ヒストリエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ヒストリエ
ジャンル 歴史漫画
漫画
作者 岩明均
出版社 講談社
掲載誌 月刊アフタヌーン
レーベル アフタヌーンKC
発表号 2003年3月号 -
巻数 既刊10巻(2017年3月現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

ヒストリエ』 (HISTORIĒ) は、岩明均による歴史漫画。『月刊アフタヌーン』(講談社)において2003年3月号から連載中。作者がデビュー前から構想を温めていた作品である[1]

2010年に第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞を[1]2012年に第16回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した[2][3][4]

概要[編集]

紀元前4世紀の古代ギリシア世界を舞台に、マケドニア王国アレクサンドロス大王(アレキサンダー大王)に仕えた書記官・エウメネスの波乱の生涯を描いている。エウメネスはプルタルコスの『英雄伝』(対比列伝)などにも登場する実在の人物である。

2006年ごろから『アフタヌーン』本誌で休載が目立つようになっているが、2008年2月号掲載分(第43話)までを第1部とし、同3月号からは第2部として連載中である。

あらすじ[編集]

序章[編集]

紀元前343年、北東ギリシアのトラキア地方に位置する都市国家カルディアは、北西の強国・マケドニア王国の軍勢の包囲を受けていた。全ギリシア統一を目論む国王・フィリッポス2世によって鍛えられた重装歩兵団は整然とした隊列を作り、城塞都市を十重二十重に取り囲んでいた。重厚な軍勢に囲まれた街には到底立ち入る隙がないように見えたが、一人の青年が隊列の間を平然とくぐり抜け城門まで辿り着く。青年の名はエウメネス。エウメネスはギリシア世界を取り巻く政治情勢の分析から包囲は恭順を迫る示威行動に過ぎないことを見抜き、さらに巧みな弁舌を振るって固く閉じられていた城門を開けさせ、見事に街に入ることに成功する。同じく街へ入ろうとしていた隻眼の商人・アンティゴノスはエウメネスの機転に感嘆し、自分の下で働く気はないかと彼を勧誘する。アンティゴノスは商用で街の顔役であるヒエロニュモスに会うためにカルディアに来たという。奇遇にも、エウメネスがカルディアに来た理由も同様で、ヒエロニュモス邸を訪うことにあった。ただしエウメネスの目的は商用ではなく、少年時代以来久しく離れていた「我が家」への里帰りのためであった。

第1部[編集]

エウメネス少年期-青年期[編集]

エウメネスは、カルディアの顔役であるヒエロニュモス家の次男として幼少期を過ごした。エウメネスは子供の頃から並外れて利発で、その頭の良さは大人も舌を巻くほどのものだった。恵まれた家庭環境の下、大好きなオデュッセウスの英雄譚やヘロドトスの歴史書に読みふけりながら、何ひとつ不自由のない幸福な少年時代を過ごした。(第1巻)

しかし、ある日脱走したスキタイ人奴隷が常人離れした剣の腕で市民兵を次々と殺傷し、カルディアの街を震撼させる事件が起こる。ヒエロニュモスの部下のヘカタイオスとゲラダスはこの混乱に乗じて主を殺し、逃げ切れず死んだ奴隷にその罪を着せようとする。もの聡くその企みを見抜いたエウメネスは査問会で邪な陰謀を告発するが、ヘカタイオスは疑いをそらすためにエウメネスがヒエロニュモス家の子ではなく、拾われたスキタイ人の奴隷であったというエウメネスも知らなかった出自の秘密を暴露する。ヘカタイオスは父に代わって街の実権を握り、エウメネスは再び奴隷身分に墜とされることになる。(第2巻)

エウメネスは旅の商人に大金で買われてカルディアを去ることとなる。ところが航海の最中に奴隷達の反乱が起こって船は沈没し、エウメネスは黒海南岸のパフラゴニア英語版 にあるボアの村の人々に助けられ、思わぬことで自由の身となる。エウメネスは自身の蓄積したギリシアの知識を伝えることで村人達に受け入れられ、当初はエウメネスを胡散臭げに見ていた居候先の少女・サテュラも次第に彼に好意を寄せるようになってゆく。ボアの村は近隣のギリシア人都市・ティオス市の庇護を受けていた。ティオスとの関係は良好なものであったが、エウメネスが青年に成長した頃、ティオスの顔役の息子・ダイマコスが父が病臥したことを機に私兵を率いてボアの村を征服しようと企てる。(第3巻)

ダイマコスの行動を見かねた弟のテレマコスは内密にボアの村を訪れて退去を薦めるが、村人達は村を捨てることを拒み、エウメネスの提案で籠城戦を決断する。エウメネスは鮮やかな智慧で村人を指揮してダイマコスの私兵を迎え撃ち、戦いはボアの勝利に終わる。ダイマコスの死によりボアとティオスの和睦は成るものの、不意なことから村人達が謀略を仕掛けてダイマコスを陥れたことが露見してしまう。テレマコスは激昂するものの、エウメネスは村とティオスとの関係を損ねぬために一人でテレマコスの怒りを被って村を去ることになる。恋仲になっていたサテュラとも別れて村を出たエウメネスは、行く宛てもないまま「故郷」・カルディアへの帰途についたのだった。(第4巻)

