竹林

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竹林(たけばやし、ちくりん)は、 で構成されたである。竹藪(竹薮、竹籔、たけやぶ、たかやぶ)とも言う。古来、日本人生活文化に深くかかわってきた。

概要[編集]

竹は地下茎がよく横に這い、随所から地上にを伸ばすため、多くの場合、ほぼ単独種からなる群落を作る。これを一般に竹林と言う。竹は一般の樹木とはその姿も性質も異なる。竹の幹は丈夫ではあるが肥大成長はせず、せいぜい両手に収まる程度の太さのものが一面に並ぶ。竹は繁殖力が強いうえ、成長が速く地表への日光入射を妨げるため竹藪には他の植物が生えにくく[1]、竹が密生した独自の景観を作る。林床には竹のだけが一面に広がるが、一般の樹木ののように黒っぽくならないため、竹林全体がほの明るい印象となることが多い。

日本の竹林総面積は約16万7000万ヘクタールと、2017年までの10年間で約8000ヘクタール増えた(林野庁による)[1]。このように竹は日本でごく普通に見られるが、ほぼ全ての帰化植物と考えられる。一部の種には日本野生説もあるが、ほとんどは中国原産である。は日本産のものが多くあり、地方変異も数多い。モウソウチクを除く種の多くは、その地域でしか生育しないことが多いが、その理由は不明である。

特有の生物相[編集]

先述のように竹林は日本古来の植生ではないが、独特の生物相を持つことでも知られる。一部の腐生植物ラン科のもの(ヤツシロランなど)には、往々にして竹林に出現するものがある。キノコ類でも、キヌガサタケなどがよく竹林に出現するものとして知られている。一方で前述のように、他の樹木や草の生育を妨げがちである。動物では、イノシシタケノコ(筍)を食べるために現れる[1]

中国文化[編集]

日本の竹林[編集]

嵯峨野の竹林
ライトアップされた竹林(高台寺

古事記』や『万葉集』には竹に関する記述があり、古くから親しまれていたことが知られるが、当時の竹は多くはチシマザサ類を指すものであった。マダケのような現在親しまれている竹類については、一部に自生していたとの説もあるが、仮にそうであっても極めて珍しく、現在のような竹林はほとんどがそれ以降の中国からの持ち込み、栽培を元にしたものであると考えられている。

マダケ類は8世紀頃に持ち込まれ、当時はおそらく貴族の間だけで栽培され、多分に貴族の儀礼等と関係を持ち、また中国文化の受容の目的で栽培されていたとの説もある。たとえば『竹取物語』において求婚者が全て貴族であるのも、このためと考えることもできる。一般に広く見られるようになったのは16世紀以降と考えられている。

竹林と日本の文化・社会[編集]

竹林は古くから日本人の生活・産業芸術などに深い関わりを持ってきた。現在でも郊外などで、平地と里山を結ぶ緩衝地帯などに多くの竹林を見ることができる。アジア圏の多くの国々でも竹は貴重な天然資源として利用されているが、日本では庭園を構成する要素の一つとしても重宝されるなど、竹林の織り成す景観は日本の風土を象徴するものの一つとなっており、特に京都寺院や郊外の景観を形づくる要素の一つとして大きな比重を担ってきた。春には竹林に入り、筍を掘るのは日本の風物詩の一つである。また、日本画水墨画のモチーフとしてもしばしば用いられ、多くの文人墨客が竹林の持つ独自の繊細なイメージから多くのインスピレーションを受けてきた。

また、視覚のみならず、風が竹林を通り抜ける際のざわめきは日本人の耳には心地よく響き、風情を感じさせるものとして俳句和歌などに歌われ、多くの文学者画家などの想像力を刺激してきた。旧環境庁の「残したい日本の音風景100選」(京の竹林)にも選ばれるなど日本人の感性を象徴するものの一つとも言えよう。

京都府八幡市石清水八幡宮境内の竹林のマダケは、エジソン1882年白熱電球フィラメントとして利用したことで知られる。この竹林からは電球発明の翌年から10数年もの永い間、多くの竹がアメリカのエジソン工場に輸出され、炭素白熱電球の生産に利用された。境内にはエジソンの記念碑が建つ。記念碑は中央にエジソンのリレーフを、向かって右側には「The memory of Thomas Alva Edison 1947-1931」と、左側には「Genius is one percent inspiration and ninety nine percent perspiration 英知は1%の着想と99%の努力」と彫られている。

その他にもマダケはその真っ直ぐでしなやかな特性を生かして竹細工、建材、家具釣竿などに最も多く利用されてきた。大分県のマダケは面積、生産量とも全国一のシェアを占めており[2]別府市周辺の別府竹細工日田市竹箸など、大分県では豊富な竹材を利用した竹工芸が歴史的に盛んである。

現代では、プラスチックなど竹に代わる素材の普及、外国産の安い竹材・筍の輸入、地方の過疎化高齢化などにより、適正に管理されない竹林が広がっている。こうした放置竹林の拡大は他の植物を圧迫するうえ(生物多様性の低下)、後述するように地滑り被害にもつながりかねない[1](「竹害」参照)。このため、竹を伐採して樹木(クヌギイチョウなど)に植え替えたり、竹を竹炭竹紙バイオマス発電燃料などに加工したりする取り組みが行われている地域もある[3]

竹林と災害[編集]

竹は旺盛な繁殖力を持つため、筍から2 - 3か月で成竹になってしまい、あっという間にその土地を覆い尽くす。「竹は切ることが植えること」ともいわれる由縁である。竹の地下茎は浅く、地表付近を横に這うように広がり、地下茎には「ヒゲ根」がびっしりと生えており、この「ヒゲ根」が地面をしっかりと保持するため、よく管理された竹林は優れた防災効果を上げてきた。古来、竹林を背にした家が多いのも日本人が経験的にそのことを知っていたからに他ならない。

上記の防災機能は主として地震(に伴う地すべりなどの二次災害)に対してで、地表をしっかりと覆う根茎が地面を押さえることによる。他方で集中豪雨など際しては、むしろ地滑りを引き起こしやすくする面がある。竹は根が土中に30センチメートル程度までと深く入り込まないため、大雨が降ると雨水が地表近くを流れ[1]、竹林のある斜面全体が滑り落ちるような崩れ方をする例がある。

その他[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 「荒れる竹林 迫る地滑り/過疎化で放置 急拡大」『読売新聞』夕刊2019年1月10日(社会面)。
  2. ^ ひらまつもりひこ分権文化論 第27話 竹の共通性-アジア各国の協力テーマに-平松守彦、2008年4月25日閲覧)によれば、約42%(2001年時点)。
  3. ^ 地域・企業 対策急ぐ/竹炭に加工「有効利用」『読売新聞』夕刊2019年1月10日(社会面)。

 

参考文献[編集]

  • 『植物の世界』 岩槻邦男他監修、朝日新聞社〈朝日百科〉、1997年10月。ISBN 4-02-380010-4

関連項目[編集]

外部リンク[編集]