集中豪雨

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集中豪雨時の雨粒
集中豪雨の一例

集中豪雨(しゅうちゅうごうう)とは、局地的短時間強い雨、つまり限られた地域に対して短時間に多量のが降ることを言う。現在の日本においては一般にも学術用語にも用いられるが、雨量などに基づいた定量的な定義はない[1][2]

用語[編集]

日本の気象庁は以下の2つの用語を使い分けているが。一般的にはどちらも「集中豪雨」と呼ばれる[3]

  • 局地的大雨 - 単独の積乱雲によりもたらされる、数十分の短時間に、数十mm程度の雨量をもたらす雨[4]
  • 集中豪雨 - 積乱雲が連続して通過することによりもたらされる、数時間にわたって強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨。局地的大雨が連続するもの[5]

本項ではこの両方について述べる。なお気象庁は、災害の恐れのある雨を「大雨」[6]、著しい災害に至った雨を「豪雨」[7]と呼んでいて、「豪雨」「集中豪雨」は過去の災害に対してのみ用い、(予報の場面などの)これから起こる大雨に対しては用いない[5][7]

学術的には、「大雨」は単に大量の雨が降ること、「豪雨」は空間的・時間的にまとまって災害をもたらすような雨が降ること、「集中豪雨」は空間的・時間的な集中が顕著な豪雨を指すとされるが、区別は明確ではない[2]

似たような言葉として、雨の降る範囲に関係なく短い時間に多くの雨が降る事を指す「短時間強雨」[8]、雨の継続時間に関係なく狭い範囲に多くの雨が降る事を指す「局地豪雨」、予測が困難な突発的な大雨を指す「ゲリラ豪雨[9]がある。これらは、集中豪雨とされる事例に対しても用いられる場合がある。

集中豪雨の概念は各国共通のものではないが、類似語がある。英語には突然の激しい雨、土砂降りを意味する"cloudburst"という言葉がある[10]。韓国語では日本語がそのまま移入され"집중호우"(集中豪雨)として用いられている。

集中豪雨という用語が初めて公に使用されたのは、1953年8月14日-15日にかけて京都府の木津川上流域で発生した雷雨性の大雨(南山城豪雨)に関する、1953年8月15日の朝日新聞夕刊の報道記事とされている。この報道以降、主に新聞などで使われはじめ、一般語としても気象用語としても定着していった[11][1]。また、用例はあったが普及していなかった「ゲリラ豪雨」という呼称は、集中豪雨が日本国内各地で続発した2008年夏以降一般に広く使用されるようになった[注 1]

メカニズム[編集]

一般的に、地面に対して水平方向に発達する層状の雲(乱層雲など)に比べて、地面に対して垂直方向に発達する積雲積乱雲の方が、激しい雨(驟雨)をもたらす。これには、積雲や積乱雲の内部の対流(積雲対流)が関係している。積雲や積乱雲がもくもくと発達して急激に雲頂の高さを増すことからも分かるように、積雲対流中の上昇流の速度は他の循環による上昇流に比べて桁違いに大きく[注 2]、これによって雲中で雨粒や氷晶の急激な発達が起こり、激しい雨となる[12]

にわか雨と局地的大雨・集中豪雨の違い[編集]

発達した積乱雲の例(スペースシャトルより撮影)。こうした雲の発達のほか、世代交代、移動経路などが豪雨になるかならないかを左右する。

先の説明の通り積雲や積乱雲は激しい雨をもたらすものの、そうした雨の多くは、散発的で急に降りだしてすぐ止んでしまう一過性の雨(にわか雨[注 3][13])である[14]。例えば、日本の場合はに散発的な積乱雲が発生しいわゆる夕立をもたらすが、その多くがにわか雨で、夕立の積乱雲のすべてが集中豪雨を降らせるわけではない[3]

これは、にわか雨の時には、複数の積乱雲の塊(降水セル)が雑然と集まっていてそれぞれが独立的に活動しているからである。このようなタイプの降水セルをシングルセル(single cell, 単一セル)といい、雷雨の分類上は「気団性雷雨」という。上空が単一の気団に覆われていて、一般風[注 4]の鉛直方向でのシアーが弱いときに発生しやすい[14]

降水セルの大きさはふつう、水平方向に5-15km、寿命はおおむね30-60分ほどで、雨はその中でも30分程度しか続かない。そのため、降水セルが雑然と集まっただけでは雨が長続きしない[15][16]

しかし、大気が不安定であるなどの要因で積乱雲が発達すると、雨量が増して数十分で数十mm程度に達する。このような雨を気象庁の呼び方では「局地的大雨」という[4][3]

そしてさらに条件が整うと、1時間で数十mmの局地的大雨が数時間あるいはそれ以上継続し、総雨量が数百mmに達して気象庁が呼ぶような「集中豪雨」となる。その条件は、寿命が限られた積乱雲が世代交代をして次々と発生・発達し、かつその積乱雲群が連続して同じ地域を通過することである[3]

局地的大雨も集中豪雨も、1つ1つの積乱雲(降水セル)の寿命は30-60分ほどであるが、集中豪雨では積乱雲が世代交代ながら連続して通過することで大雨が数時間以上に亘る[15]。なお、特に前線や台風などで、豪雨をもたらす大気場がほとんど変化しない状況下、稀に十数時間から数日に亘って強い雨が続く場合もある。ただその場合も、雨量は例えば2-3時間の周期で増減するなど変化を示すことが知られている[17]

このような世代交代は、降水セルが線状あるいは団塊状にまとまるマルチセル型雷雨にみられるほか、単一の巨大な降水セル(スーパーセル)によるスーパーセル型雷雨にも見られる。マルチセル型雷雨はメソ対流系と呼ばれる複数セル間の相互作用により生じ、一般風の鉛直方向でのシアーが強いとき[注 5]に発生しやすい[18][14]

また、集中豪雨の範囲は、おおむね水平方向に2-200km(メソβ(ベータ)スケールからメソγ(ガンマ)スケール)程度である[19]。日本における梅雨前線帯での豪雨でも、個々の事象は概ね100km程度である。しかし年によっては、梅雨前線による豪雨が日本列島各地を右往左往しながら数週間もの長期に亘り断続的に豪雨をもたらすことがある(例えば、昭和47年7月豪雨などがある)[17]

マルチセルとスーパーセル[編集]

バックビルディングの模式図

数時間にわたって強い雨が続く「集中豪雨」をもたらしうるのは、既に述べたとおり積乱雲が世代交代するマルチセル型雷雨やスーパーセル型雷雨である[18][2]