すでに廃屋となっていたヒエロニュモス邸に佇みながら、エウメネスは過去の追憶に思いを馳せる。やがて旧友達とも再会を果たしたものの、復讐に戻ってきたと早合点して襲ってきたゲラダスを返り討ちにしたことで、ヘカタイオスに追われる身となる。もはやカルディアにもいられなくなったエウメネスは、アンティゴノスの誘いに乗ることを決める。エウメネスはアンティゴノスに導かれて街を出るが、城門の外には包囲を解いたマケドニア兵が列を整え、開城交渉を終えた主の帰還を待っていた。兵達に恭しく迎えられた隻眼の商人の正体は、彼らを統べるマケドニア国王その人であった。紀元前343年、カルディアはマケドニアの軍門に降った。

第2部[編集]

紀元前343年 マケドニア[編集]

マケドニア王・フィリッポスにその才能を見込まれたエウメネスは、書記官見習いとして王に仕えることとなる。マケドニアの首都・ペラでは名門貴族・アッタロスの邸に身を寄せることとなり、姪のエウリュディケとも懇意となる。新たな生活にも落ち着き、書記官の仕事にも慣れてきた頃、エウメネスは王宮で額にヘビのような奇妙なあざを持った少年を見かける。彼こそがフィリッポス王の後継者、王子・アレクサンドロスであった。(第5巻)

哲学者・アリストテレスを招いてフィリッポスが創設した「ミエザの学校」は、マケドニア貴族の子弟を集めた幹部養成校である。ギリシア世界を代表する大賢人の薫陶を受け、若者達は「マケドニアの両輪」と称される将軍パルメニオンと宰相アンティパトロスの如く、王国の将来を担う存在となるべく日々学業に邁進していた。中でも王子たるアレクサンドロスは、年少ながらすでに文武共に余人にない才能を示している。かといって傲ることのない謙虚で誠実な人柄は、王の後継者として非の打ち所のないものであった。が、その精神の深層には凶暴な別人格「ヘファイスティオン」が潜んでいた。(第6巻)

「ヘファイスティオン」はアレクサンドロスの実母・フィリッポスの第4王妃オリュンピアスが作り出した。淫蕩な王妃はたびたび間男を寝所に引き込んでいたが、アレクサンドロスがまだ幼かったある夜、この母と愛人との情事を目撃してしまう。が、オリュンピアスは物怖じもせずに愛人を刺し殺すと、「心の友を授ける」という言葉とともに衝撃を受ける息子に手鏡を差し出す。鏡には化粧でヘビのあざを隠されたアレクサンドロスが映っていた。もう一人のアレクサンドロス、「ヘファイスティオン」はこのようにして誕生した。以後、折にふれてアレクサンドロスの精神を乗っ取る別人格を作り出したオリュンピアスは、二つの心を持つ我が子をフィリッポスをも踏み超える存在に育てるべく、野心を燃やすようになる。

紀元前340年 ペリントス・ビザンティオン攻囲戦[編集]

紀元前340年、フィリッポスはペリントス・ビザンティオン二都市への攻略に乗り出した。ギリシア世界の中心都市であるアテネと同盟を結ぶ両都市を陥落させることは、マケドニアによるギリシア統一に頑強に抵抗する宿敵アテネを屈服させる足がかりとなる。正式に書記官となったエウメネスも、フィリッポスに従いこの遠征に従軍することになる。(第7巻)

マケドニア軍は二都市を包囲するも、アテネの支援を受けたその守りは思いのほか堅牢だった。アテネは因縁深いペルシアとも手を結んでおり、二都市にペルシアからの軍事援助まで受けさせていた。やがて将軍フォーキオン率いるアテネ艦隊が両都市の周辺海域を制圧すると、フィリッポスはやむなく撤退を決意する。攻略戦は失敗したものの、退却中スキタイの部族との戦いに勝利したマケドニア軍は本国への帰途につくが、蛮族の強襲に不意を突かれフィリッポスが重傷を負ってしまう。フィリッポスに代わって指揮を執ったエウメネスは敵を退散させることには成功するものの、しかしマケドニア軍は大きな損害を被り、結局今般の遠征は散々な結果に終わることとなった。勢いづいたアテネではマケドニアとの決戦を望む強硬論が沸騰し、反マケドニアに燃え上がるその様子を耳にしたフィリッポスもついに決戦を決断する。一方、ペラに戻ったエウメネスは恋仲になったエウリュディケの接吻によって迎えられる。(第8巻)

紀元前338年 カイロネイアの戦い[編集]

