ショウガ

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ショウガ(クロンキスト体系
Koeh-146-no text.jpg
ショウガ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: ショウガ目 Zingiberales
: ショウガ科 Zingiberaceae
: ショウガ属 Zingiber
: ショウガ Z. officinale
学名
Zingiber officinale
和名
ショウガ
英名
Ginger

ショウガ生姜、生薑、薑。学名はZingiber officinale)はショウガ科多年草であり、野菜として食材に、また生薬として利用される。

由来[編集]

熱帯アジアが原産という説が最も有力だが、野生のショウガが発見されたことがないためショウガの原産地は厳密には不確定である[1]。長い間インドのポンディシェリの近くにgingi地方という地域があって、そこがショウガの原産地と考えられていた。それがラテン語のジンジベル(Zingiber)の語源という説もあったが、今日ではサンスクリット語のショウガ(cringa-vera)のペルシア語訳(dzungebir)が語源と見られている[2]

インドでは紀元前300-500年前にはすでに保存食や医薬品として使われ、中国でも論語の郷党編の中で孔子の食生活にはじかみの記述があり、紀元前650年には食用として利用されていたことが伺われる。ヨーロッパには紀元1世紀ごろには伝わっていたとされる。しかしヨーロッパは気候が栽培に向かず、産物として輸入はされたが古代ギリシア人ラテン人も料理にショウガを活用することは少なく、主に生薬として利用した。

日本には2-3世紀ごろに中国より伝わり奈良時代には栽培が始まっていた[3]。『古事記』に記載があるように早くから用いられている。古くはサンショウと同じく「はじかみ」と呼ばれ、区別のために「ふさはじかみ」「くれのはじかみ」とも呼ばれた。また、大陸からミョウガとともに持ち込まれた際、香りの強いほうを「兄香(せのか)」、弱いほうを「妹香(めのか)」と呼んだことから、これがのちにショウガ・ミョウガに転訛したとする説がある。

中世のヨーロッパではショウガの需要がコショウに匹敵するほど高まった。14世紀のイギリスでの相場はショウガ1ポンド(約450グラム)でヒツジ一匹の価格に相当した。ヨーロッパ人が植物としてのショウガを初めて見て記録したのは、13世紀にマルコ・ポーロがインド・中国で見た時のものが初めてであるという。15世紀末に新大陸が発見されると、ショウガはすぐに栽培作物として持ち込まれ、16世紀半ばには西インド諸島はショウガの産地となった[4]

特徴[編集]

ショウガは地下に根茎があり、地上には葉だけが出る。葉はまっすぐに立った茎から両側に楕円形の葉を互生したように見えるが、この茎はいわゆる偽茎で、各々の葉の葉柄が折り重なるように巻いたものである。花は根茎から別の茎として出て、地上に鱗片の重なった姿を見せる。花はその間から抜け出て開き、黄色く、唇弁は赤紫に黄色の斑点を持つ。ただし開花することは少ないため、根茎による栄養繁殖が主である[5]。このため、品種の分化は少ない。

ショウガの根茎は、ジンゲロールショウガオールに由来する特有の辛味とジンゲロンジンギベレンに由来する独特の香りを持つ。産地により香りの傾向が異なり、アフリカ産は樟脳のような匂い、インド産はシトラールの匂いに特色がある。

ショウガの生産はインド、中国、ネパールが盛んであり、その次にナイジェリア、タイと続く[6]

分類[編集]

11.5kgの巨大なショウガ
はじかみ

根生姜・葉生姜・矢生姜[編集]

ショウガは栽培・収穫方法により根生姜、葉生姜、矢生姜(軟化生姜)に分類される[7][8]

  • 根生姜 - 地下の塊根部分を食用とするもの[7]
  • 葉生姜 - 根茎が小指程度の大きさにまで成長した段階で葉が付いたまま収穫したもの[7][9]。葉生姜の一品種として谷中生姜東京都台東区谷中に因んだもので、この種の生姜がかつて特産品だったことによる)がある。
  • 矢生姜 - 軟化栽培し15cm程度に成長したところで太陽に当てて茎元が紅色になったところを収穫するもの[7]。筆生姜、芽生姜、一本生姜、軟化生姜ともいう[7][9][8]。「はじかみ」として焼魚の添え物(艶やかな色合い・毒消し・香り付け)として重宝されている[7]

大生姜・中生姜・小生姜[編集]

ショウガは大きさ別に見ると大生姜・中生姜・小生姜の3種類に分けられる[7]

