アグロフォレストリー
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アグロフォレストリー (英語:Agroforestry) とは、森林を皆伐せずに一部残すか新たに植樹するかして、樹木間で行う農業。「アグロフォレストリー」と言う用語は1970年代中期、カナダ国際開発研究センター(ICRAF)の林学者ベネらが主導する思想的研究の中で誕生し、1978年に国際アグロフォレストリー研究センターが設立された[1]。森林農法(しんりんのうほう)[2]、農林複合経営(のうりんふくごうけいえい)、混農林業(こんのうりんぎょう)ともいう。
アグロフォレストリーは、組み合わせる樹種や家畜・農作物が地域によって異なるため、地域ごとに様々な形態をとりうる。森林破壊や単一作物を集中栽培することによる病虫害リスクの抑制[2]、農業だけでなく林業からも収入が得られるといった長所がある。
概略
[編集]樹木は材木や果実の供給だけではなく、生態系サービスを供給する面においても重要である。森林伐採とその跡地における農地などの土地開発は環境破壊を引き起こすが、樹木と共存するアグロフォレストリーでは、生物多様性を維持し、土壌流出の防止と家畜排泄物の土壌還元などにより持続可能な土地利用が可能となる。世界各地で古来行なわれてきたが(後述)、潜在能力が十分に発揮されていない伝統的な方法から、天然資源管理と貧困緩和の鍵となる科学的手法にまで過去30年で進歩してきた[3]。
たとえば南米大陸アマゾン地方では焼畑後まず、米や豆類、野菜などの一年生の短期作物を植え、次いでコショウやパッションフルーツなどの多年生の中期作物を植え、短期作物が雑草を抑えている間にそれらが生長し、部分日陰と防風効果をつくり出したころに、株間か列間に果樹とマホガニーやパラゴムなどの有用高木樹種の苗を植え込む。こうすると、中期作物が5~6年で枯れるころには、果樹が実をつけ、有用樹が10mほどに生長している。高木はやがて材木として出荷される。こうして、畑から絶え間なく収穫があるよう組み合わせる。組み合わせの仕方は無数にある[4]。日系ブラジル人が1929年から入植したトメアスでは、コショウの集中栽培が病害で壊滅的被害を受けた教訓から果樹を含む作物の混植が導入され、「トメアス式」として呼ばれるようになり、ブラジル政府が普及を支援している[2]。
歴史
[編集]樹間における農業は、熱帯から温帯、ロシアやカナダといった寒冷地まで世界各地で古来見られる。たとえばイベリア半島南西部ではスペインとポルトガルにまたがってデエサという二次的自然が形成されており、コルクガシなどの樹木の間に広がる草地で、イベリコ豚を含む豚や牛、羊が飼われている[5]。
近年は森林破壊の深刻化などへの対策として、持続可能な第一次産業の形態として重要性が高まっている。上記のトメアス式農法のようなアグロフォレストリーはブラジル政府が80以上の地方自治体とともに推進している[2]。アフリカでも研究されている[6]。
日本でも在来農法をとりいれた試みがなされている例がある[7][8]。
脚注
[編集]- ^ 国際アグロフォレストリー研究センター:ICRAF then & now[リンク切れ]
- ^ a b c d 「“森に優しい”持続可能な農法 アマゾン地域 熱帯林再生で注目」『日本農業新聞』2026年1月19日2面
- ^ 国際アグロフォレストリー研究センター:Introduction to agroforestry[リンク切れ]
- ^ “コラム「アマゾンのアグロフォレストリ」”. www.ndl.go.jp. 2019年5月14日閲覧。
- ^ スペイン・イベリコ豚の森林牧畜(dehesa:デエサ)環境省資料(2026年1月24日閲覧)
- ^ 国際農林水産業研究成果情報 第14号:アグロフォレストリーにおける換金作物としての薬用植物ノニの有効性[リンク切れ]の例など
- ^ 都市農山漁村交流活性化機構:森の営み混農林業 Archived 2008年12月1日, at the Wayback Machine.
- ^ 参考資料中の「アグロフォレストリーという発想」を参照
参考資料
[編集]- 国際林業研究センター - 一石三鳥のアグロフォレストリー [リンク切れ]
- 内村悦三(1999年)「アグロフォレストリーという発想」『神籬』Vol.19(西垣林業) 3-8ページ