マルチセル型雷雨の分類は研究者により異なる。Bluestein, Jain(1985)はアメリカ オクラホマでの気象レーダー観測をもとに、破線(Broken line)型・バックビルディング(Back building)型・破面(Broken areal)型、埋め込み(Embedded areal)型の4種類に分類されるとした[20][21]。これに対し、マルチセル・ライン(Multicell line)型とマルチセル・クラスター(Multicell cluster)型の2種に分けられるとする資料もある[22]。小倉(1991)はBluesteinらの分類を踏まえて1980年代の集中豪雨13例を分類し、ほとんどがバックビルディング型であることを報告している[23]。日本で発生する集中豪雨では、クラスター型も観測されているが、バックビルディング型のものが多い。

バックビルディング型とは、成長期・成熟期・衰退期など異なるステージの複数の降水セル(積乱雲)が線状に並びつつ一般風の方向に移動しており、成熟期や衰退期のセルからの冷気外出流により移動方向とは反対の風上方向に新たなセル(積乱雲)が生まれる[注 6]タイプのものをいう。日本の梅雨期の事例として、加藤、郷田(2001)は1998年8月上旬に新潟県下越佐渡で起きた集中豪雨(平成10年8月新潟豪雨)を解析し、梅雨前線上の一部で対流活動が一定以上継続すると収束が生じ、風上方向に新たなセルを生む原因になると報告している[23]

一方、その1998年下越・佐渡の集中豪雨では、降水帯の先端だけではなく側方からも積乱雲が湧き出す現象が観測された。小倉はこのタイプをBluesteinらの分類に倣ってバックアンドサイドビルディング(Back and Side building)と名付け、瀬古(2001)、津口、榊原(2005)らがこれを論文に用い、日本で用いられるようになっている[23]

これら2つはいずれも降水セルの長径方向と一般風の風向が近いものだが、降水セルの長径方向に対して一般風の風向が直角のマルチセルも存在する。これは一般的にはスコールラインと呼ばれるが、瀬古(2010)、草開ら(2011)は先述の名付け方に倣う形でスコールライン型と呼んでいる[24][25]

メソ対流系の階層構造[編集]

100-300km程度の大きさの積乱雲の大きな塊を雲クラスターという。熱帯ではよく見られるほか、東アジアの梅雨前線帯や北アメリカでも見られる。北アメリカのものは特にメソ対流複合体Mesoscale convective complexと呼ばれて研究が行われている。雲クラスターは更にメソβスケール(20-200km)、更にその中にもメソγスケール(2-20km)の対流システム(メソ対流系)があり、階層構造を持っている。これらの系は、大きな系が小さな系を強化させる時もあれば逆もあり、相互作用を持っている[26]

環境要因[編集]

基本的要因は次の通り。

  • 数時間続くような「集中豪雨」の環境要因
    • 上空の一般風が強く鉛直方向にシアーがあること。一般風が強いと線状のメソ対流系が発達する[16]
  • 1時間以内の継続時間で時間雨量100mmを超えるような猛烈な「局地的大雨」(いわゆる「ゲリラ豪雨」)の環境要因
    • 上空の一般風が弱く、かつ下層に相当温位が非常に高い領域があること。積乱雲が急速に発達する。一般風が弱いのは通常のにわか雨と同じ環境で、メソ対流系の様な組織化はあまり見られない[16]

集中豪雨が起きるとき、積乱雲が発達し、それがメソ対流系を形成して積乱雲が世代交代しながら同じ地域を連続して通過するような環境要因がいくつか挙げられる。次より3セクションに分けて説明する。

積乱雲の発達要因[編集]

積乱雲が発達する環境要因として、以下が挙げられる。すべてが揃わなくとも、例えば下層の相当温位が非常に高いときには上空に寒気が無くても積乱雲が発達するような場合がある[16]

  • 下層の相当温位が高いこと
    • 相当温位が高い(=暖かく湿った)大気が流れ込むことを暖湿流の流入という。相当温位が高い領域では、下層の収束などの働きで上昇気流が起こったときに、積乱雲が発生しやすく発達しやすい[注 7]。また、相当温位が高いほど雲底高度が低くなり、冷気域の広がりが抑えられる働きによって、積乱雲の世代交代が通常よりも親雲に近いところで起き、雨雲の移動が抑制される傾向にある[16]
    • なお、湿舌といって細長い舌の様な形をした相当温位の高い領域が現れることがあり、集中豪雨と関連があることが知られている。ただし、高度約3,000m(700hPa面)や約1,500m(850hPa面)における湿舌に限ると[27]対流活動が活発な領域を示しているに過ぎず、積乱雲が発達しやすい領域(集中豪雨が発生する可能性がある領域)はその南側に分布する。一方、高度約500m(950hPa面)に限る場合は積乱雲の発達が始まる層で相当温位の高い領域を直接示しており、積乱雲が発達しやすい領域に重なる。日本付近では、高度約500mで相当温位355K以上の領域では集中豪雨が発生する可能性がある[16][28]。特に、梅雨前線帯の集中豪雨の場合は、湿舌や下層ジェットが現れることが多い[29]
  • 上空寒気や乾燥した大気の流入があること
    • 上空の大気が周囲より冷たかったり乾燥していたりすると、下層の収束などの働きで上昇気流が起こったときに、積乱雲が発生しやすく発達しやすい[注 8]。上空では高緯度からの寒気が移流することがあるほか、気圧の谷が通過した時に下層からの乾いた上昇気流により気温が低下したり、高渦位域(寒冷渦)が通過した時に気温が低下したりする[16]
  • 下層に収束があること
    • 下層(地表から上空1,500m付近までの対流圏下部)に収束があることで、上昇流が発生し、積乱雲の発生・発達を促す。収束を発生させるのは、前線帯のほか、山脈などの地形による強制的な上昇流もがある[16]

メソ対流系の形成要因[編集]

メソ対流系の形成に関わる環境要因として以下が挙げられる。

  • バックビルディング型の環境要因
    • 下層と中層の風向が同じで、下層が弱く、中層が強いこと。下層では積乱雲消滅期に冷気域ができ、これに乗り上げる形で風上に上昇流ができて新たな積乱雲が発生する。下層の風が弱く冷気域の広がりが抑えられていればこれがほとんど移動しないため、長時間同じ所から雲が湧き続ける。一方、中層の強い風によって積乱雲本体は同じ方向に流されるづけるので長時間同じところに雨が降り続けることになる[30]
    • 下層と中層の風向が正反対であること。この場合でも長時間同じ所から雲が湧き続け、同じ所に雨が降り続ける。ただし、あまり起こらない。
  • バックアンドサイドビルディング型の環境要因
    • 下層の風向が、中層の風向に対して直角に近い方向であること[31]
  • スコールライン型の環境要因
    • 下層と中層の風向が正反対であること[32]

