ドリフターズ (漫画)

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ドリフターズ
ジャンル アクション青年漫画
漫画
作者 平野耕太
出版社 少年画報社
掲載誌 ヤングキングアワーズ
レーベル ヤングキングコミックス
発表期間 2009年6月号 - 連載中
巻数 既刊5巻
アニメ
原作 平野耕太
監督 鈴木健一
シリーズ構成 倉田英之
脚本 倉田英之、黒田洋介
キャラクターデザイン 中森良治
音楽 石井妥師松尾早人
アニメーション制作 HOODS DRIFTERS STUDIO
製作 DRIFTERS製作委員会
放送局 TOKYO MXほか
放送期間 2016年10月 -
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

ドリフターズ』(DRIFTERS)は、平野耕太による日本漫画少年画報社月刊漫画雑誌ヤングキングアワーズ2009年6月号(4月30日発売)で連載開始された。

概要[編集]

日本サムライ古代の戦術家、西部開拓時代ガンマン第二次世界大戦時の軍人など古今東西の英雄が、中世ファンタジー風の異世界に召喚されるアクション系歴史ファンタジー作品。

タイトルの「ドリフターズ」とは英語で「漂流物、放浪者」などを意味する。前作の『HELLSING』同様、陰影を強調した重厚な絵柄や独特の大仰な台詞回しが特徴。歴史上の偉人が一堂に会するロマンや、多数盛り込まれている史実の逸話を思わせるエピソードは元より、道具・技術の進化や文化・概念の違いが如何に現実世界に変化をもたらしたかの人類の歴史の変遷も描かれている。

少年画報社本社前にある自動販売機は本作のラッピングが施されている(他に『僕らはみんな河合荘』仕様もあり)。

2015年3月にアニメ化が発表された。

あらすじ[編集]

西暦1600年関ヶ原の戦いの最中、謎の存在「紫」の手により島津の退き口から、エルフオークのいる異世界に召喚された島津豊久は、同様に流れ付いた織田信長や那須与一と出会う。その地で「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれる豊久らは、成り行きと武士としての本能から、人間が支配するオルテ帝国に虐げられるエルフの村を解放、その勢いのまま「国奪り」を開始する。

一方、北方の地では「EASY」の送り込む召喚者達「廃棄物(エンズ)」が黒王を頂点とし、「人ならざる者」の軍勢をもって人類を絶滅させるべく進軍を開始していた。安倍晴明率いる、魔導結社「十月機関(オクト)」は漂流者を集め黒王軍に対抗すべく、豊久達にも協力を要請するが、信長は「漂流者による国奪り」こそが唯一の方法であると説く。黒王の命を受けた廃棄物ジャンヌとジルドレの襲撃を退けた豊久達は、休む間もなくドワーフ族を解放する。

オルテの大貴族にして、漂流者であったサンジェルミ伯は、自らが創り上げた帝国の先行きを見限り、国を豊久達に明け渡すことを決意する。当初は無血クーデターを目論んでいたサンジェルミ達だったが、同じく帝国の乗っ奪りを企てていた廃棄物ラスプーチンと土方歳三を相手に、激しい市街戦となってしまう。結果として首都陥落・帝国指導部の解体という当初の目的は達したものの、大きな傷跡も残されてしまった。

グ=ビンネン通商ギルド連合に身を寄せ、重用されながらも微妙な立場にある山口多聞や、亜人を率いて帝国方面軍に抵抗する、菅野直とスキピオ、十月機関と行動しているワイルドバンチ強盗団ら各地に散る漂流者の動静も絡みあい、世界の命運は混乱の一途を辿る中、黒王率いる人類廃滅の軍団が南征を開始する。

登場人物[編集]

は、アニメのキャストを記す。

漂流者 / 漂流物(ドリフターズ)[編集]

