虫かぶり姫
虫かぶり姫 | |
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ジャンル | 恋愛[1]、ファンタジー[2] |
小説 | |
著者 | 由唯 |
イラスト | 椎名咲月 |
出版社 | 一迅社 |
掲載サイト | 小説家になろう |
レーベル | アイリスNEO |
連載期間 | 2015年9月13日 - 2022年1月23日 |
刊行期間 | 2016年7月1日 - |
巻数 | 既刊6巻(2022年2月現在) |
漫画 | |
原作・原案など | 由唯(原作) 椎名咲月(キャラクターデザイン) |
作画 | 喜久田ゆい |
出版社 | 一迅社 |
掲載誌 | コミックZERO-SUM |
レーベル | ZERO-SUM COMICS |
発表号 | 2018年10月号 - |
発表期間 | 2018年8月28日 - |
巻数 | 既刊6巻(2022年2月現在) |
アニメ | |
原作 | 由唯 |
監督 | 岩崎太郎 |
シリーズ構成 | 広田光毅 |
キャラクターデザイン | 高橋瑞香 |
アニメーション制作 | マッドハウス |
製作 | 虫かぶり姫製作委員会 |
放送局 | 未発表 |
放送期間 | 2022年10月 - |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル・漫画・アニメ |
ポータル | 文学・漫画・アニメ |
『虫かぶり姫』(むしかぶりひめ)は、由唯による日本のライトノベル。イラストは椎名咲月が担当している。2015年9月から2022年1月まで『小説家になろう』にて連載され、2016年7月から書籍版がアイリスNEO(一迅社)より刊行されている。2021年5月時点で電子版を含めたシリーズ累計発行部数は200万部を突破している[3]。
『コミックZERO-SUM』(一迅社)にて喜久田ゆいによるコミカライズ版が2018年10月号より連載されている[4]。
2022年1月にはテレビアニメ化が発表された[5]。
あらすじ[編集]
宝石やドレスよりも本が好きで「虫かぶり姫」と呼ばれる伯爵令嬢・エリアーナ・ベルンシュタインはサウズリンド王国の第一位継承者・クリストファーから「好きなだけ本を読める時間を与える代わりに結婚してほしい」と言われ、王宮図書室の本を読めると聞いたエリアーナは求婚を受け入れる。そして4年が経ったが、クリストファーや王家の人たちとの関係も良好であり、王宮図書室の本を自由に読める環境だったため、名ばかりの結婚ではあったもののエリアーナは楽しい日々を過ごしていた。しかしエリアーナは、後宮に行儀見習いとしてやって来たアイリーン・パルカスがクリストファーと親しげに話しているのを目撃し、思わず嫉妬心が芽生えたことで自身が知らないうちに彼に対して恋心を抱いていることを自覚する。
登場人物[編集]
声の項はテレビアニメ版の声優。
- エリアーナ・ベルンシュタイン
- 声 - 上田麗奈[6]
- 主人公。本が好きなことから「虫かぶり姫」と呼ばれている伯爵令嬢[7]。活字で書かれていれば貴賤を気にせずに地域回覧板なども読んでいるが、それが結果的にサウズリンド王国に利益をもたらすことも多い。「エリィ」や「妖精姫」などの愛称でも呼ばれている[8]。
- 由唯は書くのに苦労するキャラクターに挙げる一方で、喜久田は描きやすいキャラクターに挙げている[2]。
- 『Anime News Network』のライター・Rebecca Silvermanは、エリアーナも他の少女向けライトノベル作品のヒロインと同様に「ハンサムで魅力的な国の王子がなぜ自分と結婚したがるのかが理解できない」と感じているが、エリアーナ自身は理解できないだけであって全く気にしておらず、例えば『誰かこの状況を説明してください』のヒロインであるヴィオラ・マンジェリカ・ユーフォルビアとは異なっていると述べる[9]。
- クリストファー・セルカーク・アッシェラルド
- 声 - 木村良平[6]
- サウズリンド王国の王太子でエリアーナの婚約者[7]。幼い頃からエリアーナに対して恋心を抱いており、エリアーナを王太子妃にするべくこれまでの間さまざまな画策を練っていた。親しい間柄には「クリス」という愛称で呼ばれており、エリアーナにも呼んでもらいたいと思っている[8]。
- 由唯は書くのに苦労するキャラクターに挙げている[2]。
- アレクセイ・シュトラッサー
- 誰に対しても冷淡な態度で接することから「氷の貴公子」と呼ばれている侯爵令息。クリストファーの秘書的な立場であり、公務をサボりがちなクリストファーに苛立ちを感じている[8]。
- 由唯は外伝を書くとすればアランの物語を書きたいと語る。元々は本編に組み込む予定だったが、物語の展開上省くことになった逸話があったとのこと[2]。
- 喜久田は描くのに苦労するキャラクターに挙げている[2]。
- グレン・アイゼナッハ
- クリストファーの護衛を務める青年騎士で、自身の髪色から「赤髪の騎士」と呼ばれている。笑顔で明るい性格のため男女問わず人気があるが、感情を隠すことが苦手で苛立つことがあると顔や仕草に出やすい[8]。
- 由唯は書きやすいキャラクターに挙げている[2]。
- アラン・フェレーラ
- 宮廷楽師を務める青年であり、クリストファーの隠し駒として諜報活動も行う[8]。
- 由唯は書きやすいキャラクターに挙げている[2]。
- アルフレッド・ベルンシュタイン
- エリアーナの兄で彼女のことを溺愛している。エリアーナが王太子妃候補になったことで宰相補佐を任じられ、仕事に追われることとなる。親しい間柄には「フレッド」という愛称で呼ばれている[8]。
- アイリーン・パルカス
