きりたんぽ

きりたんぽ(切蒲英、切短穂[1])とは、すりつぶしたうるち米のご飯を杉の串の先端に竹輪状に付けて焼いたもの(たんぽ、たんぽ餅という)を串から外して切った食品[2]。また、それを利用した秋田県の郷土料理[3]。鶏(比内地鶏)のがらで取っただし汁に入れて煮込んだり(きりたんぽ鍋)、味噌を付けて焼いたりして食べる。地域によって食べ方は異なる。
概要
[ソースを編集]「きりたんぽ」は、飯を搗(つ)いて串に付けて焼いた「たんぽ」あるいは「たんぽ餅」を、手でちぎったり切ったりして加工した状態のものをいう[2]。この「きりたんぽ」を鍋に入れた料理が「きりたんぽ鍋」であるが、「鍋」を省略して、この鍋のことを「きりたんぽ」という場合もある[2]。
たんぽ(たんぽ餅)
[ソースを編集]たんぽ(たんぽ餅)は搗(つ)いた飯を串に付けて焼いたのものである[2]。うるち米をやや硬めか通常の硬さで炊き、すり鉢で飯粒が半分程度残るまでつく[2]。家庭では保存袋に入れて叩いて調理することもある[2]。1本当たりの飯の量は165g程度が目安とされるが、店舗やきりたんぽ体験に用いられる場合は焼く時間を考慮して100 - 120g程度と少なめになっている[2]。
これを角串の先端に手で伸ばしながら付けて竹輪状にする[2]。串の長さは30 - 40cm程度であるが、囲炉裏等で焼く場合には長い串を用いる[2]。最後にまな板などに転がして均一な厚さに整える[2]。たんぽ(餅)の部分の長さは15 - 20cm程度である[2]。
たんぽ(餅)は囲炉裏か専用の加熱器具で20分から30分焼かれる[2]。これを串から引き抜き、手でちぎったり切ったりして加工したものが「きりたんぽ」である[2]。
名称
[ソースを編集]飯を搗(つ)いて串に付けて焼いた「たんぽ(たんぽ餅)」の語源については諸説ある[2]。
起源
[ソースを編集]元来は冷や飯の利用法として工夫されたものだといわれている[3]。
秋田県大館・鹿角地域の郷土料理で、その地のマタギの料理が起源だったとの説がある[6]。他にもいくつかの説があり、
- 残った飯を捏ねて棒の先に付け焼いて食べたら旨かった。たまたま、南部藩主が巡視に来たときに食べ、食べ物の名前を訊かれたときに、キリタンポと答えたのが始まり[7]。
- マタギが山から帰った際、残した飯を潰して棒につけて焼き、獲物のヤマドリや山菜、キノコとともに煮たり味噌をつけて食べたりしていた[6]。
これに対して秋田県の南部である由利本荘市、大仙市、横手市、湯沢市周辺では、あまりなじみがある料理ではなかった。きりたんぽが全国的に有名になってから秋田県の名物として県南にも普及した[8]。
料理
[ソースを編集]味噌つけたんぽ
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焼いたたんぽに味噌を塗ったもの、あるいは味噌を塗ってからさらに炙ったものを「味噌つけたんぽ」という[2]。単に「みそたんぽ」とも呼ばれる[2]。
きりたんぽ鍋
[ソースを編集]比内地鶏のガラでとった出汁や醤油をベースに、たんぽ(きりたんぽ)、鶏肉(比内地鶏)、キノコ、野菜類を加えて軽く煮込んだ鍋料理である[2]。
出汁は鶏のみを使う場合と昆布でとった出汁に比内地鶏のガラを加えて煮出す場合がある[2]。出汁に加える調味料は塩と醤油であるが、家庭では醤油のみで味付けする場合もある[2]。
市販されている「きりたんぽ鍋セット」の調査では、きりたんぽ、鶏肉、ネギ、セリ、ゴボウ、マイタケ、そしてスープの7種類はすべてに共通して含まれていたとする調査がある[9]。
地域的な特徴として、秋田県教育委員会の「秋田県の郷土食」によると鹿角市ではしらたきまたは糸こんにゃくが入るとしている[2]。その理由について「鹿角には奈良時代に開かれたとされる長い歴史を持つ鉱山があり、鉱山で働く人々の(じん肺)予防のため、こんにゃくを入れるようになったとの言い伝えがある」としている[2]。市販されている「きりたんぽ鍋セット」の調査でも、糸こんにゃくがほとんどのセットに含まれていたとする調査がある[9]。
