ダンジョン飯

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ダンジョン飯
ジャンル ハイファンタジーグルメ漫画
漫画
作者 九井諒子
出版社 KADOKAWA エンターブレインBC
掲載誌 ハルタ
レーベル ビームコミックス
発表号 volume11 -
巻数 既刊5巻(2017年8月10日現在)
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ダンジョン飯』(ダンジョンめし)は九井諒子による日本漫画作品。

概要[編集]

年10回刊漫画誌『ハルタ』volume11(KADOKAWA エンターブレインBC、2014年2月)より連載が開始された。著者初の長編連載作品[1]

登場人物が、古典的ファンタジー作品に登場する様々なモンスターを現実に存在する調理方法によって料理しながらダンジョンを踏破していくという、アドベンチャーとグルメを混交させた作風[1]の、グルメ・ファンタジー漫画[2][3]スライムマンドラゴラバジリスクゴーレムといった、ファンタジー作品では定番のモンスターの生態を改めて論理的に考察し、それに基づき「いかに調理すれば美味に食べられるか」を主眼に置いている。作中で作られた料理にはレシピが記載され、そのことによってファンタジーでありながらリアリティー、説得力を生じさせている[2][4][5]

2016年の8月には3巻の発売を記念し、1巻収録の第1話に登場する「大サソリと歩き茸の水炊き」の食品サンプルが、同年9月には2巻第10話の「天然おいしい宝虫のおやつ」と13話の「ミミックの塩茹で」の食品サンプルが制作され、東京・大阪・徳島のイベント会場にて展示された[6]

賞歴[編集]

あらすじ[編集]

ある日、とある離島の墓地の壁から地下へと延びる巨大な空洞が出現した。そこから這い出てきた自身を王と称する朽ちかけた男が、一千年の昔に滅亡したはずの”黄金の国”の存在を明かし、王国は”狂乱の魔術師”によって地下に囚われ続けているため、元凶である魔術師を討伐した者には国の全てを与えると言い残し、塵芥となって消えた。その言葉に魅かれ、魔物が跋扈するダンジョンを踏破しようと多くの冒険者が乗り込む時代が幕を開けた。

6人パーティを組む冒険者ライオス一行は、ダンジョン深層にてレッドドラゴンに挑んだものの空腹から集中力を欠き、壊滅状態となってしまう。ライオスの妹ファリンがドラゴンに食われながらも脱出魔法を使ったことで残りのメンバーは地上へと逃れることができた。すぐにでもファリン救出に向かいたいライオスだったが(ダンジョン内には特殊な力が働いているため、死亡しても蘇生させることはできるが、肉体がドラゴンに消化される前に救い出す必要がある)、全員が脱出魔法の副作用で身に着けていた装備以外の荷物を失っていたため金銭的余裕が無く、さらにパーティのうち2名が他の隊に職を求めて離脱してしまった。パーティを解散し、単身での冒険に挑もうとするライオスを見かねたマルシルチルチャックが協力を申し出、あらためて3人のパーティが結成された。残る問題は探索費用の調達となったが、そこでライオスは食料の現地調達、つまりダンジョンに巣食うモンスターを食材とすると言う、とんでもないアイディアを披露する。

二人の激しい拒絶にも構わず、ライオスは手近な食材を集めて即席で料理を拵えようとする。しかし正しい調理法を知らず難儀していたところ、その場に通りがかったセンシが手助けを申し出た。センシに見事な手際で調理した料理を振る舞われ、その意外な美味に驚くライオスたち。魔物食に一家言を持つセンシは一行の目的を聞き、レッドドラゴンが料理できる可能性に惹かれ、新たな仲間となった。

かくしてライオス一行は、モンスターを食べながら、ダンジョンを踏破していくことになる。

様々な苦難を乗り越え、地下5階に辿りついた一行は、ファリンを取り戻すべく再度レッドドラゴンに挑戦、手酷い傷を負いながらも討伐に成功する。骨だけになっていたファリンのため、マルシルは禁忌とされる古代魔術を敢行。レッドドラゴンの死体を元に、蘇生に成功した。