決戦に先立ってアンティパトロスから密命を受けたエウメネスは、商人を装ってアテネに潜入する。密命とは来るべき戦において最も難渋する敵将となるであろうフォーキオンを将軍職から追い落とす政治工作を謀ることにあったが、しかしすでにアテネは指導者デモステネスの唱える主戦論一色に染まっており、反戦を訴えるフォーキオンは世論の中で孤立していた。やがてフォーキオンは将軍職から退き、近隣の有力都市・テーベなどとの軍事同盟を成立させたアテネは、いよいよマケドニアとの決戦に打って出る。紀元前338年、マケドニア軍とアテネ・テーベの連合軍は中央ギリシアのカイロネイアにおいて激突した。斜線陣を引いて連合軍に対峙したマケドニア軍は、戦端が開かれてほどなく後退の姿勢を見せる。勢いづいたアテネ軍はここぞとばかりに攻勢をかけようとするが、しかしこの後退はフィリッポスの策略であった。テーベ軍との間に生じた綻びに部隊を突き入れて攪乱させることを企図した戦術であったが、副将のアレクサンドロスは自らが部隊を率いて敵陣に突入することを志願する。(第9巻)

アレクサンドロスには不思議な能力があった。父のフィリッポスも持たぬその能力とは、物事のほんの数瞬先の未来を「見る」ことができるという力だった。この時もアレクサンドロスは戦場の動きを見定め、敵陣の綻びを認めるや一気呵成にこれを突破し、テーベ軍の後背に回り込んだ。後続する部下がついてこれずに単身敵陣の中で孤立するものの、しかし臆することもなく白刃をかざすと、一騎駆けで戦場を疾駆してテーベ兵の首を撫で斬りに刎ねていった。悪鬼の如く戦場を駆け回るその姿は敵軍の端々までを戦慄恐懼させ、テーベ兵はろくな抵抗もできぬまま殺到したマケドニア兵に包囲される。アレクサンドロスの一騎駆けがきっかけとなり戦の趨勢は決まった。テーベ軍は壊滅し、アテネ軍も四分五裂して戦場から遁走し、戦いはマケドニアの完勝に終わる。テーベは占領され、アテネは辛うじて自治を許されたもののマケドニアの属邦に下り、長きに渡ってエーゲ海を支配した「海上帝国・アテネ」はここに消滅した。ついに累年の宿敵を滅ぼしたマケドニア軍はペラへと凱旋することになるものの、しかしエウメネスを待っていたのは恋人のエウリュディケがフィリッポスの第7王妃として王宮に入るという報せだった。パルメニオンの後継候補として指名されるという栄誉もその傷心を癒すことはなく、エウメネスはマケドニアを去る決意をする。(第10巻)

登場人物[編集]

名前の横に「*」がついているキャラクターは史実上実在した人物。

主要人物[編集]

エウメネス *
本作の主人公。カルディアの有力者ヒエロニュモスの次男として育つ。幼少の頃より飛び抜けて利発で、周囲の大人達から神童のように目されて成長した。恵まれた家庭環境のおかげで幼い時期から書物を読みふけり、知略を駆使して逆境を切り抜ける英雄オデュッセウスに憧れ、実録物に興味が移ってからはヘロドトスらの書物から豊かな教養を身につけた。その出自はスキタイ人であり、後にそれが暴露されて奴隷身分に墜ちてカルディアを去り、様々な流転を経た後にマケドニアの書記官となる。
身体能力も高く、殊に剣術を得意としてその腕は並の兵士では束になっても敵わないほどの腕前。また手先が器用で、身の回りにある物を工夫して便利な道具を作ったり、壊れた物を直したりもする。反面、恋愛運は低く、交際した女性とは外的な要因で別れる破目になることが多い。
史実ではエウメネスの出自はカルディア出身という以外は記録が残っておらず不明であり、「スキタイ人の奴隷だった」という設定は本作の創作である。
フィリッポス2世(アンティゴノス) *
マケドニア王国を統べる隻眼の王。ペリントスの商人「アンティノゴス」を名乗ってカルディアの開城交渉に出向いた際にエウメネスと出遭い、その弁舌・機転にいたく感心して家臣として召し抱えた。政略・軍略ともに卓抜した能力の持ち主で、マケドニアを一代でギリシア世界を席巻する強大国に育て上げた英傑。エウメネスはその威容を一つ眼の巨人キュクロプスにたとえる。
実在したアンティゴノスという名の人物は、史実では特に後継者(ディアドコイ)戦争にてエウメネスの人生に大きく関わることになるが、第10巻時点では作中未登場。史実では共に「隻眼王」とあだ名されたという共通点があるが、フィリッポスが右目を失っていたのに対し、アンティゴノスは左目を失っていたと推測されている。
アレクサンドロス *
フィリッポスの第4王妃オリュンピアスの子。文武ともに優れた才能を発揮し、家臣たちにも強く慕われるマケドニアの王子。周囲からの賞賛の声にもまだまだ父には及ばないと考える謙虚な性格の持ち主で、同年代の少年たちと一緒にミエザの学校で学んで自己を錬磨しようと真摯に努力する。品行方正で領民達にも思いやりがあり、一見して王国の後継者として全く申し分のない王子に見えるが、「ヘファイスティオン」という別人格を持つ二重人格者である。
伝承に残されている通り、左右で瞳の色が違う。左目の上あたりにヘビのような形をした奇妙なあざがあるが、本人はそれを気に入っている。愛馬はブーケファラス
フィリッポスのトラキア遠征に乗じて蜂起した反乱都市を寡兵を率いて見事に鎮圧し、「軍神アレスの化身」と讃えられた。続くカイロネイアの戦いでは一騎駆けで敵陣を攪乱し、マケドニア軍大勝の契機となった。フィリッポスはその才能を高く評価しながらも、精神面での問題から将来を危ぶんでいる。
ヘファイスティオン
アレクサンドロスの精神に宿るもうひとつの人格で、時折入れ替わる。「不良」と称される人格で、通常のアレクサンドロスからは考えられないような問題行動ばかり起こす。この人格の存在は王宮内では公然の秘密であるがタブーであり、王宮日誌の類にも記載することは許されていない。この人格が表に出ている間アレクサンドロスの人格は眠っているが、アレクサンドロスが表に出ている間もこちらは覚醒しており、アレクサンドロスの行動を逐一知悉している。アレクサンドロスとは反対にヘビを酷く嫌悪しており、表に出ている時は顔のあざも化粧で消している。
史実ではヘファイスティオンなる名前の人物は、アレクサンドロス大王が信頼を寄せていた幕僚で大王の幼少期からの親友とされるが、本作における関連は不明。