島津豊久(しまづ とよひさ)
声 - 中村悠一
本作の主人公。戦国時代島津家の武将。作中では「戦国最強のサムライ」と称される。年齢30。官名は中務少輔薩摩弁で話す。
西軍として参戦した関ヶ原の戦いの敗走において、伯父である島津義弘を逃がすために捨て奸を務め、追撃してきた東軍の井伊直政隊と戦闘し、井伊隊が撤退し瀕死で戦場を1人彷徨っている最中に紫により異世界へ送られ、そこで信長・与一の手当てを受けて息を吹き返す。そして自分等を匿ったが故にオルテ軍から弾圧されるエルフ達に助勢し、国の奪還に加勢することとなる。
やがてエルフのみならずドワーフを解放し、少数の手勢を率いてヴェルリナを占拠。時を同じくして襲撃してきた黒王軍を退けたことで名実共に国盗りを成功させる。黒王軍の南下から逃れてきた難民たちを演説によって従え、廃棄物たちを迎え撃つ決戦の地を「関ヶ原」と見定める。
長尺の野太刀で甲冑・軍馬ごと相手を両断するタイ捨流の剣術を始めとして、組手甲冑術、火縄式の短筒等を自在に使い、戦場では鬼神の如き強さを見せる武人。前線指揮官としても優れており、集団戦では偽装撤退戦術を多用し、勝利を収めている。また、思考は短絡的で教養もなく平時は「残念な子」という扱いを受けているが、戦場での勘働きは鋭く、本能により戦いの要所で常に最善の選択を取り、異世界の術式や物品を利用した思いつきや発想にも優れた戦闘に関する天性の才を持ち、信長からは「生まれながらの武将」「敵を倒す為に生まれた様な男」、与一からは「全知全能が戦に特化している」とまで評される。ただし要所で戦略的に的を射た発言をすることもあるため、信長は「必死に自分に律した結果」として戦でしか役に立たない人格が形成されたのではないかと考えている。首級を挙げることに強い執着があり、オルミーヌより「妖怪“首おいてけ”」というあだ名を貰っている。受けた恩は決して忘れず、自分を助けたエルフを庇い加勢し、女子供に対する非道に憤慨するなど義侠心が強い。
薩摩隼人を絵に描いたような血気盛んで一本気な性格。戦闘本能と己の士道のみに従い戦に生きる姿は、敵味方問わず周囲を驚愕させている。信長からは「空気を読めんのではなく読まん」と評される性質は、好戦的な島津家で生まれ育ったという理由が大きく、豊久本人も「薩摩ん兵子で血迷うておらんもんは一人もおらん」と認めている。己の信念しか頭にない姿勢と人を戦いに駆り立てる「狂奔」の素質、人種や価値感が違う人々を一つに纏めていることから、信長からは「王の器」と言われるほどその器量を見込まれている。しかし、本人にはそのような自覚はなく、死んではいけない立場の人間でありながら、戦功や勝利のためなら自らの命をエサにすることに躊躇がないため、周りからは危惧されだしている。治政は信長達に任せて普段はハンニバルや与一と街をふらつくか昼寝をしている。思い立ったら他人に相談せずすぐ行動する傾向があり周囲からは「乳児より目が離せない」とまで言われている一方で、放っておけないというだけで建国に成功した劉邦にも例えられている。
シャラの村の者達からは「トヨさん」と呼ばれ慕われている。信長からは「豊」「お豊」と呼ばれる。
織田信長(おだ のぶなが)
声 - 内田直哉
戦国時代に第六天魔王を自称し、「天下布武」を掲げて戦った英傑。49歳時の「本能寺の変」から初登場の時点で半年以上経過しているため年齢は50歳になる。本能寺の変に先立つ4年前に辞した右大臣職をもって、「織田前右府」(おだ・さきのうふ)とも名乗る。右目に眼帯を着けている[注 1]
家臣の明智光秀の謀反により燃え盛る本能寺から必死に脱出しようとしていた際に、豊久と同様の体験を経て異世界に送られて、豊久と出会った時までの半年近くを廃城で過ごし、与一と行動を共にしていた。
エルフたちを助けた成り行きと、十月機関からの依頼に乗る形で廃棄物と戦う。その戦略としてオルテ帝国を滅ぼし、人間を含む多部族連合国家を建国、兵権のみを掌握して豊久を統領にした「武士」の制度を創ろうと目論む。異世界に来た豊久によって、本能寺の変を彼の謀反と疑っていた息子の織田信忠[注 2]が自らに殉じたことを知って自分には君主の資格が無いと感じ、器を見込んだ豊久を「王」にすると決め、自身は参謀兼汚れ役を全て受け持つことにしている。
戦いの中でさえ悪ふざけが目立つものの、その本性は狡猾で冷徹な策略家であり、「合戦そのものは、それまで積んだことの帰結」との言葉通り、極めて現実的且つ長期的な視点に立って戦略・戦術を組み立てる。指揮官としての能力にも優れ、戦の経験のないエルフの農奴を率いて数と練度で勝る正規兵の軍隊を壊滅させており、ハンニバルのジェスチャーにも即座に対応して効率的な指示を出す。またリボルバー銃やガトリング砲などの火器、連絡用の水晶球などの道具が戦争の様式を一変させることに気付く等、軍事面における洞察力・想像力は非常に優れている。主に戦闘中の世界の技術の使い方や活用法の差異から、「漂流者とは技術の渡来者であり、思考の差異者である」事をいち早く認識した。
既に老境に差し掛かっているため直接戦うことはあまりないが、遅れ気味とはいえ廃城からエルフの村まで豊久と与一に並走する程度の体力は維持している。また学習力に優れ、エルフ語を短期間で話せるまでに理解していたが、その事は誰にも知らせず、晴明が翻訳できる札を持ってきた際に披露した。「読む者の心情を撫で操る」ような文章を作るのが得意で、檄文を送るだけでエルフ達を集結させ、さらにはヴェルリナ奪取後に手紙2枚で第3・4軍を争わせ壊滅させるという知略も見せている。
元から所持していた火縄銃を武器として使うだけでなく、黒色火薬の材料となる硝石の生産や硫黄の調達、火縄銃そのものの製造など、兵站も含めた量産化を進める。硝石の精製に便所や土間の土と戦死者の胴体を利用して硝石丘を作る他にも戦術として糞便を利用し、水を使用不能にするために井戸へ投げ込む、破傷風を引き起こすために鏃などに塗り付けるなどしている。
シャラの村の者達からは「ノブさん」と呼ばれ、実質的な指揮官として認識されている。しかし豊久の自らを顧みない行動には苦労しており、本人としては劉邦を支えた張良を気取りたいところではあるが、その様を見たサンジェルミから陳宮に喩えられた。
那須与一(なす の よいち)
声 - 斎賀みつき
源平合戦の伝説的な弓の達人。年齢19。女と見紛うばかりの美少年。軍記物語で語られるものとは全く違った食えない性格であるが、ジルドレとの戦いを楽しむ戦闘狂としての一面も持つ。弓の腕は元々弓に長けた種族であるエルフ達をはるかに上回り、的の中心を射抜いた矢を更に連続で射抜くなど神業を誇る。エルフの弓兵を率いて残党狩りのゲリラ活動などを請け負うことが多い。
エルフの言葉を独学で覚え、カタコトだが会話を試みるほどになっていたが、十月機関の符で簡単に意思疎通ができるようになったので、その努力は虚しいものに終わる。
豊久には出会った当初、信長と一緒に居たこととその美貌から、女性や森乱丸ではないかと勘違いされた。戦っている時の姿は容姿端麗なエルフ達ですら「きれい」と称するほどだが、与一自身は那須11人兄弟の末っ子にして一番のブサイクであり、兄達はもっと美形だと語っている。
己の武士としての価値観から義経の卑劣な手段を辞さない軍略を快く思っていなかったため、当初は卑劣とも取れる奇策を駆使する豊久や信長を義経と重ね合わせていたが、義経と違い何も強制してこない豊久へは好感を寄せるようになる。作戦行動で拠点を離れることも多いが、普段は豊久達と街をふらついている。
ハンニバル・バルカ
声 - 青山穣
世界史において天才戦術家として知られているカルタゴの将軍。隻眼の老人。
スキピオと同時に作中に初登場。ローマへの敵愾心は失っておらず、「ザマの戦い」で「カンナエの戦い」における戦術をそっくり真似たスキピオを「パクリ野郎」と罵るなど、ケンカが絶えない。
召喚された時点でかなりの老齢であったため、尿失禁するなど肉体は衰えており、カルネアデス兵からは「ボケ老人」と嘲笑される。さらに逃走の際にスキピオと別れた直後から、箍が外れたように急激な痴呆が進み、脈略のないうわ言をつぶやくようになってエルフ達に介護されており、「木いちご爺ちゃん」と呼ばれている。それでも要所では往年の眼光を取り戻し、豊久や信長すら目を見張る歴戦の名将ぶりを見せる。もっとも、戦術を伝える際にも、そのまま伝えるのではなくあくまでヒントを与えるという形で身振り手振りで提示するため、それを苦労しながらも理解できる信長以外にはただの奇行としか思われていない。
スキピオ・アフリカヌス
声 - 家中宏
ハンニバルのライバルであるローマの天才用兵家。短髪の初老の男。
常にハンニバルと張り合うが、内心では誰よりも認めており、カルネアデス兵が耄碌した彼を嘲笑した際には「我等ローマは100万の兵は恐れないが、この男一人を恐れた」と激怒しながら弁護している。
黒王軍からの逃避行の際に馬車から落ちた事で十月機関一行と逸れ、オルテ北部の山中に迷い込んだところで菅野直と邂逅する。ローマ=イタリア人と認識され、出会いは友好的であったが、1943年以降のパドリオ政権以降は日独の敵対国である事を菅野が直後に思い出し[注 3]、小競り合いをした。しかし十月機関の思惑もあり、共にオルテと戦うことになる。菅野の軍では参謀を担当、用兵家としての采配を振るい菅野を通して犬人、猫人を指揮し、オルテ軍に対して善戦している。
その後、菅野を介して山口多聞と邂逅。彼に自身の在世当時から第2次世界大戦までの約2000年にわたる軍事知識の指南を依頼し、「ハンニバルにも追いついた。2000年の未来にも追いついてみせる」と習得を開始する。
ワイルドバンチ強盗団
西部開拓時代に悪名を馳せた列車強盗団。多くの構成員の中でも死亡したものの生存説がある以下の2名だけが異世界に漂着している。
ブッチ・キャシディ
声 - 小野大輔
ワイルドバンチ強盗団のリーダー。襤褸布をマントのように纏った装い。享楽的で刹那的な青年。パーカッションリボルバーコルトM1851)の二挺拳銃で戦う。豊久たちと分岐する際、餞別として銃1丁と弾切れになったガトリング砲を置いてゆく。
現状においては晴明率いる十月機関と行動をともにしている。伝令として赴いた菅野が対戦国である英米を敵視する姿勢を見せたことから、ボリビア出身と言い逃れをしている。
ザ・サンダンス・キッド
声 - 高木渉
ブッチの相棒。テンガロンハットと外套の装い。ブッチに比べ常識的な性格で、その諌め役。レバーアクションライフルを持ち、手回し式のガトリング砲を使用している。
元の世界から持ち込んだ煙草や弾薬をかなり惜しみながら使っている描写があり、自分達の置かれている状況をブッチよりは理解している。出会った日本人たちが皆凶暴な性格をしているため、日本人に対して若干恐怖心を抱いている。
菅野直(かんの なおし)[注 4]
声 - 鈴木達央
大日本帝国海軍エースパイロット第三四三海軍航空隊戦闘三〇一飛行隊(通称「新選組」)隊長。階級は大尉
凄まじく血の気が多い益荒男。「バカヤロウ、コノヤロウ」を口癖としている程に口が悪く、乗機が飛行中に不調を起こした際は計器を殴って直す等、機械の扱いも雑で粗暴。乗機は最後の出撃の際に乗っていた紫電改。本来4挺装備の機銃が3挺として描写されているが、これは失踪の原因が機銃の暴発によるものとされているためである。
黒王軍のカルネアデス侵攻の直中に戦場に出現しており、史実における「謎の失踪(1945年8月1日)」の直後に乗機ごと召喚された様子が見られる。異世界に来た直後、黒王軍の侵攻によって人もろとも焼き尽くされる城下を見て、空襲される日本を連想して激怒し、空戦を仕掛けて竜4匹を撃墜する。
その後、乗機はオルテ北部の山岳地帯に不時着したが、犬頭の亜人たちを腕っ節で統率し、「空の神様[注 5]」として彼らの担ぐ輿に乗って現れ、ハンニバルらと逸れ彷徨していたスキピオと遭遇する。
十月機関の札によってスキピオと意思疎通できるようになってからは、犬人、猫人たちを率いてオルテの第二軍と交戦している。短気ですぐ暴力を振るう性向を犬人、猫人はもちろん、スキピオたち漂流者からも恐れられている。なお意思疎通が可能となりスキピオの戦略の元で勝利を重ねてからも、彼のことをイタリアの芸人か何かだと思っていた。
やがて擱座した空母「飛龍」艦上にて山口多聞と邂逅。破損してはいるものの大量の航空機、燃料、弾薬を手に入れ、山口と二人で「二航戦」を結成する。
山口多聞(やまぐち たもん)
安倍晴明(あべ の はるあきら)
アドルフ・ヒトラー
サンジェルミ伯(セントジェルム伯、セントジェルミ伯)
紫(むらさき)
声 - 宮本充
この世界に漂流者を呼び寄せる謎の男性。眼鏡にワイシャツ、袖カバーという事務員のような姿をしており、EASYから「民生屋」と言われている。常に無表情で喫煙家。
左右に様々な扉が並んだ果てしない通路の真ん中に置かれた机で事務作業をし、自ら選出した漂流者を各地へ送っている。世界に「あるべき形」などないと語り、漂流者による、元の世界と送った世界の「差異による万象の変質」を手段とした廃棄物の殲滅を目的としており、「漂流者」「廃棄物」の動向が自動的に記述される新聞を読むことで、彼らの行動を把握している。良くも悪くも「漂流者の自由意志」によってことが進むことを好み、豊久がそれを表明した記事を読んだ際には笑みを浮かべていた。

