チ。-地球の運動について-

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チ。-地球の運動について-
ジャンル 青年漫画天文学
漫画
作者 魚豊
出版社 小学館
掲載誌 ビッグコミックスピリッツ
レーベル ビッグコミックス
発表号 2020年42・43合併号 - 2022年20号
発表期間 2020年9月14日[1] - 2022年4月18日[2]
巻数 既刊7巻(2022年3月30日現在)
話数 全62話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

チ。-地球の運動について-』(チ。-ちきゅうのうんどうについて-)は、魚豊による日本青年漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、2020年42・43合併号から2022年20号まで連載された[1][2]

15世紀ヨーロッパを舞台に、禁じられた地動説を命がけで研究する人間たちの生き様と信念を描いた」フィクション作品[3]

2022年6月時点で、単行本の累計発行部数は250万部を突破している[4]

制作背景[編集]

著者の魚豊は前作『ひゃくえむ。』で青春クラブ活動を描いたため、次は人が死亡するようなサスペンス劇に挑戦したくなったという。魚豊は次のように語っている[3]

中世ヨーロッパって、自然科学の知性と、暴力的なフィジカルが渾然一体と結びついています。そのアンバランスさが、現代から見たら面白く映るのではと。

天動説から地動説へ移行する、知の感覚が大きく変わる瞬間がいいんですよね。哲学と結びついて、「コペルニクス的転回」や「パラダイムシフト」って言葉が生まれるくらいの衝撃を与えました。その瞬間が面白くて、漫画にしようと決意しました。

ただし、現代の日本では「中世ヨーロッパでは、地動説を唱える者への激しい迫害弾圧があった」と信じられていることが多いが、実際の歴史ではそのような記録は残されていない[3]

魚豊は「この勘違いも面白く感じて、テーマにしたい! と思った」と語っており、本作で描かれる「地動説への苛烈な迫害」は虚構のものである[3]

しかし、近代化によって宗教の絶対性が揺らいでいったことは事実であった。そういった時代の変わり目に、人々の価値観が変わっていく様子を描いた[3]

題名[編集]

チ。』という題名の意味は、大地(だい)のチ、)のチ、知識(しき)のチの3つからなる[3]

また『。』(句点)をつけた意図は、魚豊の好みでもあるが(前作『ひゃくえむ。』でもつけた)、主眼は「句点は文章の終わり、停止を意味する」ことにある。魚豊は次のように述べている[3]

大地が停止している状態を「。」で示していて、そこに地動の線(チ)がヒュッと入ることで、止まっていたものが動く状態になる。「地球は動くのか、動かないのか」を「。」で表現しています。

さらに、『チ。』という一文字と句点のみの題名にすることで、インターネット検索をしづらくする狙いもある。魚豊がインターネットで作品名を検索(エゴサーチ)して他者の意見から影響されることを防ぎ、さらには読者が他者による感想に触れずに自分だけの意見を持つことを志向した[3]

あらすじ[編集]

15世紀前半のヨーロッパの『P王国』では、『C教』という宗教が中心となっていた。地動説は、その教義に反く考え方であり、研究するだけでも拷問を受けたり、火あぶりに処せられたりしていた[5]。その時代を生きる主人公・ラファウは、12歳で大学に入学し、神学を専攻する予定の神童であった[6]。しかし、ある日、地動説を研究していたフベルトに出会ったことで地動説の美しさに魅入られ、命を賭けた地動説の研究が始まる。

登場人物[編集]

第1章[編集]