第1部より登場する人物[編集]

序章(トロイア遺跡 - カルディア)[編集]

バルシネ *
ペルシア帝国の大貴族の娘で、トロイアス州総督の妻。機転が利き、女性でありながら有能な軍人。ギリシア人である夫に合わせて、ギリシア風の男装をして長い髪をポニーテールにしている。スパイ容疑をかけられたアリストテレスを追跡していた途中でエウメネスと遭遇する。
メムノン *
ペルシア帝国のギリシア人傭兵部隊の隊長。バルシネの夫の弟。かつて祖国の内乱によって一族とともにマケドニアに身を寄せたことがあり、その軍事的才能をフィリッポスに高く評価され、一時はパルメニオンの後継と目されたこともある。
アリストテレス *
ペルシア帝国にスパイ容疑で追われていた哲学者。逃亡中にエウメネスと知り合い、カルディアへの道すがら博物談義に花を咲かせた。古代ギリシア文明を代表する大賢人。フィリッポスとはかねてよりの友人で、マケドニアに招かれて「ミエザの学校」を開設し、王子であるアレクサンドロスと次代の幹部候補生の教育を請け負う。
カリステネス *
アリストテレスの弟子。ギリシア人としての自負心が強く、文明の遅れた異民族を見下す傾向がある。主体性の乏しい異民族はギリシア人に比べ奴隷に向いていると考えており、これを「適材適所」と評する。
メナンドロス *
アンティゴノスの従者。主人に対しても歯に衣着せぬ物言いをする。正体はマケドニア貴族。詳しい身分や役職は不明だが、アンティゴノスに扮したフィリッポスの従者としてカルディア市内に随伴したり、フィリッポスの信頼はかなり篤い。剣術に優れ、その腕前はエウメネスよりも数段上。また馬術にも長けており、フィリッポスの命でエウメネスに馬術指導をしたこともある。
パルメニオン *
マケドニア軍の総指揮官で、「その威信は王に次ぐ」とまで言われる老将。戦場における全軍の展開時に副将として最左翼を受け持つことから、王の右腕ならぬ「左腕」とも称される。堂々たる体躯の見るからに頼もしげな武将で、エウメネスは最初この人物をマケドニア王かもしれないと想像した。
ペルディッカス *
マケドニア貴族の若者。カルディア包囲に参加し、兵士を指揮する最中で街に入ろうとするエウメネスと顔を合わせる。後に戦場経験のある年長者として、フィリッポスの声掛かりでミエザの学校へ入学する。

エウメネス少年期(カルディア)[編集]

