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秋の早朝の霧(2010年11月6日 早朝・兵庫県三田市にて撮影)
朝霧のかかる雑木林(2008年12月3日撮影)

(きり、英語: Fog)とは、水蒸気を含んだ大気温度が何らかの理由で下がり露点温度に達した際に、含まれていた水蒸気が小さな水粒となって空中に浮かんだ状態。

霧と雲[編集]

水粒は雨粒に比べて非常に小さいが、通常、根本的な霧の発生の原因は大気中の水分が飽和状態に達したものなのでと同じであると考えてよい。

雲と霧の一番大きな違いは水滴の大きさなどではなく、両者の定義の違いである。すなわち、大気中に浮かんでいて、地面に接していないものを雲と定義し、それが地面に接しているものを霧と定義する。例えば、に雲がかかっているとき、地上にいる人からはそれは雲だが、実際雲がかかっている部分にいる人からは霧なのである。なお、山の地面に接する霧または雲のことをガスと呼ぶことがある。

霧を外側から見ると、層雲であることが多い。標高の低い地域では層雲の霧しかないが、山や高地では層積雲乱層雲高層雲などの霧が見られることもある。

分類[編集]

濃度や状態による分類[編集]

の木立により朝霧に幾条もの光芒が描かれた
霧と靄(もや)
霧または靄は、微細な水滴が大気中に浮遊している事によって、視程(見通すことのできる水平距離)が小さくなる現象である。大気中に浮遊する水滴が散乱するために起こる。霧と靄の違いは、視程の低下の程度の違いであり、気象観測においては視程が1 km未満のものを霧といい、1km以上10km未満のものは(もや)と呼んで区別する。一般的に単位体積当たりの水分量が多いほど視程は小さくなるが、同じ水分量でも小さい水粒が多く存在する時の方が視程が小さい。
低い霧・地霧
視程が1km未満の霧のうち、太陽を透かして見ることができる薄い霧を低霧または低い霧(low fog)という。また、山などでは山のふもとの地面まで達するような霧を低い霧、山の中腹や山頂付近にだけ見られる霧を高い霧と区別することがある。
視程が1km以上で、人間の視線の高さより低い地面付近にのみ霧があるものを地霧(shallow fog)という。こちらは気象観測上、霧には含めない。航空気象観測では MIFG と通報される。

でき方による分類[編集]

盆地霧の例(篠山盆地

霧は、そのでき方によって放射霧、移流霧、蒸気霧、前線霧、上昇霧などに分けられる。

放射霧 
晴れたの日などには、地表面から放射され地面が冷える。そうして冷えた地面が、地面に接している水蒸気を多く含んだ空気を冷やすことで発生するもの。盆地や谷沿いで発生しやすく、それぞれ盆地霧、谷霧という。
移流霧 
暖かく湿った空気が水温の低い海上陸地に移動し、下から冷やされて霧を発生させるもの。移流とは大気が水平方向に移動することを指す気象用語である。暖流上の空気が移動して、夏の三陸沖から北海道の東海岸などに発生させる海霧などがその代表的なもので、非常に長続きする霧で厚さが600m程度に達することもある。
蒸気霧 
暖かく湿った空気が冷たい空気と混ざって発生する霧。冬に息が白くなるのと原理は同じ。暖かい水面上に冷たい空気が入り、水面から蒸発がおき、その水蒸気が冷たい空気に冷やされて発生するもので、実際は冷たい空気が暖かいの上に移動した際にみられる。風呂の湯気も原理は同じで、北海道などの川霧が代表的なもの。
前線霧 
温暖前線付近でが降り湿度が上がったところに温度の比較的高い雨が落ちてくると、雨粒から蒸発した水蒸気で飽和状態となり、余分な水蒸気が水粒となって発生する。
上昇霧 
山のに沿って湿った空気が上昇し、露点に達したところで発生する霧。遠くから見ると山に雲が張り付いて見えるが、その中では濃い霧となっている。動かないように見えても実際は空気が下から次々と上昇している。滑昇風により発生することも多く、滑昇霧ともいう。

その他の分類[編集]

着氷性の霧 
着氷性の霧とは、過冷却の霧である。霧を構成する水滴が、0℃以下であるにもかかわらず凍結しない過冷却状態にある霧。水滴が物体の表面に衝突すると凍結して氷の薄い膜を作る。
氷霧 
氷霧とは、微細な氷粒で構成される霧である。高緯度のよく晴れた穏やかな日に気温が-30℃以下の場合によく観測される。主に人間活動により水蒸気が持ち込まれたときに出来る。これらの水蒸気は凝結して水滴となり、それから結晶を作る間もなく急速に氷の粒となるため、いびつな形の氷粒となる事が多いが、その中に細氷を含む場合もある。太陽光や街灯などを反射してキラキラと光る。大気中を落下せず浮遊しているもののみを指し、落下しているものは細氷(ダイアモンドダスト)という。
煙霧

