殺鼠剤

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殺鼠剤(さっそざい)とは、ネズミを駆除する目的で作られた薬剤である。通常は毒餌の形で、投与するが、ほかに、粉剤を巣に吹き込んで全滅させる方法などがある。農地や山林、貯穀倉庫等で農作物に加害するノネズミを駆除するための製剤は農薬として、家庭や事業所でイエネズミを駆除するための製剤は防除用医薬部外品として扱われる。後者のうち、畜舎やその周辺で使用されるものは動物用医薬部外品として扱われる。

作用[編集]

数度の食餌に分けて駆除する累積毒剤と、一度の食餌で駆除する急性毒剤に大別される。

前者の累積毒剤は、数度に分けて継続的に摂取させる必要があるが、誤食に対する安全性が高いため、一般的に利用されている。クマリン系の抗血液凝固成分のクマテトラリル、血液凝固性薬剤のワルファリンなどが代表的である。
後者の急性毒剤は、薬剤の毒性が強く扱いが難しい。黄燐(猫いらず[1]として有名)、リン化亜鉛ノルボルマイドシリロシドタリウム硫酸タリウムα-ナフチルチオウレアモノフルオロ酢酸ナトリウムなどが代表。クマリン系の新しい薬剤でジフェチアロールジフェチアロンがある。

薬剤抵抗性[編集]

クマネズミおよびドブネズミの一部にはワルファリンへの抵抗性を有した個体が存在し、スーパーラットと呼ばれている。このスーパーラットは1980年代に出現が報告され、2000年代には東京のクマネズミは80%が抵抗性を有しているとする研究がある[2][3]。血液凝固性薬剤に対する抵抗性を獲得した個体は肝臓での殺鼠剤代謝能力が高く、体内で殺鼠剤の毒性が高まる前に排泄されていることが明らかとなった[2]。薬剤の濃度が高いと摂食をせず、濃度が低いと一過性の中毒症状だけで死亡することなく回復する為で、弱い個体のみが死亡し生き残った個体の耐性は徐々に高くなって行くと考えられている[2]。また、ワルファリン以外の薬剤に対する抵抗性を持った個体も報告されている[2]

法規制[編集]

家庭で家ねずみを駆除する目的のものは薬事法で、農地で野ねずみを駆除目的のものは農薬取締法で管理されており、成分、販売、取り扱いなどに関する規定がある。農薬の殺鼠剤を家庭で使うなど、目的外の使用をしてはならない。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「猫イラズ」は成毛製薬の登録商標(第54538号)。
  2. ^ a b c d 国内におけるワルファリン抵抗性ネズミの現況 いわゆるスーパーラットについて 環境毒性学会誌 Vol.12 (2009) No.2 p.61-70
  3. ^ 駆除できないネズミ 増殖の背景は NHK ニュースウォッチ9 2013年1月25日(金)]

外部リンク[編集]