のぼりべつクマ牧場

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のぼりべつクマ牧場
NOBORIBETSU BEAR PARK
のぼりべつクマ牧場1.jpg
施設情報
専門分野 動物園(クマ牧場)
所有者 登別温泉ケーブル
園長 尾崎武志
頭数 112[1]
種数 6
開園 1958年7月17日[2]
所在地
北海道登別市登別温泉町224
位置 北緯42度29分24.6秒
東経141度9分33.3秒
座標: 北緯42度29分24.6秒 東経141度9分33.3秒
公式サイト bearpark.jp
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牧場

のぼりべつクマ牧場(のぼりべつくまぼくじょう)は、北海道登別市登別温泉町にあるクマ日本の動物園(テーマパーク,観光牧場)。ヒグマ博物館アイヌ生活資料館を併設する。

施設[編集]

のぼりべつクマ牧場は加森観光グループに属し、登別温泉ケーブルの運営である。登別温泉街からロープウェイで約7分、標高550mの四方嶺通称"クマ山"[3]山頂に、ヒグマの第1牧場・第2牧場の2つの放飼場(展示場)をはじめ、「人のオリ」、「ユーカラの里」(アイヌコタン)(「アイヌ生活資料館」など)[4]、世界唯一の「ヒグマ博物館」[5][6]、クッタラ湖展望台、リス村等が設置されており、その中で北海道のエゾヒグマヒグマツキノワグマエゾリスエゾタヌキ等の繁殖群を放養する。また、この施設は周囲が支笏洞爺国立公園であるため、野生鳥獣も多くいる。

このクマ牧場(クマを中心とした動物園)は、北海道に生息している野生動物の保護と観察、研究のため1958年(昭和33年)7月17日に開園する。当初はエゾヒグマ8頭の放牧から開業した[3]。 世界で初めてヒグマの多頭集団飼育に成功し[3]人工繁殖冬ごもりの実験等と教育普及にも努める。クマのショー、アヒルの競走などアトラクションも行っている[7][2]。 この園の飼育場がコンクリート製になった理由は、前田によれば、当初のクマ牧場の飼育場には土があり木が生えていたが、やがて一本残らずダメになったので、コンクリート製の飼育場に作り変えたと創設者から聞いたと著している[8]

どんぐり割引[編集]

秋の期間中に、ドングリを持ち込むと、重さに応じて入園料が割引かれるサービス[9]が行われ、毎年、新聞紙上にてドングリの募集が報じられる。このユニークな募集は秋にクマたちにドングリを与えることが目的で、1トン以上集まる。[10][11][12][13][14][15]

展示[編集]

歴代ボス[編集]

この園では第1位のオスヒグマのをボスと認定して発表している。 牧場によると、ボスがいれば群れが安定すると説明されている。 1964年の初代ボスを「タロウ」として、2010年までに19代までのボスが数えられており、「マツ」という16代目の個体は9年間[16]や「ゴンゾー」という6代目の個体は6年間の連続認定記録を持つ個体が知られている。特に1970年から1976年まで選ばれていた「ゴンゾー」はボスとしての資質が備わっていたと伝えられている[17][18]。 その他、2代目イシマツ(兄)と3代目イシマツ(弟)は力を合わせたボスであったとされ、サチオは小熊の時代に猫に襲われていたものが保護され、17代目19代目に認定されるまでに成長した個体である[17]。園では2011からボスが不在であり、報道では「24年ぶり2度目の珍事」と報じられている[19][20][21][22][23]

クマ牧場における「ボス」に関する説明は『クマ牧場』を参照。

日本最高齢[編集]

オスの日本最高齢エゾヒグマ「ロコ」(1980年1月19日[24] - 2014年2月4日[25])を飼育した[26][27][28]。愛称は「ロコじいさん」。ロコは人間なら100歳に近い高齢で[29]、足と腰が弱っているものの、体長約210cm、体重約320Kg(ともに推定)[24]であった。2012年9月21日、ロコの敬老が祝われ、アイヌ民族の“カムイノミ”が行われた[29]。2013年1月に33歳、現役世代で最高齢となった[30]。翌2014年1月に記録を更新し[31]、1月末から体調を崩し肺炎で死亡した[25]

又、雌ヒグマのピンキー(1979年1月31日-2012年10月30日:33歳)[30]とヨシコ(1979年1月27日-2013年1月26日:33歳)[30]が共に登別生まれで[24]、園の歴代の最高齢とされながら、長生きした[1][30]。体長約160 - 170cm、体重約130kg(ともに推定)[24]。ピンキーは10頭、ヨシコは11頭の仔を産んだ[24]。普段はA獣舎に暮らし、飼育員に甘える。リンゴとサケが好物[24]

