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ウシガエル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウシガエル
American bullfrog
ウシガエル
ウシガエル Lithobates catesbeianus
ウシガエルの3Dモデル
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 両生綱 Amphibia
目 : 無尾目 Anura
科 : アカガエル科 Ranidae
属 : アメリカアカガエル属 Lithobates
種 : ウシガエル L. catesbeianus
学名
Lithobates catesbeianus
(Shaw, 1802)[2]
和名
ウシガエル[3]
英名
(American) bullfrog

ウシガエルの若い個体

ウシガエル(牛蛙、Lithobates catesbeianus)は、無尾目アカガエル科アメリカアカガエル属に分類される北アメリカ原産のカエル。

形態

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角ばった顔つきの大型のカエルである。 体長11 - 18センチメートル[3]。体重500-600グラムほど。

頭部の幅は、頭長よりも長い[3]。後肢の水かきは非常に発達する[3]。

オスの背面は暗緑色で、淡黒色の斑紋がまばらにある。メスの背面は褐色で、斑紋がオスよりも多い。雌雄ともに腹面は白いが、オスでは喉の部分が少々黄色みがかっている。鼓膜はオスで眼径の1.3 - 1.7倍、メスで0.9 - 1.2倍[3]。鼓膜は非常に大きく、メスでも眼の直径にほぼ等しいうえ、オスではその倍近くある。

生態

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水辺に生息する。流れの早い川よりは淀んだような環境を好む。

夜行性。強い警戒心ゆえに日中も暗所を好むため、しばしばアシの茂み、岸辺の土手、土管や暗渠などに潜み、水中から目鼻のみを出している。外敵が近づくと跳躍して逃げる。夜間は上陸したり継続的に鳴いたりするなど、活動がより活発となる。

牛に似た鳴き声で鳴く。

成体は肉食性で昆虫[4][5][6]、魚類、両生類[7][8]、爬虫類、鳥類、小型哺乳類など水辺のありとあらゆる動物を捕食する。水中に限らず陸上でも捕食を行う[9]。

天敵は中型以上の鳥類[10]、肉食の哺乳類、大型の魚類など

繁殖様式は卵生。5 - 9月上旬に4,000 - 60,000個の水面に浮かぶ卵を産む[3]。日本では5-9月に寒天質に包まれた6,000-40,000個の卵を産む[11]。幼生の状態で越冬し、翌年の夏に変態して幼体になる。幼体は水場を伝い、他の水場へ移動する。

冬期の成体は水底の泥土に半ば潜り込み、冬眠する。

幼生での呼吸は、肺呼吸と皮膚呼吸がエラとともに機能を分担する[12]。

便は塊状で色は暗色である。牛レバーを餌に用いた観察では排便は48時間以内の間隔で行われるものが大半であった[13]。

ウシガエルはラナウイルス病のある種の型に感受性があり、幼生の大量死が報告されたことがある[14]。

分布

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新大陸原産。ロッキー山脈以東のアメリカ合衆国に広く分布する。分布域の一部はカナダとメキシコにもかかる。模式標本は南東部のサウスカロライナ州産[2]。

ロッキー山脈以東のアメリカ西部、カリブ諸島、南米大陸北西部、日本列島、台湾島、イタリア北部などに帰化している。

分類

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以前はアカガエル属に分類されていたが、分子系統の解析を経てアメリカ産の他種と共に単系統群を形成することから、アメリカアカガエル属 Lithobates に分割する説もある[3]。一方、アメリカアカガエル属は形態の差異が大きく、鼓膜が眼の直径と同程度かより大きい・後肢外側にある隆起(外蹠隆起)がないといった、他属とも共通する共有形態しかもたない[3]。

人間との関係

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食用

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身体が大きく毒性もないため、食用カエルとしては価値は高い種である。食用部位は後足であり、カエル全般の課題として歩留まりはあまり良くない。淡水生物であり、ヒトに対しては寄生虫感染の危険があることから加熱処理が強く推奨される。