ヒエロニュモス(先代)
エウメネスの養父。カルディア一の実力者で、街の顔役であるとともにバルバロイ(野蛮人)であるスキタイ人を捕らえ、あるいは口減らしをしたい親から子供を買い取って、奴隷として売りさばく後ろ暗い商売もしている。エウメネスと出会ったきっかけもスキタイ人を捕らえる過程でのことで、その当時まだ幼児でありながら実母の惨殺死体を見ても動じなかったエウメネスの胆力に驚嘆し、「英雄の子だ」と惚れ込んで自分の子供として育てることにした。
スキタイ人奴隷・トラクスの反乱事件の際に、腹心であるヘカタイオスの策謀にかかって暗殺される。
テレシラ
エウメネスの養母。基本的に優しい母親としてエウメネスに接するが、夫が酔狂で拾ってきた息子をその出自から密かに気味悪く感じていた。
しかしエウメネスが奴隷に身を墜として街を離れた後はその行く末を強く気にかけ、心労から酒に浸るようになる。やがて病に罹って死の床につくが、忌の際に自身の墓に家族と一緒にエウメネスの姿を刻んでほしいと言い遺して息を引き取る。
ヒエロニュモス *
エウメネスの義理の兄。エウメネスと比べて出来が悪く、才能に溢れる弟を妬んでいる。父の死後は当主となるが家は没落し、父の敵(かたき)と薄々感づきながらもヘカタイオスの世話になって暮らす。
史実上のヒエロニュモスはエウメネスと同じカルディアの出身者で、エウメネスの親族かごく親しい関係だったと推測されているが、義兄という設定は本作の創作である。
ヘカタイオス *
エウメネスの養父ヒエロニュモスの側近。トラクス脱走事件に乗じてヒエロニュモスを暗殺し、カルディア市を実質上牛耳る実力者となる。エウメネスの出自を暴き、奴隷に身を墜とすきっかけを作った張本人。成人後のエウメネスとはボアの村を経て帰郷した際に一度再会し、その後カルディアがマケドニアの軍門に下った後に、マケドニアに仕える役人として対面する。エウメネスの頭脳の鋭さについては彼の子供の頃から密かに恐れ憎悪していたが、マケドニアに恭順した以上エウメネスにも頭を下げざるをえなくなり、強い屈辱感を感じている。
史実ではカルディアの僭主で、プルタルコスによればエウメネスとは政治的に対立していた。
ゲラダス
ヒエロニュモスの片腕。荒くれ者の傭兵達を腕力で取り仕切る豪傑。ヘカタイオスと共謀し、ヒエロニュモスを暗殺する。カルディアに帰還したエウメネスを復讐に戻ってきたと早合点し、不意打ちで殺そうとするが、返り討ちにあって死亡する。
カロン
ヒエロニュモス家に長年仕えていた奴隷。幼少期のエウメネスに忠実につき従い、従者として彼の面倒を見た。エウメネスの出自についてはスキタイ人の奴隷狩りに参加していたこともあって当初から知っており、エウメネスが奴隷に身を墜とした後は急に彼に接する態度が冷たくなるが、表には出さないもののエウメネスのことを変わらず気にかけていた。その気持ちの根底には、奴隷狩りの際にカロンが幼いエウメネスを盾にしたことで、彼の実母が惨殺されるきっかけを作ったという負い目がある。
エウメネスがヒエロニュモス家を去った数年後、地道に貯めていた金で自らを買い取り、解放奴隷となってカルディアを出る。その後裏社会で頭角を現し、「メランティオス」と名を変えてアテネに隣接する港町ピレウスの裏社会の頭目となる。妻を娶った後も子を儲けることなく息子のように思っていたエウメネスの行方を気にかけていたが、カイロネイアの戦いに先立ちエウメネスがアテネに潜入した際についに再会することとなる。
トルミデス、ニコゲネス、オルビオス
エウメネスの学校での友人たち。エウメネスとの親交は厚く、エウメネスが奴隷として売りに出された際も友情を忘れること無く、その船出を見送った。
その後トルミデスは市民兵となり、帰郷したエウメネスと再会する。体格に恵まれたニコゲネスはその後も体を鍛えオリンピア競技会のカルディア代表選手となった。体の弱いオルビオスは疫病で命を落とした。
ペリアラ
カルディアの裕福な家の娘。エウメネスと仲がよく、双方ほのかな恋心を抱いていた。エウメネスが奴隷として売られた際には、エウメネスとの思い出を振り切るために「私には奴隷の友達なんかいない」と叫んでエウメネスからの贈り物を海へ投げ捨てようとした。
エウメネスが去った後、馬車や荷車を作る「テッサロス車輪」に嫁ぐ。
トラクス
スキタイ人奴隷。主人である高利貸しの息子テオゲイトンに苛烈な虐待を受け続けていた。剣技に優れた男でそれゆえ鎖に繋がれたままで奴隷として売られていたが、テオゲイドンが知らずにそれを外したことでカルディアの街を揺さぶる事件が起こることとなる。
スキタイの気配を感じたのか情をかけられたせいかは不明だが、言葉は交わさないもののエウメネスに不思議な親しみを見せた。
ゼラルコス
黒海沿岸のギリシア人都市オルビアの商人。奴隷の身分に墜ちたエウメネスを大金で買い取った。少年奴隷を買い取って去勢し、寵童にする倒錯趣味がある。そのため奴隷たちの激しい憎しみを買っており、カルディアを離れた直後の航海中に反乱に遭い惨殺される。そのまま船は難破し、エウメネスは思わぬことで自由の身となった。

エウメネス少年期 - 青年期(パフラゴニア)[編集]