総観規模から見た環境要因[編集]

一般的な天気図で確認できる総観スケールの現象では、前線熱帯低気圧台風)、温帯低気圧寒冷低気圧(寒冷渦)[注 9]の付近で激しい雨が起こりうる。

前線の場合、前線面が地面に対して垂直に近い角度をとっているところの上空で、強雨をもたらす積乱雲が発達しやすい。これは前線を覆う幅の広い層状の雲の先端部で起こることが多い[33]寒冷前線付近に収束線や暖湿流が重なると積乱雲が発達しやすいが、温暖前線付近、例えば梅雨前線帯の低気圧に付随する温暖前線で集中豪雨が起こる例もある[2]

梅雨の時期には、東アジアを横切る梅雨前線帯の中、よく報告されている例では中国大陸付近で雲クラスターができ、これが東に進んでサブシノプティックスケール(1,000km程度)あるいはメソαスケール(200-1,000km)の低気圧に発達する過程で、その中の発達した積乱雲が集中豪雨をもたらすパターンがよくみられる。雲クラスターは気象衛星の雲画像で明瞭に確認できるが、集中豪雨が発現するのはその中の限られた部分である[2][26]

台風熱帯低気圧はそれ自体が相当温位の高い空気で構成されており、前線に近づくと集中豪雨を起こしやすい。また台風は移動速度が速いため全域で集中豪雨となることは少ないが、スパイラル・バンド外縁部降雨帯の積乱雲が連続して通過すると集中豪雨になりやすい。

地域による違い[編集]

降水の特性は気候により大きく異なる。ここでは世界の豪雨の特徴について述べるが、どの程度の雨量から豪雨となるかの認識が地域により異なることにも留意が必要である。

海洋性と大陸性[編集]

積雲対流は、凝結核が少なく過飽和度が高い海洋性と、反対に凝結核が多く過飽和度が低い大陸性に分けられる。海洋性は主に暖かい雨(凍結しない雨)のプロセスで雨粒が急速に成長し、高度10km以上に発達し激しい雨を降らす雲でも、下層で雨粒が発達する。ただし、特に貿易風帯では、上空に逆転層が発達するため雲の発達が抑えられ、高度2-3km程度までしか雲が発達しない例が少なくない。しかし、このような背の低い雲であっても、海洋性の場合は雨粒の発達が速いため時間雨量100mmに達するような猛烈な雨になる[33]

大陸性は主に冷たい雨(凍結する雨)のプロセスで雨粒が成長し、雲の上方でできた氷晶が上昇気流により落下と上昇を繰り返しとして成長した後、融けて雨粒として落下する。海洋性と違い、大陸性は上空高くまで発達しなければ激しい雨とならない。高度5km程度まで雲が発達しても時間雨量10mm程度とする文献もある[33]

他方、気団の状況によって下層が海洋性、上層が大陸性となる場合があり、このときは下層で急速な雨粒発達、上層で霰の発達という2つのプロセスが同時に進行して激しい雨となる[33]

地形性豪雨[編集]

周囲との高低差が大きい山脈の風上側斜面では、そのさらに風上にある平地に比べて雨量が多くなることが知られている。日本においては、山脈の南側斜面に多い。例えば昭和38年台風第9号による四国の総雨量を見ると、高知平野は200-400mmの地域が分布しているのに対して、四国山地はほとんどが400mm以上で1,000mmを超える地点もあるなど、明らかな差が出ている[34]

また、特定の地域特有の線状の降水帯が現れ豪雨となることがある。鹿児島県西方沖の甑島列島から伸びる「甑島バンド」、長崎県南部の諫早平野から伸びる「諫早バンド」、長崎県南端の長崎半島から伸びる「長崎バンド」などが知られている。いずれの地域も起伏があることから地形の影響により積雲対流が生じているのではないかという仮説が立てられているが、数値モデルによるシミュレーションにおいて肯定する報告もあれば否定する報告もあるなど、はっきりとは証明されていない[35]

気候学的な違い[編集]

熱帯雨林が広がる地域では熱帯収束帯(ITCZ)に沿う活発な積雲対流による激しい降水が一年を通して見られる。一方、雨季乾季がある熱帯サバナなどの地域では熱帯収束帯に入る雨季に同じような降水が見られる。緯度20-35度付近の中緯度の大陸東側では、夏季は亜熱帯高気圧の西縁となるため湿った南風により大気が不安定となり時折激しい降水がみられる一方、冬季は寒帯前線の南下により温帯低気圧が通過し稀に激しい降水が見られる。また緯度40-55度付近の高緯度の地域では寒帯前線に沿う温帯低気圧の活動が活発で稀に激しい降水が見られる[36]

また、雷雨の発生頻度からみても、熱帯雨林や熱帯サバナ地域では頻度がかなり高いほか、中緯度の大陸東側でも頻度が高い。前者は大気の不安定度が高く積雲対流が発達しやすいため、後者は特に夏季に対流圏下層で暖湿流が流れ込んで大気が不安定化しやすいため[注 10]である[36]。一方、海洋は前述と同じ緯度帯にあっても雷雨の頻度が少ないが[36]、その原因として海洋では積乱雲中での霰の形成が活発ではないこと(雷は霰の形成に密接に関わっている)が挙げられる[33]

単位時間当たりの降水量の極値で見ると、地球上では日降水量は約2,000mm、1時間降水量は約400mm、10分間降水量は約150mmがそれぞれ限界と考えられている。なお、数日間から1日間の極値は熱帯の地域、1日間から1時間の極値は亜熱帯の地域であるのに対し、1時間から1分間の極値は熱帯から中緯度まで様々な地域で記録されている[37]

激しい雨の時の大気場についても気候による差が見られる。日本では積乱雲の内外に亘って対流圏内が広く湿潤な場合が多い一方、大陸、例えばアメリカのテキサス州などでは対流圏内が全層に亘って乾燥していて雲域だけが湿潤な場合が多く、この環境で生じる積乱雲は雲頂高度が15kmにも達することが珍しくなく、大きな、メソハイの発達、強い下降気流など日本とは異なる特徴を有する。よって、気候の異なる地域の豪雨を扱う際には注意が必要である[38]

日本[編集]

日本における集中豪雨は、発生時期で見ると梅雨の時期、特に梅雨末期が多い[36]