廃棄物(エンズ)[編集]

黒王(こくおう)
声 - 楠大典
黒王軍指導者。擦り切れたローブを纏った姿で現れ、廃棄物やモンスター達の軍勢を率いる謎の存在。
フードを深く被っており、その顔は黒く塗り潰されたように輪郭すら見えない。持ち手が蜻蛉の形をした杖をついている。能力の正体は生命の増幅であり、負傷や瀕死の兵士も一瞬触れるだけで治療することができる。傷の治療以外でも、生命体ならば無限に増殖させられるため、穀類や燃料となる薪を無限に増やしたり、対象の細胞を過剰に増幅させ腫瘍まみれの異形に変貌させることもできる。ただし自身の命を酷使する自己犠牲の能力の模様で、使用した後、体から塩の結晶が落ちた描写がある。多種族の「人ならざる者」を統率し心から対等に接しているため、彼らからも敬われる立場にある。
その腕は傷だらけであり、手の平には杭で打ち抜かれたような傷跡がある。かつて人類を救おうとしたが拒絶され、人類以外の者を救い人類を絶滅させる決意をしたと言う。新約聖書の言い回しを度々使用する。「黒王」の名は人類を滅ぼした後に自身がもたらそうとしている暗黒時代に由来する。大量破壊兵器を異世界にもたらす可能性を持つ漂流者の脅威を認め、その集結を恐れて一人残らず排除することを目論む。
黒王軍を進軍させる傍ら、自身の生ある内に人類に取って代わり永続的に続く「人ならざる者たちの文明」を作るため、「統一宗教」「原始農耕」「共通文字」を教えている。義経曰く「救世主の玄人」でその行動は人類の廃滅しか考えないとされてきた本来の廃棄物から大きく逸脱しており、十月機関やサンジェルミを混乱させている。
その一方、明智光秀からは「空挺降下」や「デサント」といった未知の戦略知識を習得している事を不審に思われ、果たして彼の知る人物かどうか疑問視されている。
単行本の巻末に載っている「あとがきゆかいまんが 黒王様御乱心」や雑誌のオマケ漫画においては本編におけるカリスマ性が微塵も無く、完全なギャグ一色の壊れキャラとなっており、ジャンヌとジルドレを度々ネタにしている。
ヤングキングアワーズ』2013年5月号掲載の休載告知漫画ではルークとヤンに正体を尋ねられた際、元の世界では30歳過ぎまで定職無しで実家の大工の仕事を手伝っていたと語っている。
土方歳三(ひじかた としぞう)
声 - 安元洋貴
幕末期の動乱を戦い抜いた新撰組副長。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
外見は新撰組在籍時の隊服ではなく、史実で最期を遂げた箱館戦争時における洋装の軍服姿。普段は寡黙で口を開くことすら滅多にない。士道を重んじるが、その価値観は戦国時代のサムライである豊久のそれとは差異がある。生粋の戦好きで、黒王軍に参加しながらも異世界の存亡には興味はもっておらず戦そのものを目的としている。
霧状の新撰組隊士の幻影を多数造り出す能力を持ち、幻影で敵を取り囲み一斉に斬りかけさせる集団戦法を単身でとって戦える(ただし、苦楽をともにした幹部隊士たち、近藤勇、沖田総司、井上源三郎、斎藤一らはどれだけ呼んでも呼び出すことが出来ない、と言っている)。土方個人の剣腕も非常に高く、二刀で城門を切り刻み、豊久と互角以上に渡り合っている。戦場での部隊の駆け引きに長ける一流の“戦術家”であるが、信長からは“戦略家”としての経験不足を指摘されている。
豊久らがオルテ帝国にクーデターを仕掛けた時と同じくして黒王軍の先駆けとしてオルテ首都の官邸を襲撃。戊辰戦争の経緯から薩摩と島津家を病的なまでに憎悪しており、「島津家の子孫に負かされた」ことを的確に洞察してみせた豊久に対しては凄まじい敵意を剥き出しにした。ラスプーチンの政権乗っ取りが失敗した後、豊久に一騎討ちを挑むと同時に傘下の兵による官邸奪取を仕掛けるも、豊久と死闘を繰り広げる間に、信長とハンニバルの策により兵を殲滅させられ、黒王の命により心ならずも退却する。個人としても将としても痛み分けに終わったが、豊久から「日本武士(ひのもとさぶらい)」と呼ばれたことには何らかの感慨をおぼえた様子が見られる。
ジャンヌ・ダルク
声 - 皆川純子
百年戦争フランスに勝利をもたらした「聖女」。廃棄物となり黒王軍に加わっている。髪を短く刈っているので見た目には少年のように見える。
異世界に来る前に恥辱と嘲りの中で火刑による苦痛に充ちた最期を遂げており、「みんな焼け死んでしまえ」と兵士を虐殺するなど、言動に狂気と憎悪を滲ませる。
逆十字架模様の鎧に大量の剣やナイフを装備。炎を発生させる能力を持ち、火炎放射して人や物を炎上させるのみならず、投げたナイフが刺さった地点からも炎を発生させることができ、その威力は発動時に彼女自身の顔面が焼け爛れてしまうほどに凄まじい。しかしその能力を誇示した戦法に終始してしまっているので、豊久からは戦闘経験の無さを見透かされてしまう。
黒王の命令により、ジルドレと共に騎兵部隊を率いて豊久達を強襲、彼等の拠点である廃城を焼き払う。甲冑姿に生来の容姿故、豊久から男か女かと問われたことから、元の世界での屈辱を刺激され激昂。炎の能力による猛攻を仕掛けるが、オルミーヌと連携した豊久に敗北する。しかし女だと知った豊久に手加減され、頭蓋骨が割れかける程の頭突きをされた後に放置される。その後斥侯部隊に救出され黒王によって治療されたが、ジルドレが死んだことを知り、自身の生前の行動をはじめとする廃棄物の無念を一蹴した豊久たちに復讐を誓う。
作中では貧乳に描かれ、単行本巻末のオマケギャグ漫画で度々ネタにされている。
ジルドレ
声 - 乃村健次
百年戦争でジャンヌに連れ添った騎士。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
身体中に刺青を施した金髪・長髪の美丈夫。与一に急所を何度射抜かれても全く怯まないどころか、頭と胸と右腕だけになってもすぐには死なないほどの頑強な生命力を持つ。槍と体に巻いた鎖を武器とし、特に槍は見掛け上の長さより遠方の壁を一閃で薙ぎ払う芸当も見せている。そのタフネスとパワーから、与一や義経からは武蔵坊弁慶に例えられた。
ジャンヌと共に豊久たちを強襲し、与一と激闘を繰り広げ、最終的にワイルドバンチ強盗団によりガトリング砲を撃ち込まれた末に、再び地獄でジャンヌと再会する事を望みながら死亡。その遺骸はの塊と化した。
アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ
声 - 北西純子
帝政ロシア末期の皇女。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
容姿はドレスを着た長い金髪の女性。人間を瞬時に凍結させる程の吹雪を発生させる能力を持つ。巨乳に描かれている。
ラスプーチンとともに、廃棄物の中では振る舞いがまともな人物。豊久たちのことは「狭い島国の中で800年間殺し合いを続けてきた連中」と、侍の行動理念を分析しており、その侍の国の末裔により日露戦争で敗北したことを多少根に持ち、脅威であると認識している。
元々面倒見の良い性格であり、ジャンヌのことを気に掛けている。
ラスプーチン
声 - 田中正彦
帝政ロシア末期に暗躍した怪僧。廃棄物となり黒王軍に加わっている。
黒い長髪で眼鏡をかけた美青年に描かれており、常にアナスタシアの背後に侍っている。普段は紳士的な口調だが、想定外の事態などで自身の計画が狂わされると荒っぽい口調になる。元々僧侶だったこともあり、共通文字・統一宗教の構築などを「人ならざる者」たちに一元化された文明を作る役目を任される。サンジェルミとの対面時に「廃棄物になったのか」と言われている。
札を使った術ができ、黒王軍内の遠隔通信などに使われている。他にも遠隔地から人間を「操り人形」のように支配する能力も持っており、これを用いてオルテ指導部の貴族一人を操り、兵を中枢に乗り込ませて帝国を乗っ取ろうとするが、偶然同じような策に出た漂流者一行とかち合ってしまい、自分を眼中に入れず手下を一蹴した豊久や、内心の動揺を見抜いてくる信長の挑発に煮え湯を飲まされ失敗する。
明智光秀(あけち みつひで)
主君である織田信長に謀反を起こしたが、直後、落ち武者狩りにあって伏見の農民に討たれてしまった戦国武将。
白髪と虚ろな目が特徴の壮年の美丈夫として描かれている。第34幕で倒れ伏した後ろ姿のみ描写され、第45幕で正式に登場しているが、共に雑誌掲載時にはなく、単行本で追加された。脇腹を竹槍で刺され重傷を負い、意識を失った状態でEASYのゲートから出てきたところを義経が見つけ、黒王の元に送られる。信長が漂流者として存在していることを知り、今度こそ討ち果たすべく幕下に加わる。
黒王軍においては戦略的な知識と能力から参謀、軍師役として采配を振る。一方で黒王自体については自分の知る人物かどうか疑問を抱きつつも、信長を討つために従うという姿勢を取る。
「惟任(これとう)」姓を名乗っていたことから黒王や廃棄物たちからは「コレトー」と呼ばれている。
EASY(イーズィー)
声 - 伊藤かな恵
この世界に廃棄物を呼び寄せている。黒衣黒髪の少女の姿をしており、紫と対立している。時々暗闇を伴い紫を罵るために現れるが、その周囲の空間はワイヤーフレーム状に変貌する。紫に対しては常に下にみた言動をしているが、性格は対照的で良くも悪くも表情が豊か。気に入らない事態になると、ヒステリックに暴れだす。
「漂流者」「廃棄物」の動向は、紫の「新聞」に対して、自室に置かれているノートパソコンのRSSリーダ風のもので確認する。紫に対してもメールかTwitterのような内容で文面を送信することが可能。
自室のドアの表札と首にかけてあるフリーパスには「E・A・S・Y」が略称として表記され、その下行に名称が書かれている[注 6]

