葬送のフリーレン

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葬送のフリーレン
ジャンル 少年漫画ファンタジー
漫画
原作・原案など 山田鐘人
作画 アベツカサ
出版社 小学館
掲載誌 週刊少年サンデー
レーベル 少年サンデーコミックス
発表号 2020年22・23合併号 -
発表期間 2020年4月28日 -
巻数 既刊10巻(2023年3月現在)
アニメ
原作 山田鐘人、アベツカサ
監督 斎藤圭一郎
シリーズ構成 鈴木智尋
キャラクターデザイン 長澤礼子
音楽 Evan Call
アニメーション制作 MADHOUSE
放送局 未発表
放送期間 2023年秋 -
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

葬送のフリーレン』(そうそうのフリーレン)は、山田鐘人(原作)、アベツカサ(作画)による日本漫画。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、2020年22・23合併号より連載中[1]

概要[編集]

魔王を倒した勇者一行の後日譚を描くファンタジー[1]

第2巻が発売された際、有野晋哉浦井健治江口雄也小出祐介近藤くみこ須賀健太鈴木達央豊崎愛生が本作にコメントを寄せている[2]

原作担当の山田の前作である「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」の連載終了後、いくつかの読切のネームを描くもうまくいかず、担当編集者から、最初の受賞作が勇者・魔王物のコメディーだったことから、その方向でギャグを描いてみてはと提案したところ、いきなり「葬送のフリーレン」の第1話のネームが上がってきた[3][4]。その後、作画担当をつけることになり、同じく担当していたアベにネームを見せたところ「描いてみたい」と反応があり、フリーレンのキャラ絵を描いてもらったところ、山田からも「この方ならお願いしたい」と返答をもらったため、アベが作画担当になった[3][4]。ちなみにマンガ大賞を受賞した2021年3月現在、山田とアベは一度も会ったことがないという[3]

本作のタイトルの由来は、山田が考えたタイトル案がありながら、編集部でも検討をし、編集部会議で「いいタイトルが決まったら自腹で賞金1万円出します」と担当編集者が募ったところ、副編集長が出したタイトル案の中に「葬送のフリーレン」があり、最終的に山田、アベに決めてもらい現在の題名となった[5]

2022年9月に単行本9巻が発売、ほぼ同時にアニメ化が発表され[6]、同年11月に展開媒体がテレビアニメであることが発表された[7]

2023年3月時点で単行本の累計発行部数は800万部を突破している[8]

あらすじ[編集]

魔王を倒して王都に凱旋した勇者ヒンメル僧侶ハイター戦士アイゼン魔法使いフリーレンら勇者パーティー4人は、10年間もの旅路を終えて感慨にふけっていたが、1000年は軽く生きる長命種のエルフであるフリーレンにとって、その旅はきわめて短いものであった。そして、50年に一度降るという「半世紀(エーラ)流星」を見た4人は、次回もそれを見る約束を交わしてパーティーを解散する。

50年後、すっかり年老いたヒンメルと再会したフリーレンは、ハイターやアイゼンとも連れ立って再び流星群を観賞する。まもなくヒンメルは亡くなるが、彼の葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るための旅に出るのだった。

登場人物[編集]

声の項はテレビアニメ版の声優

フリーレン一行[編集]

フリーレン
声 - 種崎敦美[9]
本作の主人公[10] 。魔王を討伐した勇者パーティーの魔法使い。見た目は少女だが長命なエルフ族の生まれで、既に1000年以上の歳月を生き続けている。人間とは時間の感覚が大きく異なるため、数ヵ月や時には数年単位の作業を全く苦に思わず、ヒンメルを始めとしたかつての仲間との再会も50年の月日が経ってからのことだった。ヒンメルが天寿を全うしてこの世を去ったことを機に、これまでに自分にとってはわずか10年足らずの旅の中で彼の人となりを詳しく知ろうともしなかったことを深く後悔し、人間を知るための旅を始めることになる。
1000年以上昔、故郷であるエルフの集落が魔族に襲われ死にかけた際に大魔法使いフランメに助けられ、彼女の弟子になる。師匠のフランメからは闘いの技術や魔力制御の方法を伝授された。天才的な資質に加えて1000年以上に渡り魔法を研鑽したため、魔法使いとしての実力は極めて強大で圧倒的な魔力を誇る。加えてその魔力をほぼ完全に隠匿する技術を習得しており、魔族に自身の実力を過小評価させ隙を突く戦法を得意とする。その実力は魔王亡き後の現在の魔族を弱いと感じ、七崩賢の1人である断頭台のアウラですら難なく倒すほど。歴史上で最も多くの魔族を葬り去った魔法使いとして「葬送のフリーレン」の異名を持ち、魔族から恐れられている。ただし、魔法の欠点[注 1]や敗北経験[注 2]が全くない訳でもない。また、服が透けて見える魔法やかき氷を作る魔法など、およそ役に立たない魔法を収集するのが趣味で、そうした魔導書を対価に仕事を引き受けたりもする。
再会したハイターの差し金でフェルンを弟子にとって以降は彼女と共に旅をしているが、人間であるが故、日々、大人の女性へと成長していく彼女と自分の身体を見比べるなど、思うところがあるようである。
性格はドライで厳しい一面もあるが、普段はやさしく面倒見も悪くない。また、エルフであるが故に人間の気持ちに対して鈍感であり、人との接し方はやや不器用である。朝は苦手なのか寝坊は日常茶飯事であり、たまに早起きした場合はフェルンに驚かれ、褒めて貰う。故郷と仲間を奪われた過去ゆえ、感情的にこそならないものの魔族に対する深い憎しみを抱いており、魔族との敵対時には一切容赦しない。「人間の言葉で人間を欺き人間の言葉が通じない猛獣」という魔族の本質を理解しているからでもあり、人間に絡んでいる相手が魔族だとみるや否や周囲の状況を一切顧みず問答無用で葬り去ろうとさえする。
「歴史上で最もダンジョンを攻略したパーティーの魔法使い」と自称するだけあり、ダンジョンには詳しい。道中で宝箱を発見するとその中身に異常なまでの興味を示し、判別魔法によりそれが99%の確率でミミック(宝箱に化けた魔物)だとしても、残り1%の可能性に賭けて宝箱を開ける。そのせいで、過去には幾度となくミミックに食べられそうになった。
フェルン
現時点でフリーレン唯一の弟子である少女。9歳→19歳。南側諸国の戦災孤児だったが、両親を失い絶望して飛び降り自殺を図ろうとした所を勇者パーティーの僧侶ハイターに助けられる。幼少期をハイターの元で過ごしながら、「一人で生きていける力」を得る為に魔法の修行を始める。その後、9歳の頃にハイターを訪ねてきたフリーレンと出会って彼女に魔法の教えを請い、4年間の修業を経て一人前の魔法使いに成長する。ハイターの死後、15歳の頃にフリーレンの弟子として共に旅立つ。フリーレンのことを師として尊敬し慕ってはいるものの、人間であるためエルフの彼女とは時間の感覚がズレており、長期滞在に辟易したりすることもある。また、フリーレンの散財を戒めたり、私生活がだらしのない彼女の面倒を見るうちに、自分のやっていることが完全に「お母さん」であることに気付いたりと、気苦労も多い。フリーレンに似てあまり感情を表に出さず、怒った時も静かに不機嫌になるので却ってフリーレンやシュタルクを畏れさせている。発言も結構辛辣で、特にシュタルクには容赦無い。
甘いものが好きなようで、食事のシーンでは甘味を食べていることが多い。
幼少期より多くの研鑽を積み、彼女に出会ったばかりのフリーレンが「卓越した魔力の操作技術」と驚くほどの素養を身に着けている。さらにフリーレンの指導の下で素質を開花させ、史上最年少で三級魔法使いの試験にトップの成績で合格しており、後にゼンゼに「その若さで君ほど優秀な魔法使いは見たことが無い」とも評された。また、大魔法使いゼーリエの魔力の「揺らぎ」を見破って弟子にスカウトされるなど、その才覚は桁外れと思われる。その魔力の操作技術、魔族の力をもってしても探知されにくい魔力隠密のほか、フリーレンから「私よりも魔法を撃つのが早い」と評される速射技術、大量の攻撃魔法を一度に操る技術、魔族の魔力探知範囲外からの超長距離射撃の技術も持っており戦闘能力も高い。戦闘で使用するのは一般攻撃魔法(魔族を殺す魔法)と防御魔法のみだが、その卓越した技術により格上の魔族に勝利を収めている。フリーレン譲りの「魔族を油断させて倒す戦法」も会得しており、七崩剣の1人「断頭台のアウラ」の配下「首切り役人」の1人を魔力の秘匿と魔法の速射技術との複合によって打倒した。
その後、オイサーストで開催された試験に合格し、弱冠10代にして一級魔法使いになる。一級魔法使いの特権として、ゼーリエから「服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法」を授かった。
シュタルク
勇者パーティーの戦士アイゼンの弟子である少年で、師匠と同じく斧使い。17歳→19歳。極端なビビり屋で自分に自信が無いなど情けない性格が目立つものの、実際は巨大な断崖にで亀裂を作るほどの実力者。師匠と喧嘩別れをした後、紅鏡竜の脅威にさらされた村に3年程度滞在していた。アイゼンがフリーレンに仲間としてシュタルクを薦めたおり、シュタルクは紅鏡竜を一撃の下に倒し、彼女達の旅に同行することとなった。中央諸国クレ地方にあった戦士の村出身で、幼い頃は魔物とまともに戦えない失敗作だと父親から見下されていたが、兄のシュトルツだけは彼を認めていた。
「俺の弟子はとんでもない戦士になる」とアイゼンに言わしめさせるほどの素質を持つ。修行の成果か素養からか尋常ならざる頑強さを持ち、フェルンから化け物かと疑われることもあるが、間違いなく純粋な人間であるため、時間の感覚はフェルンと同じ。彼女からは「シュタルク様」と呼ばれているが、落ち着かないためやめて欲しいと思っている。フェルンが服の透ける魔法で彼を見たところ、「ちっさ」との感想を漏らした。後に18歳の誕生日を迎える。好物はハンバーグ。年齢より子供っぽい所があり、女性の扱いは不得手。親しみやすく誰にでも慕われる人柄であるが、特に変な人に好かれやすい。
ザイン
アルト森林近くの村に住んでいた僧侶。大人の男性で、好きな物はタバコギャンブル、年上のお姉さん。底なし沼に嵌まり、動けなくなっていた所をフリーレンに助けられる。幼い頃から冒険者に憧れていたが、それになることは無かった。シュタルクがに噛まれて罹った、が数時間で溶けて死ぬという不治の毒を一瞬で治療するほど天性の才を持つ。神父の兄から村から連れ出して欲しいと言われた件もあり、フリーレンから仲間に勧誘される。
10年前に3年で戻ると先に出ていった「戦士ゴリラ」を名乗る親友が戻らなかった件をずっと気に掛けており、兄のためにと村に残っていたがその兄から叱咤され、親友を探すためついに旅立つことを決意し、一時的に一行に加わる。旅中では大人としてフェルンとシュタルクの仲を取り持つこともあり、もう互いに二人が付き合うべきではないかと悩むこともあった。探す友が交易都市テューアに向かったことを知ると、彼を追いかけるため一行と別れた。後にフリーレンがメトーデから僧侶枠として同行しようかと聞かれた際は、「このパーティの僧侶の席は(ザインのために)空けておきたいから」と断っている。