  • 大生姜 - ショウガの晩生種[8]。1個の大きさが1kgにもなることがあり品種としておたふく・印度などがあり国内生産量の93.6%を占める(2009年生産流通消費統計課)
  • 中生姜 - ショウガの中生種[8]。1個の大きさが500g前後で品種として三州生姜・黄生姜などがある
  • 小生姜 - ショウガの早生種[8]。1個の大きさが300g前後で品種として金時生姜谷中生姜などがある。

利用[編集]

食材[編集]

掘り上げたばかりのショウガ

ショウガは主に香辛料として使われる。日本料理ではすりおろすか、すりおろしたものを醤油と合わせて生姜醤油とするか、千切りにする(針生姜)か、刻んで振りかける使い方が多い。冷奴素麺アジ寿司たたきなどに生姜は欠かせない薬味とされている。地方独特の使用例では、姫路市おでんを生姜醤油で、青森市では生姜味噌で食べる習慣がある。そのほか、カレー酸辣湯などの料理にさわやかな辛味をつけるのに用いられる。

日本料理中華料理では料理の臭味を消すためにも多用される。煮物炒め物スープ薄切りしたものを加える事が多い。

ショウガの根茎をそのまま食べるものとして、砂糖で調味した生姜の甘酢漬けや、梅酢で漬けた紅生姜がある。薄くスライスした甘酢漬けは寿司と共に出され、符牒ではガリと呼ばれる。紅生姜は、細かく刻んで焼きそばたこ焼きなどに加えたり、ちらし寿司牛丼などに添えられる他、新生姜を皮を剥いただけの根茎のまま酢漬けしたものもよく出回り、そのままでも食べられる。関西の一部地域では薄く切って天ぷらの定番食材として用いられている。

ショウガの芽を湯通しして甘酢に漬けたものを、はじかみあるいははじかみ生姜という。焼き魚等に彩りや口直しとして添えられる。端が赤いことから「はし赤み」が転じて「はじかみ」になったといわれる[要出典]。または、「はじかみ」とは顔をしかめる意で刺激的な味を表す語に由来するとも言われる[10]。また、根茎に砂糖を加えて煮てから、さらに砂糖をまぶした砂糖漬けも作られる。

生姜飴生姜糖葛湯冷やし飴(飴湯)、ジンジャーエール生姜茶(センガンチャ)などの材料として、甘い味と合わせて用いる事も多い。

欧米や中東諸国では乾燥させたドライジンジャーを利用することが多い。ジンジャークッキージンジャーブレッドなどの焼き菓子にも用いられる。

凝固剤[編集]

ショウガの絞り汁に含まれる酵素タンパク質凝固作用を利用する使い方がある。中国広東省広州市の沙湾鎮では、水牛乳または牛乳を約70℃に温め、砂糖で甘みを付けた中に絞り汁を加え、軟らかいプリン状に固めたデザート「薑撞牛奶」(広東語 キョンジョンアウナーイ)ショウガ牛乳プリンが名物として作られている。現在は香港マカオ等にも広まり、甘味処などで食べることができる。

沙湾の近隣の仏山市順徳区でも牛乳プリンに加えることもあるが、この場合は凝固剤ではなく風味付けである。

生薬[編集]

ショウガの根茎は生薬として生姜(しょうきょう)と呼ばれ、中国では紀元前500年頃から薬用として利用されている。発散作用、健胃作用、鎮吐作用があるとされる。発散作用は主に発汗により寒気を伴う風邪の初期症状の治療に使われ、健胃止嘔作用は胃腸の冷えなどによる胃腸機能低下防止などに使われることが多い。辛温(辛味により体を温める)の性質を持つため、中医学で言われる熱証(熱を持ちやすい体質)には用いない。大棗との組み合わせで他の生薬の副作用をやわらげる働きがあるとされ、多数の方剤に配合されている。表面の皮を取り去り、蒸して乾燥させたものは乾姜(かんきょう)と呼ばれる。興奮作用、強壮作用、健胃作用があるとされる。生姜よりも熱性が強い辛熱の性質があるとされるので胃腸の冷えによる機能障害では乾姜を使う場合が多い[10]

日本薬局方においては、単に乾燥させた根茎を生姜(しょうきょう)、蒸してから乾燥させたものを乾姜と区別している。なお、乾生姜(かんしょうきょう)とは、新鮮な生姜(鮮姜、せんきょう)に対して区別する言葉として使用されており、日本薬局方の「生姜」と同じものである。また、生姜を加えた葛湯は、体を温めて、免疫力を高めるため、風邪の民間療法によく用いられる[10]