3頭は高齢のため一般公開はしなかった[24]

ヒグマ博物館[編集]

ヒグマ博物館

世界唯一のヒグマ専門の博物館で、生後1日目から各世代別剥製、骨格標本や内臓諸器官液浸標本、写真パネルや声の録音テープなどによるクマの起源と歴史、世界の分布図、人畜の被害状況、冬ごもり中の剥製クマの巣穴の模型[32]などヒグマの習性や生態などの資料約500点を展示する[7]。特に産まれたばかりの生後1日目の赤ちゃんヒグマの展示は珍しい[5]。また、ヒグマとアイヌとの関係を紹介しており、ヒグマを捕獲する道具や檻(おり)などが展示される[33]。牧場の歴代ボスの写真もここに全頭分が展示される[17][34]

この屋上はクッタラ湖展望台になっており、自然の風景や、日本屈指の透明度のクッタラ湖を望める[7][32]

アイヌ生活資料館[編集]

ユーカラの里内のチセ(家)に作られた生活資料館では、ユリカゴから墓場まで、アイヌ民族の貴重な生活用具を約300点展示している。修学旅行向けに、園内の「クマ山食堂」でアイヌ料理も提供されている。メニューは鮭汁「チェプのオハウ」、イナキビ入り炊き込みご飯「イナキビアマム」、昆布たれ団子「コンプシト」など[35][36][37][38]

エピソード[編集]

曲芸[編集]

のぼりべつクマ牧場を一躍有名にしたクマの曲芸は行われなくなり、1995年の漫画クレヨンしんちゃんでその様子が描かれ、1996年5月3日のテレビのアニメ放映にも描かれた[39]

NKBセンタークマ総選挙[編集]

白い毛が「ニイサ」

AKB48にあやかり、雌のクマを対象に初めて行った「NKBセンタークマ総選挙」の結果がまとまり、初代「センター」の座を、ニイサ(20歳)が射止めた[10][40][41][42][43]。雌22頭が飼育されている第2牧場内で、観客席から約5メートル離れた餌を最も与えやすい場所「センター」にどのクマが多く立つかを調べる内容。決まった時間に飼育員が観察した。

洞爺湖サミット[編集]

洞爺湖サミットでは、米国政府関係者、中国政府関係者が来園したことがある[44]

観光庁長官[編集]

2011年8月29日、観光庁溝畑宏長官が、東日本大震災の影響で外国人観光客が減少した温泉街を盛り上げるため、この園を訪れ、クマの着ぐるみを着て登別観光をPRしている[45][46]

テレビ[編集]

  • フジテレビ系『トリビアの泉』のコーナー「トリビアの種」にて「飼い主がクマに襲われたときに雑種犬は助けてくれるか」という検証で、検証に使うクマの着ぐるみを本物のクマに近づけさせるためにクマの体臭が染みついた丸太に着ぐるみを染み込ませるために当施設が利用された。
  • のぼりべつクマ牧場では入園者が給餌をすることができるが、その際にクマたちが個性的なアピールポーズをしているため、「おねだり上手なクマ」として、2008年のテレビ朝日ナニコレ珍百景」に選ばれている。番組では、「彼らは成長するにつれ仲間を見ておねだりすることを覚え、自分なりのおねだりポーズを考え出す」、「手を振ってアッカンベーをしたり、前足を合掌して何度もお辞儀をしたりと大アピールをしている」、「このようなユニークなポーズをとってお客さんに大好物のクッキーをおねだりしている」という説明がなされ、受賞理由となっている[47]。ナニコレ珍百景では、このかわいらしい光景が、2009年や2010年にも、「動物珍百景部門」において同様の受賞理由で放送されている[48]

クマのしぐさ[編集]

前田菜穂子[編集]

クマに関する著作家の前田菜穂子がヒグマ博物館の学芸員を勤めている[49][50][51]。前田はクマの専門家としてクマを研究し、ヒグマの専門誌「ヒグマ」を創刊[52]、またメディアの取材に答えたり、各地で講演をした[53][54][55]。この牧場でのクマの冬ごもりの検証実験は前田が初めて行い、広大な自然の森を展示施設にしたサホロリゾート ベア・マウンテンの創設も海外での前田の調査によるものである[8]

2011年5月退職し、2011年8月から、のぼりべつ文化交流館内の「ヒグマ学習センター」代表として、クマとの共生を広める[56][57]