再会を喜び合った後、ライオスたちは傷ついた身体を癒すために休息をとるが、いつの間にかファリンが姿を消してしまった。ファリンを探すライオスたちの前に、ダンジョンを作り上げた「狂乱の魔術師」が現れる。実はライオスたちが倒したレッドドラゴンは、ダンジョンの番人として狂乱の魔術師の支配下にあった。狂乱の魔術師はライオスたちを盗賊、簒奪者と罵り攻撃を加える。終には一行はファリンを残してその場から強制排除され、ファリンはその身体を魔術師によって別の物に変えられてしまった。これまでの冒険が振り出しに戻ってしまい、ファリンの再救出を焦るライオスだったが、仲間たちの説得受け入れ、一旦地上に戻ることを決意する。

以上、単行本5巻まで。

登場人物[編集]

主要キャラクター[編集]

ライオス・トーデン
種族・トールマン。本作の主人公。探索隊(作中ではパーティー、またはギルド)のリーダーであり、金属鎧を纏った長身の剣戦士。ファリンの実兄。
経験豊富で実力も高いが、重度の魔物マニア。子供のころから「迷宮グルメガイド」を熟読・携帯し、生態や能力だけでなく、常々魔物の味にも強い興味を抱いていた。仲間たちにはその願望を隠していたが、ファリン救出策で経費節約の必要に迫られたことを機に告白し、実行に移す。
田舎ののどかな山村の出身で、少年時代は妹と一緒に野山を駆け回り、強い好奇心から空想の魔物を描いたり、冒険を夢見る日々を送っていた。成人後は妹と共に迷宮探索を稼業とする。普段は温厚で冷静沈着な性格であり、戦士として実力もあるなど、リーダーとしての素養は決して低くはない。しかし空気を読む能力や人を見る目は優れていると言えない。また状況や意味をあまり深く考えずに発言する癖があって、仲間から軽蔑の目を向けられてしまうこともよくあり、チルチャックからは社交術や人を見る目を養ってほしいと愚痴られている[8]
魔物が絡むと人が変わり、好奇心も露わに我を忘れて饒舌になる。金属や絵画などの無機物であろうと食物としての可能性を模索する、人食い植物の種を持ち帰り地上で栽培することを企てるなど、魔物食に関して偏執的とも言える情熱を注ぐ。ただし一方で魔物マニア故にその危険性についても十分理解しており、魔物に対する無根拠な信頼や、過度な感情移入には危険視して注意している。
武具は「動く鎧」の剣と大盾で、新人だった3年前の探索で手に入れたものだが、盾はレッドドラゴンからの脱出の際に紛失し、剣はファリン救出行で遭遇した「動く鎧」のボスに折られた。その後は「動く鎧」の幼体が潜んでいる「動く鎧」のボスの剣を使っているが、再会したナマリからは素性の怪しい剣と言われ、ドワーフ製の剣を買って使うように注意されている。
レッドドラゴンを退治した後、迷宮を一時脱出する道中でマルシルから魔法を習い、基本的な回復魔法を唱えられるようになっている。
ケン助
「動く鎧」の1個体。剣を殻の代わりにして、本体は柄の部分に潜む軟体動物である。「動く鎧」が一行の食事となった後、剣を失ったライオスにより拾われた。ライオスを仲間と認識しているのか、擬態していた宝虫に対して威嚇を行い、ライオスに危険を知らせるなどの働きをし、喜んだライオスに命名され可愛がられている。しかし危険を前に勝手に逃げ出したり、動こうとしないという困った行動もとることもある。たまにライオスから食事を分けてもらっている。
マルシル