殺菌効果に対する誤認[編集]

日本では一般に殺菌効果があるとされている[11]。しかし、有効性があるとする報告は一部の細菌と大腸菌下痢に対するもの[12]や精製分離したジンゲロールなどの精油成分[13][14]である。主要食中毒原因菌のサルモネラ菌カンピロバクタービブリオ属菌、黄色ブドウ球菌に対し搾汁液[15]やチューブ入り摺り下ろし加工品[16]での発育阻止作用を調べた試験では、効果が無いことが報告されている[15]。一方、生のショウガとして見た場合、他の含有成分(アスコルビン酸など)の影響により大腸菌に対しては菌生育促進効果が有ることが報告されている[17]。また、酒造酵母の増殖を促進する効果も報告されている[13]。ただし、甘酢漬け品(ガリ)では、食酢が増殖抑制作用(抗菌作用)をもたらしている[18]

参考文献[編集]

  • 遠藤栄、遠藤栄一、『ガリ屋がまとめた生姜の話』 2011年 創元社
  • バーバラ・サンティッチ; ジェフ・ブライアント; 山本紀夫訳 『世界の食用植物文化図鑑』 柊風社、2010年ISBN 9784903530352 
  • マグロンヌ・トゥーサン=サマ; 玉村豊男訳 『世界食物百科』 原書房、1998年ISBN 4562030534 

出典[編集]

  1. ^ サンティッチ,ブライアント 2010, p. 283.
  2. ^ トゥーサン=サマ 1998, pp. 514-515.
  3. ^ 遠藤栄『ガリ屋がまとめた生姜の話』32-37頁
  4. ^ リュシアン・ギュイヨ著 池崎一郎、平山弓月、八木尚子訳『香辛料の世界史』、白水社、1987年、pp102-105
  5. ^ 青葉高著「日本の野菜」八坂書房、2000年、196頁
  6. ^ 伊藤慎吾、シャンカール・ノグチ監修『世界で使われる256種:ハーブ&スパイス事典』、誠文堂新光社、2013年、p77
  7. ^ a b c d e f g 野菜ブック しょうが”. 農畜産業振興機構. 2013年4月16日閲覧。
  8. ^ a b c d e やさい図鑑(根菜類)”. 愛知県. 2013年4月16日閲覧。
  9. ^ a b ちば旬鮮図鑑 ちばの葉しょうが”. 千葉県. 2013年4月16日閲覧。
  10. ^ a b c 仝選甫「薬食兼用の天産物 No.12 生姜(ショウガ)」『漢方医薬新聞』2009年12月10日、12面。
  11. ^ 食中毒と野菜のもつ抗菌/殺菌作用について
  12. ^ Chen, Jaw-Chyun; Li-Jiau Huang, Shih-Lu Wu, Sheng-Chu Kuo, Tin-Yun Ho, Chien-Yun Hsiang (2007). "Ginger and Its Bioactive Component Inhibit Enterotoxigenic Escherichia coli Heat-Labile Enterotoxin-Induced Diarrhea in Mice". Journal of Agricultural and Food Chemistry 55 (21): 8390–8397. doi:10.1021/jf071460f. PMID 17880155. 
  13. ^ a b 池内慧士郎、酵母の増殖・醗酵特性に及ぼすショウガの作用に関する研究 (PDF)
  14. ^ Ethnopharmacologic investigation of ginger (Zingiber officinale) Journal of Ethnopharmacology Volume 27, Issues 1–2, November 1989, Pages 129–140
  15. ^ a b 宮川豊美、川村一男、食中毒菌に対する香味野菜の発育阻止作用 The journal of Wayo Women's University 29, 13-19, 1989-03-31, ISSN 09160035
  16. ^ 高橋大輔、鈴木隆、加藤良一、食品の持つ抗菌性を調べる実験の教材化 : 山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science (2010) Vol.15 no.1 p.1 -20, ISSN 0513-4668
  17. ^ 野田克彦、磯崎さとみ、谷口春雄、スパイス類の大腸菌増殖抑制と促進効果 日本食品工業学会誌 Vol.32 (1985) No.11 P791-796
  18. ^ 円谷悦造、浅井美都、太田美智男、調理食品での腸管出血性大腸菌O157:H7をはじめとする食中毒菌に対する食酢の抗菌作用 日本栄養・食糧学会誌 Vol.51 (1998) No.2 P101-106

関連項目[編集]

外部リンク[編集]