スライム (架空の生物)

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スライム: slime)は、ファンタジー作品などにおける、主にゼリー状・粘液状の怪物のことである。単細胞生物なのか多細胞生物なのかすらも不明であるばかりか、液体金属や溶岩のように無機的な組成の体を持つものまである。

なおスライムのような形態を示す実在の生物や、スライムと同様に、不定形の体を持つ架空の生物については、スライム (曖昧さ回避)を参照。

歴史[編集]

人類はこれまでに様々な架空の生物を創造してきたが、そのような怪物は、既知の生物の特徴を変形したり合成したりして生み出されたものがほとんどである。アメーバ変形菌が知られていなかった古代の神話・物語においては、スライムのような生き物は登場していない。

架空の生物としてのスライムが初めて出現したのはアメリカの作家ジョセフ・ペイン・ブレナンの「沼の怪」(1958年)においてのことである。また、現在のスライムに繋がる直接の祖先としては、1931年H・P・ラヴクラフトが発表した長編小説「狂気の山脈にて」に登場する黒い粘液状の生物ショゴスが挙げられる[1]

1974年に出版されたテーブルトークRPGダンジョンズ&ドラゴンズ』において、これまで様々な作品で扱われてきたスライム系モンスターのイメージが整理され、ダンジョン内での危険な存在として定義された。

このゲームにおけるスライムは、単細胞ないし群体生物のため殺しにくく、触れるものを同化したり、酸性の体液で武器や防具を腐食させたり、巨大に成長して始末に困るなどの特徴を持つかなりやっかいな生物であった。殴っただけでは打撃を与えられないこともしばしばで、退治するには炎(ないし冷気や電気などのエネルギー攻撃)を用いないと難しかった。これらの性質は、それ以降に登場した数多くのテーブルトークRPGのスライムに継承された。

ところが、『ウィザードリィ』(1981年)や『ハイドライド』(1985年)などのコンピュータRPGでは、ゲームの初期に登場する、非常に弱いモンスターとしてスライムが登場した。物理的な攻撃で退治できるようになった点が大きな変化である。

コンピュータRPG『ドラゴンクエスト』(1986年)に登場するスライムはコミカルな外見をもち、その後のスライムのイメージに大きな影響を与えた[1]。続編では、仲間として冒険が可能になった。

創作界隈においては、人型に形成して登場人物に仕立てたものにスライムを種属として設定したものも存在する。

コンピュータゲームに登場するスライム[編集]

多くのコンピュータゲームには、様々なかたちでスライムの眷属が登場する。ここでは、スライムの概念に大きな影響を与えた作品や、スライムの扱いがユニークな作品のみを紹介する。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』シリーズ[編集]

ダンジョンズ&ドラゴンズ』シリーズでは、古典的なスライムのイメージが系統立ててまとめられており、その生態や類縁関係などについても詳細に記述されている。どのスライムも非常にやっかいな存在であり、ダンジョン内でのトラップとして使われることが多かった。総称してウーズ(ooze)とも呼ばれる。

グリーンスライム(Green Slime)、ゼラチナス・キューブ(Gelatinous Cube)、オーカー・ジェリー(Ochre Jelly)、グレイウーズ(Gray Ooze)、ブラックプディング(Black Pudding) などがおり、それぞれ特定の属性をもつ魔法でしか倒せない敵となっている。

『ウィザードリィ』シリーズ[編集]

ウィザードリィ』シリーズは、コンピュータRPGの元祖のひとつとされる。バブリースライム(Bubbly Slime)、クリーピングクラッド(Creeping Crud)、ブロッブ(Blob)などがおり、総じて弱いモンスターとされるが、中には回復能力を持つものもいる。

『バビロニアン・キャッスル・サーガ』シリーズ[編集]

バビロニアン・キャッスル・サーガ』には、『ドルアーガの塔』(1984年)や『カイの冒険』(1988年)などがあり、バビロニア神話を舞台にしたゲームである。『ドルアーガの塔』では、グリーンスライム(Green Slime)、ブラックスライム(Black Slime)、レッドスライム(Red Slime)、ブルースライム(Blue Slime)、ダークグリーンスライム(Dark Green Slime)、ダークイエロースライム(Dark Yellow Slime)など、色で種類分けされており、中には魔法を使えるものもいる。 最初のフロアから登場し、どの種類でも剣での一突きで倒せるため、ゲーム中での序列では弱い部類のモンスターと言える。しかし、移動タイミングがランダムで、かつ移動中は絶対に倒せないという特徴があり、「スライムこそ最強」とも言われる。『イシターの復活』では、スライムとは別種のモンスターとしてウーズ(Ooze)も登場する。

『ハイドライド』シリーズ[編集]

