ペレットストーブ

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JRバス周山駅に設置されているペレットストーブ
ペレットストーブの構造

ペレットストーブ(pellet stove)とは木質ペレット燃料とするストーブのことである。スウェーデンなど北欧に製造メーカーがあり欧米各国で普及している。日本国内でも1990年代後半頃から製造を試みる中小メーカーが現れ普及しつつある。間伐材の利用促進や非化石燃料を用いることで地球温暖化対策に貢献するなどの環境問題から注目されるとともに、灯油小売価格の高騰などの追い風もあり普及しつつある。

特徴[編集]

燃焼する木質ペレット

煙突が必要な従来型のダルマ型、小判型ストーブもあるが、ペレット自動供給装置付きのFF(Forced draft balanced Flue stove)式(煙突を屋外に設置し排気や吸気を行う方式)ファンヒーターも存在する。FF式の場合、室内展示会場内で煙突を外に出さずにデモ稼働できるほど排気はクリーンで排気温も抑えられているタイプが登場してきている。 ペレットは間伐材を使用したエコ燃料であるが燃えにくいのも特徴である。最近ではペレット燃料を上手に活用できるロケットストーブも登場してきている。 良質な木部ペレット(ホワイトペレット)を燃料とした場合は燃えかすや灰がほとんどでないため日々の掃除はほぼ不要であるが、樹皮ペレット(バークペレット)の場合は薪ストーブ並みの清掃頻度が必要になる。 火力が強く寒冷地の暖房に向くが、機器が大きいこと、かつては微妙な火力調整が苦手だったこと、日本の関東以西の都市部の住宅では過剰性能になりがちであったこと、ペレット自体が入手困難であったことなどの要因が重なり日本ではあまり普及していなかった。近年は化石燃料の高騰、ペレットストーブが低価格化かつ細かな温度調整も可能になったこと、ペレットが入手しやすくなったことなども後押しして普及しつつある。また、ペレットストーブの購入に助成金あるいは補助金を設ける自治体も存在する。

構造[編集]

外観は薪ストーブと一見似たものであるが、薪と木質ペレットとでは燃料としての性質が違うため、内部構造はかなり異なる。薪ストーブと比べると使用時の火力調整や燃料供給がやりやすく、煙もほとんど出ないために都市部での利用にも向くというメリットがある。FF式の場合は灯油やガスのFF式のファンヒーターと似たような構造の吸排気口設置で済み、大掛かりな煙突工事も必要ない。デメリットとしては、ほとんどの製品で(送風、排気、燃料供給、温度調節などのための)補助電源が必要であること、薪ストーブと比べてメンテナンスが複雑・高額になる事が挙げられる。また使用の際に、主に送風と吸排気から生じる継続的な作動音を発する為、これを不快に思う者も多い(低周波騒音参照)。ただ、電力を使わず自然燃焼に任せる静音タイプ[1]や、ゼンマイを動力源とするものもある。

問題点[編集]

木質ペレット

ペレットストーブの燃料である木質ペレット木質バイオマスを燃料としているため、その生産と使用において森林破壊大気汚染の原因となっているなど環境負荷が高い点が指摘されている。EUでは欧州委員会により木質バイオマスを再生可能エネルギーから除外する勧告が発表されている。

排ガスに含まれる汚染物質[編集]

大気汚染に関しては、環境省による調査で灯油、ガス暖房と比較して37倍の大気汚染物質(pm2.5)を放出することが示されている[2]。 また、大気汚染に対抗する環境保護団体Doctors and Scientists Against Wood Smoke Pollution (DSAWSP)の調査では、ペレットストーブは薪ストーブよりはクリーンであるが、石油ストーブの15倍、ガスストーブの1800倍のPM2.5を放出する。 特に汚染物質の放出が激しいのは運転開始時と停止時であるが、それにも関わらず、ペレットストーブの排ガス試験ではこの最も汚染が激しい時点のデータをサンプリングしておらず、定常燃焼時のデータのみを用いていることを批判している。仮に稼働時全体の排ガスをサンプリングするのであれば各種環境基準をクリアすることはできないと結論している。 [3]

木質ペレットの重金属汚染[編集]

ウッドストーブに備え付けられている灰を入れるための容器

NESCAUM(Northeast States for Coordinated Air Use Management)が実施した米国およびカナダで製造された23の木材チップと132の木質ペレットに対するリサーチでは、試験されたほぼすべてのペレットが欧州の一般住宅の基準に満たなかった。 これらのサンプルにはヒ素クロムなどの重金属の濃度が異常に高いものがあり、これは防腐剤処理や塗装された廃材を再利用していることを示唆している。 また、樹皮を原料に含む暗褐色のペレットの中には高濃度のカドミウムを含むものがあった。これは薪を燃やしたストーブのに重金属が含まれている既存の研究と一致する。 他の研究では灰は土壌改良材として使用されることが多いため、ペレットストーブの灰を人や動物の食用となる植物に使用することはこれら有毒物質への暴露が懸念されるとしている。 ペレットの汚染の程度は、同じ銘柄の異なるサンプルの間ですら一致しておらず、ペレットの品質の不安定さを示している。 [3]

補足[編集]

  • ヨーロッパのほぼ全域や北米などで広く使用されている。北欧諸国のほかにイタリア、カナダ、アメリカなどでも大手メーカーが製造販売し、日本にも輸入されている。
  • 日本国内では1970年代のオイルショックをきっかけにペレットストーブの輸入や製造が急増したが、その後原油価格が下落安定すると需要がほとんどなくなった。しかし環境意識の高まりから再びペレットストーブが着目され、1990年代後半から少しずつ需要が増えている。このエコロジー志向のストーブの運転には燃料の木質ペレットが不可欠だが、国内で3箇所にまで減少していた木質ペレットの製造工場も再び増加している。
  • 近年は行政がビニールハウス暖房での重油などの化石燃料からの代換としてペレット利用を後押ししている例も多く、家庭への導入についても補助金を給付する自治体が増えている。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

関連項目[編集]