アレース

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紀元前約320年のギリシアの原物を摸したローマのLudovisi Ares. 紀元17世紀にはベルニーニによる修復が加えられている。
ギリシア神話
Zeus Otricoli Pio-Clementino Inv257.jpg
主な原典
イーリアス - オデュッセイア
神統記 - ギリシア悲劇
ビブリオテーケー - 変身物語
オリュンポス十二神
ゼウス - ヘーラー
アテーナー - アポローン
アプロディーテー - アレース
アルテミス - デーメーテール
ヘーパイストス - ヘルメース
ポセイドーン - ヘスティアー
ディオニューソス
その他の神々
カオス - ガイア - エロース
ウーラノス - ティーターン
ヘカトンケイル - キュクロープス
タルタロス - ハーデース
ペルセポネー
ヘーラクレース - プロメーテウス
ムーサ - アキレウス
主な神殿・史跡
パルテノン神殿
ディオニューソス劇場
エピダウロス古代劇場
アポロ・エピクリオス神殿
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アレスもしくはアーレース古希: ΑΡΗΣ, Ἄρης, Arēs; Ārēs)は、ギリシア神話に登場する神で、戦を司る[1]ゼウスヘーラーの子とされる[1]オリュンポス十二神の一柱[1]。アイオリス方言ではアレウスもしくはアーレウスἌρευς, Areus)とも。日本語では長母音を省略してアレスとも呼ばれる[1]。聖獣はオオカミイノシシで聖鳥は啄木鳥雄鶏。聖樹はトネリコ

本来は戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された[2]。「城壁の破壊者」の二つ名がある。戦争における栄誉や計略を表すアテーナーに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す[2]。その性格も粗野で残忍、かつ不誠実であった。

神話[編集]

人間であるディオメーデースに敗北したり(アテナがディオメーデースの支援をしていたが)、巨人の兄弟アローアダイ(オートスとエピアルテース)により青銅の壺の中に13か月間幽閉されるなど、神話ではいいエピソードがない[1]。これはアレースの好戦的な神格がギリシア人にとって不評だったこと、主にギリシアにとって蛮地であるトラーキアで崇拝されていたことによる[2]

基本的に神々の中では嫌われているが、愛人のアプロディーテーや従者と子供達、そして彼が引き起こした戦争が冥界の住人を増やすことから、冥界の王・ハーデースとは交際がある。

戦場では普段は徒歩だが、場合によっては黄金の額帯を付けた足の速い4頭の神馬に戦車を引かせ、青銅の鎧を着込んで両手に巨大な槍を持ち、戦場を駆け巡った[2]

男神の中では1、2を争う程の美貌を持っている。身長も高く、人間の前には大抵人間サイズの大きさで現れるが、真の姿だと、その身長は200メートルを優に超える。体重は不明である。

ポセイドーンの息子の1人・ハリロティオースがアレースの娘アルキッペーを犯し、激怒したアレースはハリロティオースを撲殺した[1]。ポセイドーンは激怒し、アレースを神々の裁判にかけることを主張し、それを認められた[1]。こうしてアレースの丘で世界初の裁判が開かれることになった[1]。アレースは情状酌量の余地があるとして無罪となり、これ以降重大事件の裁判がアレースの丘で行われるようになった[2]

係累[編集]

ヘーパイストスの妻であるアプロディーテーを恋人とし、ポボス(フォボス、敗走)とデイモス(恐慌)の兄弟、娘ハルモニアー(調和)の父となった[1]エロースをアレースとアプロディーテーの子に加える説もあるが、これは元々関係のなかったアプロディーテーとエロースを関連付けるために作られたものである[1]。他にも、アマゾーンをはじめとする多くの蛮族の父である[1]

また、エリスエニューオーも彼の従者であり一般的には妹とされているが[1]、姉や妻とされることも多く、また特にエニューオーは母や娘とされていることもある。

命名[編集]

ローマ神話マールスに相当し[1]、また火星と同一視される。このため火星と同様に赤く輝く天体であるさそり座のα星はアンタレス(アンチ・アレス、アレスに対抗する者の意)と呼ばれている。火星の衛星フォボスダイモスはアレースの子の名から採られている。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店
  2. ^ a b c d e フェリックス・ギラン 『ギリシア神話』 青土社