サテュラ
ボアの村の先代村長・ガルドの娘。両親はすでになく、叔母の家に暮らす。エウメネスのことは当初は訝しく思っていたが、やがて互いに愛し合うようになる。両人ともそのまま村で暮らすことを望んでいたが、サテュラの許嫁であるダイマコスと村との争いをきっかけにエウメネスは村を離れざるを得なくなり、別離することとなる。
バト
ボアの村一番の剣の使い手で、エウメネスに剣技の手ほどきをしてくれた青年。冷静で観察力に優れた性格で、村の若者のリーダー的存在でもある。エウメネスに次第に信頼を寄せるようになり、よき理解者となる。カルディアに戻ったエウメネスは偽名を使う必要に迫られた際に、彼の名前を借用して「バト」と名乗った。
ダイマコス
ボアの村の近隣ティオス市の顔役フィレタイロス家の長男で、サテュラの許婚。野心家で、ボアの村の先代村長との間に深い絆を持っていた父が病に臥ったのを機に、ボアを支配下に収めようと村に攻め込むが、エウメネスの立てた作戦により惨敗を喫する。作戦では生け捕りにされる予定だったが、その傲慢な言動が災いして村人達に殺害される。
テレマコス
ダイマコスの弟。兄に似ず温厚な性格で、兄の野心を見かねて一足早くボアの村を訪れ、村人達に危機を知らせた。しかし狡猾なところもあり、村を訪れた際に見初めたサテュラを自らのものにするべく、紛争の終結後に「和睦の証」と詭弁を弄して彼女を娶った。

紀元前343年 レスボス島[編集]

謎の男
アリストテレスを追っていたバルシネがレスボス島の生物研究所で出会った奇怪な男。いかなる理由によってか、素性を隠して訪ねたバルシネがアリストテレスを追跡していたことを見抜いた。狂気じみた表情で「私には時の波動のようなものが見える」と口にし、バルシネが自分のもとに現れることを以前から待っていたなどと謎めいた言葉を繰り返した。バルシネはアリストテレスの友人のテオフラストスかと推測したが、その正体は不明。

第2部より登場する人物[編集]

紀元前343年 マケドニア[編集]

オリュンピアス *
フィリッポスの第4王妃でアレクサンドロスの実母。淫蕩な性格で、何人もの男を寝所に引き込み密かに交わっている。アレクサンドロスはまだ幼い頃にこの母と愛人との情事を目撃したことから強い衝撃を受け、人格が分裂することになった。自らの手でアレクサンドロスの別人格を育て、二つの心を持ったわが子が「フィリッポスを踏み越える」存在になることを望む。王宮内で好んでヘビを飼っている。
アレクサンドロスが情事を目撃した愛人はオリュンピアスの手によってその場で殺されるが、彼こそがアレクサンドロスの本当の父親である可能性が作中で強く示唆されている。この愛人の顔は、ポンペイ有名なモザイク画のアレクサンドロス大王に酷似した顔として作画されていた。
アッタロス *
マケドニアの名門貴族で、エウメネスの居候先の主人。貴族らしからぬ砕けた性格で親しみやすい人物であるが、先妻との間の息子を戦で失って以来酒乱気味となっている。後妻はパルメニオンの娘で、真面目な性格の血筋の後妻や義理の弟のフィロータスとは性格が合わず苦手としている。
エウメネスを気に入り、一時は姪のエウリュディケと娶せて養子として家を継がせることも考えたものの、カイロネイアの戦いの後、エウリュディケを王妃に迎えたいというフィリッポスの意向を受け入れる。
エウリュディケ *
アッタロスの姪。英気溌剌とした聡明な娘で、エウメネスと気が合い後に恋仲となる。エウメネスの考案した「マケドニア式将棋」に興味を持ち、作った当人のエウメネスを上回る才能を見せた。
一時はエウメネスと結婚を誓い合ったものの、カイロネイアの戦い終結後にフィリッポスにより第7王妃として王宮に召されることとなる。エウメネスに駆け落ちを持ちかけられるが、王妃を出すことを「一族の誉」とするアッタロスの希望に従い、フィリッポスとの縁談を了承する。
レオンナトス *
マケドニア貴族。アレクサンドロスと共にミエザの学校に入学する。「気まぐれでお調子者かと思えば意外に義理堅く勇気もある」とアレクサンドロスに評される。
フィロータス *
アレクサンドロスの学友の一人。パルメニオンの長男で、アッタロスとは親子ほどに年が離れているが義弟になる。
負けず嫌いの性格から、ミエザの学校ではベルディッカスやプトレマイオスなど年長者に対して強い対抗心を燃やす。カイロネイアの戦いの後にエウメネスがパルメニオンの後継候補に選ばれた際には、息子である自分を差し置いて貴族でもなくマケドニア人ですらないエウメネスが選ばれたことに激しい嫉妬心を抱く。
ポリュダマス *
フィロータスと共にアッタロス邸をたずねる人物。
ポリュペルコン *
フィロータス、ポリュダマスと共にアッタロス邸を訪ねる人物。
ディアデス *
マケドニアの兵器工廠で、設計・製造を取り仕切る外国人。飾り気がなく率直にものを言う。エウメネスが王に気に入られていると知るや仲良くしようとするなど調子のいい面もある。
カサンドロス *
アンティパトロスの息子。フィロータスの親友で、王国宰相と将軍を務める父親同士の関係と同様に仲が良い。ミエザの学校へ入学するが、学友たちが議論している最中も黙っているため、アレクサンドロスには何を考えているかわからないと評される。
プトレマイオス *
マケドニア貴族の若者。ペルディッカスと親しく、共に戦場経験のある年長者としてミエザの学校へ入学する。
フィリンナ *
フィリッポスの第3王妃。アリダイオスの母親。
アリダイオス *
フィリッポスの第3王妃フィリンナの子。アレクサンドロスの異母兄に当たるが、知的障害があるためその行動はごく幼い。フィリッポスに手先の器用さを買われたエウメネスは、このアリダイオスのために幼児用の玩具を制作した。アレクサンドロスのことは別人格のヘファイスティオンに危害を加えられることもあるため、ひどく恐れている。
アンティパトロス *
マケドニアの宰相。パルメニオンとともに「王家の両輪」と讃えられる王国の重鎮で、内政・外交ともに辣腕を奮う老練政治家。エウメネスは深謀遠慮に富んだその政略眼に驚かされるが、アンティパトロスもエウメネスの思慮深さに感心し、元来外国人の登用に積極的であったこともあってエウメネスの存在に強く関心を持つ。
ディオドトス
マケドニアの書記官。エウメネスの最初の上司。アンティパトロスによって取り立てられた「アンティパトロス派」の一員。
ネアルコス *
クレタ島の出身の若者。数年前にマケドニアに帰化したばかりだがミエザの学校への入学を許可され、貴族の子弟と顔を合わせる前に乗馬を身に着けたいと考え、エウメネスとともにメナンドロスに馬術を習う。闊達で誠実な性格の持ち主で、後に「誰よりも信頼できる男」というあだ名がつけられたほどの好青年。海洋交易に従事するクレタ人の息子であることから、船や海に詳しい。
アレクサンドロス(オリュンピアスの弟) *
オリュンピアスの実弟。フィリッポスの後ろ盾により故国モロッシアの王となり、隣接するエペイロス全土も治めることを命じられる。
ハルパロス *
アレクサンドロスの学友。算術の才能があるが、時々人を見下す態度をとることが欠点とアレクサンドロスに評される。運動があまり得意でなく、アレクサンドロスが馬で滝を飛び越えるのを見て自分も挑戦するものの、馬とともに滝から落下する。意識を失っていたところを農夫のペウケスタスに救われ、アリストテレスの応急処置で一命を取りとめる。
ペウケスタス *
ミエザの農家で両親と暮らす青年で、ミエザの学校とそこで学ぶ貴族の子弟に興味を抱く。滝から落ちたハルパロスを助けた縁でアレクサンドロスに目をかけられ、彼の口利きによってミエザの学校に通うこととなる。
ネオプトレモス *
オリュンピアスを護衛する兵士。寝所の番に立ち、多情なオリュンピアスの火遊びの見張り役を務めるが、オリュンピアスのことを密かに慕っている。役目柄情事の誘いを断るものの、自尊心をくすぐる挑発を受け同衾に至る。

