ゴルゴーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
愛馬ブケパロスに騎乗したアレクサンドロス。鎧にメドゥーサの首(拡大図)
紀元前660年頃の貯蔵用の大甕ピトスの表面に描かれたレリーフルーヴル美術館所蔵。

ゴルゴーン古希: Γοργών, Gorgōn)、またはゴルゴー古希: Γοργώ, Gorgō)は、ギリシア神話に登場する醜い女の怪物である[1][2]。その名は「恐ろしいもの」の意。

日本語では長母音記号を省略し、ゴルゴン[1]ゴルゴとも表記する。英語読みはゴーゴンGorgon)。

概要[編集]

ヘーシオドスの『神統記』やアポロドーロスによると、ゴルゴーンは海神ポルキュースとその妻ケートーの娘で、ステンノーエウリュアレーメドゥーサの3人からなる姉妹である。またグライアイとも姉妹である[3][4][5]エウリーピデースの奇妙な伝承によると、ゴルゴーンはギガントマキアーの際にガイアギガース族の味方として生み出したとある[6]。さらにヒュギーヌスはゴルゴーンとケートーからステンノー、エウリュアレー、メドゥーサが生まれたとしている。この伝承ではゴルゴーンは男の怪物となっている[7]

髪の毛の代わりに生きているが生えており[1]黄金の翼、青銅イノシシのようなを持つとされ、自らの翼で空を飛び、ゴルゴーンの顔を見た者を石化することができる[5]ボイオーティア地方から発見されルーブル美術館に所蔵されている大甕ピトスでは、下半身がの腹から下になっているケンタウロス族のような姿で描かれているが、剣でゴルゴーンの首に剣を向けているペルセウスはゴルゴーンを見ないように顔を背けている[1]。その住処はヘーシオドスによると、オーケアノスの流れや「ヘスペリデスの園」の近くの世界の西の果ての地である[8]

神話[編集]

神話によると3姉妹のうちメドゥーサだけが不死ではなく、後にメドゥーサはペルセウスによって首を切られて退治された。その際、傷口からメドゥーサとポセイドーンの子クリューサーオールとペーガソスが生まれた[9][10]。その後、ペルセウスはメドゥーサの首を使ってアンドロメダーや母ダナエーを救い出したと伝えられている。ペルセウスがキビシスからメドゥーサの首を取り出し、その首を向けられた者は何者であっても石と化した[11]。一説によるとメドゥーサはアテーナーと美を競ったために、アテーナーによって首を切られた[11]。さらにメドゥーサはアテーナーの怒りに触れて醜い姿にされたとする説も唱えられた[12]。ペルセウスは冒険が終わるとメドゥーサの首をアテーナーに捧げ、アテーナーは自らのアイギスにその首を取り付けたという[11]

ホメーロスは『イーリアス』の中で、ゼウスの盾アイギスに固定されているゴルゴーンの首について描写している[13]。アイギスは『イーリアス』においてはゼウスの持ち物であり[14]ヘーパイストスがゼウスのために制作したものである[15]。アイギスについては諸説あり、後世の神話ではアテーナーのアイギスは女神自身がゴルゴーンを倒した際に、その皮を剥いで作ったものだと語られている[16]

一方、『オデュッセイア』ではゴルゴーの首は冥府の王ハーデースが所持する魔物であるかのように描かれている[17]

魔除けとしてのゴルゴーン[編集]

ゴルゴーンの首は古代ギリシャにおいてはしばしば魔除けゴルゴネイオン、Gorgoneion)に用いられた[18]イスタンブールの元システィン礼拝堂礎石には、そのような魔除け用のゴルゴーンの浮き彫りを彫った石が使われている[要出典]

ギリシア美術では「真正面を向いた」人物描写は少ないが、ゴルゴーンに限ってはほとんどが真正面を向いた形で描かれている。同様に「真正面」の描写が少ないメソポタミア・エジプト美術において常に真正面を向いて描かれるフンババ(同じく魔除けに使われた)やエジプトの神ベスとの共通点も指摘されている。正面を向いているのはゴルゴーンの持つ邪眼を機能させるためだとされている。また、ゴルゴーンのような魔除けはビザンツ帝国でも使われていた[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d ギリシア・ローマ神話事典[要ページ番号]
  2. ^ ギリシア神話[要ページ番号]
  3. ^ ヘーシオドス、270行-276行。
  4. ^ アポロドーロス、1巻2・6。
  5. ^ a b アポロドーロス、2巻4・2。
  6. ^ エウリーピデース『イオーン』987行-990行。
  7. ^ ヒュギーヌス、序文。
  8. ^ ヘーシオドス、274行-276行。
  9. ^ ヘーシオドス、277行-281行。
  10. ^ アポロドーロス、2巻4・2-4・3。
  11. ^ a b c アポロドーロス、2巻4・3。
  12. ^ 幻想世界の住人たち[要ページ番号]
  13. ^ 『イーリアス』5巻741行-742行。
  14. ^ 『イーリアス』5巻733行以下。
  15. ^ 『イーリアス』15巻309行-310行。
  16. ^ エウリーピデース『イオーン』991行-996行。
  17. ^ 『オデュッセイア』11巻634行-635行。
  18. ^ 古代ギリシアがんちく図鑑[要ページ番号]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]