また、梅雨明け後の盛夏期を中心に、太平洋高気圧の西の辺縁部で集中豪雨が起こる例がある。これは、この時期に多く現れる、高温高湿な東南アジア方面の熱帯モンスーン気団が暖湿流として高気圧沿いに流れ込む大気場において、何らかの要因で収束が生じると積乱雲が発達し豪雨となるためである。なお、上空の気圧の谷通過など別の要因がある場合もある[39]

地域的には、年間を通して見ると、1時間程度の短時間の局地的大雨は日本国内で広く見られる一方、1日程度続く長時間の集中豪雨は暖湿流が流れ込みやすい九州関東地方以西の太平洋側に多い傾向がある[40]。梅雨期に限ると、集中豪雨は西日本に多いが、東日本などでも起こらないわけではない[2][41]

単位時間当たりの雨量の極値で見ても、10分間雨量は国内どこも近い値であり差が小さい一方、1時間雨量は差が現れ始め、1日・24時間雨量になると南の地方ほど多く特に南側の斜面沿いの地点で多くなる傾向が顕著になる。これは、10分程度の短時間の雨量は単一の積乱雲に起因することに対して、長時間の雨量は積乱雲の連続通過に起因するためである。なお、10分間雨量の極値は可降水量に近い値になると考えられており、日本では40-50mm程度と考えられている[42]

降水量に占める豪雨のインパクト[編集]
6・7月の日降水量階級毎の降水量への寄与度
(1951-1980年平均)[43]
階級 鹿児島市 千葉県銚子市
日数 階級毎降水量 日数 階級毎降水量
>100mm/日 1.6日 B10.pngB10.png200mm 0.1日 B01.png10mm
50-100mm/日 3.6日 C10.pngC10.pngC05.pngC01.png260mm 0.9日 C05.png50mm
20-50mm/日 7.0日 G10.pngG10.pngG03.png230mm 3.4日 G10.png100mm
10-20mm/日 4.2日 Y05.png50mm 3.9日 Y05.png50mm
1-10mm/日 10.9日 M05.png50mm 11.9日 M05.png50mm
0.1-1mm/日 15.3日 R01.png10mm 16.8日 R01.png10mm
6・7月総雨量 約800mm 約270mm

大雨による降水はその地域の水環境に大きな影響力を持っている。大雨となる日数は少なくても、降水量に占める大雨の割合は高く、数か月間や年間といったより長い期間の期間降水量が大雨に大きく左右されるためである。その影響力は、降水量を一日を単位とした値(日降水量)により階級区分し、各階級に区分される日数の比率と、各階級の期間降水量に対する寄与度とを対比することで理解できる。例えば、日本の大部分で雨量が多い梅雨期(6-7月)に実際に降水量が多い九州・四国・本州についてみると、当該2か月間の降水量は、わずか数日間でその1/2が集中している。右表の鹿児島を例に説明すれば、期間降水量は800mmだが、5.2日間(日数で約8.5%)で全体の1/2以上を占める460mmの雨が降り、わずか1.6日間(約2.6%)で全体の1/4に当たる200mmの雨が降っている(日数、降水量はともに30年間平均の平年値)[43]

観測と予測[編集]

集中豪雨を実際に観測する方法は、主に気象レーダー雨量計である[18]

日本においては気象庁が、降水強度のみを観測するこれまでのCバンド降雨レーダーに代えて、降水強度の分布と降水域の風の両方の観測に適したデュアル・ドップラー・レーダーCバンド)を2013年までに国内全域に整備し、集中豪雨を含めた降雨の観測と予報に利用している。さらに、2000年代からは都道府県・市単位での高密度観測に適したXバンド降雨レーダーが都市部で主に下水処理管制の目的で運用されはじめ、国土交通省が集中豪雨対策で整備を行っているXバンドMPレーダーがカバー範囲を広げつつある。このほか、雲の観測に適したKaバンド降雨レーダーやWバンド降雨レーダー(雲レーダー)も研究用に運用されている[18][44]

レーダーは雨雲や降水強度の空間的分布を細密に観測できる半面、帯域にっては強雨時に減衰が強いため観測範囲が狭くなってしまったり、従来の非偏波レーダーは小さい雨滴が高密度で存在すると強度を過大評価してしまうなどの欠点がある。一方雨量計は、レーダーに比べると正確な値が得られる半面、設置箇所が限られ空間的な把握には弱いという欠点がある。この2つの観測方法の欠点を補う方法として、レーダーによる観測データと雨量計の観測データを統合解析する方法がある。日本では気象庁がこの方法を用いて「解析雨量」を求め、降水短時間予報降水ナウキャストの資料としている[18]

気象庁の「解析雨量」に用いられているデータとしては、レーダーは気象庁の20基と国土交通省の26基の計46基(2009年時点)、雨量計は国内約1,300か所のアメダス観測所に加えて、国土交通省や各都道府県などが設置している数千か所の雨量計が用いられており、合計約9,000か所(2009年時点)に上る[3]

XバンドMPレーダーは定量観測範囲(降雨減衰を受けない信頼できる値が期待できる観測半径)が60kmと、従来の気象庁のCバンドレーダーの120kmより狭い。しかし、分解能は250m(地図上で雨の強度を表現する格子の細かさ)でCバンドにおける分解能1kmの16倍相当ときめ細かい。またCバンドは5分間隔であるのに対して1分程度の高頻度観測が実現でき、さらにコヒーレント二重偏波を用いて雨滴の大きさによる誤差を除去し雨量計補正を不要としている。これにより、Cバンドでは難があった、個々の積乱雲による局地的で短時間の強い雨を迅速に観測する技術が向上した。この観測データは試験運用ながら「XRAIN」として国土交通省がホームページで公開している[44][45]

さらに気象庁は、約1時間後までの強い雨の高精度予測を行う「高解像度降水ナウキャスト」の発表を2014年8月に開始した。降水ナウキャストの16倍に相当する分解能250m・5分間隔での降雨強度分布を示し、さらに今後30分以内に強い降水が予想される領域や雷や突風の危険度が高い領域(竜巻発生確度2以上、雷活動度4以上)を併せて表示するシステムで、パソコンやスマートフォンなどでの利用を想定している。この技術は、2012年から2013年にかけて分解能を250mに精細化したドップラーレーダーやXバンドMPレーダーの観測データと高層観測による上空の気流のデータを用いている[46]

衛星画像においては、集中豪雨域に白く輝き先端の尖った逆三角形の雲が現れる事がある。これをテーパリングクラウド(にんじん状雲)と呼ぶことがあり、先端部では集中豪雨になる事が知られている[23]。この雲はバックアンドサイドビルディング型のものによく出現する[47]。ただし、気象衛星の観測は30分や1時間間隔であり、集中豪雨の迅速な予測には向いていない。