紀元前340年 ペリントス・ビザンティオン攻囲戦[編集]

コイノス *
マケドニアの将軍。
クラテロス *
マケドニアの将軍。優れた軍才を高く評価されパルメニオンの後継者と目されたこともあるが、フィリッポスとパルメニオンとの間柄のような阿吽の呼吸がとれず、話は立ち消えとなった。
カレス *
アテネの将軍。ビザンティオンに派遣され、マケドニア軍の攻撃に対して防衛戦の指揮を執る。かつてペルシアの大軍と戦って大いに破った功績を称えられ、「英雄」と呼ばれることもある。当人はその呼ばれ方には抵抗があると謙遜しているが内心は嫌でもないようで、戦闘中に気分が高揚すると自ら「英雄」と口走る場面もある。とはいえその指揮能力を疑問視する向きもあり、カレスが「英雄」と称えられることに首を傾げる人間も少なくない。
カイロネイアの戦いではアテネ軍の総指揮を執るが、フィリッポスの戦術的後退に騙されて前進を繰り返した挙句に陣形に綻びを生じさせてしまい、アレクサンドロスの部隊につけ込まれる隙を作った。これが遠因となって全軍がマケドニア軍の猛攻に晒されることとなり、主力の重装歩兵部隊が潰乱させられると戦場から逃亡した。
フォーキオン英語版*
アテネの弁論家で政治家。誠実な人柄で清貧を旨とする質素な暮らしを送っていることから人格者としてアテネ市民達の信頼が篤く、毎年のように将軍職に選出されている。政治姿勢は基本的に穏健だが、傭兵軍の副官として各地を転戦した豊富な軍務経験があるため軍人としても有能。地味だが堅実かつ確実な指揮を執って戦局を優位に導く能力があり、アテネ海軍を率いてペリントス・ビザンティオンへ駆けつけマケドニア軍を敗退させた。
カイロネイアの戦いに先立ってアンティパトロスはエウメネスをアテネに潜入させ、優れた軍才を持つフォーキオンを将軍職から退かせる政治工作を図ろうとした。アテネの征服に成功した暁には重要拠点となるアテネの施政を任せようという目論見もあったものの、しかし反戦を主張するフォーキオンは市民の支持をすでに失っており、翌年には将軍選挙で落選し、カイロネイアの戦いに参加することはなかった。
かつてプラトン学園で勉学を修めたため、アリストテレスは同じ学舎の後輩に当たる。メランティオスと名を変えたカロンとも親交があり、エウメネスと彼が再会するきっかけになった。
デモステネス *
アテネの弁論家で実質的なアテネの指導者。言葉を多く弄さず的確に物事の核心を突くフォーキオンの弁論に対して、時に流麗、時に苛烈な言葉をたたみ掛けて相手を圧倒する弁論術を奮い、「当代一の弁論家」と謳われる。強硬な反マケドニア主義者でかねてより徹底した抵抗をアテネ市民に呼びかけていたが、ペリントス・ビザンティオンへの遠征が失敗に終わったことを奇貨とし、マケドニアとの決戦を主張して市民の圧倒的支持を得る。
テーベとの軍事同盟を成立させた後、中央ギリシアのカイロネイアにおいてマケドニアとの最終決戦に臨み、自らも「祖国のために戦う市民兵たちの士気を鼓舞する」ため、矛と盾を持つ一兵卒として戦闘に参加する。しかし一騎駆けで兵を撫で斬りに殺戮していったアレクサンドロスの威容に恐れをなし、武具も放り棄てて戦場から逃走した。