ただし、しらたきや糸こんにゃくを入れない地域もある[2]。秋田県大館市の「きりたんぽ鍋の作り方」で紹介されている「山田流きりたんぽ」でも「糸こんにゃく、椎茸は使用しない。」としている[10]。シイタケを用いない理由としては風味の他、県北では元々シイタケが「マイタケ採りの副産物として出会うもの」という位置づけであったからである。[要出典]
類似の郷土食
[ソースを編集]- だまこもち
類似の郷土食に「だまこ(だまっこ、だまこもち)」があるが、たんぽとは異なり、ピンポン球の大きさに丸める点と焼かない点が挙げられている[2]。
行事
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大館市や鹿角市では後掲のきりたんぽの祭りが開催されている[2]。また、秋田県の鹿角や大館近辺の地域では、新米が出回る季節になると、新米できりたんぽ鍋を作る「たんぽ会」が行われる[2]。この「たんぽ会」は明治時代からの伝統があるとされる[2]。秋田県内の一部の小学校では遠足できりたんぽ鍋を作る「なべっこ遠足」が行われる例がある[2]。
評価
[ソースを編集]- 2007年(平成19年)、農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」の秋田県のノミネート料理のきりたんぽ鍋がインターネット投票で第3位の得票となった。
参考文献
[ソースを編集]脚注
[ソースを編集]注釈
[ソースを編集]出典
[ソースを編集]- ↑ 平凡社 編「キリタンポ(切短穂)」『大辞典』 第八(復刻)、平凡社、1994年、334頁。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 “秋田県の郷土食”. 秋田県教育委員会. pp. 75-83. 2026年2月25日閲覧。
- 1 2 『ブリタニカ国際大百科事典:小項目事典2』(1973)p.377
- ↑ 日テレNEWS24 きりたんぽ製造の秘けつは「半殺し」?
- ↑ “きりたんぽとは、どういう食べ物ですか。 - 農林水産省”. 2022年6月3日閲覧。
- 1 2 滑川(1986)p.23
- ↑ 小松三郎、「秋田」 『日本釀造協會雜誌』 1978年 73巻 1号 p.32-34, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.73.32
- ↑ 山下(1986)p.48
- 1 2 熊谷ほか. “市販きりたんぽ鍋セットの品質特性”. 秋田県総合食品研究所報告第2号. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ “きりたんぽ鍋の作り方”. 秋田県大館市. 2026年2月25日閲覧。
- ↑ “本場大館きりたんぽまつり”. 本場大館きりたんぽまつり実行委員会. 2013年7月1日閲覧。
- ↑ “行政インフォメーション 2011年11月号” (PDF). 「きりたんぽ発祥まつり」・「花輪かっぽ軽トラ市」を開催します. 鹿角市 (2011年11月). 2013年7月1日閲覧。[リンク切れ]
関連項目
[ソースを編集]- けっぱって東北 -「秋田rock'n'roll」で歌われている。
外部リンク
[ソースを編集]- 本場大館 きりたんぽ協会 - ウェイバックマシン(2020年10月21日アーカイブ分)
- 発祥の地鹿角 きりたんぽ協議会
- 秋田県農林水産部 - 秋田の食材を使ったレシピノート - きりたんぽなべ - ウェイバックマシン(2022年4月7日アーカイブ分)