わが国の気象用語としての豪雨の表現基準としては以下のとおりである[48]

  • 弱い雨 1時間当たりの雨量が3mm以下(小雨を含む)である時
  • やや強い雨 1時間当たり10㎜以上~20㎜未満
  • 強い雨 1時間当たり20㎜以上~30㎜未満
  • 激しい雨 1時間当たり30㎜以上~50㎜未満
  • 非常に激しい雨 1時間当たり50㎜以上80㎜未満
  • 猛烈な雨 1時間当たり80㎜以上
    • 猛烈な雨でも、特別警報に匹敵する集中豪雨である場合には、「50年(ないしは数十年)に1度の値規模に相当する大雨」[49][50]、さらには「経験したことがないような大雨」[51]と表現することがあり、短時間に数百㎜(数m)以上、累積雨量でも数千㎜(数㎞)以上もの大雨が観測される(た)恐れがあるとして、最大級の警戒をするように呼びかける。

災害と対処[編集]

集中豪雨による土石流で被害を受けた集落(2009年7月、山口県防府市

災害の特徴[編集]

地形などによって傾向は異なるが、集中豪雨をはじめとした大雨では、河川氾濫による洪水、堤防に守られた陸地内での増水による浸水(内水氾濫)、山の斜面が層ごと一気に崩れ落ちる山崩れ、山の斜面が層ごとゆっくり崩れ落ちる地すべり、斜面や崖の一部が崩れ落ちるがけ崩れ、川の急な出水(土砂を伴う土石流と水分が多い鉄砲水がある)による害、浸水後低地などに水が溜まって長期間湛水・冠水することによる害、強い雨の落下や多量の雨水が土壌を流失させる害などの被害が起きる。日本では治水施設や防災体制の整備が進んだことから、大雨による災害は戦後大きく減少した一方、中小河川の氾濫や土砂災害の割合が増し、施設被害や地下の浸水が顕著な都市型水害が増加している[52]

防災上の注意点として、1時間以内で終わるような局地的大雨でも、雨量が一時的に河川や排水路の能力を超える一過性の洪水となって、被害が生じる場合は少なくない事が挙げられる。特に、大雨や洪水の注意報や警報が発表されない段階で急な増水となって、状況変化に対応できずに被害が生じる場合がある。例えば2008年8月初めに起きた東京都豊島区雑司ヶ谷の下水管増水による事故では、大雨注意報の基準に達しない段階で事故が起きている[3]

大雨は水害土砂災害などをもたらすが、「局地的大雨」や「集中豪雨」では、その変化が突発的であることが大きな特徴である。例えば2008年7月末に起きた神戸市都賀川の増水による事故(都賀川水難事故)では、急峻な地形の影響から10分間で1m30cmという急激な速度で水位が上昇し事故に至っている。こうした急な大雨に対しては、早期の正確な予測が求められる一方、技術的に困難であるという課題がある[3][53]

対処[編集]

ここでは日本における例を挙げて説明する。2008年の集中豪雨の頻発を受けて、気象庁や内閣府は「局地的大雨」や「集中豪雨」に関する情報の利用方法を解説している。これによると、雨の影響を受ける行動(例えば、川にレジャーに出かけるなど)までの猶予時間に応じて、適切な種類の気象情報を利用することが推奨されている[3]

気象庁が発表する防災気象情報の場合、具体的には以下のような利用が推奨されている[3]

  • 行動の前日や当日朝(数時間前) - 行動予定の地域における「天気予報」の内容や「警報注意報」の発表状況に注意する。行動する地域だけではなく隣接する地域の予報も入手できれば更によい。雨や雷の予報が出ていたり、「大気の状態が不安定」「天候が急変するおそれがある」などの文言がある場合は、集中豪雨を含めた雷雨になる可能性があることを把握しておく。数時間前の段階では予報の精度が上がるので、雷や不安定な天気が予想される時間帯、雨の可能性が高い時間帯には計画を変更する検討も必要[3]
  • 行動の直前 - 行動予定の市町村や隣接市町村における「警報・注意報」の発表状況、気象レーダーの観測値や「降水短時間予報」などの予測値に注意する。大雨注意報・警報や雷注意報が発表されている場合、行動予定地域周辺に強い雨雲(例えば、土砂降りに相当する20mm/時間など)が観測・予測されている場合は、計画を変更したり、天気の変化に注意しながら行動することが必要[3]
  • 行動中 - 行動予定の市町村や隣接市町村における気象レーダーの観測値や「降水ナウキャスト」などの予測値に注意する。行動予定地域周辺にもうすぐ(概ね1時間以内程度)雨が移動してくると予測されている場合は、行動を中断するか、天気の急変にすぐに対応できるよう行動を変えることが必要。行動中も自ら空の様子を確認することが推奨され、積乱雲接近の兆候がある場合は、前述同様の対応を取ることが必要[3]

積乱雲が接近してきたとき、特に注意すべき場所がある。

  • 渓流の中や中州河川敷などの川のそば - 急な増水の恐れがあるため、川のそばや隣接する低地から離れる必要がある。水の色が濁る、木の枝が流れてくるといった増水の兆候や、ダムの放流に伴うサイレンの音などに注意することも必要[54]
  • 地下室アンダーパス(地下式の交差道路)などの周囲よりも低いところ - 浸水した道路では、濁った水により足元が見えないため側溝や蓋の開いたマンホールなどに注意が必要なほか、車の浸水時に水圧によりドアが開かなくなることがあるので注意を要する。地下室では、豪雨や浸水に気づくのが遅れること、停電が起きパニックに陥る可能性があることなどに注意が必要[55]

なお上記に加えて、著しい集中豪雨の時には臨時の「気象情報」として以下のような情報が発表される。

河川の氾濫による洪水に関しては、河川ごとに流量や水位を交えて危険レベルを示した「○○川はん濫発生情報」などの洪水予報(指定河川洪水予報)が一般にも発表される。これは一般市民向けと水防活動用を兼ねているもので、はん濫注意情報、はん濫警戒情報、はん濫危険情報、はん濫発生情報の4種類がある[59]。このほか、水防活動専用の情報として水防警報がある。

土砂災害に関しては予めいくつかの種類の危険区域が指定され、規制が行われている。法的に厳しく規定されている土砂災害警戒区域土砂災害防止法)、砂防指定地(砂防法)、地すべり防止区域(地すべり等防止法)、急傾斜地崩壊防止区域(がけ崩れ防止法)のほか、それを補完する土砂災害危険箇所(土石流危険渓流、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所)がある。