不明[編集]

漂流者か、廃棄物か、不明の者たち。

源義経(みなもと の よしつね)/源九郎判官義経
声 - 石田彰
平安時代末期の伝説的英雄。黒王軍の陣に居るものの、黒王から「お前は好きにせよ」と言われており、自身も漂流者、廃棄物の「面白そうな方につく」と語っている。
北壁に侵入した十月機関の前に現れた際、足元が浮いている描写が見られ飛行系の能力を有することが示唆されている。
進軍を開始した黒王軍において化け物の一軍を指揮しており、人間と化物たちの交戦を楽しんでいる。
外見は無邪気な少年。現世においては勝利のためには手段を選ばず、奇襲等当時は卑怯とされていた戦法でも躊躇なく断行、兄の頼朝すら「バカ兄上」と見下す傲岸不遜な性格。かつて配下であった与一はそんな義経を「化け物」と評し、恐れと畏れの混じった複雑な感情を抱く。元居た世界で知られている通り人並み外れた身軽さを持つ。

十月機関(オクト)[編集]

安倍晴明(あべ の はるあきら/せいめい)
声 - 櫻井孝宏
平安時代を代表する陰陽師。「十月機関」の構成員達を束ねる存在。
見た目は若い男であり、彼自身も漂流者。オルミーヌからは大師匠と呼ばれる。この世界において調達した衣服を着用している。「廃棄物を滅ぼす使命を受けた」と言い、漂流者達を集めて廃棄物に対抗しようとしている。符を用いた術に長けており、出身地や時代を無視してお互いに言葉を理解出来るようになる札を作り、漂流者達とのコミュニケーションに役立てている。
優れた魔導師且つ指導者ではあるが、戦闘や科学知識は専門外であり、他の漂流者に頼る部分も少なくない。
自分たち漂流者をこの世界に送り込んでいる人物が「紫」という名なのを知っている。漂流者の性質によっては廃棄物以上の危険性があるとして危惧もしており、廃棄物達に対し紫同様「間違いは正さなければならない」と言っており、この世界の本質に迫っている節が有る。
肉体的には若く見えるが、本人とカフェトが述べる所では83歳。
オルミーヌ
声 - 古城門志帆
「十月機関」の構成員。眼鏡をかけたツインテール頭の巨乳の乙女。豊久達を監視していたが、逆に発見されて捕らえられてしまった。この世界と豊久達の現状を説明し、協力を求める。一行のアシスタント的存在及びこの世界についての説明役にある。
通称「石棺」のオルミーヌ。導師としての力は未熟で、札で石壁を出すくらいしか出来ないが、師匠である晴明は「弟子達の中で最も素質がある」「『石の壁』の符術だけは当世一」と評している。その能力を用いて、豊久は袋小路を作り敵兵を閉じ込めたうえで火薬で殲滅する作戦を考案し、信長はハンニバルの助言を得て攻城用の階段を作るなど、単身で戦局を揺るがす存在にもなり得ている。信長が水晶球の価値観を見出してからは情報統括の任に就き、各部隊の情報の収集・伝達に奔走している。
豊久たち「日本の武士」に対しては、国奪りをするという大胆な考えに魅かれている反面、死の恐怖すらなく己の命ですら簡単に捨てる「感謝と死が同じ笑みに同居している」あり方に恐れを抱いており、人類を守るために修業した術が、戦争と殺すために利用されている事に戸惑いを隠せずにいる。
巨乳であることを強調されており、信長からは「オッパイメガネ」「オッパイーヌ」「オルミー乳(ニュウ)」等と呼ばれ、正確な名前を呼んで貰えていないことも多い。豊久達の監視時には日本軍のものと思わしき双眼鏡を使用していた。コードネームにあたる呼び名はセム
カフェト
声 - 西田雅一
「十月機関」の構成員。眼鏡をかけた金髪の若い男。主に漂流者の行動を監視している。スキピオとハンニバルの喧嘩を目の当たりにした後、これを保護。彼等と共に黒王軍の襲撃から逃げ延びた。コードネームにあたる呼び名はハム
ドグ
声 - 各務立基
獣耳をした冒険者。若い男で、顔に入れ墨を彫っている。冒険者ギルドに所属しており、ギルドで扱えない難儀な任務を引き受けている。もうひとりの十月機関の一員と共にカルネアデスの黒王軍陣営の偵察をしている。
カルネアデスに潜入した際、義経に遭遇したため抜剣するも斬殺される。

オルテ帝国[編集]

アドルフ・ヒトラー
ナチス・ドイツを率いた独裁者。オルテ帝国の建国者で国父と呼ばれている。劇中では既に故人。
豊久達が召喚される60年ほど前のある日、酒場に現れ、天才的な演説と人心掌握能力をもって反乱を扇動し、最終的に帝国建国に至ったが、後に理由不明の自殺をした。以後「国父」の役職は空席となり、オルテは国父の理想を叶えるため各地への侵攻・拡大政策を取る。十月機関は漂流者か廃棄物と推測していたが断定されていなかった。
サンジェルミ伯の言によれば漂流者であったとされ、彼からは「結果はどうであれ民衆をまとめて中央集権を作った」と、晴明からも「結果はどうであれ人々を救った」と評価されている。特徴的な小さな口髭を生やしているが、肖像画を見た信長から揶揄されており、グ=ビンネン通商ギルド連合の者達からも「チョビヒゲ」と侮称されている。
故人だが第18話で肖像画としてその姿が描かれ、第35話に至り初めてその名が言及された。
サンジェルミ伯
声 - 杉田智和
オルテ帝国の4分の1を領有する[注 7]大貴族で大治藩公。年齢不詳のけばけばしい風体のオカマで、奇矯な風貌や軽い言動も相まって、単なる奇人のように見えるが観察眼は確かで、情勢を鋭く分析し帝国の危険な現状をいち早く把握した。薬学錬金術史学に詳しい様子が見られる。
十月機関は漂流者または廃棄物の疑いありとしていたが、当人は漂流者だと述べている。50年前のオルテ建国の際に最初に国父に寝返った勢力で、彼がいなければ建国できなかったとまで言われる国家功労者。このため中央集権体制の帝国内の例外とされ、かなりの自由が保障されており、豊久たちが蠢動するまで戦争には一切参陣せず好き勝手にやっていた。
危機的状況を全く理解しない帝国首脳部に早々見切りをつけ、オルテが混乱・分割される前に豊久達へ政権を移譲させるため、クーデターを持ちかけ合流する。麾下の戦力は500人ほどで地位や財力からすると少ないが、テーバイ神聖隊を彷彿させる鍛えられた屈強な「男同士のつがい」から編成された軍である。政略・戦略に卓越した策謀家だが、実際の戦の現場での兵の駆け引きには疎い。信長とはお互い策士としての会話のやり取りをし、オルテ陥落後は信長からグ=ビンネン通商ギルド連合との和平交渉の任を託された。信長の無茶ぶりに盛大に不平を漏らしながらも、巧みに言いくるめられて無茶な交渉に臨まされるなど、次第に苦労人的な立ち位置になって来ている様子。
この世界に来る前のラスプーチンと面識があったり、テレビゲーム・映画・漫画の内容についても語っていたり、信長から松永弾正に目付きが似ていると評された際にその存在を知っていたりと、元の世界でいかなる存在であったかが不可解であり、漂流者を召喚しているのが紫という名であると認識していることなどから、世界の真相に近づいている節がある。
作中ではサン・ジェルミ伯という呼び方の他に、第18話での初登場時にはセントジェルム伯とも呼ばれ、また第32話ではミルズがセントジェルミ伯と呼んでおり、中黒の有無を含め、呼ばれ方が安定しないが、36話ではラスプーチンに「サン・ジェルマン伯」と呼ばれている。
アレスタ
声 - 福田賢二
サンジェルミの側近。彼同様けばけばしい風体のオカマで、好みの男性のタイプは髭面で歴戦のナイスシルバー。二刀流の使い手で、豊久の腕を見極めるため刃を向けるが(その時豊久からは「剣は鋭か。殺気は鈍か」と評されている)、ロクに戦わない内に好みのタイプであるハンニバルを目の当たりにしてしまい、ノックアウトされて叩きのめされる。
エルフの次にドワーフを解放しに行くことを察したりなど、知謀にも長けている模様。
フラメー
声 - 遊佐浩二
アレスタ同様サンジェルミの側近。やはりけばけばしい風体のオカマで、好みの男性のタイプは前髪で片目を隠したホーステールの少年。アレスタに代わって豊久に戦いを挑もうとするが、好みのタイプである与一があらわれたため、ノックアウトされ叩きのめされる。
アラム
声 - 千葉一伸
エルフ族占領土政庁に属する執政代官付き騎士武官。エルフが禁止されている「漂流物に関わること」を犯したため、巡察隊を率いて彼らの村を襲う。
自分の剣術に自信を持ち、エルフたちにも恐れられている。突然の襲撃にも動じず、豊久が放った投剣を弾き飛ばすなどの腕前を見せるが、その直後組手甲冑術で叩きのめされて敗北。最期は豊久が嗾けたエルフの村人達の復讐の刃によって斃れる。
ミルズ
声 - 野島裕史
エルフ族占領土政庁に属していた新任の税務計算官。豊久達による執政代官城館襲撃の少し前に派遣されてきた黒髪の若い男性で、メガネを着用しており気が弱い。
エルフ族女性への集団性的暴力に対するエルフ達による報復の際、自分は参加しておらず童貞であると必死に主張していたため、命拾いをした。その後は信長に大量の業務を丸投げされて、エルフ居留地の事務係兼兵站担当に転職となってしまったが、エルフ達が対等に接してくれていることもあり、なにかにつけ「つらい」ぼやきながらも馴染んでいる。エルフ達からは当初「童貞人間」と呼ばれ、サンジェルミ一行からも一見で「童貞くさい」と評されている。豊久達がオルテを掌握する頃には周囲のエルフ達に「ミルズさん」と名前で呼ばれており、有能かつ実直で職務に忠実な性格から少しずつ待遇が良くなっている。また同じ頃、中央から童貞で眼鏡の部下を2人つけられている。だが、性的虐待には加わっていないにもかかわらずエルフの若い女性達の自分に対する態度は冷たいままなので、つらい想いをしている。
事務をしながら廃城の調査に着手し、かなりの規模の遺構であることが判明したため、城として使用可能な状態に戻すことを試み始めている。