日本には、東京帝国大学の教授であった、動物学者の渡瀬庄三郎が、食用としてアメリカ合衆国(ルイジアナ州ニューオリンズ)から[11]輸入した17匹が、1918年(1917年説や1919年説もあり)に、横浜港に到着したのが初移入である[15][信頼性要検証]。農商務省(のちに農林省)は窮乏する農村に副業として養殖を奨励したが、投機目的の養殖が1923年から1930年頃までは行われたものの、日本ではカエルを食用とする習慣は定着しなかった。これに関連し、本種の養殖用の餌としてアメリカザリガニが輸入された。1932年に冷凍肉の対米輸出が始まり、1940年には165トンと戦前のピークに達したものの太平洋戦争で途絶え、大半の養殖場は閉鎖された[15]。

敗戦直後の日本ではドルを稼げる数少ない輸出品として、1947年に対米輸出が再開。閉鎖された養殖場から逃げて繁殖していたウシガエルの漁が盛んに行われ、1949年には水産庁が資源保護のため捕獲制限を通達するほどだった。1969年には輸出量が967.7トンと最高に達したものの、シアトルで日本産カエル肉から農薬が検出されて翌年に禁輸措置が採られ貿易量が激減。1989年には大蔵省の輸出統計資料からウシガエルの項目が削除され、捕獲対象にならなくなったウシガエルが繁殖するようになった[15]。

味は鶏肉、特にササミに似る。肉は脂がほとんど無いため、炒め物やフライとして食べることが多い。1926年刊行の『実験食用蛙養殖法』では刺身、照り焼き、吸い物といった料理法も勧められている[15]。日本における初期のカレー料理レシピにも材料として推奨されている。ただし、フランス料理店や中華料理店を除くと、平成以降の日本では、いわゆる「ゲテ物料理」を出す店でしか見られない。「食用蛙供養塔」が東京都江戸川区の浄土宗法龍寺にある。

実験動物

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身近で適当な大きさがある脊椎動物であり、解剖の教材や実験動物として使われることがある[16][17]。 。

種の保全状況

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国際自然保護連合(IUCN)作成のレッドリストでは、本種の絶滅の可能性について2022年現在で低危険種(Least Concern, LC)と評価している[1]。日本の環境省が作成するレッドリスト(植物の最新版は2025年公開の第五次リスト)には掲載されていない。

外来種問題

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大型の肉食性動物であり外来種として環境に与える影響は大きい。日本では特定外来生物に指定されており、放逐はもちろん、飼育や生きたままの運搬も禁止されている。[18]。2015年に環境省の生態系被害防止外来種リストにおける総合対策外来種のうち、重点対策外来種に指定されている[18]。

名称

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標準和名は「ウシガエル」とされ、日本爬虫両棲類学会がネット上で公開する標準和名リストではこの名前で掲載されている。和名は英名のbullfrog(牛みたいな蛙)の直訳である。いずれも体の大きさと特徴的な鳴き声に由来する命名とみられている。

