電球

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白熱電球内のフィラメントが発光している様子

電球(でんきゅう、英語: electric light bulb)とは、ガラス殻内のフィラメント(や他の発光素子)に電流を流して発光させる、電気による光源ランプ)である。

ガラスの球殻内には不活性ガスが封入されたり、あるいは真空状態にしてある。それによって空気(特に酸素)を排除して、フィラメントが短時間で燃え尽きてしまうことを避けたり、(電球の種類によっては)アーク放電に必要なガスを保つのである。

形は「まるみ」を帯びた形になっていることが一般的であり、その理由は(真空であれ、不活性ガス封入であれ)球殻内部を大気圧より低圧にすることが一般的なので、それによってかかる力に耐えるのに有利なのでそうしているのである。製造上の都合から、口金を設けるために一端が伸びた球形をしているものが多いが、長球形、円筒形、円錐形など、さまざまな形のものがある。球形でなくても、区別せず「電球」と呼ばれる。

電球はさまざまなタイプが開発・普及した歴史があるが、白熱電球はその代表格とされることが多い。

電球は蛍光灯と対比して語られることが多い。蛍光灯は、通常は電球に含めないが、ガラスが球形の代わりに形である以外は、電球と共通点が多く、英語圏では通常、bulbに含められる(fluorescent bulb)他、日本電球工業会は蛍光灯も扱っている。

1990年代に、より効率の良い「LED電球」が発明されてから、古くから使われてきた白熱電球は、LED電球に置き換えられつつある。

歴史[編集]

イギリスのジョゼフ・スワンは電球のアイディアを思いつき1848年ころから実験を行っていた。それは減圧したガラス球にを炭化させたフィラメントを封入し電流で発光させる、というアイディアであった。実験はなかなかうまくゆかなかったが、1860年ころまでにようやく実際に発光させることに成功し、イギリスで、減圧バルブに炭素フィラメントを封入した電球、として特許を取得した。(ただし、この時点の電球はきわめて短い時間(せいぜい数分以下)でフィラメントが燃え尽きてしまうもので、実用品としては使えなかった。)スワンは改良実験を継続し、約年後の1875年に、真空度を高め、フィラメントとして苛性ソーダで処理した木綿炭化したものを用いる電球を生み出し、こちらの特許は1878年に得た。そして1881年に「スワン電灯会社」(The Swan Electric Light Company)を創立し、商業的に電球の生産を開始した。

なお電球が実用的なものとして世の中に普及したのは、上記の英国のスワンの発明や製造に加えて、米国のエジソンが競合するように行った研究や諸活動の功績が大きい、と一般にされる。そしてそれに加えて、スワンやエジソンの電球の性能・品質の向上に必要だった、真空ポンプの性能向上や真空球作成技術の向上を実現したen:Hermann Sprengelおよびウィリアム・クルックスらの貢献も見落とすわけにはゆかない、とされることもある。

(さて、スワン電灯会社設立から数年遡る話だが)アメリカ合衆国の発明家トーマス・エジソンも当時の(スワンのコンセプトの)電球の欠点を解消する研究に1877年ころから着手していて、1878年にThe Edison Electric Light Companyを設立、様々な素材で作ったフィラメントを試すために1年半で1200回以上実験を行い、1879年10月、安定的に連続2日間点灯させることに成功した。さらにエジソンはフィラメント素材探しを続け、日本の京都の竹から作るフィラメントに辿りつき、竹製フィラメント電球を製造した。エジソンは1880年に、電球を灯すのに必要な電流を人々に供給する発電所を作る会社 en:Edison Illuminating Companyを設立。エジソンは人々に対して電球を紹介する発表会を行うなど巧みに宣伝活動を行い、電球はまたたくまに人々の認知を得た。1882年にエジソンのThe Edison Electric Light Companyはスワンの会社に対し、同社がエジソンが取得した1879年の特許に抵触している、と通知(主張)し、特許に関する対立が生じかけたものの両者は裁判沙汰にはせず、むしろ協力する策を選び、1883 年、スワンのThe Swan Electric Light CompanyとエジソンのThe Edison Electric Light Companyが合併する形で、イギリス・ロンドンにエジソン & スワン連合電灯会社(Edison & Swan United Electric Light Company)の本社と工場が設立され、同社ではスワンのセルロースのフィラメントの電球が製造され、これが業界標準となった。

次に電球の世界で起きた大きな変化は、1900年代(20世紀)初頭にはタングステン製のフィラメントが新たに登場したことで、短い年数でそれ以前の炭素製のフィラメントなどに(ほぼ)とって替わることになった。というのは、タングステンは融点が高かったので、フィラメントを(以前の素材より)高い温度で点灯させることが可能で、(フィラメント温度と発光の色温度には関係があるので)結果として(それ以前の黄色がかった光よりも)より白っぽい発光をさせることができ、それが人々から歓迎されたからである。1907年に米国で初のタングステンフィラメント(プレス加工のタイプ)の電球が登場し、1910年にはタングステンフィラメントの引っ張り加工が発明され、1913年にはその特許が認められた。

電球の種類[編集]

白熱電球[編集]

封入ガスによる分類[編集]

  • 真空電球 - 中が真空の電球。トーマス・エジソンが世界最初に実用化した電球は真空電球だった。なお、電球を世界で最初に発明したのはエジソンではない。エジソンが実際に行ったのは、電球の実用化に必要不可欠であった寿命の長いフィラメントの開発である。
  • アルゴン電球 - 寿命を長くするためにアルゴンガスを封入した電球。現在の電球の主流。
  • クリプトン電球 - アルゴンガスのかわりに分子量が大きく熱伝導率の低いクリプトンガスを封入した電球。同形のアルゴン電球よりも寿命が長い。
  • キセノン電球 - アルゴンガスのかわりにキセノンガスを封入した電球。クリプトン電球よりさらに長寿命。
  • ハロゲン電球 - ハロゲンガスを微量封入した電球。電球を過電圧で点灯させた場合の大幅な寿命低下をハロゲンガスによるハロゲンサイクル(還元作用)で抑え色温度を高め、効率を向上(通常の白熱電球より明るい)させた電球。室内灯などに使われる。

形状による分類[編集]

小型で、豆電球や麦球など光源以外の目的に利用されるものもある。

  • 豆電球 - 小さな電流でも発光する電球で、懐中電灯や電流の検出実験などに使われる。
  • ビリケン球 - やや縦長の先が尖った豆電球。主に懐中電灯などで使用される。ピリケン球とも呼ばれ、ビリケン像に酷似している事から名付けられたといわれている。
  • ニップル球 - ニップル(nipple)は乳頭の意。懐中電灯やペンライトなどに使われる電球で、先端のガラスが凸レンズ様になっており、電球を向けた先が周りより明るく見える。
  • ナツメ球 - 小型、省電力、長寿命の電球。蛍光灯器具の常夜灯などに使われ、小丸電球とも呼ばれる。名称の由来は、ナツメの果実に似た形をしているため。慣用的に蛍光灯に対して豆電球と呼ばれる事がある。
  • 麦球(ムギ球) - 模型電子工作で使われる小型で細長い電球。名称の由来は、粒に似た形をしているため。

その他[編集]

放電電球(放電管)[編集]

電球形蛍光灯[編集]

LED電球[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

2013年4月1日付けで日本電球工業会と日本照明器具工業会が合併し、「日本照明工業会」が発足した