天気記号[編集]

霧の天気記号(日本式)

日本式の気象通報においては、「微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態」を「」と定義している。また、陸上において視程が約100m未満、海上において視程が500m未満のときは「濃霧」ともいう。

国際式天気図の天気記号では、以下が霧を表す(靄は含めない)。

  • 11.地霧または低い氷霧が散在(眼の高さ以下) → Symbol Fog1.png
  • 12.地霧または低い氷霧が連続(眼の高さ以下) → Symbol Fog2.png
  • 28.前1時間内に霧または氷霧があった → Symbol Fog3.png
  • 40.遠方の霧または氷霧。前1時間内に観測所にはない → Symbol Fog7.png
  • 41.霧または氷霧が散在 → Symbol Fog4.png
  • 42.霧または氷霧、空を透視できる。前1時間内にうすくなった → Symbol Fog5.png
  • 43.霧または氷霧、空を透視できない。前1時間内にうすくなった → Symbol Fog6.png
  • 44.霧または氷霧、空を透視できる。前1時間内に変化がない → Symbol Fog10.png
  • 45.霧または氷霧、空を透視できない。前1時間内に変化がない → Symbol Fog8.png
  • 46.霧または氷霧、空を透視できる。前1時間内に濃くなった → Symbol Fog11.png
  • 47.霧または氷霧、空を透視できない。前1時間内に濃くなった → Symbol Fog12.png
  • 48.霧、霧氷が発生中。空を透視できる → Symbol Fog13.png
  • 49.霧、霧氷が発生中。空を透視できない → Symbol Fog9.png
  • 76.細氷。霧があってもよい → Symbol Snow16.png
  • 77.霧雪。霧があってもよい → Symbol Snow13.png
  • 78.単独結晶の雪。霧があってもよい → Symbol Snow12.png

定時飛行場実況気象通報式 (METER) では、「視程障害」の欄のFGが霧を表す。

注意報・海上警報[編集]

濃霧注意報は、濃霧によって交通機関への障害が出ることが予測されるときに地元気象台から発令される。大体の地方では、視程が陸上で100m、海上で500mを下回る場合に出されるが、地域によってはこれよりも厳しい基準のところもある。例えば、釧路地方気象台をはじめとする北海道では、陸上での視程が200mで濃霧注意報が発令される。海上では、海上の視程が約500m(瀬戸内海では1km)以下の状態に既になっているか、24時間以内にその状態になると予想される場合の警戒喚起として「海上濃霧警報」が発令される。

霧害[編集]

主に、霧により農業で生じる被害。作物等が、日射が長期間遮断されることにより温度低下と光合成が阻害されることにより、生産量が減少する。日本では、岩手県三陸地方やませ北海道太平洋岸の海霧が代表例。対策として、根釧原野では防霧林(多くは防霧保安林)を設定して、林帯で霧粒の捕捉を行っている[1]

都市化・大気汚染と霧[編集]

都市化の進行はその都市の湿度の低下、すなわち乾燥化を招くことが知られているが、乾燥化によって霧の回数が減少する例が多数確認されている。東京大阪など多くの都市で20世紀中盤から21世紀にかけて霧日数の減少傾向が観測されている。[2]また大気汚染の影響もあり、大気汚染物質の微粒子が地表付近の凝結核となって霧の生成に寄与すると考えられている。大阪や京都では終戦後数年間は霧日数が減少しその後再び増加に転じているが、これは戦時中の空襲により工場等が被害を受け大気汚染が緩和、復興によって再び大気汚染が悪化したことが原因とする見方もある。なお、大都市の中でも仙台では霧日数の減少がほとんど見られないが、これは仙台の霧が主に厚い移流霧であることが1つの原因と考えられている。

霧で有名な都市[編集]

ロンドンの夜霧

霧に関連した事象・作品[編集]

文学上の区分(霞と霧)[編集]

気象学上の用語ではないが、春に起こる霧状の現象(特に山腹などの遠景に淡く掛かっているもの)は一般に「」と呼ばれ、「霧」は主として秋に用いる使い分けがされている。季語では霞が春、霧が秋と分類されている。

映画[編集]

日本映画

外国映画

音楽[編集]

ゲームソフト[編集]

その他[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 羽生寿郎・中川行夫『農業気象学』p199文永堂
  2. ^ 霧日数の月別平年値 理科年表オフィシャルサイト、2012年7月25日閲覧。

関連項目[編集]