グ=ビンネン通商ギルド連合[編集]

バンゼルマシン・シャイロック8世
シャイロック商会及びシャイロック銀行番頭、グ=ビンネン連合水軍水師。ギルド序列筆頭。
「放蕩 なれど出来息子」の二つ名の通り、物腰と言動こそ軽薄な若者のようだが、実際は抜け目の無い切れ者で、サンジェルミからも「顔以外全然かわいくない」と言われている。多聞を重んじると同時に警戒もしている。
オルテを掌握しつつあるサンジェルマン伯、織田信長と会見し、彼らを黒王軍の盾とするべく支援を確約した。
ナイゼル・ブリガンテ
ブリガンテ商店首席手代、ブリガンテ銀行番頭、連合水軍軍監師。ギルド序列第2。
怜悧かつ冷徹な人物で、「頭を冷たくし 心をなお冷たくし」と呼ばれている。シャイロックを補佐し、異世界から来たテクノロジーの塊である空母「飛龍」の接収を進言しているが、シャイロックから止められている。
山口多聞(やまぐち たもん)
声 - 仲野裕
第二次世界大戦中の大日本帝国海軍提督。階級は特進前の少将となっている。
現在はグ=ビンネン通商ギルド連合の艦隊の客員提督として指揮をとっている。この世界における空母として、「鷹母」の「飛鷹」と「隼鷹」を運用、巨大な猛禽を航空戦力として配備することで、航空爆撃を敢行し帝国の輸送船団を壊滅。通商ギルド連合の海上覇権を確定させた。
ミッドウェイ海戦で山口の乗艦であった「飛龍」ごと召喚され、ギルドからは接収を要求されているが、座礁状態のままにして拒否している。他の日本人漂流者が米の飯を食えないことにかなりのフラストレーションが溜まっている中、莫大な費用で集めさせたコメに似た食材で歓待されるなど、客員としてかなりの厚遇を受けているものの、寝泊りするのは必ず飛龍艦内で、会見時にも脱帽しないなど、ギルドに対して心を開いてはいない。
その後、十月機関を介して菅野直およびスキピオと邂逅。この世界ではただ飛行できるだけでもアドバンテージがあるとして菅野と二人だけの「二航戦」を立ち上げる一方、スキピオに約2000年の軍事知識の指導を請われる。
名前だけは第1話から紫の机の書類に記載されているという形で登場していた。正式な初登場は第19話だが、雑誌連載時には登場しておらず、単行本2巻収録時に出番が加筆されている。

その他の国の人々[編集]

候子
カルナデスの南部にあったラ・ズナ士候国の候子。カルナデス陥落後に黒王軍から攻撃を受け、各氏族に招集を掛けたものの武装した巨人兵には手も足も出ず敗北、生存者をまとめて難民としてオルテに亡命する。難民達に向けた豊久の演説に真っ先に言葉を返したことから信長に「デキる男のニオイがする」と目を掛けられることになり、避難兵の指揮を任されることになる。

亜人[編集]

エルフ族[編集]

シャラ
声 - 間島淳司
豊久らが奪取した村の村長の息子。エルフとしては青年期の106歳。
アラムとその部下により村が襲撃されたが、豊久が一蹴。その際に、抑圧政策に加え父親の村長や子供達を殺害された恨みからアラムを殺害。結果的に後に退けなくなった彼等は、豊久達と共に反乱を起こすことになる。村の長として、戦いの際には副隊長的な役割をする。豊久たちを誰よりも信頼し、人間に対して懐疑的な見方が抜けない他のエルフ達との橋渡し役も務める。
マーシャとマルク
声 - 石塚さより(マーシャ)、続木友子(マルク)
シャラの弟達。森の中で行き倒れていた豊久を発見し、信長らの下まで運ぶ。これが切っ掛けとなり領主との抗争に発展する。エルフとしては少年だが、それぞれ39歳と36歳で豊久や与一よりも年上。
シャラとともに最前線へ出ることも多く、主にオルミーヌの手伝いや、ハンニバルの介護などをしている。
フィゾナ村の若者
近隣の村に住んでい若者で、シャラとは旧知の仲。左頬に刃物傷がある。信長が各村へ送った檄文を読み、国を取り戻すことを決意し、他の村人と共に豊久らの下へ駆け付けた。
当初は、漂流者といえど自分達を苦しめてきた人間である豊久たちのことを全面的には信用していなかったが、廃棄物の襲撃を退けた後は「一人でもドワーフを助けに行く」と称する豊久を案じており、少しずつ彼らへ信頼を寄せている模様。

ドワーフ族[編集]

長老
ドワーフ族居留地であるガドルカ鉱山(現・オルテ官兵ガドルカ大兵器工廠)に捕らわれていた一族の長老の一人。豊久率いるエルフ族によって解き放たれる。
信長に見せられた火縄銃から1日で試作品を作り、「日に10丁」と言う生産率を示して、実際に10日足らずで鉄砲100丁を揃えた。ついでに、大口径の散弾銃(史実の大鉄砲相当)を拵え、自らも闘いに臨む。豊久と意気投合している。

その他[編集]

青銅竜
ドラゴンを総べる「六大竜」の一匹。名前の通り青銅の身体を有する。隷属のドラゴンを竜騎兵に使役している黒王を威圧しようと黒王の前に現れたが、逆に盟になるかと問われ、逆上して牙を向くも黒王の力で肉腫の塊にされ「盟に加わる」と降伏した。しかし本心からではないと悟られ、黒王軍の資源として「人ならざる者」たちに生きたまま解体される末路を辿った。その青銅は生きた青銅鉱山として、彼らの使う通貨に加工されている。
ヴァレンタイン兄弟
作者の前作にあたる『HELLSING』からのキャラ。単行本の帯[注 8]の「ルークとヤンの猿でもわかるシリーズ」や休載時のおまけ漫画で、豊久ら相手に前作同様のキャラクターを見せる。

用語[編集]

汎用[編集]