種族・エルフ。女性で魔法使い。海辺の街育ちで、宮廷魔術師の親を持つ。古代魔術の研究をしており、禁忌とされる魔術にも踏み込んでいる。強力な攻撃魔法を駆使し、また多少の回復術の他、防御、罠や鍵の解除まで様々な魔法を扱う。武器は輪状の杖頭の先端に、魔力で生育する双葉が芽吹く木の根を手編みした杖、”アンブロシア”と魔法書。金髪のロングヘアーは、魔法の媒介となるため、大がかりな術の前には特に念入りに手入れを行っている。また若い女性らしく、編み込みを作る場所やまとめ方を変えるなど、作品中で頻繁に髪型を変えている。 2年前にスライムに窒息させられたのが、初めての死亡経験。
元々は魔法素材の安全な栽培、収拾目的でダンジョニウムの研究をするため魔法学校に入学。同じ学科を専攻していたファリンと出会い、友人となった。ファリンを救出するために、ライオスに同行を申し出る。
明るく、感情表現が豊かな人物。弱音を吐くことも多いが、仲間と口喧嘩をしたり、オークの族長の憎悪に反発して言い返す等、気の強い一面もある。
常識的な性格と嗜好の持ち主であり、「魔物を食べて食費を浮かす」というライオスの計画には当初から強い拒絶を示し、迷宮内の生物を食することに対しては絶対反対の立場であった。しかし空腹には抗えず、魔物食を口にするたび、その意外な美味に複雑な心境をのぞかせている。
魔術の知識は豊富で学生時代は「学校はじまって以来の才女」と言われるほど勉学優秀だったが、ファリンとの出会い後に実地体験が乏しいことを自覚し、実践不足が露呈してしまった経験を持つ。また運動能力が低いためパーティの足を鈍らせてしまい、それをチルチャックに悪し様に言われたため、自分が旅の妨げになると落ち込んだこともあった。しかしライオスから、彼女の魔法を頼りにしていることや、深層まではその力を温存したいという方針を聞かされ、一応ながらチルチャックからも謝罪を受けて立ち直った。
度々ダンジョニウム理論から迷宮を考察し、迷宮全体を構成・維持するしくみや、魔力の膨大さに好奇心をのぞかせている。
チルチャック
種族・ハーフフット。童顔で小柄なため、センシには子供だと思われているが、ハーフフットとしては成人である29歳の男性。種族特有の身軽さや器用さと鋭敏な感覚を駆使し、扉や宝箱の開錠、及び罠の解除をこなす。また、仕掛けられた装置を作動させての近道や危険の事前回避、安全優先に向けた誘導など、補助的な役割を主とする。戦闘は基本的に行わないが、武装が整っていたころは弓矢を装備し後方支援をしていた様子も描かれている。なおその役割上、過去に幾度も死亡を含む被害を蒙っているため、ミミックを心底嫌悪している。
普段は落ち着いた性格で思慮深く、マルシルには「一番大人」と言われている。一方、指示に従わない行動には激しい怒りを見せ、雰囲気を剣呑にさせる事もある。しかしライオスによると、彼のこうした態度はパーティに対する責任感の強さゆえのことであり、また役目上ぶっきらぼうで直接的な発言をせざるを得ないことが原因である。しかし酒を見つけた際に目を輝かせすぐ飲もうとしたり、ワインを「水みたいな酒」と評するなど、かなりの酒好きかつ酒豪の様子。
報酬を前払いで受け取っていた事を理由に、ファリン救出行への同行を了承した。しかしこの決断が、かえって仲間をさらなる命の危険に晒したのではという一抹の悔いを吐露している。「死ぬのはまっぴら」と言いつつ、本心は仲間を死なせたくないという想いが強い。
魔物食に対してはマルシルよりは柔軟な思考を有しており、食中毒などの心配からモンスターを食べることには抵抗があるものの、人間に近い形態をしている魔物以外で、ある程度の安全が確保されてさえいれば割り合い肯定的である。