- 後宮に行儀見習いとしてやって来た子爵令嬢。社交的で明るく振る舞っていることから男性陣に人気がある一方で、人目もはばからずアレクセイやグレンたちと親しげに話していることから女性陣には疎まれている[8]。
制作背景[編集]
由唯は執筆時には音楽を必要とする性質である。原作第3巻の執筆時には「天国と地獄」のような運動会で流れるドタバタ劇を構想し、その後の打ち合わせの中で担当編集者から「ギャロップ」という音楽用語を提案された結果、完成したエピソードが「日陰者たちのギャロップ」であった[2]。
由唯によれば本作は様々な作品から影響を受けており、その中でも『アルペンローゼ』と『嵐が丘』のラストがとりわけ印象に残っている作品である。『嵐が丘』において由唯は「自身がキャサリン・リントンと距離を詰めていればどうなったのだろう、どんな風に距離を詰めていったのだろうという想像が『虫かぶり姫』のエリアーナとクリストファーに繋がっている」と語る。また、時代設定を中世にしたのは由唯がルネサンスの芸術文化に憧憬があったからである[2]。
評価[編集]
商業的評価[編集]
2021年5月にはシリーズ累計発行部数(電子版含む)が200万部を突破したことが発表された[3]。
「BookLive!」2020年度上半期ランキングでは3位を[10]、2020年度年間ランキングでは5位をそれぞれ獲得している[11]。
他者評価[編集]
「numam」は本作と『わたしの幸せな結婚』ついて「相手の事を想いつつも素直になれない不器用なキャラクターたち、そして徐々に心を通わせていくさまが丁寧に描かれている」と称賛している[11]。
映画・ファッション系ライターのNana Numotoはコミカライズ版について以下のように述べる。
本作は女性向けの恋愛コミックスではあるが、知性に溢れ優しい心を持つエリアーナが「虫かぶり姫」から徐々に王太子妃としてふさわしい人物だと周りから認められていく様はただの恋物語に終わらず、上昇志向の高い女性にとって刺激的な側面もあるだろう。一方で、エリアーナ自身はというと、本以外のものにはまるで欲がない。誰もが羨むような知性は、知らず知らずのうちに本から身につけていたものなのだ。実はこの点は、ヒストリカルを思わせる絵柄とは想像もつかないほど現代的な価値観を持って描かれている[1]。
また、同氏はコミカライズ版の作画を担当する喜久田について、かつて漫画家・種村有菜のアシスタントをしていたこともあり、種村が得意とした「華美なドレス、レースやフリルの繊細な筆致」とよく似た喜久田の作風はここで鍛えられたのだろうと述べる[1]。
ライターのRebecca Silvermanによれば、本作の魅力は静かな本の虫だったエリアーナが他人に求められる存在になることではなく、逆にエリアーナがクリストファーへの恋心を自覚しても政治や権力に興味を持つことはなく、本を読むことや同じ本好きの人たちと語り合えることを望んでおり、エリアーナ自身の芯がぶれないことであるという。したがって、エリアーナ自身が世界の理想に合わせるように変わっていくことよりも彼女が世界の中でどのように機能していくのかが描かれており、とても新鮮だったとRebeccaは述べる。また、椎名咲月の描くイラストが昔の少女漫画のようであり、1970年代から1980年の漫画作品に影響を受けているように見えて面白いとRebeccaは述べる[9]。
選出[編集]
「BOOKウォッチ」編集部はバレンタイン特集として「溺愛される激甘マンガから切ないほろ苦マンガまで 恋愛マンガ5選」を発表しており、本作も紹介されている[12]。
既刊一覧[編集]
小説[編集]
- 由唯(著) / 椎名咲月(イラスト)、一迅社〈アイリスNEO〉、既刊6巻(2022年2月2日現在)
- 『虫かぶり姫』2016年7月1日発売[13]、ISBN 978-4-7580-4848-4
- 『虫かぶり姫2 花守り虫と祈りを捧げる使者』2017年2月2日発売[14]、ISBN 978-4-7580-4912-2
- 『虫かぶり姫3 蝶々たちの踊る聖夜の祝宴』2017年8月2日発売[15]、ISBN 978-4-7580-4975-7
- 『虫かぶり姫4 春を待つ虫、琥珀の願い』2018年8月2日発売[16]、ISBN 978-4-7580-9086-5
- 『虫かぶり姫5 冬下虫の見る夢、決別の目覚め』2019年7月2日発売[17]、ISBN 978-4-7580-9185-5
- 『虫かぶり姫6 冬下虫の蠢動、光の道標』2022年2月2日発売[18]、ISBN 978-4-7580-9435-1
漫画[編集]
- 由唯(原作) / 椎名咲月(キャラクター原案) / 喜久田ゆい(作画) 『虫かぶり姫』 一迅社〈ZERO-SUM COMICS〉、既刊6巻(2022年2月28日現在)
- 2019年4月25日発売[19]、ISBN 978-4-7580-3432-6
- 2019年10月25日発売[20]、ISBN 978-4-7580-3466-1
- 2020年4月25日発売[21]、ISBN 978-4-7580-3504-0
- 2020年11月30日発売[22]、ISBN 978-4-7580-3564-4
- 2021年5月31日発売[23]、ISBN 978-4-7580-3611-5
- 2022年2月28日発売[24]、ISBN 978-4-7580-9435-1
- 「特装版」同日発売[25]、ISBN 978-4-7580-3719-8
関連書籍[編集]
- 『虫かぶり姫 公式コミックアンソロジー〜君は僕の宝物〜』2020年11月30日発売[26]、ISBN 978-4-7580-3567-5
テレビアニメ[編集]
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2022年1月にテレビアニメ化が発表された[5]。2022年10月より放送予定[6]。
スタッフ[編集]