漂流者 / 漂流物
ドリフターズ」もしくは略して「ドリフ」と呼ばれる。主に古今東西の「生死不明のまま消息不明となった人物」で構成され、劇中の描写では史実における死の直前に謎の異世界へと迷い込んでいる。元の時代に居た時と同じ人格・肉体を維持しているが、廃棄物のような超自然的な能力は基本的には持っておらず、晴明のように超常的な逸話が伝わっている人物のみ符術などを操ることができることもある。
怨念に囚われているがゆえに行動原理が明確な「廃棄物」と違い、それぞれが独自の意志を持つ生きた人間そのものであるためコントロールがきかない。世界全体のバランスを考えた場合、召喚されたグループによっては廃棄物よりも危険な存在だと言えるが、呼び出す主体である「紫」はそのことを見越した上で廃棄物への戦いの戦略として呼び出している節がある[1]
また、異なる時代の漂流者同士が出会った時に「自身が消えた後の評価と世情の推移」を聞いて騒ぎが良く起きる。
廃棄物
エンズ」と呼ばれる[注 9]。主に古今東西の、「非業の死を遂げたと言われる人物」で構成され、漂流者とは異なり超自然的な能力を会得している。死亡すると、その死骸は同じ質量の塩の塊になってしまう。「黒王」に従って侵攻を開始した。
劇中でのオルミーヌの説明曰く、現世を憎む余り人格も生前とは変わり果て、大抵はまともなコンタクトも難しい精神状態になっているとされており、過去に幾度か廃棄物による侵略が行われているとも言及されている。
この世界に来る以前の、すなわち死ぬ直前の状況によっては漂流者か廃棄物かの区別が難しい場合もあり、義経のようにどちらに属するか本人にすら判別できない者もいる。また、ラスプーチンはサンジェルマンに「廃棄物になったか!」と言われている。

組織名[編集]

十月機関 -OCT SYSTEM-
通称「オクト」。導師による結社で、漂流者を集めて廃棄物に対抗する勢力を作ろうとしている。この世界において一定の政治力を持ってはいるようだが、自分達の兵力は持っていない。各国に呼び掛けて兵を出して貰い、それを漂流者達に運用させるという計画を立てていたが、現場の抵抗に遭い失敗している。双眼鏡などの「遺物」を所有している。
高位の者は魔法のような力を操ることが出来るようで、劇中では言葉の通じない者同士が会話出来るようになる札(信長によると陰陽道の呪符に似ている)や、離れた場所の相手と通話が可能な水晶球が使用されており、信長は伝令兵なしでも即連絡・中継が取れ、各部隊を円滑に動かせる有用性に着目し、軍の通信機器に使用した。
黒王軍
黒王を最高指導者とし、「人ならざる者を救い、人をこの世から滅する」という意志の下に結成された軍隊。廃棄物を幹部に、兵士は全てゴブリン・コボルトなどによる知的生物種で結成されている。主な兵力は、ゴブリン、コボルトで編成されている陸上部隊と、ドラゴンに騎乗する竜騎士で編成されている航空龍騎兵に分けられている。「目」のレリーフをシンボルとしている。北の大地より進軍し、その圧倒的な兵力と統率された組織力と情報力でカルネアデスを陥落・滅亡させた。カルネアデスを拠点に大陸を進軍する一方で、「人ならざる者たちの文明」を作るため、「統一宗教」「原始農耕」「共通文字」を教え、ドグたちが潜入したときには既に「通貨経済」「労役奴隷制」「畜産」にまで発達し、カルネアデスは「都」と呼べるほどの発展ぶりを見せていた。今まではカルネアデスを中心に文明育成を進めてきたが、圧倒的な人外軍を完成させて遂に世界廃滅の長征が始まり、掃き清めるように、虱潰しのように丁寧に人間を皆殺しにしながら一路オルテを目指して南伐が始まった。
十月機関が用いる水晶玉と同様の効力を持つ札を所持し、カルネアデスの戦線では枝状の鋼針に札を幾多も括り付けて「魔導針」として使用、空中警戒騎に装備させて各部隊の通信の中継をしている。
グ=ビンネン通商ギルド連合
東方に存在する商人によるギルド連合。現在は「貧乏人には戻りたくないだろう。ならば剣を取れ」という標語を掲げてオルテ帝国とは戦争中であり、東方海域圏内を制圧しているが、それで利益を得たと考えるより「戦争に消費している資産を商用に回していればどれだけ稼げただろう」と考える“あきんど”の集団。グリフォンを用いた奇襲空爆攻撃で輸送船を殲滅するなど、帝国を追い込んでいる。山口多聞はこの連合内で既に「提督」と呼ばれており、グリフォン隊は提督から教えられた言葉として、奇襲成功時に「トゥラトゥラトゥラ」と歓声をあげている。
多聞が考案したと思われるグリフォンを航空機に例え、空母としての機能を備えた船舶「鷹母」の飛鷹・隼鷹を所持し、海戦には自信があるものの陸戦に関しては不得手であると認めている。
オルテに対しては疲弊した国家の領地を奪ったとしても旨味はないと判断している。4巻時点でほぼ完全に制海権を得ており、あとは海洋通商国家としてオルテだろうがその対戦国だろうが、取引相手として順当ならば「滅びるまでお客様」と考えている。その後、制海権獲得と戦争継続の不利益さから漂流者政権となったオルテと講和が成立し、対黒王との戦争の支援を約束する。また信長の言動に興味を覚え、共に商売をしようとも持ちかけた。

国名・地名[編集]

オルテ帝国
東方の王国で、帝都の名は「ヴェルリナ」。海に面する大穀倉地帯を国土とする。使用言語は文字は日本語を崩した形として表現されている。人間至上主義を唱え、40年程前から亜人達の国々を侵略し、併合して来た。「効率的な官僚制度」「世襲による悪癖の除去と国富の分配」「故意に作った一定数の差別階層」により短期間で中央集権制を確立した。現在では帝国を名乗り、国父が掲げた国是「万年王国」に従い侵略・拡大を続け、辺境では未だに侵略戦争が続いている。エルフやドワーフなどを「亜人共」と呼び徹底的に差別し、緩やかな生物的絶滅をも視野に入れた苛烈な統治手法を採る。そのため、国内の被支配層の間では怨嗟の声が渦巻いており、40年も続く侵略戦争に加えて治安維持のために国力を浪費する悪循環が続いている。今や最盛期からは見る影もなく衰退し、黒王軍の相手にはならないと言われており、さらに豊久らの蜂起による占領地の反乱の一斉拡大の危険性と、それによる戦争地帯との連絡線の断絶の危機を理解しない首脳部という致命的な状況にサンジェルミ伯も「詰んでる」と評した。豊久らが居るのはこの圏内。南東の海岸線を守備する第五軍はグ=ビンネンの海軍により壊滅、北方の第二軍は菅野に率いられて蜂起した犬人猫人連合軍の対応に追われていた。サンジェルミ伯の手回しと手引きにより豊久らがヴェルリナに侵入しそのままクーデターを成功させ、首都機能は壊滅し帝国指導部は崩壊した。以降は各地の方面軍が独立し、群雄割拠の状況になると予想されている。
漂流者達が政権を奪取してからは黒王軍の矢面に立つこととなり、官僚から没収した財産を元に内憂外患の処理に奔走する。まず軍閥化した西方の第三軍・第四軍を相討ちに持ち込み、混乱を西方諸族にリークし、両軍を壊滅させて敗残兵の吸収と、西方占領地の返還と戦果を与えて西方との講和を目論む。続いて東方のグ=ビンネン筆頭のシャイロック8世とサン・ジェルミ伯が交渉し、利害の一致から講和が成立。世界の危機と鉄砲・火薬を質に入れ、先行投資として食糧物資・資金を借り受ける盟約を結ぶ。黒王軍の南伐が開始されると難民による混乱を企図した黒王軍の思惑と漂流者を求める民衆によって民族移動に近しい難民が発生し、一時は暴動発生とも思われたが豊久の演説によって彼らを黒王に立ち向かわせることに成功。ヴェルリナが籠城戦に不向きな地形なため、難民を兵士として統制し、決戦場と目される地、マモン間原サルサデカダンにて待ち構える。奇しくもそこは、かの関ヶ原と酷似した場所であった。
ヴェルリナ
オルテの帝都。国のやや南部に位置する平地に築かれた都市。サンジェルミが籠城戦を考えずに土地構想に携わっていたため守りにくい平地の都市にも関わらず城壁すら存在せず、信長は「」に例え「この地形を考えたヤツは馬鹿だ」とまで言われている。大帝国の中心にあるにもかかわらず、長い戦乱により物流の停止や徴兵による若い労働力の喪失などが顕著に見られ、路上には物乞いと化した傷痍軍人があふれて灯が消えたかのように活気のない都市となっている。
豊久達のクーデターと同時期に侵入していた土方率いる黒王軍が市街に火を放ったため帝都の約3割が焼失、ハンニバルのヒントから信長が包囲殲滅作戦をとるために利用した政庁舎はありったけの火薬と油に引火させたことにより完全に廃墟と化した。
廃城
ヴェルリナ東部にあるエルフ村近くの山中にある城。400~500年は昔に作られたと見られ、現在は遺構程度しか残っていない。本来はかなり大きな物だったようで、調査によれば周辺の丘にまで城壁があったことが判明している。豊久達の最初期における拠点で、エルフの解放後はミルズの管理下で物資の一大集積地とし、火薬調合、武具調達、物資流通を一手に引き受ける一大拠点として整備させていた。
ガドルカ鉱山
廃城の真北に位置する鉱山で、ドワーフの居留地。帝国の武器のおよそ半数を製造するオルテ最大の兵器廠であり、高い城壁に囲まれ重装歩兵の部隊を抱える。厳重な警備を誇っていたがエルフを率いる豊久達に攻め込まれ、大量の火薬兵器と石の壁を組み合わせた戦術の前に陥落してしまった。
カルネアデス(カルナデス)王国
北方の王国。「カルネアデス(カルナデス)の北壁」と異名を取る堅牢な要塞があり、化物達の南下を数百年に渡って阻止し続けていた。十月機関は漂流者に守備隊の指揮を任せるプランを立てていたが、現場の抵抗に遭い、実現出来ずに終わる。強力な能力を持つ廃棄物と、軍隊と化した化物らによる黒王軍の侵攻の前に、要塞は簡単に陥落してしまった。以降は黒王軍の本拠地として機能しており、「グ=ビンネンを除けばこの大陸で最も盛況な『都』」と評されるほどに商工業が発展したが、逃げ遅れた住民は「家畜化」されてしまっている。ハンニバル、スキピオ、ワイルド・バンチ強盗団が招かれ、菅野直が召喚されたのはこの区域。
扉の並ぶ通路
紫、EASYが存在する空間。ここから紫は漂流者を、EASYは廃棄物を送り出している。通路の奥行きは果てしなく、紫の居る空間は明るく様々な種類の扉が幾多にも並び、EASYの居る空間は暗闇にワイヤーフレーム状の扉が並んでいる。