雑誌掲載分では「ハーフリング」の「ヌルチャック」と表記されていたこともあるが、単行本では「ハーフフット」の「チルチャック」に統一されている。
センシ
種族・ドワーフ。恰幅の良い短躯と丸い大きな目、豊かな黒髪と髭を蓄えた、ドワーフ語で「探求者」を意味する名を持つ斧戦士。魔物食に初挑戦したライオスたちの素人振りを見かねてパーティーに加わり、レッドドラゴンの調理を目的として同行を申し出る。食事面でパーティをサポートし、戦闘ではライオスと共に前衛を務める。
先祖代々から伝わる家宝の盾を鍋と鍋蓋へと加工し、各種調理器具と調味料を常時携行、迷宮で10年以上魔物食の研究を続けて自給自足の生活を送る。普段はダンジョン内第三層を拠点として活動している。月に一度程度、地上に出て調味料などを買い揃えており、その際にライオスたちと出会うこととなった。
ゴーレムを無許可で起動させ畑の代用とし、ダンジョン各所にあるトイレの屎尿を回収して肥料にするなどしているが、これが結果的にダンジョン内の保守点検の役目を果たしている。単独で迷宮内で生活しているために冒険者としての技量は高く、魔物の身体の造りや習性などに関する知識が、戦闘時にも柔軟に応用されている。
魔法による簡便な手順の処理には、関心を示さないどころか露骨に嫌がり、旧来の技術を用いて労を取ることに自負と拘りを持つ。
ダンジョン内であっても食と健康の重要性を説き、偏った栄養の食事を摂ることを良しとせず、ときとして強迫観念じみていることもある[8]。一方、その他の物事には極めて大雑把で適当な性格で、かつては採鉱で職を得ていたものの、ドワーフでありながら鉱石の種類も見分けられず、鍛冶の技術と才能にも不足して、同族仲間から驚かれていたおり、戦斧の手入れは粗雑。所持品の調理器具がドラゴンにも対抗しうる希少素材アダマントであることが判明してからも、ミスリル製包丁を片手に料理に勤しむ。
ファリン・トーデン
ライオスの実妹で魔術師。柔和で温厚な性格で、仲間内の諍いを仲裁し宥める役回りをしていた。幼い頃から兄との冒険に憧れる、魔物を「食べたい」と発言するなど、好奇心や冒険心は旺盛。物理的な戦闘は好まず、回復を主とする補助魔法の他、高度な術法を用いた除霊を行う。会得しているのはノーム系の魔術[8]で、学んだ魔術を兄に手ほどきしたこともあるが、感覚派のため説明下手で、ライオスが魔術を習得するには至らなかった。
少女期から兄と一緒に野山を駆けまわっていたが、ある日、村の墓地で彷徨う死霊を鎮めたことで、他の村民らから気味悪がられてしまう。しかし、兄からその素質を活かした職に就くよう勧められ、2人で異国を旅する空想を楽しんでいた。
村を出て魔法学校に入学した当初は学校に馴染めず、授業を抜け出ては、校外の山で読書や故郷の兄に送る手紙を綴って過ごしていた。そのため友人も出来ず成績も上がらなかったが、ダンジョニウム課題発表の際、ファリンの質の高い実験結果に驚愕したマルシルに興味を持たれてから良き友人となり、以降、手紙の文面も学校生活も好転する。
ライオスを庇ってレッドドラゴンの牙に捕われながらも、帰還呪文を唱えてパーティを救ったが、自身は捕食されてしまう。後に兄たちのパーティがレッドドラゴンを倒すことに成功、体内から回収して組み立てた骨から、レッドドラゴンの血肉を使用したマルシルの秘術によって蘇生した[9]。しかし、迷宮から脱する前にレッドドラゴンの主人である「狂乱の魔術師」が現れ、ライオスたちから引き離され別の者に変えられてしまった[10]