勇者一行[編集]

ヒンメル
フリーレン、ハイター、アイゼンと共に魔王を討伐した勇者であり、種族は人間。仲間を率い、10年の歳月を掛けて目的を完遂した。その偉業や数々の功績から、各地に銅像が建てられ、英雄の如く広く存在を知られている。人格者ではあるがナルシストな一面もあり、銅像のモデルとなった際は細かく注文を出すなどしている。旅を始める際に王様にため口を利いたため、危うく処刑されそうになったりと、残念な一面もある。
これからのフリーレンの人生を「想像もできないほど、長いものになる」といい、後日の再会を約束するも、彼女が次に訪れたのは50年後のヒンメルの晩年だった。「たった10年一緒に旅をしただけ」の彼の死がフリーレンに与えた影響は大きく、彼のことを知ろうとしなかったことで大きな後悔の念を抱かせることとなった。
フリーレンと初対面の際に彼女の強さを直感で見抜き、冒険の仲間としてスカウトした。魔族の本質を知らなかった為にフリーレンの忠告を無視して人を食った魔族の少女を見逃したことがあるが、後に彼女がまた人を殺めたと言う苦い経験をする。また、勇者のみが抜ける「勇者の剣」がある里を訪れた際はそれに挑戦するも、結局抜くことは出来なかった。だが、「偽物の勇者でもかまわない、魔王を倒せば偽物でも本物でも関係ない」と話して実際にそれを成し遂げ、フリーレンも彼を「あんな剣が無くてもヒンメルは本物の勇者」だと評し、剣が抜けなかったという一件は秘匿された。
困った人を決して見捨てない性格で、その生涯をかけて人助けに奔走したようである。死後も作中での存在感は大きく、フリーレンの回想の中で度々その勇者ぶりが振り返られていく。かつてフリーレンに恋心を抱いていたと思わせるようなエピソードも多い。幼い頃に森で道に迷った時にフリーレンと出会っており、花畑の魔法を見せてもらったことがある。エルフであるがゆえにはるかに長命である彼女の未来を慮って銅像に細かく注文をしたり、故郷を魔族に奪われて孤独に生きてきた彼女の孤独を思いやったりと、何かとフリーレンを気にかけていた。
ハイター
勇者パーティーの僧侶であり、種族は人間。戦災孤児で、ヒンメルとは同じ村で幼少期を過ごした幼馴染同士。魔王討伐の旅を終え後年は聖都の司教となり、偉大な僧侶として人々の尊敬を集めた。穏やかで明るい性格だが、お酒が大好きな生臭坊主。大酒飲みであったにも関わらず、ヒンメルの死後も20年以上に渡り生き続けるなど人間としてはかなりの長寿を保った。但し、晩年は体調を崩したこともあって酒を絶った模様。
最晩年、戦災孤児であるフェルンを引き取り、訪ねてきたフリーレンにちょっとした謀を仕掛けてフェルンを彼女の弟子として託すことで、自分の死後の悩みを解決した。かつては自身が孤児だったことから、孤児院の復興資金を自ら出すなどしたこともあった。その存在は、フェルンにとって「育ての親」として死後も大切なものとなっている。ザインからも、ハイターは自分と違って優しく頼りがいのある理想的な大人だったと評されていた。
アイゼン
勇者パーティーの戦士。エルフほどではないが人間よりは遥かに長命のドワーフ族で、ヒンメルやハイターの死後も容姿の変化があまり見られない。体が非常に頑強であり、過去に竜を昏倒させるほどの猛毒の矢を受けても平気でいたり、自由落下程度ならどんな高さから落ちても無傷な姿を見せた際はハイターをドン引きさせた。しかし、肉体的には着実に老化しており、ヒンメルの死後、前衛として旅に同行して欲しいとフリーレンに請われた際は「もう斧を振れる歳じゃない」と断っている。
家族を魔族に殺された過去や「死後に魂が行きつく先は無である」というドワーフ族独特の死生観の影響からか、かつてはヒンメルと共に歩んだどこかおちゃらけた旅の道行きを「くだらない」と切って捨てることも多かったが、魔王討伐後はハイターと文通をしたり、ヒンメルの葬儀で見せたフリーレンの姿に二人の関係を可哀想に思うなど仲間想いの一面を見せており、オレオール(魂の眠る地)でフリーレンとヒンメルが再会できることを願っている。
ヒンメルの死後にシュタルクを弟子とし育て上げるも、些細な行き違いから出奔された。