種族[編集]

人間
亜人(デミヒューマン)
異世界に生息する人間種以外の人型知的種族の蔑称。オルテ帝国によって弾圧されているが、解放後は言い換えがなされている。
エルフ族
人間達からは「耳長」と呼ばれる亜人。長命で自尊心が高く、弓を得意とする。人間の5 - 6倍の寿命を持つがその分成長は遅く、人間としてみた見掛け通りの精神年齢と考えてよい。また1年の内の一時期しか繁殖することが出来ない。彼等は人間の事を「耳無し」「耳短か」と呼ぶ。
オルテ帝国の勢力圏内では40年前の戦争に敗れて以降、農奴として不遇の扱いを受けている上、繁殖の時期には女を全て代官に略取されるなど、露骨な断種政策を受けていた。そのため戦に出た長老衆は誰も残っておらず、断種によって30代より若い世代は産まれていない模様。
体力は人間並みで刀剣の扱いは苦手。騎乗も出来ないくらいだが、先天的に弓術の資質を持つ。帝国の政策により40年間触れていないにも関わらず熟練者の如く弓矢を使いこなし、与一から「弓の申し子」と呼ばれるほどである。手先も器用なので火薬の調合や、銃床と落し鉄の細工なども手がけている。
豊久らを得たエルフ族による「下見の塔館」陥落および女性達の解放を機に、各地のエルフ達が集結、国を取り戻そうと反旗を翻した。信長は豊久を旗印に、ひいては王にしようとしたが、国の奪還および再建という目的を達成した後、謀反などで裏切られる場合を危惧した豊久の考えにより、村長達による合議制の統治となった。
ドワーフ&ホヴィット
オルテ帝国における地位はエルフと同程度。ドワーフは金属の加工技術に優れていることが語られており、エルフの鍛冶には真似出来なかった火縄銃も容易く作れる。
オルテ帝国によりもガドルト鉱山に位置する城砦内の収容所でまともな食事を与えられないまま労働を強いられ、エルフ同様露骨な断種政策を受けていたが、豊久達とエルフ達によって解放された。
エルフとは外見的にも思想的にも合反していたためそれほど友好関係はなかったが、豊久の「武士(もののふ)」としての意志に賛同し、解放軍に参戦した。収容所生活の飢餓状態から解放後に食事を与えられると短期間で気力・体力共に回復するほどの生命力を持つ。豊久も、ドワーフ達の筋骨隆々な体躯と断種政策を受けながらも屈しない強い意志を、かつての合戦で刀を交えた猛者達と重ね、頼りにしている。
冶金技術に長けており、火縄銃を一目見ただけでその製造法を把握し、翌日には試作品を作り上げてしまったため信長を驚嘆させたが、土方に叩き折られた豊久の野太刀を見分した際にはその偏執的な作りこみに「変態の所業」と評し、修理するのは無理と判断したが豊久の発言からプライドを刺激されて発奮している。
体力にも長け、闘争心旺盛で、大飯食らいの大酒飲み。斧を武器に剛腕から振り出される一撃に全てを賭ける。その威力は鉄鎧をも粉砕し、豊久から示現流に例えられるなど薩摩人と相通じる点が多い。合流後は主に豊久に隊を率いられる。これによりエルフには向かない集団肉弾戦が可能になった。その言動から、サンジェルミは豊久とドワーフを一括りにして「蛮族ズ」と呼んでいる。全員が髭の強面なので信長からは「若者と年寄りの区別がつかない」と言われている。
犬人&猫人
大陸の北方に住む犬・猫の獣頭人身の種族。
空から落ちてきた菅野を「空神様」と仰ぎ、途中加わったスキピオを参謀にオルテに攻勢をかけている。双方ともその思想の違いなどから相容れない仲ではあったが、菅野が指揮を取り対オルテ戦で連勝した事により犬族の信頼を勝ち取り、また猫族に対しても「猫」としての接し方により容易く懐柔する事に成功している。
人ならざる者 / 化物
黒王が従えている人外の知的種族。人間や亜人たちからも「化物」として区別されている。
ゴブリン&コボルト
黒王軍の大多数を構成する「人ならざる者」達。一応は知性を持つ。ドラゴンによる空挺攻撃や航空支援、魔術を用いた即自的な遠距離通信及び戦闘管制、狙撃手と観測手に分れ狙撃を行うなど、時代離れした高度な戦術を体得している。自分達を同胞として対等に接してくれている黒王に絶対な忠誠を誓っている。
ケンタウロス&巨人族
カルネアデスが発展して以降、黒王軍に参入した「人ならざる者」達。同じく知性を持つ。巨人族は武装する者と労力となる者があり、前者は重厚な青銅鎧と長大な武器を以て城壁ごと人間を打ち砕き、時には足場を背負ってコボルトやゴブリンを乗せてデサント(戦車跨乗)として共に戦い、後者は巨大な玉座やモニュメントを担いで進む。ケンタウロスは弓と槍を得物とし、南伐では義経が指揮して機動力を生かし難民を襲撃していった。
ドラゴン
物語の世界では主に飛竜の事を指し、六匹の「六大竜」の下に統一されている。黒王は隷属のドラゴンを手なずけ、口から吐く炎で攻撃する「竜騎士(ドラグーン)」と、装備した魔導針による各部隊の通信の中継や戦況報告をする「空中警戒騎」と、敵陣まで兵士を輸送する「龍挺」(ドラボーン)」による「航空龍騎兵」を編成、その空中機動戦力で地上部隊を支援している。
グリフォン
物語では巨大なのような容姿をしており、人が騎乗しての飛行が可能。グ=ビンネン通商ギルド連合が物資の輸送や、敵戦力に対しての奇襲空爆攻撃の時などに使用する。

魔術[編集]

石の壁(ストーンウォール)
符術の一種で呪符を貼った部分から直方体の石壁を作り出す。壁は分厚く、ジャンヌが放つ火炎や火薬の爆風を受けても破損しないほどに頑丈。符を貼り付けた面から高速かつ垂直に発生するため、足元から生成して発射台にする、城壁に貼り付けて階段にするといった使い方も可能。
通訳の札(仮称)
符術の一種で、呪符を対象者の体に貼ることで異なる言語間の通訳を可能にする。言語によって何枚か種類がある。オルミーヌ曰く札は晴明が作ったものとのことだが、黒王軍も類似のものを使用している。
水晶球
対になっている専用の水晶球を持ち合うことで即時に遠隔通信ができる。

技術・発明品等[編集]

火薬
物語の世界では、魚獣油脂による火炎瓶等は確認されているが、火薬という物はまだ発明されておらず、漂流物が元居た世界から薬莢などの形で持ち込まれる位しかない。鉄砲伝来と同時に火薬の発明・精製が行われた時代から来た信長により、精製が始まる。
硝石鉱脈が発見されていない現在、人畜の糞便のしみ込んだ土から精製される硝酸アンモニウムを使用して調合している。信長が敵兵の死体で硝石丘を仕込んだが、ここから硝石が取れるのにもまだ数年かかる。
物語の世界では銃火器の概念が無く、射撃武器も弓矢クロスボウ程度しか存在しない。作中、種子島を製造していた時代から来た信長が、自ら所持していた物を加工技術に長けるドワーフ族に預けた事により構造が解析され、量産可能になった。さらに信長はワイルドバンチから薬莢式の拳銃とガトリング砲を譲り受けているものの、4巻時点では製造に至っていないが、サンジェルミ伯の知識が役立つ可能性が示唆されている[注 10]。また5巻収録回では空母・飛龍に陸地戦用として積載され、残された幾許かの銃器類の存在が明らかになっている。

