ごみ問題

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産業廃棄物の野焼き
海岸に漂着したごみ

ごみ問題(ごみもんだい)とは、経済活動や災害において発生したごみ廃棄物一般廃棄物産業廃棄物を含む)に関する問題のこと。近年、ゴミが出続けていることが、問題ということになるときもある。

ごみをめぐる主な問題[編集]

不法投棄の問題[編集]

適正な正規の処分を行わず、人目に付きにくいところに捨てる不法投棄が行われている。犯罪だが、直接的な取り締まりが難しいことから、未然防止及び排出者責任を強化してきている。

日本[編集]

不法投棄の対策を促進するため、2003年度から10年間の時限法である産廃特措法特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法)が制定された。

2005年現在で、不法投棄された産業廃棄物は少なくとも1500万トン以上であり、その処理には1兆円以上の税金が必要となると環境省は試算している。

排出者責任と廃棄物のモニタリングについてはマニフェスト制度も参照のこと。

フィリピン[編集]

フィリピンでは1999年の大気浄化法によりごみ焼却炉の非合法化が行われ、指定されたごみ収集所への集積が義務付けられたが、同時期に従来使用されていた処分場が水質汚染等によって次々と閉鎖され、収集ごみが空き地や河川に不法投棄される事態が起きた[1]

ごみ焼却の問題[編集]

塩素を含む廃棄物の焼却によってダイオキシンが発生することが問題視されてから、焼却についてもさまざまな規制が行われるようになってきている。

日本では自治体などで廃棄物の野焼きが禁止されている。廃棄物の自区域内処理の政策により、ダイオキシン類の排出対策ができない焼却炉の廃止、対策済み炉の新設も進んでいる。

フィリピンでは1999年の大気浄化法によりごみ焼却炉の非合法化が行われ、指定されたごみ収集所への集積が義務付けられた[1]

処分場の問題[編集]

人が経済活動をしていく上で、ごみ(廃棄物)は必ず発生するものであり、これらを焼却処理した場合でも最終的には焼却灰が発生し、いずれもこれらを埋立する場所(最終処分場)が必要となる。

日本における最終処分場問題[編集]

最終処分場へ運び込まれる廃棄物には、重金属ダイオキシン類などの有害物質を含むものもあり、このような有害性の高い廃棄物については特別管理産業廃棄物に区分され、周辺への安全性の確保から、特別な構造基準により設置がされている。しかしながら、構造基準制定前の緩い構造基準で造られた処分場や、既設のミニ処分場・自社処分場(設置構造基準がない)から、有害物質が一般環境中に拡散する問題が各地で発生し、また環境基準には設定されていない物質(樹脂の可塑剤内分泌攪乱化学物質)など)についても既設処分場から一般環境中へ拡散する問題が発生している。

最終処分場が設置されている地域が水源地に近い山間部に設定されている場合が多く、水資源への汚染を恐れた市民により、新設反対や既設改善運動がたびたび起きている。最終処分場の確保については自治体にとっても大きな問題となっている。

フィリピン[編集]

フィリピンでは2000年代にはマニラ首都圏で1日約6000tのごみが排出されていた[2]。ごみが不法投棄されたり街からの収集が進まず放置されることもあり、2000年7月には200人以上の犠牲者を出したともいわれるパヤタスごみ崩落事件が発生している[1]。2001年には固形廃棄物管理法が制定された[1]

マレーシア[編集]

マレーシアで稼働中の最終処分場は2001年には168か所であったが、その大部分は野ざらしの状態であり土壌汚染や地下水汚染が懸念されている[3]

医療廃棄物の問題[編集]

感染症に関する問題により医療器具の使い捨てが進むなかで、医療廃棄物[4] が適切な処理・処分がなされず、各地で発見されていた。不法投棄(下記の「不法投棄の問題」参照)の取り締まり強化に合わせ、古い廃棄物(感染性廃棄物の区分規定がない以前は、不燃物などとして処理・処分が行われており、安定5品目とされていたケースもあった)が発見される以外、新しい不法投棄は減ってきている。

建築廃棄物の問題[編集]

コンクリートや木材などは産業廃棄物処分場に大量に搬入されていたため、2002年度より建設リサイクル法がスタートして対策が始まった。日本の住宅は英国が75年、米国が44年で建て替えるのに対し、26年と短い周期で建て替えられていることが知られている[5]。このため、政府与党では初期投資は高くても住宅寿命を伸ばせるような住宅を支援するために、200年住宅ビジョンを検討している[6]

ごみをめぐる主な対策[編集]

ごみの減量[編集]

落ち葉が20年、繊維が50年で土になるのに対し、多くのプラスチック製品は分解に数千年を要するため、廃棄量そのものを減らす取り組みも必要となっている。

ごみ収集の有料化[編集]

公共経済学を根拠に、処理費用の内部化であるとして援護する動きも手伝い、日本ではごみ収集にあたって有料化を実施している自治体が増えている。その反面、ゴミ分別を厳しく課すがゴミ収集は有料になっていない横浜市のような自治体もある。[7] 有料化に踏み切った自治体は一時的にゴミ収集量が大幅に削減されることが多い。ただし、その後しだいに排出量が増加して、もとの排出量に戻ってしまうリバウンド現象が発生する。有料化の徴収方法は以下の通りである。

定額制[編集]

ごみの排出量に関係なく、世帯または世帯員一人当たりに付き一定額を負担する方法である。

従量制[編集]