災害の際には土砂災害に関する危険区域の指定漏れや周知不足が問題になることがある。他方では予報や警報・注意報の周知不足も問題となることが多い。加えて、雨粒の反射等により視程が損なわれるほか、ゴーゴーと滝のように響くことから周囲の音も聞き取りづらくなる。そのため集中豪雨の最中には、気象警報の視聴などの情報収集や適切な状況把握が妨げられることがある。

また、集中豪雨に限らず大雨災害全般に当てはまるが、避難のタイミングや方法、場所が適切でなかったことにより被災する例が多数ある。河川の堤防付近の家屋の住民が避難の機を逸して氾濫に巻き込まれたり、冠水した避難路を車で避難して被災したり、河川などがある避難路を通って避難し被災したり、結果的に自宅の2階に逃げれば助かった物の避難所に避難したことで被災したりといった事例がある。こうしたことから、普段から避難経路や避難先を把握しておくとともに、その時の状況やこれからの災害の進展の見通しに合わせて適切な避難行動を選ぶ必要があるとされている[60]

集中豪雨の変化[編集]

気象庁の観測統計によれば、日本におけるアメダス1000地点あたりでの時間雨量50mm以上の雨の回数は1976-1986年に160回だったものが1998-2009年には233回になっていて、+45%と明らかな増加を示している。また、同じく時間雨量80mm以上の雨の年間平均発生回数は1976-1986年に9.8回だったものが1998-2009年には18.0回になっていて+80%と更に急激な増加を示している[61]

確実に増していると考えられる集中豪雨であるが、この時間スケールにおいてはいくつかの気候変動周期(レジームシフトなど)が存在するため、地球温暖化との相関性が明らかとはいえない[61]

2011年日本気象協会は「総雨量2000mmの時代を迎えて」と題する見解を発表した。平成23年台風第12号は高知県東部に上陸しても時速10km/hと進行速度は上がらず、紀伊半島南部で記録的な1時間雨量と累計雨量をもたらした。これらを受け、同協会は台湾付近と日本の南海上は海面水温に2近く差があるが100年後をシミュレーションした予測結果によれば日本の南海上の海面水温は台湾近海並みに上昇した水温となり、台風の進行速度や海面水温を考慮すれば日本も台湾と同様に総雨量2000mmを超える大雨を想定した対策が必要としている[62]

顕著な集中豪雨被害の歴史[編集]

以下、日本における過去の顕著な集中豪雨被害を挙げる。

20世紀[編集]

年月日 被害地域 摘要
1938年7月3日 - 5日 兵庫県 阪神大水害
24時間雨量は六甲山で616mm、神戸市で461.8mm。生田川など市内の河川が氾濫し死者616名。これ以降六甲山の砂防事業が開始。
1953年6月25日 - 29日 福岡県
佐賀県
熊本県
大分県
昭和28年西日本水害
24時間雨量は小国で433.6mm、佐賀市で366.5mm、久留米市で308.7mmなど。筑後川遠賀川大分川矢部川白川など九州北部の河川のほとんどが氾濫。九州電力夜明ダムが決壊するなど浸水被害甚大。死者759名、浸水家屋45万棟以上。これ以降筑後川の松原ダム、矢部川の日向神ダムなど各河川で多目的ダム建設が進められる。
1953年7月17日18日 和歌山県 紀州大水害(南紀豪雨)
紀伊半島南部を中心に24時間雨量が500mmを超える。有田川日高川日置川など県内全ての河川が氾濫し死者・行方不明者1,046名と和歌山県史最悪の被害。これ以降七川(日置川)・二川(有田川)・椿山(日高川)などの多目的ダムが和歌山県により建設される。
1953年8月14日15日 京都府 南山城豪雨(南山城水害)
京都府南部の木津川流域を中心に豪雨。24時間雨量は和束で428mmの猛烈な豪雨となったが10数km離れた京都市では雷鳴が轟いただけだった。大正池が決壊し死者105名。この豪雨において新聞が初めて「集中豪雨」の名称を使用する。
1957年7月25日 - 28日 長崎県 諫早豪雨(諫早大水害)
死者856、不明136、負傷3,860、浸水72,565、24時間雨量は瑞穂町西郷(現:雲仙市)で1,109mm。
1967年7月9日 大阪府 北摂豪雨
大阪府北摂を中心とした地域に豪雨。最多雨量は北摂で255mm。死者61名。この災害で治水対策として、安威川ダム箕面川ダムが建設された。
1967年8月26日 - 29日 新潟県
山形県
羽越豪雨(羽越水害)
24時間雨量は新潟県関川村で700mm近くに達する。最上川荒川胎内川加治川などが氾濫し死者104名、被害総額は現在の貨幣価値で約4,000億円に上る。これ以降治水対策の根本が見直され荒川が一級河川に指定されたほか多くの河川で多目的ダム、治水ダムが建設された。
1968年8月17日 岐阜県 昭和43年8・17豪雨災害
1時間雨量は郡上郡美並村で114mm。8月18日2時10分に土砂崩れにより白川町で飛騨川に観光バス2台が転落し、104人の犠牲者をだす飛騨川バス転落事故が発生した。
1970年7月1日 千葉県 1時間雨量は大多喜町で116mm、同町中野で114mm)。当時の内閣総理大臣佐藤栄作が現地視察した。
1972年7月3日 - 15日 高知県
熊本県
愛知県
岐阜県
神奈川県
昭和47年7月豪雨
死者421名、行方不明者26名、負傷者1,056名。
1974年7月7日 静岡県 七夕豪雨
24時間雨量は静岡市で508mm。漫画『ちびまる子ちゃん』にはこの時の様子を描いた「まるちゃんの町は大洪水」という話がある。
1982年7月23日 長崎県 昭和57年7月豪雨長崎大水害
1時間雨量は長与町で187mm(日本歴代最多)、長崎市で127.5mm。重要文化財眼鏡橋が半壊。この災害を受けて「記録的短時間大雨情報」が1983年10月に創設される。死者300人以上。
1983年7月23日 山口県
島根県
昭和58年7月豪雨(山陰豪雨)
三隅町(現:浜田市)、田万川町(現:萩市)などで33人が死亡。これにより益田川ダム建設計画(益田川)が見直された。
1993年8月1日6日 鹿児島県 平成5年8月豪雨
鹿児島市姶良郡8月6日にはJR日豊本線竜ヶ水駅が土石流に埋まり、復旧に約1か月を要した。
1994年9月7日 大阪府 1時間雨量は池田市で130mm。9月4日関西国際空港に国際線発着の機能を移転させたばかりの大阪国際空港で地下の空港施設や機器類が浸水し、翌日まで使用不能となった。
1998年8月27日 栃木県
茨城県
那須町で1時間雨量が90mm、総雨量が1254mm。那珂川支流余笹川が氾濫し死者・行方不明24人、55人負傷。101棟全壊。下流の水戸市でも那珂川が氾濫し浸水や橋梁の流失などが起こる。平成10年台風第4号の影響。
1998年9月24日25日 高知県 平成10年高知豪雨
高知市で1時間雨量が129.5mm、24時間雨量が861.0mm。高知市東部の国分川、舟入川などの河川が氾濫し高知市東部の平野域がほぼ2日間にわたり水没。マンホールの蓋が水圧で外れて吸い込まれて2人が死亡。死者8人、負傷者14人、住宅の全半壊55棟、一部損壊86、浸水家屋17000棟。
1999年6月29日 福岡県
広島県
6.29豪雨災害
1時間雨量は福岡市で79.5mm。博多駅の地下街が水没し、都市型自然災害として問題となった。また、同日広島県を中心に土砂災害が発生した。中国地方4県で死者36人。
1999年7月23日 長崎県 1時間雨量は諫早市で101mm。
1999年10月27日 千葉県 佐原豪雨
関東地方沿岸で急発達した低気圧により佐原市で1時間雨量152.5mm、日降水量は299mmに達した。死者1人、一部損壊10、棟床上浸水109棟、床下浸水487棟
2000年9月11日12日 愛知県 東海豪雨
1時間雨量は愛知県東海市で114mm。名古屋市では2日間で一年の降水量の1/3を超える567mmの降水量。