北側諸国[編集]

グラナト伯爵
グラナト伯爵領を治める領主。街を覆うフランメの防護結界の管理を担う。息子がいたが、断頭台のアウラとの戦いで戦死している。アウラ側が申し出てきた和睦を進めるため、使者のリュグナーと会談するも、街を訪れたフリーレンがドラートを殺した件でリュグナーを問い詰めた際に捕らわれてしまう。その後は拷問を受けていたが、フェルンとシュタルクに助けられた。祖父の代にも街が勇者一行に救われた恩があり、アウラ討伐後はフリーレン一行の旅立ちを見送った。
剣の里の里長
シュヴェア山脈にある剣の里の長。容姿は幼い少女で、現在は49代目に当たる。女神が授けたとされる「勇者の剣」を守護する役目があり、里近辺には定期的に魔物が湧くため、半世紀に一度は退治してもらうようフリーレンと約束を結んでいるが、実際にフリーレンが訪れたのは前回から80年後だったため、彼女に文句を零した。先々代(祖母)から遺言を預かっており、山の主討伐後の「マジ感謝」という言葉はシュタルクから呆れられた。
オルデン卿
要塞都市フォーリヒのオルデン家当主。北側諸国の三大騎士に数えられている。フリーレンは彼の祖父を知っていた。魔族との戦闘で戦死した長男ヴィルトの死を隠し、社交会で息子の健在を示すため、シュタルクへ替え玉を依頼し、報酬を条件にフリーレン一行の承諾を得る。その後は執事のガーベルと共にシュタルクやフェルンに作法を教える。今は次男のムートを大切にしており、シュタルクについても彼が良ければ家に迎えようと考えていた。
フォル爺
クラー地方の村に住んでいるドワーフの老人。フリーレンの長寿友達で、彼女曰く「ヒンメル達を知る機会をくれた」人物。400年近く村を守ってきた歴戦の老戦士で、ザイン曰く「とんでもない爺さん」。ボケていると油断させ、シュタルクを指南した。村人は会話もままならず、友人もいない耄碌爺として扱っており、彼が村を守る理由も分からずにいた。村の守り神となっていた訳は、かつて亡くなった人間の妻との約束のためであった。
ダッハ伯爵
ダッハ伯爵領を治める領主。フリーレンに曾祖父が世話になったからと食事に誘い、盗まれた家宝の宝剣の奪還を依頼する(元々は魔族の物であり、曾祖父の代も一度盗難に遭っていた)。フリーレンはここの領主一族は無理難題を押しつけてくると乗り気ではなかったが、結局は魔道書を報酬に依頼を引き受け、宝剣を盗み出していた剣の魔族を討伐し、依頼を達成した。
ファス
ビーア地方の街に住んでいるドワーフ。過去に勇者一行とも出会ったことがあり、フリーレンと80年ぶりに再会する。無類の酒好きで、かつてエルフのミリアルデが埋めた名酒の「皇帝酒(ボースハフト)」を見つけるため、200年以上も遺跡の発掘を続けていた。フリーレンに石室の結界解除を願い、3ヶ月をかけて解除を成功させるが、発見した皇帝酒の味は酷く不味いものだった。
ノルム卿
北部高原を牛耳るノルム商会の会長。たまたま立ち寄ったフリーレンに、80年前に勇者一行が先々代ノルム卿から借りた金銭の返済を迫った。その借金は莫大な利息で膨れ上がり、フリーレンは300年も鉱山で働かされそうになる。シュタルク達は鉱山を襲撃しようかとまで考えていたが、フリーレンが銀鉱を掘り当てたために無事に帰還を果たし、懸念は解消された。
ゲーエン
3000mもの深さを誇るトーア大渓谷付近の村に住むドワーフ。かつて故郷の村が魔族に襲われて滅ぼされ、橋が無いために対岸の都市へ助けを求めることもできなかった苦い経験を機に、200年もかけて渓谷を渡る橋を建設した。建設中に資金が尽きた際は、ヒンメルから資金援助を受けている。フリーレンに魔法を報酬に橋を襲う鳥の魔物の巣の駆除を依頼した。
グリュック
かつての城塞都市ヴァイゼの領主で、80年以上前にマハトと邂逅した。ヴァイゼ内の政争の中、息子が暗殺された過去を持つ。利害関係からマハトと結託し、悪政を為す政敵を始末してヴァイゼの活気を取り戻した。豪胆にして理知的で魔族のことをよく理解しており、マハトとも気心が知れていた。マハトをグリュック家の魔法指南役に任じるなど30年間にわたり重用するが、年老いた頃にマハトの魔法でヴァイゼもろとも黄金にされてしまう。
約50年もの歳月を経てフリーレンの手により生身の体に復活し、「悪友」であるマハトとの再会を果たしてその最期を見届けることになった。
ヴァールハイト
80年以上前に北側諸国三大騎士の一人だった武人。皇帝陛下の勅命を受けてマハトを襲撃するが、全く歯が立たずに最後は黄金化されてしまう。

選抜試験参加者[編集]