紀元前338年 カイロネイアの戦い[編集]

フォイニクス *
カイロネイアの戦いの前年、アテネへの潜入を命じられたエウメネスにアンティパトロスがつけた護衛団の長。エウメネスと同じく異邦人であり、雇われ外国人としてマケドニアに仕えている。物腰は粗野だが、請け負った仕事は何があろうと最後までこなすなど律儀で義理堅い面もある。
テアゲネス *
テーベの将軍。カイロネイアの戦いにおいてテーベ軍の総指揮官として戦場に臨む。アレクサンドロスの一騎駆けを契機に狂乱に陥った軍の崩壊を止めることができず、指揮らしい指揮を執る間もなくマケドニア軍の包囲を受けて逃げ場を失い、兵達とともに戦死する。

作品解説[編集]

インターネット・ミーム[編集]

「第8話 スキタイ流」においてエウメネスがメディア王国の将軍ハルパゴスについて語る場面がある。ハルパゴスがメディア王国に反旗を翻す瞬間を描いた箇所(単行本第1巻、184ページ)は、感情の動きを読み取れず読者を惑わせるコマが続いた後に衝撃的な台詞が続く印象的な場面となっており[5]、インターネット上においてさまざまなコラージュ画像(面白画像)やアスキーアート二次創作され、有名となった[6][5][7]。インターネット上ではこの場面の他にも、本作における印象的な場面の台詞が本来の文脈から離れて(すなわちインターネット・ミームとして)引用されることがある[5][7]

インターネット・ミームとして引用されるハルパゴスの場面は、大ゴマとして描かれる台詞の場面が1コマだけ抜き出されることが多いものの[5]、漫画研究家の中田健太郎と野田謙介は、この場面はハルパゴスが視線をさまよわせる直前の2コマを含めて1つの塊となっており、前後の文脈を踏まえてこそ味わい深いと評している[5]。類似の表現は同じくインターネット・ミームとなっている、第3巻で主人公エウメネスが自身の出生の秘密を知らされ絶叫する場面にも見られる[5]

  • 「ば~~~っかじゃねえの!?」
  • 「文化がちが~う!」 ……など

書誌情報[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 平成22年度[第14回]文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 大賞 ヒストリエ”. 文化庁メディア芸術プラザ. 2011年12月11日閲覧。
  2. ^ 第16回手塚治虫文化賞贈呈式”. 朝日新聞社インフォメーション. 2014年2月23日閲覧。
  3. ^ 手塚治虫文化賞 :マンガ大賞に「ヒストリエ」 被災地回し読みの「あのジャンプ」が特別賞”. MANTANWEB. 2014年2月23日閲覧。
  4. ^ 手塚治虫文化賞大賞は「ヒストリエ」、新生賞は伊藤悠”. コミックナタリー. 2014年2月23日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 中田健太郎、野田謙介「輪郭線に寄りそい、輪郭線に笑いあう……表現論以降の作家論にむけて」、『ユリイカ2015年1月臨時増刊号 総特集*岩明均……『風子のいる店』『寄生獣』『七夕の国』から『ヒストリエ』まで』第46巻第16号、青土社2014年12月20日、 41-44頁、 ISSN 1342-5641ISBN 978-4-7917-0281-7
  6. ^ 第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞は「ヒストリエ」、有名な「ば~~~っかじゃねえの!?」の原画も展示”. GIGAZINE (2011年2月4日). 2012年2月26日閲覧。
  7. ^ a b 斎藤環杉田俊介「輪郭線に生きる者たち」、『ユリイカ2015年1月臨時増刊号 総特集*岩明均……『風子のいる店』『寄生獣』『七夕の国』から『ヒストリエ』まで』第46巻第16号、青土社2014年12月20日、 169頁、 ISSN 1342-5641ISBN 978-4-7917-0281-7

関連項目[編集]

外部リンク[編集]