包茎

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包茎
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勃起した包茎の陰茎。

包茎(ほうけい、:phimosis、:Phimose、ギリシャ語:φῑμός〈「口輪」から〉)とは陰茎亀頭包皮に覆われて露出不可能ないし露出に問題が伴う状態である。陰核の同様の状態も指す。この項では以下陰茎のみについて表記する。

概要[編集]

陰茎は亀頭部と陰茎体部からなり、陰茎包皮は先端の包皮輪ないし包皮口とよばれる折り返しの部分を境に亀頭に接する内板と普段露出している外板に分かれている。

包茎でない限り、包皮を陰茎の根元側へ寄せると包皮がめくれて外板に続く状態で内板が外向きになり亀頭が露出する。Schoberlein (1966) の調査では通常時には割礼されていない成人の50%において包皮が亀頭を完全に覆っており、42%は包皮が部分的に覆っており残りの8%において亀頭が完全に露出している。

包皮輪が狭い、または癒着のため包皮の翻転ができない場合を包茎と言い罹患率は割礼されていない成人の約1%である。日本ではこれを真性包茎ということがあるが、「真性」は国際的用語[1]では不要である。尚、正常な陰茎を日本では「仮性包茎」と呼ぶことがある[2]が、国際的に認められた正式な医学用語ではない[3][4]。この状態が普通である[5][6]ため、国際的には特に用語がない[* 1]

出生時には亀頭は包皮に覆われており、小児の生理的包茎は正常な状態である。通常は成長に伴って亀頭の露出・包皮の翻転が可能となってくるため[* 2][7]、早期に治療を行う例は排尿障害があるもの、嵌頓包茎、亀頭包皮炎を起こすものなどに限られ[8]、後述する包皮翻転指導とステロイド剤が効果をあげていることもあり、2006年現在、小児に対する手術は大きく減少している[* 3][9]。 だが成人後もこれがみられない場合は病気とされ、保険適用治療の対象となる。

包茎の問題点[編集]

衛生[編集]

亀頭包皮炎。と陰茎亀頭および 陰茎包皮の炎症。

恥垢が亀頭冠状溝と包皮の間に溜まる。だが包茎であると汚染や感染を生じ、尿路感染症陰茎癌発生率を高める可能性が指摘されているが清潔にさえすればその心配はない。無理に剥離しようとすると出血の可能性があるため、亀頭包皮炎を起こさない限り無理な剥離はしない方がよい。

性行為[編集]

射精自体は可能なものの包皮が引っ張られることにより痛みを生じることが多く、挿入時の摩擦により陰茎が包皮を破り出て傷害を負う危険性もあるので通常の性行為は困難である。また、包皮に裂傷を負う場合もある。

尿路閉塞性疾患[編集]

力まないと尿が出ないほどの重度の包茎では尿路閉塞性疾患を起こして膀胱拡張、肉柱形成(膀胱の排尿筋の肥大)、水腎症と進み腎不全になるおそれもある。また、包皮が邪魔で尿がまっすぐ飛ばない場合もある。

嵌頓包茎[編集]

嵌頓包茎の陰茎。

包皮口が狭小な場合、包皮を無理に反転させて亀頭を露出した状態にしておくと血管やリンパ管が狭い包皮輪の部分で絞扼されて循環障害を起こし先の包皮が腫脹して激しい痛みを伴うことがある。これを嵌頓包茎(かんとんほうけい)という。根治するには包皮環状切除術が必要である。


治療[編集]

小児の治療を行う例は排尿障害があるもの、嵌頓包茎、亀頭包皮炎を起こすものなどに限られ、特に小児において副腎皮質ホルモン外用剤の局所塗布が有効性を示すが、女性ホルモン製剤では女性化乳房などの副作用もみられる[10][8]。 外科手術の代表的なものに包皮環状切開術と包皮背面切開術がある。背面切開術は主に幼小児に行われる。 嵌頓包茎では用手的整復が不可能な場合、手術を行う。

割礼は主にキリスト教ユダヤ教イスラム教信者が行う。


脚注[編集]

  1. ^ 強いて言えば"average normal adult human penis"(平均的な通常の大人の陰茎)、"intact penis"(割礼されていない陰茎)、"natural penis"(自然な陰茎)などである。
  2. ^ 報告によるが、11歳 - 18歳で、63 - 93%は亀頭の露出が可能。欧米では17歳までに包茎は1%未満になるとの報告もなされている(Gairdnerら, 1949)。
  3. ^ 神奈川県立こども医療センター泌尿器科の山崎裕一郎 (2006) によれば、年間350名の小児泌尿器手術中、包茎手術はわずか2件前後。

出典[編集]

  1. ^ ステッドマン医学大辞典、他各種の国際的な医学辞典
  2. ^ 小野江為則、小林博、菊池浩吉編著、18章生殖器18.2陰茎の病理(2)包茎、『病理学』、第二版、pp.480-481、理工学社。ISBN:4-8445-5126-4
  3. ^ 紳也's HP”. 包茎 Q&A 包茎・おちんちん. 岩室紳也. 2011年7月15日閲覧。
  4. ^ 石川英二『切ってはいけません!』
  5. ^ Desmond Morris (1986)
  6. ^ ダイヤグラム・グループ(編)、池上智寿子、根岸悦子(訳)、1976(原著), 1981(邦訳)、『マンズ・ボディー』、鎌倉書房
  7. ^ 五十嵐 (2011)
  8. ^ a b 山口孝則 (2007). “包茎・埋没陰茎”. 小児外科 第39巻第8号 (東京医学社): 945. 
  9. ^ 山崎雄一郎 (2006). “小児包茎手術”. 小児外科 第38巻第12号 (東京医学社): 1485. 
  10. ^ 宮北英司 (2009). “包茎・埋没陰茎”. 小児外科 第41巻第10号 (東京医学社): 1072. 

参考資料[編集]

  • 岡島重孝(著、監修)、服部光男(監修) 『新版ホームメディカ家庭医学大事典』 小学館。ISBN 978-4-09-304-504-9
  • “包茎”. 南山堂医学大事典. 南山堂. (1990). pp. 1805. ISBN 4-525-01027-4. 
  • 後藤稠他, ed (1996). “包茎”. 最新 医学大辞典. 医歯薬出版株式会社. pp. 1484. ISBN 4-263-20825-0. 
  • 伊藤正男 (2009). “包茎”. 医学大辞典 第2版. 医学書院. pp. 2579. ISBN 978-4-260-00582-1. 
  • 飛波玄馬、岩室紳也、山本直英 (2000). まちがいだらけの包茎知識. 青弓社. ISBN 4-7872-3176-6. 

関連項目[編集]