ユーベル
登場時は三級魔法使いだったが、後に一級魔法使いになる女の子。2年前の二級試験では試験官ブルグを殺害し、失格処分となった。オイサーストへ向かう道中でクラフトと知り合うが、人殺しの目をしていると見抜かれる。
「共感」することによりその相手の得意な魔法を使えるようになる能力を持ち、ヴィアベルとの戦いの際に見た者を拘束する魔法(ソルガニール)を取得した。一級魔法使いの試験で同じパーティーになったラントに付きまとう。
理屈に囚われない感覚派。大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)を得意とし、彼女のイメージで切れると思った物ならなんでも切れる。饒舌だが常にクールで、人を殺すことを何とも思ってないようである。
デンケン 
老齢の二級魔法使いだったが、後に一級魔法使いになる。元は軍所属の魔法使いの叩き上げであり、熾烈な権力争いを勝ち抜いた海千山千の老獪な宮廷魔法使いでもある。なお、20代半ばの頃に妻に先立たれて子供はいない。
幼少時、マハトに師事して魔法を覚えた。またフリーレンに憧れて魔法使いを志し、魔法に対する考え方が彼女と似ている。フリーレン本人と面識は無かったが、一級魔法使いの一次試験でその正体を見抜き堂々と戦いを挑んだ。
フリーレンには全く歯が立たず子供扱いされたが、元より一級魔法使いに遜色がない実力者である。常に冷静沈着で協調を重んじ、洞察や策謀に長ける一方、魔力が切れたら男らしく若者と殴り合うような泥臭く熱い魂も併せ持つ。
その美談が伝えられていることから、人望に優れた人格者であることが窺われる。ラオフェンを孫のように可愛がったり、試験を脱落したリヒターを励ましに赴いたり、試験後も同じパーティーだった仲間との交流がある。
若い頃、レルネンと共に宮廷務めをしたことがある。北部高原に故郷の村があるが、マハトの魔法により村は黄金郷に飲み込まれてしまう。黄金化した故郷を訪れる為、黄金郷の大結界を管理する仕事をレルネンより引き継いだ。
「特権」によりゼーリエより授かった呪い返しの魔法(ミステイルジーラ)を引っ提げ、かつての師であるマハトと戦うことになる。紆余曲折があり一旦は黄金にされてしまうが、フリーレンの力により復活を果たして改めて戦いに臨んだ。
最後の戦いでは圧倒的な格上であるマハトの猛攻を受けるも何とか耐え凌ぎ、一瞬の隙を突いてマハトに高圧縮ゾルトラークを放ち相打ちに持ち込む。そして、重傷を負いながらも力を振り絞り瀕死のマハトにとどめを刺した。
ヴィアベル 
登場時は二級魔法使いだったが、後に一級魔法使いになる。故郷を守り、魔王軍残党と戦ってきた北部魔法隊の隊長。すかしているようで面倒見が良く、的確な判断力を持ちリーダーシップに優れる。
実戦経験が豊富な武闘派で魔法を殺しの道具と考え、特権により強い魔法を得る為に一級魔法使いになった。見た者を拘束する魔法(ソルガニール)を得意とし、一級魔法使いの一次試験ではこれを用いて隕鉄鳥を捕獲した。
子供の頃、ヒンメルに憧れていた。幼い頃に故郷で好きだった女の子に対する"下心"が魔族と戦う理由とのこと。非常に若作りな外見をしているが、年齢は30代半ばである。
ラヴィーネ
三級魔法使いの女の子。カンネとは幼馴染で、共に魔法学校を卒業した。一次試験でカンネと共にフリーレンと同じグループになる。凍らせる魔法を得意とし、試験では湖を凍結させた。口は悪いが根は優しい。優秀な兄達を持つ。
カンネ
三級魔法使いの女の子。ラヴィーネとは幼馴染で、共に魔法学校を卒業した。水を操る魔法(リームシュトローア)を得意とし、試験でフリーレンが結界を破った際、雨を利用してリヒターを撃破した。ラヴィーネとよくケンカをする。
リヒター
二級魔法使いで大人の男性。一次試験ではデンケンやラオフェンと同じパーティー。大地を操る魔法(バルグラント)を得意とし、遠方からでも視認できるほど巨大な大地の隆起を起こした。理性的な実力者であるが、一次試験でカンネの水を操る魔法に敗れた。オイサーストで店を営み、粉々になったフェルンの杖を見事に修理した。
ラオフェン
三級魔法使いの女の子。未熟ながら高速で移動する魔法(ジルヴェーア)を得意とし、一度はフリーレンから隕鉄鳥を奪うことに成功した。一次試験後、同じパーティーだったデンケンに孫娘のように可愛がられる。
ラント
登場時は二級魔法使いだったが、後に一級魔法使いになる青年。決して他人を信用せず、誰とも打ち解けようとしない。完璧な分身を作る魔法を得意とし、自身の分身に一級試験を受験させ、試験期間中に本体はずっと故郷でくつろいでいた。
エーレ
二級魔法使いの女の子で、一次試験でヴィアベルやシャルフと同じパーティーになる。石を弾丸に変える魔法(ドラガーテ)を使う。魔法学校を首席で卒業した才女であるが、一次試験ではフェルンの圧倒的物量の攻撃魔法の前に完敗する。
シャルフ
三級魔法使いの男性で、一次試験でヴィアベルやエーレと同じパーティーになる。花弁を鋼鉄に変える魔法(ジュベラート)を駆使してラントと対峙するが、彼の分身魔法を見抜けず敗北した。
エーデル
二級魔法使いの女性で、一次試験でブライやドゥンストと同じパーティーになる。戦闘能力は皆無だが、非常に優れた精神操作魔法のスペシャリスト。二次試験でゼンゼの複製体に襲われた際、水鏡の悪魔が創り出す複製体に"心"が無いことを突きとめた。
後にレルネンの依頼を受けて黄金郷の内部調査に協力をし、マハトに触れただけで100年分もの記憶を読み取った。握手を通じて自身の記憶を相手に伝える能力により、黄金郷に関する情報(記憶)をデンケンに受け渡した。
メトーデ
一次試験でレンゲやトーンと同じパーティになった女性の魔法使い。二次試験ではデンケン達と共闘する。拘束魔法や精神操作魔法を使用できるが、フリーレンには通じなかった。魔力探知が得意で、魔法使いとしては珍しく回復魔法も使える。
試験に合格して一級魔法使いになり、後にゲナウと共にゼーリエから北部高原の魔族討伐を命じられた。戦闘慣れし多才で聡明だが「小っちゃい子」が好きで、ゼーリエやフリーレンのことを気に入っている。
ドゥンスト
立派な髭をたくわえた男性魔法使いで、一次試験でエーデルやブライと同じパーティーになる。二次試験でゼンゼの複製体に襲われるが何とか逃れてフリーレン達と合流し、複製体に”心”が無いことを伝えた。
ブライ
スキンヘッドの男性魔法使いで、一次試験でエーデルやブライと同じパーティーになる。二次試験でゼンゼの複製体を足止めしドゥンストを逃したが、自身は試験から脱落してしまう。
レンゲ
一次試験でメトーデやトーンと同じパーティだった、幼い外見の女性魔法使い。二次試験ではデンケン達と同行するが、ダンジョンの罠にかかってあっさり脱落してしまった。オフは読書をしてることが多いようだ。
トーン
一次試験でメトーデやレンゲと同じパーティだった、男性の魔法使い。二次試験ではデンケンの呼びかけに反発して単身でダンジョンに潜るも、複製体に襲われて脱落する。

大陸魔法協会[編集]

ゼーリエ
遥か古より生き続けるエルフの女性。神話の時代の大魔法使いであり、フランメの師匠でもある。約1000年前、フランメが連れてきたフリーレンと顔合わせをした。人類の歴史上のほぼ全ての魔法を習得した生ける魔導書と言われ、全知全能の女神様に最も近い魔法使いと評される。
半世紀ほど前に突如として歴史の表舞台に現れ、大陸魔法協会の創始者となる。魔王軍との長い戦火時代の洗練された魔法使いを追い求め、一級魔法使いの座に就いた者には「一つだけ望んだ魔法を与える」と言う「特権」を約束している。
才ある者や野心ある者を好み、弟子達への愛情はあるが素直に気持ちを伝えられない不器用な一面もある。人類の魔法の開祖に上り詰めた弟子フランメが亡くなった際にフリーレンにエルフと人間の時間感覚の違いを説き、「千年で人間の時代がやってくる」と予言した。
魔力を制限した状態でさえ見た者を恐れさせるほどの絶大な魔力を放っている。かつて黄金郷のマハトを軽くあしらって子供扱いしたり、フリーレンを「歳のわりには技術の甘い魔法使い」と評し、さらにフランメを「失敗作」と切り捨てるなど、作中でも頭抜けた実力者であることを示唆する描写は多い。
フリーレン達が受験した一級魔法使いの三次試験では急きょ試験官を務め、直感により受験者に合否を下した。これまで数多く人間の弟子を取ったが、皆ゼーリエの足元にも及ばないまま先立っていったとのこと。
ゲナウ
魔法都市オイサーストの一級魔法使いの男性で、第一次試験の試験官を務める。一級魔法使いの価値を重んじて受験者に過酷な試験を課し、多くの死傷者が出ても悪びれる様子は全く無い。常より不敵で冷徹な言動が目立つ。
ゼーリエから北部高原の魔族討伐を命じられメトーデと行動を共にし、故郷が魔族に滅ぼされた様を目の当たりにした。攻防とも強力な黒金の翼を操る魔法(ディガドナハト)を使い、魔法使いながら接近戦を得意とする。
シュタルクとの共闘により神技のレヴォルテと対峙、重傷を負いながらも死闘を制す。傷はメトーデの回復魔法によって治癒した。
ゼンゼ
一級魔法使いの女性で、ゼーリエの側近の一人。一級魔法使いの第二次試験の試験官を務める。受験者同士の争いや無下に死傷者が出ることを好まない自称・平和主義者であるが、過去に担当した4回の試験では1人の合格者も出していなかった。
少女のような可憐な見た目と裏腹に物言いは厳しくぶっきらぼうで愛想に乏しく、何事にも動じず常に落ち着いている。魔力により自身の長い髪の毛を攻防自在に操り非常に高い戦闘力を誇るが、ユーベルとの相性は最悪である。
レルネン
老齢の一級魔法使いでゼーリエの側近。従来は第三次試験の担当を任されている。大魔法使いゼーリエの弟子であり、半世紀前に第1号の一級魔法使いになった。また、二次試験で活躍した脱出用ゴーレムの開発者でもある。
ゼーリエに「臆病な坊や」と揶揄される一方、その強さは高く評価されている。また、魔法使い試験の受付会場にて一目見ただけでフリーレンの魔力制限を見抜くなど、能力の高さは一級魔法使いの中でも群を抜ている。師であるゼーリエへの想いから、歴史に名を残す為にフリーレンを襲撃した。フリーレンの防御魔法を破壊し手傷を負わせるほどの力を見せるが、フリーレンには「時間の無駄」と手合わせを拒否された。
若い頃は宮廷務めで、同期の仕事仲間だったデンケンと友情を深めた。世渡りが得意では無く宮廷を追われることになるが、最後まで庇ってくれたデンケンにずっと恩義を感じている。それ故、デンケンを助ける為、エーデルと共に黄金郷の調査をした。黄金郷内ではマハトに襲撃されるが巧みに応戦し、隙を突きエーデルにマハトの記憶を読み取らせた後、ゴーレムを用いて撤退する。
ファルシュ
一級魔法使いの男性で、第三次試験の案内役を務めた。試験会場でフリーレンを見たが、その魔力制限を見抜くことは出来なかった。
ブルグ
過去に二級魔法使いの試験官を担当した一級魔法使いの男性。守りに特化したあらゆる攻撃魔法を通さないとされる「不動の外套」を身にまとうが、ユーベルの魔法で外套もろとも切断されて死亡した。
タオ
北部高原での戦闘経験も豊富な一級魔法使い。レルネンに協力し複数の二級魔法使いと共に黄金郷の内部調査をした際、マハトに遭遇して仲間もろとも一瞬で殺された。
フリュー
二級魔法使いの女性。タオらと共に黄金郷内でマハトと遭遇し、他の仲間は皆殺しにされた。自身は何とか逃げのびて事の次第をレルネンに報告したが、マハトの魔法により黄金化して絶命する。

