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ニュンペー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウィリアム・アドルフ・ブグロー作『ニンフたち』(1878年)ストックンハギン美術館 (en) 所蔵

ニュンペー[1]古希: Νύμφη古代ギリシア語ラテン翻字: Nymphē)は、ギリシア神話に登場する精霊(下級の女神[2]

山野、河川、樹木、洞穴、井泉[1]、特定の場所、地方、町、国の精で[2]、若く美しい女性の姿で現れ、歌と踊りを好み、森や山を守護する[1]

ニュンペーは古ギリシア語で「花嫁」や「年頃の娘」の意である[1]

英語読みでニンフ英語: Nymph)とも呼ばれる[3]。複数形はニュンパイ(古希: Νύμφαι古代ギリシア語ラテン翻字: Númphai)。ギリシア語の表記揺れニュンペ[4]、ニュムペー[2]ニュンフェ[3]などとも呼ばれる。ラテン語ではニュンパ(Nympha ,複数形はニュンパエ、Nymphae)と呼ばれる[1]

概要

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ホメーロスによれば彼女らはゼウスの娘たちであり、不死ではないが、非常に長命であるとされる(プルータルコスによれば9720歳の寿命を持つ)[1]。また、樹木のニュンペーなどは、その樹木が枯れると自身も共に死ぬという[2]

予言の力を持ち、彼女たちの住む泉の水を飲むと霊感を与えられるともされる[1]アルテミスディオニューソスといった神々に付き従い、サテュロスシーレーノスらと戯れ、人間の男たちとも恋し交わることがある[1]。彼女たちには、乳、蜜、油、時には山羊が捧げられ、固有の神殿は建てられなかったが、後代にはニュンパイオン (Nymphaion) と呼ばれる華麗な祠堂が築かれる様になった[1]

女子色情狂を意味するニンフォマニア (nymphomania) という言葉の語源でもある[1]

分類

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その住居とする所により様々な種別に分化している。

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j 『西洋古典学事典』878頁。
  2. ^ a b c d e 『ギリシア・ローマ神話辞典』182頁。
  3. ^ a b 水谷智洋、平凡社、改訂新版 世界大百科事典『ニンフ』 - コトバンク
  4. ^ ヒュギヌス著、五之治昌比呂訳「固有名詞索引」『神話伝説集』京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2021年、28頁。 
  5. ^ 『西洋古典学事典』888頁。
  6. ^ 『西洋古典学事典』863頁。
  7. ^ 『西洋古典学事典』851頁。
  8. ^ 『西洋古典学事典』370頁。
  9. ^ 『西洋古典学事典』867頁。
  10. ^ 『ギリシア合唱抒情詩集 アルクマン他』丹下和彦訳、京都大学学術出版会、2002年、「固有名詞索引」16頁。

参考文献

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  • 松原國師『西洋古典学事典』京都大学学術出版会、2010年。 
  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年。 

関連項目

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