21世紀[編集]

年月日 被害地域 摘要
2001年9月2日 鹿児島県 1時間雨量は鹿児島県熊毛郡中種子町で162mm、西之表市で日降水量341mm[63]、熊毛郡屋久町で日降水量394mmなど[64]
2003年7月18日 - 21日 九州全域 1時間雨量は福岡県太宰府市で104mm、長崎県厳原町(現:対馬市)で116mmなど。
2004年7月12日13日 新潟県
福島県
平成16年7月新潟・福島豪雨
24時間雨量は新潟県栃尾市で422mmなど。
2004年7月17日・18日 福井県 平成16年7月福井豪雨
1時間雨量は福井県美山で96mmなど。被害は福井市足羽川堤防決壊により中心部浸水被害)・鯖江市美山町(浸水被害、山間部の土砂崩れ)など。
2004年10月20日 兵庫県 豊岡市の総雨量は282mmだが、流域に短時間で降雨したため市内の円山川、出石川が堤防決壊。死者7名、全壊333、半壊3733、市街のほぼ全てが浸水。平成16年台風第23号の影響。
2005年9月4日 埼玉県
神奈川県
1時間雨量は東京都杉並区下井草で112mm、東京都三鷹市新川で105mmなど。
2005年9月4日 - 7日 宮崎県 総雨量が宮崎県えびの市で1307mmなど。平成17年台風第14号の影響。
2006年8月22日 大阪府 1時間雨量は豊中市で110mm。
2007年7月16日・17日 大阪府
奈良県
解析1時間雨量は大阪府富田林市で120mm以上、堺市南区和泉市で110mm、奈良県宇陀市で110mmなど。浸水57、崖崩れ14。
2007年9月15日 - 18日 北東北 9月15日19時から18日24時までの雨量は岩手県花巻市豊沢で300mm、秋田県仙北市鎧畑で289mm、青森県新郷村戸来で216mmなど。多数の床下床上浸水、非住家被害、死者および行方不明の被害。
2008年8月5日 東京都 東京都豊島区雑司が谷の下水道工事現場で、作業員6人で工事中の下水道内で5人が流された(5人とも死亡)。
2008年8月26日 - 31日 東海地方
関東地方
中国地方
東北地方
平成20年8月末豪雨
1時間雨量は愛知県岡崎市で146.5mm、一宮市で120mm、千葉県我孫子市で104mmなど。その他東海地方・関東地方の多くの地点で解析1時間雨量が100-120mm。多数の床下床上浸水、行方不明の被害。
2009年7月19日 - 26日 山口県
福岡県
平成21年7月中国・九州北部豪雨
1時間雨量は防府市で70.5mm、福岡市博多区で114mmなど。大規模な土砂崩れが発生。死者32人となった。
2009年11月11日 和歌山県 1時間雨量は和歌山市で119.5mm。
2010年10月18日 - 21日 鹿児島県 奄美豪雨
奄美大島を中心に48時間雨量は奄美市住用町で約800mm、24時間雨量は同市名瀬で648mmなど。増水や土砂崩れにより3人が死亡[65]
2011年7月18日 - 21日 四国地方
近畿地方
東海地方
総雨量は高知県馬路村で1199mm。同村では、1日の雨量が多い時で日本での観測史上最大の851.5mmを記録。また、近畿の熊野川など各地で川が氾濫し浸水の被害が出た。平成23年台風第6号の影響。
2011年7月25日 三重県 上空の強い寒気の影響で大気の状態が不安定になりゲリラ豪雨が相次ぎ三重県では桑名市では同日17時までの1時間雨量が83mmに達し、19時までの3時間だけで約170mmの雨が降った。また、気象庁のレーダー解析の結果では同県四日市市付近で1時間に90mmの猛烈な雨が降った。両市では住宅の床上や床下浸水が相次ぎ、自主避難者が出た。土砂崩れも相次ぎ東名阪自動車道では、車1台が土砂に巻き込まれた。
2011年7月27日 - 30日 福島県
新潟県
平成23年7月新潟・福島豪雨
前線と湿った空気の影響で大気の状態が不安定になって三条市加茂市周辺や福島県只見町周辺で1時間に100mm前後の猛烈な雨が降り続き、新潟県内の河川では氾濫が相次いだ。三条市では7月29日夜、全世帯に避難勧告が出された。30日朝も猛烈な雨が降った。
2012年4月30日 - 5月4日 三重県
静岡県
関東地方
東北地方
北海道
動きの遅い低気圧の影響で大雨となり静岡県天城山で降り始めからの雨量が787mmを記録。また岩手県など東日本大震災の被災地では土砂崩れなどの被害が出たほか、避難指示や勧告も相次いだ。和歌山県では昨年の台風で大きな被害が出た那智勝浦町で避難勧告。人的被害は愛知県で2人、静岡県で1人、宮城県で1人死亡、埼玉県で1人がけが。
2012年7月 九州地方
四国地方
京都府
静岡県
神奈川県
平成24年梅雨前線豪雨
2012年7月11日 - 14日 熊本県
大分県
福岡県
平成24年7月九州北部豪雨
2013年7月28日 - 29日 山口県
島根県
平成25年7月28日の島根県と山口県の大雨:梅雨前線に加えて西からの暖湿流や上空の寒気で大気が不安定となった影響で、28日午前中に山口県・島根県県境付近で大雨となり、山口市山口で143mm/時、萩市須佐で138.5mm/時、津和野町津和野で91.5mm/時、阿武町で120mm以上/時(解析)、萩市・阿武町で約350mm/3時間(解析)、阿武町で約600mm/24時間(解析)など猛烈な雨が降った。住宅倒壊などにより両県で死者2名・行方不明者2名が出たほか、住家全壊49棟・半壊72棟、床上浸水770棟などの被害が出た[66][67]。気象庁はこの大雨を特別警報に匹敵するものと判断して「ただちに命を守る行動を取ってください」などの呼びかけを行った[68][69]
なおこの大雨を含む7月21日-8月1日までの期間には、福井県東部、岐阜県西部、石川県南部、新潟県上中越、北海道胆振などでも大雨となり、新潟県で死者1名が出ている[66]
2013年8月9日 秋田県
岩手県
日本海方面からの暖湿流で大気が不安定となった影響で、9日明け方から秋田県・岩手県を中心に大雨となり、鹿角市鹿角で108.5mm/時、大館市で120mm/時(解析)、西目屋村北秋田市藤里町で約120mm/時(解析)、また大館市・北秋田市で約300mm/3時間(解析)など猛烈な雨が降った。河川の増水や土砂災害により両県で死者6名・行方不明者1名が出たほか、住家や農地への被害、停電、断水、交通影響などが生じた[70]
2014年8月20日 広島県 平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害
前線に向かって流れた暖湿流の影響で広島市上空で積乱雲が発生し、前日8月19日夜から激しい雷雨に見舞われていた。翌20日には広島市三入で午前4時30分までの3時間に降った雨が217.5mmを観測する猛烈な雨となり、広島市安佐南区安佐北区で土砂災害が発生し多数の死者・行方不明者が出た。
2015年9月9日 - 11日 栃木県
茨城県
宮城県
平成27年9月関東・東北豪雨
平成27年台風第18号に伴い関東や東北で豪雨に見舞われ、冠水や土砂崩れ、堤防の決壊が相次いで発生した。特に茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊し、甚大な冠水被害をもたらした[71]