古い書籍では「オウシガエル」(牡牛蛙)となっているものがある[19]。

脚注

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注釈

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出典

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  1. 1 2 IUCN SSC Amphibian Specialist Group. (2022). Aquarana catesbeianus. The IUCN Red List of Threatened Species 2022: e.T58565A193396825. doi:10.2305/IUCN.UK.2022-1.RLTS.T58565A193396825.en. Accessed on 15 July 2026.
  2. 1 2 Lithobates catesbeianus. Frost, Darrel R. 2017. Amphibian Species of the World: an Online Reference. Version 6.0 (Date of access). Electronic Database accessible at. American Museum of Natural History, New York, USA. (Accessed: 07/11/2017)
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 松井正文 「アメリカアカガエル属」「ウシガエル」『ネイチャーウォッチングガイドブック 日本のカエル 分類と生活史 全種の生態、卵、オタマジャクシ』、誠文堂新光社、2016年、137-141頁。
  4. ↑ 市川憲平「里地の水生昆虫の現状と保全」『環動昆』19巻1号、 2008年、 pp.47-50, doi:10.11257/jjeez.19.47
  5. ↑ 平井利明「ウシガエルの胃内容から検出されたタガメについて」『関西自然保護機構会報』27巻1号、 2005年、 pp.57-58, ISSN 0919-4657
  6. ↑ 西原昇吾 ほか「生物多様性の高いため池群に侵入した侵略的外来種ウシガエルの排除による水生生物の回復過程」日本生態学会 第61回全国大会 2014年3月
  7. ↑ 平井利明 (2006) ウシガエルによるアカハライモリ幼体の捕食. 爬虫両棲類学会報, 2006巻, 1号, pp.16-17. doi:10.14880/hrghsj1999.2006.16
  8. ↑ 平井利明, 稲谷吉則 (2008) ウシガエルによるナゴヤダルマガエル雄成体の捕食例. 爬虫両棲類学会報, 2008巻1号, pp.6-7. doi:10.14880/hrghsj1999.2008.6
  9. ↑ 松本涼子, 諏訪部晶, 苅部治紀 (2020) 神奈川県厚木市中荻野地区で捕獲されたアフリカツメガエルとウシガエルの胃内容物について. 神奈川県立博物館研究報告(自然科学), 2020巻49号, pp.85-99. doi:10.32225/bkpmnh.2020.49_85
  10. ↑ 冨岡真里子 (2015) ウシガエルを捕食したミサゴ. BINOS, 22巻, pp.63-64. doi:10.14929/binos.22.63
  11. 1 2 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7。
  12. ↑ Tanaka, Kuniaki (2002-06-17). “両生類幼生の呼吸に関するミスコンセプション : オタマジャクシの肺呼吸と皮膚呼吸について” (英語). 理科教育学研究 42 (3): 1-9. doi:10.11639/sjst.KJ00005017942. ISSN 1345-2614.
  13. ↑ 内藤富夫 (1973) ウシガヱル Rana catesbeianaの排便. 日本平滑筋学会雑誌, 9巻, 3号, pp.181-185. doi:10.1540/jsmr1965.9.181
  14. ↑ 宇根有美 (2012) 外来種と野生生物の感染症:両生類のラナウイルス感染症. 地球環境, 17巻2号, pp.151-158. doi:10.57466/chikyukankyo.17.2_151
  15. 1 2 3 4 (あのとき・それから)1918年 ウシガエルの輸入 連れてこられ狩られた一世紀『朝日新聞』夕刊2017年11月29日4面(2020年9月6日閲覧)[リンク切れ]
  16. ↑ 田中邦明, 飯田勇次, 中西太郎 (2006) 脊椎動物の呼吸器官の進化を教えるための実験・観察教材 ―キンギョとウシガエル幼生の呼吸に関する比較解剖および生理実験―. 生物教育, 46巻4号, pp.184-198. doi:10.24718/jjbe.46.4_184
  17. ↑ 原田一貴, 福田裕子, 小田有沙, 近藤興, 山元孝佳, 道上達男 (2024) 生命科学・医学を学ぶ大学生のためのウシガエルとウチダザリガニを教材とした麻酔および解剖方法の開発. 生物教育, 65巻3号, pp.144-150. doi:10.24718/jjbe.65.3_144
  18. 1 2 ウシガエル・特定外来生物等一覧・特定外来生物等一覧(指定日別) (PDF) ・生態系被害防止外来種リスト (PDF) (環境省・2017年11月7日に利用)
  19. ↑ 三省堂百科辞書編輯部 編 (1934) 『新修百科辞典』, 三省堂, 東京. doi:10.11501/1234138

関連項目

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