魔族[編集]

魔王
魔族の王で少なくとも1000年以上昔から存在していたが、勇者一行(ヒンメル、フリーレン、ハイター、アイゼン)に討伐された。なお、現在も大陸最北端のエンデに魔王城が存在する。
存命時は「人類との共存」を望み、その果てに人類との大戦争を起こすことになった。激しい争いにより人類の人口は全盛時の3分の1にまで減少し、魔族もまた絶滅の危機に陥ったと言う。
クヴァール
「腐敗の賢老」の異名を持つ魔族で、魔王の部下として悪逆の限りを尽くすも、ヒンメル一行によって封印された。魔王軍の中でも屈指の魔法使いで、史上初の貫通魔法、ゾルトラークと呼ばれる人を殺す魔法を完成させ、数多の冒険者や魔法使いを屠ってきた。ヒンメル達でさえ強すぎたために封印することしか出来ず、ヒンメル自身は毎年のように封印を確認しに来ていたほど。
封印が解けるタイミングでフリーレンとフェルンが討伐に乗り出すも、即座に現代魔法を解析し、弱点と対処法を編み出すなど、腐敗の賢老の名に恥じない力を見せたが、最終的にフリーレンが使った自らと同じゾルトラークによって討たれる。
断頭台のアウラ
魔王直下の大魔族で、七崩賢の一人。約80年前に勇者一行と戦い、当時は配下のほとんどを失って消息不明となっていたが、28年前に力を取り戻し北側諸国と戦っていた。和睦と称して使者のリュグナー達をグラナト伯爵領へ送るも、無論それは嘘であり、再侵攻を目論む。
魔族の中でも長寿で500年以上を生きており、己の魔力に絶対的な自信を持つ。「服従の天秤」という天秤に自身と相手の魔力を乗せて魔力が少ない方を「服従させる魔法」を扱い、首が無い不死の軍勢を手駒としていた。
不死の軍勢と共に、自身を倒しに来たフリーレンと対峙。フリーレンの魔力制御による隠蔽を見抜けず侮って天秤を使用するが、実際は相手の方が遥かに格上だと知って驚愕のあまり呆然とする。最後は自害しろという命令を受け、泣きながら自ら首を斬って死亡した。
リュグナー
アウラの配下。首切り役人。人間との和睦の使者としてグラナト伯爵領を訪れる。言動は丁寧だが、裏では街の防護結界を解除させ、アウラの軍勢を招き入れるために暗躍する。街をフリーレン一行が訪れ、ドラートが先走って衛兵に死人が出たことで伯爵に問い詰められ、本性を表して彼を捕らえる。伯爵を助けに来たフェルンの魔法を見たことで、忘れていたフリーレンの顔を思い出す。その後は「血を操る魔法」を使いフェルンと交戦する。フェルンが得意とする魔法の速射技術の規模に対してフェルン自身から感じられる魔力の規模が小さいことに疑念を抱くが、リーニエの敗北に気を取られ魔族を殺す魔法の直撃を受けて致命傷を負う。疑念の末、フェルンの見せた戦法が魔力の規模を過小評価させて油断させるというやり口だったこと、フリーレンもまた過去に同じ戦い方をしていたことに気づき、フェルンたちを卑怯者呼ばわりしつつ討たれる。
リーニエ
アウラの配下。使者の少女。魔力探知が得意で、りんごが好き。ドラートが死んだ際は、油断したからだと高をくくっていたが、リュグナーに諫められる。その後はシュタルクと交戦し、過去に記憶した相手の魔力を真似るという「模倣する魔法」を使いアイゼンの技で彼を驚かせるも、その技はアイゼンと比べて全く攻撃の重さに欠けており、あえて一撃を体で受け止めたシュタルクの閃天撃を受けて死亡する。
ドラート
アウラの配下。使者の少年。フリーレンを邪魔者だと独断で暗殺を目論み、衛兵を殺害した上、魔力の糸で彼女も始末しようと襲いかかるが、両腕を切断されて呆気なく返り討ちに遭い、死亡した。
神技のレヴォルテ
四刀流を誇る魔族の将軍。四本の腕を持ち、魔法で作り上げた四本の剣を操る。また、幼い少女のような外見の魔族を従える。ゲナウの相棒を殺し、さらに彼の故郷も滅ぼした。ゲナウ・シュタルクを相手にした死闘で両者に重傷を負わせるが、最後は人間のしぶとさに屈して討たれた。
不死なるベーゼ
かつての七崩賢の一人。勇者一行を強力な結界魔法で閉じ込めたがフリーレンに破られ、最後はヒンメルの不意打ちにより討伐された。
全知のシュラハト
かつての魔王の腹心で、千年後の未来まで見通す魔法を操る。全七崩賢と共に南の勇者を迎え撃ったが、七崩賢のうち三人は討ち取られて自身も相打ちで倒されたとされる。
黄金郷のマハト
魔王配下であった七崩賢の最後の生き残り。大陸魔法協会が管理する大結界により、自らが作り出した黄金郷内に長らく封印されていた。防御や解除が不可能な「呪い」、万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)の使い手。また、携帯する衣服を武器に変化させて戦闘に用いる。
魔族としては穏健派で戦いを好まないが、一級魔法使いを含む精鋭魔法使いの集団を一瞬で皆殺しにするなど桁外れの圧倒的な戦闘能力を誇る。また、600年前にフリーレンを負かしたことがある。今のフリーレンでさえ匙を投げるほどの凄まじい実力を持ち、七崩賢で最強とされる。
昔、自身が滅ぼしたある村の神父との出会いが切っ掛けで人類を理解したいと思うようになる。人類が持つ「悪意」や「罪悪感」と言う感情を理解したいと考え、「人類との共存」を願いながら、人類を殺戮する日々を送った。
紆余曲折を経て80年ほど前にヴァイゼの領主グリュック家のお抱えの魔法使いになり、幼少時のデンケンに魔法を教えた。また、60年前「支配の石環」を使った領主より「ヴァイゼの民とその子々孫々に仕えること」と「ヴァイゼの民に悪意を持った行いをしてはならないこと」を命じられた。
グリュックとの主従関係は30年間にも及んだが、「悪意」や「罪悪感」の概念を理解する目的で最後はヴァイゼもろともグリュックを黄金化する。その後にゼーリエと戦うが軽くあしらわれ、同行していたレルネンら一級魔法使い達が作った大結界により黄金郷内に封印された。
ソリテールの手により黄金郷の大結界から解放され、かつての弟子であったデンケンと戦うことになる。戦いではデンケンを圧倒したが、気を取られた隙に攻撃を受けて致命傷を負う。瀕死の状態でグリュックとの再会を果たした後、追いすがるデンケンにとどめを刺されて死亡した。
奇跡のグラオザーム
七崩賢の一人で、マハトにとって相性が最悪とされた。南の勇者の討伐計画においてシュラハトと共にマハトの前に現れた。南の勇者と戦い後、その戦いに関するマハトの記憶を消す。後にヒンメル一行に倒されたと思われる。
ソリテール
少女のような外見で、人類について研究をしている変わり者の大魔族。昔、収斂進化の概念や人間の魔法をマハトに教えた。「魔族と人類の共存」の悲惨な結末を見る為マハトに加担し、黄金郷の大結界を破壊する。
「人類との共存」を魔族にとって危険な思想と捉えており、マハトの考えを改めさせようともした。また、かつては魔王と親交があったようである。
マハトに匹敵する強大な魔力を持ち、長い年月を生きながらもその名が人類側の記録に無い「無名の大魔族」である。その無名たる所以は、彼女がこれまで遭遇してきた者(人類)を皆殺しにしてきた為と考えられる。
非常におしゃべりで、「お話」と称して質問責めをしながら対峙した者をジワジワといたぶる。常軌を逸した堅牢で精密な魔力操作技術を誇り、魔力をぶつける攻撃や高密度の魔力による鉄壁の防御を得意とする。
フリーレンが「マハトと同格」と目するほどの圧倒的な実力者。探求心も旺盛で、アウラが討伐された際の残留魔力を調べてフリーレンの魔力制限を見破っていた。
魔力を解放した本気のフリーレンでさえ手に余るほどの強さを見せるが、最後は油断を突かれてフェルンの手による超長距離の高圧縮ゾルトラークの不意打ちに遭い討伐される。
電閃のシュレーク
魔王が討伐されてしばし後、魔王軍の残党を率いてヴァイゼを攻めようとした魔族の将軍。マハトの手によりあっさり討たれた。
玉座のバザルト
1000年以上昔の魔王軍の将軍。軍勢を率いて当時のエルフの集落を滅ぼしたが、フリーレンに倒された。