ダンジョン冒険者・探求者[編集]

ナマリ
種族・ドワーフ。ファリン救出行以前のライオス達の元パーティーメンバー。短身ながらも勇猛な斧戦士で筋骨逞しい傭兵の女性で、61歳。種族の属性に倣い、武器の扱いと手入れに拘り、武具の目利きや金属素材にも明るい。金銭面での問題を抱え、レッドドラゴン征伐失敗後は、実入りの良い職を他に求めて離脱し、支払いの良いタンス夫妻の迷宮調査隊に採用された。
ダンジョン内でライオスと出会わせた折、出処も不明で制作した人種も判らない武器を振るうことを手厳しく注意し、真っ当な剣を購入するよう幾度も忠告している。タンスからは攻撃魔法の巻き添えをくらう、盾代わりに使われて死亡する、等、散々な扱いを受け不満を爆発させてもいるが、仲間でいたいと主張している。蘇生慣れすると死や危険に対する感覚が鈍ることもあるため、極力死亡を回避し安全の担保を確保するよう新しい仲間に説くなど、小言や不平が多く口うるさいものの、他人が抱える問題や窮地に配慮するなど、お節介で世話焼きな面を見せている。
自身の傭兵としての評判に関わるため、ライオス達とは敢えて距離を置こうとしているが、彼らのことを気にかけてもいた。再会した時は謗られる覚悟をしていたが、ライオス達が嬉々として魔物を調理してる姿を見て、逆にその現状に愕然とする。マルシルとは再会直後やや険悪だったが、再び別れる時には和解していた。地上への帰還後も、蘇生所に寄りファリンの死体を探すなどしている。
シュロー(トシロー)
種族・トールマン。 ナマリと同じくファリン救出行以前のライオス達の元パーティーメンバー。黒髪の総髪をした侍のような東洋風の服装で日本刀を武器にしている男性。ライオスはシュローの気持ちに全く気付いていなかったが、実はファリンに惚れていて求婚したこともあり、別のツテを使ってファリンを救おうとしているのではないかとナマリは推測している。
東方人であり本名はトシローだが、ライオスたちからはシュローと呼ばれている。同郷の仲間からは「坊っちゃん」と呼ばれている。
タンス夫妻
種族・ノーム。島主からの委託で迷宮内に施された呪術の研究を行っている学者夫妻で、年齢は夫が210歳。妻が204歳。蘇生魔法を始めとした強力な魔法を使いこなす。ライオスのパーティーを抜けた後のナマリの雇い主。妻は常に微笑みを浮かべた優しげな表情でいる。夫はメガネをかけ、憮然とした表情をしており、身内には優しいが、他人や契約金を支払っている雇い人には横柄でぞんざいに扱う反面、必要な配慮をし、心情をおもんばかるところもある。
カカとキキ
種族・トールマンの双子。カカは剣士の男性で、キキクロスボウを武器にする女性。共に20歳で、褐色の肌をしている。
タンス夫妻と共に行動しているが、オマケマンガによると[11]このふたりは雇われているわけではなく、子供のころに酒場で夫妻に拾われ育てられた共に暮す身内である。
カブルー一行
若手の冒険家パーティ。リーダーのカブルー、魔法使いのリンシャ、ハーフフットのミックベルコボルトクロ、ドワーフのダイア、ノームのホルムのパーティ[12][13]
他の冒険者たちとは違い、カブルーは稼業としてではなく、迷宮の解呪と魔物の根絶という理想と目的を持ってダンジョン探索を進めており、仲間もその理想に相応しい人物として支持している[12][13]。他の冒険者たちから一目置かれている面もあるが、経験値や実力は理想からほど遠く、見込み違いや油断が祟って度々全滅の憂き目にあっている。作中では、全滅しているところをライオス一行に発見され、死体回収屋に見つかりやすいよう二度にわたって措置をされているが、悪質な冒険者たちの差し金もあり、すれ違いが元でライオスたちを「宝石・食料泥棒」と誤解してしまっている。
カブルーは人間観察を好み、以前から知っていたライオスとファリン兄妹の、自らの損得を考えない行動を、人間に興味に持たない故の偽善であると考えており、いつか化けの皮を剥がしてやろうと目論んでいる[13]

ダンジョンの住人[編集]