ラファウ
本作の主人公の一人。12歳で大学に進級し、神学を専攻する予定だった神童。ある日、フベルトと出会い、地動説の美しさに魅入られる。フベルトの処刑後はフベルトの意思を継ぎ、極秘に研究を続けるが、義父・ポトツキの密告によりノヴァクに捕まる。捕まった翌日の裁判で地動説を信じると宣言し、その夜、毒を飲んで自殺した。
フベルト
地動説を研究し、異端者として捕まっていた学者。改心したと嘘をついてポトツキに引き取られたが、出所時に出会ったラファウと共に天文の観測を続けていた。しかし、ノヴァクにバレ、火あぶりに処された。ノヴァクに研究がバレた際、自身の研究資料をラファウに託した。
ポトツキ
ラファウの義父。ラファウが地動説の研究をしていることを知りながら黙認していた。しかし、以前、地動説を研究して捕まったことがあるため、異端を黙認していたことがバレると火あぶりになるとノヴァクに脅され、ラファウが地動説の研究をしていたことを密告する。
ノヴァク
傭兵異端審問官。常にけだるげな態度をとっている。

第2章[編集]

オクジー
代闘士。超ネガティブ思考。優れた視力を持つが、空を見ることを恐れている。現世に何も期待しておらず、早く天国に行きたいと願っている。
グラス
オクジーの同僚。超ポジティブ思考。家族を亡くし絶望していた中、火星に希望を見出した。
バデーニ
修道士。「人生を特別にする瞬間」を求め、教会の規律に従うことなく純粋に「知」を追求した結果、眼を焼かれ田舎村に左遷された。知識量、計算力など並外れた頭脳をもつ。右目に眼帯をしている。
ヨレンタ
天文研究助手。宇宙論の大家の施設に入れたが、「女だから」という理由で満足に研究をさせてもらえずに絶望している。バデーニが出題した難問を解くなど、施設でも有数の頭脳をもつ。コルベの助手。
ピャスト
宇宙論の大家。ヨレンタの雇い主で、完璧な「天動説」証明に人生を捧げている。女性差別問題について一定の理解がある。
コルベ
ヨレンタの先輩。ヨレンタが作成した論文を自身の名義で発表。ヨレンタの実力を認める度量はあるが、女性軽視の感覚は抜けていない。
異端者
輸送中にグラスを説得し、共に脱走。フベルトの首飾りと研究資料をオクジーに託す。

評価[編集]

2021年、「マンガ大賞」第14回(2021年)にて第2位[5]。「次にくるマンガ大賞2021」にてコミックス部門第10位[7]。『このマンガがすごい!2022[8]』オトコ編にて第2位。第1回『このマンガがすごい! 芸人楽屋編』にて第6位[9]。『THE BEST MANGA 2022 このマンガを読め!』にて第6位にランクイン[10]

2022年、「漫道コバヤシ漫画大賞2021」ではグランプリを獲得[11]。「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」にて第5位[12]。「マンガ大賞」第15回(2022年)にて第5位[13]。同年4月には第46回「講談社漫画賞」総合部門の最終候補に選出[14]。同月には第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞に選ばれている[15]

2021年9月に単行本第5巻の発売をもって、シリーズ累計部数が100万部を突破した際は、3種類のPVが公開された[16]

書誌情報[編集]

  • 魚豊 『チ。-地球の運動について-』 小学館 〈ビッグコミックス〉、既刊7巻(2022年3月30日現在)
    1. 2020年12月11日発売[6]ISBN 978-4-09-860778-5
    2. 2021年1月12日発売[17]ISBN 978-4-09-860801-0
    3. 2021年3月30日発売[18]ISBN 978-4-09-860878-2
    4. 2021年6月30日発売[19]ISBN 978-4-09-861071-6
    5. 2021年9月30日発売[20]ISBN 978-4-09-861146-1
    6. 2021年12月28日発売[21]ISBN 978-4-09-861206-2
    7. 2022年3月30日発売[22][23]ISBN 978-4-09-861260-4

アニメ[編集]

