コボルト

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コボルト(Kobold, kobalt)は、ドイツの民間伝承に由来する醜い妖精精霊である。コーボルトコボルドとも表記する。コボルトはドイツ語で邪な精霊を意味し、英語ではしばしばゴブリンと訳される。

パイプを吹かすコボルト。

最も一般的なイメージは、ときに手助けしてくれたりときにいたずらをするような家に住むこびとたちというものである。彼らはミルク穀物などと引き替えに家事をしてくれたりもするが、贈り物をしないままだと住人の人間にいたずらをして遊んだりもする。また、一度贈り物をもらったコボルトはその家から出て行ってしまうと言われる。もうひとつあるコボルトのイメージは、坑道や地下に住み、ノームにより近い姿である。

原子番号27の金属元素コバルトの名はコボルトに由来する。コバルト鉱物冶金が困難なため、16世紀頃のドイツでは、コボルトが坑夫を困らせるために魔法をかけて作った鉱物と信じられていたからである。

グリム童話におけるコボルト[編集]

細部は省略するが、おおむね以下のとおりである。

嘘をついたことで王に藁を黄金に変えるよう無理難題を命じられた娘の前に、奇妙な小人(原文ではコボルト)が現れる。彼は藁を黄金に変えることと引き替えに、娘に将来生まれる娘の子供を要求した。娘はそれを承諾し、黄金を受け取る。喜んだ王は娘と結婚し、やがて子供が生まれた。すると約束通り小人が現れ、子供を要求するが、娘が泣いて頼んだため、3日以内に名前を当てたら許してやると約束する。様々な名前を言う娘だが、いずれも違う。万策尽きた娘は四方に人をやって情報を集めるが、そのうちの一人が何者かの歌う歌が聞いたと報告した。

「ランペルスティルスキンは明日になれば子供を手に入れる」

翌日、現れたコボルトに娘は名前を告げる。まさか当てられるとは思っていなかったコボルトは怒り狂い、力任せに床を踏み抜き、足を取られてしまう。そして引き抜こうと力を込めたが、足は抜けず、彼の体は真っ二つに裂けて死んでしまった。

版や子供向きの翻案では、最後に死ななかったりと仲直りする場合などがある。

ファンタジーにおけるコボルト[編集]

コボルトは剣と魔法を題材としたファンタジーの小説やゲームにも登場する。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では、臆病だが残酷な、小柄で犬に似た頭部を持つ人型生物とされている。を持ち、頭には角が生えており、ドラゴンの血を引く爬虫類とされているが、犬のような頭部という側面が強調された結果、その後に続いた多くのロールプレイングゲームで「体毛のある」犬のような人型生物という表現もされるようになった。

日本においてもこの姿で描かれることが多く、輸入物のロールプレイングゲーム『ウィザードリィ』シリーズにおいては、ファミコン移植版を担当した末弥純イラストレーションで狗頭そのものであるように描かれ、このイメージが支配的になった。

コバルトの鉱物にまつわる伝承が反映されてか、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では有能な鉱夫とされる。『ソード・ワールドRPG』などの背景世界であるフォーセリアにおいては銀を腐らせるという言い伝えを持つ。これを受けて『新ロードス島戦記』においては、コバルト(作品中では「腐銀」と表記)を釉薬に用いて陶磁器を作製する描写がある。『アルシャード』では、ミスリル(銀秘石)をコバルト(蒼魔石)に変えてしまう魔力を持つとされている。

リネージュ』においては、上記の犬のような人型生物という外観で、こん棒を武器として戦うモンスターとして登場している。戦闘力の低い種族として描かれ、序盤においてプレイヤーが少ない被害で倒すことができるという位置づけにおかれている。

ちなみにファンタジーのモンスターとしてのコボルトは、英語読みでコボルと表記されることが多い。ロールプレイングゲームが知られ始めた昭和末期にはロールプレイングゲームを紹介する書籍などにおいてコルドという誤記も見られたが、周知が進むにつれ消えていった。

また、1970年代には日本でコボルト人形が販売され、人気を集めた。プラスチック製で、星座によって色が決められていた。ドイツの森に帰らなければならないため、願いが叶ったら土に埋めるという設定になっていた。

関連項目[編集]