- 原作 - 由唯[5]
- キャラクター原案 - 椎名咲月、喜久田ゆい[5]
- 監督 - 岩崎太郎[5]
- シリーズ構成 - 広田光毅[5]
- キャラクターデザイン - 高橋瑞香[5]
- アニメーション制作 - マッドハウス[5]
- 製作 - 虫かぶり姫製作委員会[5]
脚注[編集]
出典[編集]
- ^ a b c “王宮書庫室に図書館、本の市場……本好きの心をくすぐる『虫かぶり姫』の美麗な世界観”. Real Sound. (2020年6月6日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “作品を手掛ける上で思い出に残っているエピソードは? 漫画『虫かぶり姫』由唯先生(原作)&喜久田ゆい先生(作画)インタビュー/「アニメイト ブックフェア2021」開催記念”. animate Times. (2021年8月31日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ a b コミカライズ第5巻帯の表記より。
- ^ “『虫かぶり姫』のコミカライズ連載が本日発売のコミックゼロサム10月号より開始”. ラノベニュースオンライン. (2018年8月28日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “虫かぶり姫:“なろう”人気ラノベがテレビアニメ化 マッドハウス制作 本好き令嬢のラブファンタジー”. MANTANWEB. (2022年1月28日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ a b c “TVアニメ「虫かぶり姫」10月放送決定!ヒロイン役は上田麗奈、婚約者役に木村良平”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年5月31日) 2022年5月31日閲覧。
- ^ a b “由唯の小説「虫かぶり姫」が2022年TVアニメ化、アニメーション制作はマッドハウス”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年1月28日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g “虫かぶり姫”. マンガペディア. 2022年5月15日閲覧。
- ^ a b “Bibliophile Princess Novel 1 Review”. Anime News Network. (2020年3月29日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ “5年連続1位の『キングダム』を抑え1位に輝いたのは…「2020年 上半期漫画ランキング」発表!”. にじめん. (2020年6月27日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ a b “『鬼滅の刃』が独走! 2020年間ランキングを発表! 『ONEPIECE』『呪術廻戦』は?”. numam. (2020年11月27日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ “【バレンタイン特集】溺愛される激甘マンガから切ないほろ苦マンガまで 恋愛マンガ5選”. BOOKウォッチ. (2022年2月11日) 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫2 花守り虫と祈りを捧げる使者”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫3 蝶々たちの踊る聖夜の祝宴”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫4 春を待つ虫、琥珀の願い”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫5 冬下虫の見る夢、決別の目覚め”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫6 冬下虫の蠢動、光の道標”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 1(漫画)”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 2(漫画)”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 3(漫画)”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 4(漫画)”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 5(漫画)”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 6(漫画)”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 6 特装版(漫画)”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
- ^ “虫かぶり姫 公式コミックアンソロジー〜君は僕の宝物〜”. 一迅社. 2022年5月15日閲覧。
外部リンク[編集]
- 虫かぶり姫 - 小説家になろう
- 「虫かぶり姫」特設ページ
- コミックZERO-SUMの紹介ページ
- TVアニメ「虫かぶり姫」公式サイト
- TVアニメ『虫かぶり姫』公式 (@mushikaburihime) - Twitter