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b のぼりべつクマ牧場-総合案内
  2. ^ a b のぼりべつクマ牧場-会社概要
  3. ^ a b c 登別クマ牧場開園50年、カムイノミで繁栄祈願2008年7月18日朝刊,室蘭民報ニュース
  4. ^ 【アイヌ資料館】ユーカラの里ぐうたび(北海道バリュースコープ株式会社)
  5. ^ a b のぼりべつクマ牧場ヒグマ博物館北海道文化資源DB
  6. ^ のぼりべつクマ牧場ヒグマ博物館インターネットミュージアム
  7. ^ a b c のぼりべつクマ牧場-施設紹介
  8. ^ a b 「ヒグマが育てる森」, 前田菜穂子著, 岩波書店2005年12月22日発行, ISBN 4000019384。※のぼりべつクマ牧場での、北海道大学クマ研の研究活動も書かれる。
  9. ^ 「ドングリ割引」もうすぐ始まります。のぼりべつクマ牧場トピックス2011,2011年8月24日
  10. ^ a b のぼりべつクマ牧場-トピックス20122012年11月10日記録 (webarchive)
  11. ^ 登別クマ牧場が秋の大感謝祭、入場料割り引き企画室蘭民報 2010年9月26日朝刊
  12. ^ のぼりべつクマ牧場 ドングリ持参で入園料割引 100グラム以上で700円 北海道新聞 2010年9月22日 (webarchive)
  13. ^ 愛情ドングリ800キロ のぼりべつクマ牧場、全道から郵送も 北海道新聞 2010年10月19日朝刊室蘭・胆振版に掲載 (webarchive)
  14. ^ クマ牧場のクマが大喜びのワケ 2010年11月26日
  15. ^ 登別クマ牧場で熊も人もうれしい「ドングリ割引き」開始 室蘭民報ニュース,2012年9月21日朝刊 (webarchive)
  16. ^ 『登別クマ牧場で10年ぶりの“ボス”の政権交代』 室蘭民報ニュース 2008年7月25日(金)朝刊
  17. ^ a b c 歴代のボス
  18. ^ 登別クマ牧場・歴代ボスたちのトゥーマッチな肖像2006-10-04 ほのぼの四次元ブログ 著者・ココロ社(ライター) 2013-3-7閲覧
  19. ^ 武闘派不在、ボス争い静か 北海道・のぼりべつクマ牧場北海道新聞,2010/06/08 14:43 (webarchive)
  20. ^ 【登別】クマ牧場のボス「不在」 24年ぶり2度目の珍事苫小牧民報社,2011年7月16日 (webarchive)。※第19代ボス「サチオ」(当時12歳)の負傷、長期療養に伴うもの。
  21. ^ のぼりべつクマ牧場のボスグマが2年連続で不在室蘭民報 2012年7月20日朝刊 (webarchive)
  22. ^ のぼりべつクマ牧場-歴代のボス紹介-ボスの写真付きである (webarchive)
  23. ^ 2009年度のボスが決定! のぼりべつクマ牧場 2009年7月16日
  24. ^ a b c d e f g 登別・クマ牧場でも超高齢化―雄の国内最高齢を更新室蘭民報ニュース,2012年1月25日朝刊 (webarchive)
  25. ^ a b “国内最高齢のヒグマ死ぬ”. NHK北海道 NEWS WEB. (2014年2月5日). オリジナル2014年2月7日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20140207120400/http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20140205/5040281.html 2014年2月7日閲覧。 
  26. ^ クマ山ブログ 2011年2月1日
  27. ^ 登別・クマ牧場でも超高齢化―雄の国内最高齢を更新 室蘭民報ニュースHP 2012年1月25日朝刊 (webarchive)
  28. ^ 登別クマ牧場の「ロコじいさん」、長寿記録塗り替える 室蘭民報ニュースHP 2011年1月27日朝刊
  29. ^ a b のぼりべつクマ牧場:長寿記録更新中の「ロコ」に供え物−−登別毎日新聞北海道,2012年09月22日 (webarchive)
  30. ^ a b c d 【訃報】現役・歴代最高齢「ヨシコ」逝く2013/2/11 クマ山ブログ(のぼりべつクマ牧場飼育員のブログ) 2013-3-7閲覧
  31. ^ 雑記帳:クマ牧場、オス最高齢が34歳誕生日毎日新聞 2014年01月19日 20時27分(最終更新 01月19日 20時43分)