その他[編集]

クラフト
シュヴェア山脈に向かう途中、デッケ地方の避難小屋でフリーレン一行が出会ったエルフの男。同族(フリーレン)に出会ったのは300年ぶりとのこと。小屋内でスクワットをしていた姿をフェルンに目撃され、変質者と間違われた。その後、吹雪で低体温のシュタルクを暖めて救い、長い冬を越すために半年間フリーレン達と過ごす。フリーレンとは女神を信仰しているという身の上話を交わし、今生の別れとは思わないと告げて去った。
現在の職業は武道僧(モンク)。遥か昔に世界を救う偉業を成した英雄であったことが示唆され、石像も立てられている。
フランメ
魔法史に登場する伝説の大魔法使いであり、人類の魔法の開祖。今ではおとぎ話の人物とも言われて存在すら疑われているが1000年ほど前に実在しており、その唯一の弟子がフリーレンとされる。また、エルフの大魔法使いゼーリエの弟子でもある。これまでに発見されている彼女の魔導書はことごとく偽物とされる。
過去に魔王の命令でエルフの集落が襲撃された際、一人生き残ったフリーレンを保護した。当時は魔王軍の将軍より強い追っ手を瞬殺するほどの実力者で、フリーレンからは自分より遙かに強い魔法使いだと見抜かれている。フリーレン同様に魔族を憎んでおり、彼女に魔力を制限し相手を油断させて殺すという戦闘方法を教授し、一生掛けて魔族を欺けと伝えた。一番好きな魔法は「綺麗な花畑を出す魔法」とのこと。
生前に手記を書き、フォル盆地のどこかに遺した。それを探し出して読んだフリーレン一行は、魂の眠る地(オレオール)を目指すことになる。
ミリアルデ
エルフの女性で、かつてのフリーレンの知り合い。遠い昔に「人生をかけて探したものが、何の価値もないゴミだった」と言う経験をしたようで、即位式の際に配られた「皇帝酒(ボースハフト)」という名の安酒について、暇つぶしに「皇帝酒は最上の名酒である」と言う嘘の碑文を掘った。後にこれはファスの人生を狂わせることとなる。
南の勇者
かつて人類最強と謳われた勇者で、北側諸国ファーブル村に銅像がある。たった一年で魔王軍の前衛部隊を壊滅させ、北部高原最北端に集結した全七崩賢及びシュラハトの計8人を同時に相手にして戦う。うち七崩賢3人を討ち取るが、シュラハトと相打ちで死亡したとされる。
魔王討伐の旅立ちの前、フリーレンをパーティーに誘うも断わられた過去がある。未来を見通す魔法により自身の壮絶な最期やフリーレンが別の勇者(ヒンメル)と出逢い魔王を倒すことを予見しており、その事をフリーレンに伝えて立ち去った。
エーヴィヒ
賢者エーヴィヒと呼ばれた人物。死者の蘇生や不死の魔法を研究していたとされるが、フリーレンの解読によれば彼の魔導書にそのような魔法は記されてなかった。神話の時代に、魔族の心を操る魔道具「支配の石環」を作り上げた。
武のおじいさん
オイサーストに住む謎の老人。修行中のシュタルクの前に現れては、いつも「これぞ無の境地。よくぞ武の神髄まで辿り着いた。お主に教えることはもう何もない」などと声を掛けた。フリーレン一行がオイサーストを去る時、シュタルクを見送る。

魔法[編集]