レッドドラゴン
「炎竜」とも称される、深層に棲む巨大なドラゴンで、赤い鱗が特徴のモンスター。オークによると「狂乱の魔術師」に使役されている魔物。ライオス達を全滅させファリンを捕食し、今回の旅の始まりのきっかけを作った因縁のモンスターである。センシによると1ヵ月に一度しか目覚めず、普段は眠って過ごしているため消化も遅いと推察されている。本来はかなり下層のモンスターの筈だが、何故か地下5階オークの集落近くに出没している。
ライオス一行に倒され、未消化物の中からファリンの骨を取り出されたのち、亡骸の血肉をファリン再生に使われる[9]
オーク
ダンジョン内で集落を築き、冒険者への略奪行為をする亜人の種族。センシがゴーレムで栽培した野菜を買ってくれるお得意様であり、オークの頭のゾン族長とセンシとは顔なじみである。人間やエルフとは美醜の感覚が違い、特にエルフのことは「野蛮な顔」「不細工」と評している。ゾン族長は多妻持ち。
かつて人類やエルフたちとの抗争に敗れ、ダンジョンに逃れた歴史があるため、人間やエルフを憎悪している。ダンジョンの先住者を自認しており、元々は地下5階層に集落を構えていたが、より深い階層にいるはずのレッドドラゴンが現れるようになったため3階層へと避難している。
避難先での糧を得るために襲撃した地下3階の取引所でライオス一行と出会い、彼らの持つ野菜も奪おうとした。しかし、センシの持ちかけた交渉によって引き換えに一晩の宿を提供し、取引所を襲撃した際に奪ったパン種小麦粉強力粉を元にしたパン作りや食事、頭の幼い息子との交流などを通じて打ち解け、ライオスらと和解した。
ファリンとの再別後の第30話ではゾン族長の妹の一団が登場。ライオスたちは侵入者と見做され危うく殺されかけたが、一行にセンシがいたことで難を逃れた。兄との因縁を知ったことと、ライオスたちがレッドドラゴンを倒したことから、ライオス一行を手助けしている[14]
「狂乱の魔術師」
ダンジョンを創造した魔術師と伝えられている。タンス夫妻の調査からエルフであることが推察されている。
ライオスは「動く絵画」の中で褐色の肌に銀髪のエルフに出会ったが、同じ人物とおぼしき魔術師がレッドドラゴン討伐とファリン再生後に現れ、ライオスたちを「盗賊」・「簒奪者」と罵り、ファリンを奪い古代魔術を使用してライオス一行を退けた[10]。オークのゾン族長の妹はそのエルフこそが「狂乱の魔術師」だと指摘している[14]。ダンジョンを、自身が強い忠誠心を示している「黄金の国」のデルガル国王のものとしているため、探索する冒険者たちには強い敵意を抱いている。作中では魔物を使役して、デルガルを探している。

作中世界[編集]

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ドワーフ、エルフ、トールマンと様々なその時代の所有者にあらゆる名で呼ばれてきたが、作中の時代には呼び名は風化して「島」とだけ呼ばれる。かつてはメリニ村という集落があるのみだったが、ダンジョンが発見されて以降旅人が多く集う賑やかな場所に変わった。作中における島主は人間だが、エルフ王が所有権を主張し返還を求めてきている。

ダンジョン[編集]

作品の舞台となるダンジョン(迷宮)は、人間やエルフやドワーフたちの間で所有権が転々としてきた「島」にある、地下空洞内の城とその城壁に囲まれた城下町である。この城は、一千年前に「狂乱の魔術師」によって、地下深くに囚われ滅んだ「黄金の国」の王城とされている。村の地下墓地となっていた場所から黄金の国の王を名乗る者が現れ「魔術師を倒した者には我が国のすべてを与えよう」と言いのこし塵となって消えたときに発見され、噂を聞いた冒険者が各地から集い、宝探しやダンジョン制覇や魔術師打倒を目指している。冒険者以外では、タンス一行のようにダンジョンの調査を依頼された者なども出入りしているほか、オークたちや犯罪者のような地上に居場所のないはぐれ者の棲家にもなっている。また物語進行中の時期にはモンスターの動きが活発化したり、迷宮の形が変わると言った異変が報告されている。タンスによると魂を肉体に縛り付ける強力な不死の術が迷宮全体にかけられており、「人」であれば内部で死亡しても、肉体の損傷さえ魔術や魔法で回復させれば蘇生できるとされ、作中ではトールマン・エルフ・ドワーフ・ハーフフット・コボルト(獣人)が蘇生している。しかし、損傷具合によって蘇生の難易度が違ってくるため、損傷の激しい者はそれだけの魔術や魔力に長けた術士でないと蘇生させられないことになっている。