  32. ^ a b のぼりべつ〜は、クマ牧場2008年03月29日,月刊誌「北方ジャーナル」公式ブログ
  33. ^ おでかけカレンダー のぼりべつクマ牧場ヒグマ博物館NPO文化通信ネットワーク (webarchive)
  34. ^ 登別クマ牧場観光さん.com (webarchive)
  35. ^ 【北海道】修学旅行生にアイヌ料理朝日新聞,asahi.com,2010年1月6日15時45分 (webarchive)
  36. ^ 登別・クマ牧場で来春から修学旅行生にアイヌ料理2009年12月19日(土)朝刊,室蘭民報ニュース (webarchive)
  37. ^ 【登別】修学旅行生にアイヌ料理 クマ牧場苫小牧民報社,2010年1月13日
  38. ^ 教育旅行担当者様〜修学旅行のご案内のぼりべつクマ牧場公式HP
  39. ^ 作者・臼井儀人さん追悼 しんちゃんの足跡たどる北海道新聞,現代かわら版,2009/10/17 (webarchive)
  40. ^ クマ牧場で初の“総選挙” 登別温泉北海道新聞(道央),2012年8月11日 (webarchive)
  41. ^ 登別クマ牧場「NKB選抜総選挙」ニイサがセンターに室蘭民報ニュース,2012年8月11日朝刊 (webarchive)
  42. ^ 【登別】センターはニイサ NKB(のぼりべつクマ牧場)総選挙苫小牧民報社,2012年8月15日 (webarchive)
  43. ^ NKB初代センターは「ニイサ」 北海道・のぼりべつクマ牧場読売新聞,2012年9月28日 (webarchive)
  44. ^ 登別・クマ牧場の迫力の光景を各国政府関係者が見学室蘭民報ニュース,2008年7月10日朝刊 (webarchive)
  45. ^ のぼりべつクマ牧場に観光庁長官がやってキター!のぼりべつクマ牧場トピックス2011,2011年8月30日
  46. ^ クマ牧場 観光庁長官が体当たりPR 登別北海道新聞 2011年8月30日 (webarchive)
  47. ^ 【珍百景No.1】「おねだり上手なクマ」北海道登別市”. ナニコレ珍百景 珍百景コレクション. テレビ朝日 (2008年10月8日 OA). 2009年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月27日閲覧。
  48. ^ テレビ朝日「日曜ワイド 〜ナニコレ珍百景SP〜」 2009年6月21日 16:25 - 17:25放送内容 テレビ紹介情報 価格.comテレビ朝日「ナニコレ珍百景 〜特別編〜」 2009年10月17日 13:59 - 16:00放送内容 テレビ紹介情報 価格.com「ペット動物スペシャル」 2010年8月8日 14:00 - 15:25 テレビ朝日「3時間SP」 2010年9月29日 19:00 - 21:48 テレビ朝日 どれも2013-4-28閲覧
  49. ^ ヒグマが育てる森 著者からのメッセージ岩波書店 (webarchive)
  50. ^ 子育ては、しなやかに、したたかに、どっしりと クマの子育てに学ぶ人間の子育て4ページ目 (PDF) 2008年7月号,お母さんはスゴイ!を伝える お母さん大学,トランタンネットワーク新聞社
  51. ^ 子育ては、しなやかに、したたかに、どっしりと クマの子育てに学ぶ人間の子育て5ページ目 (PDF) 2008年7月号,お母さんはスゴイ!を伝える お母さん大学,トランタンネットワーク新聞社
  52. ^ ヒグマからの恋文①〜前田 菜穂子2010年2月23日,北海道民医連 (webarchive)
  53. ^ 【むかわ】むかわ町で勉強会「クマを知ろう」 ヒグマ博物館の学芸員・前田さん講演苫小牧民報社,2011年4月7日
  54. ^ ネイチャーセミナー第2回「ヒグマってどんな動物?」 <お話&スライド>2000年6月17日,日高山脈博物館
  55. ^ 第6回全道生涯学習研究発表会 記念公演「ヒグマが育てる森」 のぼりべつクマ牧場 ヒグマ博物館学芸員 前田菜穂子氏2010年6月10日実施,放送大学北海道同窓会
  56. ^ (cache)第六部 ヒグマと人間 いま再生のとき (3)個体数増加は本当か?苫小牧民報社,2011年12月8日
  57. ^ ヒグマ学習センター開設 登別温泉北海道新聞,2011/07/22 15:00 (webarchive)。※野生のヒグマの生態を伝える講座を行い、人間が共存するための正しい知識を広める狙い。ヒグマの生態や被害防止策、環境保全などを話す。

外部リンク[編集]