人を殺す魔法(ゾルトラーク)
魔王軍の魔法使いクヴァールが開発した史上初の貫通魔法。
かつては防御不能の貫通魔法として猛威を振るったが、クヴァールの封印後に精力的な研究が行われた結果人類の魔法体系に組み込まれ、魔法使いならだれもが扱う「一般攻撃魔法」と呼ばれている。
魔力の球、もしくは魔法陣からビームのように帯状に射出される。制御によって軌道を曲げることもでき、背面や側面を狙って撃つシーンが見られる。
魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)
フリーレンによって魔族を殺すことに特化した改良が施された人を殺す魔法。フリーレンからフェルンにも伝授されている。
一般攻撃魔法として名前を言わずに使われていることが大半だが、魔族に向かって放つときには明記される。
防御魔法
六角形の透明な壁を形成し、攻撃を防ぐ魔法。魔法、物理のいずれにも耐性があるが、特に魔法に対して強い耐性を持つ。現代の防御魔法は人を殺す魔法を解析した結果開発されたもので、魔法に同調して威力を分散させる術式となっている。
複数の六角形を組み合わせることで壁状や球状、もしくはその一部分を展開することができ、自在に防御範囲を操ることができる。
術式としては高度なもので魔力の消費も激しいとされ、多くの魔法使いは必要最低限な分だけを形成して防御するようにしている。
防御魔法のみでほとんどの攻撃魔法は防ぐほどの防御性能を持つ一方、物理的な防御性能は魔物や戦士の攻撃を防ぐ程度のもので強大な物理攻撃によって破られる。このため、現代の攻撃魔法は魔力によって物質を操るものが主流になっているという。
飛行魔法
対象を宙に浮かせて飛ばす。自身に使用することで空を飛べる。
魔族の魔法術式をそのまま転用したものであり、原理が解明されていないため人体より大きなものはわずかな時間しか飛ばせない。
見た者を拘束する魔法(ソルガニール)
ヴィアベル、ユーベルが使用。相手の身体と魔力の操作を封じる強力な拘束魔法だが、相手の全身を視界に入れないと使用できない。
大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)
ユーベルが使用。術者が切れると思ったものは何でも切れるが、切れないと思ったものはまったく切れない。
石を弾丸に変える魔法(ドラガーテ)
エーレが使用。
花弁を鋼鉄に変える魔法(ジュベラード)
シャルフが使用。
大地を操る魔法(バルグラント)
リヒターが使用。地面を隆起させて直接攻撃をしたり防壁を作る。
氷の矢を放つ魔法(ネフティーア)
ラヴィーネが使用。
水を操る魔法(リームシュトローア)
カンネが使用。
竜巻を起こす魔法(ヴァルドゴーゼ)
デンケンが使用。
風を業火に変える魔法(ダオスドルグ)
デンケンが使用。竜巻を起こす魔法と組み合わせて業火の竜巻を作り出した。
裁きの光を放つ魔法(カタストラーヴィア)
デンケンが使用。先端が十字になった光の矢を放つ。
破滅の雷を放つ魔法(ジュドラジルム)
フリーレンが使用。
地獄の業火を放つ魔法(ヴォルザンベル)
フリーレンが使用。
黒金の翼を操る魔法(ディガドナハト)
ゲナウが使用。黒金の翼は直接の斬撃や防御のほか、羽を飛ばした遠距離攻撃も可能。

民間魔法[編集]

作中で定義については触れられていないが、戦闘以外の用途に使用される魔法と思われる。

花畑を出す魔法
フリーレンとその師フランメが一番好きだと公言する魔法。フリーレンにとってフランメとヒンメルとのつながりの意味を持つ魔法であり、作中の回想にたびたび登場する。
高速で移動する魔法(ジルヴェーア)
ラオフェンが使用。魔法を使ったフリーレンのもとに即座に到達したことから、ある程度の距離でも移動できるとみられる。
鳥を捕まえる魔法
狩猟を生業とする一族が編み出した魔法。鳥に近似するものなら魔物でも拘束でき、強力な拘束力がある。しかし、射程が50cmと短い。
宝箱を判別する魔法(ミークハイト)
宝箱がミミックか否かを99%の精度で判別する。
命懸けで宝物庫の扉を閉じる魔法
水鏡の悪魔が生み出したフリーレンの複製体が使用。民間魔法の中でもトップクラスの封印魔法で、術者が死ぬまで決して扉は開かない。
霧を晴らす魔法(エリルフラーテ)
メトーデが使用。神技のレヴォルテの部下の魔族が作り出した霧を晴らした。
服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法
フェルンが一級魔法使いの特権としてゼーリエより授かった。服を綺麗にしたうえ、フローラルな香りもするようになる。フリーレン曰く、神話の時代に存在したとされる伝説級の魔法。
温かいお茶が出てくる魔法
銅像の錆を綺麗に取る魔法
甘い葡萄を酸っぱい葡萄に変える魔法
服が透けて見える魔法
底なし沼から引っこ抜く魔法
失くした装飾品を探す魔法
カビを消滅させる魔法
しつこい油汚れを取る魔法
卵を割ったときに殻が入らなくなる魔法
早口言葉を嚙まずに言えるようになる魔法
パンケーキを上手にひっくり返す魔法
背中の痒い部分を掻く魔法
赤リンゴを青リンゴに変える魔法
フリーレンが趣味で集めた魔法。人助けの報酬やフリーレンを知る人物からの交渉によって得たものが大半。

魔族の魔法[編集]

血を操る魔法(バルテーリエ)
リュグナーが使用。血に魔力を込めて操っているとみられる。
血を複数の触腕のように形成して切断や刺突攻撃をする。
模倣する魔法(エアフアーゼン)
リーニエが使用。人が動いている時の体内の魔力の流れを記憶し、動きを模倣する。
シュタルクとの戦闘の際、以前に記憶したアイゼンの動きを模倣して戦った。
服従させる魔法(アゼリューゼ)
断頭台のアウラが使用。自分と相手の魂を「服従の天秤」に乗せ、より大きな魔力を持つ者がその相手を永遠に服従させる。
自分のほうが魔力が少なければ自分が相手に服従することになる諸刃の剣と言える魔法。
霧を操る魔法(ネベラドーラ)
神技のレヴォルテの部下の魔族が使用。魔力を込めた霧はわずかな魔力にも反応する性質を持つ。
攻撃を旋風に変える魔法(メドロジュバルト)
神技のレヴォルテの部下の魔族が使用。剣撃の射程を拡大するのに使用している。
万物を黄金に変える魔法(ディーアゴルゼ)
黄金郷のマハトが使用。北部平原の城壁都市ヴァイゼを一瞬のもとに黄金に変え、術者が封印された現在もその範囲を拡大している。

女神様の魔法[編集]

女神の三槍
ザインが使用。光の矢を三本同時に射出する。
目覚めの解呪
ザインが使用。混沌花の呪いの眠りからフリーレンを目覚めさせた。ザイン曰く混沌花の呪いに対する効果時間は5秒。
病気を判別する魔法
正式な名称は不明。北側諸国オッフェン群峰でフェルンが体調を崩した際にフリーレンが使用。

魔物[編集]

ミミック
ダンジョンなどで獲物を待つ、宝箱に偽装した魔物。迂闊に宝箱を開けた冒険者に襲いかかり捕食すると考えられる。フリーレンは過去に幾度となくミミックに食われそうになるが、今のところ無事である。
幻影鬼(アインザーム)
人間のみを捕食する狡猾で貪欲な魔物。その人にとって大切だった死者の幻影を見せて相手を誘い込むという。フリーレンの前にはヒンメル、フェルンの前にはハイターの姿で現れた。
紅鏡竜
中央諸国のリーゲル峡谷に住む竜。魔道書など、魔力の籠もった物を営巣の材料にしている。シュタルクの強さを見抜いており、彼がいる村を襲えずにいたが、後にシュタルクの手で討伐された。
山の主
剣の里近くの勇者の剣を祭る洞窟前にいた魔物。巨大な狼のような風貌で、フリーレンからはたった80年で主となった新顔と呼ばれる。フリーレン一行の活躍によりあっさり討伐された。
混沌花の亜種
北側諸国ラオブ丘陵の村人を「呪い」で眠らせていた巨大な花。対象の魔力を吸い取り肥料とする。ザイン以外が眠らされるが、彼がフリーレンを目覚めさせ、弱点の核を撃ち抜かれて倒された。
水鏡の悪魔(シュピーゲル)
神話の時代から存在するとされている。未踏破の迷宮「零落の王墓」の最深部に潜み、迷宮に侵入して来た者の完璧な複製体を創り出す。自身は脆弱であるが、複製体により侵入者の迷宮探索を阻害する。
毒極竜
北側諸国ザオム湿原にて発見した封魔鉱の鉱床内に生息していた竜。封魔鉱のせいでフリーレンとフェルンは魔法が使えず、シュタルクとの相性も悪かったため、戦わずに全員で逃走して難を逃れた。
クラーケン
北部高原のコリドーア湖(内海よりも大きく、北側諸国最大の大きさを誇る)に身を潜めていた海の魔物。巨大なイカのような姿をしており、フリーレン達が乗った小舟に襲いかかった。