ごみの排出量に応じて処理手数料を負担する方法である。

生ごみ処理の助成 [編集]

日本の自治体では生ごみ処理機もしくはコンポストの購入に助成金する制度を導入しているところもある。一方、制度を取り入れていたが、収支不足で打ち切った自治体もある。

減量の成果の公表 [編集]

日本の自治体では、具体的な数字によって有料化による減量の成果を公表している所もあり、東京都武蔵野市新潟県新潟市などが公表している。無料のままの自治体でも、埼玉県朝霞市飯能市入間市新座市吉川市が詳細なデータを公表している。

資源のリサイクル[編集]

リサイクルを行うためにもエネルギーが必要であり、単純にリサイクルをすれば環境に良いとは限らないので注意が必要である。一般に、エネルギー消費量の削減には、リデュースリユース再利用)・リサイクルの順に効率が良い。

ごみの中には資源として使用可能なものもある。有価物の純度を下げないことが、リサイクルの鍵であり、そのためにゴミの分別が行われている。ごみ分別の方法は市町村によって異なっているが、最も分別が多い例では、徳島県上勝町ではごみを34分類まで増やしている[8]。また、それらを確実にリユースリサイクルするための仕組みを作り上げることが課題となっている。中国等へ輸出されたあと、有効利用されないケースもあり、世界的な環境汚染問題が発生している。

これらの方式も含めたリユースリデュースリサイクルの事は、一般に3Rとよばれている。

更に、自動車のリサイクルに関しては

また、飲料容器については

リサイクル以外の有効利用[編集]

生ゴミや汚泥などの廃棄物に関しては、バイオガスとしての利用なども進んでいる

主なごみ問題[編集]

  • 豊島産廃問題 - 産廃特措法適用。香川県豊島に産業廃棄物50万トンが不法投棄され、業者が摘発された。
  • 上内間木産廃問題 - 埼玉県朝霞市上内間木新河岸川河川敷に産業廃棄物(推定10,000㎥以上)が不法投棄され、犯人の特定が出来ずに時効が成立した。ドラム缶にはPCBなどの有害物質とトリクロロエチレンテトラクロロエチレン等の揮発性有機溶剤(特定有害産業廃棄物に規定されている有害物質)が多く含まれている事が判明した[9]
  • RD社産廃問題 - 滋賀県栗東市内の最終処分場から高濃度の硫化水素ガスが検出され地下水汚染も問題となった。同県は改善命令を出し是正工事を完了させたが、その後の調査で有害物質の入ったドラム缶が埋められていることが判明した(不適正保管)。同県は同社に対して撤去等を命じたが経営破綻により同社の対応が見込めなくなった[10]
  • 藤前干潟問題 - 愛知県名古屋市で、藤前干潟を干拓してごみ処分場を作る計画であったが、ストップがかかった。
  • 札幌ごみ問題 - 北海道の札幌市清田区で、森林に約300mにわたって車やタイヤ等を不法投棄され、通称ごみロードと名づけられた。2008年2月12日に古物商が逮捕された。
  • 小金井市ごみ問題 - 東京都小金井市におけるごみ処理について、二枚橋清掃工場の閉鎖に伴い「新たな地方公共団体と共同処理」と決定後も、小金井市民は蛇の目跡地への建設に反対し役場もごみ処理方法を決定する事なく、ごみ処理が不可能となった。そのため、ごみ緊急事態宣言をしタウンミーティングを行うものの進展がなく、新たに選ばれた小金井市長もごみ処理について不適切な発言をして協力を申し出ている近隣各市や市民の反発を招いた事から着任直後に退職した。このように都知事を巻き込むなど日本全国のマスコミをにぎわす事態となり、その後に近隣だけではなく離れた地方自治体などが自前のごみ処理容量残り枠を工面して援助を申し出ているものの、小金井市役所市民ともごみ処理について新たな行動を起こすに至っておらず、小金井市におけるごみ処理については、20年以上も問題が続いて解決の見通しが立っていない。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 『アジア環境白書2003/04』 東洋経済新報社2003年、265頁。
  2. ^ 『アジア環境白書2003/04』 東洋経済新報社2003年、264頁。
  3. ^ 『アジア環境白書2003/04』 東洋経済新報社2003年、285頁。
  4. ^ 医療廃棄物とは、日本の廃棄物処理法では「感染性廃棄物」と言い「特別管理廃棄物」に区分される。この区分ができたのは、平成4年の改正からである。それ以前は、平成元年11月13日付け衛環第174号厚生省水道環境部通知「医療廃棄物の適正処理について」があったが、さらにそれ以前は特に規定はなかった。なお特別管理廃棄物とは「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」として規定され、必要な処理基準を設け、通常の廃棄物よりも厳しい規制を行っている。感染性廃棄物は、排出される施設により「感染性一般廃棄物」「感染性産業廃棄物」に分けられている。
  5. ^ 平成8年国土建設の現状(旧建設省)
  6. ^ 200年住宅ビジョン
  7. ^ Re-Style 特集019 part1ごみの分別
  8. ^ 日本経済新聞2005年5月5日
  9. ^ 新河岸川産業廃棄物処理対策-埼玉県
  10. ^ “経営破綻したRD社=㈱アール・ディエンジニアリングの残した有害物質対策”-滋賀県・最終処分場特別対策室

関連項目[編集]

外部リンク[編集]