なお、作中における一般名詞としてのダンジョンは「囲われた空間で魔物が生息し、魔力が循環する場所全般」を指しており、天然・人工の区別はつけられていない。「黄金の国」の他には、マルシルとファリンが通っていた魔術学校の近くにある天然のダンジョン(洞窟)が描写されている。また人工の迷宮作りには魔術や生物を初めとした広範な知識と技術が要求され、特に「黄金の国」レベルの巨大ダンジョンの作成には途方もない計算が必要となるため「もし狂乱の魔術師が実在するなら、間違いなくまともな存在ではない」とマルシルは評している。

地下1階(地下墓地)
ダンジョンが存在するメリニ村の共同墓地。ここの底が抜けて地下のダンジョンが姿を現した。かつては静かな聖域であったが、迷宮が出現してから村一番のにぎやかな場所となっており、もはや墓地としては機能していない。出現するモンスターは最弱クラスだが、初心者はそれなりに手こずる他、不意を突かれるとベテランでも命の危険がある。
地下2階(尖塔の森)
黄金城の尖塔部分。巨大な木々が生い茂っており、その間に橋が架けられている。外壁はかつて金で覆われていたが、冒険者によって現在は剥ぎ尽くされた。モンスターは森林系のものが多く、作中に登場したものの他大ネズミや森ゴブリンといったものが生息していることが語られている。
地下3階(黄金城)
黄金城の内部。センシが拠点としてキャンプを張っているほか、地上に戻れぬ所以を持つ者達が店を開いていたりする。生息するモンスターはスケルトンやグール、レイスなどと言ったアンデッド系と、宝虫やミミックのような擬態系がメイン。
地下4階(地底湖)
岩盤から流れ出た地下水が黄金城の一角に溜まって形成された巨大な湖。湖底には水没した城下町が見られる。モンスターは水棲系及び湿地系がメイン。
地下5階(城下町)
黄金城の城下町。魔力によって街並みは膨れ歪んでいるものの、賑やかであった頃の雰囲気も残している。水道や風呂等のインフラは機能しており、上位の冒険者の休憩所となっている他、オークは本来この辺りに居住地を構えている。またここに現れる亡霊は比較的正気を保っており、用がなければ向こうから現れることは殆どない。

書誌情報[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 九井諒子の初長編連載は冒険×グルメ!「ダンジョン飯」”. コミックナタリー. 2015年3月4日閲覧。
  2. ^ a b 九井諒子のグルメファンタジー「ダンジョン飯」1巻、モンスターを美味しく料理”. コミックナタリー. 2015年3月4日閲覧。
  3. ^ a b 「このマンガがすごい!」1位は、ダンジョン飯&ヲタクに恋は難しい”. コミックナタリー (2015年12月10日). 2015年12月10日閲覧。
  4. ^ 『ダンジョン飯』(九井諒子)ロングレビュー!”. このマンガがすごい!web. 宝島社. 2017年3月11日閲覧。
  5. ^ 九井諒子「ダンジョン飯」特集”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ. 2017年3月11日閲覧。
  6. ^ 「ダンジョン飯」食品サンプル第2弾はミミックと宝虫!東京と大阪で展示”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2016年9月15日). 2017年3月11日閲覧。
  7. ^ 編集者が選ぶコミックナタリー大賞、今年度の1位は九井諒子「ダンジョン飯」”. コミックナタリー (2015年10月1日). 2015年10月1日閲覧。
  8. ^ a b c 『ダンジョン飯』 第33話。
  9. ^ a b 『ダンジョン飯』 第28話。
  10. ^ a b 『ダンジョン飯』 第29話。
  11. ^ 『ハルタ』〈42号〉付録「デイドリームアワー 九井諒子のラクガキ本 2」エンターブレイン、2017年02月15日。
  12. ^ a b 『ダンジョン飯』 第31話。
  13. ^ a b c 『ダンジョン飯』 第32話。
  14. ^ a b 『ダンジョン飯』 第30話。

外部リンク[編集]

エンターブレイン公式