参考文献[編集]

  • 小倉義光 『一般気象学』第2版、東京大学出版会、1999年 ISBN 978-4-13-062706-1
  • 二宮洸三 『豪雨と降水システム』、東京堂出版、2001年 ISBN 4-490-20435-3
  • 新田尚、伊藤朋之、木村龍治、住明正、安成哲三(編) 『キーワード 気象の事典』、朝倉書店、2002年 ISBN 4-254-16115-8
  • 京都大学防災研究所「防災Q&A 水害
  • 瀬古弘「中緯度のメソβスケール線状降水系の形態と維持機構に関する研究」、気象庁、『気象庁研究時報』62巻1-3号、1-74頁、2010年、NAID 40017343405

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 平成20年8月末豪雨2008年夏の局地的荒天続発を参照。
  2. ^ 例えば、Battan and Theiss(1966)はアメリカ西部で発生した積乱雲の鉛直ドップラー・レーダー解析から、最盛期には対流圏上層で20メートル毎秒(m/s)という地上の強風に匹敵する上昇流を観測したと報告している。
  3. ^ 冬の日本海側でこのような雨が断続的に続くものはしぐれと呼び分ける場合もある。
  4. ^ 地表の摩擦の影響を受ける地上付近の風に対して、摩擦の影響が少なく大局的な気圧配置の影響に支配される上空の風を一般風という。
  5. ^ 鉛直方向のシアーが強いということは地上付近と上空の風向が異なる事を意味する。積乱雲が発生するためには地上付近に暖かく湿った空気の流れがあって、かつ大気が不安定であることが必要である。大気が不安定になるためには、気温や湿度(水蒸気量)の差が大きくならなければならない。地上から上空まで同じ風向では、地上も上空も暖かく湿った空気が占めてしまい、不安定度はあまり大きくない。一方風向が異なると、例えば地上は暖かく湿った空気、上空は冷たく乾燥した空気という構造で不安定度が大きくなり、積乱雲が発達する。
  6. ^ 積乱雲の成熟期や衰退期には、氷晶・雨粒が空気を押し下げるとともに空気から昇華熱・気化熱を奪い、冷たい下降気流を生み出す。これを冷気外出流(cold outflow)といい、この強いものをダウンバースト、持続性のものをガストフロントという。冷気外出流は寒冷前線と同様に地面を這うように周囲に広がるため、そこにある暖気を押し上げて強制的に上昇気流を作り、雲を生む。
  7. ^ 「積乱雲が発生しやすい」とは、自由対流高度(LFC、積乱雲が外部からの上昇気流ではなく自身の浮力で発達し始める高度)が低く、通常より弱い上昇気流で積乱雲が発生することを意味する。また「積乱雲が発達しやすい」とは、中立高度(LNB、積乱雲が浮力を失い発達が弱まる高度)が高く、通常より大きなエネルギーで積乱雲が発達する事を意味する。
  8. ^ 暖湿流の流入と同様に、中立高度(LNB)が高くなって積乱雲が発達しやすくなる。また、潜在不安定が発達する場合があり、その時には通常より弱い上昇気流で積乱雲が発生するため、積乱雲が発生しやすくなる。
  9. ^ メソスケールの場合もある。
  10. ^ アメリカでは、下層への暖湿移流と中層への寒気移流が重なるものをdifferential advectionといい、雷雨の典型的なパターンとされている。

出典[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]

集中豪雨の観測・予測情報
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集中豪雨と関連災害の知識
過去の集中豪雨災害に関する記録
  • 気象庁「災害をもたらした気象事例
  • 消防庁「災害情報一覧」 - 人的被害・建物被害等の取りまとめ資料
  • 国土交通省「災害・防災情報 過去の災害(風水害)」 - 河川氾濫や土砂災害の状況、交通など国土交通省管轄分野の被害状況、気象庁などの対応経過の取りまとめ資料
  • 内閣府「災害情報一覧」 - 政府が取りまとめている被害の状況と政府の対応、平成12年以降
  • 内閣府「防災白書」 - 各年度の主な災害の概要、平成13年度以降