用語[編集]

地名・組織[編集]

魂の眠る地(オレオール)
フリーレン一行の最終目的地。大魔法使いフランメの手記によれば、この世界の人々からは天国と呼ばれる魂の集まる場所で、死者との対話ができるとのこと。位置は魔王城のある大陸最北端のエンデ。ヒンメルと会話をするために一行が目指す地となった。
大陸魔法協会
約50年前に大魔法使いゼーリエが設立した組織で、魔法使いの資格認定等を行う。シュタルクからその存在を教えられたフリーレンには初耳だった(彼女からすれば長い年月の経過で魔法を管理する団体が次々変わるため、覚えていられない模様)。無資格の場合は闇魔法使い呼ばわりされる。五級から一人前となり、魔法使いの総数は五級以上が600人、それ以下を含めた全体では2000人とされる。
オイサースト
北側諸国キュール地方にある諸国内で最大の魔法都市。フリーレンが一級魔法使いになるための試験を受けに訪れた。一級試験は3年に一度しか開催されず、この街の大陸魔法協会北部支部か聖都シュトラールの本部でしか受験できない。フリーレンは魔法都市ですら魔法使いをあまり見かけないため、100年前の頃と比べ数が減ったと感じていた。
北部高原
幾多の魔物や魔族が生息する非常に危険なエリアで、外部から侵入する際には一級魔法使いの同行が義務付けられている。
ヴァイゼ
北部高原ヴァイゼ地方にある城塞都市。グリュック家が領主として治めていたが、50年前に七崩賢の一人、黄金郷のマハトの手で都市全体が黄金に変えられてしまい、現在は大陸魔法協会が結界で封じた都市の管理をしている。

種族・生物[編集]

エルフ族
フリーレンの出身種族。寿命がとてつもなく長いのが特徴。数は少なく、エルフ(フリーレン)を生まれて初めて見たという者もざらにいる。フリーレン自身もクラフトに出会うまでは同族を見たのは400年以上前だと語っており、エルフは恋愛感情や生殖本能が欠落しているため、絶滅が近いのではないかと考えている。
ドワーフ族
アイゼンの出身種族。人間よりもはるかに小柄な体格だが体力・力に優れると共に肉体の頑強さも特徴とし戦士の職に就く者が多い。エルフほどではないが寿命は人間よりは長く、平均寿命は300年ほどであるらしい。また、「魂が死後行きつく場所は無である」という独特な死生観を持つ。
魔族(レヴォルテ)
人食いの捕食者である人類の敵。大魔法使いフランメは言葉を話す魔物を「魔族」と名付けた。
家族という概念や子育ての習慣がないため誕生直後から天涯孤独に過ごし、長い寿命の中で一つの魔法の研究に生涯を捧げると言われる。「人の声真似をするだけの言葉が通じない猛獣」というフリーレンの弁の通り、思考形態は人間とは大きく異なっていて、人間の感情を理解できず、言葉をもって人を欺き油断させて屠ることを常套手段としている。
「強力な魔力を持つ強者こそが偉い」という実力主義的な社会を形成しており、魔力が地位や財産に相当し、かつ尊厳と誇りであるという考え(フランメ曰く「クソみたいな驕りと油断」)を持つため、魔力制限を行うという発想を持たず、また持てない。
隕鉄鳥(シュティレ)
一級魔法使いの一次試験で題材となった鳥。極めて頑丈で最大飛行速度は音速を超え、さらに警戒心が強く魔力に敏感な為、捕獲することは非常に困難である。

その他の用語[編集]

呪い
魔物や魔族が使い、人類が未だに解明できていない魔法のこと。人を眠らせたり石にしてしまう。人類の魔法技術では原理も解除方法も不明であるが、唯一僧侶が使う女神様の魔法だけは別で、呪いに対処できる(僧侶自身は女神の加護があるために呪いが効きにくい)。
女神様の魔法
聖典に記された魔法。聖典所持者かつ資質がないとうまく扱えず、その原理も呪いと同様分かっていない。
封魔鉱
魔法を無効化する力を持った鉱石。その純度により無効化できる範囲が変わる。また、魔力を込めると光る性質があり、込めた魔力が強いほど強く光る。とても希少で小石ほどの大きさでも金貨数枚はくだらない程の価値があるが、最大級の硬度を持つ為に採掘や加工は極めて困難。
聖雪結晶
北部高原のシュマール雪原で採掘される鉱物。魔法薬の原料になるが、めったに見つからず、凶暴な魔物がうろつく危険地帯に鉱脈があるため、貴重品として高値で取引されている。フリーレン一行が冒険者の野営地を訪れた際は、鉱脈保護のための魔物退治と対人結界の設置を引き受けた。

社会的評価・受賞[編集]

2023年3月時点で単行本の累計発行部数は800万部を突破している[8]。2020年以降は複数の漫画賞受賞や漫画関連のランキングに名前が挙げられている。

主な受賞・ノミネート歴
発表年 部門 結果
2020年 このマンガがすごい!2021 オトコ編 2位[11]
2021年 全国書店員が選んだおすすめコミック2021 2位[12]
出版社コミック担当が選んだおすすめコミック2021 3位[12]
新刊マンガ大賞2021 Presented by 東京マンガレビュアーズ 2位[13]
第1回 ebook japanマンガ大賞 2位[14]
マンガ大賞2021 大賞[15][16]
第25回手塚治虫文化賞 新生賞[17][18]
第45回講談社漫画賞 少年部門 最終候補[19][20][21]
第5回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞 5位[22]
次にくるマンガ大賞2021 コミックス部門 3位[23]
このマンガがすごい!2022 オトコ編 6位[24]
2022年 第46回講談社漫画賞 少年部門 最終候補

書誌情報[編集]

  • 山田鐘人(原作) / アベツカサ(作画)『葬送のフリーレン』小学館〈少年サンデーコミックス〉、既刊10巻(2023年3月16日現在)
    1. 2020年8月18日発売[25]ISBN 978-4-09-850180-9
    2. 2020年10月16日発売[26]ISBN 978-4-09-850181-6
    3. 2020年12月18日発売[27]ISBN 978-4-09-850285-1
    4. 2021年3月17日発売[28]ISBN 978-4-09-850490-9
    5. 2021年7月16日発売[29]ISBN 978-4-09-850634-7
    6. 2021年11月18日発売[30]ISBN 978-4-09-850728-3
    7. 2022年3月17日発売[32]ISBN 978-4-09-850876-1
    8. 2022年6月17日発売[34]ISBN 978-4-09-851148-8
    9. 2022年9月15日発売[36]ISBN 978-4-09-851260-7
    10. 2023年3月16日発売[38]ISBN 978-4-09-851771-8

テレビアニメ[編集]

2023年秋より放送予定[9]

スタッフ[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「魔法を発動する時に一瞬だけ魔力探知が途切れる」というもの。だが、それ以外の魔法技術が高いのであまり問題にはなっていない。
  2. ^ 人生の中で自分よりも魔力の低い魔法使いに負けたことが11回ある(相手の内訳は人間が6人、魔族が4人、エルフが1人)。

出典[編集]

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  20. ^ 第45回講談社漫画賞のノミネート13作品決定、受賞作は5月13日に発表
  21. ^ 講談社漫画賞「東リべ」和久井健や「ブルーロック」金城宗幸ら登場、2年分の贈呈式
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外部リンク[編集]