単行本[編集]

  • 平野耕太 『ドリフターズ』 少年画報社 〈ヤングキングコミックス〉、既刊5巻

各話のタイトルは歌の名前から採られている。第2巻は発売初週に15万3,053冊を売り上げ、オリコンコミックランキングの週間1位(2011年10月24日付)となった。

カバー下の表表紙には本作のキャラクターを用いた既存の漫画作品のパロディ、裏表紙には「漂流物&廃棄物こうほ」と銘打った歴史上の人物等の紹介漫画、そして描き下ろしとして「あとがきゆかいまんが 黒王様御乱心」と題された2P漫画が掲載されている。




アニメーションPV[編集]

平野原作のOAD作品『HELLSING OVA X』(2012年12月発売)の特典映像として、約2分30秒のPVが収録されている[2]。登場人物は豊久と紫の2名だけだが、声の出演はテレビアニメと同じ。

スタッフ(PV)[編集]

  • 作画監修 - 中森良治
  • 演出 - 三浦和也
  • 作画監督 - 小峰正頼
  • 音楽 - 石井妥師

テレビアニメ[編集]

2015年3月にアニメ化を発表し、ティザーサイトが設置された[3]。2016年10月よりTOKYO MXほかご当地にて放送中。放送に先駆けて、2016年6月6日に発売されたコミックス第5巻特装版には、第1話・第2話の特別編集版が収録されたDVDが付属する。

脚本は倉田英之黒田洋介の両名が担当するが、この2人が組む作品は本作と同じ『ヤングキングアワーズ』掲載漫画を原作とする『へっぽこ実験アニメーション エクセル♥サーガ』(1999年)以来17年ぶりとなる。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

オープニングテーマ「Gospel Of The Throttle 狂奔REMIX ver.」
作詞 - Cliff Magreta / 作曲 - Cliff Magreta、R・O・N / 編曲 - R・O・N / 歌 - Minutes Til Midnight
エンディングテーマ「VERMILLION」
作詞・歌 - 黒崎真音 / 作曲・編曲 - SUGIZO

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
第一幕 FIGHT SONG 倉田英之 鈴木健一 小林利充
第二幕 踵 鳴る 鈴木健一
藤森カズマ
飯田薫久 坂本千代子
第三幕 俺軍 暁の出撃 小野学 浅見松雄 森悦史、小林利充
吉岡勝
第四幕 アクティブハート 黒田洋介 川村賢一 水本葉月 大塚八愛、小林利充
第五幕 愛をとりもどせ 山内重保 西片康人 小林利充、志条ユキマサ
眞壁智之、阪本望実
木下由衣
第六幕 MEN OF DESTINY 平川哲生 須之内佑典 吉岡勝
第七幕 カオスダイバー 山内重保 小林利充、羽山淳一
第八幕 不思議 CALL ME 倉田英之 村川健一郎 大河原崇 小林利充、中村深雪
第九幕 本気ボンバー 加藤敏幸
鈴木健一
江副仁美 大塚八愛、村井夏織
耳浦朋彰

放送局[編集]

日本国内 テレビ / 放送期間および放送時間[5]
放送期間 放送時間 放送局 対象地域 [6] 備考
2016年10月7日 - 金曜 23:00 - 23:30 TOKYO MX 東京都 菅野直・土方歳三の出身地
金曜 23:30 - 24:00 とちぎテレビ 栃木県 那須与一の出身地
2016年10月8日 - 土曜 1:00 - 1:30(金曜深夜) KBS京都 京都府 安倍晴明の出身地
土曜 1:30 - 2:00(金曜深夜) 南日本放送 鹿児島県 島津家の出身地
2016年10月11日 - 火曜 1:00 - 1:30(月曜深夜) ぎふチャン 岐阜県 関ケ原の戦いの発生地
日本国内 インターネット / 放送期間および放送時間
配信期間 配信時間 配信元 備考
2016年10月7日 - 金曜 23:00 - 23:30 AbemaTV TOKYO MXとの同時配信

BD[編集]

発売日 収録話 規格品番
BOX 2016年12月24日予定 全12話 GNXA-1870
1 2017年1月25日予定 第1話 - 第2話 GNXA-1871
2 2017年2月22日予定 第3話 - 第4話 GNXA-1872
3 2017年3月24日予定 第5話 - 第6話 GNXA-1873
4 2017年4月21日予定 第7話 - 第8話 GNXA-1874
5 2017年5月24日予定 第9話 - 第10話 GNXA-1875
6 2017年6月21日予定 第11話 - 第12話 GNXA-1876

コラボレーション[編集]

戦国大戦 -1600 関ヶ原 序の布石、葵打つ-
本作の登場人物である豊久が「SS(戦国数寄)島津豊久」としてカード化されている。
信長の野望 創造 パワーアップキット
豊久、信長、与一の3人がゲスト武将として登場している。
『関ケ原合戦祭り2013』
第1幕の関ヶ原の戦いにちなんだ祭り、関ケ原合戦祭り2013のポスターに採用され、関ケ原町の『関ヶ原笹尾山交流館』では2013年10月12日から20日の9日間、100枚の原画を展示した原画展を実施[7]
『第30回国民文化祭・かごしま2015』
島津氏ゆかりの地鹿児島県の、豊久の家臣たちが建てた豊久の墓がある日置市では、妙円寺詣りフェスタ2015のポスターに採用され、豊久が着用したとされる鎧の写しも展示されている日置市中央公民館では2015年11月6日から9日の4日間、70枚の原画を展示した原画展を実施[8][9][10]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 一部の場面(第11・12話)では左目に着けており、単純な作画ミスかは不明だが単行本にはそのまま収録されている。また、本能寺の変の際は眼帯を着けていなかった。
  2. ^ なお、作中では信長が「信忠は安土で死んだ」と発言しているが、実際に信忠が死んだ場所は京の二条城である。豊久も二条城で死んだと発言しているが、その後安土で死んだとも発言している。
  3. ^ 実際にはローマを含むイタリア北部は日独の同盟国たるサロ共和国の領域であり、ローマの人間が日独の敵という認識は正確ではない。
  4. ^ 作中では姓が「野」と表記されている所もある他、紫の名簿には「菅野デストロイヤー直」と、彼の異名も含めて記載されていた。
  5. ^ 史実においても、ルバング島に不時着してから救援が来るまで「島の王様」として敬愛を集めて過ごしていたとされる。
  6. ^ 作中では、最初の「Eternal」の部分しか読み取れない
  7. ^ 第35話では「帝国の3分の1を支配する」と言及されている。
  8. ^ 第1巻の帯は、第2巻発売以降の重版分より付属されている。
  9. ^ 「エンズ」という読み方は元々は第1巻のカバー裏でルビを振られたのが最初で、本編においては第25話から導入されている。豊久から平仮名で「はいきぶつ」と呼ばれたことはある。
  10. ^ もっとも、当のサンジェルミ自身は異世界における戦争が中世レベルから一気に20世紀以降の近代戦に移行しかねない事態から、紫に文句を言っていた。

出典[編集]

  1. ^ 第三巻の台詞より。
  2. ^ 平野耕太「ドリフターズ」がアニメ化、2分30秒の特典映像”. ナタリー. ナターシャ (2012年12月28日). 2013年5月15日閲覧。
  3. ^ 平野耕太「ドリフターズ」アニメ化!古今東西の英雄によるアクション”. ナタリー. ナターシャ (2015年3月28日). 2015年3月28日閲覧。
  4. ^ WORKS|Hoods Entainment
  5. ^ ONAIR”. TVアニメ「ドリフターズ」公式ウェブサイト. 2016年8月25日閲覧。
  6. ^ テレビ放送対象地域の出典: 放送分野の動向及び規制・制度(資料2)”. 政府規制等と競争政策に関する研究会「通信・放送の融合の進展下における放送分野の競争政策の在り方」. 公正取引員会. p. 2 (2009年10月9日). 2016年8月12日閲覧。 基幹放送普及計画”. 2016年8月12日閲覧。 地デジ放送局情報”. 一般社団法人デジタル放送推進協会. 2016年8月12日閲覧。
  7. ^ 「ドリフターズ」原画100枚を関ケ原で公開、物販や特典も」 コミックナタリー、2013年10月6日。
  8. ^ 「漫画「ドリフターズ」原画展」 『南日本新聞』2015年7月9日、14面。
  9. ^ 「日置・漫画原画展 ドリフターズファン熱視線」 『南日本新聞』2015年11月7日、18面。
  10. ^ 第30回国民文化祭 関ヶ原の隼人たち日置市

外部リンク[編集]