイッチが老若男女問わず愛されている。イギリスでは様々な料理の付け合わせとしてフライドポテトが好まれる。白身魚のフライとフライドポテトを盛り合わせた「フィッシュ・アンド・チップス」は非常に一般的な料理である。さらに、インド料理店や中華料理店などにおいても、ナン米飯の代わりに注文する人がいる。

アメリカ

アメリカのレストランでは、ハンバーガーやサンドイッチの付け合わせとしてフライドポテトが供される。これはハンバーガーを主な商品とするファストフード店でも受け継がれており、バーガー類とドリンク、フライドポテトを組み合わせたセットメニューが用意されていることも一般的。こうした店のフライドポテトの材料となるジャガイモは、専用の大型品種が用いられる。

ハンバーガーチェーンの提供形態[編集]

ファストフードチェーンのハンバーガー店ではたいてい「ポテトカートン」と呼ばれる専用の紙容器に入れられて提供される。

味付け用にケチャップ(およびマヨネーズベースのソース)などが提供されていることが多い。

一部のファストフードチェーン店は、シーズニングを添付し、客はそれをフライドポテトの入った紙袋に入れて振って味付けして食べることが可能な時期もあり、多様な種類の味が用意されている時期もある。

健康に対する影響[編集]

フライドポテト[7]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 992 kJ (237 kcal)
32.4 g
食物繊維 3.1 g
10.6 g
飽和脂肪酸 1.16 g
一価不飽和 4.32 g
多価不飽和 4.32 g
2.9 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
(0) µg
(0%)
(0) µg
チアミン (B1)
(10%)
0.12 mg
リボフラビン (B2)
(5%)
0.06 mg
ナイアシン (B3)
(10%)
1.5 mg
パントテン酸 (B5)
(14%)
0.71 mg
ビタミンB6
(27%)
0.35 mg
葉酸 (B9)
(9%)
35 µg
ビタミンB12
(0%)
(0) µg
ビタミンC
(48%)
40 mg
ビタミンD
(0%)
(0) µg
ビタミンE
(57%)
8.6 mg
ビタミンK
(17%)
18 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
2 mg
カリウム
(14%)
660 mg
カルシウム
(0%)
4 mg
マグネシウム
(10%)
35 mg
リン
(7%)
48 mg
鉄分
(6%)
0.8 mg
亜鉛
(4%)
0.4 mg
マンガン
(9%)
0.19 mg
他の成分
水分 52.9 g
0.15 mg
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

糖質と脂質が多く、カロリーが高いジャンクフードである。油で揚げる調理法から、使用する油脂によってはトランス脂肪酸も含まれる。また、味付けのために添加される食塩高血圧症胃癌に関係する。このため、一部のファストフード店では揚げずに短冊切りのジャガイモをオーブンで焼いたベイクドポテトを提供するサービスを行なっている。ファストフード店のフライドポテトは二ヵ月半放置してもカビが生えないという考え方があり、製品によっては冷凍加工される段階で食品添加物として二リン酸ナトリウムが添加され、その場合は煮沸された状態で徐々に加水分解されオルトフェニルフェノールになることが根拠として提示されている[8]

アクリルアミドの含有とその発がん性[編集]

世界保健機関 (WHO) の下部組織である国際がん研究機関 (IARC) は、フライドポテトに多く含まれるアクリルアミドを「人に対しておそらく発癌性がある物質」(グループ2A)として評価している。これは発癌性物質の分類中、リスクの高い方から2番目で、焼き魚の焦げに存在するベンツピレンと同ランクである[9][10]

これは、動物実験の結果からヒトでの発癌性が推測されているものの、実際にヒトの細胞での発癌を確認したものでも、アクリルアミドを多く摂取した者ほど発癌傾向が高まるというような疫学的な知見が固まっているものでもないという段階と言える。ただし、2007年のオランダでの疫学調査では、食品からのアクリルアミドの摂取量が多いグループで、一部の癌の発症率が統計的に有意に高いことが示されている[11]

アクリルアミドは合成樹脂や化学繊維の原料として工業的に利用されており、動物での発癌性は比較的古くから知られていた。しかし、2002年にスウェーデン政府がストックホルム大学と共同で行った研究で、炭水化物を多く含む等を高温で焼くか、揚げることで、アクリルアミドが多く生成されることが発表され、ありふれた食品に同様の物質が存在することが驚きをもって伝えられた。

実際、その後の各国の研究機関の分析でもポテトチップスやフレンチフライにアクリルアミドが含まれることがわかっており、日本の国立衛生研究所の分析でも、フレンチフライ1kg当たりに512~ 784μgの含有が確認された。一方で、同様の類でも煮るような調理では生成されにくいことも明らかとなっている。

2010年のFAO/WHO合同食品添加物専門家会議 (JECFA) では、食品中に含まれるアクリルアミドの量を低減するための適切な努力を継続することを勧告している。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ なお、イラク戦争の折に、アメリカ合衆国の好戦的な姿勢に批判的なフランスへの抗議と皮肉の意を込めて、アメリカ合衆国議会の食堂では、フレンチフライをフリーダムフライ自由のフライ)と一時的に呼び変えていた。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g フレンチフライとフライドポテトの違いは?”. delishkitchen (2021年11月4日). 2022年5月21日閲覧。
  2. ^ 世界で一番フライドポテトを愛する国の、知られざるポテトの話
  3. ^ 「フライドポテト発祥バトル ベルギーvsフランス」『読売新聞』朝刊2018年8月26日(国際面)。
  4. ^ HOW-TO ベルギー人と仲良くなる10の心得 外資系転職求人情報 Ecentral 英語を活かすグローバル企業で働くための求人求職サイト Ecentral Career Center
  5. ^ a b 10 Things You Didn't Know About Belgian Fries, "The importance of condiments"の節。
  6. ^ Rombauer, Irma S.; Becker, Marion Rombauer; Becker, Ethan; Maria Guarnaschelli (1997). Joy of Cooking. Simon and Schuster. p. 1113. ISBN 9780684818702.
  7. ^ 日本食品標準成分表2010』
  8. ^ 原料に関する事実(ingredients facts list)
  9. ^ 加工食品中アクリルアミドに関するQ&A(厚生労働省)
  10. ^ 食品中のアクリルアミドに関する情報(農林水産省)
  11. ^ Hogervorst, J. G., Schouten, L.J., Konings, E.J., Goldbohm, R.A., van den Brandt, P.A., A Prospective Study of Dietary Acrylamide Intake and the Risk of Endometrial, Ovarian, and Breast Cancer., Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention. 16, 2304-2313 (2007)

関連項目[編集]