2022年6月にマッドハウス制作によるアニメ化が発表された[4]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b “「ひゃくえむ。」の魚豊がスピで“真理”求める新連載、映像研×乃木坂46連続企画も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2020年9月14日). https://natalie.mu/comic/news/396278 2021年4月7日閲覧。 
  2. ^ a b “チ。-地球の運動について-:地動説マンガが完結 「スピリッツ」話題作”. まんたんウェブ (MANTAN). (2022年4月18日). https://mantan-web.jp/article/20220417dog00m200046000c.html 2022年4月18日閲覧。 
  3. ^ a b c d e f g h かーずSP, 八木光平 (2021年5月13日). “【インタビュー】『チ。ー地球の運動についてー』魚豊「大地のチ、血液のチ、知識のチ。その3つが渾然一体となっているのがこの作品。」【by コミスペ!】”. TSUTAYA News. https://tsutaya.tsite.jp/news/book/41575219/ 2021年12月13日閲覧。 
  4. ^ a b “チ。-地球の運動について-:話題の地動説マンガがアニメ化 マッドハウス制作”. まんたんウェブ (MANTAN). (2022年6月27日). https://mantan-web.jp/article/20220626dog00m200007000c.html 2022年6月27日閲覧。 
  5. ^ a b “マンガ大賞2位「チ。」あらがえない“禁断の果実“感…2位でもすごいんです”. デイリースポーツ. (2021年4月5日). https://www.daily.co.jp/gossip/subculture/2021/04/05/0014214716.shtml 2021年4月7日閲覧。 
  6. ^ a b チ。-地球の運動について- 第1集”. 小学館. 2021年4月7日閲覧。
  7. ^ 『次にくるマンガ大賞 2021』大賞作品は『【推しの子】』&『怪獣8号』”. オリコン (2021年8月24日). 2021年8月25日閲覧。
  8. ^ 『このマンガがすごい!2022』今年のランキングTOP10を大公開”. 2021年12月7日閲覧。
  9. ^ 第1回「このマンガがすごい! 芸人楽屋編」ランキングTOP10を発表! 川島・山内のマンガ沼web”. 2021年12月21日閲覧。
  10. ^ 「THE BEST MANGA 2022 このマンガを読め!」”. 2021年12月21日閲覧。
  11. ^ “漫道コバヤシ漫画大賞2021グランプリは「チ。」、魚豊が巨大な地球で番組出演”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年1月18日). https://natalie.mu/comic/news/462046 2022年1月18日閲覧。 
  12. ^ 「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」”. 2022年1月27日閲覧。
  13. ^ “マンガ大賞2022発表!大賞はうめざわしゅん「ダーウィン事変」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年3月28日). https://natalie.mu/comic/news/471523 2022年3月28日閲覧。 
  14. ^ “第46回講談社漫画賞の最終候補作14作品が決定”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年4月7日). https://natalie.mu/comic/news/473009 2022年4月7日閲覧。 
  15. ^ “第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞は魚豊「チ。」、新生賞に谷口菜津子”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年4月25日). https://natalie.mu/comic/news/475241 2022年4月25日閲覧。 
  16. ^ “100万部突破「チ。」最新5巻発売、“名セリフ”用いたPVや仕掛け付きノベルティも”. コミックナタリー (ナターシャ). (2021年9月30日). https://natalie.mu/comic/news/447214 2021年9月30日閲覧。 
  17. ^ チ。-地球の運動について- 第2集”. 小学館. 2021年4月7日閲覧。
  18. ^ チ。-地球の運動について- 第3集”. 小学館. 2021年4月7日閲覧。
  19. ^ チ。-地球の運動について- 第4集”. 小学館. 2021年6月30日閲覧。
  20. ^ チ。-地球の運動について- 第5集”. 小学館. 2021年9月30日閲覧。
  21. ^ チ。-地球の運動について- 第6集”. 小学館. 2021年12月28日閲覧。
  22. ^ “次巻完結「チ。」7巻発売、朝井リョウ「今後何が描かれるのか、正直、怖い」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年3月30日). https://natalie.mu/comic/news/471882 2022年3月30日閲覧。 
  23. ^ チ。-地球の運動について- 第7集”. 小学館. 2022年3月30日閲覧。

外部リンク[編集]