ハイドライド』は、国産アクションRPGの原典である。ハイドライドに登場するスライムは、最初に出会う最弱なモンスターとして扱われていた。ただ経験値を稼ぐためにスライム退治を繰り返すということを続けていると、強力なモンスターが出現し、ピンチに陥るという仕掛けもあった。『ハイドライド3』に登場するスライムは、一変して倒してはいけない善のモンスターとして扱われた。スライム(Slime)、ジェリー(Jelly)、ヘビースライム(Heavy Slime)などがおり、攻撃力と防御力がかなり高く設定されている個体もある。

『ドラゴンクエスト』シリーズ[編集]

ドラゴンクエストシリーズに登場するスライムは、水滴のような形状に可愛らしい顔が描かれており、シリーズを代表するマスコットキャラクターの地位を得ている。

『女神転生』シリーズ[編集]

女神転生シリーズのスライムは、実体化に失敗した悪魔という設定で、物理攻撃が通用しにくく、魔法攻撃に弱い傾向がある。通常のスライムは防御相性は良くないものの、悪魔合体、特に二身合体では合体に使用したもう1体をドーピングできたり、魔法継承のサポート役としても活用できる場合が多い。通常のスライムの他に、軟泥に顔が浮かび上がったようなものや、合体に失敗した悪魔の骨が覗いているものなどがある。

『ファイナルファンタジー』シリーズ[編集]

ファイナルファンタジーシリーズにおいても1作目から数種類のスライムが登場している。全体的に物理攻撃が通用しにくく、魔法攻撃に弱い傾向がある。前述の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』から名を借りる一方、「〜ババロア」「〜マシュマロ」などの菓子の名を持つものが登場する。1作目では体内に髑髏を持つ不気味なデザインだったが、2作目以降は大きな目と口を持つコミカルなデザインになった。

『サガ』シリーズ[編集]

サガシリーズにおいても数種類のスライムが登場している。物理攻撃が通用しにくく、炎に弱い傾向がある。相手にダメージを与えると同時に自身のHPを回復する「とかす」が代表的な技である。前述の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』から名を借りる一方、「~ゼリー」「〜プリン」「〜マシュマロ」などの菓子の名を持つものが登場する。最高位のスライムはスーパースライムである。

『魔導物語』シリーズ[編集]

『魔導物語1-2-3』をはじめとする『魔導物語』シリーズ。「ぷよぷよ」と呼ばれるモンスター[2]が登場する。丸い体に、2つの目がある。大変コミカルなデザインで、後に落ち物パズルぷよぷよ』が作られるにあたって非常に重要な要素となった。基本的に最弱のモンスターだが、他のモンスターを呼び寄せたり、魔法をはじき返すなどの厄介な行動をする。

『アトリエ』シリーズ[編集]

『マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬金術士〜』をはじめとするアトリエシリーズに登場する「ぷにぷに」と呼ばれるモンスター群。立ち位置は『ドラゴンクエスト』のそれに近い最弱モンスターだが、こちらは「うに」で倒すことが出来る。体内に「ぷにぷに玉」と言う特殊な組織を有し、錬金術の材料として収集されている。また、「金のぷにぷに」という特異なものも存在し、その性質のためラジオドラマでもネタにされた。

『すらいムしよう!』[編集]

すらいムしよう!』は、プレイステーション用の育成シミュレーションゲームである。士郎正宗がキャラクターデザインを手がけた。環境を操ってスライムの進化(変態)をコントロールするのが目的のゲーム。

和風のコンピュータゲームにおけるスライム[編集]

日本などを作品世界の舞台とした和風のコンピューターゲーム作品では、スライムに相当する敵モンスターに形状の類推から(あるいは饅頭など)を登場させているものがいくつか見られる。『じゅうべえくえすと』では「どくまんじゅう」「まへいもち」(五平餅)「ゆきみアイス」、『あっぱれ伝-伏龍の章-』では「ワラビモチ」(蕨餅)、『地獄めぐり』では「氷室饅頭」などといったキャラクターが登場している。『月風魔伝』では「阿米婆」(アメーバ)と名づけられている。

脚注[編集]

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出典[編集]

  1. ^ a b 村山誠一郎 『新説RPG幻想事典 剣と魔法の博物誌 モンスター編』 ソフトバンククリエイティブ2008年、230-233頁。ISBN 978-4-7973-4643-5
  2. ^ 取扱説明書によると、スライムの別名とされる。

参考[編集]

関連項目[編集]

  • 遠藤雅伸ゲームデザイナー) - 自らを「日本版スライムA級戦犯」と称する。彼の手がけたゲーム、『ドルアーガの塔』(1984年)で、日本で最初に最弱モンスターとしてスライムを設定し、「スライムは弱い」というイメージを日本に植えつけた一因であることに由来する。